第1巻 第222話 オタガイ
2017年10月22日(日) PM:13:00
中華料理店 凡矢理店
千棘 「次はここの、中華ラーメンよ!」
楽 「お前ホント、良く食うよな………。」
千棘 「ラーメンなら、幾らでも食べれるわよ!」
ガタッ
楽と千棘は、椅子(イス)に腰掛けた。
千棘 「中華ラーメン一つ下さい!」
店員D 「あいよーー。」
? 「あら、楽ちゃんと千棘ちゃんじゃ無い?」
千棘 「え?あっ、羽(ユイ)さん!」
楽 「羽姉(ユイねえ)?」
次に楽と千棘に話し掛けて来たのは、
羽(ユイ)だった。
楽 「珍しい日だなーー。
行く店、行く店でみんなに会う。」
千棘 「そうねー。
羽さんも、ラーメン食べに来たんですか?」
羽 「うーん。
私の場合は、研究かな。」
楽 「研究?」
羽 「うん。
ほら、私餃子(ギョーザ)以外作れないでしょ?
今もまだ日本で仕事する時は楽ちゃんの家に居候(いそうろう)してるし、
竜ちゃん達にも、色々食べさせてあげたいし、
叉焼会(チャーシューかい)の中国のみんなも、
ラーメンは好きだから、
ラーメンのレシピくらい、
覚えておこうと思ってね。」
千棘 「なるほど………。
流石羽(ユイ)さん!
みんなの事、ちゃんと考えてる!」
楽 「ありがとな羽姉(ユイねえ)、
竜達の為に。」
羽(ユイ) 「千棘ちゃん、
そうじゃなくても、女の子はやっぱり、
料理が出来なくっちゃ!」
千棘 「そうですね………
あ!そうだ羽さん、
ここの中華ラーメンの研究、私も参加していいですか?」
羽 「ええ、もちろんいいわよ。」
楽 「悪いな、羽姉(ユイねえ)。」
千棘 「すいませーん。
中華ラーメン、2つ下さーい。」
店員E 「はいよー。」
ゴトッ
楽、千棘、羽(ユイ)が座っているテーブルに、中華ラーメンが2つ置かれた。
千棘 「楽、あんたは食べないの?」
楽 「いや、俺はいいは。
腹一杯になって来たし。」
千棘 「そう………。」
そして、千棘と羽(ユイ)は中華ラーメンを食べ始め………
千棘 「羽さん、この麺、あそこのお店に売ってるやつですよね?」
羽(ユイ) 「そうよ。
よく分かったね。
こっちのお肉は鶏肉で………。」
ガヤガヤ ガヤガヤ………
楽 (千棘のやつ、ヤケに真剣だな………。)
30分後
千棘 「ありがとうございましたーー。」
カラン コロン
羽(ユイ) 「千棘ちゃん、今日は楽しかったよ。」
千棘 「こちらこそ、ありがとうございました!」
タタッ
楽と千棘は店を後にして、羽(ユイ)と別れた。
千棘 「よーし、これで美味しいラーメンが作れそうね!」
楽 「にしても意外だな、
お前が食う方じゃ無くて、
作る方に真剣になるなんて。」
千棘 「私だって女の子よ!
食べてばかりじゃ無くて、料理もするわよ!
最近は、あんまり料理して無かったし、
それに………。」
楽 「それに?」
千棘 「あんたにも、私が作った美味しいラーメンを食べて貰いたいもの!」
ニコッ
楽 ドキッ
千棘の言葉と笑顔に、楽はドキッとした。
千棘 「まあ、私がラーメンのレシピ覚えて、自分で作れるようになれば、
家でいつでもラーメン食べれるようになるってのもあるけどね♪」
楽 「結局、自分が食いたいだけかよ………。」
千棘 「さーて、次はどのお店行こっかー………ん?」
ウィーン
店員F 「ありがとうございましたーー。」
鶫 「中々、沢山カップ麺が買えたな。」
蒼也 「ああ。日本のコンビニにも、
中々揃ってるな。」
千棘 「あっ!鶫に蒼也くん?」
鶫 「お嬢?」
蒼也 「楽!」
コンビニから出て来たのは、鶫と蒼也だった。
楽 「今日はホントに、色んな奴に会う日だな………。」
鶫 「お嬢は、今日は一条楽とデートですか?」
千棘 「え?うん、そうだよ………。」
エヘヘ………
楽 「お前らは、何してたんだ?」
鶫 「ああ、私達は、仕事用の食糧を調達していたんですよ。」
ガサッ
鶫は、コンビニで買って来た袋を見せた。
千棘 「え?仕事用の食糧?」
楽 「でもそれ、ただのカップ麺だよな?」
楽の言う通り、鶫の持っている袋に入っていたのは大量のカップ麺だった。
鶫 「いいか、一条楽。
ヒットマンや星神たるもの、任務で遠い地で何日も過ごす事もある。
そこで、保存食としてカップ麺は単純だが最適なのだ。」
千棘 「なるほどね………
ねえ、鶫、蒼也くん。
そのカップ麺、2つくらい貰っていい?」
鶫 「え?」
蒼也 「はい。
いいですよ。」
スッ
蒼也は千棘に、カップ麺を2つ差し出した。
千棘 「ありがとー。
じゃーね、鶫、蒼也くん。」
鶫 「はい。お嬢、また。」
蒼也 「失礼します。」
千棘 「ニヒヒ………。」
楽 「何だよ、千棘お前こんだけラーメン食っといて、家でまでカップ麺食いたいのかよ?」
千棘 「違うわよ!
