2019-03-11 02:44:06 更新

2017年10月3日(火) AM:12:30


守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)


廊下



タタタッ


小咲 「さーてっ、鯉も何匹か釣れたし、早く舞子君が言ってた次の集合場所に行かなきゃ。」


昼食と鯉釣り(こいづり)を終えた小咲は、京都旅行の次の日程の為に黒百合旅館を走っていた。


ゴニョゴニョ


小咲 「ん?」


小咲は廊下の曲がり角の向こうから、何か話し声がするのを聞いた


羽(ユイ) 「………じゃあ蒼也くんは、今でも紅介君の事を、どうでもよく考えてる訳じゃ無いんだね。」


蒼也 「当たり前です。ビーハイブを抜けても、俺の兄は俺の兄です。」


会話の主は、羽(ユイ)と蒼也だった。


小咲 「羽先生(ユイせんせい)と双神くんだ。

何の話をしてるんだろう………」


ササッ


蒼也 「もし、戻ってこれるんだったら、

兄貴には戻って来て欲しいですよ。」


羽(ユイ) 「なるほどね………

じゃあ、玲香ちゃんの事は?」


蒼也 「!首領 羽(ドン ユイ)、あんた玲香の事まで?」


羽(ユイ) 「叉焼会(チャーシューかい)の首領(ドン)になった少し後に、クロード君から聞いたわ、

あなた達双神兄弟に起こった事と、

玲香ちゃんに起こった事もね。」


蒼也 「………玲香は俺が救います。

必ず。」


羽(ユイ) 「………そう。

でも、それだけじゃ無いわよね?

玲香ちゃんがあんな事になったから、

千棘ちゃんに同じ目に合って欲しく無いから、楽ちゃんの教育係をクロード君に自らがなるよう、頼んだんでしょ?」


蒼也 「そうです。

楽を俺達の二の舞には絶対にしません。必ず、

お嬢を守れる立派な星神に、義賊のヤクザにしてみせます。」


羽(ユイ) 「分かったわ。

あなたが楽ちゃんに対して、そういった気持ちを持って、戦闘と星神の技術を教えてくれてるなら、

私はそれだけで十分よ。

何も言う事は無いは。」


蒼也 「………では、俺はこれで失礼します。」


スタスタ………


小咲 「……………」


羽(ユイ) 「………さーてっ、次は小咲ちゃんに聞くばんだね♪」


小咲 「わわっ!羽先生(ユイせんせい)、気付いてたんですか?」


羽(ユイ) 「まあね〜〜。小咲ちゃんは、天王星属性の星の光を放ってるからね、

星の光の気配で丸分かりだよ♪」


小咲 「ご…ごめんなさい!

盗み聞きなんかして………

私………気になってつい………」


羽(ユイ) 「別にいいのよ、そんな事は。

それより、部屋でも言ったけど、小咲ちゃんにも聞きたい事があるんだけど、

いい?」


小咲 「えっ!?あ………はい!」


羽(ユイ) 「小咲ちゃんは、今でも楽ちゃんの事が大事な人なの?」


小咲 「えっ?」


羽(ユイ) 「いきなりごめんね………

でも、どうしても気になってたの。

私は13年前の天駆高原(てんくこうげん)で起こった事を、ほぼ全て覚えていたは。


子供の頃、楽ちゃんと約束したのは小咲ちゃんだった………

中学や高校の頃も、千棘ちゃんが現れるまでは、楽ちゃんが好きだったのはずっと小咲ちゃんだった。


それなのに、楽ちゃんが自分で決めたとは言え、

楽ちゃんは千棘ちゃんを選んだのに、


小咲ちゃんは、

楽ちゃんや千棘ちゃんの事を、今までと同じ様に、思えてるのかなぁって………」


小咲 「………千棘ちゃんは今でも私の親友の1人だし、

一条君は、今でも私の大事な初恋の人ですよ。」


羽(ユイ) 「………少し前に、一条君と千棘ちゃんにも、同じ様な事を聞かれました。


でも、確かに私はフラれちゃったのは悲しかったけど、

それと同じくらい嬉しかったんです。

千棘ちゃんに、13年前と同じ事を繰り返す事にならずに、

今度は千棘ちゃんが幸せになってくれて。」


羽(ユイ) 「小咲ちゃん………」


小咲 「だから、後悔なんてしてません!

楽君(らくくん)の事も、千棘ちゃんの事も、

私は今でも大好きです!」


羽(ユイ) 「そっか………

良かった。

これからも、楽ちゃんと千棘ちゃんをよろしくね。

小咲ちゃん!」


小咲 「はい!」


第1巻 第146話 完


このSSへの評価

このSSへの応援

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください