第1巻 第52話 エンニチ
7月も下旬に入り、今日から千棘の専門も夏休み
俺たちは縁日に来ていた
千棘 「あっ、見て楽ーーあんなに屋台があるよ?」
楽 「ああ、今年も大盛況だな。」
千棘 「まずどこから周る?あんたの家の人が屋台出してるから、そこばっか行こーよ!」
楽 「お前、やっぱりタダで食い放題目当てか………まあいいけど、タダだし。」
集英組組員がやっているタコ焼き屋
組員A 「おー坊ちゃん、今年も来ましたね。
タコ焼き好きなだけ持ってってくだせぇ!」
楽 「いや、2つだけで………」
千棘 「5個下さい。」
キッパリ
組員A 「はいお嬢ちゃん、どうぞ〜ー」
楽 「お前………少しは遠慮しろよ………」
千棘 「じゃあ次は………」
集英組組員がやっている射的屋
パンッ
楽 「ほい、ゲームソフトとiPod」
千棘 「わーい〜〜、ありがと〜〜〜」
組員B 「いや〜、毎年坊ちゃんが来ると景品を根こそぎ持ってかれますわぁ」
楽 「さーて次は………ん!?」
楽は自分のiPhoneの時計を見た
楽 「ヤバ……千棘、神社の方行こーぜ。」
千棘 「え?なんでよ?」
楽 「いや、ちょっと買いたい物があってな…………」
千棘 (………あれ?縁日で時間が来たら買い物って、もしかして………)
千棘は3年前の記憶を思い出していた
千棘 (楽に「アレ」を渡されて動揺してすぐに断らなかったわよね私、楽が好きだって気付いたのは、あの日が原因だったな………)
楽 「………?どうした千棘?」
千棘 「えっ?あ、いや何でもない………」
楽 「………そういやあお前、今日は浴衣で来たのにそのペンダント付けてくれてるんだな。」
千棘 「えっ?あ、うん。あんたがあんな気持ちを込めてくれたものだから、大事にしたいんだ。
LABも夏休みに入っちゃったからしばらく学校に付けて行く機会は無いし………」
楽 「そっかぁ、気に入ってくれて嬉しいぜ!それにお前、その月柄の浴衣も大分にあってるぞ。」
千棘は今日は3年前の高1の縁日とは違い最初から三日月模様の珍しい浴衣を着て来ていた
千棘 「ああ……これね、この前浴衣をお店に選びに行った時にシルフが「千棘は絶対コレにした方がいいよ」って、私も月には特別な思い入れがあったし」
楽 「特別な思い入れ?」
千棘 「うん。スミレさんと外国を回ってた時、ある国で月に関して凄く素敵な伝説を聞いて、それでこの前の誕生日に星神に覚醒して自分が月属性だって知る前から月が好きだったんだ………あんたの前のペンダントの私の助けてくれる女の子の鍵も先の穴が三日月だったでしょ?」
楽 「ああ、俺のペンダントと小野寺の約束の鍵は埋めたけど助けてくれる女の子の3本の鍵はそのままだったよな………
お前、まだアレ持ってるのか?」
千棘 「勿論持ってるよ。万里花と羽(ユイ)さんはどうだろう?」
楽 「羽姉は分かんないけど、橘は多分持ってるぜ。
あいつが俺との約束の物を簡単に捨てる訳が無いし」
千棘 「まあ、そうよね………ところで、さっきから屋台の方が何だかんだ騒がしく無い?」
楽 「そういやあそうだな………何か起こってんのかな………え!?」
千棘 「アレ?アレって………」
楽と千棘が屋台の方に目をやると、信じ難い荒れた光景が広がっていた
第52話 完
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