2018-06-20 21:32:12 更新

概要

SS読むのが好きで、書いてみたいと思い執筆しました。※完全素人です。
3000PV達成ありがとうございます!!
11章更新しました!


前書き

〜注意事項〜
※これは艦隊これくしょん(艦これ)の二次創作物であり、それを許容できる方のみ閲覧お願いします。こういったものをやるのは初めてでありますが、何卒よろしくなのです( ˘ω˘ )
コメント待ってます(´^p^`)



第1章 始まりの嵐




〜とある漁港にて〜



青年父「お前も遂に漁師として自分の船をもつ時が来たか…。今まではお手伝いみたいなものだったからな。」シミジミ


青年「今日からは好きに漁ができるな!親父よりも沢山取ってやるよ!」フフーン


青年父「沢山ってのもいいが取りすぎは厳禁だからな?売る分と食べる分、それ以上は取るなよ。それと今日は初めてなんだから俺の船にちゃんと付いてくるんだ。」


青年「ちぇっ、ようやく好きに出来ると思ったのに…」( ˘-з-)ブー


青年父「ハッハッハ、まあそう焦るな。最初だけだよ最初だけ!お前は昔から俺の船に乗っていたからな。船の操縦経験もあるしな。」


青年「しょうがねぇな〜。それじゃさっさと行こうぜ!待ちきれん!」



〜移動中〜 ザザーン


青年「おーーい!!まだ遠くに行くのかよー?」


青年父「あぁ!今日はお前の最初の漁だからな!遠くてまだ連れてったことなかったけど、いい所があるんだぞ〜!」


青年「あんまり遠くに行き過ぎると深海棲艦とやらがいるんじゃねぇのか!?」∑( °口° )


そう、この海にも深海棲艦はいる。

俺たちがいつも漁をしている辺りは制海権が確保されており、安全が保証された海域だった。


青年父「大丈夫だ!ちゃんと安全海域の中だし、ここしばらく目撃情報はねえ。まあ昔は沢山いたらしいけどな!」ガッハッハ


ほんとに大丈夫かこれ…?


〜移動中…〜


青年父「よし、着いたぞ!」


青年「結構遠いところまで来たな…ここは来たことねえな」


青年父「ここは近場の海じゃ取れないやつも取れるからな。いつものところより大きいやつもいるぞ」


青年「じゃあなんでみんなこっちに来ねえんだよ?」(*´・д・)?


青年父「ここはかなーり遠いからなぁ。わざわざここまで来て漁するよりいつもの所でやった方が効率もいいからな。今日は特別だ。」


青年「あぁ、なるほどな。ここまで3時間…なかなか遠いからな。」


青年父「昨日の朝早くから仕掛けを置いといたからよ。ほら、あのウキだ。」


青年「昨日朝から居ねえと思ったらそんなことしてたのかよ…とりあえず仕掛け上げるか」ヨイショット


〜仕掛け回収中…〜


青年「おぉ…こんなにでけぇの取れんのかよ…すげえなここ」オドロキ


青年父「だろー??そっちの仕掛けは上げ終わったか?」


青年「あぁ、こっちは全部終わったぞ。」ブンブン


青年父「こっちも終わったからさっきのところにまた来い。今日は朝早く出たからここで少し釣りもしていくぞ」


青年「マジ!?こんなでけぇの釣竿で釣れたら絶対楽しいじゃん!」ヤッタゼ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



青年父「よし、そろそろ帰るか。気づいたらもう夕暮れだ。やっぱ釣はいいもんだな。」


そう言われて見上げると、太陽は沈みかけていた。微かに怪しい雲が見える。


青年父「ん?」ピリピリッ


その時空気が、変わった。


青年父「これは…」


ヴォォン…


青年父「ッ!おいお前!!今すぐ帰るぞ!早く船を出せ!!!」


何かが聞こえた。いつもの静かな海にから聞こえることのない呻き声のような音が…


青年父「早くしろ!!深海棲艦が来るぞ!!!!」


青年「ッ!分かった!いまやる!!」


2人は素早くその場から立ち去れた…はずだった。


イ級「グォォォ!!」


青年「これが…深海棲艦…!?」


青年父「チッ、こっちにもいやがったか!おいお前!先に行け!!」


青年「はぁ!?親父はどうすんだよ!?」


青年父「こうするんだよ!!」デンキモリカカエ


そう言うと親父は大型魚を仕留めるための電気銛を取り出した。


イ級「グォォォォォォ!!!」


イ級が口を開けて飛びかかってくる。口内には大砲らしきものが見えた。


青年父「オラァ!!!死に晒せェ!!!」ヒュン!!


すると親父は大砲の根元あたりに銛をブン投げた。


イ級「グォォォ!?」グサッ


青年父「最大電圧だ!ぶっ飛べオラァ!!」ポチッ


イ級「ギィィィィ!?」ドカンッ


すると深海棲艦は大砲ごと爆発し粉々になった。


青年父「おい、早く帰るぞ!まだ残ってる!!」


雨だ…雨が降ってきた。風も強い。生まれてからずっと海に出ていたからわかる。これは嵐だ。


青年父「くそっ!嵐も来るか!?おい、マジで早くかえ」


ドーーーーン!


発砲音。


バシャーーン!!!


青年父「戦…艦!?なんでこんなところに!?」


青年「おい!!どうするんだよこれ!!!」


ドーーーーン!


青年父「戦艦の長距離射程からはおそらく逃げれねぇ!!2手に分かれて逃げるぞ!!」


バシャーーン!!!


青年父「家では母さんが待ってる…!全滅だけは避けるぞ!!俺がやられても振り返るんじゃねぇぞ!!!」


青年「ふざけんな!!親父が死んだら家はどうすんだよ!!!」


青年父「お前が継げ!!お前は最短ルートを行け!!俺は別ルートで戻る!」ブーーン


親父が行ってしまった…自分も早く帰らなければ!!


ドーーーーン!


ドカァーーーン!!


最短ルートに舵を切った時だった。親父の船に砲撃が着弾した。




青年「は…?」


気がつくと戦艦は前よりも近づいていた。一般漁船と速力に差があったようだ。



戦艦ル級「フフ…シズメ…シズメ!」



青年「は…はは…」ザァーー


雨は強く、風は吹き荒れていく。


ドーーーーン!


青年「親父、約束守れそうにねぇや。ごめんな…親父、母さん。」




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜






???「くっ、急に嵐になったか。はやく帰らねば!」ザー


???「落ち着いて〇〇。私たちはそんなに速くないわ。焦ってはダメよ。」ザー


???「みんなに心配をかけてしまうではないか!できる限り急ぐぞ!」


???「はいはい。しょうがないわねぇ。」


???「む?これは船の残骸か…。」プカプカ


???「この様子だと…きっとダメね。どうしてこんなところに…」


???「ここは安全海域とはいえかなりギリギリのはずだが…」


???「〇〇!あそこに戦艦がいるわ。まだ気付かれていないけどどうする?」


???「我々は追われる身だ。倒していきたいがここは見つかる前に戻ろう。」


???「そうね。それじゃあ行きましょうか。」



~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜


第2章 流れ着いた先で



〜砂浜〜


???「はぁ、今日もいい朝ねぇ。」ノビノビ


???「…?あれは…人間…?」


軍の関係者…じゃないわよね?体中傷だらけだわ


???「この人…まだ生きてるわ。ちょっと!おーーい!!」ペシペシ


???「あ、水を出さないといけないんだっけ?お腹押せばいいのかしら?」ギューーー


青年「;:゛;`(;゚;ж;゚; )ブフォ」


青年「ゲホッゲホッ」


???「あら、起きたわ」ヤッタネ!


青年「痛ッ!」モゾモゾ


???「あなたどこから来たの?名前は?」


青年「ここは…どこだ?」


???「あなたが先に答えて!」


青年「お、おう。おれは青年だ。漁師をしている。いや…もうしていたのほうが正しいか?」


あらあら、この人は一般人なのね。それなら大丈夫かしら…。


???「なんか意味深な言い方ね…」


青年「君は?そしてここは一体…?」


???「ここは野良鎮守府よ。私は白露型駆逐艦三番艦の村雨っていうの。よろしくね!」ハイハーイ!


青年「鎮守府…ってあの鎮守府か!?それに駆逐艦って!あんた艦娘なのか?」


村雨「そうよ〜!艦娘を見るのは初めてかしら?」


青年「あんなやつらと戦うって聞いてたからどんなムキムキマッチョが出てくるかと思ったら、ただの女の子なんだな。」


村雨「んもぅ!失礼しちゃう!」ベシッ


ただの女の子ですって…。そんなこと言われたのは初めてだわ。


青年「痛てぇって!?」


村雨「あらごめんなさい。そういえば傷だらけだったわね。とりあえず手当してあげるから。ほら、立てる?」


青年「あぁ。立てr」ガクン


村雨「ダメそうね。ほら肩貸してあげるから。」ヨイショット


青年「い、いや…大丈夫だ。」


村雨「だーめ。それとも女の子にお姫様抱っこされたいかしら〜??」フフン


青年「うっ…じゃあすまんが肩を貸してくれ。」


村雨「よいしょっと。ねえ、そういえばなんでここに来たか覚えてないの?」


青年「えっと…」( ゚д゚)ハッ!


青年「そうだ…思い出した。漁をしてたら深海棲艦に襲われたんだ。最初は魚みていな形をしたやつを親父が倒したんだけど」


青年「あ…!親父…親父はどこいった!?」


村雨「お父さん?ここにはたぶん流れ着いていないけれど…もしかして一緒にいたの?」


青年「そう…か…。」ガクン


村雨「ちょっと!しっかりしてよ!!」


どうしようこの人意識無くしちゃった…。とりあえず運んであげましょう。


~~〜~~~〜~~~~〜~~~


〜青年side〜


…っと …ょっと…


誰かに呼ばれている気がする…。

お腹押せばいいのかしら…ギュム


青年「;:゛;`(;゚;ж;゚; )ブフォ」ウッ


青年「ゲホッゲホッ」


???「あら、起きたわ」ヤッタネ!


青年「痛ッ!」モゾモゾ


???「あなたどこから来たの?名前は?」


起きるとそこには少女がいた。茶色い髪に長いツインテールをしており、綺麗な子だった。



青年「ここは…どこだ?」


???「あなたが先に答えて!」


警戒されているのだろうか…怒鳴られてしまった。


青年「お、おう。おれは青年だ。漁師をしている。いや…もうしていたのほうが正しいか?」


???「なんか意味深な言い方ね…」


青年「君は?そしてここは一体…?」


???「ここは野良鎮守府よ。私は白露型駆逐艦三番艦の村雨っていうの。よろしくね!」ハイハーイ!


青年「鎮守府…ってあの鎮守府か!?それに駆逐艦って!あんた艦娘なのか?」


鎮守府といえば海防の要。一般人は立ち入り禁止であり、国民に知らされていることは、深海棲艦という敵の侵攻から艦娘と呼ばれる兵器を使って海を守っているということだけ。


村雨「そうよ〜!艦娘を見るのは初めてかしら?」


青年「あんなやつらと戦うって聞いてたからどんなムキムキマッチョが出てくるかと思ったら、ただの女の子なんだな。」


この子は自らを艦娘と言った…本当にただの女の子に見えるな…


村雨「んもぅ!失礼しちゃう!」ベシッ


青年「痛てぇって!?」


痛みを感じて自身の身体を見ると、ヤケドに切り傷やらとかなりボロボロだ。


村雨「あらごめんなさい。そういえば傷だらけだったわね。とりあえず手当してあげるから。ほら、立てる?」


青年「あぁ。立てr」ガクン


村雨「ダメそうね。ほら肩貸してあげるから。」ヨイショット


青年「い、いや…大丈夫だ。」


自覚した途端痛みは身体を襲ってきた。かなり厳しい状態のようだ…


村雨「だーめ。それとも女の子にお姫様抱っこされたいかしら〜??」フフン


青年「うっ…じゃあすまんが肩を貸してくれ。」


村雨「よいしょっと。ねえ、そういえばなんでここに来たか覚えてないの…?」


どうして…か…


青年「えっと…」( ゚д゚)ハッ!


青年「そうだ…思い出した。漁をしてたら深海棲艦に襲われたんだ。最初は魚みていな形をしたやつを親父が倒したんだけど」


青年「あ…!親父…親父はどこいった!?」


俺が生きているなら親父もまだきっと…!!


村雨「お父さん?ここにはたぶん流れ着いていないけれど…もしかして一緒にいたの?」


ここには来てない…のか…もしかして本当に…?


青年「そう…か…。」ガクン


村雨「ちょっと!しっかり…」


声が遠のいていく。もう意識を保っていられない…。



第3章 別れ



気づくと白い空間にいた。体の感覚はほとんどない。そうか、俺は死んだのか…


辺りを見回してみる。そこにはただただ白い空間が広がっていた。とりあえず歩いてみることにした。



何時間歩いただろうか…?時計もなく体の感覚もほぼない状態では全く分からない。


気付くと少し先に誰かがいた。誰だろうか…?気になって走っていく。


少し走るとその面影が見えてきた。あれは…まさか…あぁ!!


青年「おやじぃぃぃぃぃ!!!」ダッ


青年父「あ?お、おめえか。どうしてこんなところにいやがる。」


青年「おいッ!なんで、なんで親父こそこんなところにいるんだ!?まさか死んじまったなんて言わねえよな!?」ハァハァ


青年父「察しがいいな。俺はな、もう生きられねえ。俺は気づいたらここにいたがなぜだか分かる。俺はもう死んだんだ?」


青年「嘘…だろ…?おい、おい…嘘だって言ってくれよ!!」ポロポロ


青年「母さんはどうするんだよ!家だって…まだ親父は死んじゃダメなんだよ!!!」ポロポロ


青年父「おい、あの時言ったよな?」


青年「え…?」ポロ…


青年父「俺がやられても振り返るな、と。俺は信じている。お前なら出来ると。」


青年「でも…でもおれはもう死んじまったんだ…」ポロポロ


青年父「顔を上げろ。お前はまだ生きられる。」


青年「え?」


青年父「お前は俺と違ってまだ先がある。未来がな。俺はもうじき消えるみたいだ…。最期にお前に会えて良かった。」


青年「おい!?待てよ!待ってくれよ!!俺を…置いていかないでくれ…」ポロポロ


青年父「大丈夫だ、お前ならやれるさ。最期に1つ、言いたいことがある。」


青年「なんだよ…」ポロポロ


青年父「お前は俺が死んだせいでこれからかなり大変になるだろう。お前があの後どうやって生き延びているかは知らねぇが、静かに過ごせるとは思えねぇ。」


青年父「だが覚えていて欲しいことがある。それはな、母さんがお前の帰りを待っていることだ。」


青年「!!!」ポロポロ


青年父「俺はもう母さんのところには戻れない。だから、お前が戻るんだ。母さんなら俺の訃報を聞いてもきっとお前のことを待っていてくれるはずだ。」


青年父「あぁ…もう時間みたいだ…。」


青年「ま、待ってくれ…行かないで…」ポロポロ


青年父「あ、もう1つ、聞いてくれ、ないか?」パァァァ


青年「なんだ親父…」ポロポロ


親父の体が光っている…もう時間だと言わんばかりだ


青年父「母さんに、つた、えてくれ…」パァァァ


青年父「死ぬま、えに、おまえのつくったメシを、もう、いちど…」パァァァ


青年父「食べたかったと…」ポロ


青年「親父、泣いて…」ポロポロ


青年父「そ じゃ わ れ…だ…」


青年父「じゃ…あな…愛する息子よ」(*`∀´*)ニカッ


親父は完全に光となって消えた。


青年「うっ、うう…」ポロポロ


青年「うわあああああああ!!!!」ボロボロ



第4章 野良鎮守府にて



村雨「明石さん…どうですか?」


明石「とりあえず命に別状はないね。目を覚ますまで待ちましょ。」


村雨「そうですか、よかったあ」ホッ


青年「うっ…うぅ…」ポロポロ


村雨「!泣いてる…?」


村雨「青年さん、頑張って…」ギュ




なぜだか手が温かい…安心する温もりだ…




青年「」パチッ


村雨「!!明石さん、目が覚めましたよ!!」


青年「お、親父…」ポロポロ


明石「ちょっと君、大丈夫?」マエカガミ


青年「君は…?」ゴシゴシ


明石「私は明石っていうの。あなたの治療をさせてもらったわ。」


青年「君も艦娘なのか?」


明石「あちゃー、先にお礼とかないんですかぁ??」


青年「す、すまない。治療してくれてありがとう。」


明石「はい、どういたしまして!そして私も艦娘よ〜。それとお礼なら村雨ちゃんにも言ってあげてよね。」


村雨「!!」ボッ


明石「君をここまで運んで来てから目が覚めるまでずっと待っててくれたんだから!」


青年「そうだったのか。村雨、ありがとうな」ニコッ


村雨「~~///ちょっと明石さんそれは言わないでって言ったのにぃ〜!」ポカポカ


明石「あれぇ?そうだっけ??ごめんごめん、って痛い!痛いって!」ガッガッ


青年「おおう…2人とも仲がいいんだな」


村雨・明石「そんなことありません!!(いやぁそれほどでも!!)」


青年「綺麗にハモったな」( ´艸`)


村雨「とっとにかくっ!!青年さん身体は大丈夫なのね!?」


青年「そんなにがっつくなって…もう身体は大丈夫だよ。」


村雨「そう…よかったぁ」ヘタッ


村雨「安心したらなんだか眠く…」


明石「村雨ちゃん、こっちのベット空いてるから使っていいよ〜」


村雨「ん。ありがと…」トテトテ


青年「あの明石さん、俺はどれくらい寝てたんですか?」


明石「うーん大体1日かなぁ?ずっと村雨ちゃんそばにいてくれたんだから本当に感謝しなさいよね!」


青年「丸一日いてくれたのか…!」


明石「なんか村雨ちゃんは青年に結構懐いてるみたいだよ?出会った時なにかしたの?」(・ω・)σ)U`)ウリウリ


青年「特に何もしてないけど…」


???「失礼する!」ガラッ


明石「あ、長門さん」


長門「お前が昨日村雨に保護されたという人間だな?」


青年「あぁ、そうだけど…?」


長門「私は戦艦長門だ。話を聞きたいのだがいいか?」


青年「うん、分かった。」


長門「2人で話がしたい。明石、少し外してくれないか?」


明石「わかりました」バタン



~~〜~~~〜~~~~〜~~~



???「大変よ長門!」ドタドタ


長門「む?どうした陸奥よ?」


陸奥「さっき村雨ちゃんが砂浜に漂着した人間を保護したって…!」ハァハァ


長門「なんだと!?この鎮守府には人間という存在は危なすぎる!今すぐ箝口令を出す!村雨にも口外しないよう伝えてくれ!」


陸奥「分かったわ!」タッタッ


長門(人間…か。私自身正直関わりたくはないが…しょうがないか)


~~〜~~~〜~~~~〜~~~


長門「まずはお前のことが知りたい。名前はなんという?」


青年「青年だ。」


長門「ふむ。それでは、一般人か?軍属か?」


青年「一般人だぞ。漁師をやっていた。」


長門「そうか。では、どうやってここに来たか覚えているか?」


青年「親父と一緒に昨日の朝早くに漁に出たんだ。帰り際に深海棲艦に襲われたんだ。たしか親父は戦艦と言っていたな?」


長門「もしかしてお前達がいたのはこの辺りか!?」チズヒロゲー


青年「どうして分かった!?」


長門「そうか…分かったぞ。お前も辛かったな…」


青年「おいおい、1人で納得してないで教えてくれよ」


長門「そうだな。どこから話そうか」


長門「私は昨日妹の陸奥と共に少し抜錨していてな。その帰りに嵐に捕まったんだが、船の残骸を見つけたんだ。」


長門「そこから少し進んだところには戦艦ル級を発見した。隠密行動だったからやり過ごして帰ってきたがな。」


青年「そうか…やっぱり親父はもう…」


長門「お前の父は残念だと言う他あるまい。」ウツムキ


青年「そうだな…それじゃあ次は君たちのことについて聞きたいんだけどいいかな?」


長門「いいだろう。但し話せる範囲で、だ。」


青年「ここは鎮守府だと聞いたが、地理的にはどこにあるんだ?」


長門「む、いきなりそう来たか。ここがどこかは教えることは出来ない。ただこれだけは言っておこう。」


長門「ここから日本へは帰れん。」


青年「なんだと!?どういうことだ!?」


長門「教えられないと言ってるだろう。すまないな…。」


村雨「うーん…青年さん、うるさいよー…」トテトテ


長門「む、村雨!?」


村雨「あれ?長門さん?」


青年「あ、村雨さんおはよう。昨日1日側にいてくれたんだってね。ありがとう。」ニコッ


村雨「また明石さんは余計なことを〜///」


村雨「それと!村雨さんじゃなくて村雨でいいよ!」


青年「分かった。よろしくね村雨」(照れる村雨かわいい」


村雨「〜〜〜////!?」


長門「おい…声に出てるぞ…」


青年「えっ、マジ!?」アセアセ


村雨「こほん、それはそうと長門さんと2人で何してたの?///」


長門「あぁ、少し青年のことについて聞いていてな。いまはこちらのことについて聞かれている所だ。尤も教えられることも少ないが…」


青年「俺の処分に関してはどうなるんですか…?」


長門「申し訳ないが、この島に流れ着いてしまった以上簡単に帰れるとは思わないでくれ。」


青年「島…ですか?ここは本土ではなく島だと?」


長門「ッ!余計なことを漏らしてしまったか…。まあいずれ知るだろうし言っておこう。ここは本土から遠く離れた元無人島だ。」


青年「元というと、いまは人が住んでいるのか?」


長門「残念だがこれ以上は教えられん。」


鎮守府と言われているから人もいるんだろうけど…どうしてここまで情報を隠したがるのだろうか?



村雨「長門さん、たぶん青年さんには話しても大丈夫だと思います。」コソコソ


長門「村雨…なぜそう言える?」ボソボソ


村雨「青年さんは、私は艦娘だと言った時、ただの【女の子】じゃないかって言いました。」ボソボソ


長門「ふむ…。青年よ、お前に聞きたいことがある。」


青年「なんだ?」


長門「お前は艦娘について何を知っている?」


青年「なんだそんなことか?俺たち国民はそんなに知らな「いいから言ってみろ」ギロッ


なんかすごい睨まれた( ´・ω・`)


青年「深海棲艦の侵攻から海を守るために艦娘という兵器を使っている、という程度だよ。」


長門「なんだと…?本当にそれだけなのか!?」ガタン


青年「な、なんだよ」ビクゥ


青年「多分だけど殆どの軍属じゃない国民はこの程度の知識しかないと思うぞ?でもびっくりしたぞ。」


長門「どういうことだ?」


青年「いざ艦娘にあってみれば人間の女の子と変わらないじゃないか。村雨は中学生ぐらいで長門は高校か大学生ぐらいかな?」


青年「俺からしたらムキムキマッチョとかただただ殺戮を繰り返すマシンみたいなのを想像してたんだけどな」ハハッ


長門(こいつは…もしかして本当に?)


村雨「ね?たぶんこの人なら大丈夫たですよ」ボソボソ


長門「少し待っててくれ。陸奥たちに相談してくる。今回ばかりは独断では決められん。」ボソボソ


村雨「わかりました。」ボソボソ


長門「但し、まだ余計なことを教えるなよ?もしそうなったら…分かるな?」ボソボソ


村雨「はい…」


青年「おーい、そっちで何話してんだ〜?」


長門「青年、私は少し出る。ここでしばらく待っていてくれ。村雨は青年を見ていてくれ。」


村雨「了解です」ピッ


長門「青年よ、1つ警告しておこう。これ以上何も詮索するな。それがお前の為にも、村雨の為にもなる。」


青年(どういうことだ…?)


長門「訳の分からないという顔だな。要するに知り過ぎるとこの島からは逃がさん。この意味が分かるな?」キッ


青年「わ、わかった!」ゾクッ


青年(なんだ今のは…殺されるかと思ったぞ)


長門「それではな」バタン



シーーーン



村雨「青年さん、きっと大丈夫。安心して。」


村雨(青年さんは私が守ってあげるから…!)


青年「ありがとう村雨…。とりあえず寝るよ。余計なことをする前にね。」ゴソゴソ


村雨「そう、おやすみ。」



~~〜~~~〜~~~~〜~~~



長門「集まったな」ガチャ


〇〇「駆逐艦代表がいないみたいですけど?」


長門「今回の件は駆逐艦たちにはとてもじゃないが話せん。お前も分かるだろう、古鷹?」


古鷹「そう…ですよね。人間とはいえましてや男だなんて。」


〇〇「そうですよ、まだ駆逐艦たちにとっては厳しい件です。私たちで判断するのが妥当かと。ねぇ?大和さん?」


大和「そう…ですね。神通さんの判断が最もだと思います。それじゃあどうぞ始めちゃってください…」ビクビク


〇〇「そうね、議題はあの青年さんをどうするか、でしょ?」


長門「その通りだ、加賀。我々の鎮守府には人間の、特に男に抵抗やトラウマを抱えているケースが多い。」


長門「このまま青年を鎮守府に置いていくわけにもいかない。いずれバレてしまうからな。青葉には特にキツく言っておいたが、村雨の姉妹艦たちもだんだん怪しく思うだろう。」


神通「そういえば、最初に発見されたのは村雨さんでしたね。彼女はなんと?」


長門「村雨はかなり青年を信用しているようだ。私も少し話をしてみたが、珍しく艦娘が【兵器】であるという偏見を持っていないようだ。」


ザワザワ!!


大和「そんなことがあるというの…?」


古鷹「にわかには信じ難いですね」


長門「静かに!今村雨には青年の監視をしてもらっている。それと青年から聞いて判明したことがある。」


長門「私たち艦娘は、深海棲艦の侵攻から海を守るために使われている【兵器】であると国民の間で考えられているらしい。」


ザワザワ!!


陸奥「やっぱり…」ギリィ


長門「陸奥、落ち着け!」


陸奥「これが落ち着いていられるもんですか!!私は…あの子達は何のために」ギリィ


長門「だから落ち着けと言っている!まだ続きがあるのだ!彼はこうとも言った。」


長門「『いざ艦娘にあってみれば人間の女の子と変わらないじゃないか。村雨は中学生ぐらいで長門は高校か大学生ぐらいかな?』」


ザワザワッ!


