第1巻 第77話 ガラスノ
レオン 「え!?」
シルフ 「ん!?」
楽 「わわっ!?」
千棘 「ど…どーしたのシルフ?いきなり星匣から出て来て?」
シルフ 「あ!いや……なんでも無いわよ……」
レオン 「……………」
シルフ 「レオン、あんたも気付いた?」
レオン 「うん。ボクも今一瞬、木星の星の光を感じたよ。」
シルフ 「ええ、しかもコレは野生の星獣のものじゃないわ。
明らかに契約星獣のものよ。」
レオン 「…………………」
千棘 「ねー楽、次どのゲームやる?
もう蒼也くんから貰ったカジノチップ殆ど無いじゃない!」
楽 「お前が負けまくるからだろ………」
千棘 「何よ………ギャンブルだから仕方がないじゃ無い。
負ける時もあるわよ。」
楽 「まあ、そりゃあそうだけど………あ!あれなんかどうだ?」
千棘 「え?アレって………チェス?」
楽が残ったチップでやるのを選んだのは、ガラス製のチェスだった
楽 「ほら、これなら賭けチップを自由に選択できるだろ?」
千棘 「そうね。それにこのチェス、ガラスで出来ててキレーだし。
いいわよ。」
カチャ カチャ カチャ
楽 「う〜〜、ヤベェもう駒が数個しかねぇ………」
カチャ
千棘 「チェックメイト」
楽 「あ〜〜〜!負けたーー!!」
千棘 「やったぁ」
楽 「将棋なら竜達と良くやってるから勝てると思ったのに………」
千棘 「チェスと将棋は違うわよ?将棋と違って相手の駒を取っても自分は使えないからね。」
楽 「でも………なんだかお前に負けたら悔しくなって来た!またやりてーな〜〜」
? 「おや、ならばそのチェス盤を買って行きますか?」
楽 「え?」
千棘 「あ!オーナーさん。」
オーナー 「気に入ったら、チップで買って行けばいいよ。
そのガラスのチェス盤なら、君達が蒼也から貰った余りのチップでも十分買えるしね。」
楽 「え?おっさん、蒼也とも知り合いなのか?」
千棘 「ちょっと楽!失礼でしょ?このオーナーさんは数十のマフィア・ギャング組織御用達のこのカジノを一代で築いて経営している人よ!」
楽 「え!?そんなにスゲー人なのか?」
オーナー 「いやいや桐崎のお嬢さん、そんな凄い人間じゃないよ僕は。
この前もあの女の所為でパーティーを台無しにされたしね………」
千棘 「ああ、あの事件ですか。全く酷いですよね………」
楽 「え?このカジノで前になんかあったのか?」
オーナー 「まあ、僕のだらしない話は置いといて、どうする?買うのかい?」
楽 「あ、いやそれは………」
千棘 「買います。」
キッパリ
そして楽と千棘はゲームで使った余りのチップを使ってガラスのチェス盤一式を買った
帰り道
楽 「……………しかし珍しいよな。食い物でも無いのにお前があんなに欲しがるなんて。」
千棘 「な!?あんた、私を食べる事しか生き甲斐ない女だとでも思ってるの?失礼ね!」
楽 「わわっ!?悪かったって!」
千棘 「……………なんかね、このゲームって似てると思ったの。
恋愛と。」
楽 「え?」
千棘 「駒の動き一つ一つで状況と相手の考えてる事が変わって行く………
それに一度取られた駒はもう取り返せない。
恋愛でも取り返しが一度相手にしちゃった事はつかないでしょ?」
楽 「言われてみればそうだな………」
楽は高校時代の2年半の千棘との、皆んなとの毎日を思い出しながら、千棘と手を繋ぎながら集英組の実家に帰りました。
第77話 完
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