第1巻 第58話 アオトリ
籠の中の鳥 「グエーー、グエーーェ」
その鳥籠の中にいたのは全身が真っ青な小鳥だった。
楽 「こいつは………」
千棘 「何この子?全身真っ青じゃない。」
春 「この子、オウムなんですよ。」
楽 「え?」
青いオウム 「グエーー、グエーー」
千棘 「この子がオウム?オウムって、こんな全身青色の種類がいるの?」
春 「はい。先輩達が卒業した少し後に私が和菓子屋おのでらの前で拾ったんですが………獣医さんに診て貰ったら稀にDNAの突然変異で赤や黄色一色のオウムが生まれるそうなんです。
ただ、その中でも青一色はDNAの配列の関係で相当珍しくてその獣医さんも見るのはこの子が初めてだとか………」
宮本 「へぇ〜〜、珍しいこともあるものねぇ。」
楽 「で、何でコイツがウチで世話すんのが難しいんだよ?」
春 「いえ、それが………その子、風ちゃん以外が餌をあげても誰も食べないし、風ちゃんすら餌をあげれるだけで言葉は教えても全く覚えないんです。」
楽 「なるほどな。そりゃそのまま竜達に預けるわけにも………」
青いオウム 「グエ」
楽 「え?」
青いオウムは楽の手の上に止まった。
楽 「え?コイツ突いてこない?どーいう事だ?」
千棘 「おかしいわねぇ?あんた、ポンチ以外の動物には嫌われまくりのはずじゃあ?」
青いオウム 「グエーー、グエェーー」
その青いオウムは随分嬉しそうだった
春 「……………一条先輩、ちょっとその子にエサあげてみて下さい。」
楽 「え?でもコイツ、風ちゃん以外があげた餌は食わねーんじゃあ………」
春 「いいからお願いします。」
楽 「………分かったよ。ホーレ、エサだぞ〜〜?」
青いオウム 「グエ」
パクっ
楽 「!食べたーー!」
風 「どういう事?今まで私以外は春が何度餌をやってもダメだったのに………」
青いオウム 「グエー、グエーー」
青いオウムは美味しそうに種を頬張っていた
楽 「……………なあ千棘、スペクトル凡矢理って、犬猫はダメだけど小鳥は別に良かったよな?」
千棘 「え?うん、私達のお隣さんもインコを飼ってたし………」
楽 「コイツ、俺らの部屋で飼おーぜ!」
千棘 「え?あんた本気ィ?」
風 「確かに私と一条先輩のあげたエサしか食べないなら、ここで飼うか先輩が飼うかしか無いですが………」
楽 「こんな懐いてくれたの、ポンチ以来で俺感激したぁ!決まりだな!」
春 「良かったですね先輩。」
楽 「じゃあ、名前どうする?」
橘 「楽様2号はどうでしょう?」
楽 「いや橘、お前が飼うんじゃ無いから………」
千棘 「青いオウムねぇ………あ!そうだ!」
楽 「?どーした千棘?」
千棘 「ペイルってのはどう?」
楽 「ペイル?」
千棘 「うん。英語で「青白い」って意味なの。
この子、水色に近い白みもある青だからからピッタリじゃない?」
楽 「そうだな………よーしペイル、今日からお前は705号室の一員だ!」
ペイル 「グエーー」
薄青のオウム、ペイルを加えて楽達の夏休みはまだまだ続く
第58話 完
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