第1巻 第231話 ミッツメ
2017年10月24(火) PM:16:00
弥柳宅(みやなぎたく)
弥柳 「よーし、それじゃあ小野寺さん、
美味いチョコレートの作り方と、
良いカカオの調達は出来たから、
今日はいよいよ、
チョコレートケーキの製作に取り掛かるよ!」
小咲 「はい!」
小咲は、その日の大学の講義が終わった後に、
蓮の家で大学祭のケーキ屋に出すチョコレートケーキの、試作品作りに来ていた。
蓮 「よーし、まずはこの前やったやり方で、
チョコレート作りからだ。」
小咲 「はい!」
そして、調理は始まり………
蓮 「チョコレートの苦味が強過ぎる!
もう少し、砂糖を入れて!」
小咲 「はい、すいません!」
蓮 「チョコレートの部分と、
スポンジの部分の色のバランスが悪い!
味だけじゃ無くて、
見た目もお客さんに買って貰う為の大事な要素の1つだよ!」
小咲 「はい!」
小咲 (私にお菓子作りを教えてくれてる時の弥柳くんって、
ホントに真剣で………厳しいなぁ………。)
そして………。
弥柳 「出来たよ!
頑張ったね、小野寺さん!」
小咲 「はい!
今日もありがとうございました!」
小咲と蓮の努力の甲斐(かい)あって、
上と底にチョコ、その間の真ん中にカカオ味の茶色いスポンジを挟んだ、
一般的なチョコレートケーキが出来上がった。
小咲 「あのーー………弥柳くん、
一口味見してもいいですか?」
弥柳 「ん?
ああ、いいよ。
試作品だから、味見も兼ねて食べてみなよ。」
小咲 「はい。
頂きます。」
パクッ
小咲はチョコレートケーキを、一口食べた。
小咲 「わぁ〜〜、美味しい。
よく出来たなぁ、私………。」
小咲 クスッ
小咲は思わず、笑みをこぼした、
蓮 「ん?どうしたの、小野寺さん。」
小咲 「あ……いや、ごめんなさい。
私、お菓子作りを本格的に始めたの、
大学入ってからだったから、
高校時代は今よりチョコレート作るのも、全然下手だったんです。」
蓮 「だから?」
小咲 「あ、いや………。
もしあの頃から、これくらい美味しいチョコを作れたら、
高校の時好きだった男の子に、
もっと自信を持って、バレンタインチョコを渡せたのかなぁ、って………。」
蓮 「ふーん………。」
小咲 「………あのー、弥柳くん?」
蓮 「うん?」
小咲 「もしよかったら、今年のバレンタイン、チョコ貰ってくれませんか?」
蓮 「え!?」
ドキッ
蓮 「そ、それって……………。」
小咲 「……………。」
ドキドキ………
ドキドキ………
小咲 「ぎ、義理チョコです、
義理チョコ!
弥柳くんに作りかた教えて貰ったおかげで、
美味しいチョコをいつでも作れる様になったから、
そのお礼にって………。」
蓮 「そ、そうだよな!
義理だよな義理!
そういう事なら、喜んで貰うよ!
ありがとう………。」
アハハ………
小咲 (………なんで私、
こんなにドキドキしたんだろう………。)
第1巻 第231話 完
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