第1巻 第251話 イタズラ
2017年10月31日(火) 10:00
凡矢理会館
草鹿 「えーー。
それでは、一昨日と昨日で交換するお菓子と、オバケの仮装の衣装合わせは終わったので、
今日はいよいよ、お待ちかねの近所の家訪問で、お菓子集めをやりまーす。」
客A 「来た来たーー!」
客B 「待ってましたー!」
楽 「やっと来たか………。
まあ、これでようやく、普通のハロウィンパーティーっぽくなるよな。」
千棘 「まあまあ。
いいじゃない楽、楽しそうだし♪」
楽 「お前はホントに、こういう事が好きだよな………。」
千棘 「とーぜん!
お友達と皆んなで集まって、
ワイワイやるのは何でも大好き♪」
ニコッ
千棘は、無邪気な笑顔を楽に見せた。
楽 (………でも、こうやって友達と何かを楽しんでる時の千棘、ホントに楽しそうで、
可愛いよな………。)
草鹿 「はいはい、一条ちゃん〜〜、
早く、自分が昨日選んだ衣装に着替えて来なよ。」
楽 「おう。
あ、そうだ表。
菓子を集めてくるって、
普通に俺たちが用意したお菓子と交換してくれば良いのか?」
草鹿 「いや、そこはね、
玄関のチャイムを鳴らして、
普通のハロウィンの訪問と同じように、
「お菓子をくれないと、イタズラしちゃうぞ〜〜。」
って、言って、
その後で、「このお菓子と交換です。」
って、言えばいいんだよ。」
楽 「なるほどな………。」
表 「参加者の皆さんが、一昨日それぞれ試作品を作ってくれたお菓子は、
集ちゃんの呼んでくれた料理人や菓子職人(パティシエ)の皆さんにお願いして、
量産してあるから、
奥の部屋から必要分を持って行ってね。」
楽 「随分、準備がいいな………。」
そして、着替えて準備して………。
千棘 「着替え完了〜〜!
さあ、お菓子も持ったし、
今日は張り切って行くわよ!」
ドサッ
千棘は、昨日選んだ魔女の格好に再び着替えて、お菓子をたくさん詰めた袋をサンタクロースの様に背負っていた。
小咲 「やっぱり、このネコ耳恥ずかしいよ………。」
鶫 「うう………。
訪問した家の子供が、
包帯を1本でも引っ張ったらそれで、
脱げてしまいそうでは無いか………。」
万里花 「あらあら、
桐崎さんったら、随分と張り切ってますわね………。
どちらが多くのお菓子を集められるか、
私(わたくし)と勝負しますか?」
千棘 「望むところよ!
負けないわよ、万里花!」
楽 「おいおいお前ら、
何かあるたびに張り合うなよ………。」
千棘 「でも、楽………。」
楽 「このイベントは、皆んなで楽しむ為のものだろ?
だったら競争なんてしないで、
純粋に楽しもうぜ。」
千棘 「う、うん………。
そうだね………。」
そして、お菓子集めは始まり………。
千棘 「楽ーー!
私と一緒に家を回ろうよーー!」
千棘 「ああ、いいぜ。」
タタッ
ピンポーン
千棘は、まずは最初の家の玄関のチャイムを鳴らした。
主婦A 「はいはい、どなた………。」
千棘 「お菓子をくれないと、イタズラしちゃうぞ〜〜!」
楽 「ど、どうも………。」
主婦A 「あら、ハロウィンのイベントか何かですか?」
楽 「まあ、そんなトコです。
タダでは無いです。
このお菓子と交換で。」
スッ
楽は、一昨日に千棘が試作品を作った、
パンプキンパイの入った袋を差し出した。
主婦A 「どれどれ………。
あら!とっても美味しそうなパンプキンパイ!
こんないい品との交換なら全然良いですよ。
ほら、どうぞ。」
スッ
スッ
主婦は、楽からパンプキンパイの袋を受け取って、
板チョコを差し出した。
楽 「どうも、ありがとうございます。」
子供A 「ママ〜〜、何か貰ったの?」
主婦A 「ああ、マサル。
このお兄ちゃん達から、パンプキンパイを頂いたのよ。」
マサル君 「わぁ〜〜、美味しそう!
魔女のお姉ちゃんも、スッゴく可愛いよ!」
千棘 「そ、そう………?
ありがとね、ボク。」
カァァァ………
千棘は、頬を赤らめて照れながら子供に礼を言った。
千棘 「それじゃあ、お邪魔しましたー!」
主婦 「はい。
パンプキンパイありがとうね。
ほらマサル、お兄ちゃんとお姉ちゃんにさよならして。」
マサル 「お兄ちゃん、お姉ちゃん、またねー〜!」
ブンブン
スタスタ………
千棘 「くぅ〜〜。
ハロウィンって、やっぱり楽しいわね、楽!」
楽 「そうだな………。」
楽 (やっぱり、何かを楽しんでる時のこいつの笑顔、スッゲー可愛いなぁ………。
無邪気で、まるで小さい子供みたいに純粋に楽しんで………。
こんな子が、自分の彼女ってだけで、
スゲー幸せだなぁ………。)
第1巻 第251話 完
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