2019-04-04 03:18:00 更新

2017年10月6日(金) AM:7:30



今日は、楽と千棘の交際半年記念日



千棘 「ついに、この日が来たわね、楽!」


楽 「ああ、今日は俺とお前の半年記念日だ。」


千棘 「で、今日はどうするの?

いつも通り、どこかにデートに行くの?」


楽 「いや、今日はな………」



AM:8:00 ホテル ラフレシア・凡矢理


千棘 「へー、まさかあんたが、こんな所の予約なんて取ってたなんてね!」


楽 「ああ、先月から春ちゃんに頼んで、バイトのシフトを増やして貰って、

ここを予約する為のお金を貯めてたんだ。

親父(おやじ)や竜達に頼んだら、

金は出してくれただろうけど、

お前との思い出の為のホテルだからな、

自分で頑張って貯めたお金で、

お前に半年記念の思い出を送りたかったんだ。」


千棘 「楽………ありがと!

私、スッゴく嬉しい!」



ラフレシア・凡矢理 408号室


千棘 「へー、キレイなお部屋!」


楽 「ああ、いい部屋だろ?

俺も気に入ったんだ。

じゃあ、改めまして………」


スッ


千棘 「ひゃっ!」


楽は千棘の顎(あご)をつまみ、自分の方を向かせた。


チュッ


楽 「千棘、俺と半年間付き合ってくれてありがとう。

お前と本当に付き合い出してからのこの半年間、

初めて好きな女の子と付き合えて、

本当に楽しかった。

これからもよろしくな。」


千棘 「楽………はい!私こそ、これからもよろしくお願いします!」



ホテル内 屋内プール


千棘 「そーれー!」


バシャ パシャ


楽 「うわっ!やったなー、お返しだー!」


バシャ バシャ


千棘 「楽ーー、一緒にプールに飛び込もうよー!」


楽 「いいけど………なんで2人でなんだ?」


千棘 「いいから、いいから!」



楽と千棘は、プールの飛び込み台の上に立った。



楽 「行くぞー、そーれ………」


千棘 「えいっ!」


ドンッ


楽 「わわっ!?」


千棘は、楽が飛び込む直前で自分も飛び込みながら、楽を押した。


ドバッシャーン


楽 「ぶはぁっ!千棘、お前何を………?」


千棘 「えいっ!」


ギュッ


千棘は楽を、水中で抱きしめた。


楽 「わわっ!?」


千棘 「思った通りだ、楽とくっついてると、

冷たい水の中でも温かい!」


楽 「お前………その為に俺と2人で飛び込みを?」


千棘 「えへへ………まーね………」


楽 (しっかし、コイツの体やっぱりスッゲー温かいし、柔らかくて気持ちいいな。

ここが水中だって事、忘れちまいそーだ。

やっぱりコイツ、スゲースタイルいいなぁ………)


楽 (やっぱり顔もスッゲー可愛いし、

高校の時と違って、俺に相応しい女の子になる様に色々努力してくれるし、

何より高校の時と違って、こうやって俺に積極的にスキンシップもしてくれるし……………

こんな子が、俺の彼女ってだけで、

スッゲー幸せだなぁ………)



ホテル内 屋内庭園


千棘 「わーー!見て楽、こんなにキレイなお花や木が一杯(いっぱい)あるよ!」


楽 「ああ、キレイだな。」


千棘 「ん?見て楽!

これって菊じゃない?

あんたが昨日、京都で私に交際半年記念のプレゼントにくれた、ブローチに付いてた!」


楽 「ん?ああ、ホントだな。」


千棘 「それにこっちにあるの、

99本の薔薇(バラ)じゃない?

あんたが19歳の私の誕生日に、ネックレスで私にくれた。」


楽 「ホントだ。

ここ、こんなのもあるんだな。」


千棘 「楽、私ね、この花達みたいにキレイで、あんたに相応しい女の子にいつか絶対になってみせるから!

あんたもちゃんと、私の事見ててよね!」


楽 「ああ、頑張れよ。」



そして夜、ホテルの食堂


千棘 「うーん、このステーキ美味し〜〜♪」


楽 「お前、ホントに食べる事が好きだよな………」


千棘 「ご飯は命の元だもの!

嫌いな人なんて、いるわけないわ!」


楽 (………まあ、俺は千棘のこういう気取らないところにも惚れたんだがな。)


千棘 「はぁ〜〜、美味しかった〜〜。」


ディナーを食べ終わった千棘は、

口の周りに食べかすが沢山付いていた。


楽 「ん?千棘お前、口の周りが食いカスだらけだぞ。」


千棘 「え?」


楽 「ったく、」


スッ


千棘 「ひゃっ!」


楽はナプキンを手に取り、千棘の口の周りに付いた食べかすを拭き取った。


千棘 「……………」


楽 「お前、お淑やかな女の子になりたいんだろ?

だったら、メシ食う時のマナーくらい、ちゃんとしろって。」


千棘 「え?ああ………うん、ごめん。」


カァァァ………


千棘は顔を赤らめた。


千棘 「あ、ありがとう………」


千棘 「楽……………」


ドキッ


千棘の口の周りを拭き取った礼の言葉に、楽はまたドキッとした。



ホテルの風呂場


楽 「ふーーう、いい湯だな〜〜。」


千棘 「楽ーー!そっちの湯加減(ゆかげん)はどうーー?」


壁の向こう側から、千棘の声が聞こえて来た。


楽 「ん?ああ、千棘か。

いい湯だぜーー。」


千棘 「ふふっ、ホントはここのお風呂が混浴だったら、楽と2人でゆっくり入りたかったんだけどね。」


楽 「おまっ!

いきなり何を………まあ、京都で実際に少しだけ入ったけど………」


千棘 「アハハ………冗談よ、冗談。

私ね、そういうのはもっと後にはやりたいの。」


楽 「え?」


千棘 「だって私たち、本当に付き合い出してからまだ半年でしょ?

キスもまだ何回かしただけだし………

そんなにいきなり私達の関係が進んだらつまらないもの。

もっと時間を掛けて、私たちの恋と関係を進めたいの。」


楽 「千棘……………ああ、そうだな!」



そして、再び408号室


楽 「ふーー。今日一日、楽しかったなー、千棘!」


千棘 「そうね。

楽、本当にありがとうね。

私との半年記念日を、こんな素敵な思い出にしてくれて!」


楽 「いや、俺の方こそスゲー楽しかったぞ。

あとはベッドで寝るだけだけど、他に何かしたい事とかあるか?」


千棘 「そうねえ………あ!そうだ楽、最後に半年記念のキスをしてよ!」


楽 「ああ、いいぜ。

ほら、目を閉じろよ。」


千棘 「うん!」


パチン


千棘は目を閉じた。


スッ


クイッ


千棘 「ひゃうっ!」


楽は千棘の顎(あご)をつまんでしゃくり上げた。


楽 ドキドキドキ………


千棘 ドキドキドキ………


楽が千棘の唇まであと数cm(センチ)と迫った、その時


楽のiPhone 「プルルルル………」


楽 「ん!?何だよ、こんな時に!」


千棘 「あーもう!いいとこだったのに!」


楽 「わりー千棘、ちょっと出るわ!

もしもし………ん?蒼也?」


千棘 「え?蒼也くん?」


第1巻 第175話 完










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