第1巻 第4話 カクセイ
18歳になり、大学生になった入学式の日の午後、俺は最愛の恋人の千棘の為に、ついに幼い頃から嫌がり続けていたヤクザやギャングの戦闘の世界に足を踏み入れる事になった。
千棘 「よかったぁ〜ー。あんた、もやしだから怖気付いて断ったらどうしようと思ってた!」
楽 「久々に聞いたその呼び方………俺はお前と一緒に生きて、守っていくってあの日、天駆高原で決めたんだ!
確かに大分驚いたけど、こんな事で逃げやしねーよ!」
小野寺 「一条君、頑張ってね………」
鶫 「さて、早速だが一条楽、今から最初の訓練をしに貴様の自宅の集英組に行くぞ」
楽 「え?今からぁ?」
集 「ちょっと誠士郎ちゃん〜〜〜今日はこれから桐崎さんと君の帰国記念パーティーがぁ………」
鶫 「それは嬉しいが、問題では無い。
そのパーティーは夜だろう?最初の訓練は1時間たらずで済む。」
楽 「え?そーなのか?」
楽 (てっきり訓練っていうから何時間も鶫やこの双神って子にシゴかれるのかと………)
鶫 「とは言え、あまりモタモタしてもられんな………蒼也、「札」で行くぞ」
蒼也 「了解」
ピッ
蒼也は「移」と漢字のかかれた、白い札を取り出した
楽 「ん?なんだよそりゃあ。」
蒼也 「黒虎(ブラックタイガー)、一条君、お嬢様、俺につかまって」
楽 「え?」
千棘 「こ……こう?」
3人は蒼也の肩を掴んだ。
カシャンッ
「移(ウツリ)の札(フダ)」
楽 「え?」
千棘 「わわっ!?」
奇妙な声とともに、3人は小野寺たちの前から消えた。
集 「え?」
小野寺 「一条君達が、消えた?」
宮本 「鶫ちゃんがもうスピードで他の3人わ抱えていったのかしら?」
集 「いや、確かに誠士郎ちゃんならそれは可能だろうけど、今はもうスピードというより、ホントに消えたような………?」
るり 「それよりどうするの?千棘ちゃんとつぐみちゃんの帰国記念パーティー、アレで3人は開いたとしても来れるのかしら?」
集 「そうだねぇ………」
15:00 一条家 集英組本部
楽 「わわっ!」
千棘 「キャッ!」
楽 「え?ウチ?」
気がついたら数秒のうちに、楽は自宅に戻って来ていた。
鶫 「流石だな蒼也、移動系の札はお前の専売特許だ。」
蒼也 「黒虎(ブラックタイガー)の基礎戦闘力の高さなら、少し訓練すれば俺なんか追い抜くよ。」
千棘 「つ…つぐみ?これはどうなってるの?どうして私たちは一瞬で楽の家に?」
鶫 「お嬢、驚かせてすいません。
しかし、すぐに理由が分かりますよ。」
コツコツコツ………
そして楽達は家の奥へと
楽父 「おお楽!来たか!」
楽 「親父!こりゃあ一体………」
楽父 「話はアーデルトから聞いてる。
お前にも、ついにアレを教える時がきたのか………
まあ、もう18歳だからなぁ……
許可が降りる。」
楽 「は?どういう事だよ?別に訓練くらい年齢関係なく出来るんじゃあ………」
蒼也 「確かに普通の銃撃や格闘はそうだね。ところが、君に今から教えるのはそうはいかない。」
楽 「双神くん…」
蒼也 「蒼也でいいよ。俺は年齢も君とタメの18〜9だし、お嬢様はビーハイブの御令嬢だけど、いくら君が集英組の二代目でも戦闘素人じゃあ、俺の方がやっぱり先生だし」
楽 「あ、そうだよ!つぐみ、親父、一体最初の訓練って何をやるんだ?
俺、銃でも持つのか?」
楽父 「いや、そういうのは時間をかけて教えて行くとして、今日はもっと大事なことがあるんだ。」
楽 「もっと大事な事?」
千棘 「何かしら?」
蒼也 「一条く……楽、これを飲んで」
楽 「ん?なんだこりゃあ?」
蒼也は黄色い星型の和菓子のようなものを取り出し、楽に差し出した。
楽 「まさかコレ。変な薬とかじゃあ無いだろうな?」
楽父 「いや、俺の息子のおめぇなら素質はあるはずだ、呑んでみろ。」
楽 「素質?なんだそりゃあ……」
楽 (でも、コレをクリアしなきゃあ、千棘と前には進めない。
やるしか無いかぁ………)
千棘 「楽………」
楽 「ゴクンッ」
カァー!!
楽 「うっ!」
ガクンッ!
千棘 「ちょっ!楽!?」
その薬を飲んだ途端、楽は膝をついて倒れた
それだけじゃあなくその体からは、オレンジ色の不思議な光が包んでいる。
楽 「ううっ!」
汗ダラダラ千棘 「楽ー!大丈夫?ちょっと双神くん、楽に何を飲ませたのよ?」
蒼也 「大丈夫ですよお嬢様、彼は今覚醒しているだけです。」
千棘 「は?覚醒?」
蒼也 「光がこう安定しているという事は、どうやら覚醒は成功。それもこのオレンジの色は「太陽」の属性………やはりヤクザな二代目の血筋だ。」
千棘 「さっきから何を言って、ちょ?楽、大丈夫?」
楽 「ウッ、ウワー」
楽の体を放っていたオレンジ色の光が、纏まり、一つの形となって行く………
ピッカァーーーーーーー…………………
楽 「ハァハァ……………」
千棘 「楽、大丈夫?」
楽 「らああ、何とかな………にしても何だったんださっきの感覚は、まるで体の中から今までずっと抑えていたものが一気に出たような………」
楽父 「双神の倅よ、どうやら成功みたいだな」
蒼也 「はい、組長。とても元気な太陽属性の星獣です。」
楽 「ハァ?あんたら何言って、親父!一体何なんだよこの薬?」
楽父 「楽、おめーの肩を見てみろ」
楽 「え?」
千棘 「ん?」
ピョコッ
? 「やっと出て来れたー。君が18歳になっても中々覚醒させてもらえなかったから、不安だったんだよ〜〜」
千棘 「え?何コレ?」
楽 「は?うそだろ?漫画じゃあるまいし………」
? 「初めまして楽、ずっと君が覚醒して僕を呼び出すのを待っていたんだ!」
楽の肩にはありえない生物がいた。
レオン 「僕の名前はレオン!君の星獣だよ!嬉しいな、やっと君が星神(ホシガミ)として覚醒してくれて!」
オレンジ色の光に、黒いヒョウ柄模様、つぶらな瞳、それはまるで豹(ヒョウ)のよう、その生き物は間違いなく日本語を話していた。
第4話 完
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