2019-05-21 14:50:32 更新

2017年10月22日(日) PM:13:00


中華料理店 凡矢理店


千棘 「次はここの、中華ラーメンよ!」


楽 「お前ホント、良く食うよな………。」


千棘 「ラーメンなら、幾らでも食べれるわよ!」


ガタッ


楽と千棘は、椅子(イス)に腰掛けた。


千棘 「中華ラーメン一つ下さい!」


店員D 「あいよーー。」


? 「あら、楽ちゃんと千棘ちゃんじゃ無い?」


千棘 「え?あっ、羽(ユイ)さん!」


楽 「羽姉(ユイねえ)?」



次に楽と千棘に話し掛けて来たのは、

羽(ユイ)だった。


楽 「珍しい日だなーー。

行く店、行く店でみんなに会う。」


千棘 「そうねー。

羽さんも、ラーメン食べに来たんですか?」


羽 「うーん。

私の場合は、研究かな。」


楽 「研究?」


羽 「うん。

ほら、私餃子(ギョーザ)以外作れないでしょ?

今もまだ日本で仕事する時は楽ちゃんの家に居候(いそうろう)してるし、

竜ちゃん達にも、色々食べさせてあげたいし、

叉焼会(チャーシューかい)の中国のみんなも、

ラーメンは好きだから、

ラーメンのレシピくらい、

覚えておこうと思ってね。」


千棘 「なるほど………。

流石羽(ユイ)さん!

みんなの事、ちゃんと考えてる!」


楽 「ありがとな羽姉(ユイねえ)、

竜達の為に。」


羽(ユイ) 「千棘ちゃん、

そうじゃなくても、女の子はやっぱり、

料理が出来なくっちゃ!」


千棘 「そうですね………

あ!そうだ羽さん、

ここの中華ラーメンの研究、私も参加していいですか?」


羽 「ええ、もちろんいいわよ。」


楽 「悪いな、羽姉(ユイねえ)。」


千棘 「すいませーん。

中華ラーメン、2つ下さーい。」


店員E 「はいよー。」


ゴトッ



楽、千棘、羽(ユイ)が座っているテーブルに、中華ラーメンが2つ置かれた。



千棘 「楽、あんたは食べないの?」


楽 「いや、俺はいいは。

腹一杯になって来たし。」


千棘 「そう………。」



そして、千棘と羽(ユイ)は中華ラーメンを食べ始め………



千棘 「羽さん、この麺、あそこのお店に売ってるやつですよね?」


羽(ユイ) 「そうよ。

よく分かったね。

こっちのお肉は鶏肉で………。」



ガヤガヤ ガヤガヤ………



楽 (千棘のやつ、ヤケに真剣だな………。)



30分後



千棘 「ありがとうございましたーー。」


カラン コロン


羽(ユイ) 「千棘ちゃん、今日は楽しかったよ。」


千棘 「こちらこそ、ありがとうございました!」



タタッ



楽と千棘は店を後にして、羽(ユイ)と別れた。



千棘 「よーし、これで美味しいラーメンが作れそうね!」


楽 「にしても意外だな、

お前が食う方じゃ無くて、

作る方に真剣になるなんて。」


千棘 「私だって女の子よ!

食べてばかりじゃ無くて、料理もするわよ!

