第1巻 第2話 ドウセイ
楽 「え?え?」
集 「桐崎さん………日本に帰って来てたんだ。」
小野寺 「千棘ちゃん………!!」
るり 「……………………」
楽 「お前、いつからこっちに、華さんの知り合いのファッションデザイナーの人との世界巡りは………?」
千棘 「……………………」
ダッ
4人 「え?」
一瞬、4人は千棘が消えた様に見え、姿を見失った。
シュン
千棘 「楽ーーーーーー!!」
ギュッ
楽 「わっ!!」
集 小野寺 宮本 「え?」
再び姿を捉えた千棘は、さっきまでいた位置からゆうに10〜20m以上離れた自分たちのすぐ近くに移り、楽を抱きしめていた。
千棘 「楽、ラクーー!!楽だ。本物の楽だーー!!」
楽 「わっ!わっ!やめろってお前!!
小野寺たちの前だぞ!」
千棘 「だって だって、ママの知り合いのファッションデザイナーのスミレさんについて行ってから、ずっとLINEの連絡だけだったんだもんー!!ずっと会えなかったんだもんー!!」
楽 「だからって、みんなの前で……………、
とりあえずちょっと落ち着けよお前ーー!!」
千棘 「楽ーー!………………ん?
あ、ああ!ゴメン!!
ずっとあいたかったからついーー」
そして、千棘も楽たちも大分落ち着き、現状説明の会話へと
楽 「で、お前、一体何でこっちに戻って来たんだ?」
千棘 「うーんそれがねえ、スミレさんとのファッションデザイナーの修行、半年か一年って思ってたけど、実際はファッションデザイナーの基礎のカリキャラムだけで一年半かかるみたいだったんだー。」
楽 「だからじゃあ何で今こっちに?」
千棘 「うん。一年半ってのは最長での多目に見積もった時間だったの。
私、必死に頑張ってその半分の8ヶ月で基礎のカリキャラムを終えちゃった。
早く日本に戻って、楽に会いたかったから!!」
楽 「千棘、お前………」
小野寺 「千棘ちゃん、すごーい!」
るり 「愛の力は偉大ねぇ」
楽 「そっか お前、そこまで俺の事……………」
千棘 「基礎のカリキャラムを終えた後の本格的なファッションデザイナーの二次以降のカリキャラムは、スミレさんが日本で一流の4年制の専門学校をさがしてくれて、
私、今日そこの入学式行って来ちゃった。」
小野寺 「えー!!じゃあ、大学や専門学校は違っても、また駅で会えるじゃん!」
千棘 「うん、またよろしくね、小咲ちゃん!」
るり 「良かったじゃない一条君。これで学校は違っても、どうどうと近くで交際出来るじゃない。」
楽 「ん?あ………ああ!そうだな。」
楽 (こいつ………俺なんかの為にそこまで)
楽 (いや、考えてみたら当たり前だよな。
俺と小野寺が両思いだって分かって更に、自分が約束の女の子じゃないとも分かって、それでも俺に10年の時を超えてやっと選んで貰えたんだから。)
楽 (これは………やっぱり………)
楽 「千棘」
千棘「ん?」
楽は千棘の方に歩み寄る
千棘 「何、ダーリン。私とこんな早く再会できたのがそんなに嬉しいの?
安心してよ。学校違っても休日や放課後に幾らでも付き合えるし、ましてや大学なんて自由時間やお休みばっかりーー」
楽 「いや、そんな事をする必要はないぜ。」
千棘 集 小野寺 るり 「へ?」
チャッ
楽は千棘に鍵の様なものを持った右手を差し出した。
楽 「千棘」
楽 「一緒に暮らそう。」
→マンションの個室のカギ
千棘 「え?」
小野寺 「へ?」
集 「ん?」
るり 「……………」
………………………………………………………………
千棘以外の4人 「えぇーーーーーーー!?」
楽 「いや、もともと考えていた事だ。」
千棘 「え?どういう?もともと考えていたって!?」
楽 「お前がファッションデザイナーの修行を終えて日本に戻って来たら一緒に暮らそうと思って、親父(オヤジ)に俺が大学生になったら、お前の家とウチの間くらいにある安いマンションの一室で一人暮らしする許可を貰っておいた。」
千棘 「ら……楽……」
楽 「まさかこんなに早く役に立つとは思わなかったけどな。」
るり 「………………」
千棘 「楽……………私、嬉しい!
是非ともよろしくお願いします!」
小野寺 「一条君、千棘ちゃん、おめでとう!!良かったね。」
集 「おめでとー」
第1巻 第2話 完
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