2019-04-05 00:45:04 更新

2017年10月6日(金) PM:21:00


ホテル ラフレシア・凡矢理 408号室


楽と千棘が交際半年記念のキスを今まさにしようとした時、

楽の戦闘と星神の先生、

双神 蒼也から電話が掛かって来た。


楽 「蒼也?何の用だよ?

今、千棘といいところだったのに………」


蒼也 「ああ、スマンな。

楽、今日はお嬢との半年記念日なら、

1つ俺からいい案があるんだが。」


楽 「いい案?」


蒼也 「今日はあのお嬢との愛の約束のペンダント、持って来てるか?」


楽 「ん?ああ、コレは千棘との大事な約束の物だからな、

集から受け取ってからは、殆ど肌身は出さずに持ち歩いてるぜ。

ましてや今日は、千棘との半年記念日だからな。」


蒼也 「そうか、なら良かった。

楽、確かそのペンダントと鍵には、星の光が込められてるんだよな?」


楽 「ん?ああ。」


蒼也 「それなら、もしかしたらお前とお嬢の思い出をそのペンダントに保存出来るかもしれないぞ。」


千棘 「え?ペンダントに思い出を?

どういう事なの、蒼也くん?」


蒼也 「お嬢、星の光というのは、人間の感情や記憶が元になった精神エネルギーでもあるんです、

そのペンダントに星の光を貯める加工がしてあるなら、

楽とお嬢の2人(ふたり)の思い出の記憶を、

星の光に変換してペンダントの中に貯めておける筈です。」


千棘 「あっ、そっか!」


楽 「で、どうすればいいんだ?」


蒼也 「そのペンダントを鍵で開けて、

お嬢との思い出を思い出しながら、星の光をペンダントに注ぐんだ。」


楽 「ああ、やってみるぜ蒼也、俺たちの為にわざわざありがとうな!」


プッ


プーープーー


楽 「よーし、千棘。

お前の鍵でペンダントを開けてくれ。」


千棘 「うん。」


スッ カチャ


千棘は鍵で、楽のペンダントを開けた。


楽 「まずは俺からだ、こ…こうか?」


ボウッ


楽はペンダントに、自(みずか)らの太陽の光を注いだ。


シュウウウ………


楽 「お!俺の太陽の光がペンダントの錠(じょう)の中に入ったぞ!」


千棘 「へーー、やったじゃん楽!

私にもやらせてよ!」


楽 「ああ、ほれ。」


スッ


楽は千棘にペンダントを貸した。


千棘 「てやっ!」


ボウッ


千棘はペンダントに、月の光を注いだ。


千棘 「………確かに私の月の光はペンダントの中に入ったみたいだけど、それだけで他には特に何も変わって無いわよ?」


楽 「………千棘、ペンダントを俺に貸してくれ。」


千棘 「え?ああ、うん………」


スッ


千棘は楽にペンダントを返した。


楽 「一度、鍵を閉めてくれ。」


千棘 「はい。」


カチャ


千棘は鍵を再び閉めた。


楽 「で、もう一度鍵を開けてくれ。」


千棘 「え?またぁ………?」


カチャ


ボウッ


楽・千棘 「わわっ!?」


千棘が再びペンダントの錠の鍵を開けると、

ペンダントの錠の中から、オレンジ色と銀色の無数の光が出て来た。


千棘 「これって………私たちがペンダントに注いだ星の光よねえ?」


楽 「あ!千棘、見てみろよ。

光の中に、なんか映ってるぞ!」


千棘 「え?」


楽の言う通り、楽と千棘の太陽と月の光には、映像が映っていた。


千棘 「あ!コレ、私がスミレさんのファッションデザイナーの一次の基礎カリキュラムを終えて、日本に戻って来てあんたと再会した日じゃ無い?」


楽 「あ、ホントだ!」


他の光の群れにも、楽と千棘のこの半年間の思い出が映っていた。


楽 「コレは、お前とスペクトル凡矢理で2人で暮らし始めた最初の日だな。」


千棘 「こっちは、滋賀県の琵琶湖旅行で、あんたと始めて唇同士のキスをした日よ!」


楽 「こっちは今年の夏の縁日、

こっちはお前の19歳の誕生日パーティーのだ!」


千棘 「こっちは、あんたがレオ君を星化させちゃって、そのまま行った海の日よ!」


楽 「ああ、そんな事もあったよな………」


千棘 「あ!こっちは………」


アハハ………


楽 「……………こうして星の光の映像で見返してみると、お前がこっちに戻って来てからのこの半年間、ホントに色々あったよな。」


千棘 「ホントよね。

高校の時とは違って、あんたとホントに付き合い出して、あんなに楽しかった凡高時代より、毎日がホントに楽しかった………」


楽 「これからは、お前の鍵で俺のペンダントを開けて、時々思い出を見直しながら、

新しいお前との思い出を貯めて行こーぜ。

俺たちはホントに付き合い出してまだ半年なんだから。

これからもっと、どんどん色んな思い出を2人で作って行こーぜ。」


千棘 「うん!

スッゴく良いわよね〜〜。

あんたのペンダントと私の鍵が揃わないと、2人の思い出は見れない………

2人だけの、思い出のアルバムって感じで!」


楽 「ああ、そうだな。

おっと、もうこんな時間だし、そろそろ寝るか?」


千棘 「あー、コホンッ、ちょっと待ちなさいダーリン。

あなた1つ、大事な事を忘れてない?」


楽 「ああ、そうだったな………

ほら、目を閉じろよ。」


千棘 「うん!」


スッ


千棘は目を閉じた。


チュッ


千棘 「んーーんっ、はぁあぁーー………」


交際半年記念の幸せなキスをして、

楽と千棘の半年記念日は幕を閉じました。


第1巻 第176話 完


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