第1巻 第22話 ジンセイ
GW3日目 たんぽぽ旅館庭園
楽 「は?人生ゲーム?」
集 「そうなんだよ〜、中央大受かったあたりから作っててさぁ。でも、まだ大学でそんなに知り合いがいないから中々やる機会が無かったんだよー。」
鶫 「また昨日の山道の様な変な企画では無いだろうな?」
集 「やだもー誠士朗ちゃんったら、人生ゲームでそんな変な事起こるわけ無いじゃん。
ただ、普通の人生ゲームと違うのは……………」
楽 「ん?」
集 「おーい、るりちゃん!ゲーム場を持って来て〜〜〜」
宮本 「ホントにやるの?」
宮本はそう言いながら、やたら大きなビニール製の束を広げた
バサッ
楽 「うおっ!?」
宮本が広げたのは優に数十メートルはあるものだった。そのビニール上には無数のマスとそれを繋ぐ歩き道が書かれている
千棘 「えぇっ!?何コレ〜?」
集 「コレは俺が作った「等身大人生ゲーム」。見てわかると思うけど、コマじゃ無くて自分でマスの上を歩いてゲームを進めて行くよ〜〜〜」
楽 「相変わらずお前、変な所に力入れるよなぁ………」
千棘 「でも、私こんなの初めて!面白そ〜」
小野寺 「私も、やってみようかなぁ………」
鶫 「まあ、余興くらいにはなるか。」
そんな訳で、楽達6人は等身大の人生ゲームをやり事になりました。
楽 「まずは俺かぁ、ホレ」
楽はサイコロを振った
楽 「お、2だ。」
トン トン
楽はニマス進んだ
楽 「ん?幼馴染ゾーン?なんだコレ」
集 「おお〜、中々面白いマスに止まったねぇ〜〜〜」
楽 「?」
鶫 「次は私はか。」
=2
鶫 「私も2か。」
トン トン
集 「おー、早速来たねぇ〜。お前ら、そのマスの説明よく読んでみ」
楽・鶫 「は?」
「この幼馴染ゾーンに2人の人が同時に止まった場合、次のマスに止まるまで手を繋いでください。」
鶫 「んなっ!?」
集 「はいはい、手を繋いで〜〜」
鶫 「何故私が………」
楽 「鶫、ルールはルーだから………」
ガシッ
鶫 「ふぉぉっ!?」
鶫 (こんな事が………こんな事があっていいのだろぉかぁ〜〜〜!)
そして、幼年期は過ぎて学生時代のマスへとゲームは進み
小野寺 「次私だね。」
トントン
小野寺 「え?看病のマス?」
「恋人が風邪をひいてしまいました。
膝枕で自分と1番近くにいる人を膝枕して下さい。」
小野寺 「えーっと、今の私の近くは………」
楽 「あ。」
小野寺 「え。」
楽・小野寺 「ええ〜〜〜!?」
宮本 「小咲、行きなさい。」
小野寺 「え?でも、るりちゃん………」
宮本 「行け」
小野寺 「はい。一条君。」
楽は小野寺の膝に頭を乗せた
小野寺 (はわわ………ひあわせ………)
そして、ゲームは進み残ったプレイヤーは楽と千棘だけに。
宮本 「ふぅ〜、まあ翻訳もいいけど大企業のキャリアウーマンも中々ね。」
鶫 「何故、上がりの職業にヒットマンが無いのだ。」
楽 「さーて、俺も4以上が出たら上がりのゾーンだ。えいっ!」
=5
楽 「うしっ!」
トン トン トン トン
楽 「ん?この先の上がりのマス、二択なのか?」
「A=大企業に就職、円満な人生」
「B=学生時代から付き合い続けた恋人と結婚、即席の稼ぎだけど末永く幸せに」
楽 「…………………!」
楽 (オレは………)
チラッ
千棘 「え?」
楽は少し前のマスにいる千棘の方を一瞬見た
楽 「Bで。」
集 「おー楽、ゴールおめでと〜〜、5位だね。
ドベは桐崎さん。」
千棘 「ちぇ〜〜〜」
そして、ゲーム場を片付けて………
千棘 「ねぇ楽」
楽 「あ?」
千棘 「最後……結婚の方の上がり方を選んだよね?」
楽 「えっ!?いや、あれはゲームだからな……別に深い意味は………」
千棘 「やっぱり私達も、いつかは………」
楽 「………………………」
楽は少しだけ考え込んでから、再び口を開いた
楽 「まあ、いいんじゃねぇか?」
千棘 「え?」
楽 「だってオレ達、本当に付き合いだしてまだ1ヶ月だぜ?そんな後の事なんてまだよくワカンねぇけど、ソレより今が楽しくやれれば………それでいいじゃねぇか!」
千棘 「楽………うん、そうだね!」
集 「おーい楽、たんぽぽ旅館戻るぞ〜〜。」
楽 「んっ!?ああ、おう!」
ガシッ
楽と千棘は手を繋ぎながら、たんぽぽ旅館に戻って行きました
第22話 完
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