長門「『俺からしたらムキムキマッチョとかただただ殺戮を繰り返すマシンみたいなのを想像してたんだけどな』と。」


神通「これはもしかして…」


大和「でも!これが表で裏があったら!?」ガクガク


〇〇〇「ハッハッハッハ!」


長門「武蔵、急に笑うなよ!?」ビクゥ


武蔵「面白いじゃないか…この武蔵がその真偽見極めてやろう。」ガタン


長門「ほう、やってくれるのか?」


武蔵「あぁ、ただし表裏があった場合は…」


長門「うむ、悲しいがそうなるな…」




~~〜~~~〜~~~~〜~~



ガチャリ


村雨「あっ、長門さ…武蔵さん!?」


武蔵「よう、村雨。2人でいて何も無かったか?」


村雨「はい。長門さんが出ていったあとすぐに寝ちゃいました。青年さんは恐らく殺されかねないことを察したのかと…。」


武蔵「ふむ、そんな状況なのに呑気に寝られるのか。コイツなかなかやるな…」


村雨「青年さん起こします?」


武蔵「頼んだ。」


村雨「青年さん、起きてください」ユサユサ


青年「うぅん…もう朝か?」


武蔵「おはよう、よく眠れたか?青年よ?」


青年「おう…って君は?」


すげえ格好してるなこの人…


武蔵「私は武蔵だ。それと、この格好は正装だぞ。」


えぇ…なんか心読まれてるんだけど


武蔵「心は読んでない。目を見ればだいたい分かる。」


またかよ!?


武蔵「要するに隠しても無駄ってことだな!」


村雨「武蔵さんそんなことできたんですか…」アゼン( ゚д゚)


武蔵「知っているのは長門たちの少数だからな。あ、村雨もあまり言いふらさないでくれよ?」フフ


村雨「わ、わかりました!!」ビクゥ


青年「武蔵さんよ、ここに来たってことはなにか聞きたいことがあるんだろ?」


武蔵「察しがいいな。その通りだ。いまから聞くことに答えてほしい。嘘をついたら立場が危うくなるのは分かるな?」


青年「はぁ、分かってるよ…」


武蔵「よろしい、それじゃあ質問だ。」


武蔵「お前が艦娘について知っていることを教えてくれ。」


青年「長門から聞いてないのか?」


武蔵「お前の口から聞きたい。さぁ答えてくれ。」


青年「国や海を深海棲艦から守るために使われている兵器だということだけだ。」


武蔵(ふむ。これは本当のようだな。しかしこんなにも教育が行き渡っていないとは…)


武蔵「そうか、じゃあ次の質問だ。私たち艦娘はお前の目にどう映る?」


青年「普通の女の子だな。人間と一緒だ。明石さんに村雨、長門さんとしか話してないけど、ちゃんと感情があり話し合いができる。ここまで人間らしい兵器なんて聞いたことがないよ」


武蔵(ッ!これも…本音だというのか!?ここまでの人間がいたとは…)


武蔵「そ、そうか。それじゃあ最後だ。お前はこの後どうしたい?」


青年「この後?ここを出てからってことか?」


武蔵「あぁそういうことだ。」


青年「……家に帰って、いまも待っているはずの母さんに会いに行くんだ。そして親父の言葉も…伝えないと…!」ポロ


武蔵・村雨「!!!」


武蔵(これは心からの言葉!間違いない…!こいつは、青年は信用できる!)


ギュッ


青年「村雨…?」


村雨「辛かったのね…」ギュゥゥ


青年「村雨、いたいよ…?」ポロ


村雨「大丈夫、大丈夫よ。」ギュゥ


青年「うっ…うう…どうして、どうして親父がぁ…」ポロポロ



~~〜~~~〜~~~~〜~~



青年「ごめん、見苦しいものを見せてしまった///」カオマッカ


村雨「ふふっ、可愛かったわよ?」


青年「か、からかうのはやめて!!」


武蔵「おい、もう入っていいぞ」


青年・村雨「え?」


ガチャ ゾロゾロ…


青年「えーっと、長門さんと…?」


村雨「大和さんに陸奥さん、神通さんに古鷹さんよ」


大和「よ、よろしくお願いします…」ビクビク


陸奥「よろしくね」チュッ


村雨「なっ!!」


神通「神通です。よろしくお願いします。」ジー


古鷹「古鷹っていいます。よろしくお願いしますね。」


加賀「航空母艦加賀です。」


青年「おおう…よろしく…?」


長門「青年よ、今までのお前と武蔵の会話聞かせてもらったぞ。」


青年「!?!?」


陸奥「ぜ・ん・ぶね♪」


村雨・青年「!?!?!?!?」


長門「私たちで話し合った結果、お前は信頼するに値する人間だという結論に至った。」


大和「」ビクビク


青年「あの、そこでビクビクしている大和さん?はどうしたんですか…?」


大和「ヒィッ!」|彡サッ!


長門「それも含めていまからすべて話そう。いいな、武蔵?」


武蔵「問題ない。コイツは大丈夫だ。アイツらとは違う」ギリィ


アイツらって…誰なんだろう?


長門「だそうだ。よかったな、青年よ。」


青年「信頼してくれてありがとな」ニコッ


全員「ッ!」


長門「これは…胸が熱いな…」


村雨「ちょ、ちょっと長門さん!いいから早く説明してあげてよ!」アセアセ


長門「分かった分かった。」


長門「それでは、この鎮守府についてからだ。」








第5章 野良鎮守府







青年「村雨に少し聞いたよ。なんか野良鎮守府って呼ばれてるんだってね?」


長門「村雨…なにか吹き込んだのか?」


村雨「ち、違いますって!!村雨が助けたの時に少し話したの!」アセアセ


長門「ふむ、ならいいか」


村雨「」ホッ


青年「それで、どうして野良鎮守府なんだ?」


長門「ここにはな、提督がいないんだ。」


青年「提督が?そしたら鎮守府として機能しないんじゃ…」


長門「そうだ。いまは私が臨時の提督をやっている。臨時と言ってももう2年ほどになるか…。」ハァ


青年「2年!?そんなに提督が不在なのか…」


本当にこの鎮守府は大丈夫なのか…?


長門「ここに提督がいないのにも理由があってな。ここは私たちが立ち上げた鎮守府だからだ。」


青年「え?いまなんて?」


自分たちで立ち上げたって!?どういうことだってばよ!?


武蔵「おい長門よ、青年は理解が追いついていないようだぞ…」アキレ


青年「し、しょうがないだろ!生まれてからずっと漁師になることだけ考えてたんだから!!」(ノシ 'ω')ノシ バンバン


長門「まあそう怒るな。お前はなぜ私たち艦娘が自ら鎮守府を設立したのかが分からないのだろう?」


青年「あぁ、なにか理由があるのか?」


長門「ここにいる子達はな…みんな様々な理由があるんだ。」ウツムキ


長門が重々しく話し始めると部屋にいるみんなの顔に暗い影が差し込んだ。


長門「激しく酷使されたり、暴力や性的暴力…」


青年「…」


長門「無茶な作戦によって命を落としかけたり…生き残って…しまったり」ギリギリィ


青年「お、落ち着け長門さん!無理に話さなくていい!」アセアセ


長門が握りしめた手には爪が食い込み血が流れていた…


長門「…す、すまない…。だがここにいる子は必ず何かしら理由があるのだ。心に傷を負っている。例外はいるがな。」


長門「この島には小さかったが、鎮守府の跡地があったんだ。私は妹の陸奥と共に、そういった子達の為にこの鎮守府を立ち上げたんだ。」


青年「…このことは軍の上層部は知っているのか?」


長門「もちろんだ。当初は隠れて過ごそうと思ったが、やはりそれには無理があった。大本営は最初に投降せよと言ってきたがそんなもの無視してやった。」


軍の上層部って大本営っていうのか…少し勉強しようかな…


青年「でも軍じゃ命令無視はかなりヤバいんじゃないのか?」


長門「その通り、通常命令無視などすれば首が飛ぶ。ただ、もう元の鎮守府に戻る気はさらさらなかったのだ。そうでなくても罰せられることは明らか。抵抗以外に残された選択肢はない。」


長門「何度か通知が来たが全部無視してやったさ。そしたら大本営の艦娘がやって来たんだ。」


長門「その時は私と陸奥しかいなくてな?相手は1艦隊いたんだ。どうにか苦戦したが全員追い返したのだ。」


青年「えぇ…勝てたんですか…」( ゚ー゚)


長門「私たちはなんだかんだで死線をくぐり抜けて来たからな。練度は伊達に高くない。だがこの時ほど前の鎮守府を恨めしく思ったことは無かった…」


そうすると、また長門さんの顔が暗くなる


青年「あの、長門さんは前の鎮守府でなにがあったんですか…?」


長門「……」


長門「うむ、私たちの事情はここのみんなが知っている。お前も知ることになるだろうから話しておこう。」


少しの思考の後に、長門さんは話してくれた。


長門「私たちが前に所属していた鎮守府はな…捨て艦戦法が当たり前だったのだ…。」プルプル


青年「捨て艦戦法…?」


陸奥「長門、落ち着いて?私も一緒に話してあげるから…」ギュッ


長門「す、すまないな陸奥。」ハァハァ


陸奥「青年さん、捨て艦戦法って言うのはね、駆逐艦が戦艦や空母たちの弾除けに…たまよけ…に」ググッ


長門「陸奥、おまえこそ落ち着くんだ…。青年が驚いているぞ。」


青年「何が言いたいのかは分かった。要するに身代わりを強要されていた、と言うことかな?」


長門「そういうことだ…。私たちはな、それの守られる側だったんだ。」


青年「ッ!ということは…」


長門「…あぁ…沢山の子達を目の前で看取った…無念を胸にに沈む子や泣いて…嫌がる子」ポロ…


長門「まだ…しずみたくない…と言いながら沈んで行くんだ…」ポロポロ


青年「そんな…ことが…」


長門「私は…わたしは…それを見て見ぬふりをしていたんだ…どうして私は生きているんだなどと考えたこともあった…」ポロポロ


ギュッ


長門「な…なにをする青年…」


気づいたら俺は長門を抱きしめていた。


青年「辛かったなぁ、長門さん」ポロポロ


長門「!!お前は…泣いているのか?」


青年「本当は助けたかったんだろ…?みんなを守りたかったんだろ?」ポロポロ


長門「…そうだ…私は…私は!!」ポロ…


長門「みんなを救いたかったのに!なにも…何もできなかったんだ!!」ポロポロ


長門「なにがビックセブンだ!!駆逐艦1人も救えずに、なにが戦艦長門だ!?」ポロポロ


長門「私は一体…どうすれば良かったというのだ!沈んだ子達はもう二度と帰ってこない!私が見殺しにしたも同然ではないか!!」ポロポロ


青年「そうか…そうか…」ギュゥゥ


長門「どうして私は…こんなにも無力なんだ……うわぁぁあああああ!!!」ボロボロ


青年「うん…うん…辛かったな…!」ギュウウウ


~~〜~~~〜~~~~〜~~~


長門「」スゥスゥ


陸奥「珍しく姉さんが本音を吐いたわね…」


陸奥「青年さん、ありがとう。」ペコリ


青年「特にお礼を言われるようなことはしてませんけど…?」


陸奥「姉さんはね、ここのみんなにこの話をする時は涙なんて流さなかったの。ここまで叫んでいる姉さんも初めて見たわ」


陸奥「それはきっとあなたを信頼しているから…。本当に、本当にありがとう。」ペコリ


青年「陸奥さん」ギュッ


陸奥「あらあら…これはどういう事かしら…?」


青年「いえ、俺がこうしたいんです。」ギュゥ


陸奥「あら…あらあら…困っちゃうわ」グスッ


青年「陸奥さんも辛かったはずです…無理はしなくていいんです。」


陸奥「そう…かしら?それじゃあもう少しだけ…このままで…」グスッ


青年(ここのトップであろう長門さんたちでもこんなに酷いのか…何か…力になりたい)ギュッ




~~〜~~~〜~~~~〜~~





武蔵「なぁ、村雨よ。私たちまるで空気ではないか?」ボソボソ


村雨「そうですねぇ、でも長門さんがあんなに感情を剥き出しにしたのは初めて見ました…」ボソボソ


神通「そうですね…。これはもしかして…もしかするかもしれません。」ボソボソ


大和「ねぇ武蔵…あの人は…いい人なのかな?」ビクビク


武蔵「大和よ、あいつはきっと私たちを導いてくれる、そんな存在だ。信頼に値する人間だぞ。」


大和「そうなの?武蔵が言うなら安心ね!」パァァ



~~〜~~~〜~~~~〜~~


青年「」グゥゥ〜


陸奥「あらあら、お腹が空いたの?」


青年「す、すみません!まだ一食も食べてなかったので…」


陸奥「青年さん、敬語じゃなくていいわよ。それと、陸奥って呼んで欲しいな♪」


青年「わ、分かった、陸奥。」


陸奥「それじゃ、とりあえずご飯にしましょう」


武蔵「しかしどうする?食堂に青年を連れていくわけにはいくまい。駆逐艦のみんなが混乱してしまうからな」


村雨「私が作ってあげるわ!」ハイハーイ!


武蔵「おぉ、村雨が作ってくれるのか。それなら安心だな。」


村雨「村雨の、ちょっとイイトコ見せたげるっ!」


武蔵「だが、姉妹艦たちには悟られないようにな。頼んだぞ。」


村雨「はいっ!わかりました〜!」ガチャバタン


陸奥「1人じゃ大変だろうから私も手伝ってくるわね」ガチャ


武蔵「分かった。」


古鷹「青年さん」オテテギュッ


青年「ん?えっと…古鷹…さんだっけ?」


古鷹「私は…私たちはあなたを信じていいのでしょうか…?」


まだ信じ切るのに不安があるようだ…


青年「そうだな…俺は君たちになにがあったかを知らない。そしてそれを無理に聞き出そうなんて思わないよ。」


青年「みんな辛い思いをしているみたいだし、これから見極めていってくれればいい、と思っています…。」


青年「これじゃダメですか…?」


古鷹「いいえ、充分、充分すぎます…!」ギュッ


青年「それならよかった」ホッ


古鷹「それと私もさん付けは大丈夫です。古鷹って読んでくだい!」


青年「分かった。よろしくね、古鷹。」


加賀「あの、青年さ「ねぇねぇ青年さん」グイグイ


加賀「」


青年「大和さん?どうかしたの?」


大和「武蔵がね!青年さんは信頼出来るって!」


この子はギャップがすごいな…!見た目はすごい大和撫子でお姉さんって感じだけど、言動から子供っぽさが溢れてるぞ!?


青年「そうか、それはよかった。大和さんもよろしくね」アクシュ


大和「私も大和って呼んで!でもね、武蔵が信頼しきるって今までになかったことなの!」パァァ


武蔵「いやはや青年よ、姉が迷惑をかけてすまんな」


えっ!?この子武蔵さんのお姉さんだったの!?


武蔵「大和は昔からこんな性格でな。見た目に反した行動が多いがどうか大目に見てやってくれ。」


大和「む、大和だってちゃんと強いんだからね!」フフン


青年「そ、そうか…。武蔵さんも改めてよろしくね。」


武蔵「私も武蔵でいい。よろしくな、青年よ。」


加賀「」プルプル


武蔵「む?どうした加賀よ?」


あっ、そういえば大和と被ってたけど、加賀さんも話しかけていたような…


青年「ご、ごめんね、加賀さん?」


加賀「いえ、しょうがない事です。この大和さんなので…。」アキレ


大和「ちょっとぉ!どういうこと!?」


武蔵「ま、まあまあ落ち着け大和。」ドウドウ


加賀「改めて、私は加賀と言います。空母の代表としてここ居ます。」


青年「おぉ、加賀さんは空母なのか」


パッと見みんなと変わらないけど…飛行機はどうやって飛ばすんだろ?


古鷹「あ、私は重巡の代表です。それと、こちらは軽巡の代表の神通さん。」


神通「どうぞ、よろしくお願いします…」オズオズ


青年「うん、よろしくね」


すごく大人しそうな子だけど、この子が代表なのか…


武蔵「青年、神通は普段はこうであれ、訓練や実戦となると化けるぞ。」


なんかまた心読まれてるんだけど…




~~〜~~~〜~~~~〜~~



村雨「さてさて、作りますか!」


〇〇〇「村雨、何つくるっぽい!?」ピョンピョン


村雨「ゆ、夕立!」


夕立「ねぇねぇ、ご飯っぽい?それともおやつっぽい!?」キラキラ


村雨(な、なんて言い訳しようかしら…こんなに早く見つかってしまうなんて)


陸奥「夕立ちゃん、村雨ちゃんは私たちにご飯を作ってくれるのよ」ガチャ


村雨「陸奥さん!」


夕立「えー!じゃあ夕立の分も作って!!」ピョンピョン


陸奥「残念ながら今日は夕立ちゃんの分の材料が足りていないのよ。今日は食堂で食べてきてもらっていいかしら?」


夕立「そういうことなら仕方ないっぽい…」ショボーン


村雨「ほら、飴あげるから食堂行ってきなさい。」ゴソゴソ


夕立「む、夕立そんなに子供じゃないっぽい!!」


村雨「じゃあいらないかしら?」


夕立「飴は美味しいから貰うっぽい!それじゃ今度絶対作ってね!!」トテトテ


陸奥(かわいい)ホンワカ


村雨「助かりました陸奥さん」ハァ


陸奥「夕立ちゃんは相変わらずかわいいわね」ウフフ


村雨「まだ少し子供っぽいですけどね…まあそこがいいんですけど。」


陸奥「それじゃ、作りましょうか?」ヨイショット


村雨「え?」キョトン


陸奥「ほら、みんなの分作るんでしょ?早く作らないと遅くなってしまうわよ。」


村雨(そんな…青年さんに村雨の手料理食べて欲しかったのにぃ…)ショボン


陸奥「あらあら、村雨ちゃんは青年さんに手料理を食べさせてあげたかったのかしら?」


村雨「え"っ!?い、いえそんなことは…///」アセアセ


陸奥「あら、そうだったの?てっきりそのために張り切ってるのかと思ったわ」フフ


村雨「そ、そんなことないですよぉ!みんなに村雨の料理食べてみて欲しかっただけです!!」ブンブン


陸奥「私は、青年さんのこと好きよ?」


村雨「え」ピタッ


陸奥「まさか初対面なのにあんなに優しくしてくれるなんて思ってなかったわ///」


村雨「わ、わわわわたしはそんなことはありませよ!?///」


陸奥「あらあら、それじゃ私が貰っちゃおうかしら?」


村雨「そ、それは…///」カァァ


陸奥「それは?」ノゾキミー


村雨「うぅ…///陸奥さんそんなにからかわないでくださいっ!!」ポカポカ


陸奥「ふふ、初心でかわいいわ」ウフフ


村雨「と、とにかく、ご飯作りますよ!!」ビッ





〇〇〇「2人ともなにしてるんだろう…」|д・) ソォーッ…




~~〜~~~〜~~~~〜~~~





第6章 ランチタイムと蠢く影




青年 グゥゥ~〜


武蔵「む、そんなにお腹が空いてるのか」ハッハッハ


大和「青年さんすごい音だね〜」ウフフ


青年「し、しょうがないだろ!2日間なにも食べてないんだから!///」


そういえば大和は最初はすごくビクビクしてたのにもうこんなに明るくなったな


青年「ねえ大和、どうして最初はすごくビクビクしていたんだい?」


大和「え…?」


武蔵「待ってくれ青年。その話はまたあとででいいか?まだ早すぎる。」


青年「そうか、わかった…。」


大和「でもでも!武蔵が大丈夫って言ってたから大丈夫なの!!」


青年「そうか、それは嬉しいな」ナデナデ


大和「んふふ〜くすぐった〜い」キャッキャッ


村雨「青年さん、ご飯が出来たわよ〜!」ガチャ


陸奥「あら、すっかり懐いちゃったみたいね」ウフフ


村雨(大和さんナデナデされてる…)プクー


青年「む、村雨?どうした…?」アセアセ


村雨「なんでもありませんー」ツーン


陸奥「ふふ、それじゃ私は姉さんを起こしてくるわね。」


~~〜~~~〜~~~~〜~~~


古鷹「それじゃ頂きましょうか」


加賀「そうね、さすがに気分が高揚します」キラキラ


村雨「加賀さん!ちゃんとみんなの分とっといてよね!」


加賀「善処するわ」


神通「それってしない人のセリフでは…?」


青年「あれ?長門さんは?」


陸奥「それがねぇ、みんなの前で泣いてしまったことが少し恥ずかしかったみたいなのよ」


青年「えぇ…俺たちのことは見てたのに…?」


陸奥「青年さんならきっと大丈夫かもしれないわ。ちょっと見てきてもらってもいいかしら?」


青年「わかりました」スタスタ


青年「長門さん、カーテン開けますよ?」シャー


長門「せ、青年か…。さっきはすまない。恥ずかしいものを見せてしまった…///」


青年「いえいえ、気持ちを吐き出すのは大事なことです。それに、俺たちの話を聞いてたんですからおあいこということにしましょう。」


長門「そうか、それならまぁ…。」


青年「村雨と陸奥がご飯を作ってくれました。みんな待ってますよ」


長門「分かった、今行く。」ゴソゴソ




陸奥「おはよう、姉さん。よく眠れた?」


長門「こ、こら茶化すんじゃない///」


加賀「そんなことより早く頂きましょう。冷めてしまうわ。」キラキラ


なんか加賀さんすごい輝いてるんだけど…(;゚д゚)


長門「待たせてすまないな。」ガタ


武蔵「それじゃ頂くとするか」


大和「いただきま」


明石「美味しいご飯があると聞いて!!」ドアバーン!


赤城「呼ばれて飛び出てなんとやら!!!」ドアバーン!


村雨「ちょ、まっ!さすがに赤城さんの分はないわよ!?」


赤城「そ、そんな…」ガンメンソウハク


なんかこの世の終わりみたいな顔してる…


加賀「しょうがないわね、私と半分こしましょう。」


赤城「か、加賀さん!!さすがです!!」キラキラ


この人もキラキラするのか…


明石「ここは病室で本来は必要以上の食事は厳禁ですよぉ??んん??」ニヤニヤ


長門「わ、分かった!お前も食べたいんだろう!?」


明石「さすが、長門さんは分かってますね!それじゃ私も頂きますね!」パクッ


大和 プルプル


武蔵「大和どうかしたか?」


大和「明石さんが…いただきますより先に食べてる…!」プルプル


大和「ダメだよ!いけないんだよ!!」プンスカ


武蔵「あ、明石!謝ってやってくれないか」アセアセ


明石「え?なんですか?」パクパク


大和「むぅぅ!!」((꜆꜄•௰•)꜆꜄꜆バシバシ


明石「痛いっ!痛いって!大和型戦艦の駄々はシャレにならないって!ごめん、ごめんなさーい!!」ナグラレ


武蔵(まだ駄々ですんだか)ホッ


青年(駄々のレベルハンパねぇな…)


古鷹「武蔵さん!はやく大和さんを止めてあげてください!!このままだと明石さん大破まっしぐらですよ!?」



ギャーギャー ギャーギャー


青年「すごい賑やかだな…」


〇〇〇「あれは…」|д・) ソォーッ…


神通「!」


〇〇〇(気づかれた!?)ダッ


神通「逃がしません」シュン


青年「え?消えた?」


古鷹「さすがですね…」ハハ…



~~〜~~~〜~~~~〜~~



〇〇〇「絶対あれ神通さんに気づかれちゃったよ!早く逃げなきゃ!」ダダダダ


〇〇〇「痛っ!?」ドン


神通「私がどうかしましたか?」ニコォ


〇〇〇 Σ(っ゚Д゚;)っヒッ


神通「ちょっと来てくださいね」ガシッ


〇〇〇「ご、ごめんなさぁーい!!」ズルズル



ユルシテクダサイ!!モウシマセンカラァ!!





神通「長門さん、少し出てきてもらってもいいですか?」コンコン


長門「む?どうした神通?」ガチャ


神通「この子がこの部屋を覗いていたようでして…」ハァ


〇〇〇「す、すみません!珍しく武蔵さんたちが騒がしかったので何かあったのかと…」


長門「ふむ、覗き見は感心しないぞ白露。」


白露「ごめんなさい…」シュン


白露「でもでも!村雨もなにか関係してるみたいだったから!」


神通「姉妹の心配は素晴らしいですけど、やってはいけないこともあるでしょう?」


神通「これがもしすごく重要な会議とかしてたらどうするんですか?処罰ものですよ?」


白露「し、処罰!?す、すみませんでしたぁ!!」ドゲザ


長門「まあ神通、そんなに脅してやるな。白露、お前は先程何を見た?」


白露「え、えっと…大和さんが明石さんをポカポカ殴っていたところです」


長門「他にはなにも見ていないのか?」


白露「古鷹さんと神通さんがお話してて、それとたしか加賀さんと赤城さんはキラキラしてました…」


長門(もしかして青年には気づいていないのか?大和たちが騒いでたのがいい方向に働いたか…)


長門「そうか、それなら大丈夫だ。神通、白露を離してやってくれ。」


神通「わかりました。」スッ


長門「それと白露、村雨に関しても大丈夫だ。村雨はいま私たちと少し話し合いをしていてな。」


白露「も、もしかして村雨がなにかしたんですか!?」


長門「だから大丈夫だと言ってるだろう。村雨には処分とかは何もなく、唯話しているだけだ。」


白露「そうですか」ホッ


長門「それじゃあ私はこれで。あ、今日は医務室にはできる限り近づかないでくれよ?」


白露「わ、わかりました!」ビシッ


長門「それではな」バタン


白露「はぁ、良かったぁ」


神通「なにが良かったんですか?」


白露「」ビクゥ!!


白露「あ、あのぉ神通さん…」フリカエリ


神通「長門さんは許しましたが、私は許してませんよ?」ゴゴゴゴ


白露「お、お手柔らかにお願いしますぅ」ナミダメ


神通「面会謝絶の札も掛けておいたのに覗いたんですから…ね?」ゴゴゴゴ


神通「それじゃあ演習場に行きましょうか」ニコッ






ギャー!!ユルシテクダサイ!!ダレカタスケテェー!!






