2019-05-15 11:26:14 更新

2017年10月21日(土) PM:14:00


凡矢理ウォーターパーク


サウナ室の前


楽 「次はサウナかぁ。」


千棘 「うん。

色んなプールのアトラクションに入ったから、

温水とはいえ体も冷えたから、

そろそろ少しあったまりたくなったの。」


楽 「それもそうだな。

俺も結構冷えたし、

少し入ってこーぜ。」


千棘 (まあ、ホントは理由はそれともう1つあるんだけどね………。)


楽&千棘 「お邪魔しまーす。」


ガラッ



楽と千棘は、サウナ室の扉を開けて中に入った。



客A 「あら、若い子達が入って来たわね。」


客B 「カップルかしら、女の子の方、

可愛いわねーー。」



ドサッ


楽と千棘は、腰掛けに座った。


楽 「ふーー、あったけーな。

やっぱりこういうのいいよな。

なんつーか、疲れが取れる。」


千棘 「あんた、温泉気分にでもなってない?

相変わらずじじむさいわねぇ………。」


楽 「うるせーな。」


千棘 「でも、確かにあったかいわね。

暖ったか過ぎて、むしろ暑いくらい。」



そして、10分経過



千棘 「ふーー、流石に暑くなって来たわね………。」


パタパタ


千棘は、顔を赤くして手のひらをうちわ代わりにしてあおいでいた。



楽 (………なんか、顔を赤くして、

暑さに耐えて汗かいてる千棘、かわいいな………。)


楽 (水着姿の体に、汗と水が混じったのがしたたって光ってる………。

胸の谷間にも水が溜まってるし、

顔も赤くなって、暑さに耐えてる表情してるし、

今の千棘、スッゲー色っぽい………。)


千棘 「?どーしたの楽、人の方まじまじと見て………。」


楽 「な、なんでもない!

さあ、結構あったまったし、そろそろ出よーぜ。」


千棘 「………あんたは先に出てて、

私はもう少しこの中にいるわ。」


楽 「え?

でもお前も、もう十分あったまったし、

それにキツそうじゃねーか?」


千棘 「そうよ。

でも、自分の限界まで中にいたいの。」


楽 「ハァ?なんで?」


千棘 「決まってるじゃない!

高校の時、万里花とサウナで我慢対決した時、2人とものぼせちゃって、

番台(ばんだい)やってたあんたのお世話になったでしょ?

もうあんな事、繰り返したく無いから、

自分のサウナに長くいられる限界時間を伸ばすのよ!」


楽 「あーー………

そういやああったなそんな事、

高2の時に………。」


楽 (俺はその他にも、

春ちゃんに桶(おけ)を投げられたり、

のぼせたお前を運ぼうとしたら石鹸(せっけん)につまずいてコケて頭打って、

気絶して小野寺に看病して貰ったり、

色々と散々な日だったな………。)


千棘 「そういう訳だから、

まだ私はここにいるから、

あんたは先に出ててよ!」


楽 「へいへい。」


ガラッ



楽は、千棘の言う通り、

一旦(いったん)サウナ室を後にした。



パチンッ


ゴクゴク………


楽は、サウナ室を出てすぐのところにある自販機で、コーヒー牛乳を買って飲んだ。



楽 「あいつ、大丈夫かな………?

また、高2の時みてーな事になるんじゃ………。」



5分後



楽 (千棘のやつ、どうしてるかな?

ちょっと様子見てみよう………。)


ガラッ


千棘 「うーん………

万里花、あんたと今度我慢比べする時は負けないわよ………。」


楽 (………千棘、そういやあお前、

負けづ嫌いでもあるんだよな………。)



10分後


ガラッ


千棘 「うーん………

あと、2時間は行けるわ………。」


楽 「……………。」



15分後


ガラッ


千棘 「うーん………。

ムニャムニャ………。」


プシュー〜


楽 「………やっぱり、

ついに完全にのぼせやがったか………。」


千棘 「うーん………。」


楽 「ほれ、行くぞ。

まったくお前は………

こんなところで我慢の練習なんかするなよな。」


ガバッ



楽は千棘を担いで、外に出ようとした。



千棘 「うーん………楽………。」


ギュッ


楽 「!」



千棘は、のぼせたまま寝ぼけて、

楽を抱きしめた。



楽 「ちょ!お前………

こんな公衆の面前で抱きつくんじゃねーよ!」


千棘 「うーん、楽………。

暑いよ、助けてよ………。」


楽 「!」


千棘 「うーん………。

楽………。」


楽 (そうだよな、俺は

お前の彼氏だもんな。

辛くなったら、こうして俺に泣きつけばいい………。)


スッ


ナデナデ………



楽は、のぼせたままの千棘の濡れた髪を撫でた。


第1巻 第215話 完


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