第1巻 第54話 アラソイ
千棘 「全く….…何だから久々ね、私達の家同士の争いって。」
楽 「そうだな、大学生になって星神になってからは星獣との戦いの方が大変だったからな。」
楽と千棘が手を繋ぎながら神社を目指している頃、少し離れた屋台付近では
? 「あ!寺(でら)ちゃん、ごめんまったぁ〜?」
小野寺 「あっ、蕾(つぼみ)ちゃん。
どう、かき氷屋さん向こうにあった?」
蕾 「うん、近くにもあったけど、何か怖そうな店員さんが別のお店の店員さんと怖い顔して言い争ってたから、遠くの別のかき氷屋さんまで行ってたの。」
小野寺 「えっ?それって………」
蕾 「何か知ってるの?寺ちゃん。」
小野寺 「えっ!?いや、何も知らないよ?」
小野寺は佐張大の同じ栄養学部の友達の梅原 蕾(うめはら つぼみ)と縁日に来ていた
赤みを帯びた茶髪のセミロングヘアを花の蕾の髪留めでポニーテールにしている
小野寺 (多分、一条君と千棘ちゃんの家の人の事だろうなぁ………)
蕾 「ところで、寺ちゃんは彼氏さんとかいないの?」
小野寺 「え!?何?いきなり?」
蕾 「え?だって高校の時、中学からずっと好きだった人がいたって言ってたじゃん。」
小野寺 「だからその人は………」
蕾 「あ!そーだよね、高3の夏に事情で恋人のフリをしてた人が本当に好きになっちゃって、付き合い出したんだよね?
その人と寺ちゃんは親友なんだったよね。」
小野寺 「うん。よく覚えてるよね、蕾ちゃん。」
蕾 「じゃあもう、諦めるしかないよね………あ!じゃあ、彼はどうなの?」
小野寺 「え?」
蕾 「弥柳君だよ。」
小野寺 ブゥーー!
小野寺 「ど…どうって!?」
蕾 「だって、寺ちゃん最近弥柳君と仲よさそうじゃない。」
小野寺 「前期の試験の時に少し勉強を手伝って貰って、趣味が近いから少し話すようになっただけだよぉ………そんなんじゃ無いって!」
蕾 「そうなんだ?でも弥柳君の方は寺ちゃんを入学当初から随分見てたけどなぁ?」
小野寺 「え?」 カァァ………
小咲は蕾の発言に頬を赤らめた
小野寺 (そりゃ弥柳君はいい人だし、一条君にどこか似てるけど、やっぱり一条君の事そんなすぐには忘れれないよぉ……………)
その頃・楽と千棘
楽 「おいおいお前ら………」
ヤクザF 「あ!すいやせん坊ちゃん!」
楽 「これで6件目だぜ?幾ら何でも多すぎねぇか?」
千棘 「そうね。」
警官A 「警部補!こちらです、ヤクザとギャングが暴れてるのは。」
警部補 「よし!沈めろ!収まらない様なら逮捕しろ!」
楽 「おいおい、警官まで加わっちまったぜ?」
千棘 「でも何だか、あの警察の人たち人数が多すぎ無い?」
楽 「そういやあそうだな。どういう事だ?普段はこんな争い無いのに。」
? 「あ!楽様〜〜〜!」
楽 「ん?げっ!」
ダダダッ
振り返ると万里花がこちらに全力疾走して来た
ピンク色の花柄の綺麗な浴衣を着ていた
万里花 「お会いできて嬉し………」
千棘 「ていっ、たぁっ!」
千棘は万里花が楽に抱きつく前に、万里花の浴衣の帯を掴んで柔道技を決めた
橘 「何をなさるんですか桐崎さん。
あなたは相変わらず粗暴な方ですね。」
プンスカ
千棘 「あんたが人の彼氏に抱きつこうとするからでしょ?あんた私たちがもうホントに付き合ってる事知ってるでしょ?」
橘 「あら、あなたがそんな柔道を覚えたメスゴリラのままなら、尚更楽様を任せれませんわね。
あなたがそのまま本物になったと言うなら、楽様が可哀想ですわ。」
千棘 「何ですって?」
楽 「なあ橘、あの大量の警官何なんだ?お前、何か知らないか?」
橘 「あ、はい。あの方たちはヤクザやギャングの方々の取り締まり兼私の護衛ですわ。」
楽 「護衛?」
橘 「はい。私が縁日に行くとお父様に話したら、この縁日はヤクザの方々も屋台を出していると仰っていたのでお父様が付けて下さいました。」
千棘 「だからって、私達の家のみんなを取り締まるのよ!?あんたの護衛だけすればいいでしょ?」
橘 「いえ、あの方たちはヤクザとギャングなのですから、むしろ取り締まって当然では無いですか。」
楽 「確かにそれを言われると………」
千棘 「楽!とにかく止めに入るわよ!」
楽 「あ、そうだな。じゃーな橘!」
スタスタ
橘 「……………楽しそうですわね。羨ましいですわ。」
第54話 完
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