第1巻 第3話 ホシガミ
千棘 (やったー!、日本にこんなに早く戻って来れただけじゃなくて、楽と同棲………スっごく嬉しい!)
楽 「じゃあ千棘、後でマンションの場所教えるな」
千棘 「え?あ……うん!」
小野寺 「ねえ、千棘ちゃんが帰って来たお祝いパーティーやろうよ!」
集 「お、いいねぇそれ〜。俺、凡高の皆んな集めとくよー。」
楽 「頼んだぞ、集。でもお前、また呼び過ぎたり変なサプライズしたりすんなよ〜」
集 「分かってるって。ニヒヒ………」
宮本 「安心して一条君。集君は私が見張っておくわ。」
集 「もうるりちゃんまで、俺はそんな事しないよ〜〜。」
小野寺 「でも、一条君去年から受験勉強しながら、千棘ちゃんの帰りを何年も待つつもりだったのに、こんなに早く再会できて良かったね。
これで何も問題無しじゃない。」
千棘 「え?ああ、……………それがね………」
楽 「あ?どうしたんだよ千棘?」
千棘 「それがね………楽、あんたとこれから付き合っていくにして、ひとつだけ問題が………
いや、一つでもすごく大きな問題が………」
楽 「ん?何だよ問題って?」
千棘 「ちょっとあんたに出来るかどうかと心配だったけど、もうコレをするしかないらしいから仕方ないわね。
ハッキリ言うは。」
千棘 「鶫(つぐみ)、もういいわ、出て来なさい。」
? 「はい。お嬢」
シュッ
鶫 「久しぶりだな、一条楽。それに小野寺様に宮本様、あとついでに舞子集」
タンッ
黒髪の青年 「…………………」
楽 小 宮 「あ!つぐみ(ちゃん)!
男子に見間違いそうな顔立ちにボーイッシュな服装、その服装から盛り上がる大きな胸、
そして昔と違い長く伸ばしたロングヘア
鶫 清士郎 千棘のボディーガードのビーハイブのヒットマンだ。
楽 「つ…つぐみ!?千棘だけじゃなくてお前もこっちに戻って来てたのか!?」
小野寺 「つぐみちゃん、久しぶり!」
鶫 「お久しぶりです。小野寺様。」
ダッ
集 「清士郎ちゃ〜ん!懐かしい〜!」
ガンッ!
鶫 「貴様は時が経とうとも、全く変わっていないな。お見通しだ。」
楽 「相変わらずだな、お前ら……………」
楽 「つぐみ、お前も千棘の帰国に合わせて戻って来たのか?」
鶫 「それは理由の半分だ、もう半分の理由は………貴様だ。」
楽 「え?俺?」
千棘 「うん、それがねえ楽………」
鶫 「お嬢、この件は私の口から話します。」
楽 「俺が理由って一体?」
鶫 「まあ、話した方が早いな。蒼也(そうや)、例のクロード様からのボイスメッセージを」
黒髪の少年 「うん、黒虎(ブラックタイガー)」
千棘 「え?そういやあ鶫、その子は?」
蒼也 「千棘お嬢様」
千棘 「え?」
蒼也 「お初お目にかかります、私はビーハイブの黒虎(ブラックタイガー)と同じヒットマンで、双神 蒼也(ふたがみ そうや)と申します。
今回、クロード様からの一条楽への教育係の任を黒虎(ブラックタイガー)と2人で仰せつかって参りました。」
千棘 「え?あなたも?そう言う事なの………よろしく。」
楽 「は?俺の教育係?それはどういう………」
蒼也 「一条君、まずはコレを」
蒼也は自分のiPhoneを取り出し、誰かと通話を始め、それを楽の方に向けた。
ピー
クロード 「一条楽か?私だ。」
楽 「ゲッ、メガネ?何であいつの声が?」
それは間違いなく、千棘との交際を1番反対していた千棘のボディーガードでビーハイブの大幹部 クロード(メガネ)のものだった
楽 「まさかあいつ、まだ俺と千棘の関係に反対なんじゃあ………」
鶫 「黙って聞け、一条楽!」
クロード 「私は天駆高原(てんくこうげん)での一件で、貴様が他の女達より、お嬢を選んだ事で貴様のお嬢に対する気持ちが本気だったという事は認めた。」
