2019-05-26 14:48:28 更新

2017年10月23日(月) PM:19:00


スペクトル凡矢理 705号室


千棘 「ない!ない!どこにもないわ!」


ガサガサッ


楽 「ん?どーした千棘?」


千棘 「カバンに入れておいた、

ファッションの資料がどこにも無いのよ!」


楽 「それが無いと、なんか困るのか?」


千棘 「せっかく、男の子の服を作るやる気が出て来たんだから、

家でもファッションの勉強しようと思ってたのよ!」


楽 「そうか………

でも別に、明日学校に取りに行けばいいんじゃねーのか?」


千棘 「それじゃあダメよ!

明日やろうは馬鹿野郎なのよ!

ほら楽、LAB(ラボ)まで取りに行くわよ!」


楽 「はぁ?

何で俺まで?」


千棘 「しょうがないでしょ?

もうこんな時間なんだし………

あんた、私が暗いところ苦手なの、知ってるでしょ?」


楽 「ああ、よーく知ってるよ。

しょうがねーな、付いて行ってやるよ。

こんな時間に彼女を1人で夜の学校に行かせるなんて、

彼氏としてどうかと思うし、

変な奴が出たら、お前が危ねーしな。」


千棘 「え?

それって、私がそういう人に襲われたら守ってくれるって事?」


楽 「まあ、不審者だけじゃ無くて、

そんな暗い所に星獣(せいじゅう)や星神(ほしがみ)が現れたら、

お前、1人で戦えるのか?」


千棘 「うぐっ!

そりゃ、いつもならわけないけど、

そんな暗い所じゃ、ちょっと無理かも………。」


楽 「だろ?

俺が星神(ほしがみ)になった1番の理由は、

お前やみんなを守れるようになりたかったからだ、

それなのに、そんな時にお前を守れなくてどうするんだ?」


千棘 「そ、そっか………

ありがとう。」


楽 「よーし、そうと決まればさっさと行くぜ。

ほら、準備しろよ。」


千棘 「うん!」



そして、楽と千棘は外に出る準備をして………



電車の中



ガタンゴトン ガタンゴトン………



楽 「なあ、東駅から500mくらい歩いたら、

すぐにお前の学校に着くのか?」


千棘 「うん。

あの東駅からも見える大っきなスパイラルタワーが、LAB(ラボ)の校舎よ。

キャッ!」


ガタンッ


楽 「あっ!」



電車が揺れて、千棘は楽に倒れ込んでしまった。


ムニュッ


千棘 「あっ!」


楽 「なっ!」



その拍子に、千棘は楽の胸に自分の胸を押し付けてしまった。



千棘 「ゴ、ゴメン楽………。」


楽 「いいよ。

俺たち、恋人同士だろ?

これくらいいいじゃねーか。」


千棘 「そ、そうだね………。」



そして、


PM:20:30


LAB(ラボ) ファッション学院



千棘 「うわぁ〜〜、真っ暗だ………。」


楽 「流石に雰囲気あるな………。」


千棘 「いつも通ってる学校なのに、

暗いだけでこんだけ感じが違うなんて………。」



ブルブル……… ガタガタ………



千棘は、恐怖で震え出した。



楽 「おい、大丈夫か千棘?

お前そんなんで、教室まで行けんのか?」


千棘 「うう………ちょっと無理かも………

上手く歩けないし………。」


楽 「………ったく、しょうがねーな。」


千棘 「え?」


ガバッ



楽は千棘を、お姫様抱っこした。


千棘 「ちょっと楽、あんた何してんのよ?」


楽 「しょうがねーだろ?

お前が歩けないんなら、教室まで行けねーし、

俺1人だけで行ったりしたら、

こんな状態のお前をここに1人でおいてく事になるだろ?」


千棘 「そ、そりゃそうだけど………

恥ずかしいじゃないこんなの!」


楽 「俺だって、恥ずかしいんだよ!

我慢しろ!」


千棘 (うう………あんたにお姫様抱っこして貰うんなら、

敵の星獣や星神から助けられた時とかのシチュエーションが良かったぁ………。)


千棘 (もう、こんな事になるなら、

心の準備くらいさせてくれってのよ………。)


第1巻 第225話 完


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