第1巻 第160話 カタナヤ
2017年10月4日 PM:13:00
京都の町
千棘 「ふーう、お腹いっぱいーー。」
楽 「まあ、あんだけ食えばそりゃそうだよな。」
千棘 「午前中は、茶道屋に華道屋行けて楽しかったわね。
午後からはどこ行く?」
楽 「そうだな………お?」
楽は、歩いていた京都の商店街の街並みに「刀屋」を見つけた。
楽 「なあ千棘、あそこに行かないか?」
千棘 「ん?刀屋?
楽、あんたあんな所に興味があるの?」
楽 「いや、俺は別にあんまり無いんだけど、
竜たちへの京都土産に一本いいかなって。」
千棘 「なるほど………竜さん、ああいうの好きそうだもんね。」
楽 「とにかく、入ろーぜ。」
千棘 「うん!」
カラン コロン
楽と千棘は店に入った。
「京都草薙刀屋(きょうとくさなぎかたなや)」と、看板に書かれたその店は、
棚に沢山の日本刀が並べられて売ってあり、
丸い籠(カゴ)にも同様の物が何本も刺してあった。
千棘 「へぇ~~、これが日本刀かあ!
ウチのビーハイブの奴にも、何人か剣術を覚えてる奴もいるけど、
日本刀って、やっぱり西洋剣とは大分違うわね。」
楽 「まあ、西洋と東洋の剣術の違いがあるからな。」
千棘 「で、楽。
あんたはどの刀を買うの?」
楽 「そうだな………ん?」
楽は店内に鶫と蒼也を見つけた。
楽 「お!鶫と蒼也、お前らもこの店に来てたのか?」
鶫 「む?一条楽!?」
蒼也 「楽か。」
千棘 「鶫と蒼也君も、このお店に興味があったの?」
鶫 「はい。日本の古来の戦士の「武士」が使っていた日本刀に、多少興味がありましてね。」
蒼也 「しかし、日本刀ってのはやっぱり細過ぎるね。
西洋剣と比べてどころか、
俺のククリ刀よりも更に細くて薄い。
これじゃあ、腕のいいスナイパーが銃弾を一発刀のどてっ腹にブチ込んだら、
簡単に折れちまう。」
楽 「まあ、日本刀だからな………ん?」
楽は赤い持ち手の日本刀に目を付けた。
カチャ
楽 「なんかこの刀………良くねーか?」
楽はその刀を手に取った。
千棘 「ん?何、楽あんたその刀が気に入ったの?」
楽 「いや、俺にもよく分かんねーけど、
何だかこの刀、他の刀となんか違うような………」
蒼也 「ん?」
蒼也は何かに気が付いた。
蒼也 「………楽、ちょっとその刀に星の光を流してみて。」
楽 「あ?」
蒼也 「武器に星の光を流し込む技術は、この前教えただろ?
いいから、やってみろよ。」
楽 「ああ……こうか?」
ボウッ
楽 「お!」
楽は自らの太陽の光を日本刀に流し込んだ。
日本刀は、美しくオレンジ色に輝いた。
楽 「なんだこれ?
訓練の時に蒼也が用意してくれた銃やナイフに星の光を流した時より、何倍も上手く流せた様な………」
蒼也 「楽、星匣(ほしはこ)を見てみて。」
楽 「え?」
楽は自分の星匣を取り出して見た。
星匣からオレンジ色の星の光が「91」という数字を出して描いていた。
楽 「何だよコレ?」
蒼也 「伝導値(でんどうち)92か………まさか、ここまで楽に合う武器がこんな一般の店で見つかるとはね。」
楽 「伝導値(でんどうち)?」
蒼也 「伝導値(でんどうち)とは、物体にどれだけ星の光がよく流れるかの数値の事だ。
星の光はその持ち主の感情によって一人一人違うから、
伝導値は人により違う。
そしてその値は、物体に星の光を流した際に星匣に星光文字(せいこうもじ)で表される。」
楽 「それが91って………この刀は俺の星の光を9割以上通してるって、事か?」
蒼也 「ああ。
俺のククリ刀も83か84。
これでも、ネパールでククリ刀術を覚えた時に、数十本から1番星光値が高いヤツを選んでやっとその数字だ。
訓練の時にお前に試した銃やナイフも、30代や40代や程度だったが………
これは、100本か200本に一本の、お前に合った武器だ。」
千棘 「へーー。楽、良かったじゃない!」
蒼也 「店員さん、この刀幾らですか?」
店員A 「ああ、その刀なら10,800円だよ。」
蒼也 「よし、俺が買おう。」
楽 「え?いいのか蒼也?」
蒼也 「ああ。
これがあれば、お前はもっと強くなれるからな。
俺からのお嬢との交際半年記念プレゼントはコレにするよ。」
千棘 「わーー、蒼也くん、ありがとう!」
楽 「ありがとな、蒼也!
この刀で、俺は更に千棘を守れる様に強くなってみせる!」
第1巻 第160話 完
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