2019-05-19 12:06:08 更新

2017年10月21日(土) PM:18:45


凡矢理ウォーターパーク


千棘 「それでさあ、そん時綾ちゃんったらさあ………。」


楽 「そんな事があったのか。

ウチの大学では、冬吾と蛍(ほたる)が………。」


ダキッ



溺れた千棘を助けた楽は、

プールのほとりで、千棘と2人で座って腕を組みながら、たわいない話をしていた。


アハハ………


楽 「………今は18:57か、

よし、もうすぐだな。」


千棘 「?どーしたの、楽。

さっきから、時計ばっか見てるけど………。」


楽 「まあ、見てろよ。」


千棘 「?」


係員C 「間も無く、午後7時でーす。

当ウォーターパークの仕掛けが始まりますので、

お客様は、各プールの噴水口(ふんすいこう)から

離れて下さーい。」


千棘 「え?」



ザワザワ………ザワザワ


ウォーターパークの客達は、

各プールの下にある穴から離れだした。


千棘 「何コレ………

そう言えば、私達が回った水中アトラクションのどのプールにも、

プールの真ん中くらいに黒い穴があったけど………。」


楽 「お前はここに今日初めて来たから知らないだろうけど、

このウォーターパークには毎日午後7時になると、ある仕掛けが起こるんだ。」


千棘 「仕掛け?」


楽 「今は18:59分、55秒。

56,57,58,59………来た!」


千棘 「え?」


ドピューー ドピューー


千棘 「わあっ!?」



ウォーターパーク中のプールの黒い穴から、

一斉に噴水が噴き出した。


千棘 「なにコレ?」


楽 「このウォーターパークでは、

毎日午後7時に、全てのプールから一斉に噴水が吹き出す仕掛けがあるんだ。」



ピューー


噴水は、各プールの穴からとめどなく噴き上がり、まるで花のようだった。


千棘 「キレイ………。」


楽 「お前との久々のプールデートだったからな、

お前に見せてあげたかったんだ。」


千棘 「楽………」


グスッ


千棘は、目に涙を浮かべていた。


楽 「わっ!

なんだよ千棘、泣いてんのか?」


千棘 「泣いてないわよ!

その………ありがと。」


ドキッ


楽はまた、ドキッとした。


楽 「………気に入ってくれたなら何よりだぜ。

さて、噴水も見たし、そろそろ帰ろーぜ。」


千棘 「あ!

待ちなさいダーリン。

私にプレゼントしたいんなら、

この噴水もスッゴく良かったけど、

その………他にもあるでしょ?」


楽 「なっ!」



楽はまたドキッとした。

千棘が求めてるものが、口にされなくても楽には分かっていた。


楽 「………今しても、水の味しかしねーと思うけど。」


千棘 「………大丈夫よ。

水の味は嫌いじゃないから。」


スッ


スッ


チュッ



水の味がするキスをして、

楽と千棘のウォーターパークでのデートは幕を閉じました。


第1巻 第220話 完




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