2019-06-16 02:05:22 更新

2017年10月30日(月) AM:9:00


凡矢理会館


草鹿 表(くさか ひょう)主催のハロウィンパーティー、2日目(ふつかめ)



草鹿(くさか) 「えーー、初日に続いて、

2日目(ふつかめ)もこんなに集まって頂いて、

私、草鹿 表(くさか ひょう)、

感激の極みです!

本日は、この近所の家を回る際の、

衣装合わせをします!」


参加客A 「おおおー!」


参加客B 「イエーー!」


楽 「………なあ、表(ひょう)、

ハロウィンパーティーって、

仮装して家を回って、お菓子を貰うのがメインなんじゃ無いのか?

昨日も今日も、

菓子作りや衣装合わせなんかの準備しかしないのか?」


草鹿 「ああ、それは大丈夫だよ、

一条君。

昨日は交換する為の菓子作り、

今日はオバケの格好(かっこう)の衣装合わせをして、

最終日の明日に近所の家巡り………

つまりは、

「トリック・オア・トリート」をやる訳だから!」


楽 「なるほど、

そういう訳か………。」


表(ひょう) 「まあ、勿論(もちろん)それだけじゃあ無いけどね、

シシシ………。」


楽 「?」



ガタッ



表は、舞台の上のステージに立って、

マイクを手に取った。



草鹿(くさか) 「えーー、

みなさん、本日のメインの衣装合わせは午後からです。

午前中は、

僕が用意した幾つかのゲームをお楽しみ下さい。

第1弾は………射的です!」



バッ



表は、何かに被せておいた白い布を取った。



楽 「おっ?」


集 「これは………。」



表が被せた布の下にあったのは、

ひな祭りのひな壇の様な階段に、

カボチャや魔法使い、オバケなどのたくさんの人形だった。



表(ひょう) 「本日のゲームの第一弾は、

「ハロウィン版射的ゲーム」です!

この人形を夏祭りの射的(しゃてき)の要領で銃で撃って下さい。

当たったヌイグルミは、

そのままお客様のものになります。」



千棘 「わーー、面白そう!」


集 「中々、いいんじゃ無い?」


楽 「まさか、こんな所で射的をやる事になるとはな………。」


千棘 「よーし………やるわよ、みんな!」



そして、ゲームは始まり………。



パンッ


パパパンッ



客C 「あーもう!

何だよ、全然とれねーじゃねーか!」


客D 「ダメ、また外しちゃった〜〜!」



パンッ


パンッ


千棘 「ムッキィ〜〜、

全然当たらないじゃ無い!」


楽 「そんなんじゃダメだ。

射的の銃は、銃口が曲がってて、

簡単には当たらない様になってんだ。」


千棘 「え〜〜!?

何よソレ?

ズルいじゃ無い!

あのヌイグルミたち、欲しいのに………。」


楽 「……………。」



千棘は、物欲しそうな目でヌイグルミを見ていた。



楽 (コイツ、ホントにヌイグルミが欲しいんだな。)


楽 (彼氏として、彼女の欲しい物をあげないとな。)



楽 「………千棘、ちょっと銃を貸してみろ。」


千棘 「え?」


スッ



パンッ


パンッ


パンッ


千棘 「!」



楽は、千棘から借りた銃で、

次々とヌイグルミを撃ち落としていった。



客E 「おい。

なんだよアイツ、スゲ〜!」


客F 「すっご〜い、あの人!」



千棘 「あんた、スゴっ!

あ、そういやあ………

あんた、縁日の射的や金魚すくい、

めっちゃ得意だったわよね。」


楽 「まあ、苦手ではねーな。」



スッ



千棘 「え?」



楽は、射的でとった

オバケやカボチャのヌイグルミを千棘に差し出した。



楽 「ほら、やるよ。」


千棘 「これ、私に………?」


楽 「お前が、

どうしても欲しそうな顔してたから取ってやったんだ。

まあ、俺はお前の彼氏だからな。

これくらいの欲しい物はあげないとな。」


千棘 「……………。」


スッ


ガバッ



千棘は、ヌイグルミを楽から受け取って、

無言でそれに顔を埋めた。



楽 「おい………千棘?」


スッ



千棘は、埋めていた顔を上げた。



千棘 「ありがとう!

楽、やっぱり大好き!」


楽 ドキッ



千棘の礼の言葉に、楽はまたドキッとした。


第1巻 第248話 完


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