第1巻 第219話 オボレタ
2017年10月21日(土) PM:18:00
凡矢理ウォーターパーク
千棘 「ふーー、玉入れ大会、
楽しかったわね、楽。」
楽 「ああ、そうだな。」
千棘 「あっ!もうこんな時間?
どうすんの楽?
もう殆どのアトラクションは遊び尽くしたし、
そろそろ帰ろっか?」
楽 「いや、あと1時間だけ待っててくれ。」
千棘 「?そう………?
まあ、別にいいけど、なんであと1時間なの………?」
楽 「あと、1時間すれば分かるぜ………。」
千棘 「?そう。
私、少し泳いでくるわね。」
楽 「おう。」
ザバッ
千棘は、楽と一旦別れて、
広いプールで泳ぎ出した。
楽 「ふーー、さて。
あの仕掛けが起こるのは確か午後7時、
あと1時間弱か………。」
客A 「ねぇ見て、
もしかしてあの子、溺れてない?」
楽 「!」
楽 「まさか………。」
楽はまさかと思い、広いプールを見たら、
溺れていたのはやはり千棘だった。
ガボ カボッ
千棘 (ヤバい、足つっちゃった………
高1の時、楽に準備運動くらいしとけって言われたのに私、また繰り返して………。)
シルフ 「千棘!何してるの?
しっかりしなさい!」
楽 (あのバカ………。)
ザバーン
楽は、広いプールに飛び込んだ。
楽 (!いた、千棘だ。)
楽は、プールで溺れていた千棘を水中で見つけた。
楽 (でも、このプール結構広い………
俺も泳ぎ、そんなに得意じゃねーし、
息もつか………?)
レオン 「楽!星体技(せいたいぎ)だよ!」
楽 「わっ!レオン?」
レオン 「星体技(せいたいぎ)は、
筋力だけじゃなくて、
自分の体なら内蔵でも強化出来るんだ。
星の光を肺に集めて、
楽の呼吸量を強化するんだよ!」
楽 「なるほど………
分かった!」
ボウッ
楽は、太陽の光を自分の左右の両肺(りょうはい)に集めた。
楽 「てやっ!」
ザバッ ザバッ
楽はそのまま、一気に千棘の方に向かって泳ぎ出した。
楽 「ちとげぇぇぇ!」
ザバーン
楽は、溺れた千棘を担いで水面に上がった。
楽 「千棘、大丈夫か?」
千棘 「うーん………。」
楽 (ダメだ、完全に伸びてやがる………。)
楽 (あんま、水は飲んでみてねーみたいだけど……………)
ガバッ
楽は千棘の体を持ち上げた。
チュウ
楽は、そのまま千棘にキスして、
人工呼吸した。
スーー………スーー………
千棘 「ぶはあっ!
ガホッ、ガホッ!」
楽 「あっ、千棘!
大丈夫か?」
千棘 「うん、大丈夫。
私、どうなったの?
確か、プールで溺れて………」
楽 「俺がプールから引き上げて、
その………人工呼吸したんだ。」
千棘 「ふえっ!?
そ、そっか………ありがと。」
楽 「ん?なんかヤケに素直だな。
てっきりなんか、文句言われるものかと………。」
千棘 「そんな事するわけ無いでしょ!
私もいつまでも、昔のヒドイ女の子のままで
いたくないんだから!
それに………。」
楽 「それに?」
千棘 「あんたにだったら、
キスくらいいくらでもされてもいいわよ。
今までも何回もしてきたし、
私達はもう、「ホンモノ」なんだから。」
ドキッ
千棘の言葉に、楽はまたドキッとした。
第1話 第219話 完
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