2018-02-05 01:35:54 更新

小野寺 (え………?何これ?私は夢でも見ているの?)


鶫 「メガオン!それは本当か?小野寺様に「素養」があるなど………」


メガオン 「ああ、とても純度の高い天王星の星の光を持っている。

金星属性の私やお前とは相性があまり良くなかったからお前は今まで気付かなかったんだろう。」


鶫 「な!?天王星属性の?」


小野寺 「つ……つぐみちゃん、この子は一体…………」


鶫 「あ!小野寺様、驚かせて申し訳ありません!実は……………」



鶫は動揺に打ちひしがれている小咲に、「素養」があるのならば話でも構わないというメガオンの意見に納得して、星の光や星獣、星神の事、そして楽や自分がその星神の力を鍛えている事を全て打ち明けた。



小野寺 「そ……そうなんだ。ビックリしちゃった。そんな力や生き物がいるなんて………

それに一条君もその力を持ってたんだ………」


鶫 「ええ。お嬢と私が帰国して皆さんと再会したあの日のパーティー前に「覚醒」して貰いました。

私と同じ様に。お嬢を力で守れる人間になって貰わなければ困るので。」


小野寺 「そうなんだ………」


鶫 (しかしまさか小野寺様が星の光の素養を持っていたとは………あの内気で温厚な性格の小野寺様が………驚いたが天王星属性か。

確かに天王星の星の光は「あの感情」が強い者に惹かれやすいから小野寺様なら確かに納得出来る………)


小野寺 「じゃあメガオンくんは、つぐみちゃんの体に溜まったその星の光ってエネルギーが集まって生まれたの?」


メガオン 「ああ、誠士朗はお嬢への忠誠心と防衛本能の塊だからな。

そういう奴に金星の光は惹かれやすい。

あんたに対してもお嬢の友人として大層な感謝と友人意識を持っているんだぞ。

あんがとな。」


小野寺 「い…いや、私はそんな………」


鶫のiPhone 「プルルルル…………」


鶫 「ん?はい、もしもし鶫ですが……」


千棘 「つぐみ〜、何やってるの?

もうディナーの時間よ?」


鶫 「はい?」


鶫と小咲は部屋の時計に目をやった。確かにもう17:50だ。


鶫 「あ!申し訳ありませんお嬢!すぐに食堂に参ります!(しまった……小野寺様への説明に夢中で忘れていた急がねば)」


小野寺 「ゴメン千棘ちゃん私のせいなのすぐに行くから」



PM:18:00 琵琶湖沿岸たんぽぽ旅館 食堂


千棘 「つぐみー!遅かったじゃない。何やってたの?」


鶫 「すいませんお嬢。小野寺様に少し大事な話をしていまして。」


千棘 「え?大事な話?」


楽 「おーい千棘!早くバイキング食わねーと無くなるぞー。」


千棘 「あ、うん。今いくよー。」



千棘は鶫との会話の最中に食欲と愛を求めて楽の元に向かっていった。



鶫 (まあ、お嬢に説明するのはその必要が出た時でいいだろう。)