夕立「!」


夕立「白露の声が聞こえたっぽい」ピクピク


〇〇〇「姉さんはまた何かやらかしたのか…」ハァ…


〇〇〇「相変わらずですね」フフフ





~~〜~~~〜~~~~〜~~~



青年「なんか叫び声が聞こえたんだけど…」


長門「まあ神通が上手くやってくれるだろう。こちらは食事を続けよう。」


武蔵「青年!ちゃんと食ってるか?」


青年「あぁ、海の男はちゃんと食わねえとやっていけねえからな!」バクバク


加賀「あなた、よく食べますね」バクバクバクバク


赤城「えぇ、いい食べっぷりです」バクバクバクバクバクバクバクバク


古鷹「2人は異常ですけどね」


明石(大破)「いやぁー、陸で轟沈するかと思いましたわ…」


大和(無傷)「明石さんが行けないんだよ!」プンスカ


長門「ほら、高速修復材だ」つバケツ


明石(大破)「あ、助かります」バシャァ


明石「ふぅ、これで大丈夫ですね!」


青年「すごいな、なんだ今の?」


長門「高速修復材と言ってな。轟沈してなければどんな傷も治せるんだ。艦娘のみだが…」


青年「いいなぁ!俺もやりたい!」キラキラ


村雨「人間には効果はないと言われてるわよ。たまに害もあるって噂だけど…」


青年「それじゃしょうがないか…」


ん?なんだこのちっこいの?


メシ!メシヨコセー!オナカガスイタゾ!


青年「なんだ、飯がほしいのか?ほれ」スプーンサシダシ


全員「!?」


ヒサシブリノゴハンデス!チャーハンウマイ!



シーーーーーン



青年「ん?みんなどうした?そんなに静かになって…」


村雨「せ、青年さん、もしかしてその子達…見えるの?」


青年「ん?このちっこいのか?」


チッコクネー!オラオラー!トビカカレー!


青年「ちょ、ちょっと痛いって!ごめんごめん!!」


全員「(゜д゜)ポカーン」


ジャアアノニクヨコセデス!ソーダソーダ!


青年「分かったって。ほれ。」つ肉


ヤリマシタ サスガニキブンガコウヨウシマス


長門「お、おい青年…。妖精達の言葉も分かるのか!?」


青年「ん?これ妖精っていうのか。まあなんとなくだけど分かるよ」


武蔵「こ、これはまさか…」


長門「村雨!少し我々で話すことが出来た!少しこの場を任せるぞ!」


陸奥「明石さんと赤城さんもここで待っていてね」


明石・赤城「わかりました〜」


大和「ねぇねぇ武蔵、どうしたの?」


武蔵「大和、お前も来るんだ。古鷹も来てくれ。」


古鷹「神通さんはどうしますか?」


長門「悪いが呼んできてくれないか?緊急を要する。たぶん演習場にいるだろう。」


古鷹「わかりました」タッタッ





館内放送「駆逐艦吹雪!駆逐艦吹雪!今すぐ会議室に来てくれ!」ピンポンパーン




〜会議室〜




吹雪「どうしたんですか!?」ドアバーン


長門「来たか、まず座ってくれ。」


吹雪「は、はい…」


吹雪(みんな勢揃いで…一体なにが…!?)


長門「吹雪、まずお前に謝らないといけないことがある。」ガタッ


吹雪「え?どういうことですか?」


長門「吹雪抜きで重要な案件に対応していてな。少しこちらで決めてしまったのだ。すまない。」オジギ


吹雪「と、とりあえず顔を上げてください!話がよく分かりません…説明してくれますよね?」


長門「もちろんだ。順を追って話そう。」





~~〜~~長門説明中…~~〜~~



吹雪「な、なるほど…。村雨ちゃんが青年さんを見つけ保護。その後妖精が見え、会話も出来ることが分かった、ということですか…」


長門「そういうことだ。」


吹雪「そしてこちらの事情も既に公開済み…と」


長門「全ては話していないがな。そこは私達の判断で話した。あの青年は信頼できる。それが私達の結論だ。」


吹雪「長門さんは私たち駆逐艦の中にはトラウマを持っている子もいることをご存知ですよね…?」ググッ


長門「もちろん知っているとも。それを踏まえても、あの青年はきっと私たちを変えてくれる…!」


長門「それにあの武蔵が認めたんだぞ?」


吹雪「武蔵さんが?本当ですか?」


武蔵「本当だ。あの青年の言葉に嘘はなかった。私が保証する。」


吹雪「そう…ですか…それで長門さんはどうしたいんですか?」


長門「私としては提督という形であの青年をここに置きたい。おそらくみんなもそう思っているはずだ。」


武蔵「そうだな、私もそれがいいと思う。」


大和「青年さん私たちの提督になるの!?」キラキラ


古鷹「私も1度信頼してみるのも…いいと思いました…。」


吹雪「古鷹さん、その1度でどうなったのか忘れたんですか!?」バン!


神通「吹雪さん!失言ですよ!!」ガタッ


吹雪「ッ!」


長門「吹雪、お前の過去も把握している。それでも、この長門の顔を立てて青年を信じてあげてくれないか?」スッ


吹雪(長門さんが頭を下げるほどなの!?)


吹雪「わ、わかりました…だけど、みんなに何かあったら…容赦しませんからね…?」ギロッ


長門「…わかった、それでもいい。感謝する。」




長門「この決定に異議のあるものはいるか…?」


シーーーン


長門「分かった。みんなありがとう。この件は夜に私から青年に話そうと思う。」


神通「吹雪さん、青年さんは本当に信頼出来ます。ゆっくりでいいですから、 ……少しずつ理解してあげてください」


吹雪「神通さんまで…」


長門「それでは解散だ。吹雪、まだこのことは口外厳禁だからな。このことを知っているのは私たちと村雨と明石、おそらく青葉も知っているだろう…」


吹雪「わかりました。」



~~〜~~~〜~~~~〜~~~



〇〇〇「吹雪ちゃん、なんの呼び出しだったの?」


吹雪「白雪ちゃん…」


白雪「ん?どうしたの?」キョトン


吹雪「なんでもないよ」ニコッ


吹雪(白雪ちゃんは…今度は、今度こそ私が守るんだから…!)ギリィ



~~〜~~~〜~~~~〜~~~




〇〇〇「失礼します」コンコンガチャ


〇〇〇「うむ、来てくれたか。楽にしてくれ。」


〇〇〇「今日もあの話ですか?」


〇〇〇「そうだ。野良鎮守府はおそらく現存する鎮守府の中ではトップクラスの実力だ。このまま放置するわけにはいかない。」


〇〇〇「あっちには提督がいませんからね。それに事情が事情ですし…。」


〇〇〇「いつ反旗を翻すかも分かったもんじゃない。あちらから仕掛けてきたことはまだないが、今後ないとは言いきれませんよ。」


〇〇〇「海軍全体…いやこの国全部が未だに艦娘を兵器だと捉えている。もし攻め込まれたらその概念はさらに定着してしまうだろう。」


〇〇〇「それだけは絶対に避けたい。未来ある子供たちのためにも…!」


〇〇〇「分かっています。そのためにここに来たんですから。」


〇〇〇「済まないが、君には危ない橋を渡ってもらう…。私はここを動けないのだ。」ググッ


〇〇〇「それも重々承知しています。それでも私はやり遂げて見せます。アイツのために…!」


〇〇〇「ありがとう。君には感謝してもしきれん。それでは……」



~~〜~~~〜~~~~〜~~~










第7章 失った光



青年「ふぅ〜、ご馳走様!美味しかったよ村雨!」ニコッ


村雨「そ、そう?良ければまた作ってあげる///」カァー


明石「おやおやぁ?村雨さんどうしたんですかぁ??」ン?ン?


村雨「大和さん呼びますよ」


明石「すみませんでした」ドゲザ


青年「それにしても長門さんたちはなにをしてるんだろう…」


明石「あなたにてい」モガモガ


村雨「ちょっと明石さん!」クチフサギ


明石「ふぁんれふか?」モガモガ


村雨「まだそうと決まったわけじゃないのに言わない方がいいかと…」ボソボソ


明石「うーん、たしかにそうかも」ムムム


青年「どうしたんですか?」


村雨「な、なんでもないのよ」アセアセ


明石「まあたぶんもうすぐ戻ってくると思いますよ」


長門「途中で抜け出してしまってすまないな。」ガチャ


青年「あ、おかえりです。用事は終わったんですか?」


長門「あぁ、とりあえず片付けをしようか。」カチャカチャ


青年「あ、手伝いますよ」カチャカチャ


陸奥「青年さんはゆっくりしてて。申し訳ないけど、もうしばらくこの部屋で待機させることになってしまったの。」


青年(まあ、これはしょうがないか…)


青年「わかりました、大人しくしてますね。」


長門「そうしてくれると助かる。すまないな。」


大和「ねぇねぇ青年さん」トテトテ


青年「ん?なんだい大和?」


大和「一緒に遊ぼうよ!」


青年「そうしたいけど、ここから出ちゃいけないんだ。ごめんね。」


大和「ん〜、じゃあトランプしよ!」


青年「いいんですか?長門さん?」クルッ


長門「この部屋から出なければ大丈夫だ。遊んでやってくれ。」


青年「待ってるだけじゃ退屈だからなぁ。それじゃやるか!」


村雨「村雨も一緒にやっていい?」


大和「いいよ!一緒に遊ぼ!」


村雨「それじゃお皿片すついでにトランプ取ってくるわね。」ガチャ


武蔵「ふむ、大和はすっかり青年のことが気に入ったようだな。」


大和「武蔵も一緒にやろ!」グイグイ


武蔵「わ、私も暇ではないのだが…」


大和「お姉ちゃんの言うことは聞かないとダメなんだよ!」グイグイ


武蔵「わかったわかった…。いいか、長門?」


長門「大丈夫だ。たまには遊ぶのもいいだろう。」


大和「みんなも遊ぼうよー」


加賀「誘いは嬉しいですが、私は少し訓練してきます。」


神通「私は駆逐艦の子達を訓練しないと…」


古鷹「私は少し休みたいので片付けたら部屋に戻りますね。」


赤城「私も加賀さんと一緒に行きますね。」


明石「私は新装備の開発に!」キラキラ


大和「えぇー、それじゃ長門さんと陸奥さんは??」


陸奥「私たちも少しやることがあってね。ごめんなさいね。」


長門「いや、アレは私1人で充分だ。陸奥も偶にはゆっくりするといい。」


陸奥「あらそう?ありがと、姉さん。」


大和「それじゃあ青年さん、村雨ちゃん、陸奥さん、武蔵と私の5人だね。」


武蔵「まだ片付けが終わってないんだ。大和も少し手伝ってくれないか?」


大和「わかった〜」カチャカチャ


青年(うーん、ゆっくりしてろとは言われたけど少し退屈だな…)



コンコン



長門「誰だ?」ガチャ


〇〇〇「その声は長門さんですね。」


長門「は、初霜…!」


なんだあの子?木の棒を持ってるけど…?


武蔵「青年、静かにしてろ!」ボソボソ


初霜「武蔵さんもいたんですか。それで…」


初霜「その『青年』とは?」キッ


長門「な、なんのことだ?」アセアセ


初霜「誤魔化さないでください。先程武蔵さんが『青年』と言ったのを聞きました。私たちの他に誰かいるんですね?」


あの子すごい耳がいいのか!?部屋の奥で話してたのに…


初霜「珍しく医務室が騒がしいと思って来てみれば…どういうことですか?説明を要求します。」カタ


長門「こうなっては仕方があるまい…。初霜、1度隣の部屋へ来てくれ。全て話そう。」


初霜「ちゃんと全部話してくださいね?」ガタン



~~〜~~長門説明中…~~〜~〜



初霜「吹雪ちゃんはその事を知ってるんですか?1番反対したと思うのですが…」


長門「私が頭を下げて頼んだ。それでもまだ抵抗があるようだったが。」


初霜「長門さんが頭を下げるほどですか…。どうしてそこまでするんですか?この前のようにしておけば良かったのに。」


長門「今回ばかりは事情が違うのだ。先程説明したが、あの青年は吹雪を除く代表全員が信頼している。」


長門「あの青年はこの鎮守府の現状を変えてくれると考えている。初霜、青年に艦娘について聞いた時なんて返答したか分かるか?」


初霜「やはり『兵器』なのでは…?」


長門「あいつはな、私たちが艦娘だと説明した後、私たちを『女の子』と言ったのだぞ?」ハハ


初霜「……それは裏があるのでは?」ウツムキ


長門「それは大丈夫だ。私たちには嘘か真か見分ける術がある。初霜は知らないかもしれないが…」


初霜「あの青年とやらは…あなたたちにそこまで言わせる人物なのですか…?」


長門「そこまで言うなら少し話してみるか?」


初霜「いいのですか?」


長門「ただし条件がある。あの青年の存在はまだ公表していない。だから口外しないこと。」


初霜「それだけですか?」


長門「それだけ守ってくれれば問題はない。」


初霜「わかりました。では話させてください。あ、二人きりにしてもらってもいいですか?」


長門「なぜだ?」


初霜「長門さんは知ってると思いますが、私は失明してからほかの五感がすごく敏感になりました。今ではその人の纏う雰囲気も分かるほどに…。」


長門「わかった。ただし何かあった時のために武蔵には部屋の外で待機しててもらう。それでもいいか?」


初霜「わかりました、ありがとうございます。」ペコリ


長門「その五感でしっかりと見極めてこい。では行こうか。」ガチャ



~~〜~~~〜~~~~〜~~~



長門「戻ったぞ」ガチャ


大和「やった!いっちばーん!!」ワァイ


村雨「村雨もアガリー!」


陸奥「あらあら、私も終わりだわ」ウフフ


武蔵「くっ、どういうことだ!?」アセアセ


青年「武蔵さんと一騎打ちか…」


青年(あれ?武蔵さん心読めるから勝ち目なくね…!?)


武蔵「くっ…、青年に4枚ドローだ!」


青年 つ4枚ドロー重ねがけ


武蔵「なん…だと…!?」ワナワナ


青年「俺も上がりですね」フゥ


大和「あれ〜?武蔵珍しく負けちゃったね!」アハハ


武蔵「し、しょうがないだろう!U〇Oなんてルールも知らないんだから!」(ノシ 'ω')ノシ バンバン


武蔵「私がちゃんとやり慣れていれば勝てていたとも!よし、もう一度だ!!」


村雨「武蔵さんって意外と負けず嫌いよね〜」




ワイワイガヤガヤ



長門・初霜「」ポカーン


初霜「あ…あの…、これは?」


武蔵「む?初霜に長門か。話し合いは終わったのか?」


初霜「はい、終わりました…じゃなくて!これは一体何をしているのですか…?」


村雨「〇NOっていうトランプみたいなカードゲームよ!やってみると楽しいわよ〜」


大和「最初は武蔵がビリだったの!」キャッキャッ


武蔵「初めてだったからしょうがないだろう!!」


陸奥「まあまあ落ち着いて、武蔵。」ドウドウ




初霜(これは…)


初霜(今までにないほど柔らかく優しい雰囲気…)


初霜(村雨さんや大和さんはともかく、武蔵さんと陸奥さんも心から楽しんでいる。)


初霜(そして奥にいるのがおそらく例の青年…。)


初霜(とても楽しそうな雰囲気…でもその中心に見え隠れする悲しげな雰囲気。)


初霜(長門さんに聞いた、お父さんとお母さんのことのようですね…。)


初霜(でも、でも…)ポロ…


長門「ど、どうした初霜!?」オロオロ


初霜(私が、みんなが憧れていた…艦娘と人間が仲良く笑い合える光景が、ここにある…)ポロポロ


初霜(私には分かる…この楽しさの源はあの青年なのだと…)ポロポロ


初霜(私が願っても祈っても…見ることの出来なかった世界が)ポロポロ


初霜(私の目の前に広がっている…!)

ポロポロ


陸奥「ちょ、ちょっと初霜ちゃん!?」


初霜「私も見てみたかった…」ボソ


長門「初霜、大丈夫か!?どうして急に泣き出して…」オロオロ


初霜「すみません長門さん、もう大丈夫です。」グシグシ


長門「そ、そうか。それじゃあ青年、少し初霜が話をしたいそうだ。」


初霜「長門さん、その必要はなくなりました。」


長門「え?」


初霜「そのかわり、少し質問があります。いいですか…?」


長門「あ、あぁ、もちろんいいぞ。」


初霜「それでは皆さんに質問です。『皆さんは今、楽しいですか?』」


全員「「「「!!!!」」」」


大和「うん!とっても楽しいよ!」ニパー


村雨「もちろん、楽しいよ!」ニコッ


武蔵「悔しくもあるが、とても楽しいとも。」


陸奥「ここまではしゃいだのはいつぶりかしらねぇ」ウフフ



やはり…やはりこの青年は…!



初霜「そんなの…そんなの羨ましくなってしまうじゃないですか…!」ポロ…


初霜「うっ、ううぅ…」ポロポロ


長門「初霜」ポン


初霜「まだ、まだ希望がここにありました…!あの子たちを…すぐっでください…!!」ボロボロ


長門「もちろん、もちろんだとも…!」ギュッ











……




あぁ…




これはとても良い夢だ





こんなにもいい夢を見ることが出来るなんて…





願わくば私の姉妹たちを










救ってくれますように…!






~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~





第8章 見つけた願望と悲劇の前奏曲




しばらくして…



初霜「青年さん、青年さん。」


青年「な、なんですか?」アセアセ


初霜「いえ、呼んでみただけです。」フフフ


青年「そ、そう?」


村雨「ちょ、ちょっと!なんで自然にそんなことしてるのよ!?」


初霜「?」アグラノウエー


青年「しょうがないじゃんか…乗ってきちゃったし…」アグラカキ


普通にいい匂いして少し厳しいものがあるんだけど…


初霜「青年さんは私がここにいては困りますか?」


青年「そんなわけないよ。むしろうれ」ゲフンゲフン


初霜「どうしました?」キョトン


青年「いや、なんでもないよ…」ダラダラ


あやうく本音が漏れかけた(゚ω゚;A)アセアセ


大和「ねー、大和もそこ座りたい!」クイクイ


初霜「ダメです!いまは私の場所です!」(`・ω・´)キリッ


大和「え〜ずるいよ〜」ブーブー


初霜「それに私は今から私の過去を青年さんに話そうと思っています。」


青年「おれに教えてくれるのか?」


初霜「はい、私は青年さんを信頼しました。あなたなら…いえ、あなたでなければ出来ないことをお願いしたいのです…!」


青年「そこまで信頼してくれてるのか。まだ会って間もないのにありがとうな。」ナデナデ


初霜「んっ…。いえ、他の子達もきっと青年さんなら心を許してくれるはずです…。」ハフゥ


村雨(青年さんのナデナデいいなぁ…)ジー


青年「ん?どうした、村雨?」


村雨「な、なんでもないわ///」


武蔵(村雨も可愛いところがあるじゃないか)ホノボノ


初霜「それで青年さん、私のお話…聞いてくれますか…?」


青年「うん、おれなんかが力になれるなら是非。」


初霜「それとお願いがあるのですが…」オズオズ


青年「?」


初霜「手を…握っていてくれないでしょうか…」


青年「分かった」ギュッ


初霜「あ、ありがとうございます!それでは話しますね…」




~~〜~~~〜~~~~〜~~~




私は2年前に艦娘の「初霜」として新たな人生を歩むことになりました。ちょうど長門さんたちが野良鎮守府を設立した頃ですね。


艦娘になる前から、艦娘が『兵器』として扱われていることは知っていました。それでもなお、同じ人間であったからこそ仲良く出来るはずだと私は考えていました。


私に初霜の適正があると分かった時、戦争終結もありますが、人間と艦娘の架け橋になりたいと強く思いました。


私が初霜になって間もなく、私は鎮守府に所属することになりました。その鎮守府には私の姉に当たる初春姉さん、子日姉さん、若葉姉さんが既に着任していたの。



初霜「初春型四番艦初霜です。よろしくお願いします!」ビシッ


提督「あぁ、よろしく頼む。」


ドドドドド


???「初霜ちゃーーん!!」ダキッ


初霜「わっ」ドサッ


???「これ子日、初霜がびっくりしておるぞ」ε-(´-`*)ハァ


???「こういうのも…悪くない」(`・ω・´)キリッ




1度も会ったことはなかったけれど、一目みてわかりました。彼女たち3人は私の姉なのだと。



初霜「もしかして…姉さんたちですか…?」


初春「妾は初春じゃ。よろしくな、初霜よ。」


子日「子日だよぉ!よろしくね!」


若葉「若葉だ。初春が一番艦で子日が二番艦、私が三番艦だ。」


初霜「私は末っ子なのですね」フフ


初春「とても落ち着いておるな…。これでは子日の方が妹みたいではないかえ?」クスクス


若葉「あながち間違っていないかもな」フフフ


子日「ちょっとそこぉ!なに勝手に納得してるの!?」プンスカ



キャッキャッ ブーブー



姉さんたちとの出会いはとても明るいものでした。私が着任した鎮守府はまだ設立されて3ヶ月ほどの新しいところでした。


それでも最前線より内側にある場所なのでそこまで強い敵とは戦わないとのことでした。


そこの提督とは仲が良いとは言えませんでしたが、上司で言えば中の上程の有能な方でした。


姉さんたちもそこは信頼しているようで、私は一先ず安心しました。


私が着任して三日後、初めての出撃任務が下されました。



提督「初霜。今日は初春、子日、若葉と初出撃だ。旗艦は初春だ。頑張ってくれよ。」


初霜「了解です!任務を遂行して参ります!」ビシッ


提督「敵艦隊ははぐれの駆逐イ級が2体、軽巡ホ級が1体。」


子日「出撃は久しぶりだな〜。初霜、頑張ろうね!」


初春「ちゃんと妾の指示に従ってほしいのう…」


若葉「油断せずに行こう。」グッ


初霜「駆逐艦初霜、抜錨します!」



私の初出撃の時も姉さんたちはいつも通りでした。緊張なんて飛んでしまうほどに。今思うとあれは姉さんたちが気を使ってくれたのかもしれません。






子日「!」


若葉「どうした?」


子日「初春、あそこ!」ユビサシ


初霜「駆逐イ級に軽巡ホ級…情報通りじゃな。」


初霜「どうするんですか?」


初春「あちらはまだ気づいていないようじゃ。全艦、戦闘態勢に。ゆっくり近づくぞ。」



そう告げると姉さん達の空気が変わりました。



初春「もうすぐであちらの軽巡の射程圏内に入るぞ。気を引き締めるんじゃ!」


子日「こっちに気づいたよ!」


ドォーーン


初春「砲撃じゃ!総員回避!」ザー


初霜(ッ!少し危なかった…!)


初春「全艦、損傷は!?」


子日「ないよ!」


若葉「こちらも大丈夫だ。」


初霜「わ、私も大丈夫です!」


初春「初霜、よく避けた!速度一杯、一気に近づいて倒すぞ!」


ドォーーン


若葉「敵駆逐艦砲撃確認!回避だ!」


初霜「ッ!?」ビッ


若葉「初霜!!」


初霜「掠っただけです!まだまだ!!」小破


初春「全艦砲撃用意!ってぇーーー!!!!」


イ級 ギィィィィ


子日「駆逐イ級轟沈確認!」


若葉「初霜、雷跡だ!!避けろぉ!!!」


初霜(え…?)


ドカァン!!


初春「ふんっ……!!」中破


初霜「は、初春姉さん…血が…!」ヘタッ


初春「まだ終わっとらんぞ!集中せい!!」ハァハァ


初霜「でも…でも…!」ポロ…


若葉「立て初霜!死にたくなければ立つんだ!!!」ドォンドォン


子日「よくも初春を…!!」ジャキン


子日「初霜!初霜は初春を殺したいの!?早く立って!!」ドォン


初霜「!」ググッ


初春「よ…よく立った初霜。行くぞ!!」ハァハァ


初春「若葉!子日!魚雷発射準備!!」


若葉・子日「了解!(オッケー!)」


初春「初霜は妾と夾叉砲撃じゃ!」ドォン!


初霜「わかりました!」ドォン


ホ級・イ級「!!」


初春「魚雷発射じゃ!!」


子日「いっけぇー!」ボシュ


若葉「当ててみせる…!」ボシュ



ドォォォン!!



イ級 ギィィィィ!!

ホ級 オォォォォ!!


子日「やったね!艦隊が勝利したよぉ!!」


初霜「初春姉さん!」


初春「そう騒ぐでない初霜。妾なら大丈夫じゃ。」ハァハァ


初霜「うっ、うぅ…ごめんなさい…」ポロポロ


若葉「とにかく早く戻ろうか。殿は私がやろう。子日と初霜は初春の護衛に付いてやってくれ。」


子日「ほら、行くよ初霜ちゃん。」


初春「さて、帰ろうぞ!」ニコッ





初出撃のこの日は自分の無力さを痛感しました。今度は守られるだけじゃいけない。姉さん達を守れるようにならなくては、と強く思いました。




初春「艦隊が帰投したぞえ。」ボロッ


子日「ただいまぁ〜」


提督「あぁお疲れ様。損害と戦果は?」


初春「こちらは妾が中破、初霜が小破のみ。はぐれ敵艦隊は全滅させた。」ハァハァ


提督「初春が中破か。早く入渠してこい。」


初春「すまんの…。」


若葉「私が肩を貸そう」ヨイショ


子日「子日も疲れたぁ〜」


提督「もういいぞ。初春はあとで報告書を頼む。」


初春「わかった…。」バタン


提督「ん?初霜もう出ていっていいんだぞ?」


初霜「あ、あの!」


提督「なんだよ…」チッ


初霜(今舌打ちされた…!?)


