第1巻 第249話 アップル
2017年10月30日(月) AM:11:00
凡矢理会館
草鹿 「えーー、射的も終わったところで、
本日のハロウィンゲーム第2弾は、
「ダック・アップル」です!」
楽 「ダック・アップル?」
千棘 「ダック・アップルってのは、
ハロウィンでのゲームの1つで、
水に入ったたらいに浮かべたリンゴを、
手を使わずに口にくわえてとるゲームよ。」
楽 「お前、詳しいな………。」
千棘 「もちろん!
アメリカじゃあ、何度もハロウィンパーティーに参加してたからね!」
万里花 「あ、そうですわ桐崎さん。
私(わたくし)とあなた、どちらがたくさんのリンゴを取れるか、勝負しません?
昨日のお菓子作り勝負でつかなかった決着を、それでつけましょう。」
千棘 「あっ、いいわねそれ。
あんたには負けないわよ万里花!」
そして………
草鹿 「では、ゲームスタートです♪
制限時間は5分です。」
万里花 「では、まずは私(わたくし)から。」
草鹿 「それでは、よーい………ドンッ!」
パクッ
パクッ
パクッ
参加者は、一斉に水の入ったお盆に浮かんだリンゴを口でくわえ出した。
万里花 (ムムム………これは予想以上に難しいですわね。
しかし………ここは楽様の手前(てまえ)、
負ける訳にはいきませんわ!)
パクッ
パクッ
パクッ
千棘 「万里花のやつ、意外とやるじゃない!」
楽 「橘のやつ、
相変わらず負けず嫌いだな………。」
そして………
草鹿 「はーい、第1陣のみなさん、
終了でーす。」
万里花 「ぶはっ!
記録は10個ですか………。」
楽 「橘のやつ、結構たくさん取ったな………。」
千棘 「よーし………私も負けないわよ!」
草鹿 「それでは第2陣のみなさん、
よーい………ドンッ!」
パクッ
パクッ
パクッ
千棘 「そーれっ!
負けないわよーー!」
千棘は、凄い勢いでリンゴを口にくわえて
自分の箱の中に入れて行った。
楽 「おおっ!?
千棘のやつ、スゲーな!」
万里花 「さすが、野生のゴリラの口さばきですわね。」
パクッ
パクッ
ビチャ
千棘 「え?」
ジワワァ………
千棘がリンゴをくわえようとした拍子に、水が千棘の服にかかり、
濡れてピンク色のブラジャーが透けて見えてしまった。
楽 「!」
千棘 「キャアッ!」
バッ
千棘は、両腕で胸元を隠した。
客A 「あ!あの女の子、下着が透けて見えてるわよ?」
客B 「でも、いい胸してるな〜〜。
顔も可愛いぜ?」
千棘 「うう………どうしよう………。」
バッ
千棘 「え?」
楽 「ほらよ。」
楽は、千棘に自分の上着を差し出した。
少し怖い顔をして。
千棘 「あ、ありがとう。
楽………。」
鶫 「お嬢!
急いで家から、代わりの服を取って来ますね!」
バッ
千棘 「うん。
ありがとう、つぐみ。」
楽 「良かったな、千棘。」
千棘 「………ねぇ楽、
何であんな、怖そうな顔してたの?」
楽 「………なんつーかな、
お前の裸が、俺以外の男に見られるのが、
耐えられなかったんだ。」
千棘 ドキッ
千棘 「………そうだね。
私も、楽にだけ見せてあげたいし、
楽以外には見られたくないわ。」
楽 「勘違いされるような事、
言うなよ………。」
第1巻 第249話 完
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