第1巻 第232話 ジッサイ
2017年10月24(火) PM:14:00
中央大学 空き教室
集 「で、ここはこうであるからして………。」
るり 「集君、あなたの今日の模擬講義は終わりの時間よ。」
集 「あれ?もうそんな時間?
それでは皆さん、今日の俺の講義はここまで、
今日は手伝ってくれて、ありがとうございましたーー。」
学生A 「はーい。」
学生B 「いやー、舞子の講義って、
意外と分かりやすかったよな、
アレで最近、大学祭の出し物の1日教室の為に、模擬講義を始めたばっかなんだって?」
学生C 「流石、先生を目指してるだけあるよなーー。」
学生D 「舞子くん、また必要になったら、いつでも読んでよーー。」
ワイワイ ガヤガヤ………
パタン
集とるりは、この日の大学の講義が終わった後に、
中央大学の大学祭でやる出し物の、
「1日教室」の練習の為に、
大学の友人・知人を集めて、
空き教室で模擬講義を行っていた。
るり 「集くん、30分間の休憩の後、
今度は私の英語の模擬講義の番よ。」
集 「了解〜〜。
いやー、それにしても、
実際こうやって、先生の立場になって、
勉強を教えてみると、
教える側の大変さが、よーく分かるねーー。」
るり 「………なんだか生き生きとしてたわね。」
集 「え?」
るり 「いや、みんなに講義を教えてた時の、あなたの顔よ。」
集 「へーー、るりちゃんが俺の事をそんな真剣に見ててくれたんだ、嬉しいなーー。」
るり 「………当たり前でしょ。
彼氏なんだから。」
集 「おや?
るりちゃんが、俺にそんな事言うなんて、
めっちゃ意外だねーー。」
るり 「うるさいわね………。」
集 「………真剣に誰かに教えてるとね、
思い出すんだよ。」
るり 「………キョーコ先生の事?」
集 「………そうだよ。」
集 「みんなに勉強を教える。
キョーコ先生は、毎日こんな気持ちで俺たちに教えてくれてたんだなぁって………。」
るり 「………集君、
あなた、やっぱり今でもキョーコ先生の事、
忘れられないの?」
集 「ああ、まあね。
ただし………。」
るり 「ただし?」
集 「「憧れ」、としてね。」
るり 「!」
集 「高2の時に、キョーコ先生が結婚して、
寿退職(ことぶきたいしょく)した時から、
少しずつ経って思い始めたんだ。
俺の中にあった、キョーコ先生への「好き」は、「憧れ」、
楽で言う、小野寺への気持ちに近かったんだろうなって。」
るり 「………なるほどね。」
集 「………そして、
俺にとって、「身近」さも感じて、
一緒にいたいと思う本当の恋は………。」
るり 「……………。」
集 「るりちゃん、それはやっぱり君だよ!」
るり 「………良かったわ。
あなたの口からその言葉が聞けて、
でなければ、パンチを一発お見舞いしていたところよ。
………彼女としてね。」
集 「アハハ………。」
第1巻 第232話 完
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