初霜「初春姉さんの損害は私を庇ったせいです!どうかお許しください!」ガバッ


提督「あー、特に罰とかはねぇよ。だからもう行きな。」ハァ


初霜「そ、そうですか…?それじゃあし失礼します。」バタン


提督(はぁ、めんどくせぇな…。なんだってこんなところにいなきゃいけねぇんだか。)


提督(艦娘なんて所詮『兵器』だしな。人として接するに値しないわ)ククク



~~〜~その日の夜~~〜~


初霜「初春姉さん…今日は本当にごめんなさい…」ペコリ


初春「まだ言うとるのか。大丈夫だと言うとるのに…」ε-(´-`*)ハァ


若葉「だがあそこで座り込んでしまったのは1番ダメな行為だぞ。被弾するよりも、だ。」


初霜「はい…すみません…」シュン


初春「あの状況では妾が庇った方が損害が少ないと判断した迄じゃ。」


初霜「ど、どうしてですか…?」


初春「あの時初霜は完全に隙を突かれておったな?」


初霜「はい…若葉姉さんに言われるまで気づきませんでした…」


初春「死角や隙からの攻撃はな、来ると分かっている攻撃よりも損害が大きいのじゃぞ。これは分かるじゃろう。」


初霜「なるほど、来ると分かっていれば防御して軽減することも可能ですね。」


初春「そういうことじゃ。故に妾が庇う方が良かったのじゃ。」


初春「おそらくあのまま喰らっておったら大破じゃぞ。初出撃で大破の痛みなど耐えられる筈がないのじゃ。」


初春「それこそ動けなくなって攻撃の的だからの。」


初霜「でも…初春姉さんは旗艦なんですよ?旗艦が損傷したら艦隊の指示に支障が出るかもしれないのに…」ウツムキ


初春「はぁ…初霜、お主は何もわかっておらぬな。」アキレ


初霜「どういうことでしょうか…?」


初春「初霜。お主は妾の大事な妹だぞ。守らぬ理由がどこにあると言うんじゃ?」


初霜「え…?」キョトン


初春「なんじゃ、聞こえんかったのか?」


初霜(初春姉さんは…私が妹だからというだけで…?)ポロ…


初春「ど、どうしたのじゃ」アセアセ


初霜「は…初春姉さんっ!」ダキッ


初春「なんじゃ?」


初霜「私…私もっと強くなって見せます…!姉さんたちを守れるように!!」ポロポロ


初春「ふふ、妾たちを守るか…。大きく出たものよのう」ナデナデ


初霜「もっともっと訓練して!絶対に姉さんを守ります…!!」ヒグッグスッ


初春「簡単に守られるつもりはないぞよ?」クスクス


若葉「こういうのも…悪くないな」(`・ω・´)キリッ


初春「さて、夜も遅いしそろそろ寝ようかの。」


若葉「子日はもう寝たぞ」


子日「スピー」


初春「相変わらず寝るのは早いのう」クスクス


若葉「それじゃあ電気消すぞ。」パチッ








初霜(うぅ…さっき感情が昂ってしまったせいでなかなか寝つけません…)


初春「初霜、起きておるか?」ボソボソ


初霜「初春姉さん?」


初春「静かに。子日と若葉はもう寝ておる。」ヒソヒソ


初霜「何かあったんですか?」ヒソヒソ


初春「真面目な初霜の事じゃ。まだ考えているのではと思ってな。」ヒソヒソ


初霜「うっ…」


初春「ふふ、初霜らしいの。あれは本当にしょうがないことじゃった。気に病むことは無い。次避けられるようにすればよい。」


初霜「でも…次避けられる自信がありません…」シュン


初春「ならもっと精進するのじゃ。できないことを諦めるな、できるようにするのじゃ。」


初霜「そう…ですよね!たくさん訓練して強くならないと…!」


初春「そうそう、その意気じゃ。」


若葉(ん…。初春と初霜か…?)パチッ


初霜「そういえば初春姉さん」


初春「なんじゃ?」


初霜「初春姉さんはどうして艦娘になったんですか?」


初春「どうして…か。」


初霜「あ、あの…話したくなければそれでも…」アセアセ


初春「いや、初霜には話そう。」


初春「妾は海の近くの町に住んでいての。父に母、弟がいたんじゃ。」


初霜「『いた』ってことは…」


初春「…そうじゃ、今はもう皆死んでもうた…。深海棲艦の攻撃でな。」


初春「妾は偶然友と遊びに県外におっての。報せを聞いて飛んで戻ったらば驚いたわ…」


初春「住んでいた町は跡形もなくなっていたのじゃ。妾の家も…な。」ギュッ


初春「攻め込んできた深海棲艦は前線基地の防衛網を数で押し通して来たようじゃった。」


初春「奴らは殲滅されたが、間に合わなかったのじゃ。妾と友人の家族は誰一人生きている者はいなかった。」


初春「その後生き残った妾と友人は共に孤児院で暮らした。」


初春「孤児院で暮らしていて間もなく、海軍の者がやってきた。何やら艦娘適正者とやらを探しているとのことじゃった。」


初春「その後適正検査により妾に初春としての適正があることが判明したのじゃ。」


初春「妾は艦娘になっても離れる家族ももういない。給金も入るとのことだったから町の復興に寄付しようと艦娘になることを決めた。」


初春「そして着任したのがこの鎮守府と言うわけじゃ。ちなみにこの鎮守府は防衛網を突破された鎮守府の内側にあるのじゃ。」


初霜「え!?じゃあ…」


初春「そういうことじゃ。この鎮守府から少し離れたところに妾の生まれ故郷がある。襲撃を喰らってはや3ヶ月…。復興はゆっくりだが順調に進んでおるのじゃ。」ニコッ


初霜(なんて辛い過去を…それでも頑張れるなんて…)


初霜「それでは私もその町を守るために頑張りますね!」ギュッ


初春「どういうことじゃ?」


初霜「初春姉さんも守りたいですが…初春姉さんが守りたい物も守りたいので!」


初春「ふふ、初霜は意外にも欲張りなやつじゃったか」


若葉「私にも守らせてもらおう」ガシッ


初霜・初春「!?」


子日「子日もぉ〜!」ギュッ


初春「お、お主ら!起きておったのか!?」


若葉「そりゃそんな大きい声で喋ってればな…」


子日「最初から最後まで、ぜぇ〜んぶ聞いたもんね!子日も初春の故郷を守るの!」


初春「ふ、不覚じゃ///初霜だけに言うつもりじゃったのに…。」


初霜「それじゃ、みんなで守りましょう?」フフ


若葉「あぁ、そうだな。」


子日「みんなでならきっと大丈夫だね!」


初春「妾は良い妹達を持ったようじゃの」シミジミ


初春「それはそうと初霜はどうして艦娘になったんじゃ?」


初霜「私ですか?」キョトン


若葉「初霜にも何か理由があるのか?」


初霜「そうですね。私は願いというかなんというか…」


初春「どういう事じゃ?」


初霜「姉さん達も艦娘が世間では『兵器』として認識されていることを知っていますよね?」


初春「そうじゃな…」


初霜「私は思ったんです。艦娘の適正がある『人間』が艦娘になるとどうして『兵器』扱いなのか…」


初霜「確かに人間の科学を凌駕する深海棲艦に攻撃できるという点では兵器というほかありません。」


初霜「しかし、今もこうして姉さんたちと話していて艦娘は人間となんら変わっていない。」


初霜「平和を願い、喋って笑って泣いて…姉が妹を想って…」グッ


初霜「やってることは『兵器』です。しかし思考や戦闘以外での言動に関しては『人間』と全く同じ…。」


初霜「艦娘になる前にも艦娘は不当な扱いを受けることがあるという噂を耳にしていました。」


初霜「私はそんな関係を変えたい…。艦娘は人間と意思疎通ができ、分かり合える存在だと思いました…。」


初霜「私に艦娘適正が出たときその夢は目指すべき目標に変わりました。私が艦娘と人間の架け橋となって友好な関係に変えたいと…!」


初春「そうか…初霜はそんなことを考えていたんじゃな。」


若葉「とても立派だ。初霜がそこまで深く考えていたとは思わなかったぞ」


子日「その目標、私たちも共有しようよ!」


初春「そうじゃな。初霜1人より妾たちと4人の方がきっと良いだろう。」


子日「そうだよね!でも、提督も私たちとはあんまり話してくれないし、まずはそこからかなぁ?」


初霜「まずは身近な人間として、提督と仲良くなれるといいのですが…」


若葉「まぁ、そこはまた後日考えようじゃないか。もう2時だ。」


子日「えっ!?子日明日起きられないかも!!」


初春「子日のねぼすけはいつもじゃろうて…とりあえずもう寝ようか。」



オヤスミナサーイ



初霜(まさかみんなと目標を共有できるなんて…きっといい方向に進んでくれますよね…!)フフッ




~~〜~~~執務室~~〜~~~






提督「はぁ、こんなところ早く辞めてえけど海軍が逃がしてくれねえんだよなぁ…」


提督「俺はもともと軍属じゃないのにさ」ハァ…


提督「む、これなら抜け出せるかもな…!」


提督「でもこれはあの『兵器』共と信頼関係が出来てないと難しいな」


提督「そうと決まれば…」ククク




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜




姉さん達と夢を共有したあの夜から2ヶ月ほどあとには、私たちは提督と日常会話が生まれるほど仲がよくなっていました。




提督「初霜、最近調子はどうだ?」


初霜「あ、提督!おはようございます!」ビシッ


提督「そういうのはいいって。初春たちとは上手くやれているか?」スタスタ


初霜「はい!姉さんたちは優しくも厳しく指導してくれて、とてもいい姉です!」トテトテ


提督「そうか、それは良かったな。今日も秘書艦頼んだぞ。」フフ


初霜「はい、任せてください!」



最近提督がよく話しかけてくれるようになった気がします。それに以前までは秘書艦がいなかったのですが、時折私を秘書艦にしています。



初霜「提督、1つ聞きたいことがあるのですがいいでしょうか?」


提督「ん?なんだ?」


初霜「提督は最近私たちとコミュニケーションを取ってくれるようになりました。なにかきっかけがあったのですか?」


提督「……」


初霜「提督?」キョトン


提督「今まではあまり話してこなかったがな。部下達も気遣ってこその上司だと思い始めて、コミュニケーションを取ろうと思ったのだ。」


初霜(上司と部下…ですか。それでも向き合って貰えているなら…!)


提督「初霜は、それでは迷惑だったか?」


初霜「いえ、そうではないのです。単純に私たちとこうして喋ってくれるのが嬉しいと思いまして…」


提督「そうか、それなら良かった。」



ドドドドド




子日「艦隊が帰投したよ!」バァン


初霜「子日姉さん…ノックはしましょうよ…」アキレ


初春「初霜の言う通りじゃぞ、子日。」ハァ


提督「遠征はどうだった?」


初春「遠征は大成功じゃ!資材はもう保管庫に運んでおいたぞ。」


提督「そうか、大成功してくれるととてもありがたいな。ご褒美にこれをあげよう。」スッ


初霜「こ、これは…!」


子日「間宮さんのアイスだぁ!!」ピョンピョン


若葉「こういうのも悪くない」(`・ω・´)キリッ


初春「高かったであろう…なにか少し悪い気がするな…。」


提督「まあ気にすんなって。ホレ、1人1個だからな。」


初霜(私は遠征行ってないからないのかな…)シュン


提督「ほら、初霜も。」サシダシ


初霜「え?」キョトン


提督「初霜も秘書艦を頑張ってくれているからな。3人と一緒に食べてこい。」


初霜「あ、ありがとうございます!!」


子日「提督は食べないの〜?」


提督「俺はまだ執務が終わってないからな。あとでゆっくり頂くよ。」


初春「ほれほれ、ここにおっては邪魔になってしまうぞ。部屋に戻るぞえ。」


初霜「でも私秘書艦ですし…」オロオロ


提督「だから大丈夫だって。あとは俺1人でもどうにかなるさ。ゆっくりしてきなよ。」


初霜「わかりました…。お気遣い感謝します!」ガチャ




提督(この2ヶ月で着々と信頼関係は築けているはず…。チョロいもんだな。)ハハ


提督(間宮のアイスとやらは高かったがこの程度の出費、提督辞めるためなら痛くもない)


提督「あともう少しだ…」ニヤリ



~~〜~~初霜達の部屋~~〜~~


子日「んん〜!おいひぃ〜!!」キラキラ


若葉「まさかこんなに美味しいアイスが存在するとはな…」キラキラ


初春「これ子日、少し行儀が悪いぞ!」キラキラ


なんか姉さん達がキラキラ輝いています…


子日「そういえば、最近提督とよく喋るようになったよね〜」


初春「たしかにそうじゃな。」


若葉「これはいい傾向だ。このまま少しずつ仲良くなっていこう。」


初霜「あ、それについてさっき提督の聞いてみたんですよ。」


子日「え?提督なんて言ってた?」


初霜「私たち部下の上司としてコミュニケーションを取ろうと思った、との事でした。」


初春「ふむ。対等は難しいと考えていたが、上司と部下か。」


若葉「こういうのも悪くない。」(`・ω・´)キリッ


初霜「少しずつですが良い方向に向かっている気がします。最近の戦果も上がっていますし、きっと提督も満足してくれているはずです。」


子日「でも最近はぐれ艦隊が多いよねー」パタパタ


初春「そうじゃな。この前の戦艦がいた時はビックリしたぞえ。」


初霜「いやぁ、あの時は怖かったですね」フフッ


若葉「4人の一斉雷撃で倒せたから良かったけどな。」




この頃の私達は着実に強くなっていました。4人で戦艦も沈めた程ですから!



子日「そういえば最近のはぐれって毎回同じ場所で会敵しない?」


初霜「それはただの偶然ではないでしょうか?」ウーン


子日「えー?でもかなり同じ場所にいるような気がするよ?」


若葉「まあ考えても分かるものはあるまい。今は考えないでおこう。」


初春「そうじゃ、お主らに伝えたいことがあったんじゃ。」ポン!


初霜「なんですか?」キョトン


初春「今度妾の生まれた町へ行かんかえ?まだ5ヶ月しか経っておらぬがかなり賑わってきているようじゃ。」


初霜「是非!…と言いたいところですけど、休みはそうそう取れないのでは…?」


初春「心配するでない。妾が既に休暇届けを提出済みじゃ。提督からの許可もすでも貰っておる。」


初春「提督にも故郷のことを話したのじゃ。そしたら快く許可をくれのじゃ。」


若葉「さすがだな、仕事が早い。」ハハハ


子日「それじゃ初春の町にいこ!」


初春「焦るでない、休暇は明後日じゃ」


初霜「楽しみですね!」フフッ




~~〜~~~二日後~〜~~~〜



初春「それでは提督よ、行ってまいるぞ」シフクソウビ


提督「あぁ、楽しんでこいよ。」


子日「楽しみだね!」シフクソウビ


若葉「あくまで私は艦娘だからな。子日はそこらへんを弁えて振舞ってくれよ。」


提督「そうだぞ子日。町で騒ぎとか起こすなよ?」ハッハッハ


子日「さすがに子日はそんなことしませんー!」ベー


初霜「ふふ、それじゃ行きましょうか。」バタン


提督「あぁ、行ってらっしゃい。」


提督(今日はあいつらがいないから少し派手に動けるな…。)ニヤリ


提督(あと少しだ…あと少しで…!)





~~〜~~~〜町~~〜~~~〜


初春「おぉ、もうこんなにも戻っておったか…」ホロリ


子日(初春が泣いてる!)


若葉(余計な茶々は入れるなよ?)


子日(こいつ…脳内に直接…!?)


初霜「町が…活気で溢れていますね!」


初春「妾の町が元に戻り始めている…!これ程嬉しいものはないのう!」ポロリ


初霜「私たちで寄付した甲斐があったというものですね!」ハンカチサシダシ


初春「すまんな、初霜。」ゴシゴシ


初春「とりあえず妾の家があった場所に行きたいのじゃが良いか?」


若葉「もちろんだ。私たちも是非行きたい。」



~~〜~~~少女移動中…~~〜~~~


初春「ここじゃな…」


初霜「ここが…初春姉さんの家があった場所なのですか…?」


初春姉さんが立ち止まったところを見ると、家としての形はギリギリ保っているもののそこにはまだ瓦礫が積み上がっていました。


そして僅かばかりの花束…



初春 ポロリ


初霜「初春姉さん…」ギュッ


初春「妾が取り壊さないでくれと町に頼んだのだ。壊す前に1度来たかったからの…」ポロ…


そう言うと初春姉さんは涙を流しました。


初春「戻るのが5ヶ月も遅れてしまった…家族に、申し訳が…立たないのじゃ…」ポロポロ


若葉「…」グッ


子日「…」


初霜「…」ギュッ


初春「妾が艦娘となったのは運命のようなもの…と思っておったが…これで妾は正しかったのだろうか…」グスッ


初春「うぅ…うっ…」ポロポロ


初霜「初春姉さん…」ダキッ


初めて見た初春姉さんの弱い心。いつも気高く私たちの姉であらんという姿は影もない。なんて…なんて苦しいんだろう…





???「もしかして…春…なの?」


初春 クルッ


初春「!!」


初春「まさか…お主…」ポロポロ


???「ふふ、艦娘になってかなり変わっちゃったね…春。」ポロリ


初春「…ま、まさか…空なのか…!?」フラフラ


空(うつほ)「うん…!久しぶり、春。いや…『おかえり』!」ポロポロ


初春「うん…うん…!『ただいま』…!!」 ダキッ


空「春はあのあと艦娘になったんだもんね…。ここまで復興するのに5ヶ月。短いようで長かったよ…」ギュッ


初春「そうか…こういう時はこう言うんだったな。ありがとう、と。」ニコッ


空「!私との約束、覚えててくれたんだね。」


初春「もちろんじゃ。我が友との約束は死んでも忘れぬものよ!」グシグシ


空「うん、相変わらず頼もしいね…。それはそうと口調も変わったね?」


初春「それは艤装の影響だとか聞いたぞ。もう妾はこう喋るが自然になっておる。」


空「でもさっき少しだけど素出てたよね…?」ツンツン


初春「そ、それは気のせいじゃ!///」


空「口調も姿も変わってもやっぱり心は春のままだね。」ウフフ


空「そういえばこの子達は?」ユビサシ


初春「はっ!空との出会いが衝撃的過ぎて忘れておったわ…」


子日「ちょっと!忘れるなんてひどいよ!!」ブーブー


若葉「こういうのも悪くない」ハァハァ


初霜「子日姉さん珍しく静かにしてましたもんね。」


初春「紹介するぞ。左から子日、若葉、初霜じゃ。」


空「春の友達の空です。よろしくお願いします。」ペコリ


一同「よろしくお願いします」ペコリ


初春「3人とも妾の妹だぞえ。」フフン


空「妹…か。そう、良かったわね」フフ


初春「3人とも自慢の妹じゃ。子日は少し頼りないところもあるけどのぅ…」


子日「子日だってやればできるから!」ムフーン


若葉「いや、それはそうと普段がなぁ…」ハァ


初霜「まあそこが子日姉さんって感じですけどね」ハハ


子日「なんか納得いかない…」ブゥー


空「仲がいいのね。」フフッ


初春「そういえば空は何をしに来たのじゃ?」


空「私は花を…ね?」カサッ


初春「もしかしてここにある花も?」


空「私は忙しくて1ヶ月に1度しか来れなかったけどね。新しい町長さんたちも来てたよ。」


初春「そうか。ありがとう空…。町長も家のことといい感謝してもしきれんな。」


空「あのね、町もかなり変わっているのよ!案内してあげる!」


初春「そうかそうか。是非頼むぞ。」フフッ




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜





提督「よし、これで…」


提督「実行は元帥が大本営を離れる三日後だ…!」


提督「ようやく終わりが見えたぞ」ククク





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜




カーカー



初春「もうこんな時間か…」


空「町、見て回ってどうだった?」


初春「不安はあったが、やはり懐かしい気分になる。あそこの商店街などもはや昔のままじゃ…。」


空「あの商店街はね、私が必死に町長さんにお願いしたの。前と同じように再建してくれないかって。」


初春「そうじゃったのか。苦労したじゃろうに。」


空「ううん、だって春だってお給料寄付してたでしょ?私は1日の生活にいっぱいいっぱいなの。だからお願いすることしか出来なかったの…」


初春「『しか』ではない。そのお願いはとても立派な行動じゃ。あの懐かしい光景を見た時、妾がどれだけ救われたことか…」


空「それなら良かった。」ウフフ


初春「そろそろ時間じゃ。もう戻らねば…。……っ…。」グッ


空「春、『また会おうね』!」ニコッ


初春「!!」


初春「お主が友達で良かった…!」ギュッ


空「そうでしょうそうでしょう!」ドヤァ


初春「妾からも。空よ、『また会おうぞ』!」


空「うん!それじゃあね!!」ブンブン




初春姉さんが言いたいことは私たちにもわかりました。私達は戦場に身を置いている者。いつ会えなくなるか分からないですから。




空さんは私から見えなくなるまでずっと手を振っていました。初春姉さんも恥ずかしそうに笑いながらも手を振り返していました。



初春「お主たち、今日はすまんのう。妾が案内しようと思っていたのじゃが…」


若葉「私は姉さんが楽しそうにしていてなによりだった。気にする事はない。」フフッ


子日「今日は楽しかったね!」


初霜「はい、とても楽しかったです!あの賑わいで復興直後だというのはなかなか信じられませんでした。」


初春「それだけ空と町長達が頑張ってくれたのじゃ。あの町は何があっても守らねば…!」グッ


若葉「初春よ」


初春「なんじゃ?」クルッ


若葉「私たちもいるじゃないか」ギュッ


子日「子日だって頑張るもんね!」ギュッ


初霜「私にも、守らせてください!」ギュッ


初春「お主ら…」ウルッ


初春「お主らがこんなに頼もしく見えた日はないぞ…ありがとう…!!」ポロ…


子日「子日はいつでも頼りになるよね?」


若葉「それは…」メソラシ


初霜「そ、そうですね…」メソラシ


子日「ちょっと2人とも!どういうこと!?」




ギャーギャー





初春「ふふ、やはりいつも通りかのう」グシグシ






~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~




???「ニクイ…スベテガニクイ…」ズズズ


???「チカラヲ…モットチカラヲ…!!」



~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜



初春「提督よ、只今戻ったぞ。」ガチャ


子日「あれぇ?提督いないね?」キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ


初霜「どこに行ってしまわれたんでしょうか?」


提督「すまない、少し出かけていた」ガチャ


子日「わぁ!びっくりした!」ビクッ


初春「なんじゃお主、出掛けておったのか。今までどこへ?」


提督「軍関係者のところにな。少しばかり用があったから。」ヨイショット


若葉「出掛けるなら私たちに一言くれれば良かったものを。」


提督「いやぁ、お前らに余計な心配をかけさせるわけにはいかないからな。」


提督「本当は日が暮れる前には戻れるはずだったんだが少し遅れてしまった。」


初霜「執務はもう終わってるんですか?」


提督「まだ終わってないが俺一人で十分だ。お前らも積もる話もあるだろ?ゆっくりしてきな。」


初春「休暇は今日1日じゃからなぁ。気遣い感謝するぞえ。」


若葉「それでは私たちはもう部屋に戻るぞ。」ガチャ


子日「提督、おやすみ〜!」バタン


提督「あぁ、おやすみ。」





提督「ふぅ、予想以上にアレの観測に時間がかかってしまったな…」


提督「だが成功した。計画は成功間違いなしだ。」





~~〜~2日後~~〜~


提督「またはぐれ艦隊がこちらに来てしまったようだ。出撃を頼みたい!」


若葉「情報は?」


提督「まさかの戦艦がまた1隻いるようだ。随伴に重巡1、駆逐2だ。場所は」


子日「どうせまたあそこでしょー?」


提督「そうみたいだ。あとで周辺の警備強化でも前線鎮守府に具申してみるか。」


初春「そうしてくれると助かる。最近は頻度も上がっておる上に段々敵が強くなってきておる。」


初春「そのうち妾達では手に負えなくなるかもしれん。」


提督「わかった。できる限りお願いしてみよう。では頼んだぞ。」


初春「よし、抜錨じゃ!」





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜



初霜「敵艦全滅です!こちら損害なし!」


子日「子日も無事だよー!」


若葉「私も大丈夫だ。」


初春「よし、では帰ろうか。」









シズメ…シズメ…!ウミノソコヘ…!!

チジョウニアルモノスベテガニクイ…ホロベ…!



???「マタ来タノネ…。イイ怨嗟ノ声ネ…」


???「フフフ…モウスグ…」ズズズ







提督「あとは艦娘の艤装の破片を沈めて…」


提督「これで完了だ!あとは明日に全てが終わる!!」ハッハッハ


提督「明日が楽しみだ…!」





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~








第9章 始まった悲劇と失ったモノ




-翌日-



初霜「う…ん…」モゾモゾ


初春「む、起きたか初霜。おはよう。」


初霜「初春姉さんおはようございます…」ムニャムニャ


若葉「2人とも起きていたのか」ガチャ


初霜「若葉姉さんはいつものランニングですか?」


若葉「あぁ、継続は力なりだからな。私は少しシャワーを浴びてくるぞ。」


子日 スピースピー


初霜「相変わらず子日姉さんはよく寝てますね…」フフッ


初春「そろそろ起こすのじゃ。時間に間に合わなくなってしまうぞ。」


初霜「そうですね、子日姉さん」ユサユサ


子日 ウーン ムニャムニャ…


初春「それでは子日は起きんぞ。まずは掛け布団を剥ぐのじゃ。」バサッ


子日 ウーン サムイヨ…


初春「ほれ!起きるのじゃ!」(  '-' )ノ)`-' )ペシベシ


子日「初春…?」ムニャムニャ


初春「急がんと遅れてしまうぞ」トケイサシ


子日「え?」カオマッサオ


子日「ちょ、ちょっと!なんでもっと早く起こしてくれなかったの!?」バタバタ


初春「自分で起きるようのしないのが悪いのじゃ…」ハァ


初霜「この前遅刻のせいでおやつ没収されてましたからね…」ハハ


若葉「ふー気持ちよかった。お、やっと起きたか子日。」ガチャ


子日「若葉おはよう!ちょっと手伝って!!」ゴソゴソ


若葉「ダメだ、それでは子日のためにならないからな。」


子日「そんなぁ!」ガァン


初春「ほれはやくせんか。妾達は行ってしまうぞ?」


子日「もう最低限でいいや!制服とリボンと…」アセアセ


初春「ほれ、子日のすぱっつじゃ。」


子日「ありがとう初春ぅ!」





提督「おはようみんな」


初春・若葉・初霜「おはようございます!」


子日「お、おはよー…」ゼェゼェ


提督「また朝から息も絶え絶えじゃないか…」ハハ


子日「でもでも、ちゃんと間に合ったよ!」


提督「まあそこは咎める気は無いよ。今日は特に何もなし。みんなゆっくりしてていいよ。」


提督(この鎮守府も今日で最後だからな…!)ニヤリ


子日「え?遠征もなし?」キョトン


提督「そうだ。今日は書類が多くてな。一気に集中して片付けたい。」


子日「えー、せっかく急いだのに…」ブーブー


初霜「それなら私が手伝いましょうか?」


提督「いや、大丈夫だ。今日のは提督関連のものが多いようでな。」


初霜「そうですか、それでは私はすることがありませんね…」ショボン


提督「あぁ、それと演習や訓練がしたかったら自由にしていいぞ。やることがないのも暇だろうしな。」


初春「わかったのじゃ。それではの。」


提督「今日もよろしくな。」







???「ヨウヤクコノ時ガ…全テヲ壊シテヤル…!」ズズズ






あれはその日の昼頃でした。



警報が鳴りました。



これが悲劇の始まりでした。




ウーウー!!



