第1巻 第7話 フタリノ
千棘と鶫の帰国記念パーティー&凡矢理高校の同窓会は終わり、俺と千棘は小野寺達と別れて今日から2人で暮らすマンションに向かった
千棘 「ねえダーリン、ホントに一緒に住むの?」
楽 「何だよ、嫌なのかよ?」
まだ少しお酒の酔いが残っている、アルコールのせいか照れのせいか赤い顔で楽に千棘は話しかけた。
楽 「凡矢理の3年の3学期辺りからずっと考えてたんだ。」
楽 「もう、昔のニセモノの恋人とは違う本物の恋人なんだ俺たちは。
大学生や新卒社会人ならそんなに珍しい事じゃあねぇよ。」
千棘 「そうだけどさあ………」
楽 「ん?ああ、そうだ。千棘お前、まだお酒呑めるか?」
千棘 「え?パーティーでは楽と話すのに夢中であんまり飲んでないから大丈夫だけど………何で?」
楽 「あ、いやちょっとな………」
曲がり角に着いた。酒ゃビックがある。
楽 「千棘、ちょっとここで待っててくれ。」
千棘 「え?うん………」
千棘を店の前で待たせると、楽は酒ゃビックに入って行った
10分後、出てきた。何かが入った細長いビニール袋を左手に持ち
楽 「お待たせ」
千棘 「何?その袋」
楽 「ああ、これか?部屋に着いてからのお楽しみだ♪」
千棘 「…………………………」
千棘 「ねえ楽、さっき言った事覚えてる?」
楽 「あ?さっき?」
千棘 「最後に小咲ちゃんより私を選んでくれた事だよ。」
楽 「ああ、それか」
千棘 「私、ホントに嬉しかったんだよ?
これからずっと一緒にいてくれる?」
楽 「ああ、もちろん。俺もお前の事が今では好きだ。」
スッ コンッ
楽は千棘の頭に自分の右手を置き、自分の頭に当てた
千棘 「………………………」
カァァ………………………
千棘 は無言で赤面して、また顔の赤みが増えた
それから歩く事十数分。
楽 「ここだ」
千棘 「何だか思ったより一般的なマンションねぇ」
楽 「俺達は家がヤクザとギャングだから。
なんかこんな普通のマンションに住むなんて逆になれないよなぁ。」
千棘 「アハハッ、そうね。」
その後、2人はマンションのエレベーターを上がり、7階に着いた。
楽 「ここの階の705号室だ。」
ガチャ
楽は705号室の鍵を回して、部屋を開けた。
千棘 「へー、ここが私達が今日から住む部屋かぁ」
3DKの標準的なマンションの一室。
玄関から近い順にトイレミニキッチン、
テレビや机が置いてある居間がある。
楽 「結構、大変だったんだぜ〜,こんだけ家具やテレビを運ぶの、竜達にも手伝って貰って2日がかりかかったんだぜ。」
千棘 「あんた、そこまで私との生活を………」
楽 「当たり前だろ?俺たちはもう、「ホンモノ」なんだからな。」
千棘 「楽………うん!」
そういうと楽は、冷蔵庫からジュースを2本、自分の分と千棘の分を取り出した。
楽 「ほら、飲めよ。酔いが覚めるぜ」
千棘 「あ、うん。ありがと。」
ゴクゴク
楽 「ああそうだ、コレこの部屋の鍵だ。
お前もいるだろ?」
千棘 「あ、うん。ありがと………あ!そうだ鍵で思い出した!楽あんた、新しいペンダントと鍵はどうなったの?」
楽 「ん?ああ!そうだった!
アレ、集の鍵屋のおじさんに頼んどいて、来月辺りに出来るらしい。
俺のバイト代で出しとくから安心しろよ。」
千棘 「え?あんたバイトしてるの?」
楽 「ああ、今度バイト先連れてってやるよ。」
その後、千棘と2人でテレビを観たり、新しい布団の寝心地を試したりした。
千棘 「ふー、楽しかったぁ。大分この部屋にも慣れたわねぇ」
楽 「そりゃあ良かった。
じゃあ、そろそろ今日のお楽しみに入るか………」
千棘 「え?」
楽はさっき酒ゃビックで買って来た袋から、瓶を2本取り出した。
「ノースウィスキー」と書いてある。
千棘 「それ、やっぱりお酒だったの?でも何で?さっきパーティーでいくらでも飲めたのに………」
楽 「いや、高1の時のクリスマスで出来なかったからな、コレ。」
千棘 「え?それって確かあんたがママと私を引き合わせてくれた時の………」
楽 「ああ、あん時は偽の恋人だったのと、お前と華さんを仲直りさせたかったから出来なかったけど、天駆高原でお前と結ばれた時からやってみたいと思ってたんだ。
2人っきりで呑むの。」
千棘 「そういう事かぁ……いいわよ、喜んで!」
コトンッ
楽は机に、ワイングラスを2つ置いた。
千棘 「また、お酌してあげるよ。ほら、グラス出して。」
トクトク………
楽 「では、改めまして。」
千棘 「うん。」
楽・千棘 「同棲記念にカンパーイ」
コンッ
2人はお互いのワイングラスを軽く叩き合い、本当の恋人同士としての同棲生活の開始を祝いあった。
第7話 完
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