第1巻 第115話 ジョウカ
凡矢理大学 18号館
楽 「九愛太陽 レオン!」
シュンッ!
楽の星匣からレオンが実体化した。
レオン 「ふー、やっと実体化してくれたね。
そうだよね、あの2人は一般人だから、
彼等の目の前でボクを出す訳にはいかないよね。」
楽 「そういうこった。
で、レオン こいつらどーすんだよ?
こんだけいて増え続けてんだったら、俺一人でどうにかなんのか?」
レオン 「そうだねぇ………」
木星ワーム 「ウロロ………」
木星ワームは今や、18号巻全域に繁殖し切っていた。
レオン 「!そうだ!ラク、籠手の札(コテノフダ)を出して!」
楽 「え!?籠手の札(コテノフダ)を?」
レオン 「うん。滋賀県で岩の合間に挟まっちゃった千棘姉を助けた時の事、覚えてる?
ボクの籠手の札から放つ炎は、あくまで楽の太陽の光だから、人は焼かずに、木星ワームだけを焼き払えるはずだよ!」
楽 「なるほど………よーし!」
スッ カシャンッ
楽は自らの星匣の使用所に籠手の札(コテノフダ)のカードを刺した
楽の星匣 「籠手の札(コテノフダ)」
シュンッ
楽の右手に籠手の札が装備された。
しかし、今までとは細部が少し違い、
鬣(たてがみ)も生えて一層ライオンらしくなり、目付きも赤ん坊の様な丸い目から
若干、鋭くなっていた。
楽 「!?籠手の形が変わってる!?」
レオン 「お盆に格上げ(ランクアップ)したからね。
新しい札が追加されるだけじゃなくて、元々あった札も姿を変えて強くなって行くんだよ。」
楽 「なるほど……….よーし!」
ガチャッ
木星ワーム 「キュロッ!?」
楽は籠手の口の銃口を、木星ワームに向けた。
楽 「紅炎(プロミネンス)!」
ボウッ
木星ミミズ 「キュロロッ!」
楽が放った太陽の光の火炎放射は、レオンが言った通り、学生を焼かずに繁殖して増えた木星ワームのみを焼き払った。
ジュウウ………
学生 「アレ?何だかいきなり気分が良くなった………」
楽 「よっしゃ!これならいける!」
木星ミミズ 「キュロロッ!」
楽 「んわっ!?」
楽に仲間を焼かれた木星ワーム達は、
大多数が楽とレオンの方に寄り集まって来た。
ゾロゾロ ワラワラ
楽 「ど、どーすんだよ?」
楽は木星ミミズの軍勢を自身の太陽の光で焼き払いながらレオンに尋ねた
レオン 「まさか………仲間がやられたらやった奴を敵とみなして襲いかかって来るとはね。
こいつら、明確な自我を持ってるんだね。
星獣の中じゃあ、明確な自我を持たない、
殆ど本能だけの奴らだと思ってたのに。」
楽 「お前も知らなかったのか!?
コイツら、俺の星の光じゃ払い切れねーぞ!」
確かに楽の言う通り、木星ワーム達は1匹1匹は楽が軽く星の光で払う程度で星化するが、数が多過ぎてキリが無い。
払っても、払っても、後からどんどんわいて群がって来る。
レオン 「ボクもキミの中で眠ってる時に、友達の星獣の会った事がある子にテレパシーで聞いただけだったから、実物の木星ワームを見るのは、コレが初めてだったんだ!
ホントにどーすれば………」
? 「ヤレヤレ、仕方が無いねぇ。」
楽・レオン 「!?」
楽とレオンの背後から、体調も崩している様子も無い、精神が不安定になっている様子も無い、自分たち以外に唯一、
他の学生達と違って木星ワームの影響を全く受けていない声がした。
? 「楽、お前にはもう少し正体を隠しつつ見守りたかったけど、仕方が無い。
ここでこんな、二流星獣に負けて貰っても困るしね。」
しかしそれはどこかで楽が聞いた覚えのある声だった。
カシャンッ
「流の札(ナガレノフダ)」
ドバァーーー!!
背後の聞き覚えのある声が星匣に星札を入れると、青色をした星の光が水がプール全体に溜まるかの様に一気に食堂全体に行き渡った。
ジュウウッ………
木星ワーム 「キュロロッ?」
その青い星の光を浴びた木星ミミズは木星の光の緑色の輝きが弱くなり、動きも鈍くなった。
楽 「コレは一体………?」
? 「全く………このレベルの星獣なら、お前一人で何とかなると思ったが、お前の契約星獣と相性が悪かったみてーだな。
今日はあの双神って奴もいないみたいだし、
しょうがない、加勢してやるよ!」
楽 「え?お、お前………」
ザァァ………
流れ出る様に光っていた青い光が弱くなり、
発生元の人の顔が浮かび上がって来た。
冬吾 「まだ、俺の正体は伏せて行くつもりだったけど………星神としてもヨロシクな楽!」
やや長めの茶髪に、トレードマークの黒縁メガネ、そこにいたのは紛れも無く楽の級友、久野 冬吾だった。
第115話 完
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