第1巻 第57話 イキモノ
2017年7月30日午後 凡矢理高校飼育小屋
グロロッ コケー〜 ウロロロ………
小野寺 「相変わらず凄い量の生き物だね。」
コケー〜
楽 「お!クラッシャー加藤!久しぶりだな〜〜会いたかったぞ〜〜」
クラッシャー加藤 「コケーー!」
ツンッ
ワニ 「ウロロロ………」
楽 「おー、マルガリータ・ド・佐藤!お前の世話は難しいから心配だったんだ!
元気そうで何よりだぜ〜〜!」
マルガリータ・ド・佐藤 「ウロロロッ!」
ガブリュッ
楽 「いや〜〜、お前らを5ヶ月ぶりに見れて幸せだぜ俺は〜〜」
千棘 「あんた………相変わらずの嫌われようね………」
鶫 「まあ仕方ないですよお嬢。蒼也との訓練で実銃も何度も使いましたから、ますます硝煙の香りが染み付いている事でしょう。」
橘 「相変わらずここは慣れないですわ………」
カタカタ………
千棘 「!」
ニヤリ
動物嫌いで怯える万里花を見て、千棘は笑みを見せた
千棘 「?なーに万里花?あんたまだこんな可愛い子達が怖いの〜〜?」
ヒョイッ
千棘はゴールデンハムスターのエーデルワイス桜子を差し出した
橘 「ひぎゃあ〜〜〜!!何するんですか桐崎さん!?あなた私がハムスターが一番ダメだって楽様から聞いて、知ってる上でその子を選んで出しましたね?」
千棘 「ホーレ、ホレ、情けないわね〜〜〜♪そんな動物嫌いのままで私から楽を奪えるのかしら?」
ハハン♪
橘 「こんの性悪メスゴリラァ〜〜、下手にでとったらいい気になりよって〜〜、イライラするばい!」
楽 「やめたれ千棘。」
? 「先輩達〜〜、この子達を一条先輩の家に移す準備できましたよ〜〜」
楽 「おお!ありがとな、俺達が卒業した後も世話してくれて………って、え?」
春 「もう〜〜大変でしたよ?一条先輩が拾って来たこの子達の世話。」
楽 「春ちゃん?」
小咲 「あれ、春!?」
飼育小屋から出て来た現在の飼育係は春だった
春 「アレ?聞いてないんですか?一条先輩が卒業した後、殆どの私の学年の生徒はここの動物の数と種類の多さで飼育係になるの嫌がってたから、私と風(フウ)ちゃんの2人でやってたんです。
私は元々飼育係に興味があったので。」
宮本 「あら?春、涼(スズ)も飼育係なの?」
春 「え?あ、はいるりさん。
おーい、風ちゃーん。」
? 「はーい。」
ガサッ
春は飼育小屋の奥からもう1人の飼育係を読んだ
楽 「スズ?」
宮本 「あの子の下の名前よ。彩風 涼(あやかじ すず)って言うのよあの子。」
楽 「へぇ〜〜、知らなかった。俺あんまりあの子とは話さなかったし、みんな「風(フウ)ちゃん」って呼ぶから………」
風(フウ) 「春、大体運送業者さんのトラックに載せるための準備出来たわよ。
犬や猫や兎や鶏以外の8割の子達は鉄格子に入ったから。」
そう言いながら出て来た春の親友、風(フウ)ちゃんこと彩風 涼(あやかじ すず)は、楽達が現役の凡高生だった頃は片方だけ三つ編みにしていた赤髪を今は更に伸ばして両側共三つ編みにしていた。
風 「一条先輩、大体準備は出来ました。
後は運送業者の人達にトラックで先輩の実家の集英組に運んで貰えば先輩の実家でお世話出来ます。」
楽 「ありがとな風ちゃん、残った組の世話よろしくな。」
風 「はい。」
千棘 「でもあんた、今は私とスペクトル凡矢理に住んでるのに、この子達のお世話どうするのよ?」
楽 「ああ、それは大丈夫だ。
竜達が「坊ちゃんのペットなら、あっしらが責任持って世話しまさぁ」って、組員総出で世話してくれるって言ってくれたし、俺達が夏休みに実家帰りする間にあいつらに世話の仕方教えたり、俺が凡高飼育係時代に作った「エサの適量リスト」も渡せるしな。」
千棘 「あー、そういう事ね。」
小野寺 「一条君と千棘ちゃん、夏休みに実家戻るの?」
千棘 「うん、来週からね。私も花嫁修行してこいってパパに言われてるし………」
楽 「ところで春ちゃん、残った奴らは全部世話出来んのか?」
春 「あ!それがですね、先輩が拾って来た動物園並みのレパートリーの子達は大体移送準備出来たんですが、1匹だけちょっと困った子がいて………」
楽 「困った子?どいつだ?」
春 「ああそれが、この子なんですが………」
スッ
春は鳥籠を一つ楽に差し出した
楽 「えっ?コレって………」
その鳥籠の中に楽が見たものは……………
第57話 完
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