第1巻 第248話 シャテキ
2017年10月30日(月) AM:9:00
凡矢理会館
草鹿 表(くさか ひょう)主催のハロウィンパーティー、2日目(ふつかめ)
草鹿(くさか) 「えーー、初日に続いて、
2日目(ふつかめ)もこんなに集まって頂いて、
私、草鹿 表(くさか ひょう)、
感激の極みです!
本日は、この近所の家を回る際の、
衣装合わせをします!」
参加客A 「おおおー!」
参加客B 「イエーー!」
楽 「………なあ、表(ひょう)、
ハロウィンパーティーって、
仮装して家を回って、お菓子を貰うのがメインなんじゃ無いのか?
昨日も今日も、
菓子作りや衣装合わせなんかの準備しかしないのか?」
草鹿 「ああ、それは大丈夫だよ、
一条君。
昨日は交換する為の菓子作り、
今日はオバケの格好(かっこう)の衣装合わせをして、
最終日の明日に近所の家巡り………
つまりは、
「トリック・オア・トリート」をやる訳だから!」
楽 「なるほど、
そういう訳か………。」
表(ひょう) 「まあ、勿論(もちろん)それだけじゃあ無いけどね、
シシシ………。」
楽 「?」
ガタッ
表は、舞台の上のステージに立って、
マイクを手に取った。
草鹿(くさか) 「えーー、
みなさん、本日のメインの衣装合わせは午後からです。
午前中は、
僕が用意した幾つかのゲームをお楽しみ下さい。
第1弾は………射的です!」
バッ
表は、何かに被せておいた白い布を取った。
楽 「おっ?」
集 「これは………。」
表が被せた布の下にあったのは、
ひな祭りのひな壇の様な階段に、
カボチャや魔法使い、オバケなどのたくさんの人形だった。
表(ひょう) 「本日のゲームの第一弾は、
「ハロウィン版射的ゲーム」です!
この人形を夏祭りの射的(しゃてき)の要領で銃で撃って下さい。
当たったヌイグルミは、
そのままお客様のものになります。」
千棘 「わーー、面白そう!」
集 「中々、いいんじゃ無い?」
楽 「まさか、こんな所で射的をやる事になるとはな………。」
千棘 「よーし………やるわよ、みんな!」
そして、ゲームは始まり………。
パンッ
パパパンッ
客C 「あーもう!
何だよ、全然とれねーじゃねーか!」
客D 「ダメ、また外しちゃった〜〜!」
パンッ
パンッ
千棘 「ムッキィ〜〜、
全然当たらないじゃ無い!」
楽 「そんなんじゃダメだ。
射的の銃は、銃口が曲がってて、
簡単には当たらない様になってんだ。」
千棘 「え〜〜!?
何よソレ?
ズルいじゃ無い!
あのヌイグルミたち、欲しいのに………。」
楽 「……………。」
千棘は、物欲しそうな目でヌイグルミを見ていた。
楽 (コイツ、ホントにヌイグルミが欲しいんだな。)
楽 (彼氏として、彼女の欲しい物をあげないとな。)
楽 「………千棘、ちょっと銃を貸してみろ。」
千棘 「え?」
スッ
パンッ
パンッ
パンッ
千棘 「!」
楽は、千棘から借りた銃で、
次々とヌイグルミを撃ち落としていった。
客E 「おい。
なんだよアイツ、スゲ〜!」
客F 「すっご〜い、あの人!」
千棘 「あんた、スゴっ!
あ、そういやあ………
あんた、縁日の射的や金魚すくい、
めっちゃ得意だったわよね。」
楽 「まあ、苦手ではねーな。」
スッ
千棘 「え?」
楽は、射的でとった
オバケやカボチャのヌイグルミを千棘に差し出した。
楽 「ほら、やるよ。」
千棘 「これ、私に………?」
楽 「お前が、
どうしても欲しそうな顔してたから取ってやったんだ。
まあ、俺はお前の彼氏だからな。
これくらいの欲しい物はあげないとな。」
千棘 「……………。」
スッ
ガバッ
千棘は、ヌイグルミを楽から受け取って、
無言でそれに顔を埋めた。
楽 「おい………千棘?」
スッ
千棘は、埋めていた顔を上げた。
千棘 「ありがとう!
楽、やっぱり大好き!」
楽 ドキッ
千棘の礼の言葉に、楽はまたドキッとした。
第1巻 第248話 完
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