第1巻 第43話 タメシタ
シルフ 「じゃあ千棘、私はこれで星匣に戻るね。」
千棘 「あ…うん。これからよろしくね、シルフ!」
シュンッ
クロード 「お嬢!お怪我はありませんか!?」
ダッ
千棘 「うん、私は大丈夫よ。それより皆んなを」
クロード 「あっ、はい。皆のもの!怪我人を運んで後片付けをしろ!」
ギャング一同 「はい、クロードさん!
おい、怪我人を運べー………」
蒼也 「俺も癒の札で怪我人を治す。」
橘 「私も手伝いますわ。」
鶫 「お嬢、見事な月ウサギの使いこなしようでしたよ!」
千棘 「月ウサギ?あの子そういう星獣なの?」
鶫 「はい。ボスもマダムフラワーも月属性なのですが………月属性の希少度は12属性随一、太陽や地球より更に珍しいんです。」
千棘 「えっ?そーなの?」
宮本 「あのー、そろそろ私達にも説明してくれない?」
鶫 「あっ、宮本様?」
集 「あんなん見せられちゃったら、もう何言っても驚かないよ?」
つぐみ 「舞子集……貴様も宮本様も見えてたということは既に一定以上の星の光があるという事だ。
いいだろう、実は………」
つぐみは星神、星獣、星の光の事を全てるりと集に話した。
宮本 「まさか………そんな生き物と力がこの世にあるなんてねぇ。」
集 「でも見ちゃったからには、もう信じるしかないよね。」
楽 「でも、千棘お前さっきの星錠一体どうしたんだ?何でいきなりお前まで星神に?」
千棘 「蒼也君から貰ったママからのプレゼントがアレだったのよ。」
楽 「え?華さんからの?」
蒼也 「その件については、俺から説明するよ。」
楽 「あっ、蒼也。どーいう事だよ?」
蒼也 「一週間ほど前、日本に数日だけ来ていたマダムフラワーから俺は星錠と星匣を預かったんだ。
「夢と恋人が出来た今の千棘になら、コレを渡してもも良い」って。」
楽 「華さんがそんな……でも、千棘お前良かったのかよ?お前、ギャングの世界には余り関わらないで普通の暮らしがしてみたかったって ………」
千棘 「いいのよ楽。」
楽 「え?」
千棘 「だって楽は、「見たことも無い世界に2人でなら行けそう」だから私を選んでくれたんでしょ?
だったら私も、守られてばかりじゃなくて一緒に戦いたいもの!
シルフと契約出来て良かったわ。」
楽 「千棘………お前!」
アーデルト 「いや〜、だいぶ上手く行ったようだねぇ」
千棘 「あっ、パパ!」
アーデルト 「good evening」
クロード 「あっ、ボス…申し訳ありません!一条楽の力試しも兼ねて、私は手を出さなかったばかりにアジトがこんな…」
アーデルト 「いいんだよクロード、これは僕が仕組んだ事だからねぇ。」
楽 「え?どういう事だよ?」
アーデルト 「ハナから言われていたんだよ。
千棘がもし星神にならずにファッションの道だけを歩きたいんなら、蒼也に渡した星錠と星匣を回収するように。
ちょうどこのパーティーの「快楽」の感情に釣られて木星チューリップが近くに来ていたから、気付いていたけど千棘を試すために屋敷に入れたんだよ。」
クロード 「なっ、ボス……そのような……」
楽 「滅茶苦茶な事するよなぁ………華さんもお前の親父さんも。」
千棘 「でも、私はこれで良かったよ。」
楽 「え?」
千棘 「だってこれで今日から、楽と一緒に戦えるじゃない。
守られてばかりじゃなくて、楽と一緒に新しい世界に行ける。
だから、今日覚醒して良かったよ私!」
ニコッ
楽 「お…おう、そうか。」
この日、千棘は19歳になったと同時に星神になった。
やっぱりこいつは俺やつぐみが守ってばっかのヤワな奴じゃ無かった。
こいつがそんな奴だからこそ、俺は小野寺より千棘を選んだんだろう。
第43話 完
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