第1巻 第152話 ブトウシ
2017年10月3日(火) PM:19:00
守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)
食堂
楽達は黒百合旅館(くろゆりりょかん)の1日目の日程を終えて、食堂で舞子さん達の踊りを見ながら、京都料理の和食を食べていた。
舞子さんA 「あーら、えいやさ、ほいやさ、
ほいやっと。」
集 「いや〜〜、やっぱりいいですなーー。
本場、京都の舞子さんはぁ!」
るり 「集くん………」
ゴゴゴ………
集 「ひいっ!分かってるってるりちゃん!
浮気なんかしないよ!」
小咲 「アハハ………るりちゃんと舞子君、今日昼間からずっとこんな調子だね。」
鶫 「これが日本酒か………私は余り飲まないが、中々アルコールの度が強いものだな。」
蒼也 「そうだな………」
グビッ
蒼也は鶫と話しながら、今まで余り飲んだ事が無かった日本酒を口に含んだ。」
千棘 「ダーリン、お酌してあげるよー。
私と一緒に呑も♪」
楽 「ああ、いいぜ。
ほれ、注いでくれ。」
スッ
楽は千棘にお猪口(オチョコ)を差し出した。
トクトク………
グビッ
山中さん 「はーい、舞子さん方、
次の踊りは、緑間 風介(みどりま ふうすけ)くんの、
日本舞踏(にほんぶとう)でーす。」
ガラッ
食堂の襖(ふすま)を開けて、若い男性が入って来た。
山中さん 「風介ちゃん、次の踊りヨロシクね。」
風介 「はい、山中さん。」
楽 「あっ!あいつは………」
その男性は、楽達一行を入り口から山中さんの元まで案内してくれた、あの男だった。
昼間とは違い、踊り様の着物に着替えている。
風介 「この旅館の、日本舞踏(にほんぶとう)担当の、緑間 風介(みどりま ふうすけ)
です。」
ペコッ
ペンペン タンッ
小咲 「わぁ〜〜、綺麗ー。
まるで、女の人が踊ってるみたい。」
万里花 「見事な日本舞踏(にほんぶとう)ですわね。」
風介の踊りは、
それは見事なもので、その場の殆どの者が見とれてしまった。
千棘 「ホント、キレい………」
風介 「……………」
ペコッ
パチパチパチ………
風介が踊りを終えてお辞儀(おじぎ)すると、
みんな一斉に拍手をした。
風介 「ご静聴、ありがとうございました。
僕の踊り、どうでしたか?」
千棘 「スッゴく、綺麗(キレイ)な踊りでしたー!」
風介 「そうですか………ありがとう。」
スッ
風介は千棘の前に中腰になり、
千棘の右掌(みぎてのひら)を掴んだ。
千棘 「えっ?」
チュッ
千棘 「えっ!?」
楽 「なっ!」
小咲 「わぁ!」
カァァァ………
万里花 「あらまあ………」
風介は千棘の右掌(みぎてのひら)の甲にきすをした。
楽 「!おい、お前!
何してんだ?コイツは俺の彼女だぞ!?」
風介 「へーえ、君の恋人だったんだ。
それは失礼。
踊りの賛辞(さんじ)へのただのお礼のつもりだったんだがね………
でも………」
風介 「僕には君が、恋なんてマトモに出来る人間には見えないけどね。」
楽 「なっ!」
千棘 「……………」
第1巻 第152話 完
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