第1巻 第215話 ノボセタ
2017年10月21日(土) PM:14:00
凡矢理ウォーターパーク
サウナ室の前
楽 「次はサウナかぁ。」
千棘 「うん。
色んなプールのアトラクションに入ったから、
温水とはいえ体も冷えたから、
そろそろ少しあったまりたくなったの。」
楽 「それもそうだな。
俺も結構冷えたし、
少し入ってこーぜ。」
千棘 (まあ、ホントは理由はそれともう1つあるんだけどね………。)
楽&千棘 「お邪魔しまーす。」
ガラッ
楽と千棘は、サウナ室の扉を開けて中に入った。
客A 「あら、若い子達が入って来たわね。」
客B 「カップルかしら、女の子の方、
可愛いわねーー。」
ドサッ
楽と千棘は、腰掛けに座った。
楽 「ふーー、あったけーな。
やっぱりこういうのいいよな。
なんつーか、疲れが取れる。」
千棘 「あんた、温泉気分にでもなってない?
相変わらずじじむさいわねぇ………。」
楽 「うるせーな。」
千棘 「でも、確かにあったかいわね。
暖ったか過ぎて、むしろ暑いくらい。」
そして、10分経過
千棘 「ふーー、流石に暑くなって来たわね………。」
パタパタ
千棘は、顔を赤くして手のひらをうちわ代わりにしてあおいでいた。
楽 (………なんか、顔を赤くして、
暑さに耐えて汗かいてる千棘、かわいいな………。)
楽 (水着姿の体に、汗と水が混じったのがしたたって光ってる………。
胸の谷間にも水が溜まってるし、
顔も赤くなって、暑さに耐えてる表情してるし、
今の千棘、スッゲー色っぽい………。)
千棘 「?どーしたの楽、人の方まじまじと見て………。」
楽 「な、なんでもない!
さあ、結構あったまったし、そろそろ出よーぜ。」
千棘 「………あんたは先に出てて、
私はもう少しこの中にいるわ。」
楽 「え?
でもお前も、もう十分あったまったし、
それにキツそうじゃねーか?」
千棘 「そうよ。
でも、自分の限界まで中にいたいの。」
楽 「ハァ?なんで?」
千棘 「決まってるじゃない!
高校の時、万里花とサウナで我慢対決した時、2人とものぼせちゃって、
番台(ばんだい)やってたあんたのお世話になったでしょ?
もうあんな事、繰り返したく無いから、
自分のサウナに長くいられる限界時間を伸ばすのよ!」
楽 「あーー………
そういやああったなそんな事、
高2の時に………。」
楽 (俺はその他にも、
春ちゃんに桶(おけ)を投げられたり、
のぼせたお前を運ぼうとしたら石鹸(せっけん)につまずいてコケて頭打って、
気絶して小野寺に看病して貰ったり、
色々と散々な日だったな………。)
千棘 「そういう訳だから、
まだ私はここにいるから、
あんたは先に出ててよ!」
楽 「へいへい。」
ガラッ
楽は、千棘の言う通り、
一旦(いったん)サウナ室を後にした。
パチンッ
ゴクゴク………
楽は、サウナ室を出てすぐのところにある自販機で、コーヒー牛乳を買って飲んだ。
楽 「あいつ、大丈夫かな………?
また、高2の時みてーな事になるんじゃ………。」
5分後
楽 (千棘のやつ、どうしてるかな?
ちょっと様子見てみよう………。)
ガラッ
千棘 「うーん………
万里花、あんたと今度我慢比べする時は負けないわよ………。」
楽 (………千棘、そういやあお前、
負けづ嫌いでもあるんだよな………。)
10分後
ガラッ
千棘 「うーん………
あと、2時間は行けるわ………。」
楽 「……………。」
15分後
ガラッ
千棘 「うーん………。
ムニャムニャ………。」
プシュー〜
楽 「………やっぱり、
ついに完全にのぼせやがったか………。」
千棘 「うーん………。」
楽 「ほれ、行くぞ。
まったくお前は………
こんなところで我慢の練習なんかするなよな。」
ガバッ
楽は千棘を担いで、外に出ようとした。
千棘 「うーん………楽………。」
ギュッ
楽 「!」
千棘は、のぼせたまま寝ぼけて、
楽を抱きしめた。
楽 「ちょ!お前………
こんな公衆の面前で抱きつくんじゃねーよ!」
千棘 「うーん、楽………。
暑いよ、助けてよ………。」
楽 「!」
千棘 「うーん………。
楽………。」
楽 (そうだよな、俺は
お前の彼氏だもんな。
辛くなったら、こうして俺に泣きつけばいい………。)
スッ
ナデナデ………
楽は、のぼせたままの千棘の濡れた髪を撫でた。
第1巻 第215話 完
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