クロード 「しかし、気持ちだけが本気でも、誠士郎のような戦闘能力の全くないものにお嬢を任せる訳には能力的には出来ない。」
楽 「は?戦闘能力って、何だよそれ?俺にそんなものあるわけ………」
クロード 「そんな事、今までの貴様を見れば分かっている、だから今から付けるんだ。」
楽 「はぁ?」
クロード 「貴様もちょうど大学生になったと聞く。これからの貴様の大学四年間、貴様が22歳になるまで、誠士郎と蒼也の2人を貴様の戦闘訓練の教育係を任せる事にした。」
楽 「ハァ?」
クロード 「それで22歳までに貴様が集英組の二代目として、そしてお嬢を守れるだけの力を付けれたのなら、交際だけではなく結婚も私は認めよう。」
楽 「ハァ?結婚?どういう事だよ、千棘、鶫………」
千棘 「最初は私もビックリしたけど、話を聞いたら以外と納得できたのよ。」
鶫 「そうだぞ一条楽、よく考えてもみろ!」
鶫 「仮にも貴様は数年後には集英組を継ぎ、西洋のギャング組織ビーハイブのご令嬢のお嬢を妻に貰い受けるのだぞ?」
鶫 「集英組が仁義を重んじる義賊側の組織だと分かった今、貴様も昔ほど集英組の2代目になるのは嫌ではないのだろう?」
楽 「まあ、それはそうだけど………」
鶫 「なら問題無いではないか。」
鶫 「仮にもヤクザの組長だぞ?アメリカで言えばギャングのボス。貴様は全くの戦闘や暗殺に関しての素人のままで、お嬢と2人で裏社会を生きていくつもりか?」
楽 「言われてみれば、確かにそれ………
いつか敵対する組織に狙われたりとかしたら……………」
鶫 「だろう?それに貴様に拒否権は正直無いぞ。」
楽 「え?」
クロード 「ああ、それと言い忘れる所だったが、もしも貴様が4年も与えたにもかかわらず、お嬢が一流のファッションデザイナーになる為に日夜寝る間も惜しんでマダムフラワーの様な忙しさに耐えているにも関わらず、戦闘の一つも身につけられないようであれば………」
楽 「あれば………?なんか凄く嫌な予感が………」
クロード 「結婚を認めないだけではなく、お嬢と私達の期待を裏切った罰で貴様と集英組をケシズミにする。その気で励め。」
楽 「んなっ!」
クロード 「では、期待しているぞ。さらばだ小僧。」
プー……プー……プーー
楽 「マジかよ、こんな事に………」
千棘 「泣き言言っても始まんないでしょ?
これ以外にクロードを納得させる手はないんだから、シャキッとしなさい!」
集 「楽、またまた大変だね〜〜」
宮本 「一条君、千棘ちゃんの為に頑張ってねー」
小野寺 「うわー、大変だね一条君。頑張って!」
楽 「お前ら人ごとだと思って、小野寺まで……………」
千棘 「まあ、そう気を落とすことばかりじゃ無いわよ、ダーリンっ!」
楽 「千棘、でも………」
千棘 ボソッ「それに私、楽が強くなってくれたら、嬉しいし。」
楽 「え?」
千棘 「だって、敵対するマフィアに襲われた時とか、そうなってたら私、あんたに助けられるかもしれないじゃ無い?
そうなったらまた惚れ直しちゃう!」
楽 (そうだな、考えてみたら集英組を継ぐ事になってからは特に、俺に鶫やポーラが羨ましくなかったとは言えない。)
俺は橘を九州の実家から助ける時も、本田さんや隠衛衆(かくれこのえしゅう)相手には全く無力、天駆高原でメガネ(クロード)と対峙した時も、鶫がいなきゃあ俺は千棘の元に辿り着き、こうして結ばれる事は無かっただろう。
楽 (更にその度に鶫に、「貴様がいても足しにはならない」と言われて来た。戦闘で千棘を守れる鶫を羨ましく思った事が無いなどとても言えない)
楽 (……………………………)
楽 「よし、分かった!やってやるぜ!
鶫、双神くん、よろしくな!」
第3話 完
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