一同「!!」


提督「初春、若葉、子日、初霜!!今すぐ執務室に来てくれ!!」




初春「どうしたのじゃ提督!」ドアバァン


提督「例の場所で謎の敵性反応だ!!お前の故郷から程遠くない!これはマズイぞ!!」


初春「なんじゃと!?」


提督「前線鎮守府よりもこちらの方がやや近い!索敵に当たってくれ!前線鎮守府には既に救援要請を出した!」


提督「旗艦は初春だ!敵性反応確認でき次第前線鎮守府に無線を入れてくれ!」


初春「了解じゃ!お主ら急ぐぞ!!」ダッ


初霜(初春姉さんの町が危ない!守らねば…!!)


初春「よし、抜錨じゃ!行くぞ!!」クワッ


若葉「初春、焦るのは分かるが落ち着け!旗艦がそれでどうする!?」


初春「ッ!す、済まない…。」


子日「冷静にアツく行こう!」


初霜「それは難しいのでは…」ハハ


初春(くぅ…今度こそ、今度こそ守るんじゃ!!)ギンッ


提督「おいお前ら聞こえるか!?」ザー


初春「なんじゃ!?」


提督「俺らの仕事は目標を発見、姿形や特徴を前線鎮守府に報告することだ!その後はできる限り時間を稼ぐんだ!!!」


初春「承知した!それではな!」ザー






提督「ようやく行ったか…」


提督「あとは逃げるだけだな」ククク


提督「ここまで上手くいくとは思わなかったぞ。あいつらには悪いが所詮『兵器』だからな」ハッハッハ


提督「ではさらばだ。」ガチャ



本棚 バサッ




初春(急がねば…!早く、もっと早く…!!)ザー


若葉「初春!もうすぐ例の場所だ!気付かれないように接近するんだぞ!?」


初春「わかっておるわ!!」


初霜「あ…!あぁ…」ガクガク


初霜「は、初春姉さん…あれ…」ガタガタ


初春「なんじゃ……なッ!?」




??? ゴゴゴゴ




若葉「なんて禍々しい…あれも深海棲艦なのか!?」ガクガク


子日「ね、子日…分かる…分かっちゃった…」ナミダメ


子日「子日たちじゃアレには勝てない…!」ガクガク


初春「前線鎮守府!聞こえるか!?」


前線提督「こちら前線鎮守府提督だ!どうした!?」


初春「あれはおそらく姫級じゃ!どうしてこんな奴がこんなところにおるのじゃ!?」


前線提督「なに!?姫級だと!?」


???「提督、少し静かにしてもらってもいいか?」


前線提督「お、おう。」


???「無線変わったぞ。私は航空戦艦日向。お前の目では奴はどう見える?」


初春「アレには妾達では到底敵わん!」


日向「そういうことではない。外見を教えてくれ、種を特定する。」


初春「両手が大きな大砲になっておる!肩にも似たようなやつが付いてるぞ!」


日向「大砲か。他には?髪型なども大きな特徴なのだが。」


初春「髪型?あれはツインテールと言ったかの?あと片目が隠れておる!」


日向「南方棲戦姫か…!特定は完了した。今もそちらに向かっている!」


初春「急いでくれ!早くしないと妾たちの鎮守府と故郷が…!ッ!?」ゾワッ


日向「あと1時間ほどで私たち殲滅部隊がそちらに到着する!おい!?どうした!?」


初霜「初春姉さん…気付かれました…」ガクガク


若葉「奴は進路変更…こちらに向かってきている…」タラリ


子日「……!」ガクガク


初春「くっ…!全力で逃げるぞ!!」


初春「しっかりするのじゃ!!生き残るぞ!そして守るのじゃ!!」


南方棲戦姫「ミィツケタ…!」ニヤリ


ドォンダァン!!


初霜「目標、打ってきました!」


初春「総員回避!1発食らえば大破じゃぞ!!」


ドォンダァン!!ドォンドォン!!


若葉「まだ来るぞ!!」


初春「くっ…!」



バシャーン!!



初霜「第1波凌ぎました…」


初春「総員損害報告!!」


若葉「大丈夫だ!!」


初霜「私もです!!」


子日「……」スイー


初春「おい!?何をしておる!?」


子日「子日たちじゃアレには勝てないの…それじゃあこうするしかないよ」ニコッ


子日「子日はね、みんなも初春の故郷も守りたいけどね」


子日「あの鎮守府も守りたいの…!」


子日「初霜の夢でもあるからね…」


初春「待てッ!行くな!行かないでくれ!!旗艦命令じゃぞ!!!」


ドォンダァン!!



子日「ごめんね初春。その命令は守れないや。」


子日「子日はこの身を以てアイツを止めるよ。何分…いや何秒もつか分からないけど…やらなきらいけないの!」ニコッ


バシャーン!!


若葉「子日、その役目私にも任せてもらおう。」スッ


初春「待て!待てと言っておるだろう!!」ポロ…


初春「妾が残らずお主らに行かせるわけにはいかないじゃろう!!」ポロポロ


子日「初春…初春にはあの町を守る役目がある…ここは私達が行くところなんだよ…」


初春「ダメじゃ!お主ら

残すことはできん!!!」ポロポロ


初霜「第2波来ます!!!」


ドォンダァン!!ドォンドォン!!ドォンドォン!!


子日「ごめんね…分かって…!」


若葉「さよならは言わん。『また会おう』、だな」ニコッ


初春「ッ!!!」


若葉「来るぞ!!」


初春「総員回避!!初霜!妾と町に向かうぞ!!」ポロポロ


初霜「子日姉さん!若葉姉さん!」


子日・若葉「?」


初霜「『また会いましょう』!!!」ポロポロ


子日「初霜もがんばってね!!」






若葉「ようやく行ってくれたか…」ハァ


南方棲戦姫「フフフ…」ニヤリ


子日「若葉はこのバケモノ相手にやれるとおもう?」


若葉「ふっ、やれるかどうかではない。やるのだ子日よ。」


子日「そうだね…。初春には悪いけど…」


若葉「あぁ…!」


若葉・子日「「ここは死んでも通さないよ!!!」」キッ








初春「く…うっ」ポロポロ


初霜「初春姉さん!提督に状況を報告しないと!!」グシグシ


初春「そ、そうじゃな」


初春「こちら初春!提督、聞こえてるか!?」


無線 ザー


初春「おい!聞こえておるのか!?返事をせい!!」


無線 ザー


初霜「無線の故障ですか…?」


初春「分からん…繋がらないのじゃ…」


初霜「とりあえず町に急ぎましょう!!」





ー町ー



ワイワイガヤガヤ…




初春「なぜ警報がなっていないのじゃ!?提督は何をしておる!!!」


初霜「皆さん!

すぐそこに深海棲艦がいます!!早く逃げてください!!」


港の漁師「なに言ってんだい艦娘さんよ」ガッハッハッ


初春「本当なんじゃ!!今すぐ逃げてくれ!!間に合わなくなるぞ!?」


港の漁師「お前さんたちが守ってくれるじゃねえか」


初霜「無理です!!アレには私達では敵いません!!とにかくはや」



ドオォォォォン!



漁師「うぉ!?鎮守府が爆発してやがるぞ!?」


初霜「嘘…若葉姉さん…子日姉さん…」ペタッ


初春「立て!立つのじゃ…立ってくれ初霜!!」


初春「あやつらの願い!この町は…必ず守ってみせるんじゃ!!」ポロ…




ドォンドォン!!ドォンドォン!!




初春「え…?」


初霜「ッ!漁師さん!逃げてぇ!!!」




ドカァァン!ドカァァン!




初春「あ…あぁ…」


ドォンドォン!!


初春「町が…燃えていく…」ツー


ダァン!ドカン!


ブチブチッ


初霜「は、初春姉さん…?」ポロポロ




ブチブチブチッ




初春「ふざけるなよ…」ググッ


初春「深海棲艦(お前ら)は…どこまで妾達を踏みにじる気なんじゃぁぁぁぁ!!!!!!」ブチブチッ


初春「殺す…殺ス!コロシテヤル!!」ギンッ


初霜「初春姉さん!!」


初春「う…うおおおおあアアァァァ!!!!!」ビリビリビリビリ



初春姉さんが叫ぶと空気が震えました。この時の初春姉さんの姿は絶対に忘れません。黄色く光る瞳、逆立つ髪の毛…額に生えた禍々しい角に血が通ってないかと思うほど白くなっていく肌。悲しみと憎しみに塗れた顔をしてました…。




初霜「初春姉さん待って!!!」





初春姉さんには私の声は届きませんでした。






初春「おまえが…オマエガ…!!」


南方棲戦姫「ココハ」


南方棲戦姫「トオシマセェン」ニタリ


初春「ふざケルなヨ…ゆるせない…ユルセナイ…!!」ガチャカチャン


初春「シズメェ!!!」ドォンドォン!!







~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~








若葉「子日、もうすぐだ…もう…すぐ」ハァハァ


子日「…」ダラーン


若葉「すぐ…に、入渠させてやる…」ハァハァ


若葉「こ、これは…」


若葉「鎮守府が…初霜の夢が…」ググッ


若葉「子日!着い…たぞ」ハァハァ


子日「う…」


若葉「気をしっかり持て!もうすぐだ!!」


若葉「高速修復材…!悪いが勝手に使わせてもらうぞ!」バシャァ


子日「ん…!」シュウウゥゥ


若葉「私も被らなければ…」バシャァ


若葉「この状態だと少し時間がいるな…」シュウウゥゥ


若葉「高速修復材は欠損も治るとのことだったが…」シュウウゥゥ


子日「!」パチッ


子日「あいつは!?」ガバッ


若葉「落ち着け子日…私達は負けたのだ。」


子日「早くまた行かないと!!初春の町が!!ってあれ…?」キョロキョロ


子日「ねえ…ここってもしかして…」


若葉「そうだ…私たちの鎮守府…だった場所だ。」ググッ


子日「子日たち…守れなかったんだね…」ポロポロ


パァン!!


子日「ッ!な、なにするの若葉…」ポロポロ


若葉「私だって泣きたいさ!でもまだ守るものが残っているだろう!!」ポロ…


子日「若葉…」ポロポロ


若葉「言えっ!今の私たちに出来ることはなんだっ!?」ポロポロ


子日「!!はづはるだちを守るごどでず…!!」グスッ


若葉「よく言った!まだきっと間に合う!!行くぞ!!」グシグシ


子日「うん…うん!!」グシグシ


若葉「まずは執務室だ。司令系統の損害を確かめに行くぞ!」ダッ






若葉「提督!無事か!?」バァン


執務室 ボロッ


子日「これは…」


若葉「提督!どこにいるんだ!?」





…く …ぇとく!ザザー




子日「!」キョロキョロ


子日「誰なの!?」


初霜「そのこザー子日姉さん!?」ザー


子日「初霜なの!?若葉!初霜と繋がってる!」


初霜「ね さんたちぶじ たのね グスッ」ザー


若葉「現状を聞き出してくれ!私は提督を探す!」ガラッ


子日「わかった!初霜、そっちはどうなってるの!?」


初霜「 ちら っこうしてま !」ザー


子日「なに!?電波が悪くて聞こえないよ!」


初霜「と か ちらに来てください! はる姉さんが…!!」ザザー


子日「場所は?今どこら辺なの!?」


初霜「初 ね んの故郷 そばです!!」ザー


若葉(ん?なんだこの冊子は…?)ピラッ


子日「初春の…町の近く…!?じゃあ町はもう…」ヘタッ


子日「で、でも行かないと…!初霜たちを助けなきゃ!!」ググッ


子日「今すぐ向かうね!待ってて!!」


若葉「ふざけるなよ!!!!」ダン!!


子日「わ、若葉どうしたの…?」アセアセ


若葉「提督…いやあのヤロウ…」ワナワナ


若葉「子日!初霜はなんて!?」


子日「い、今すぐ来て欲しいって!場所は初春の町のすぐ近くだって…」


若葉「なん…だと…!?あのヤロウは私たちからどれだけ奪えば…!!!」ワナワナ


子日「ちょっと若葉!どうしちゃったの!?」オロオロ


若葉「ッ!」


若葉(いま子日がこの事を知ったらどう思うか…ハラワタ煮えくり返ってるがまだ黙っておくしか…!)ググッ


若葉「いや、なんでもない!今すぐ抜錨だ!」ゴソゴソ







~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜






ー海上ー




若葉「子日急ぐんだ!」


子日「これでも全速だよ!」


若葉「ん?あれは…」


日向「お前達は鎮守府の艦娘か!?時間が惜しい!翔鶴、こいつらに無線を渡せ!それで情報を交換する!」


翔鶴「わかりました。これは共同無線です。初春さんとも繋がっていますので。」


日向「お前達はそのまま全速力で向かえ!私たちは足が遅い!早く助けに行かねば…!」


若葉「すまない。恩に着る。」ガチャ


日向「それで姫の発見後なにがあった?」ザー


若葉「私と子日で足止めして初春と初霜は町に向かってもらった!5分程しか持たなかったが…」ザー


日向「昼の駆逐2人で5分は上等すぎる。よくやったと言えるだろう。あちらの状況を知りたいが…む、瑞雲が帰ってきたな。」


日向「なに?深海棲艦が2体だと?それは本当なのか?」


瑞雲妖精 (*꒪꒫꒪)( ._.)(*꒪꒫꒪)( ._.)コクコク


日向「片方は南方棲戦姫だとしてもう一体は誰なんだろうか?」


瑞雲妖精 テフリアシフリ


日向「なに…?2体は戦っていた?一体どういう…」


瑞鶴「日向!私たちの射程に入ったわよ!」


日向「翔鶴、瑞鶴!目標南方棲戦姫、全艦発艦だ!!」


翔鶴・瑞鶴「了解!!」シュボッ











ウーウー




若葉「あ、あれは…」ググッ


子日「町が…町がぁ」ポロポロ


若葉「まだだ子日!初春と初霜はどこだ!?」


初霜「若葉姉さん!!子日姉さん!!」


若葉「初霜!!」


初霜「良かった…!無事だったんですね…!!」ポロポロ


若葉「私のことより初春だ!初春はどうした!?」


初霜「初春姉さんは…あそこです…」ポロ…




初春?「ウガアァァァ!!!シズメ!シズメェ!!!」ドォンドォン!!



若葉「冗談はよせ!あれが初春だと…!?」


初霜「私たちはあの後町に向かったんです…!でも町が砲撃されて…」ポロポロ


初霜「それで…それで…初春姉さんはああなっでじまいま"した…」ヒグッグスッ


初霜「また私がヒグッ…不甲斐ないばっかりに…!」ポロポロ


若葉「まだ戻れないと決まったわけではない!!まだ諦めるな!!」ガシッ


若葉(初霜の夢を潰して…初春の故郷を壊して…)


若葉(挙句の果て初春をここまで苦しませて…!!)


若葉(テメェは死んでも絶対許さない…)ズズズ



南方棲戦姫「コノ私ガ…!!」ドォンドォン


初春「ユルサナイ…!コロシテヤル!!」ガキン ドォンドォン!!



艦載機 ブーン



南方棲戦姫「忌々シイ!邪魔ダ!」ドォンドォン


初春「ツ カ マ エ タ」ニタァ


南方棲戦姫 ゾワッ


初春「シズメ!!!!」ドォンドォンドォンドォン!!


初春「アハハハハ!!!」ガンガンドンドンバキッ!!








伊勢「日向!目標目視確認!…え?」


南方棲戦姫「コノ…ワタシガ…」


南方棲戦姫「ワタシモ…ワタシモ…モウイチド…ヨミガエルノカ…」


日向「南方棲戦姫が…沈んだだと!?」


初春「アハッ…アハハァ」ニタァ


日向「っ!?」ゾワッ


初春「オマエラモ、テキナノネ…」


伊勢「ひ、日向…あれって」ゾワッ


日向「構えろッ!殺られるぞ!!」ガチャン




初霜「待ってッ!!!!!」




日向「なぜ止める!?お前も殺られるぞ!?」


初霜「あれは初春姉さんなんです!!攻撃しないで!!」


伊勢「あれが初春…!?どういうことなの…!」


若葉「初春は私たちに任せてくれ。手出し無用だ。日向さんたちは『もしもの時』頼む。」


日向「ふざけるなよ!私にお前らが沈むのを黙って見てろというのか!?」


子日「まだ戻れるかもしれないの!私たちにやらせて!」


日向「ダメだ!その願いは聞」ドォン!


バシャーン!



日向「くっ!」回避


若葉「行くぞ、子日、初霜!!」ザー


子日「初春待っててね!」ザー


初霜「初春姉さん、今度こそ守って見せます…!!」ザー




伊勢「日向、どうするの!?」


日向「致し方ない、私たちで援護射撃するぞ!」


日向「瑞鶴、翔鶴は周囲を警戒、厳戒態勢に!」


瑞鶴・翔鶴「了解!」


日向「行くぞ、伊勢!目標は初春、3人には当てるなよ!」ガコン


伊勢「かなり難しい注文だね?まあやってやるけどさっ!」ガコン


日向「ってぇーー!!!」ドォーン!!







若葉「初春!私の声が聞こえないのか!?」ザー


初春「ハツハル…?」ダァン


子日「あの厳しい初春はどこにいったの!?」ザー


初霜「初春姉さん、帰ってきて!!」ザー


初春「ウルサイ…」ドォン


若葉「聞かないなら聞かせるまでだ!2人ともやるぞ!!」


ドォーン!!


若葉「っ!」ドガァン!中破!


若葉(中破)「おい日向ァ!!手出し無用って言ったのが聞こえなかったのか!?」ズズズ


日向「…!」ゾッ


若葉「次やったら容赦しないぞ…」ズズ…


初霜「若葉姉さん!雷撃きてますよ!!」


若葉「おっと」ヒョイ


子日「初春!目を覚まして!!」ドォンドォン


初霜「初春姉さん!!」ドォン


若葉「戻ってきてくれ!」ドォン


ドカァァン!


子日「当たった!」


シュウウゥゥ


初春「やめ…ロ…止めてくれ…」


3人「!!」


初春「もうオマエラを…傷つけたくナイ…」


子日「初春…」


初霜「初春姉さん!」ザー


初春「来ルナ!!」ググッ


初春「う…ガァァァアア!!」ドォンドォン


子日「ぐっ…!」ドカァァン!大破


初霜「もう少しで…」中破


若葉「大丈夫か!?」


初霜「!見てください…あれ…」


子日「初春…泣いてるの?」


初春「ワタシは…わ…らわは…」ツー


初霜「初春姉さん!!」ダキッ


初春「ア…アぁ…」ポロポロ シュウウゥゥ


初霜「守れなくて…ごめんなざい…!!」ポロポロ


初春「うぁ…」シュウウゥゥ


初春「あ…」ポロポロ


初霜ツー ギュウウウウウ


初春「うぅ…うっ」ポロポロ


初春「町が、町がぁ…」ポロポロ


若葉ポロポロ ギュッ


子日ポロポロ ギュッ


初春「うわあああぁぁ…」ポロポロ








ー遠くの高台ー




提督「ふむ、艦娘は深海棲艦にもなりうるのか…?」


提督「聞いたこともないが初春が深海棲艦化したのも事実。」


提督「念の為この情報は貰っておくか」ニヤリ










前線提督「おい日向!状況はどうなっている!?」


日向「少しうるさいぞ。色々あったが南方棲戦姫は沈んだ。諸々の報告は帰ってからだ。」


前線提督「わかった。それじゃあ帰投してくれ」


日向「待ってくれ。我々より内地にある鎮守府の奴らなのだが、鎮守府が崩壊している…。」


前線提督「あぁ…それは聞いている…。その子たちはこちらで一時的に保護しよう。」


日向「そうか、それならよかった。」


日向「そうだ、それとウチのほかの艦娘たちには部屋に戻るよう言ってくれ。」


前線提督「なぜだ?」


日向「いまは話せない。君だけが自由にしている状態にしておいてくれないか?」


前線提督「わかった、日向は信頼してるからな。対応しておこう。」


日向「ありがとう、ではな。」


伊勢「提督はなんだって?」


日向「初春たちをこちらで保護する。それと翔鶴、瑞鶴。」


瑞鶴「なに?」


翔鶴「瑞鶴」コラッ


日向「初春のことは他言無用だ。なぜか分かるな?」


瑞鶴「え?なんで?」(・ω・)


翔鶴「幸か不幸か、初春さんのおかげで艦娘と深海棲艦に関係があることが分かってしまったからよ。」


瑞鶴「あっ、なるほど…」


日向「一先ずこの情報は提督のみにだけ開示するものとする。他には他言無用だ。」


日向「では戻ろうか。」





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~





日向「提督、戻ったぞ」ヨイショット


前線提督「ん、お疲れ様。まずはその子達から入渠させてやってくれ。」


若葉(どうせここの提督もアイツと同じじゃないのか…?)ジー


日向「もちろんだ。私は提督とはなしがある。伊勢、翔鶴、瑞鶴、連れて行ってやってくれ。」


伊勢「わかった。とりあえず初春ちゃんは重症ね…急ぐわよ!」ダッ


瑞鶴「子日ちゃんは私がおぶっていくわね。若葉ちゃんは歩ける?」


若葉「あぁ、問題ない…」


初霜「私もここに残ります。」


日向「君も中破してるじゃないか。先に入渠してくるといい。」


初霜「いえ、お気遣いなく。私から話した方がきっと事細かにお伝えできます…」ググッ


前線提督「うーん…じゃあ日向もとりあえず休憩で!」


日向「提督、報告は早い方が…」


前線提督「そうしないと初霜ちゃん入渠してくれなさそうじゃなんか」ボソボソ


日向「あぁ、なるほど。了解した。」ボソボソ


初霜「何話してるんですか?」キョトン


日向「提督の言う通り私も少し休憩する。情報を少し自分で整理してくるよ。」スタスタ


前線提督「ほら、初霜ちゃんも入渠しておいで。翔鶴、頼めるかな?」


翔鶴「お任せ下さい。ほら、行きましょう?」


初霜「わかりました…」スタスタ


前線提督「あの初春ちゃん…大破以上にボロボロだったが…一体何が…」





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜




ー入渠施設ー



子日 ボー


瑞鶴「ちょっと翔鶴姉、この子大丈夫かしら…」ボソボソ


翔鶴「この子達は私達が思っている以上に辛い思いをしてるはずよ。今はそっと見守りましょう…」ボソボソ


瑞鶴「初霜ちゃんは端っこでうずくまってるし、若葉ちゃんは入渠が終わり次第どっか行っちゃうし…」ボソボソ


翔鶴「今の私たちに出来ることは何も無いわ…自分の鎮守府も崩壊してしまったんですもの…辛いに決まっているわ」ググッ




ー埠頭ー


ザザーン


若葉(私はどうするべきだろうか…)


若葉(あの真実をみんなに打ち明けるかどうか…)


若葉(もはや提督という存在は信用できない。いや憎いな…特にアイツは殺したくなる)ズズズ…


若葉(初春は今1番辛いが1番情報が少ない…自分の町に加えて初霜の夢の崩壊、ましてやその提督が計画的に逃げ出したなんて…)


若葉(あの南方棲戦姫もアイツが生み出した可能性が高い…ほぼ確実だ…。)


若葉(私たちは人間を信じてはいけなかったのか…?)


若葉「わからない…誰か、教えてくれ…」ツー






~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜



日向「ほら、ここが君たちの部屋だ。周りには誰も入っていないからな。」ガチャ


日向「今日は1度休んでもらって明日改めて情報を聞きたいと提督からの伝言だ。」


日向「…しっかり休めよ。これがこの鎮守府の見取り図だ。何かあったら赤く囲ってあるところに来るといい。私たちの部屋だ。」


子日 トボトボ


初霜「あ、あの…初春姉さんは…」


日向「心配するな。信頼してる医師が診ている。命に別状はないとのことかだ。」


初霜「よ、よかったぁ」ペタッ


日向「とにかくいまは何も考えずゆっくりするんだ。少しあとに翔鶴がご飯を持ってきてくれるからな。」バタン


子日「初霜…」


初霜「子日姉さん!どうしてあの時囮になんてなったんですか!?」


子日「だ、だって…」ウツムキ


初霜 ギュッ


子日「はつ…しも…?」


初霜「生きてて良かったです…」ポロポロ


初霜「もう子日姉さんに会えないと思っでまじた…」グスッ


初霜「うぅ…」ポロポロ


子日「初霜…ごめんね、ごめんねぇ」ギュッ ポロポロ


子日「私も初霜の夢…守れなかったの…」ポロポロ


子日「絶対に守ろうっえやぐそくしたのに」グスッヒグッ





子日・初霜「う…うわぁあああああ!!!」ポロポロ






若葉 ガチャ


子日「わ、わかばぁ」グスッヒグッ


若葉「子日、初霜…」


若葉「お前達に頼みたいことがある。」


初霜「え…?」


若葉「私たちは今日大事なものを失いすぎた。初春の夢に初霜の夢…」ググッ


若葉「私たちに残されたのはお前達姉妹だけ。私は初春を守りたい。」


初霜「はい…それは分かりますけど…」


若葉「これを見てもらった方が話が早い。お前達、心をしっかりして読めよ」バサッ


子日「こ、これは…?」ピラッ




私たちが見たのは深海棲艦、それも姫級や鬼級の生態がまとめられた資料と、それと一緒になっていた計画書でした。


その内容を見た瞬間目の前が真っ暗になりました。


そこに書かれていた内容は全部理解出来ませんでした。それでも確実なことがありました。



あの南方棲戦姫は私たちの提督が作り出したものだと。そして私たちの提督は








逃げ出した、と。







子日「ね、ねぇ…嘘だよね…?若葉、冗談は良くないよ…」プルプル


初霜「私たちのてい…とくが…?」


若葉「嘘ではない。これは子日と一緒に執務室に行った時に見つけたものだ。」


初霜「そんな…私たちの今までは、無駄だったというの…!?」ポロ…


子日「嘘って…嘘って言ってよ!!」ガシッ


パァン


若葉「甘えるな!!!」


子日「わかば…」ポロッ


若葉「目を背けるな!!私たちは人間とは分かり合えなかったんだ!!!」


若葉「その計画書をみたか!?【深海棲艦と艦娘共が戦ってるうちに逃げる】だとよ!!」バァン


若葉「【その後鎮守府が襲撃されて証拠は消える】だって?負けると分かっていて送り出しといて…」ワナワナ


若葉「私たちはやはり『兵器』や『道具』としてしか見られてなかったんだよ!!!」ズズズ…


初霜「そんな…そんなはずは…」ポロポロ


若葉「初霜もだ!!現実を見ろ!現実はどうだ!?私たちは『利用』されただけなんだよ!!」バン!


