第1巻 第104話 アオイロ
楽のカバンが昨日、万里花に会った時と同じく、光り輝き出した。
光の色も今回も万里花の時と同じく天皇属性の白だ
楽 「なっ!?どうなってんだ!?さっきまで何とも無かったのに!?」
千棘 「楽、カバンの中の箱を!」
楽 「え!?あ………おう!」
ガサッ
楽は自分のカバンから橙と赤のが自分達と万里花の手に渡り、中には鍵とペンダントが5組残った箱を取り出した
カチャ
楽 「あ!やっぱり、橘の時と全く同じだ!」
箱の中では、今度は青い鍵が白く光っていた鍵の先には水を表す水滴の雫(しずく)形の穴が空いていた。
千棘 「どいう事かしら?小咲ちゃんは確かに星の光の素養はあるらしいけど、万里花と違って星神ですら無いのに?」
しかし確かに、小咲本人の方も淡く白い光を放っていた
小咲 「………え?これって一体………」
小咲は自分自身に起こった現象に驚愕し、
動揺していた
楽 「……………どうするよ、千棘?」
千棘 「どうするって……….そりゃ万里花の時と同じで、この鍵は小咲ちゃんを選んだって事でしょ?小咲ちゃんにあげるべきなんじゃ無いの?」
小咲 「え!?いいの?私なんかに?」
楽 「いーぜ小野寺、元々小野寺ならどれかの鍵が反応するんじゃ無いかって思ってたんだ。
13年前のあの前の約束に関係がある橘が光ったんだから、多分小野寺も光るんじゃ無いかって。」
千棘 「うん!私もそうなんじゃないかと薄々思ってたわよ!」
スッ
楽は小咲に雫(しずく)の形の穴が空いた青い鍵と、
それと対になる青いペンダントを渡した
氷の結晶の様な六角形に、右上に白い百合(ユリ)が飾られている
小咲 「……………ありがとう。
一条君、千棘ちゃん。」
千棘 「お礼を言うのはこっちよ!小咲ちゃんの小さい頃の楽との約束を埋めちゃった日から、ずっと小咲ちゃんには悪いと思ってたもの!」
小咲 「いや………いいんだよ千棘ちゃん。」
楽 「俺も良かったぜ小野寺、お前にあの日の恩返しを出来て。」
小咲 「そんな、恩返しだなんて………私は何も………」
小咲は思っていた あの日、自分がフられて楽が千棘を選んだだけの事だと
楽 「………そんな事はねぇよ。」
小咲 「え?」
楽 「あの日、お前より千棘を選んだのに、謝りも何もせずに千棘の事ばかり考えて行った俺をお前は無言で許してくれた………」
楽は自分が小咲に恋をしていた頃、自分がフられたらどんな気持ちだろうと胸を痛めていた
楽 「そんな俺を止めもせずに行かせてくれた小野寺だからこそ言えたんだ俺は………「ありがとう」ってな。」
スッ
楽は手を差し出した
楽 「ありがとう小野寺、こんな俺の初恋の相手になってくれて。それと………小野寺さえ良ければだけど………これからもずっと、大事な友達でいてくれるか?」
小野寺 「一条君………」
グスッ
小咲は一瞬、天駆高原の楽が自分に背を向けて千棘の元に行った光景を思い出したが、楽の素朴な優しさと誠実さは変わってないと改めて感じて、手を握り返した
ギュッ
小咲 「うん!これからもずっと、大事な友達でいようね。楽君!」
第104話 完
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