第1巻 第30話 タチバナ
PM:17:00 集英組本部 一条家前
楽 「おせーな、鶫の奴。」
千棘 「珍しいわねぇ、あの子律儀だから遅刻なんて滅多にしないのに。」
鶫 「一条楽!待たせたな。」
楽 「おっ、来た。」
スタスタ
鶫が集合時間を少し過ぎてやって来た
楽 「待ってたぜ〜。珍しいな、お前が遅刻なんて。」
鶫 「ああ、すまない。思わぬ客人と街で会ってしまってな。」
千棘 「思わぬ客人?」
鶫 「お嬢もいらしてたんですね。ちょうどいいです。
説明しておくには本人に会わせるのが1番ですから。」
楽 「は?誰と会ったんだよ?」
鶫 「おい、もう出て来ていいぞ。」
? 「はい。」
タンッ
楽 「え?」
千棘 「え?」
? 「お久しぶりです。天駆高原以来の10ヶ月ぶりですね。
楽様、桐崎さん。」
その少女が出てきた瞬間、楽と千棘は固まってしまった。
ここに帰って来るのは早過ぎたからである。
楽 「た…橘………!」
千棘 「万里花、あんたまでこっちに戻って来てたの?」
橘 「やっと会えましたわ」
昔のサイドロングとは違いショートに切られた栗色の髪に、それを留める花型の髪飾り、お嬢様口調
ニコッ
紛れもなく、一昨年のバレンタインにアメリカの病院に2年間の闘病生活をしに行った筈の楽の許嫁、橘 万里花
第30話 完
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