2019-06-02 00:07:48 更新

2017年10月24(火) PM:16:00


LAB(ラボ) ファッション学園


デザイン科 1年の教室


千棘 「うーん………。

私のアパレルオーダーコレクションの、

3作目の案が中々決まらないわね………。」



千棘はその日も、

専門の授業が終わった後に、

学祭で出す自作の服と、

自分のアパレルオーダーコレクションの新メニューを作る為に、

学校の教室に残って、新しい服のデザインを考えていた。



千棘 「なにか、参考になるものは無いかしらね………。」


パラッ



千棘は、机の上に一杯に広げた服に関する教科書や参考書、最近流行りの服のチラシなどを見ながら考えていた。



千棘 「ん?」


チラッ



千棘は、服のチラシのうち一枚に目をやった。



千棘 「なになに………?

「最近の男の子の意外なブーム、ベージュ色」?」



千棘は、そのチラシに書いてあった

ベージュ色の服の良いところを、

詳しく読んでみた。



千棘 「「ベージュ色、もしくは肌色は、

黒や迷彩柄、青などのメジャーな色に比べれば確かに派手さは薄いが、

その地味ながらも絶妙なカジュアルさが出せる色から、

一部の男女の間で人気がある。」………。

ですって!」


バンッ



千棘は、机をバンッと叩いた。



千棘 「これだわ!

私のアパレルオーダーの3作品目にしましょう!

せっかく、最近私は男の子用の長ズボンを2つも作ったんだから、

今回も長ズボンにしましょう!」


千棘 「よーし、そうと決まれば、

明日、綾ちゃんにデザインを考える手伝いをして貰って………。」


千棘 「……………。」



千棘はそこで、何かを思い付いて思い留まった。



千棘 「ダメよ私、友達に頼ってばっかじゃあ。」


千棘 (そうよ。

思えば私は、高校の時から楽達や小咲ちゃんに甘えてばっかだった。

あんだけ大好きになれた楽への告白すら、

万里花に言われてやっと出来たし、

それすら、後ろを向いての諦めごしの告白だった………。)


千棘 (確かに私、高校になってから楽のお陰で友達ができて、友達を大事にしようとは思ってたけど、

昔の私は、みんなに助けて貰ってばっかで、甘えてばっかだった………。

私はそんな、弱い女じゃ無いはずよ!)



ドサッ



千棘は再び、椅子に腰掛けて机に向かった。



千棘 「よーし………この作品は、

綾ちゃんに頼らずに、私1人でデザインするわよ!」


パラッ



千棘はスケッチブックを開いて、ペンを握ってアイデアを絵にまとめだした。



カキカキ……… カキカキ………



千棘 「なになに………?

「肌色」と「ベージュ色」は、

一般には同じ色だと思われがちだが、実際は違う色………?

え?そーなの?

私も同じ色だと思ってた………。」


千棘 「えーっと、色はこのくらいの肌色でいいとして、

長ズボンのデザイン自体は、

その、こう………

出来るだけシンプルにして………。」



そして………



千棘 「出来たーー!

私のアパレルオーダーコレクション第3号、

「ベージュ色のメンズの長ズボンだーー!」


千棘 「前の2作は、綾ちゃんに手伝って貰って作ったから、

これは私が初めて、自分で考えて、

自分の力だけでデザインした作品………。

なんだか嬉しいな。」


千棘 (やっぱり良いものね、

自分の夢に向かって努力するって、

いや、夢に向かってじゃ無くても、

何かに努力するって、

必死になれて楽しいわ。)


第1巻 第230話 完


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