第1巻 第55話 コイムス
楽 「だっ〜〜、やめろってお前ら!」
ヤクザG 「こりゃあすいやせん坊ちゃん。
俺らつい頭に血が上って………」
そんなこんなで、ギャングとヤクザの屋台のシマ争いを沈静化する事10数件……………
千棘 「ふーー〜やっと大体片付いたわね。」
楽 「だな。」
千棘 「ところであんたいいの?買いたい物が神社の方にあったんじゃ無いの?」
楽 「え?ああ!そうだ、早く行かなきゃ恋結びが………」
千棘 「やっぱり恋結びの事だったのね。」
楽 「え?ああ、まあな………」
楽 (言わずに渡してびっくりさせたかったのに……………)
千棘 「でもあれ、すぐに完売しちゃうんじゃ無いの?」
楽 「いや、大丈夫だ、今年から昨年までの3倍以上を入荷したらしいんだ。人気に合わせてな。ただ………」
楽と千棘は恋結びを売っている神社の方に向かった。
楽 「ちょっ、この人混みの量はヤバイだろ………千棘、絶対手を離すなよ。」
千棘 「分かってるよ……ひゃっ!楽、変なトコ触らないでよ!」
楽 「あ!わりー………この人混みだから体の自由が全然効かねーんだ。」
千棘 「……………ねえ楽、ようはこの人混みの人達を全員押し退ければいいんだよね?」
楽 「あ?いや、そりゃあそうだけどそんな事できるわけ………」
千棘 「三日月銀兎(みかづきぎんと) シルフ」
シュンッ
シルフ 「どーしたの千棘、こんな混んだところにあたしを呼び出して………」
千棘 「ねえシルフ、あんたも楽が滋賀県で使ったあの「星体技」ってやつ、私も使えるように出来るの?」
シルフ 「え?出来るけど月属性は星の光の量で純粋に体を強化出来る太陽属性と違って本人の体が元々弱かったら少ししか強化できないわよ?
本人の身体能力を次の光で照らすみたいに倍加するから。」
千棘 「なら問題ないわ。むしろ私にはそっちの方がピッタリよ。」
千棘 「ハァッ!」
ボウッ
千棘はありったけの月の光を自分の両腕に集めた。
一般人には見えないが両腕が銀色に眩しく発行している
楽 「ちょ…ちょっと待てよ、千棘まさかお前………」
千棘 「どおりゃぁーーーっ!」
参拝客一同 「うわっ? うわっ? うわーーっ!?」
千棘は月の光で強化した怪力で、通行人を片っ端から押しのけた
楽 「やっぱりやったか………」
千棘 「楽!見てよこれで買えるわよ?」
店員 「いらっしゃいませー、恋結び1個500円になりまーす。」
楽 「どぅも。」
それから楽と千棘は、千棘の星体技(せいたいぎ)で押しのけられた客が文句を言いに襲ってくるので、必死に神社の隣の山の方に逃げた
楽 「ハァ………ハァ………だいぶ疲れた………」
千棘 「にしてもあんた、だいぶ速くなったわね。私に付いてこれたじゃない。」
楽 「蒼也に言われてランニングは週2できっちりやってるからな。」
楽 「ところで………ここなら人目にもつかねーし、」
千棘 「え?」
楽 「ほらよ。」
スッ
楽は千棘に恋結びを差し出した
楽 「高1の時にやったのとは違う、これを女の子に渡す意味を分かった上でお前にやる。」
千棘 「ら…楽………」
ウルウル
千棘は嬉しさと感動の余り、目に嬉し涙を浮かべた
楽 「俺はお前が好きだ、これからもずっと一緒だぞ。」
千棘 「うん!………うん!」
千棘は喜んで恋結びを受け取った
千棘 「あ!そーだ楽、あんた本当に私が好きなら証拠を見せてよ。」
楽 「え?証拠って?」
千棘 「いつもは私からしてばかりでしょ?たまにはあんたからもしてよ。」
楽 「……………分かったよ。ほら、目閉じろよ。」
千棘 「………うん。」
パチッ
千棘は目を閉じた
スッ
スッ
チュッ
大学1年の夏の縁日、初めて楽の方からから千棘にキスをした
第55話 完
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