千棘 「バイキングって、欲しい物をお皿に取っていいの?」


楽 「ああ、トングで掴んで自分の皿に取ってけばいい。

ってお前、バイキング初めてなのか?」


千棘 「うん。アメリカにはバイキングはテレビとかには出て来てもあんまりお店は無いからね。」


千棘 「えーと、あ!この魚の肉美味しそ〜、あとパンと、ハラミと、ベーコンエッグと、牛肉と………」


楽 「相変わらずよく食うなこいつ………」



千棘は楽の3倍以上の量を皿に盛り、2人でテーブルに座った。



千棘 「ガッガッ、うーん、美味し〜〜♪」


楽 「食いっぷりも変わってねーな………

少しは野菜も食えよ。」


千棘 「うっさいなぁ。食べる事はそれだけで幸せだからいいじゃん」


楽 「そりゃそうだけど、お前の場合限度ってもんがなぁ………」


千棘 「何よ あんたってホントの彼氏になってもそういう細かいところは何にも変わってないわねぇ。」


楽 「お前こそ、素の部分は全然変わってないよな。」


千棘 「……………ねぇ楽、やっぱり私、もっとお淑やかになった方がいいのかなぁ?」


楽 「え?」


千棘 「だって、高1の時の海で長い喧嘩になった時言ってたじゃない。「本当の恋人になってもどうせ喧嘩ばかりで上手くいかない」って。」


楽 「ああ、あの文化祭でロミオとジュリエットをやるまで仲直り出来なったやつか。」


千棘 「うん。本当に付き合い出した今だから分かる。

そんな風に喧嘩ばっかになって別れるようなことになったら私、耐えられないし………

やっぱり小咲ちゃんや万里花みたいな女の子らしい子が楽はいいの?」


楽 「それは……………」


楽 (……………………………………)


楽 (そうだよな。そういう所も含めて、小野寺より千棘を選んだのは俺だもんな。)


楽は10秒ほど沈黙して考え込んだ。


千棘 「楽?」


楽 「別に俺はお前はそのままでいいと思うぜ。」


千棘 「………え?」


楽 「俺達が天駆高原でお互い告白した時にお前言ったよな?

「あんたが言ってるその子は、それはヒドイ女の子なのよ」って?」


千棘 「え?………う、うん。」


楽 「でも俺は、そんな嫌な事があればすぐ拗ねても、怒ったらすぐに手が出ても、周りに迷惑ばかりかけても、面倒臭くても、たくさん喰っても、そんなお前でも全部一緒にいるだけで楽しいと思った。

だから小野寺よりお前を選んだんだ。」


千棘 「……………!」


楽 「拗ねるんだったら、機嫌が直るまで一緒にいてやる。怒って手が出たら俺も星神になって力が手に入ったし受け止めてやる。

迷惑かけたら、一緒に謝ってやる。

面倒臭くても最後まで一緒に付き合ってやる。

メシもお前の腹が一杯になるまで奢ってやる。」


千棘 「ら……楽!」


楽 「そりゃ小野寺や橘みたいにお淑やかな方が良いかもしれないけど。

お前はいい事も悪い事も全部素直に飾らずに吐き出すから。

そういう意味じゃあ。お前が一番素直なんだよ。」


千棘 「ホ…ホント?」


楽 「ああ、本当だ。だから俺はそんなお前の悪い部分も全部受け止めた上で大好きだ。

だから……………喧嘩になっても別れたりしねぇよ。これからずっと一緒だ。」


千棘 「ら…楽、楽ぅ〜〜〜!!」


ガタッ ギュッ


千棘はテーブルを駆け上がり、嬉しさの余り楽に抱きついた。


楽 「わわっ!」


千棘 「ありがと〜ありがと〜」


楽 「お、おいお前!こんな人前で………てか料理とか皿とか色々グシャグシャに………」


千棘 「だって、嬉しかったんだもん〜〜〜」


楽 「千棘……………」


楽は嬉し涙を目に浮かべて自分の胸に顔を埋める恋人を見て、最初は動揺していたが徐々に考え直し出した。


ギュッ


楽は千棘を抱きしめ返した。


千棘 「ふぇっ!?」


楽 「そうだよな………辛くなったらこうやって俺に泣きつけばいい。

本当の恋人だもんな。こんくらい当然だ。」


千棘 「う…うぇぇん…うぇぇぇえん」


楽 「よーしよーし、泣け甘えろこの野郎!

俺の胸でぜーんぶ受け止めてやる!」


楽 (そうだ。星神になるなんてのも、小野寺を選んでたら絶対選ばなかっただろうな。

でも、鶫やあのメガネに言われてもOK出来たのはこいつのこういう弱い所や脆い所も含めて全部守ってやるって決めたから。)


第16話 完


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