初霜「あ…あぁ…」ポロポロ


若葉「人間を信じた結果がこれだ!!私たちは元々同じ人間だと言うのに…」ズズズ


若葉「私はもう人間など信じられん。信じられるのはお前達と自分自身のみ。お前達も考えるんだな。」


初霜(私の夢は…本当にただの夢だったの…?だってあんなに仲良く…)



【提督「なんだよ」チッ】



初霜(あの舌打ちは…もしかして…)ツー


初霜「あは…あはは…」ポロポロ






ガラガラ…コンコン


翔鶴「皆さん、食事を持ってきました…よ!?」ゾッ


若葉 ズズズ


初霜 ブツブツ


子日 ボー


翔鶴「こ、これは…」ガクガク


若葉「なんだ…?」ギロッ


翔鶴 ヒッ


翔鶴「ご、ご飯を持ってきました…」ガクガク


若葉「そうか、すまないな。そこに置いておいてくれ…」


初霜 ブツブツ


子日 (<●>ω<●>)ジー


翔鶴「たっ、食べ終わったら食器は部屋ののの外に…」ガクガク


若葉「了解した…」ズズズ


翔鶴「しっ失礼しますっ!!」バタン


翔鶴「何が一体あそこまで…」ガクガク


翔鶴「提督にも報告しておきましょう…」





翔鶴「し、失礼します、翔鶴です」ガチャ


前線提督「ど、どうした翔鶴!?顔が真っ青だぞ!?」ガタッ


翔鶴「提督、あの子達はもうダメかもしれません…」


前線提督「どういうことだ?」


翔鶴「先程私が食事を持って行ったんですけど…」


翔鶴「部屋の空気が異常です…」ガクガク


前線提督「…詳しく教えてくれ…」


翔鶴「子日さんは…とても黒いです…。あの目を私は見ていられません…」


翔鶴「初霜さんは終始ずっとブツブツ何かを呟いていました…」


翔鶴「わ、若葉さんは…」ガクガク


前線提督「ストップだ翔鶴。もういい。状況はわかった。」


翔鶴「すみません…」


前線提督「3人も心配だが、1番は初春ちゃんだ。調べたところ今日破壊された町は彼女の故郷のようだ。」


翔鶴「そ、そんな…」


前線提督「だがこれは2度目だったのだ…」


翔鶴「そ、それはどういう?」


前線提督「つい5か月前も深海棲艦によってその町は襲撃されている…彼女たちの鎮守府が出来る前にな。」


翔鶴「そんな…じゃあ彼女は2度も故郷を…!?」


前線提督「翔鶴、今のは他言無用だ。いいね?」


翔鶴「はい、了解です…。」


前線提督「それと3人に関してはまだ希望がある。」


翔鶴「それは一体…?」


前線提督「彼女たちはとても仲が良く信頼しあっていたようだ。初春ちゃんが目覚めたら会わせてやるんだ。少しは改善するかもしれない…」


翔鶴「初春さんの容態はどうなんですか?」


前線提督「大丈夫だそうだ。身体の傷はもうほぼ治っているらしい。再生能力が異常に高いと医師も言っていたが…」


翔鶴「それではあとは目を覚ますのを待つだけですか…早く会わせてあげないと大変なことになる気がします…」






~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~






提督「ふざけるな!!離しやがれ!!」ジタバタ


憲兵「暴れるな!!貴様は敵前逃亡したんだぞ!?軍法会議ものだ!!」


提督「チクショウ!こんなはずじゃなかったのに!!」ジタバタ


憲兵「元帥、お連れしました!」ガチャ


提督「元帥!?今日は大本営にいないはずじゃ…!?」


元帥「生憎どこぞの深海棲艦のせいで出張が無くなってな…?」


提督「ま、まさか…」


元帥「今日の出張はお前の鎮守府の近くの町だったんだけどなァ…?到着前に爆発が起こって何かと思えば…」


元帥「司令官がいない、だと?」ビキビキ


提督 ヒッ


元帥「お前…自分がなにをやったか分かってるよな…?」ゴゴゴ


提督「ま、待て!俺はちゃんと有益な情報を持っている!」


元帥「あ?」


提督「教えてやるから死刑だけは!!」


元帥「とりあえず言ってみろ。ろくでもねえ内容だったらどうなるか分かってんだろ?」


提督「俺の鎮守府にいた初春が深海棲艦化した!しばらくして静まったようだが、あれは間違いなく深海棲艦だ!!」


提督「初春はそちらにやる!!解剖やら実験すれば研究がさらに」


元帥「おい」ガシッ


元帥「俺が艦娘は『道具』じゃないって言ってるのは忘れたのか…?」ミシミシ


提督「くっ…!?」


元帥「おい憲兵!こいつを連れていけ!!」


憲兵「了解です!!」


元帥「お前は極刑を与えるつもりだ。楽しみに待ってろよ」ゴゴゴ


提督「ふざけるな!!情報をわ」


憲兵「口を慎めこの下郎が!!」ガシッ


元帥「連れていけ。自殺させないようにガッチリ拘束しておくんだ。」


憲兵「了解しました!失礼します!」ガチャ









ー大本営?ー



ガガー



提督《俺の鎮守府にいた初春が深海棲艦化した!しばらくして静まったようだが、あれは間違いなく深海棲艦だ!!》ザザー



???「ほう…これは面白い情報だな」


???「提督が連れていかれる前に盗聴器を付けといて良かったぜ」ニヤリ


???「お前ら、早速動くぞ。」


???「はっ!」







~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜





ー前線鎮守府ー


~深夜〜


初春「ん…」


医師「お!目が覚めたか!」


初春「妾は…」ボー


初春「町っ!町は!?」ガバッ


初春「おい!妾の町はどうなったのじゃ!?」ユサユサ


医師「お、落ち着けって!いま提督さんを呼んだからよ!」


ドドドド


前線提督「初春ちゃんが目を覚ましたってか!?」バァン


初春「うぉっ!?びっくりするではないか…」


初春「そ、そんなことより!妾の町はどうなったのじゃ!?初霜達は!?」ガバッ


初霜「うっ」クラッ


医師「落ち着いてください!まだ完治してるとは言えませんから!」


初春「す、済まない。」


前線提督「医師さん、少し席を外してもらってもいいか?2人で話がしたい。」


医師「わかった。」バタン


前線提督「俺が事の顛末を教えよう。ちなみに初春ちゃんは何も覚えてないのか?」


初春「…妾が覚えているのは…」


初春「町が砲撃されたところまでじゃ…」ググッ


前線提督「引き伸ばしても意味は無いから結論から言おう。」


前線提督「君の町は深海棲艦の攻撃により崩壊した。」


初春「なんじゃ…と…」


初春「妾は…また守れなかったというのか…」ツー


初春「鎮守府は…妾たちの鎮守府はどうなったのじゃ…」


前線提督「…」フルフル


初春「そ…んな…」


初春「前線提督よ、少しの間…1人にしてくれないか…」


前線提督「分かった…」バタン





初春「うっ…うあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」ポロポロ


初春「なぜ!?なぜなんじゃ!?1度のみならず2度までも!!」グスッヒグッ


初春「どうして妾の町がぁ!あぁぁぁああああぁぁぁ!!!!」ポロポロ







しばらくして…







前線提督「落ち着いたか?」コンコン


初春「すまぬ…いまは何もしたくない…」


前線提督「そうか…。ならもう少しだけ話したいことがあるからこのまま聞いてくれ。」


初春「…」


前線提督「南方棲戦姫との戦闘で囮になった子日と若葉だが…」


初春「…」ガタッ


前線提督「今、この鎮守府で初霜と一緒に保護している。」


初春「なんじゃと!?」ドアバァン


初春「子日と若葉は生きておるのか!?」ガシッ


前線提督「あぁ、3人とも同じ部屋で寝ているはずだ。」


初春「そうか、そうか…」ポロ…


初春「あやつら…約束を守ってくれたんじゃな…」ポロポロ


初春「よかった、よかったのじゃ…」ポロポロ


前線提督「伝えたいことは以上だ。今日は医務室で寝るといい。明日君が起きたら3人の元に案内しよう。」


初春「ありがとう…ありがとう…!」グスッ


前線提督「礼はいいさ。とりあえずしっかり休むんだ。おやすみ。」バタン





ー朝ー



初春「ん…」モゾモゾ


初春「もう朝か…」ファァ


初春「ここの医務室には洗面所もあるのか。便利なものよのう。」


初春「ん…?」



鏡に映るのは黄色い目をした自分…



初春「これは一体…」ドクン


初春「っ!?」ドクンッ


初春 ドクン! ハァハァ





初春?「アハハハハ!!シズメェ!!」ドォンドォン





初春「くっ…なんじゃこれは…!?」ドクン ガッ


パリーーン!!


伊勢「なにか割れた音がしたけど…」ガチャ


初春「うぅ…」ドクン…


伊勢「初春ちゃん!!」ダッ


伊勢「ちょっと!大丈夫!?しっかりして!!」


初春「はぁ、はぁ…」ドクン……


初春「い、今のは…」ハァハァ


伊勢「提督!初春ちゃんが!」内線


前線提督「なんだと!?今すぐ向かう!」


ドドドド


前線提督「大丈夫か!?」バァン!


初春「だ、大丈夫じゃ」ハァハァ


前線提督「ウチの日向に昨日の情報を教えて貰ったんだがな…新たな事実が判明した…。」


初春「突然なんじゃ…?」


前線提督「とても言いにくいが…初春ちゃん、君はあの時1度深海棲艦化したようだ…。」


初春「深海棲艦化…?」


前線提督「現時点では観測されていない事態だ。覚えていることは…ないか…。」


初春「それではさっきのは…」ドクン


前線提督「なにか思い出したのか?」


初春「先程南方棲戦姫と戦っているシーンが頭によぎったのじゃ…」


前線提督「うーん、記憶はほとんど残っていない、か。とりあえず体に不調なところはないか?」


初春「うむ、もう大丈夫じゃ。」


前線提督「そうか、それはよかった。」


初春「それはそうと…初霜たちに会いたいのじゃが…」


前線提督「分かった。案内するよ。伊勢、初春を見ててくれてありがとな。」


伊勢「いえ、当然のことをした迄ですよ。」


前線提督「それじゃ行こうか。こっちだよ。」








前線提督「ここだ。それと入る前に一つ言っておきたいことがある。」


初春「またなにかあるのか…?」


前線提督「3人とも昨日から様子がおかしいんだ。何か気づいたことがあったら後でで良いから教えてくれないか?」


初春「ふむ、分かった。よく見てみるとしよう。」


前線提督「俺は邪魔だろうから退散するよ。じゃあね。」スタコラサッサ


初春「子日、若葉、初霜、入るぞ?」ガチャ


若葉「…」ズズズ


初霜 ブツブツ


子日 ボー


初春「おいお主たち!」


3人「!!」


初霜「は、初春姉さん…?」


子日「はつ…はる…?治ったの…」


初春「子日、若葉!少し来るのじゃ!」


若葉「なんだ…?」


初春「どうして旗艦の命令を聞かなかったのじゃ!?妾がどれだけの思いで…思いで…」ジワッ


初春「よく生きて帰ってきてくれた!!」ダキッ ポロポロ


若葉「初春…」


初春「お主らが沈んだら…!どれだけ悲しいことか…!!二度とあんなことをするんじゃないぞ!!」ポロポロ


子日「…」ツー


初霜「初春姉さん…ごめんなさい…ごめんなさい!」ポロポロ


初霜「守れなくて…ごめんなさい…!」ヒグッ


初春「なにを謝っておる?初霜もよく無事でいてくれた…!」ギュッ ポロ…


初霜「初春姉さん…うぅ…ううぅ…」ポロポロ







???「ここか」キキーッ


???「よし、さっさと回収するぞ」ガチャ





朝潮「司令官!」トテトテ


前線提督「ん?なんだい朝潮?」


朝潮「正面玄関にお客様がお見えになってます!」ビシッ


前線提督「客?今日はそんな予定は無いはずだが…」


???「悪いが勝手に入らせてもらったよ。」


朝潮「ちょっと!勝手に入ってこられては困ります!」


???「ふん、兵器ごときが偉そうなものだな。」


前線提督「あなたは…!田中大将!?」


朝潮「大将殿でしたか、申し訳ありません…」シュン


前線提督「大将殿が憲兵を連れて何の御用で?」


大将「ここに初春がいるらしいな?そいつを寄越せ。」


前線提督「なっ、何のことですか!?」


大将「とぼけても無駄だ。おいお前達、探せ!」


憲兵達「はっ!」ダッ


前線提督「ちょ、ちょっと!勝手はいくら大将でも困りますよ!?」


大将「ふん、黙っていろ。初春回収次第引き上げてやる。」


前線提督(こいつ以前からムカつく野郎だな…)イライラ


前線提督(さっき外から鍵をかけておいた。頼む…!見つからないでくれよ…!)


憲兵A「む?鍵がしまってるな」ガチャガチャ


前線提督「あぁ、そこは書類倉庫だ。中にはダンボールしかないぞ。」(ヤバい!)


憲兵A「そうか、なら…」


大将「待て。ここも開けろ。」


前線提督「ダンボールしかありませんよ?」


大将「鍵をよこせ」


前線提督「だからダンボールの山しかありませんって」


大将「もういい。おいお前、こじ開けろ」


憲兵A「了解です」ギギギ


前線提督「やめろ!!」


大将「この男を抑えておけ。」


憲兵B・C「はっ」ガバッ


前線提督「やめろ!開けるな!!」


憲兵A「開きました。」バキッ


大将「どうだ、いるか?」


憲兵A「いま見ますね」ガチャ


初霜「誰…?」キッ


子日 (<●>ω<●>)ジー


初春「誰じゃ…?」


若葉 ズズズ


憲兵A「居ました!初春です!」


大将「そうかそうか、ここに居たか!よし連れてくぞ!!」ガシッ


若葉「あ?」ズズズ


大将 ゾワッ


大将「お。お前ら!すぐ連れていけ!!」


憲兵達「了解!」


初春「なにをするのじゃ!?」


憲兵A「大人しくしていろ!」


若葉「大人しくするのはお前らダ」バキッ


大将の首 ゴロン…


憲兵A「ひっ…!?」


若葉「私ノ大事ナ姉に何をするつもりだッタんだ?」ズズズ…


憲兵D「あ、赤い瞳…」ガクガク


若葉「ヤハリ人間は信用デキナイナ…」カチャ


若葉「シネ」ドォンドォン


初春「若葉…!?一体どうし」ドクン!!


初春「ま、またこれか…」ドクン!!ドクン!!


ニクイ…ニンゲンガニクイ…


初春「ぐっ!?」ドクン!


初春「あぁあぁぁぁぁ!!!」ビリビリ





日向「砲撃音!?どういうことだ!?」


伊勢「とにかくすぐに向かうよ!」ダッ






憲兵K「たっ、助けてくれ!俺は何も知らないんだ!!!!」


若葉「…」ドォンドォン!


憲兵K「がっ…」ビシャ


日向「提督!これは一体…!!」


伊勢「これまさか…全部血なの…!?」


前線提督「最悪の事態だ…!このままでは手に負えなくなってしまう!」


ドォンドォン!!


伊勢「提督!危ない!!」


ドォォン!!


前線提督「伊勢!!」


伊勢「大丈夫!飛行甲板が壊れただけよ!!」中破


朝潮「し、司令官に何をするんですか!?」


若葉?「お前が、オマエガ、ジョウホウウッタ…!」ギロッ


朝潮「ひっ!?あ…あぁ…」ペタン… ガクガク


前線提督「違う!俺は売っていない!!!」


若葉?「信じらレナい。」カチャ


初霜「やめて!!」バッ


若葉?「なゼ庇う?」


初霜「分からない…分からないよ!!」ポロ…


初霜「でもここで見捨てたら!私が私でなくなってしまう気がするの!!」ポロポロ


若葉?「ソコヲドケ」


初霜「嫌だ!!!」キッ


若葉?「モウイチドイウ、ソ コ ヲ ド ケ」ギロリ


初霜「絶対にどきません!!!」


深海初春「ガァァァァアアア!!!」ドォン!


初霜「初春姉さん!?」


日向「初霜!!!」ドォン!!


ドガァァン!!


初霜「げほっげほっ…」


日向「無事か初霜!?」


初霜「大丈夫です!まさか初春姉さんまで…」


深海初春「ニクイ…スベテガ…」ズズズ


初霜「私が…止めて見せます…!!」ガチャン


初霜「日向さんたちは子日姉さんをお願いします!!」


日向「君1人でやるつもりか!?無茶だ!!」


初霜「若葉姉さんが言ってました。出来ないのではなくやるのだ、と…!」ガコン


若葉?「シズメェ!!」ドォンドォン


初霜「止めて見せます…!!」ヒュン


深海初春「アハハハハ!!」ドォンドォン


日向「くっ…!伊勢、朝潮!!提督を頼む!」


伊勢「分かった!朝潮ちゃん行くよ!!」


朝潮「は、はい!!」ダッ


前線提督「これからどうすれば…」


日向「子日!大丈夫か!?」


子日 ボー


日向「くそっ!背負っていくしか…」ダッ





若葉?「アイツニゲヤガッタ…」チッ


若葉?「ドコマデモオイカケテヤル…」ドガァァン!


初霜「若葉姉さん!ここは死んでも通しません!!」キッ





???《ここは死んでも通さないよ!!》





若葉?「ウルサイ…ダマレ!」ダァン!


初霜「攻撃が単調すぎます!こんなの…あたりません!!!」サッ


深海初春「アハハハハ!!シズメェ!!」ドォンドォン


初霜「しまっ…!?」


初霜「きゃぁああ!?」ドガァァン 大破


初春「フフ…イイザマネ…」ニヤリ


初霜「くっ…また私のせいで…」ガクン ポロポロ


初霜 ドクン!








妖精「チカラガホシイデスカ…?」


初霜「あなたは…?」








初霜 パァァァァ


若葉?「?」


初霜 パァァァァァァァァ!!!


深海初春「クッ…ナンダ…」


初霜改二「これは…」シュゥゥ…


若葉?「ジャマダ!」ドンドン!


初霜改二「…」サッ


深海初春「シズメェ!!」ドォンドォン


初霜改二「はあっ!!」ドォン!!


若葉?「ガァッ!?」ドガァァン


初霜改二「あとは初春姉さんだけです!!」キッ


深海初春「シズメ…シズンデシマエ!!」ダァンダァン!!


初霜改二「初春姉さん!目を覚まして!!」


初霜改二「!?」ゾワッ


深海若葉「マダダ…マダオワナラナイ…」ズズズ…


深海若葉「ニンゲンハ…コロス!!!」ドォンドォン


初霜改二「ぐっ…!!」中破


初霜改二「まだまだ……っ!?」ガクン


初霜改二「くっ…」ググッ


初霜改二「私は…私が!!2人を助けるんだぁぁぁ!!!!!」ビリビリ







妖精「ソレイジョウハイケマセン!!」


初霜改二「今使わないでどうするんですか!?2人は私が守るんです!」


妖精「コレイジョウハ、カラダガドウナルカワカラナインデスヨ!」


初霜改二「構いません!今持てる私の可能性全てを使ってでも!」










そこで私の記憶は途切れています。気づくと私はベッドの上に…居たようでした。





初霜 パチッ


初春「初霜!!」


若葉「初霜…」


初霜「ここは…?」


初春「すまぬ…すまぬ…!!」ギュッ


初春「あの後理解した…妾は衝動に呑まれてしまったのだと…深海棲艦と同じようになってしまったと!」ポロポロ


初霜「は、初春姉さん?そこにいるのですか?」


初春「え…?」


若葉「おい…何を言っている…?」


初霜「若葉姉さんもそこにいるのですか…」キョロキョロ


初春「な、なんという…」ポロポロ


若葉「そんな…私の…せい…?」ガクン


若葉「憎しみのあまり初霜を…」


若葉「傷つけた…?」ツー


若葉「はは…私は…どうしようもないな…」ポロポロ


初霜「初春姉さんも若葉姉さんも目を覚ましたんですね…!良かったです!!」ニコッ


若葉「や、やめろ…!やめてくれ!そんな言葉を…言わないでくれぇ…」ポロポロ


若葉 スッ…


初春「おい若葉!?何をするつもりじゃ!?」


若葉「もう…こうするしか…」ポロポロ


初春「ふざけるな!!」バシッ


初春「初霜に救ってもらった命を粗末にするなど!!妾が絶対に許さん!!!」ポロポロ


若葉「でも…でも…!」


初春「でももクソもないのじゃ!!光を失って…命をかけて救ってくれた初霜に失礼じゃと思わんのか!?」ポロポロ



光を失って…?そうか…あの妖精さんの話はそういう…



前線提督「おい!どうした!?」ガチャ


初霜「あ、前線提督さんですか?」


前線提督「えっ?どこを向いている…?俺はこっちだぞ?」


初霜「こっち…でしょうか?」クルッ


前線提督「おい…まさか…」


初春「初霜は…目が見えなくなってしまったようじゃ…」ポロポロ


若葉「私の…私のせいだ…」ポロポロ




自己嫌悪に陥る若葉姉さんの声を聞いても、私はなんと声をかけたらいいか分かりませんでした…。だって私たちはなにも悪くないのだから…ツー




初春「初霜…」ポロポロ


初霜「えっ?」ツー


初霜「私…なんで泣いて…」





私は理解しました…。私の夢は夢であり只の理想だったのだと。










~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜





前線提督「本当に大丈夫なのか…?」


初春「うむ、妾たちは上官殺しじゃ…。ここに居ては迷惑をかけてしまうからの。早々に出ていくことにしたのじゃ。」


前線提督「でも行く宛がないじゃないか…」


初霜「大丈夫です…なんとかします…!」


若葉「…」


子日「…」ボー



若葉姉さんはあれからあまり喋らなくなってしまいました。以前も喋る方ではなかったけれど、それ以上に…。人間への警戒心も高くなりました。子日姉さんは未だあの時から変化がありません…。まるで時が止まっているかのように。



初春「それではな…。」


初霜「お世話になりました…」(*・ω・)*_ _)ペコリ


若葉「……」ボソッ


子日「…」





私たちはそれからいくつもの無人島で移動しながら暮らしていました。それから半年ぐらいたった頃、長門さんに会いました。





長門「む?お前…もしかして艦娘か?」


若葉「人間…!」ガチャ


長門「そう構えるな。ほら、私も艦娘だ。」ギソウソウビ


若葉「…」キッ


初春「どうかしたのか?」ガサガサ


長門「私は戦艦長門だ。お前達は?」


初春「艦娘…!大本営の者か!?」ザッ


長門「そう構えるなって。ここは血気盛んだな。」


長門「お前達も何か事情があると見た。私たちの鎮守府に来ないか?」


長門「見たところ随分やつれているではないか。こちらは誰でも歓迎だぞ。」


初春「鎮守府じゃと…?妾たちは鎮守府に帰る気は無い。追われる身だからな…。」


長門「あぁ、それなら問題ない。私たちの鎮守府に提督は存在しない。」


初春「なんじゃと…?」


長門「ワケありの艦娘たちが集まった鎮守府だ。理由は聞かないが、このままでは死んでしまうのではないか?」


初春「確かにそうじゃ…。漁のための爆雷も使い切ったし、弾薬も燃料もほぼない。」


長門「こちらは無条件でお前達を受け入れよう。1度来てくれるだけでも構わん。」


初霜「初春姉さん…1度でいいなら行ってみては…?」


初春「そうじゃな…よし、妾達はお主に着いていくことにしよう。子日、若葉行くぞえ…。」


長門「わかった。少し遠いが着いてきてくれ。ゆっくり行くからな。」

















~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~



初霜「こうして今に至ります…。」


青年「そんなことが…」


長門「くっ…お前達にそんなにも辛いことが…」ポロポロ


村雨「初霜ちゃん…」


初霜「初春姉さんと若葉姉さんは深海棲艦化した影響で姿が少し変わってしまって…それを気にしてか部屋から出てきてくれないんです…。」


初霜「それにここには深海棲艦にトラウマを抱えてる人もいますし…」


青年「姿が変わったって…」


初霜「初春姉さんは目が黄色く、右腕に深海棲艦化の痕が…。若葉姉さんは目が紅く、右脚と左腕に…。」


初霜「服を着ている時は隠れているんですけど、お風呂の時に1度騒ぎがあって…」


武蔵「あれはしょうがない。私たちの配慮が足りなかったのだ。」


青年「騒ぎって?」


初霜「先程言った、深海棲艦にトラウマがある子とお風呂で会ってしまいまして…」


初霜「初春姉さんと若葉姉さんの痕を見て暴れだしてしまったんです…。」


初霜「おそらく痕がトラウマの原因である深海棲艦を想起させてしまったのかと…」


青年「そうか…初霜も辛かったんだな…」ギュッ


初霜「えっ…」


青年「姉さんたちのことが心配で仕方ないんだろう?その話だと初霜さんも外にはあまり出ていないはず…」


青年「よく見ると服がホコリや擦り傷だらけだ。慣れない部屋の外を音を頼りにここまで急いで来たんでしょ?」


青年「初霜は優しい子なんだね。」ギュッ


初霜「やっぱり…青年さんは優しい人です…」ポロ…


初霜「姉さんたちを…救ってくれませんか…?」


青年「俺ができるなら…できる限りの協力をするよ!!」


初霜(また!これも本心…!)


