第1巻 第225話 ワスレタ
2017年10月23日(月) PM:19:00
スペクトル凡矢理 705号室
千棘 「ない!ない!どこにもないわ!」
ガサガサッ
楽 「ん?どーした千棘?」
千棘 「カバンに入れておいた、
ファッションの資料がどこにも無いのよ!」
楽 「それが無いと、なんか困るのか?」
千棘 「せっかく、男の子の服を作るやる気が出て来たんだから、
家でもファッションの勉強しようと思ってたのよ!」
楽 「そうか………
でも別に、明日学校に取りに行けばいいんじゃねーのか?」
千棘 「それじゃあダメよ!
明日やろうは馬鹿野郎なのよ!
ほら楽、LAB(ラボ)まで取りに行くわよ!」
楽 「はぁ?
何で俺まで?」
千棘 「しょうがないでしょ?
もうこんな時間なんだし………
あんた、私が暗いところ苦手なの、知ってるでしょ?」
楽 「ああ、よーく知ってるよ。
しょうがねーな、付いて行ってやるよ。
こんな時間に彼女を1人で夜の学校に行かせるなんて、
彼氏としてどうかと思うし、
変な奴が出たら、お前が危ねーしな。」
千棘 「え?
それって、私がそういう人に襲われたら守ってくれるって事?」
楽 「まあ、不審者だけじゃ無くて、
そんな暗い所に星獣(せいじゅう)や星神(ほしがみ)が現れたら、
お前、1人で戦えるのか?」
千棘 「うぐっ!
そりゃ、いつもならわけないけど、
そんな暗い所じゃ、ちょっと無理かも………。」
楽 「だろ?
俺が星神(ほしがみ)になった1番の理由は、
お前やみんなを守れるようになりたかったからだ、
それなのに、そんな時にお前を守れなくてどうするんだ?」
千棘 「そ、そっか………
ありがとう。」
楽 「よーし、そうと決まればさっさと行くぜ。
ほら、準備しろよ。」
千棘 「うん!」
そして、楽と千棘は外に出る準備をして………
電車の中
ガタンゴトン ガタンゴトン………
楽 「なあ、東駅から500mくらい歩いたら、
すぐにお前の学校に着くのか?」
千棘 「うん。
あの東駅からも見える大っきなスパイラルタワーが、LAB(ラボ)の校舎よ。
キャッ!」
ガタンッ
楽 「あっ!」
電車が揺れて、千棘は楽に倒れ込んでしまった。
ムニュッ
千棘 「あっ!」
楽 「なっ!」
その拍子に、千棘は楽の胸に自分の胸を押し付けてしまった。
千棘 「ゴ、ゴメン楽………。」
楽 「いいよ。
俺たち、恋人同士だろ?
これくらいいいじゃねーか。」
千棘 「そ、そうだね………。」
そして、
PM:20:30
LAB(ラボ) ファッション学院
千棘 「うわぁ〜〜、真っ暗だ………。」
楽 「流石に雰囲気あるな………。」
千棘 「いつも通ってる学校なのに、
暗いだけでこんだけ感じが違うなんて………。」
ブルブル……… ガタガタ………
千棘は、恐怖で震え出した。
楽 「おい、大丈夫か千棘?
お前そんなんで、教室まで行けんのか?」
千棘 「うう………ちょっと無理かも………
上手く歩けないし………。」
楽 「………ったく、しょうがねーな。」
千棘 「え?」
ガバッ
楽は千棘を、お姫様抱っこした。
千棘 「ちょっと楽、あんた何してんのよ?」
楽 「しょうがねーだろ?
お前が歩けないんなら、教室まで行けねーし、
俺1人だけで行ったりしたら、
こんな状態のお前をここに1人でおいてく事になるだろ?」
千棘 「そ、そりゃそうだけど………
恥ずかしいじゃないこんなの!」
楽 「俺だって、恥ずかしいんだよ!
我慢しろ!」
千棘 (うう………あんたにお姫様抱っこして貰うんなら、
敵の星獣や星神から助けられた時とかのシチュエーションが良かったぁ………。)
千棘 (もう、こんな事になるなら、
心の準備くらいさせてくれってのよ………。)
第1巻 第225話 完
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