第1巻 第123話 ユルセン
バオ 「蓮!大丈夫か!?」
弥柳 「ああ、何とかな………」
ボタボタ
弥柳の肩からは、血と土星属性の茶色い星の光が流れ出ていた
小咲 「弥柳くん、大丈夫?」
弥柳 「ああ、大丈夫だ。小野寺さん、あんたは俺の後ろに下がっててくれ!」
小咲 「でも………」
エレキテル 「ハッハー!一般人の女の子に庇われるなんて、星神としてナサケナイネ!」
弥柳 「何だと………!」
エレキテル 「そもそも、星神がこんな一般の和菓子屋に呑気に来てる事自体、
相応しくないネ!」
ビリッ!
バリーン!!
エレキテルは、自(みずから)の金星の光の電撃で、和菓子屋の入っていたガラスのケースの1つを破壊した。
弥柳 「!お前………何てコトを!」
エレキテル 「ワッツ?」
弥柳 「小野寺さんや春ちゃんが、美味しくなる様に頑張って作ったお菓子を、
そんな簡単に………」
エレキテル 「ナニ?お菓子1つ壊したくらいで、一々動転してるのカ?
やっぱり、星神に相応しくナイ、甘ちゃんだね!」
弥柳 「……………」
エレキテル 「サーテ、トドメだ!
ヤレ、水星ガニども!」
スッ
エレキテルは再び、飼の札(カイノフダ)を振りかざした。
水星ガニ 「タラタラ………!」
ビュー
2匹の水星ガニは再び、弥柳に向けて水星の光の水鉄砲を放った
小咲 「弥柳くん!」
春 「弥柳さん!」
弥柳 「仕方無い。ホントは久々の戦いでキツそうだったから、この札までは使いたく無かったが………」
スッ
カシャンッ
弥柳の星匣 「吸の札(スイノフダ)」
エレキテル 「ムッ!?」
ジュワー
弥柳に当たった水星ガニの水鉄砲は、先程とは違い弥柳に吸収され、
色も青色から茶色に変わっていった。
エレキテル 「マサカ………それが、土星の光が持つ、「吸収」の特性か?」
弥柳 「その通りだよ。」
パンパンッ
弥柳が払った肩からは、傷跡が綺麗に消えていた。
弥柳 「ホントは余り使いたく無かったが。
あんたは菓子を傷付けた。
本気を出して戦うに十分値する!」
エレキテル 「ノーー!たかが菓子の1つや2つに、何をそこまでコダワル!?」
弥柳 「あんたは考えた事があるか?
菓子職人が菓子1つを美味(うま)く作る為に、どんだけ試行錯誤して努力してるか。」
エレキテル 「ナニ!?」
弥柳 「そんな事も分かんない奴に、俺は負ける気は無い!」
スッ
カシャンッ
弥柳の星匣 「終の札(ツイノフダ)」
バオ 「バオーー!!」
シュウウウッ
バオは自らと蓮の土星の光を、鼻先の一点に集め出した。
弥柳 「バオ、発射だ!」
ドンッ
バオの鼻先から土星の光がレーザー状に発射された
エレキテル 「くっ!」
カシャンッ
エレキテルの星匣 「盾の札(タテノフダ)」
ヒュンッ
エレキテルの右手に鹿の蹄(ひずめ)が装備され、そこからX(エックス)字型の金星の光のバリアを貼った。
ドガーン!
水星ガニA・C 「タラーー!!」
バシュウッ
エレキテルは盾の札で堪えたが、2匹の水星ガニは跡形も無く、粉々になった
エレキテル 「ココマデヤルトハ………」
第123話 完
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