初霜「ふふ…信じてますね。」ニコッ






~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~






第10章 向き合う覚悟





青年「よし、行動は早いほうがいい。早速初春さんたちに会いに行こう。」


長門「待ってぐれ…。」ズビッグスッ


陸奥「ちょっと姉さん…少しは落ち着いたら?」ハンカチサシダシ


長門「すまない陸奥…」グシグシチーン


長門「初霜がどれだけ辛い思いをしてきたかと思うとな…」


青年「長門の気持ちも分かるよ。それで、待ってくれというのは?」


長門「忘れているかもしれないが、まだこの鎮守府には青年の存在を発表していない。」


青年「あっ…そうだったな…」


長門「勝手に出ていかれては困るからな。明日にも公表しようと思うのだがどう紹介したものか…」


武蔵「いきなり目の前に青年が出てきたら暴れる子も出てしまうだろう。たしかに難しいな…」( `・ω・) ウーム…


大和「じゃあ大和がみんなに紹介してあげるよ!」


武蔵「大和か…」(´-`).。oOホワンホワン


{大和「みんなー!この人がここの新しい提督だよ!」


青年「よ、よろしくな」


艦娘(大和さん取り入れられてる…)アキレ}


Oo。.ホワンホワン


武蔵「いや、大和は辞めよう。少し難しいものがある…」


大和「え!?なんでよー!?」


長門「私もそれには同感だ…」


大和「なんで!?納得いかない!」٩(๑`^´๑)۶プンスカ


村雨「大和さんだと、その…うまく丸め込まれた感が…ねぇ」


青年「なるほど、確かに」ハハッ


大和「そんなに子供じゃないし…」ショボーン


武蔵「まあそう落ち込むな。大和に関しては青年が馴染んでもらう時にきっと役に立てるさ。」


長門「うむ、それは一理あるな。無邪気に遊んでいるからこそだ。」


大和「役に立てるの?」キラキラ


武蔵「適材適所というやつだ。紹介は諦めてくれ」フフッ


大和「しょうがないなぁ」(`・ω・´)フンスッ!


青年「大和は表情豊かだなぁ」ホッコリ


武蔵「そこが大和のいいところよ」ハッハッハ


陸奥「それよりどうするの?」


長門「とても悩ましいものだな…」( `・ω・) ウーム…


青年「というかさ、今何話してんだ?紹介とかなんとか言ってるけど…」


長門「あぁ、そういえば伝えるのを忘れていたな。」


長門「青年。お前にはここで私たちの提督をやって貰いたい。」


青年「ん…?」(゚ω゚)


青年「今提督って言ったか…???」


長門「そうだ。」


青年「ごめんごめんちょっと待ってね……」グルグル


大和「また混乱してるー!」アハハ


長門「青年、一旦落ち着いて聞いてくれ」ペシペシ


青年「うーん…( ゚д゚)ハッ!」


長門「青年の今後の目的は本島に居る母親に会いに行くことだな?」


青年「そうだね」


長門「私たちの目的は『ここにいる者達の安全』と『人として生きていけるようになること』だ。」


青年「…」


長門「それにはこのままここでゆっくりしている暇はない。深海棲艦という艦娘と人類共通の敵がいるからな。」


長門「私は大本営に直接話をつけに行くつもりだ。」


青年「それじゃあ長門が危ないんじゃ…」


長門「そこはなんとかするさ。それについて、大本営も本島にあるのだ。要するに私たちを本島まで導いてほしい。」


長門「ここから本島まではかなり遠い。私たち代表が長くここを離れるととても危険だから、ここの皆で一緒に移動していこうと考えているのだ。」


青年「長門が今まで通り提督代理をやればいいんじゃ?」


武蔵「ここには多くの艦娘がいるんだ。いくら連合艦隊旗艦だった長門でも戦闘から衣食住まで完全に指揮はできないと思うぞ。」


長門「そういうことだ。」


青年「なるほど、そういうことか…。ちなみにどうやって本島まで行くつもりなんだ?」


長門「この辺りには幸い無人島が点在しているんだ。そこを移動しながら本島まで行くつもりだ。」


長門「だがここで問題が幾つかある。」


青年「問題?」


長門「私たちは燃料や弾薬はなくても生きていけるが、人間と同様食料がなければ死んでしまう。」


青年「食料か…無人島だとそういうのはないかもね。」


長門「そうなのだ。ここからいくらか備蓄を持っていくことも出来るが、それだと備蓄が無くなった時が私たちの終わりだからな。」


青年「まあ漁のやり方ぐらいなら教えられるよ」


長門「それでもありがたい。それともう1つ大きな問題があるんだ…」


青年「それは一体…?」


長門「大本営が私たちの話に耳を傾けてくれるかどうか、ということだ。」


青年「確かに…下手すれば攻撃されかねないね。」


長門「私たちのように練度が高ければある程度は大丈夫なんだが、ここには練度が低い子もちらほら居るんだ。」


長門「大本営の艦娘は人類の拠点を守っていることから、かなりの高練度と予想される。もし攻撃されたらそういった子達がやられてしまうんだ。それだけは絶対に…絶対に避けなければ…!」ググッ


青年「…分かった。提督、やるよ。」


長門「本当か!?」ガバッ


青年「長門と初霜の話を聞いて…ここではまだ他にも辛い思いをした子が沢山いる…。そんな子達を救うことが出来るのなら!」


長門「そうか…。ありがとう…」ポロ


青年「ちょ、どうして泣くんだよ!?」アセアセ


陸奥「姉さんはね、ようやく心から信頼できる人を見つけたのよ。きっととても安心してしまったのよ」ウフフ


武蔵「まあまあ、そう茶化してやるな。とにかく、これからよろしくな相棒!」


青年「相棒?」


武蔵「お前のことだ、お前はいい相棒になると信じている。もちろん私も相応の働きをするぞ。」


青年「相棒かぁ…いい響きだ」ウンウン


武蔵「ほう、気に入ってくれたか?」


青年「男なら1度は憧れる呼ばれ方だよな!」


村雨「そうなの…?」


初霜「さぁ…?私には分かりません…」(;´・ω・)ウーン


青年「なに!?あの良さが分からないだって!?」ガタッ


青年「みんなには良く聞こえないかもしれないけど、戦場で背中を任せて相棒と共に戦うってすげえかっこいいじゃんか!!!」キラキラ


武蔵「うむ!それについては同感だな!」


青年「おお!武蔵は分かってくれるか!!」ガシッ


武蔵「相棒とは気が合うようだな!」ガシッ


青年・武蔵「ハッハッハ!」


村雨「うーん…村雨には少し想像出来ないなぁ」


初霜「私は少し分かる気がします…。また姉さんたちと助けあいながら戦いたいものですね…」フフッ


初霜「きっとそれも青年さんの元でなら…」


村雨「きっと叶うよっ!」ギュッ


初霜「村雨さん…そうですね!」ギュッ




長門「盛り上がっているところ済まないな」パンパン


青年「あ…そういえば話の途中だったね」アハハ…


武蔵「つい盛り上がってしまった…すまない」


陸奥(姉さんも少し泣いてたのに」ウフフ


長門「陸奥…声に出ているぞ」アキレ


陸奥「あらあら、ごめんね姉さん」(´>؂∂`)


長門「全く…。」(´Д`)ハァ…


長門「話を戻すぞ。青年がここの提督として着任することは決まった。あとは他の子達にどう紹介するかだ…」


武蔵「何かいい方法はないものか…」


大和「ねぇ武蔵、私疲れたー」グイグイ


武蔵「もう少し我慢してくれよ…」アキレ


長門「私もそろそろアレの時間だ。ちょうどいいから1度解散にしようか」


武蔵「私は必要ないか?」


長門「大丈夫だ、任せてくれ。」


青年「武蔵、アレって?」


武蔵「たまにこの島周辺にも深海棲艦が出てくることがあるんだ。それを掃討するのも私たちの役目だ。」


青年「この周辺にも深海棲艦いたのかよ…よくおれ無事だったな…」


武蔵「そういうところも相棒の幸運だったのかもな。今日も少しだが現れているようだ。」


長門「では行ってくるぞ。武蔵、ここは頼んだぞ。」バタン


陸奥「私も少し用があるから出かけるわね」バタン


武蔵「それじゃあ私たちは少し休むか。」


初霜「青年さん…いや提督の方がいいですか?」


青年「どっちでもいいよ。初霜はどっちがいい?」


初霜「それじゃあ青年さん、私と…一緒にお昼寝しませんか?///」モジモジ


村雨・大和「!!!!」グルン


青年「え…?」


初霜「ど、どうですか?///」


青年「うーんまぁ、初霜がしたいっていうならいいけど…」


村雨「ちょっとちょっと!抜け駆けはズルいわよ!!」


大和「私も一緒にお昼寝したい!!」


青年(村雨に大和だとぅ!?あんなにたわわな身体が隣にいたらなんてしあわゲフンゲフン)


武蔵「大和はまだ少しやることがあるだろう。」ムンズ


大和「やだぁー!!一緒にお昼寝するのーー!!!」ジタバタ


ドタンバタン ガシャーン!


武蔵「ちょ、暴れるな!!」ガシッ


青年「わ、分かった分かった!!大和は次の機会に一緒に昼寝するから!!」


大和「ほんと!?」パァァ


青年(あれ…これって初霜と村雨との昼寝を許容したことになるんじゃ…)ダラダラ


初霜「や、やりました…!」キラキラ


村雨「///」モジモジ


青年「」


武蔵「それじゃあ相棒達はゆっくり休んでくれ。ほら大和行くぞ。」


大和「青年さん約束だからねー!」バタン




シーーーン




青年「そ、それじゃあおれはトイレに…」ダラダラ


初霜・村雨 ガシッ


初霜「大和さんとは約束しましたよね?」ニコッ


村雨「む、村雨は全然OKなんだからねっ!!///」


青年(逃れられなかった…)(´^p^`)






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




〇〇〇「ここからはかなり遠いが隠密作戦だから護衛が出せない…済まないな。」ペコリ


〇〇〇「そんな謝らないでくださいって。作戦をたてるのがあなたで遂行するのが私だというだけですよ。」ハハ


〇〇〇「それにこれは私にしか出来ません。任せてください、死んでもやり遂げますよ」


〇〇〇「死んでもらっては困るのだが…とにかく頼んだぞ。艦娘の未来は君にかかっていると言っても過言ではない。」


〇〇〇「ええ。それでは、行ってきます」(`・ω・´)ゞビシッ!!






〇〇〇「行ってしまったか…頼んだぞ…!」





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~




あ…ありのまま今起こっている事を話すぜ!『仲良く川の字で寝ていたと思っていたらいつの間にか腕に抱きつかれている』…。

な…何を言っているかわからねーと思うがおれもどうしてこうなったのか分からない…



青年(じゃなくて!!!初霜はまだいいんだけど村雨だよ村雨!!!)


青年(右腕に柔らかいモノがあたってあばばば)


初霜 スー (左腕ホールド)


村雨 スー(右腕ホールド)


青年(こんなので昼寝なんて出来るわけないってばよ!!!)オメメギンギン


青年(休みたいけど休めない…なんてしあわゲフンゲフン 地獄なんだ…!)


青年(とりあえず村雨は色々危ないから…)ゴソゴソ


村雨「んっ…」


青年(よし、とりあえず脱出完了…。初霜は港にいた子供みたいでかわいいもんなんだけどなぁ…)


青年(村雨はちょっといろいろと…ね?)


青年(それでも2人とも過去に辛いことがあったんだよね…村雨はまだ分からないけど初霜なんてあれは相当心にくるはず)


青年(提督になることで少しでもこの子達の力になれるなら…)グッ





青年 スピーzzZ


初霜 スー ムニャムニャ


村雨 スー




パシャッ! Σp[【◎】]ω・´)


〇〇〇「これはこれは…」


〇〇〇「スクープですね!長門さんからは言うなとの事でしたが、私たちの司令官となるなら話は別です!」


〇〇〇「なにやら紹介方法に悩んでいるようでしたし…青葉ってば優しすぎない!?」


青葉「さてさて、早く記事を作らないと!」サッ ヒュン





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~






長門「全く、陸奥まで来なくてもいいと言っただろう…」スタスタ


陸奥「いいのよ、私がやりたくてやってる事だし。それに今日は少し大変だったでしょう?」スタスタ


長門「そうだな。まさかこの辺りで戦艦を見かけるとは思わなかった。青年の船が襲われたと思われる海域にも戦艦は出たようだし…」


陸奥「少し嫌な予感がするわね?」ウフフ


長門「笑ってなどいられまい。この調子だと少しみんなも訓練すべきかもしれないな。」


陸奥「そうね…自分の身だけは最低限守れるようにならないと…」


長門「前途多難だがな。さて、そろそろ夕食の時間だ。ていと…青年たちを呼んできてくれないか?」


陸奥「分かったわ」





コンコン


陸奥「失礼するわね」ガチャ


陸奥「あらあら…」ウフフ


青年 スピー


初霜 スー(左腕ホールド)


村雨 スー


陸奥「少し羨ましいわね」フフッ


陸奥「気持ちよさそうに寝てるし、今日はこのまま休んでもらいましょうか…」バタン





長門「すまないな、陸奥。む、青年はどうした?」


陸奥「初霜ちゃんと村雨ちゃんと一緒に、気持ちよさそうに寝てたからそのままにしてあげたわ」ウフフ


長門「そうか、青年も今日は新しい事が沢山あって大変だっただろうしな。」


長門「それでは夕食にしようか。」


陸奥「ええ、いただきます。」








~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~




〜翌朝(4時)〜


ドドドドドドド


青年「うん……地震か!?」ガバッ


青年「揺れてない…」ドドドドドドド


白露「村雨!!!!」ドアバァン!!


青年「うおっ!?なんだ!?」ビクゥ


白露「おいお前!!村雨をどこにやった!!!」フーッフーッ


青年「な、なんだよ…村雨ならここに」(目が血走ってるぞ…怖い):(´◦ω◦`):ガクブル


白露「村雨!!」ガバッ ガッ


青年「いてっ!?」ドサッ


村雨「ふあぁ…白露姉さん?」キョトン


白露「ちょっと村雨!!コイツに変なことされなかった!?」


村雨「白露姉さん朝からうるさい…」ファァ


白露「って初霜ちゃんもいるじゃん!?ちょっと起きて!!!」ユサユサ


初霜「うーん…姉さん…」ムニャムニャ


白露「初霜ーー!!」


村雨「姉さんうるさい」ヽ( ・ ω ・ )ノ┌┛)`Д゚)・;'


白露「ぐはっ!?痛いよ村雨…」スリスリ


村雨「落ち着いた?で、結局どうしたのよ。」


白露「これだよこれ!どういうことなの!?」ガサッ


村雨「う〜ん、なになに…?」



青葉新聞


大スクープ!!人間である青年が提督に!?そして秘密の夜会!!



村雨「ちょ、ちょっとなによこれ///」カァァ


白露「私が聞きたいよ!」


村雨(というかこの写真の青年さん初霜ちゃんの方向いて寝てるじゃない!ズルいわ!!)


白露「ちょっと村雨!」ペシペシ


村雨「な、なに?///」アセアセ


白露「詳しく説明してよね!そこにいるお前も!!」


青年 グルグル…('、3_\)_


村雨「青年さん何故かそこで気絶しちゃってるわよ…」


白露(あっ、これ私のせいだ…)


白露「ま、まあアイツはいいよ!とにかく説明して!!」アセアセ


村雨「その前にその『アイツ』っていうのやめてくれないかしら?さすがに姉さんでも許せないわ」ニコッ


白露「わ、分かったよ…」ゾクゥ


村雨「まあしょうがないから説明するわ…」





カクカクシカジカ






白露「この人を長門さんたちが信用してるの…?」


村雨「そうよ。私も青年さんは信頼できると思っているわ。」


白露「でもそれはきっと村雨が優しいからだよ!助けた時に可哀想になって絆されちゃったんだよ!」


村雨「そんなことはないわ。それに青年さんは私たち艦娘を『兵器』だなんて言わなかったわ。」


白露「そうじゃないならどうせ『道具』とかでしょ!」


村雨「それも全く違うわ。青年さんはね、私が艦娘だと分かって最初に、『女の子』だと言ったのよ。」ウフフ


白露「は…?」キョトン


村雨「まあ、そういう反応になるわよね。でもあの時は青年さんは死にかけていたし、嘘ではないと思うの。」


村雨「それに昨日1日話して遊んで…とても楽しかったんのよ。」ニコッ


白露「妹の言うことは信じたいけど、これだけは難しいよ…」ウ-ン


村雨「それはしょうがないわ。夕立と時雨姉さんに関してはもっと難しい事だもの。」


村雨「ゆっくり時間をかけてなれてもらうしかないって長門さんも言ってたわ。」


白露「そこまで言うなら…少し信じてみるよ…」


村雨「ありがと。青年さんと話していればきっと分かるわ。それはそうと、姉さんこんな早くによく起きてたわね。」


白露「そこは長女でありイチバン故だよね!」ビシッ


村雨「ちょっと意味がわからないわ…」アキレ


白露「なんか姉妹の危機な気がして起きたらこの時間だったんだよね。それで何かと思ったら新聞があったからさー」


白露「読んだらびっくりしたよ。なんでこんなことになってるんだってね…」


村雨「正直この記事に関しては誇張がほとんどね…。合ってるのは青年さんが提督になるってところだけよ」(´Д`)ハァ…



オイアオバァ!!カクレテナイデデテコイ!!



村雨「ほら、もう長門さんに追われてるわ…」


白露「まあそこはやっぱり青葉さんって感じだよねぇ…」


青年「うーん…」モゾモゾ


村雨「あ、青年さん起きた?」


青年「めっちゃ痛かった…」ジンジン


村雨「大丈夫?全く、どうして気絶してたのよ?」


青年「うーん、たしか…その子が『村雨はどこだ!』って言いながら突進してきてさ…」


青年「ここにいるよって教えたら突き飛ばされた」


村雨「姉さん…?」


白露「い、いやぁ〜、少し、いやほんの少しだけ体がぶつかっちゃっただけだって…」ダラダラ


村雨「気絶してるのにちょっとなわけないでしょ!!ほら、謝って!!」


白露「えぇー…元はと言えばこの人が」


村雨「悪いことをしたら謝るのが道理なのよ。ちゃんとしてくださいね!」


青年「ま、まあまあ、おれは無事だったんだからいいじゃn」


村雨「青年さんは静かにしてて!!」


青年 アッハイ


村雨「全く、白露姉さんは昔からそういうところがあるんだから…悪いことをしたなら謝るなんてみんな知ってることよ?」


村雨「そんなことだと『イチバン』には程遠いかもね…」ε-(´-`*)


白露「そんな!?」ガビー(´°ω°`)ーン


村雨「昨日のお昼もなにか怒られていたみたいだし…」


白露「そ、それは村雨のことが心配で!」アセアセ


村雨「あら、そうだったの?それならしょうがないわね…」


白露「そ、そうだよしょうがなかったんだよ!」ダラダラ


村雨「それはそうと、ちゃんと謝りましょうか」ニコッ


白露「は、はい…」ショボン


白露「あの、さっきは突き飛ばしちゃってごめんなさい…」ペコリ


青年「そんな気にしないでって。それより君は誰なの?」


村雨「姉さんは私の姉さんよ。白露型その一番艦、白露っていうの。」


村雨「青年さんにはまだ説明してなかったけど、艦娘において、同型艦の子達は姉妹なの。稀に姉妹がいない子もいるみたいだけど…」


青年「あぁ、最初に言ってた白露型ってそういう事だったのか。」


白露 ( ´・ω・`)ジー


青年「とにかく、よろしくね白露さん。」スッ


白露「よ、よろしく…」アクシュ


青年「というかさっきのやり取りを見てると、村雨の方がお姉さんみたいだな」ハハッ


村雨「やっぱり?そう見えちゃうわよねぇ」(・∀・)ニヤニヤ


白露「な、なによそのムカつく顔は…」


村雨「まあ、これでも頼りになる時は頼りになるのよ。自慢の姉さんだわ。」


白露「村雨…」


村雨「普段はあんまりだけど…」


白露「最後で台無しだよ!」ガタッ


青年「2人とも仲がいいんだね。それで、白露型っていうのは何人姉妹なの?」


白露「私たちは9人姉妹だよ!私はその長女なんだ!」ドヤァ


青年「9人か〜。…って9!?多くない!?」


村雨「そうでもないわよ。駆逐艦だとそれくらいは普通なの。ほかの艦種となるとそうは行かないけど…」


青年「艦種…」


村雨「駆逐艦、軽巡洋艦、重巡洋艦、戦艦、空母、潜水艦とか…。大別するとこんな感じかしら?」


青年「うーん…勉強することが沢山だな」グルグル


村雨「それぞれの艦種で特徴があるの。それは」


白露「村雨ストップ」チョンチョン


村雨「?」


白露「あの人がショートしたよ…」


青年 プシュー


村雨「さすがに早すぎないかしら…」


白露「ねえ村雨、本当にこの人は大丈夫なの?」


村雨「大丈夫よ。きっとみんなをうまく導いてくれるわ。」


白露「そう…村雨がそこまで言うんだね。少し妬けちゃうなぁ」


村雨「どうして?」


白露「白露のこともそうやって慕ってくれるといいんだけど、ってこと…」


村雨「姉さんは日常生活をもう少し、ね?」


村雨(これでも1番信頼しているのは白露姉さんなんだけどね。あの時だって…)ウフフ


白露「人には得手不得手ってのがあるんですぅー」(´-ε-`)ブーブー


村雨「そこは直すように努力するのがイチバンになるのに必要なんじゃない?」


白露「うーんたしかに…」ムムム


青年「2人とも何の話をしてるんだ?」


白露「あ、戻ってきた。」


青年「あー…うん、ごめんね」


村雨「いいのよ、一気に説明しようとした村雨にも非があるわ。ゆっくり覚えていきましょ!」


初霜「うーん…もう朝ですか?」ムニャムニャ


白露「あ、初霜ちゃんも居たの忘れてた…」


初霜「その声は…白露さんですね。こんな朝からどうしたんですか?」


白露「今日の青葉新聞がすごい内容だったから飛んできたんだ〜」


初霜「青葉新聞ですか?初春姉さんがよく読んでいますが…なんて書かれていたのですか?」


白露「駆逐艦初霜、謎の青年と秘密の夜会!?だってさ」(・∀・)ニヤニヤ


初霜「そっ、それはどういうことですか!?///」ガタッ


村雨「ちょっと姉さん…嘘言っちゃダメよ」


初霜「嘘なんですか!?」


白露「あはは〜、ちょっと誇張しただけだって。本当は『人間の青年が提督に!?秘密の夜会まで!?』だってさ」


白露「丁寧なことに、青年さんと村雨と初霜ちゃんの一緒に寝てる写真付きだよ」ニシシ


初霜「~~〜~~青葉さんってば///」カァァ


村雨(写真だと初霜ちゃんと青年さんが向き合って寝てるけど黙っておこう…)


青年「おーい初霜〜?」ブンブン


初霜「は、はい?」


青年「おはよう!」


初霜「あ…おはようございます!」ビシッ


青年「そんなに畏まらなくてもいいって…まだ提督じゃないし…」


村雨「でももう青葉新聞のせいで事実上の提督なのよね」


青年「あ…そうか、そうなっちゃうのか…」


初霜「私、頑張って支えますから!」(`・ω・´)フンスッ!


青年「ん、ありがとね初霜。」ナデナデ


初霜「えへへ…ありがとうございます…」フニャア


村雨「村雨だって手伝うんだから!」


提督「うん、ありがと」ニコッ


村雨(村雨は撫でてくれないの!?)ガーΣ(`・ω・Ⅲ)ーン


白露「ちょっとちょっと」ボソボソ


青年「な、なんだい白露さん?」ボソボソ


白露「あれは村雨も撫でて欲しいのよ」ボソボソ


青年「そうなの!?全然分からなかった…」ボソボソ


白露「ほら、早く撫でてあげて!」バシバシ


青年「む、村雨もありがとな」ナデナデ


村雨「!ふふ、いい感じいい感じ」キラキラ


白露(白露にも少しは甘えてくれると嬉しいんだけどなぁ…)(´Д`)ハァ…





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~




長門「青葉ァ!早く出てこい!さもなくば演習の的にするぞ!!!!」


青葉「ちょ!それは困りますぅ!!!」\( ´・ω・`)┐しゅたっ


長門「よし、出てきたな。こっちに来い!!」ガシッ


青葉「あれ?もしかして青葉騙された!?」ガーΣ(`・ω・Ⅲ)ーン


長門「いいから来い!お前には詳しく話を聞かせてもらうぞ!!」


青葉「あ〜れ〜」ズルズル



〜執務室〜





長門「青葉、ここに座れ。逃げたらどうなるか分かるな?」ギロリ


青葉「ヒッ…で、でもでも!青葉はみんなのためを思って!!」


長門「私はお前にも青年のことは黙っておくように、と言ったな?」


青葉「でも新聞に書くなとはいっt」アハハ


ドガァン!!


