2019-05-28 14:01:21 更新

2017年10月23日(月) PM:21:00


LAB(ラボ) ファッション学院


コツコツ



楽は、暗くて動けない千棘をお姫様抱っこして、夜中のLAB(ラボ)を歩いていた。



楽 「おい、千棘大丈夫か?」


千棘 「うん。

なんだか、大丈夫になってきたみたい………。」


楽 「そっか、そりゃ良かった。」


千棘 (うぅ〜〜………

それにしてもこの鈍感もやし、

お姫様抱っこするなら、もっとロマンチックなシチュエーションでやりなさいよね………

そう、例えば………。)




千棘の回想



千棘 「くっ!

なんて手強い星神なの………

こんな事なら、楽と2人で戦えば良かった………。」


敵の星神 「へへ………お嬢さん、

これであんたの負けだ。

トドメだ!」


バッ


千棘 「くっ!」


? 「待ちな、俺の女に手を出すんじゃねーよ。」


敵の星神 「!?」


千棘 「え?」


スッ


カシャンッ


?の星匣 「終の札(ツイノフダ)」



ギュルルルル………


バガァンッ



敵の星神 「ギャアァッ!」


楽 「ふーー、なんとか間に合ったな。」


千棘 「あっ!楽!」


楽 「大丈夫か?千棘。」


千棘 「う、うん。

大丈夫。少し軽いケガをしちゃっただけ………。」


楽 「全くお前は………ほれ。」


千棘 「え?」


ガバッ



楽は、千棘をお姫様抱っこした。



千棘 「ちょ、ちょっと楽?」


楽 「全くお前は………

1人で戦うんじゃねーよ。

お前は星神である前に、俺の大事な女なんだ。

傷が付いたらどうするんだ?」


千棘 「ご、ごめんなさい………。」


楽 「ほら、こんなに傷だらけになって………

ぼら、お前の戦いの疲れを吸い出してやるよ。

ほら、目をつぶれ。」


千棘 「は、はい………。」


スッ


スッ


チュッ




千棘の回想終わり



千棘 「………って。」


デレ〜ー



楽 「ん?千棘、なに笑ってんだ?」



千棘は、顔がチーズみたいにとろけていた。



千棘 「え?あ………な、なんでもないわよ!」


千棘 (まあ、この女心がイマイチ分かってない鈍感もやしには無理だろうけど………。)


千棘 (でも、こいつも高校の時に比べたら随分私に積極的に恋愛するようになったわよね。

まあ、ホンモノの恋人同士になったんだから、

考えてみたら当たり前の事だけど………。)



チリーン ジジジ………



楽 「ん?」



楽は、何か奇妙な音を耳にした。



千棘 「ど、どうしたの?楽。」


楽 「………なあ千棘、さっきなんか、変な音が聞こえなかったか?」


千棘 「え?な、なんにも聞こえないわよ?

やだ、変な事言わないでよ………。」


チリーン ジジジ………


千棘 「!」


楽 「な?聞こえただろ?」


千棘 「な、なんの音かしら?」


楽 「こんな人気の無い、夜の学校で聞こえるような音じゃねーよな?」


千棘 「で、でも、

「チリーン」って、聞こえたわよね?

きっと、ただの虫の鳴き声よ………。」


楽 「でも、その後に

「ジジジ………」っても聞こえたよな?

そんな鳴き声で鳴く虫なんていないよな?」


千棘 「じゃ、じゃあ一体何の音………?」


楽 「そうだな………

2つの音が連続して聞こえるのもおかしいし。

もしかしたら、幽霊かなんかじゃあ………?」


千棘 「ひっ!」



ギュウウウッ



千棘は恐怖の余り、楽に自慢の怪力で思いっ切りしがみついた。



楽 「ギャアッ!

千棘!そんなに強くしがみつくなよ!」


千棘 「あんたが怖い事言うからでしょーが!」


楽 「す、すまん!

とにかく、一旦降ろすぞ。」



ドサッ



楽は、お姫様抱っこしていた千棘を、

再び降ろした。



楽 「ごほっ、ごほっ、

いてて………。」


千棘 「一体何なのよ………

あのチリーンって音と、ジジジのって音は?」


シルフ 「ん?チリーンの後にジジジ………?

それって、もしかして………。」


レオン 「シルフ、キミも気付いた?」


楽 「あっ、レオン!」


千棘 「シルフ、あんたも実体化してたの?」


レオン 「ねえ楽、その音もしかして………。」


楽 「悪いが、俺たちは今立て込んでんだ、

お前らにはかまってられないから、

大人しく星匣(ほしはこ)に戻っててくれ!」


レオン 「………。」



千棘 「で、あの音はなんだと思う、楽?」



ブルブル………



楽 (千棘が怯えきってる………元気にしてやんねーと。)



楽 「き、きっと、「チリーン」って鳴く声の虫と、「ジジジ………」って鳴き声の虫が、連続して鳴いたんだな!」


チリーン ジジジ………


楽 「ほらな!

2つの虫の鳴き声だって!」


千棘 「でも、1回ならともかく、

2回も3回も別々の虫が連続して鳴くなんておかしくない?」


楽 「うっ、確かに………。」


千棘 「それに、後の方の「ジジジ………」って音、

虫の鳴き声って言うより、

なんて言うか………電気の音みたいじゃなかった?」


楽 「じゃあ、

虫が鳴いた後に、どっかの電線がバチバチ鳴ったんだな、きっと!」



チリーン ジジジ………


バチッ



楽&千棘 「!」



今度は、2つの鳴き声の後に、

電気がスパークする様な音が聞こえた、



楽 「ち、千棘。

聞こえたか、今の?」


千棘 「うん。

聞こえたわ………、

あれも、あんたが言ったようにコードか何かから電気が流れた音………?」


楽 「いや、もしかしたら、

幽霊の中にはエクストプラズマとか言うのを使うのもいるってゆうし………

まさかホントに………。」


千棘 「キャアアアァッ!」



ギュウウウッ



楽 「わっ!しまった、つい………。」


シルフ 「……………ねえ千棘、

それってやっぱり………。」


千棘 「な、なによシルフ!?

私今、あんたとマトモに話せる状態じゃ無いんだけど?」



チリーン ジジジ………



千棘 「!」



再び聞こえたその音に対して、千棘は何かに気付いた。



千棘 「ね、ねえ楽………。」


楽 「ん?どうした?」


千棘 「さっきから聞こえてる鳴き声、

あの教室から聞こえてこない………?」


スッ



千棘は一つの教室を指差した。



楽 「確かに、言われてみれば………。」


千棘 「あ、あんたちょっと、

開けてみてよ………。」


楽 「いいけど………

お前、大丈夫なのか?」


千棘 「怖いけど………

音の正体が分かんないままだと、

このまま怖いまんまじゃない………。」


楽 「分かった、開けるぞ?

せーの………。」


バッ



楽&千棘 「!」



扉を開けた楽と千棘が見たものは………


第1巻 第226話 完


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