第1巻 第142話 リョカン
2017年10月3日(火) AM:9:30
京都府京都市 守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)
千棘 「わぁ〜〜〜、大っきな旅館!
それに何だか、まさに和風って感じで、
日本の旅館っぽい〜〜!」
鶫 「京都はにほんの都市の中でも、「歴史の都」と呼ばれる程、歴史の古い都市ですからね。
数百年から1000年前までは、東京の前の日本の中心都市だったみたいです。」
守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)と言う、羽(ユイ)と集が二泊三日の予約を取ったその旅館は、3階建ての木造日本建築で、
庭には何本ものモミジやイチョウの木や、
錦鯉(にしきごい)達が優雅に泳ぐ池などがあった。
小咲 「キレイな旅館だね〜〜、るりちゃん。」
るり 「そうね。昨日集君と2人で慌てて、急いで皆んなに連絡を回して、皆でお金を出し合って旅館の予約を取った甲斐があったわ。」
集 「そうそう〜〜。それに、京都の旅館と言えば、綺麗(キレイ)な女将さんや巫女さんや、舞子さん!
俺、今から楽しみだよ〜〜〜♪」
るり 「集君。一応言っておくけど、
私と付き合ってる身で、浮気は許さないわよ?」
ゴゴゴ………
集 「嫌だな〜〜〜。
分かってるって、るりちゃん〜〜。」
鶫 「舞子集が、京都の舞子への期待で宮本様に釘を刺されている………」
楽 (ふぅ………。しっかし、集の奴が探して選んだ旅館だ。
見た目はどんなに良くても、何か変な噂とかあるんじゃねーか?)
蒼也 「中々いい、日本様式の旅館ですね。
これなら俺も、ビーハイブの任務と楽の戦闘訓練の息抜きを入れれそうだ。」
羽(ユイ) 「蒼也くんも、楽ちゃんを強くしてくれるのは私としてもすっごく嬉しいけど、たまにはこういうところで息抜きしないと。
昔の私みたいに、倒れちゃったら大変だよ!」
蒼也 「………分かりましたよ。
首領 羽(ドン ユイ)。」
羽(ユイ) 「さあみんな!旅館の中に入って、
予約を済ませるわよ〜〜!」
楽・集・千棘 「はーい!」
? 「?ああ、お客さんですか?
いらっしゃ………」
? 「………!」
小咲 「ああ、この旅館の従業員さんですか?
はい。私達はこの旅館に二泊三日の予約をしていた者です。」
? (………この気配に、しかもこの数………)
? 「はい。私共(わたくしども)の旅館の入り口はこちらです、どうぞ。」
小咲 (何だか、随分と若い従業員さんだね………)
楽達を旅館の入り口まで案内したその従業員は、小咲の考えた通り、
随分と若く、彼等と同程度の20歳(ハタチ)前後の年齢にも見えた。
蒼也と同じ様に青みがかかった黒髪を肩ほどの長さまで伸ばし、
おそらくは女性用と思われる、京都風の2つのピンク色の玉が付いた串の入った紐で
結んで結(ゆ)っている。
そして、端正な顔立ちの右側の目元には、
青色の涙の絵が3つ、フェイスペイントしてある。
そして楽達は、そのやや異様で妖艶な様相(ようそう)をした青年に案内され、
守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)の入り口まで案内され。
玄関に靴を入れて旅館内容のスリッパに履き替えて、
受付の前まで来た。
? 「山中さん。
二泊三日の予約をしておいたお客さん9名を案内して来ましたよ。」
山中 「ああ。風介ちゃん、ありがとう。
私が受け付けておくから、風介ちゃんは舞子の子達と踊りの仕事に戻っていいよー。」
風介 「はい。」
スタスタ………
小咲 「あ、どうもありがとうございましたー。」
山中 「ようこそいらっしゃいました。
私はこの旅館の女将(おかみ)の山中 志穂(やまなか しほ)と申します。
二泊三日を予約していた、舞子様御一行9名様ですねー。」
山中と名乗ったその女将(おかみ)は、四十代程の年齢だと思われる外見だったが、
どこか気品の漂う京都小町(きょうとこまち)といった感じの着物を着た中年女性だった。
集 「はいそうでーす。
はいこれお代。」
山中 「これが部屋の鍵です。
お客様は男女混同で、2人一組のお部屋になりまーす。」
集 「はいはーい。」
楽 「ん?集、この旅館も男女混同で2人一部屋なのか?」
集 「ああ、楽。
この旅館も5月に行ったたんぽぽ旅館と同じで、2人一部屋なんだ。
そこも俺がしっかりと選んでおいたんだぜ。
そして部屋割りは………」
第1巻 第142話 完
このSSへのコメント