2019-06-09 18:37:11 更新

2017年10月27(金) 16:00


佐張大学(さわりだいがく)


弥柳 「よーし、これで俺たちのケーキ屋の屋台は大体完成だ。」


小咲 「うん。お疲れ様、弥柳くん。」



小咲と蓮は、昨日で最後のメニューのチーズケーキのレシピが完成したので、

今日は講義後に佐張大学(さわりだいがく)に残って、大学祭で実際に出店するケーキ屋の屋台を、16号館の前に作って準備していた。



小咲 「でも、なんだか私の趣味で女の子っぽい屋台になっちゃって………ごめんなさい。」


弥柳 「いや、いいんだよ。

俺の頼みでケーキ屋を手伝って貰って、

練習にまで付き合わせちゃったからね。

店の外観くらいは小野寺さんに任せるよ。」



小咲の言う通り、小咲と蓮の作ったケーキ屋の屋台は、

標準的な4本の屋台用の棒にピンク色の布が被せてあり、

その布には「みななぎ おのでら ケーキ屋」と、黄色の線の中に赤い字の文字で店名(てんめい)が描かれている。


そしてその屋台の商品を置く場所には、

それぞれ「ショートケーキ」、「チョコレートケーキ」、「チーズケーキ」、

と名前と、300円という値段が書かれた値札が置いてある。



小咲 「それにしても………「みななぎ おのでら ケーキ屋」、なんて、

そのまんまの名前だよね………。」


弥柳 「うるせーな………

俺、菓子以外のネーミングセンスは全然ねーんだよ。」



アハハ………



小咲 (あれ?

そう言えば私、男の子にこんなからかうような事言うの、初めてかも………。)


小咲 (一条君や舞子君にはどこか他人行儀(たにんぎょうぎ)になっちゃって、多分言えないし、

そりゃるりちゃんには言えるだろうけど………。)


弥柳 (そう言えば俺、菓子作りの為とは言え、1人の女の子とこんな一つの事に熱中したね、初めてかもしれないな………。)



小咲 「……………。」


弥柳 「……………。」



2人の間で、数秒間の沈黙が流れた。



蓮 「と、とにかく小野寺さん。」


小咲 「は、はいっ!」



小咲は少し、慌てた様子で答えた。



蓮 「店もついに完成したし、

ここまで付き合ってくれてありがとな。

大学祭でのケーキ屋、2人で頑張ろうな!」


小咲 「は、はい!

よろしくお願いします!」


第1巻 第240話 完





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