第1巻 第252話 ホウモン
2017年10月31日(火) 11:00
凡矢理市内
千棘 「はいはーい、ありがとうございましたー!」
主婦B 「こちらこそ、
いいお菓子と交換して下さって、ありがとうございましたー。」
千棘 「楽、次のお家に行くわよ!」
楽 「おうよ。」
タタッ
千棘 「いちにいさん………
結構大量ね♪
このまま、どんどん行くわよ!」
楽 「ホントに楽しそうだな………
そういやあ、他のみんなはどうなんだ?」
子供B 「お姉ちゃん〜〜、耳を少し触らせて〜〜。」
楽&千棘 「ん?」
楽と千棘の通り掛かった家から、声が聞こえた。
小咲 「いやいや、
耳を触られたら、取れちゃうかもしれないからダメですよ〜〜。」
声の主は、「猫娘(ねこむすめ)」に仮装した小咲だった。
子供B 「少しくらいいいじゃん〜〜。
しっぽも触りたいよ〜〜。」
小咲 「し、しっぽはもっとダメだよ〜〜。
引っ張ったら、下が脱げちゃうかもしれないよ〜〜。」
主婦C 「ごめんなさいね、ウチの子が。
美味しそうなパンプキンケーキをありがとうね。」
千棘 「さすが小咲ちゃん、
子供にも大人気ね。」
楽 「ああ。
それに、ネコ耳もスッゲー似合ってて可愛いよな………。」
ポー〜………
楽は、顔を赤らめてネコ耳の小咲に見とれていた。
千棘 「何よ!
楽、あんたまさか、浮気する気?」
楽 「うわっ!
悪りぃ千棘!
俺にはお前がいるのに………。」
千棘 「まったく、この浮気もやし………。
私以外の女の子に、デレデレしたらやだよ………。」
シュンッ………
千棘は、少し落ち込んだ顔になった。
楽 「……………。」
スッ
千棘 「ひゃっ!?」
楽は、千棘の髪に右手を置いた。
楽 「………ゴメンな千棘。
浮気なんてしねーよ。
俺とお前は、ずっと一緒だ。」
千棘 「そ、そっか………
それならいいのよ。」
スタスタ………
楽と千棘は、再び歩き出した。
楽 「次はどこの家に行く?」
千棘 「そうねぇ………
あ!あの家なんかどう?」
スッ
千棘は通り掛かった家の1つを指差した。
主婦D 「どうも、美味しいお菓子をありがとうございましたー。」
楽 「あ、なんだ。
もう他の奴が交換したのか。」
子供C 「ねーねー、ミイラのお姉ちゃん。
包帯めくっていい?」
鶫 「そ、それはダメだ!」
千棘 「あっ、つぐみ?」
つぐみ 「包帯を巻いてめくったら、
脱げてしまうではないか………。」
楽 「………子供の対応は、小野寺とほぼ同じだな………。」
千棘 「そうね………。」
スタスタ………
千棘 「みんな、順調にお菓子を交換して貰ってるみたいだな。」
楽 「そうだな。
まあみんな可愛いし、
お菓子くらい、交換したくなるよな。」
万里花 「お菓子をくれないと、
イタズラしますわよ〜〜!」
楽 「お、
この声は橘か。」
千棘 「あの子はどんな、
お菓子の集め方をしてるのかしら?」
万里花 「いやいや、イタズラなんて生ぬるいですわ〜〜!
お菓子をくれないと、警察の皆さんを呼んで、
逮捕して貰うかもしれませんわ!」
楽&千棘 「!」
主婦E 「え?」
万里花 「だって私は、
警視総監の娘………。」
バッ
楽と千棘は、万里花を両手で上に抱えた。
万里花 「あら?
何ですの………あ!楽様〜〜。」
楽 「すいませんでした!
ドッキリカメラです!」
千棘 「どうも、お騒がせしました〜〜!」
主婦E 「は、はぁ………。」
ピューー
楽と千棘は、万里花を抱えたまま、
全速力で走り去って行った。
タタタッ
楽 「ハァハァ………。」
千棘 「ハァハァ………。」
万里花 「どうされたんですか、2人とも?
私(わたくし)を慌てて連れて走って………。」
千棘 「どうしたは、こっちのセリフよ!」
楽 「橘!あれじゃあただの脅迫だし、
国家権力の乱用だろうが!」
万里花 「あら?そうですかね………。」
楽&千棘 「はぁ………。」
スタスタ
スタスタ………
楽 「なんか、疲れたな………。」
千棘 「そうね。
つぐみも火が付くと手がつけられないけど、
1番面倒なのはやっぱりあの子よね………。」
タタッ
小咲 「あ!いた、一条君と千棘ちゃん………。」
楽 「お、小野寺。」
小咲 「ハァハァ………。」
小咲は、随分と息を切らしていた。
千棘 「どうしたの小咲ちゃん?
そんなに慌てて………。」
小咲 「とにかく、早く凡矢理会館に戻って来て!
大変なの………。」
楽&千棘 「え?」
第1巻 第252話 完
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