これは、あんたによ!」
楽 「俺に?」
千棘 「あんただって、ヤクザの若頭(わかがしら)で星神(ほしがみ)なら、その内、
鶫達みたいに長い戦いにも出るでしょ?
その時、あんたがご飯に困らない為によ。」
楽 「なるほど………ありがとな。」
千棘 「それで、次はどのお店に行く?」
楽 「そうだな………もう大分食べたし、
次で最後にするか。」
千棘 「そうね。」
凡矢理 ラーメン一楽
千棘 「さーて、最後はここよ!」
楽 「今日のパターンから考えると、ここにも………。」
るり 「あら、一条君に千棘ちゃんじゃない。」
集 「お!楽〜〜!」
楽 「やっぱり!」
例のごとく、店内にいたのは集とるりだった。
るり 「あなた達もデートなの?」
千棘 「そうよ!
ねえねえ、舞子君とるりちゃんは、
大学祭の出し物で何を出すの?」
集 「それは秘密だよ、桐崎さん。
当日にサプライズで見せなきゃ、
つまんないでしょ?」
千棘 「それもそうね、アハハ………
あ!そうだ、るりちゃん!」
るり 「ん?なーに、千棘ちゃん。」
千棘 「私と、大食い勝負しない?
さっき、小咲ちゃんと万里花ともやったけど、
あの子達じゃあ、全然相手にならないのよ!」
るり 「ええ、いいわよ。
私もたくさん食べたいしね。」
楽 「またかよ………。」
千棘 「るりちゃんが相手となると、今回は私も本気を出すわ………
シルフ!」
シルフ 「はいはい。
お腹の胃に星の光を集めて。」
ボウッ
千棘は、自分の銀色の月の光を胃に集めた。
集 「それじゃあいくよ、
よーい、ドンッ!」
千棘 ガッガッ!
るり ズー、ズー〜
千棘とるりは、一斉に食べ出した。
ガツガツッ
ズーズーー………
楽 「すごい食いっぷりだな………。」
集 「うん………。」
そして………
集 「るりちゃん8杯、桐崎さん12杯、
桐崎さんの勝ちー〜!」
千棘 「やったぁ!」
るり 「私も食べる量なら自信があったのに、
千棘ちゃんには敵わないわ………。」
楽 「まあ、
もともとあんだけ大食いの千棘が、
更に星の光で胃を強化したら、
いくら宮本でも敵わねーよな………。」
集 「しっかし、
俺達の彼女はスッゴい大食いですなぁ。」
楽 「だな。」
千棘 「ふーー、流石にお腹いっぱい。
ねえ、楽。
今日は美味しかったし楽しかったね。」
楽 「ん?ああ………そうだな。」
千棘 「………ねえ楽、覚えてる?」
楽 「あ?」
千棘 「高2の年が明けたばかりの時の、
私があんたの好みに合わせた、
定期デート。」
楽 「ああ、覚えてるぜ。
あん時はお前、ガラにも無いことしちゃって………。」
千棘 「そうね。
だから私、あんな無理はもう止める事にしたの。」
楽 「え?」
千棘 「だって私たち、
最初はお互い相性最悪で、好みも何もかも違ったでしょ?
だから、いきなり相手の好みなんて分かるわけないもの。
だったら、こうやってお互いの好きなものを少しずつ、
相手に分かって貰えば良いと思ったの!」
楽 「千棘、お前………。」
千棘 「今日は私の一番好きな食べ物のラーメンを、あんたにたくさん奢ってあげた。
今度は、あんたの好きな動物や趣味を、私に教えなさいよね!」
楽 「ああ、分かったよ。」
第1巻 第222話 完
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