第1巻 第189話 マイミヤ
2017年10月13日(金) PM:17:00
中央大学への帰り道
集 「いや〜〜、今日も中央大学の大学祭の準備、結構進んだねーー、るりちゃん。」
るり 「まあね。
でも、私達2人とも昼過ぎまで講義があったから、今日は2時間ほどしか出来なかったわね。」
本日の大学祭の自分たちの出し物の準備を終えて、
中央大学の最寄り(もより)の駅まで2人で話しながら歩いて帰っていた。
集 「お、駅に着いたよるりちゃん。
さあ〜、俺たちのアパートに帰ろうよーー。」
るり 「ええ。今日は早く帰って休みたいしね………
ん?集くん、この駅って、名鉄線の方の中央駅じゃない?」
集 「ん?そうだけど………それがどうかしたの、るりちゃん?」
るり 「JRの方の中央駅まで歩くわよ。」
集 「えーー!?何でだよるりちゃん?
目の前に駅があるのに、なんでわざわざ1〜2km(キロ)も離れた、JR線の方の中央駅まで?」
るり 「名鉄線の方の中央駅から、
凡矢理駅までは片道切符で430円かかるわ。
でも、JR線なら、400円で済むじゃない。
30円も安くて済むわ。」
集 「たった、30円の違いじゃ無い?
それに、るりちゃんもさっき、「早く帰って休みたい」って、自分で言ったばかりじゃ無い?」
るり 「たった30円でも、得は得よ。
忘れたの?
私達はまだ大学生で、収入と言えばあなたの家庭教師のバイトと、私の英会話講師のバイト代のバイト代だけ。
下手したら、月収が10万を切る月もあるわ。
更に今月は、学祭の出し物の準備で、
教材もお互い結構買ったじゃ無い?
10円単位でも、節約するべきだわ。
それに他にも………」
クドクド………
集 「はいはい!分かりましたよ、るりちゃん!
JRの方の中央駅まで、歩けばいいんでしょ、歩けば!」
スタスタ
そして、集とるりは1〜2km(キロ)離れた、
JRの方の中央駅まで歩いて電車に乗り、
自分達のアパートまで帰りました。
スタスタ………
集 「お!着いたよるりちゃん、
俺たちの住まいにーー!」
るり 「見りゃ分かるわよ………」
集とるりが、2人で住んで同棲しているアパートの名前は「凡矢理荘(ぼんやりそう)」
楽と千棘が2人で暮らしている、「スペクトル凡矢理」から、3〜4km離れた場所にある、茶色い建物の色のやや古めのアパートで、3階建てで、各階には7〜8階の部屋があり、約20世帯の住民が住んでいる。
1階の「101号室」は、大家兼管理人の部屋となっている。
カチャ
集は自分達の部屋の、「206号室」の部屋のカギを開けた。
集 「ただいま〜〜。
って、誰もいないけどねーー。」
るり 「集君、今日はあなたがお風呂当番でしょ?
早目に沸かしておいてね。」
集 「了解〜〜。
あ、そうだるりちゃん、俺と一緒に入る〜〜♪?」
るり ピキッ
ガスッ
集 「ぐふっ!」
るりは集の腹を殴った。
集 「やだな〜〜、軽い冗談じゃ無い、るりちゃん〜〜。」
るり 「冗談と分かってても、ムカつくのよ………」
るり (ホントは、今の関係になった訳なんだから、もう少し交際が進んだ後なら、
あなたと2人で入っても良いんだけどね………。)
集 「じゃあ、俺はさっさとお風呂にお湯を入れて来まーす。」
ガラッ
集はバスルームの扉を開けた。
集 「さーてとっ………って、ん?」
集は、バスルームの浴槽の半分くらいの場所に、水で消えないペンで書かれた、黒い線があるのを見つけた。
集 「るりちゃーん、この線は何?」
るり 「ああ。まだ言ってなかったわね、
集君、お湯を入れるのはその線までにして。」
集 「え!?なんで?」
るり 「水道代とガス代の節約の為よ。
私とあなたが肩までつかれるギリギリのその線までなら、
水道代はもちろん、沸かすガスも節約出来るから、ガス代も節約出来るじゃ無い。」
集 「え?でも、これじゃあぎらギリギリのお湯しか無いじゃない?
俺もるりちゃんも、湯冷めして風邪(かぜ)引いちゃうよ?」
るり 「大丈夫よ。私は身長も低めだからその高さでも大丈夫だし、
あなただって、小さくかがめば、
ギリギリ頭以外が全部入るわ。」
集 「そりゃ、るりちゃんは幼児体型で小さいから大丈夫だろうけど、
俺は………」
ピキッ
るり 「てやっ!」
集 「ぐふっ!」
るりは再び、集を殴った。
るり 「ったく………。」
そして、風呂も沸かし終わり、夕食の準備。
トントン………
るり 「今日の夕飯は、お味噌汁と豚のお肉でいいわね。」
るりは、キッチンで
自分と集、2人分の夕食を作っていた。
るり 「ん?」
るりは、豚の肉を手に取った時、
何かに気付いた。
るり 「………集くん、この豚のお肉、
もしかして、ザ・チャレンジハウスで買って来たの?」
集 「そうだけど………それが何か?」
るり 「私、言ったわよね?
豚のお肉を買うなら、ザ・チャレンジハウスじゃ無くて、ピアゴで買って来てって、
ピアゴのお肉の方が、10円安いのよ。」
集 「そんなあ〜〜。たった10円じゃない、
るりちゃん〜〜。」
るり 「たった10円でも、節約は節約よね………?」
ゴゴゴ……………
集 「………はい。
すいません、次からは気を付けます。」
るり 「ああ。そうそう集君、
明日はゴミの日だから、一杯になったゴミ袋を玄関に出しておいてね。」
集 「はーい。」
ガサッ
集は2つの一杯になったゴミ袋を手にした。
るり 「あ、違うは集くん。
明日は土曜日だから不燃ゴミの日よ。
それは可燃ゴミじゃない。」
集 「ああそっか、ゴメンゴメン………。」
るり 「ゴミをその日のとは違う種類のを出すと、
ご近所の皆さんからクレームが来る上に、
「ゴミの分別も出来ないいい加減な今時の若者」、と思われてしまうわ。
そんな事になったら、ご近所付き合いが悪くなるわ。」
集 「はーい………」
集 (全く、るりちゃんは、
自由奔放な俺が余り気にしないような日常的で常識的なルールまで気にしてるよな………
でも、こんだけしっかりものの子が彼女だと、ホント助かるよな………)
るり (集君は、いい加減でふざけたところはあるけど、
何だかんだ言って、お互い冗談言い合ってると楽しいわね………
千棘ちゃんと一条君の、「ケンカしてても、悪口言い合ってても楽しい」っての、
最近、私もようやく少しは分かる様になって来たわね………)
集とるりも、楽と千棘同様、
ケンカをしながらも、そのケンカや言い争いなどでは簡単に崩れ無い固い絆を
お互い確かに感じながら、
恋と交際を進めて行くのでした。
第1巻 第189話 完
このSSへのコメント