2019-05-28 14:39:54 更新

? 「チリーン ジジジ………」



楽と千棘が聞いた鳴き声を教室の中で出していたのは、黄色い光を纏った、コオロギだった。



千棘 「なに?この子。」


楽 「黄色い光出してるぞ?

金星属性の星獣(せいじゅう)か?

でも、俺もお前も星匣(ほしはこ)光らなかったよな?」


レオン 「それは、「金星コオロギ」だよ。

楽。」


楽 「あっ、レオン!」


シルフ 「まったく………

やっと説明出来そうね。」


千棘 「シルフ!

あんた、この子の事知ってたの?」


レオン 「うん。

千棘ねえ、金星コオロギは電気をエサにする電気寄りの金星属性の星獣で、

人気の無い夜に現れて建物の電線なんかから、電気を食べるんだ、

電気しかエサにしなくて、

人を襲って星の光を奪わない星獣だから、

星匣も光らなかったんだよ。」


楽 「そんな星獣もいるのか………。」


千棘 「ん?ちょっと待ちなさいシルフ、

て事はあんた、私が怖がってるのに、

この子の正体をずっと黙ってたの?」


レオン&シルフ 「それは………

キミ(あんた)達が虫の鳴き声の解明に夢中で、ボク(あたし)達の話を全然聞かなかったからでしょ!」


楽&千棘 「ごめんなざい………。」


楽 「悪かったなレオン、話を聞かなくて。」


千棘 「私もよ。

ゴメンねシルフ、怖くて気が動転してて、

あんたの話を聞かなくて。」


シルフ 「分かったならいいのよ。」


金星コオロギ 「チリーン」



パアァァ………



楽&千棘 「!?」



金星コオロギは、黄色い鱗粉のようなものを巻いた。



楽 「なんだコレ?

こいつの攻撃か?」


レオン 「違うよ楽、金星コオロギは楽達に星の光を分けてくれたんだ。」


千棘 「えっ?

この子、そんな事出来るの?」


シルフ 「ええ。

金星コオロギは人前に出る事は珍しいから、

あんた達にお礼がしたかったんでしょうね。

星光値(せいこうち)が、僅かだけど上がる筈よ。」


千棘 「そっか………

ありがとね、金星コオロギちゃん。」


ナデナデ



千棘は金星コオロギの頭を撫でた。



千棘 「あ、そうだ楽、すっかり忘れてた!

私の教室行くわよ!」


楽 「あ!そうだった!

じゃあな金星コオロギ。

星の光を分けてくれて、ありがとな!」



タタッ



楽と千棘は、金星コオロギのいた教室を後にして、千棘の教室に向かった。



デザイン科 1年の教室



千棘 「あったー!

私のファッションの資料だーー!」


楽 「良かったな。

早く帰ろうぜ千棘。

急がねーと、終電が来ちまう。」


千棘 「そうね。

………ねえ、楽。」


楽 「あ?」


千棘 「ありがとう。

あんたについて来て貰って、やっぱり良かったわ。」


楽 「お、おう。

そうか………?」


千棘 「今日はただの無害な星獣だったけど、

もし凶暴な星獣や星神が現れても、

きっとあんたは、いつも通り私を守ってくれた。

いつもありがとう。」



スッ


チュッ


楽 「!」



千棘は、楽の頰(ほお)にキスをした。



楽 「お、おう………。

これからも、いつでも俺が守ってやるからな………。」



その後、楽は千棘の唇の感触が頰(ほお)に残る中、電車でスペクトル凡矢理まで、

千棘と手を繋いで帰りました。


第1巻 第227話 完


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