第1巻 第245話 ゴチソウ
2017年10月29日(日) 12:00
凡矢理会館
草鹿 表(くさか ひょう)主催、ハロウィンパーティー会場
草鹿(くさか) 「えーー、本日のハロウィンパーティーの、第1イベントは、
昼食です。
ハロウィンにちなんだ料理をたくさん用意しておりますので、
ゆっくりと、頂き下さい。」
草鹿(くさか)はマイクを使って、
声を大きくして客に説明した。
パーティー客A 「わーー、美味そう。」
パーティー客B 「こっちにも、沢山あるよーー。」
ワイワイ ガヤガヤ………
千棘 「わーー、見てよ楽。
スッゴく美味しそう!」
草鹿(くさか)の説明通り、
パンプキンパイにチキン、ケーキに
カボチャジュースやクッキーに、
臓物スープなど、
ハロウィンにちなんだ料理が、
白い布を被せたテーブルの上に、
大量に並んでいた。
楽 「スゲーー、本格的だな。
あの草鹿って奴、まだ俺たちと同じ学生だろ?
よく、こんだけ用意できたな………。」
ヒョイッ
草鹿 「そりゃ、集ちゃんのお陰でもあるよ。」
楽が感心していると、草鹿が話し掛けて来た。
楽 「あっ、草鹿くん。」
草鹿 「表で良いよ♪
集ちゃんにもそう呼ばれてるし、友達はみんなそう呼ぶからね。」
楽 「そっか………
じゃあ、表。
このパーティー、やっぱり集の奴が色々絡んでんのか?」
表 「そーだよ!
集ちゃんが、この建物を貸してくれた他にも、
このハロウィン料理を作った、
料理のできる知り合いを紹介してくれたり、
お菓子やイベントの材料を調達してくれたから、
今年は、ここまで大きなパーティーに出来たんだよん♪」
楽 「やっぱり、あいつの交友関係や人脈は幅広いな………。」
楽 (冬吾の奴と、良い勝負だな………。)
表 「まあ、そんな訳だから。
集ちゃんもそんだけ協力してくれたから、
こういうイベントは、
皆んなで楽しまなけりゃ損でしょ?
一条君も、楽しんでいってよ♪」
楽 「おう。
誘ってくれて、ありがとな。」
そして………
ガッ ガッ
千棘 「楽ーー、このチキン、めっちゃ美味しいよーー!」
楽 「お前、もうチキンばかり3個目だぜ?
少しは野菜も食べたらどうだ?
パンプキンパイや、スイートポテトなんかも折角(せっかく)あるのに。」
千棘 「なっ!?
別にいーじゃない!
パーティーなんだから、自分の好きなもの食べれば!
あんた、私の保護者かなんか?」
楽 「いや。
彼氏として言ってんだよ。
彼氏なら、彼女の健康に気を使うのは当然だからな。」
千棘 「そ、そっか………。
ありがと………。」
楽 「そういやあ千棘、お前はハロウィンパーティーって、前にも行った事あんのか?」
千棘 「もちろんあるわよ!
アメリカでも、パパやママの付き添いで、
もっと大きなハロウィンパーティーに何度も出た事あるわよ!」
楽 「流石だな………。」
小咲 「モグモグ………
このパンプキンパイ、美味しー。
ねー、千棘ちゃん。
このパンプキンパイ食べてみない?」
千棘 「あっ、食べる食べるーー!」
タタッ
楽 (よかった、千棘がカボチャのパイに興味持ってくれた………。
グッジョブ、小野寺!)
その他にも………
万里花 ゴクゴク………
万里花 「ふーー、カボチャジュースですか………。
独特な味ですが、
まあ………悪くはありませんわね。」
万里花は、紅茶を飲む時のようなお上品なお嬢様作法で、カボチャジュースを飲んでいた。
るり 「はい。」
スッ
集 「おや?」
るりは、集にスイートポテトを差し出した。
るり 「………一緒に食べましょ。
私たち、一応恋人同士なんだから。
あなたとなら、一緒に食べるのも悪くないわ。」
集 「おやおや、嬉しいねー〜。
まさか、るりちゃんの方からそんな事を言ってくれるなんて。
でも俺は、るりちゃんみたいには大食らいは出来な………。」
るり イラッ
ガスッ
集 「ぐふっ!」
るりは、集をどついた。
鶫 モグモグ………
鶫 「うーむ、中々の味だな。
アメリカで、ボスやお嬢の付き添いで行ったパーティーで出て来た本格的な料理に比べれば、多少物足りないが………
まあ、年の近い友人とこうやってみんなで食べるのも悪くはないな。」
鶫 (………蒼也の奴も、来ればよかったな。)
タタッ
千棘 「楽ーー、小咲ちゃんと食べたいパンプキンパイも、美味しかったよーー。」
小咲とパンプキンパイを食べ終えた千棘は、
楽の所に戻って来ていた。
楽 「おう。
そりゃ良かったな。」
千棘 「………ねぇ楽、なんだかこういうの久々で良いよね。」
楽 「え?」
千棘 「だって、私たち、
高校の時はいつもこのメンバーで一緒に行動して遊んでたじゃない?
私が日本に戻って来てからは、
あんたと「ホンモノ」のデートばっかりして………
もちろん、それもスッゴく楽しかったけど、
やっぱり私、お友達とみんなでワイワイこうやって楽しむのも、大好きだな。」
ニコッ
楽 ドキッ
千棘の見せた満面の笑みに、楽はドキッとした。
楽 「ああ、そうだな………。」
楽 (そうだったな。
お前は俺と本当に付き合い出す前から、
友達と何かするだけで楽しくて仕方ないっていう奴だった。
俺1人だけが全てなんて、
そんな小さい女じゃねーよな、お前は。)
楽 (俺はお前の、そんな笑顔にも惹かれて癒されてばっかだったな………。)
第1巻 第245話 完
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