第1巻 第150話 コウヨウ
2017年10月3日(火) PM:15:45
守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)の近くの紅葉公園(こうようこうえん)
山中さん 「えー、舞子さん御一行の本日の次の観光スケジュールは、この紅葉公園(こうようこうえん)での紅葉狩り(もみじがり)です。」
楽 「あのー、山中さん。
さっきの鹿公園(しかこうえん)もこの公園も、守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかんの所有地なんですか?」
山中さん 「そうですよ。
さっきのが、ウチの第1所有公園の鹿公園(しかこうえん)、
そしてここが、
第2所有公園の「紅葉公園(こうようこうえん)」です。」
千棘 「この旅館、色んなところを所有地にしてるんだねえ。」
山中さん 「ここでは皆さんには、紅葉狩り(もみじがり)を楽しんで貰い、
集めた紅葉(もみじ)や黄葉(イチョウ)は、ウチの従業員の加工しが、全てを腐らない様に加工して差し上げます。」
小咲 「へぇ〜〜、思い出の品が出来るね。」
山中さん 「あと、ここの紅葉は、
この守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)を作った創業者の方が恋人と2人で一本ずつ苗を植えたもので、恋のおまじないが掛かっています。」
千棘 「えっ?」
万里花 「恋のおまじない?」
山中さん 「だから、拾った葉っぱを恋人にプレゼントしたら、愛情が恋人に伝わって行きます。
枚数が多ければ多いほど良いです。」
楽 「なっ!」
千棘 (これは………)
万里花 (何としても、桐崎さんより沢山拾わなくては………
さっきの鹿公園(しかこうえん)でのリベンジですわ。)
楽 (また、千棘と万里花にスイッチが入っちまった………)
集 「どーだい、楽?
第1恋結びイベントの「良縁鯉(りょうえんごい)」と、
第2恋結びイベントの「縁結び鹿(えんむすびしか)」に続く、
第3恋結びイベントの、「恋染紅葉(こいぞめもみじ)」は?」
楽 「この旅館、一体いくつ縁結びのイベントがあるんだよ………」
そして、各々(おのおの)紅葉狩りに出発して………
小咲・るり・集組
るり 「小咲〜〜、モミジは取れた〜〜?」
小咲 「うん。結構たくさん取れたよるりちゃんーー。」
ドサッ
小咲 「このモミジやイチョウ、腐らない様に加工して貰ったら。
ウチのお店に飾ろうかな。
ウチは和菓子屋だから似合うと思うんだ。」
るり 「あ、いいわねそれ。」
集 「えーっと、この紅葉(モミジ)はあの子にあげて、この黄葉(イチョウ)はあの子に………」
るり 「ちょっと、集くん?」
ゴゴゴ………
集 「やだなー、冗談だよーるりちゃん。
勿論(もちろん)、これは全部、るりちゃんにプレゼントするって!」
るり 「ならいいけど。
もし、さっきのが冗談じゃ無かったら、
あなたが集めた紅葉(もみじ)を全部焼いて、
焼き芋の材料にするわよ?」
ゴゴゴ………
小咲 「アハハ………」
鶫・蒼也組
鶫 「これが日本古来からの、紅葉狩り(もみじがり)、というやつか、
中々風流でいいものだな蒼也。」
蒼也 「そうだな………」
蒼也 (………そういえば、玲香とアメリカでこうやって、花を摘みに行った事も昔はあったな。)
蒼也 (……………)
鶫 「ん?どうかしたか、蒼也?」
蒼也 「あ!いや、何でも無い………
さあ、行こう誠士郎。」
ブウロ (……………蒼也、やはりまだ玲香さんと過ごした記憶を、根強く覚えているのですね。)
その頃、万里花
万里花 「オーホッホッホッ!紅葉(モミジ)も、黄葉(イチョウ)も、私(わたくし)が取り尽くして、楽様のハートをゲットしてみせますわ!」
レム 「うーん……万里花、よくやるね〜〜、
アタシは眠たくて、メンドくさくて、とてもムリだよ〜〜。」
万里花 「さて!目標は1万枚ですわ!」
ガサッ ガサッ ガサッ
その頃、千棘
千棘 「さーて、いくわよシルフ。」
シルフ 「うん、千棘。」
千棘 「ハァッ!」
ボウッ
千棘は星体技(せいたいぎ)で、両手に月の光を集めた
千棘 「てやぁーー!!」
ドガッ
バサ バサッ
千棘は星体技(せいたいぎ)で紅葉(モミジ)の木を殴りつけて、紅葉(モミジ)の木からは大量の紅葉(モミジ)が落ちた。
千棘 「やったーー!大量大量♪」
ガサッ ガサッ
千棘は紅葉の葉を袋の中に入れた。
シルフ 「力加減間違えて、木を折っちゃわ無いようにね。」
千棘 「分かってるわよ!私、そんな事しないわよ!」
シルフ (あなたならしそうだから、言ってるのよ………)
千棘 「さーて、次はこの木ね。
てりゃぁっ!」
ドガッ
千棘は、そこら一体で1番大きな木を殴り付けた。
バサーーッ
千棘 「やったーー!またまた大量………って、え?」
ドサ ドサ ドサ
先ほどの3〜4倍もの葉っぱが落ちてきて、千棘はそれに埋もれてしまった。
千棘 「ちょっとーー!大量過ぎるでしょーー!!
