2019-04-24 23:46:52 更新

2017年10月13日(金) PM:17:00


中央大学への帰り道


集 「いや〜〜、今日も中央大学の大学祭の準備、結構進んだねーー、るりちゃん。」


るり 「まあね。

でも、私達2人とも昼過ぎまで講義があったから、今日は2時間ほどしか出来なかったわね。」



本日の大学祭の自分たちの出し物の準備を終えて、

中央大学の最寄り(もより)の駅まで2人で話しながら歩いて帰っていた。


集 「お、駅に着いたよるりちゃん。

さあ〜、俺たちのアパートに帰ろうよーー。」


るり 「ええ。今日は早く帰って休みたいしね………

ん?集くん、この駅って、名鉄線の方の中央駅じゃない?」


集 「ん?そうだけど………それがどうかしたの、るりちゃん?」


るり 「JRの方の中央駅まで歩くわよ。」


集 「えーー!?何でだよるりちゃん?

目の前に駅があるのに、なんでわざわざ1〜2km(キロ)も離れた、JR線の方の中央駅まで?」


るり 「名鉄線の方の中央駅から、

凡矢理駅までは片道切符で430円かかるわ。

でも、JR線なら、400円で済むじゃない。

30円も安くて済むわ。」


集 「たった、30円の違いじゃ無い?

それに、るりちゃんもさっき、「早く帰って休みたい」って、自分で言ったばかりじゃ無い?」


るり 「たった30円でも、得は得よ。

忘れたの?

私達はまだ大学生で、収入と言えばあなたの家庭教師のバイトと、私の英会話講師のバイト代のバイト代だけ。

下手したら、月収が10万を切る月もあるわ。

更に今月は、学祭の出し物の準備で、

教材もお互い結構買ったじゃ無い?

10円単位でも、節約するべきだわ。

それに他にも………」


クドクド………


集 「はいはい!分かりましたよ、るりちゃん!

JRの方の中央駅まで、歩けばいいんでしょ、歩けば!」


スタスタ



そして、集とるりは1〜2km(キロ)離れた、

JRの方の中央駅まで歩いて電車に乗り、

自分達のアパートまで帰りました。


スタスタ………


集 「お!着いたよるりちゃん、

俺たちの住まいにーー!」


るり 「見りゃ分かるわよ………」


集とるりが、2人で住んで同棲しているアパートの名前は「凡矢理荘(ぼんやりそう)」


楽と千棘が2人で暮らしている、「スペクトル凡矢理」から、3〜4km離れた場所にある、茶色い建物の色のやや古めのアパートで、3階建てで、各階には7〜8階の部屋があり、約20世帯の住民が住んでいる。

1階の「101号室」は、大家兼管理人の部屋となっている。


カチャ


集は自分達の部屋の、「206号室」の部屋のカギを開けた。


集 「ただいま〜〜。

って、誰もいないけどねーー。」


るり 「集君、今日はあなたがお風呂当番でしょ?

早目に沸かしておいてね。」


集 「了解〜〜。

あ、そうだるりちゃん、俺と一緒に入る〜〜♪?」


るり ピキッ


ガスッ


集 「ぐふっ!」


るりは集の腹を殴った。


集 「やだな〜〜、軽い冗談じゃ無い、るりちゃん〜〜。」


るり 「冗談と分かってても、ムカつくのよ………」


るり (ホントは、今の関係になった訳なんだから、もう少し交際が進んだ後なら、

あなたと2人で入っても良いんだけどね………。)


集 「じゃあ、俺はさっさとお風呂にお湯を入れて来まーす。」


ガラッ


集はバスルームの扉を開けた。


集 「さーてとっ………って、ん?」


集は、バスルームの浴槽の半分くらいの場所に、水で消えないペンで書かれた、黒い線があるのを見つけた。


集 「るりちゃーん、この線は何?」


るり 「ああ。まだ言ってなかったわね、

集君、お湯を入れるのはその線までにして。」


集 「え!?なんで?」


るり 「水道代とガス代の節約の為よ。

私とあなたが肩までつかれるギリギリのその線までなら、

水道代はもちろん、沸かすガスも節約出来るから、ガス代も節約出来るじゃ無い。」


集 「え?でも、これじゃあぎらギリギリのお湯しか無いじゃない?

俺もるりちゃんも、湯冷めして風邪(かぜ)引いちゃうよ?」


るり 「大丈夫よ。私は身長も低めだからその高さでも大丈夫だし、

あなただって、小さくかがめば、

ギリギリ頭以外が全部入るわ。」


集 「そりゃ、るりちゃんは幼児体型で小さいから大丈夫だろうけど、

俺は………」


ピキッ


るり 「てやっ!」


集 「ぐふっ!」


るりは再び、集を殴った。


るり 「ったく………。」




そして、風呂も沸かし終わり、夕食の準備。


トントン………


るり 「今日の夕飯は、お味噌汁と豚のお肉でいいわね。」


るりは、キッチンで

自分と集、2人分の夕食を作っていた。


るり 「ん?」


るりは、豚の肉を手に取った時、

何かに気付いた。


るり 「………集くん、この豚のお肉、

もしかして、ザ・チャレンジハウスで買って来たの?」


集 「そうだけど………それが何か?」


るり 「私、言ったわよね?

豚のお肉を買うなら、ザ・チャレンジハウスじゃ無くて、ピアゴで買って来てって、

ピアゴのお肉の方が、10円安いのよ。」


集 「そんなあ〜〜。たった10円じゃない、

るりちゃん〜〜。」


るり 「たった10円でも、節約は節約よね………?」


ゴゴゴ……………


集 「………はい。

すいません、次からは気を付けます。」



るり 「ああ。そうそう集君、

明日はゴミの日だから、一杯になったゴミ袋を玄関に出しておいてね。」


集 「はーい。」


ガサッ


集は2つの一杯になったゴミ袋を手にした。


るり 「あ、違うは集くん。

明日は土曜日だから不燃ゴミの日よ。

それは可燃ゴミじゃない。」


集 「ああそっか、ゴメンゴメン………。」


るり 「ゴミをその日のとは違う種類のを出すと、

ご近所の皆さんからクレームが来る上に、

「ゴミの分別も出来ないいい加減な今時の若者」、と思われてしまうわ。

そんな事になったら、ご近所付き合いが悪くなるわ。」


集 「はーい………」


集 (全く、るりちゃんは、

自由奔放な俺が余り気にしないような日常的で常識的なルールまで気にしてるよな………

でも、こんだけしっかりものの子が彼女だと、ホント助かるよな………)


るり (集君は、いい加減でふざけたところはあるけど、

何だかんだ言って、お互い冗談言い合ってると楽しいわね………

千棘ちゃんと一条君の、「ケンカしてても、悪口言い合ってても楽しい」っての、

最近、私もようやく少しは分かる様になって来たわね………)


集とるりも、楽と千棘同様、

ケンカをしながらも、そのケンカや言い争いなどでは簡単に崩れ無い固い絆を

お互い確かに感じながら、

恋と交際を進めて行くのでした。


第1巻 第189話 完


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