第1巻 第216話 メイロデ
2017年10月21日(土) PM:15:00
凡矢理ウォーターパーク
千棘 「ふーー。
助かったわ楽、
私、すっかりのぼせちゃって………。」
楽 「まったくお前は………。
他のお客さんもいるんだし、あんなところで無理なんかするなよな。」
千棘 「ご、ごめん………。」
楽 「まあ、分ったならいいんだけどな。」
千棘 「それで、次はどこに行くの?」
楽 「そうだなぁ………。
お、千棘。
あそこなんてどうだ?」
スッ
楽が指差した先にあったのは、
水上迷路だった。
千棘 「へーー、
ここ、迷路なんかもあるんだ!」
楽 「水の中の迷路なんて、珍しいだろ?
行ってみよーぜ。」
千棘 「うん!」
タタッ
そして楽と千棘は、水上迷路の入り口まで歩いて行きました。
楽 「へーー、
この迷路(めいろ)、入り口がちょうど反対側に二ヶ所あるのか。」
千棘 「あ!そうだ楽、
私、いい事思いついちゃった!」
楽 「なんだ?」
千棘 「私とあんた、
それぞれ別々の入り口から入るのよ。
それで、迷路の中でどれだけ早く出会えるか試すの!」
楽 「お!いいなそれ、
そうしよう!」
そして、楽と千棘はそれぞれ別々の入り口に移動し………
楽側
楽 「ふーー。
さて、どっちから行くか………。」
楽 (ん?待てよ、
千棘なら、あいつの性格上、
迷路なんて難しい事はいちいち考えずに、
真っ直ぐに進むよな。
って事は………。)
スタスタ………
楽は、真ん中の道を歩き始めた。
千棘側
千棘 (………こういう時、楽なら………
あいつの神経質なもやし性格上、
どうやったら出口にたどり着けるか、
いちいち考えそうね………。
って事は………
迷路全体を確かめる為に端から………
多分、あいつは右利きだから、右の道から行く。)
スタスタ………
千棘は、迷路の右を歩き始めた。
その後も、2人はお互いに………
楽 「この道は千棘なら………。」
千棘 「この分かれ道は楽なら………。」
約5分後
楽 「おっ。」
千棘 「あっ。」
2人は、迷路のほぼ中央付近で鉢合わせ(はちあわせ)た。
楽 「ち、千棘。
意外と早く会えたな………。」
千棘 「そうね………。
多分まだ、10分も経って無いわよね?」
楽 「………実は俺、お前ならどう進むか考えて進んだんだ。」
千棘 「えっ?
私も………。」
楽 「……………。」
千棘 「……………。」
プッ
楽 「ははは……はははっ。」
千棘 「あはは……アハハハ………。」
楽と千棘は、自分達の起こした行動があまりに同じ過ぎるので、
思わず2人揃って笑ってしまった。
千棘 「もう………!
私たちったら、なにおんなじ事してんの?
バッカみたい………。」
楽 「俺とお前、
あまりにも行動を一緒にし過ぎて、
いつの間にか、考える事まで似てきたみてーだな………。」
アハハ………
楽 (まあ、
こういう考える事ややる事の同じ身近さも、
俺が小野寺よりお前を選んだ理由の1つなんだがな………。)
第1巻 第216話 完
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