モゴモゴ………」
その頃、楽。
楽 「何だぁ!?今の何かを強く叩いたみたいなスゲーー、音!」
レオン 「ねえ楽、月の光の気配がしない?」
楽 「そう言えば………ここに来てるメンバーの中で、月属性の奴と言えば………」
その頃、千棘は大量に落ちてきた紅葉(モミジ)に埋もれて、暗所恐怖症と閉所恐怖症故(ゆえ)に、身動きが取れずに怯えていた。
千棘 「うぅ〜〜、怖いよぉ………
やっぱり、シルフの言う通り、
やり過ぎなきゃ良かった………」
千棘 (何で私って、いっつもこうなんだろう………
人の話も聞かないで、1人で突っ走って、
いつも楽やみんなに迷惑かけてる………)
楽 「おーい、千棘ーー!
お前、この葉っぱの中にいるのかー?」
千棘 「!?楽?」
ガサッ
楽 「お!やっぱりお前か………
大丈夫か?」
千棘 「う、うん………」
スッ
楽は大量の落ち葉を掻き分けて、千棘を見つけて千棘の手を引いて千棘を葉っぱのプールから出した。
楽 「全く………
やっぱりお前か………
いくら、橘より落ち葉を集めたいからって、星体技(ほしたいぎ)で木を殴って落とすなんてムチャ、するなよな。」
千棘 「ご、ごめん………
だって、万里花に負けたく無かったんだもん………」
楽 「………別にいいんじゃねーのか、負けても。」
千棘 「えっ?」
楽 「だって、あの鯉や鹿やこの葉っぱの縁結び効果なんて、
しょせんはおまじないみたいなモンだろ?
そんなんに頼らなくても、
今では俺が好きだし、1番大事な女の子だ。
お前だってそうだろ?」
千棘 「そりゃ、そうだけど………」
楽 「それに、俺はお前のこういうムチャするところも含めて好きだぞ。」
千棘 「えっ?」
楽 「前に鶫が言ってたんだ。
「お嬢は昔から、私達の心配をよそに、
いつも勝手に飛び出して、泥まみれになって帰ってくるような方でした。」
って、俺もそうだと思うし、
凡高来てからも、友達と何かするだけで楽しくて仕方が無いところや、
こういう事を心の底から楽しむ無邪気なところも、俺は大好きだぞ。」
千棘 「ら…楽………」
ウルウル………
千棘 (楽ったら、私がいっつも、自分勝手に楽しんで、みんなに迷惑ばかりかけてるのに、そんなところまで含めて好きになってくれてたんだ………)
ジーン………
楽 「お、おい。千棘?」
千棘 「ありがとう!楽、大好き!」
ダキッ
楽 「なっ!?」
千棘は楽に抱きついた
ギュウウゥ………
楽 「………俺も、千棘の事好きだよ。」
ナデナデ
楽は千棘のピンクのかかった金髪を優しく撫でた。
第150話 完
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