最近は、あんまり料理して無かったし、

それに………。」


楽 「それに?」


千棘 「あんたにも、私が作った美味しいラーメンを食べて貰いたいもの!」


ニコッ


楽 ドキッ



千棘の言葉と笑顔に、楽はドキッとした。



千棘 「まあ、私がラーメンのレシピ覚えて、自分で作れるようになれば、

家でいつでもラーメン食べれるようになるってのもあるけどね♪」


楽 「結局、自分が食いたいだけかよ………。」


千棘 「さーて、次はどのお店行こっかー………ん?」



ウィーン


店員F 「ありがとうございましたーー。」


鶫 「中々、沢山カップ麺が買えたな。」


蒼也 「ああ。日本のコンビニにも、

中々揃ってるな。」


千棘 「あっ!鶫に蒼也くん?」


鶫 「お嬢?」


蒼也 「楽!」



コンビニから出て来たのは、鶫と蒼也だった。


楽 「今日はホントに、色んな奴に会う日だな………。」


鶫 「お嬢は、今日は一条楽とデートですか?」


千棘 「え?うん、そうだよ………。」


エヘヘ………


楽 「お前らは、何してたんだ?」


鶫 「ああ、私達は、仕事用の食糧を調達していたんですよ。」


ガサッ



鶫は、コンビニで買って来た袋を見せた。


千棘 「え?仕事用の食糧?」


楽 「でもそれ、ただのカップ麺だよな?」



楽の言う通り、鶫の持っている袋に入っていたのは大量のカップ麺だった。



鶫 「いいか、一条楽。

ヒットマンや星神たるもの、任務で遠い地で何日も過ごす事もある。

そこで、保存食としてカップ麺は単純だが最適なのだ。」


千棘 「なるほどね………

ねえ、鶫、蒼也くん。

そのカップ麺、2つくらい貰っていい?」


鶫 「え?」


蒼也 「はい。

いいですよ。」


スッ


蒼也は千棘に、カップ麺を2つ差し出した。


千棘 「ありがとー。

じゃーね、鶫、蒼也くん。」


鶫 「はい。お嬢、また。」


蒼也 「失礼します。」



千棘 「ニヒヒ………。」


楽 「何だよ、千棘お前こんだけラーメン食っといて、家でまでカップ麺食いたいのかよ?」


千棘 「違うわよ!

これは、あんたによ!」


楽 「俺に?」


千棘 「あんただって、ヤクザの若頭(わかがしら)で星神(ほしがみ)なら、その内、

鶫達みたいに長い戦いにも出るでしょ?

その時、あんたがご飯に困らない為によ。」


楽 「なるほど………ありがとな。」


千棘 「それで、次はどのお店に行く?」


楽 「そうだな………もう大分食べたし、

次で最後にするか。」


千棘 「そうね。」



凡矢理 ラーメン一楽


千棘 「さーて、最後はここよ!」


楽 「今日のパターンから考えると、ここにも………。」


るり 「あら、一条君に千棘ちゃんじゃない。」


集 「お!楽〜〜!」


楽 「やっぱり!」



例のごとく、店内にいたのは集とるりだった。



るり 「あなた達もデートなの?」


千棘 「そうよ!

ねえねえ、舞子君とるりちゃんは、

大学祭の出し物で何を出すの?」


集 「それは秘密だよ、桐崎さん。

当日にサプライズで見せなきゃ、

つまんないでしょ?」


千棘 「それもそうね、アハハ………

あ!そうだ、るりちゃん!」


るり 「ん?なーに、千棘ちゃん。」


千棘 「私と、大食い勝負しない?

さっき、小咲ちゃんと万里花ともやったけど、

あの子達じゃあ、全然相手にならないのよ!」


るり 「ええ、いいわよ。

私もたくさん食べたいしね。」


楽 「またかよ………。」


千棘 「るりちゃんが相手となると、今回は私も本気を出すわ………

シルフ!」


シルフ 「はいはい。

お腹の胃に星の光を集めて。」


ボウッ


千棘は、自分の銀色の月の光を胃に集めた。


集 「それじゃあいくよ、

よーい、ドンッ!」


千棘 ガッガッ!


るり ズー、ズー〜



千棘とるりは、一斉に食べ出した。


ガツガツッ


ズーズーー………



楽 「すごい食いっぷりだな………。」


集 「うん………。」



そして………



集 「るりちゃん8杯、桐崎さん12杯、

桐崎さんの勝ちー〜!」


千棘 「やったぁ!」


るり 「私も食べる量なら自信があったのに、

千棘ちゃんには敵わないわ………。」


楽 「まあ、

もともとあんだけ大食いの千棘が、

更に星の光で胃を強化したら、

いくら宮本でも敵わねーよな………。」


集 「しっかし、

俺達の彼女はスッゴい大食いですなぁ。」


楽 「だな。」


千棘 「ふーー、流石にお腹いっぱい。

ねえ、楽。

今日は美味しかったし楽しかったね。」


楽 「ん?ああ………そうだな。」


千棘 「………ねえ楽、覚えてる?」


楽 「あ?」


千棘 「高2の年が明けたばかりの時の、

私があんたの好みに合わせた、

定期デート。」


楽 「ああ、覚えてるぜ。

あん時はお前、ガラにも無いことしちゃって………。」


千棘 「そうね。

だから私、あんな無理はもう止める事にしたの。」


楽 「え?」


千棘 「だって私たち、

最初はお互い相性最悪で、好みも何もかも違ったでしょ?

だから、いきなり相手の好みなんて分かるわけないもの。

だったら、こうやってお互いの好きなものを少しずつ、

相手に分かって貰えば良いと思ったの!」


楽 「千棘、お前………。」


千棘 「今日は私の一番好きな食べ物のラーメンを、あんたにたくさん奢ってあげた。

今度は、あんたの好きな動物や趣味を、私に教えなさいよね!」


楽 「ああ、分かったよ。」


第1巻 第222話 完













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