第1巻 第14話 サイホウ
ガチャ
楽 「あーもう、今日は4限までかよ。
鶫から言われた基礎トレーニングって奴もやらなきゃいけないし、タルいな」
千棘 「あ、待ってよ楽。手繋いで行こーよ!」
楽 「ん?ああ……」
数分後 凡矢理駅までの道
千棘 「これっていわゆる、恋人繋ぎってやつ?」
楽 「ああ、この前ネットで見たんだ。
本当に付き合ってる今だからやってみたくなってな。」
千棘 「なるほど、まぁ私は嬉しーけどね。」
凡矢理駅
楽 「そういやあお前、ファッションの専門ってやっぱり服を作ったりするのか?」
千棘 「ううん。まずは最初は基本の裁縫からで、ボタンの縫い方とか、色の付け方とかに発展してくの。」
楽 「なるほど………」
集 「おーい、楽〜〜!」
楽 「お!集!」
集 「やっと登校の時間帯あったな!
入学式以来全然だったよな?」
楽 「ああ、お前1限からの日少ないのか?」
集 「まあね。あそうだ楽、桐崎さんとの同棲はどうよ?」
楽 「おう、思ったより全然順調だぜ。千棘が料理や家事が思ったより全然出来るようになってたし。」
千棘 「楽のパートナーになる為に外国で色々がんばったもん!」
集 「へぇ〜、そりゃは良かった。」
千棘 「舞子君もるりちゃんと一緒に住んでるんだよね?」
集 「うん。まーね〜、お前らほど家が金持ちじゃないから、2人でバイト代出し合って家賃払ってるんだけどね。」
楽 「大変だな。」
集 「いや、家賃自体は月4万だからまだ全然いいんだ。
1番の問題は俺の写真コレクションを部屋のどこに隠してもるりちゃんに必ず発見されて破かれる事なんだけどね。」
楽 「相変わらずだなお前も………」
集 「まあ、お互いの同棲生活話はこの辺にして、そろそろ行こーぜ。」
それから3人は凡矢理駅から東駅に行き、それぞれの学校に向かった。
LAB ファッションデザイナー学院
千棘の通う、東駅から徒歩で1km弱の所にあるスパイラルタワーを校舎とする、日本で有数のファッションの名門の専門。
数々のファッションデザイナーやアパレル関係の有能な人材をあちこちに輩出している名門校だ。
キーンコーンカーンコーン
千棘 「さて、確か今日から色合いの授業の始まりよね。
色事に服に合う合わないがあるからちゃんと覚えないと………」
鶫 「お嬢ー、ちょっとよろしいですか?」
クラスの扉を開けて、デザイン科に鶫が入って来た。
千棘 「アレ?どうしたのつぐみ?あんたはモデル科じゃあ……」
鶫 「いえ実は、最近この校舎のスパイラルタワーの周辺に海王星の星の光がどんどん強くなって行くので、ご報告くらいしておこうかと思いまして。」
千棘 「えっ?星の光って、あの楽やレオくんが持ってるあのエネルギーの事?」
鶫 「はい。海王属性は多少厄介な特性を持っていましてね。
あ、でもご安心下さい。
仮に星獣が出てきてもわたしがお嬢を絶対にお守りします!」
千棘 「うん。頼りにしてるわよ。」
鶫 「では、私はこれで。」
鶫はそういうとデザイン科の教室を出て
自分のモデル科に戻っていった。
千棘 「ハァ〜〜星神かぁ。」
千棘 (あの青いウミヘビと楽が戦った時、あのもやしだとばかり思っていた楽があんなに勇敢に戦ってくれて、凄く嬉しかったし頼もしかった。)
千棘 (でも、あの時私はただ楽と鶫と蒼也くんにに守られていただけで、ウミヘビの鞭打ちで足をやられちゃった………
全くの無力だった……)
千棘は楽が小咲よりも自分を選んでくれた理由の一つが、「私と2人でなら見たことも無い世界に辿り着けそうだから」という事を思い出していた。
千棘 (あいつは私をその理由で選んでくれたのに、私はあの時あいつに守られてばかりだった。それでいいのかなぁ………)
千棘 「ハァ〜」
? 「どうしたの?桐崎さん?」
隣の席に座った女子生徒が、千棘に話しかけて来た。
千棘 「あ、いや何でもないの………」
? 「なんだか随分と悩み詰めていたような顔をしていたけど……」
千棘 「大丈夫だよ?えっと………」
倉谷 綾 「倉谷だよ。倉谷 綾」
千棘 「あ、ゴメン私日本に帰って来てから学校以外で色々あり過ぎて、隣の倉谷さんとすら全然話してなかったから………」
倉谷 「いや、いーよ。ねーねー、それより桐崎さんってあの 柴田 菫(しばた すみれ)さんの弟子で半年以上世界を回ってたんでしょう?
ソレ、ほんとなの〜?」
千棘 「うん、まーね。でも一緒に世界を回ってみて分かったけどスミレさんって本当に凄い人なんだね。
各地で会ったファッション・アパレル業界の人達は殆ど知ってたし。」
倉谷 「そーなんだよ〜〜、私はお母さんもファッションデザイナーだけど、お母さんもよく知ってたし。
小さい頃から沢山聞かされてきたよ〜、
そういう話。」
千棘 「へぇ〜、倉谷さんってお母さんがファッションデザイナーなんだ!」
倉持 「うん。お母さんが店で選んだり作ってくれた服、スッゴく可愛くて学校でも人気だったから子供の頃から大好きだったんだ〜。
だから私も将来絶対ファッションデザイナーになってあんな綺麗な服を作ろうって決めてたんだ!」
千棘 「へぇ〜、そんな子供の頃から凄いなぁ………」
千棘 (私なんか楽と出会う前までは、将来の自分もあやふやで、ただクロードの過保護のせいで友達すらも全然いなかった生活だったのに、やっぱりこういう子もいるんだぁ。)
先生 「おーい、HR始まるぞー」
倉谷 「あっ桐崎さん、そろそろ前向かなきゃ」
千棘 「そうね。」
先生 「えーでは、前に話した通り今日からは服の色合いの授業に入ります。
まず、メンズを選択する場合は〜………」
放課後
千棘 「ふー、やっとクラスの人と話せた!
倉谷さんいい人だったなぁ〜。」
千棘 (優しそうな所はどこか小咲ちゃんに似てるけど、あの裏表のなさはどちらかと言えば万里花に似てたわね)
千棘 「よーし、この調子でLABでもどんどん友達を………」
千棘のiPhone 「プルルルレ」
千棘 「アレ?楽からだ、何だろう?」
楽 「お、千棘か?来週のGW空いてるか?」
千棘 「え?別に空いてるけど、何でぇ?」
楽 「集と宮本から2人で4泊5日の旅行に行かないかって、さっきメールが来たんだ。
お前も行くか?」
千棘 「え?るりちゃんと舞子君が?行く行くーー。つぐみも誘っていい?」
楽 「もちろん!詳しくはウチに帰って来てから話す。」
千棘 (久しぶりだなぁ、高校時代のメンバーで遊ぶの………)
第14話 完
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