長門「真面目に話せ、いいな?私は怒っているんだぞ?」ニコォ


青葉「は、はいぃ…」:(´◦ω◦`):ガクブル


長門「青葉もここには人間の男にトラウマを持っている子がいることは知っているだろう?どうしてこんなことをしたんだ?」


青葉「だって長門さんたちは紹介方法に悩んでいたようだったので…青葉の新聞ならみんなに一気に知ってもらえると思って…」


長門「はぁ…また盗み聞きしてたのか…。ジャーナリストと言ってももっと弁えないと痛い目を見るぞ?」


長門「それにあの秘密の夜会というのはなんだ。ああいうことも青年に反感を抱かせる原因になりかねないんだぞ。」


長門「横目で見ていたが、今朝白露が青年たちの所へ一目散に突進して行ったぞ。まあ白露なら大丈夫だろうと放っておいたが…」


青葉「あの地鳴りは白露ちゃんのダッシュだったんですか…」


長門(私が青葉を探してたのもあるが…)


長門「で?新聞はどこに配ったんだ?全部正確に教えろ。」


青葉「えっと、長門さんたちの部屋、白露ちゃんたちの部屋…」(-ω-;)ウーン


青年「神通さんたちの部屋と初春ちゃんたちの部屋、睦月ちゃんたちの部屋にも…」


長門「睦月たちのところにも配ったのか!?」ガタッ


青葉「えっ?なにか不味かったですか?」


長門「くっ…陸奥、大和、武蔵!今すぐ来てくれ!!」ピンポンパーン


青葉「ちょ、青葉そんなに不味いことしちゃいました!?」アセアセ


長門「考えられる中で最悪だ…事情を知らなかったとはいえこれは不味い、不味すぎる…」


陸奥「ちょっと姉さんどうしたの!?」ドアバァン


長門「青葉が例の新聞を睦月たちの部屋にも配ってしまったそうだ!!今すぐ向かうぞ!!」


陸奥「なんですって!?青葉、あとで覚えてなさいよ…」ギリィ


青葉「ひぃっ…」:(´◦ω◦`):ガクブル



ドタドタ



武蔵「おい長門、どうしたのだ!?」ドタドタ


大和「もー朝早くから辛いよぉ〜」タッタッ


長門「とにかく急げ!!青葉の新聞は見たな!?」ドタドタ


武蔵「あぁ…あの悪趣味な…」


長門「あれが睦月たちの部屋にも配られてしまった!!」


武蔵「なんだと!?」


大和「そんな…」


陸奥「着いたわ!」キキーッ


長門「おい開けるぞ!!」ガチャ


卯月「ひっ…!?ああぁぁあぁ来ないで…来ないでぇええええええ!!!!!」ガクガク


弥生 「あ…あぁ…」ガタガタガタガタ


長門「クソっ、遅かったか!!陸奥、武蔵、大和、頼む!!私は睦月に!」


睦月「あああ…ななながと、さん」ポロポロ


長門「睦月、大丈夫だ!落ち着け、落ち着くんだ…」ギュッ


睦月「ああぁ…うぅ」ギュゥ



大和「如月ちゃん!!」ギュッ


如月「やだ…やだやだやだやだ…来ないでぇ…」ガタガタガタ


大和「大丈夫、大丈夫だから…」ナデナデ



陸奥「弥生ちゃん…」スッ


弥生「あ、あう…」ガタガタ


陸奥「辛かったよね、怖かったよね。もう大丈夫よ。」ギュゥ


弥生「わたし…わたしが…」ポロポロ



卯月「やだぁ…!来ないで…もうしないからあ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」ガタガタ


武蔵 ギュゥ


卯月「あ…」ツー


武蔵(私から卯月にかけてあげられる言葉は持ち合わせていない…これでどうにか…!)ギュゥ


卯月「あぁああ…む、武蔵さん」ポロポロ








長門「うむ、ようやく落ち着いたようだな…」


睦月・如月・弥生・卯月「…」チョコン


睦月「ね、ねえ長門さん…」


長門「なんだ?」


睦月「ほんとに…ほんとにその男が私たちの提督になるの…?」ガタガタ


長門「お前達には隠さずすべて話そう。」


陸奥「はい、ホットココアよ。落ち着いてね…」カチャカチャ


如月「ありがとうございます…」


長門「陸奥…〜〜」ボソボソ


陸奥「分かったわ」ボソボソ


如月「どうしたんですか…?」


長門「いや、何でもない。話を続けよう。」


長門「あの青年はな、一昨日ここに漂着してきたんだ。」


睦月「ひょう…ちゃく…」


長門「青年はここに来る前は漁師をやっていたそうでな。自分の船を持った記念にいつもより遠くの場所まで父親と漁をしに来たようだ。」


長門「一昨日の夕方に嵐が来ていたのは覚えているな?」


弥生「はい…」コクン


長門「青年たちの船はその嵐の中、深海棲艦に襲われた。」


4人「!!」


長門「残念ながら父親は見つかっていない…おそらくもう…」ウツムキ


長門「そして運良くここに流れてきたのが青年だ。浜辺に倒れてるのを村雨が発見した。その後こちらで保護、治療を施した。」


長門「話が大きく動き始めたのは昨日だ。昨日目が覚めた青年と色々話をした。その最中、青年には妖精が見えることが発覚した。」


長門「それに妖精の言葉も分かるようだ。これは類まれなる才能なのはお前達も分かるだろう。」


長門「そしてもうひとつ、大きな決め手がある。それは…」


卯月「それは…?」


長門「私たち艦娘を『兵器』と認識していないことだ。」


4人「!」


長門「この点は私たちにとってとても大きい。なにせ皆それぞれ思うところがあるからな…」


長門「それでもいきなりは信用出来ないと思う。特にお前達は…」ググッ


睦月「ほんとうに…今度は本当に信じていいの…?」フルフル


長門「むしろこちらから頼みたい。青年を信じてやってくれないだろうか…」フカブカオジギ


如月「な、長門さんが頭を下げるなんて…」


武蔵「私からも頼みたい。相棒は信頼出来る、私がこの身をもって保証しよう。」フカブカオジギ


睦月「武蔵さんまで…」


卯月「しょ、正直頭で分かっても心が拒否しちゃうと思うぴょん…」


長門「そこは時間をかけてゆっくり慣れてくれればいい。」


大和「青年さん連れてきたよ!」バーン!


4人「!?!?」


青年「この子たちが…」


お前らは大人しく遠征して、盾になってりゃいいんだよ


睦月「あ…あぁぁあ…」ガタガタ


ふざけたイタズラしやがって…今日は戻ってきたら営倉にぶち込んでやるよ


卯月「こここ、こないで…」ガタガタ


なんだお前?俺の作戦になんか不満があんのか!?アァ!?バチーン


弥生「や…もうやめて…」ガクガク


お前は盾にもなれねえし使えねえからな。とっとと遠征行ってこいよ!!ドカッ


如月「あああぁあ…許してください、ゆるして…」ポロポロ



~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~


陸奥「青年さん」コンコン


青年「ん?陸奥か。どうしたの?」


陸奥「あら、村雨ちゃんに初霜ちゃん、白露ちゃんも一緒にいたのね。」


村雨「陸奥さんは私たちに何か用?」


陸奥「青年さんに用があるわ。来てくれないかしら?」


青年「ん、分かった。なんか重大そうだな。」


陸奥「あなたにはこれから駆逐艦の子達の荒療治に付き合ってもらうわ。」


青年「どういうこと?」


陸奥「青葉新聞は見たわね?あれが無差別に配られてしまったのよ」


青年「?」


陸奥「要するに、トラウマ持ちの子がその記事を見てトラウマを想起してしまったの。」


青年「なんだって!?大変じゃないか!それでなんでおれが?」


陸奥「これからあなたには4人の子達に会ってもらうわ。怯えられるのは当然、殴られたりするかもしれないわ。」


陸奥「それでも全部受け止めてあげてほしいの。頼めるかしら?」


青年「任せて。役に立てるなら全力を尽くすよ。」


~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~


青年「こんにちは、おれは青年っていうんだ。これからみんなの提督になるんだ。」


今回も生きて戻ったのか。なかなか運がいいみたいだな。それじゃあ次に行ってこい。


弥生「やだ…やだぁ…助けて…」ポロポロ


睦月「お、お前が居るせいで…」ガシッ


睦月「お前のせいで!何人沈んだと思ってるんだぁぁぁぁああ!!!」ドガッ!!


青年「ぐっ!?」ドサッ


睦月「みんな!友達も妹達も!!みんな沈んでいったんだよ!?!?」ドカバキッ


睦月「どうして…どうしてなの!!!!」ドカッ…


睦月「長門さん達は悪くない!!でも提督に逆らったらどうなるか!!」ポロ…


睦月「盾になって沈むのも地獄!生きて戻ればまた地獄!!」ポロポロ


睦月「どうして…睦月たちは人間のために…」ポロポロ


ギュッ


青年「ごめんな…ごめんな…!!」


睦月「触らないで!!どうせまた拷問するんだ!!!」ドガッ


青年「がっ…!?」ドサッ


長門「青年!!」


青年「来るな!!」


長門「し、しかし…!!」


青年「睦月とか言ったな!?」


睦月 ビクゥ


青年「全部吐き出せ!言ってみろ!!」


睦月「なんで…なんであなたはそんな…」


睦月「どうしてそんなに優しいの…」ポロポロ


青年「落ち着け、全部残らず聞いてやる。」ギュゥ


睦月「どうして…そんなに温かいの…」ポロポロ


青年「君が『ただの女の子』と変わらないからだ。男が女に良くするのは当然だと親父が言っていた…」


お前は『兵器』であり『道具』だ


睦月「おん…なのこ…」


ただ指示に従え。反論は許さん。


睦月「む、つきが…?」


青年「そうだ。」


睦月「あぁ…」ポロ


睦月「うぅ…うあぁあ…」ポロポロ


青年 ギュゥ


睦月「辛かった…辛かったよ」ポロポロ


睦月「長月が…うぅ…」ポロポロ


睦月「長月が…目の前で沈んでぇ…」ポロポロ








長門「睦月!長月!あともう少しだ!!絶対に守ってやる!!」


睦月「長月…大丈夫…?」ハァハァ 大破


長月「なに…まだ動けるさ…」ハァハァ 大破


長門「2人とももう私たちのことは庇うな!生きることに専念してくれ!!!」


長月「それだとまた提督に怒られてしまうな…」ハァハァ


長門「!!」


長門「睦月ぃぃぃぃぃ!!!!」


睦月「え…?」




ドガァァァァァァン




睦月「あれ…?あ、あぁ…あああ」ペタン


長月「睦月姉…生きろよ…」ズズ…


睦月「な、ながつき…」ポロポロ


長月「みんなに…あかるい…み、らい、を…」ドプン


長門「あぁ…うおおおおああああああ!!!!!!」ドンドンドンドン!!!


睦月「ながつきぃ…まって、まってよ…」ポロポロ


陸奥「睦月ちゃん危ない!!」ドガァン!!


陸奥「くっ…!」小破


睦月「ながつきぃ…うわぁぁ…ああ」ポロポロ









睦月「どうして…どうして長月がぁ…」ポロポロ


青年「うん、うん…」ナデナデ









第11章 焦燥に駆られて




睦月「睦月型一番艦睦月、着任したにゃしぃ!」(`・ω・´)ゞ


提督「うん、君が睦月だね?よろしくお願いするよ。私が君の司令官だ。」


睦月「にしし、よろしく!」


提督「この鎮守府にはまだ君1人しか艦娘はいないんだ。」


睦月「およ?そうなの?」


提督「そうだ。既に大本営に新たな艦娘を要請してあるが誰が来るかは分からん。誰が来ても仲良くしてやってくれ。」


睦月「わかった!」


提督「とりあえず今日は出撃・遠征はなしだ。私は少し執務があるから好きに鎮守府を見て回るといい。」


睦月「ここはどれくらい広いの?」


提督「敷地で言えば広いと思うが鎮守府としては小さいな。ほら、これが見取り図だ。お世話になる食堂の方にも挨拶してこい。」


睦月「ありがと〜。それじゃ行ってきますね!」タタッ


提督「はぁ、先が思いやられるな…。」



〜部屋〜



睦月「とりあえず提督はいい人そうでよかったにゃしぃ」


睦月「それにしても睦月1人かぁ…鎮守府が広く感じるなあ」ゴロゴロ


睦月「ここの朝礼は7時か〜。そろそろ寝ようかな」





提督「まあここは比較的安全なところだと上の奴らは言ってたけど…」


提督「初日が駆逐艦1隻だけってのはさすがに焦るな。みんなこういうものなのか…?」


提督「とりあえず出撃には燃料弾薬が必要だから明日は短めの遠征を頼むか」カキカキ





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~




睦月「ふぁあ…」


睦月「ん、6時ピッタリ〜!顔洗って支度しないとっ!」





睦月「そういえば朝礼ってどこに行けばいいんだろ?」テクテク


睦月「うーん…とりあえず執務室でいっか」コンコン


提督「おう、入っていいぞー」


睦月「提督、おはようございます!」(`・ω・´)ゞ


提督「おはよう睦月。今日は遠征に行ってほしいんだ、頼めるかな?」


睦月「了解にゃしぃ!ポイントはどの辺なの?」


提督「こっちに来てくれ。」チズヒロゲー


提督「ここが私たちの鎮守府だ。今回行ってもらうポイントはここだ。」


睦月「ふむふむ、近すぎず遠すぎずって感じですね」


提督「まだ睦月1人だからな。さすがに遠くまで行けとは言わないよ。」


睦月「それじゃあ行ってきますね!」


提督「あ、ドラム缶は無理に持たなくてもいいぞ。最初だし1個でも大丈夫だ。」


睦月「わっかりましたー!」タッタッタ


提督「うーん…やっぱり不安だな…」ハァ



〜海上〜



睦月「ふんふーんふふーん」


睦月「も〜すぐポイント〜♪」


睦月「よし、ここにゃしぃ!」ガコン


睦月「えっと確か…艤装をこうして…」ガコン ウィーン


睦月「これで…」チャポン ガコガコ


睦月「あとは待つだけだね」ウィーン


睦月「あ、でも周囲にも警戒しないとだった」キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ


睦月「うん、異常なーし、まだかな〜?」


妖精 ヒョコ


睦月「おぉ妖精殿!あとどれくらいかかる?」


妖精 ミブリテブリ


睦月「うーん…やっぱり妖精さんの言うことはわかりませんな…。」


睦月「ん、あれは…」ジィー


睦月「たしか駆逐イ級だっけ?まだ資源回収出来てないのに…」


睦月「およ、でもまだ気づかれていないみたい!とりあえずバレないようにしないと…」


妖精 ピョンピョン


睦月「ん?」


艤装 ガコンガコン チーン!


睦月「お〜、これが終わりの合図かな?とりあえず回収しないと」ガコンガコン


睦月「遠征も1人だと少し暇だなー。はやく次の子来ないかな〜」ガコンガコン


バシャーン


睦月「え!?」


イ級 ヴォォォ


睦月「気付かれた!?どうして!?」


イ級 ザー


睦月「ちょっと!はやく回収終わってよ!!」ガコンガコン


イ級 ドォン


睦月「早く!早くぅ!」ガシャコン!


睦月「きゃああ!!!」ドガァン


睦月「な、なんとか間に合ったけど…」中破


イ級 ヴォォォ


睦月「生身だったら死んでた…」ゾク


睦月「と、とにかく逃げないと!幸い機関部は無事だし!」


イ級 ドォン


睦月「こっち!!」バシャーン


睦月「でも直接帰ると鎮守府に着いてきちゃうかも…でも最優先は資材…」


睦月「やるしか…ない!!」ジャコン






提督「もうすぐ帰ってくる頃合だな。駆逐艦1隻でどれくらい資材を獲得出来るのだろうか…」


睦月「む、睦月帰投しました…」ボロッ


提督「おい、どういうことだ!?」


睦月「遠征途中に…敵に襲われたにゃしぃ…」ハァハァ


提督「とにかく入渠だ入渠!報告は後でいい!!」


睦月「あ、ありがとう…」


提督(駆逐艦は遠征も満足に出来ないうえに戦闘もできないのか!?クソっ、着任早々大破艦を出すなんて…)チッ



~~〜~~~少女入渠中~~〜~~~



睦月「提督…ごめんなさい…」シュン


提督「資材回収中に駆逐イ級1体から急襲された。それを倒すために獲得した弾薬を消費、持ち帰れたのは燃料と少しの鋼材か…」


提督(軍学校では遠征は簡単な作業だと習ったぞ?敵に気づかないなんて…)


提督(やはり駆逐艦はどこまでいっても駆逐艦かよ)


睦月「資材回収があんなに大変だと思ってなかったです…」


提督(とりあえず轟沈なんてさせてたまるか…私の名に傷がつくからな)


提督「とりあえず今日は休め。明日新しい艦娘が配備されると通達が来たから少しは楽になるだろう。」


睦月「新しい子がくるの?」


提督「そうだ、詳細は明日一緒に持ってくるそうだ。」


睦月「誰が来るかな…」






〜翌日(正門前)〜


睦月「誰がくるかな誰がくるかな〜」


提督「少しは落ち着かないか睦月。」


睦月「だってだって〜」ピョンピョン


提督「ん…あれかな?」


睦月「!」ダッ


提督「おい睦月!?」


睦月「君は睦月の妹にゃしぃ!本能が告げているぞ!!」ダキッ


〇〇〇「もしかして姉妹艦の誰かか?」


睦月「にしし、そう!睦月は君のお姉さんにゃしぃ!!」ドヤァ


〇〇〇「睦月か、私たち睦月型の長女じゃないか!」


睦月「もっと褒めるが良いぞ!それで君は何番目の妹なの?」


〇〇〇「私は睦月型8番艦の長月だ。よろしくな睦月。」


睦月「んふふ〜、初めての仲間が妹でとっても嬉しいよ!」


長月「初めての仲間?」


睦月「この鎮守府にはまだ睦月と長月しかいないんだー」


長月「ふむ、それでは私は古参の1人になるということか」


提督「おい、お前は駆逐艦なのか?」


長月「おっと失礼。私は睦月型8番艦の長月だ。あなたが私の司令官かな?」


提督「そうだ、よろしくな。」


提督(また駆逐艦が来たのか…)ハァ


長月「司令官?」


提督「あ、あぁ悪いな。少し考え事をしていた。睦月は鎮守府を案内してなってくれ。私は執務室にいるからな。」スタスタ


提督(駆逐艦2隻で鎮守府正面海域を突破できるのか?もう一度大本営に新規艦娘を要請しとくか…)


長月「ふむ…司令官は気難しい顔をしていたな…」


睦月「睦月が昨日失敗しちゃったからさ…」シュン


長月「なんだ、なんかやらかしたのか?」


睦月「遠征の途中に敵艦に攻撃されちゃって資材を回収しきれなかったんだ…」


長月「遠征か。あれは艤装が一時的に使えない上にそこからほとんど動けないからな。とはいえ周囲の警戒が不十分だったんじゃないか?」


睦月「うっ…その通りでございます…。妖精さんと少しお話してました…」ギクリ


長月「睦月は妖精と会話が出来るのか!?」


睦月「あ、お話って言っても一方通行だよ?こっちの言葉は通じるみたいだけど妖精さんが何言ってるのかは分からないもん。」


長月「やっぱりそうだよな。それが分かればもはや睦月は稀代の司令官だぞ。」


睦月「そうだよねえ。今いる提督と艦娘の中にも完全にコミュニケーション取れる人はいないっていうし…」


長月「私にも妖精さんが何を言ってるかなんて分からない。分かれば色々と楽なんだが…」


睦月「あ、というか鎮守府を案内するよ!提督から頼まれてたの忘れてたー」


長月「そうだったな、頼んだぞ」





提督「現在の所属は駆逐艦2隻…」


提督「これで鎮守府正面海域を突破できるのか?」ブツブツ


提督「とりあえず出撃させてみるか」




スピーカー「睦月、長月、案内が終わったら執務室に来てくれ」ピンポンパーン


睦月「どうしたの提督?」


提督「今日は2人で出撃をしてもらいたい。目標海域は鎮守府正面海域だ。」


長月「私はまだ着任したてだから少し不安だな…」


提督「とりあえずってところだ。お前らの力を見たい。それと出撃するにあたって約束がある。」


睦月「約束?」


提督「絶対に沈むな。それだけでいい。」


長月「それは当然だな。沈んでは何も成せないからな。」


提督「まあそういうことだ。それでは行ってきてくれ。」


睦月・長月「了解!」




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~


長月「睦月は出撃は初めてなのか?」


睦月「そうだよ。戦闘はこの間駆逐イ級としたけど、ちゃんとした出撃は初めてなの」


長月「ふむ、それなら私は睦月の支持に従おう。私は戦闘経験はないからな。」


睦月「えぇ!?睦月だって1回しか戦闘したことないのに…」


長月「その1回はかなり大きな違いだと思うぞ」


睦月「むー、分かったよ…」


長月「お、駆逐イ級発見だ。」


睦月「んー、あれかな?」


長月「あれだな。さてどうする?」


睦月「まだ気づかれていないみたいだしゆっくり近づこうかな」


長月「分かった。」







睦月「しれいかーん、駆逐イ級の轟沈を確認したよ〜!」


無線「そうか、よくやった。損傷はどうだ?」ガガー


睦月「どっちも無傷にゃしぃ!」


提督「それならよかった。次でそこの最深部、つまりボスがいるところだな。行けるか?」


睦月「頑張るよー!!」


提督「分かった、それでは進軍だ。確認されている深海棲艦は軽巡と駆逐だ。頑張ってくれ。」ガガー


睦月「長月、次で最後だって!頑張ろうね!」


長月「あぁ、ここで頑張って失態を取り返さないとな?」


睦月「そ、それは…」(;¬∀¬)ハハハ…


長月「ほら睦月行くぞ!」


睦月「ちょ、ちょっと待ってよー!」


〇〇〇 チャプン…





長月「軽巡らしき敵艦と駆逐イ級を発見したぞ。各1隻ずつだ。」


睦月「むむむ、あれが軽巡…?初めて見るのね。」


長月「軽巡の戦闘力は未知数だ。気を引き締めていこう。」


睦月(睦月が旗艦だったはずなんだけどなぁ…)


長月「おい、どうした?」


睦月「いや、なんでもないよ…」


長月「そうか、それでは行くぞ。もうすぐ軽巡の射程に入る。まだ気づかれていないが気をつけろ。」


睦月「もうすぐ日が沈むよ?夜戦で一気に行った方がいいと思わない?」


長月「む、確かにそれも一理あるな…」


睦月(うーん…でも単体じゃなくて艦隊を相手にするのは初めてだしな…)


睦月「やっぱり駆逐艦だけ昼のあいだにやっつけちゃお!」


長月「なるほど、夜戦で軽巡を仕留めに行くということだな。了解だ。」


睦月「よし、それじゃあ行くよ!」


〇〇〇 チャポン…



長月「!敵艦がこちらに気づいたぞ!」


睦月「敵軽巡砲撃!避けて!」サッ


長月「おぉ、弾のサイズが結構違うんだな…」サッ


睦月「長月余裕そうだね!」


長月「単艦砲撃だからな…」


睦月「もうすぐ射程に入るよ!砲撃よーい!!」ガチャン


長月「分かった、長月いくぞ!」ガチャン


睦月「目標は敵駆逐艦!てぇーーー!!!」ドォン


イ級 ゴォォォ!?中破


睦月「もう少し…」


長月「敵軽巡砲撃!」


睦月「あぶなっ!」サッ バシャーン


長月「駆逐を狙い撃つぞ!ってぇーー!!」ドォン


イ級 ォォォォオオ 撃沈


睦月「よし!計画通りにゃしぃ!」


長月「まだ油断するな!終わっていないぞ!!」


睦月「そうだね!それじゃあ回避に専念しよ!」


軽巡ホ級 ドォン!ドォン!


長月「おっと」サッ


睦月「痛っ!」小破


長月「睦月!!」


睦月「大丈夫!肩に掠っただけ!!もう日が沈むよ!」


長月「夜間戦闘準備だ!」


睦月「この勝負、睦月がもらったのです!!」


〇〇〇 ボコボコ…




長月「夜戦開始だ!一気に行くぞ!!」


睦月「魚雷発射よーい!長月はワンテンポ遅らせて少し左にずらしてね!」


長月「どういうことだ!?」


睦月「はっしゃー!!」シュボッ


長月「おい!私はいつ発射すればいいんだ!?」


睦月「あとちょっと…2、1、今!」


長月「ええい、ままよ!!」ボシュッ


睦月「私たちは右に旋回するよ!砲撃よーい!!」


長月「分かった!」


長月(睦月は何を考えているんだ?)


軽巡「!」サッ


長月「睦月の魚雷は囮か!」


睦月「そゆこと!!夾叉砲撃するよ!長月は左ね!!」ドォン


長月「了解した!!」ドォン


軽巡「!」バシャーン


ドカァァァン!!


軽巡 ォォオオォォォ… 撃沈


睦月「よっし!やったにゃしぃ!」٩( 'ω' )و


長月「すごいな!やれば出来るんじゃないか!!」


睦月「ふふーん!遠征のあと悔しくて頑張って勉強したのです!」(`・ω・´)フンスッ!


長月「そうか、これなら司令官も気を直してくれるかもな!」


シュー…


長月「ん…?なんの音だ?」キョロキョロ


睦月「!」


睦月「長月!危ない!!!」サッ


長月「睦月!!」ドカァァァン!!


睦月「くっ、くうぅ…」大破


長月「くそっ!どこからだ!?」


睦月「な、長月、敵影は…?」


長月「見当たらんっ!どこだ!どこにいる!?」


チャポン…


睦月「…!」


睦月「長月…今すぐ鎮守府に戻るよ…!全速前進…して…」ハァハァ


長月「なにを言っている!?敵はどこかにいるんだぞ!!」


睦月「いいから従って!旗艦は睦月だよ!!!」ハァハァ


長月「くっ…曳航するぞ!ちゃんと説明してくれ!!」


睦月「さっき…潜望鏡が見えた…」ハァハァ


長月「潜望鏡…潜水艦か!?」


睦月「たぶんね…情報にはなかったのに…」


長月「急ぐぞ!しっかり捕まってくれ!!」





〜執務室〜


長月「司令官、失礼するぞ」コンコン


提督「帰ったか。ん…睦月はどうした?」


長月「睦月は大破してしまったので勝手ながら入渠させている。」


提督「なんだ、また睦月はやられてしまったのか?」


長月「中枢艦隊は倒したんだ。軽巡と駆逐1隻ずつ。しかし潜水艦がいた…」


提督「潜水艦だと?そんなもの正面海域にいるわけないだろう」


長月「し、しかし、現に睦月が海面に潜望鏡が出てきたのを確認している!」


長月「それに雷撃を食らったのはボスを沈めたあとだ!他にも深海棲艦がいたということになるぞ!?」


提督「分かった分かった。とりあえず長月も休め。睦月が出てきたら詳しく聞こう。」


提督(ただ敵艦の魚雷発射に気づかなかっただけじゃないのか?)ハァ


提督(やはり駆逐艦だけでは厳しいな…。また新しいやつを要請しとくか。)




長月「睦月、大丈夫か?」ガラガラ


睦月「あ、長月。睦月はもう大丈夫だよ!」


長月「すまない…私が雷撃に気づけなかったせいだ…」


睦月「そんな、謝らなくていいよ!」


長月「し、しかし…」


睦月「それじゃあ今度は長月が助けてよ!ね?」


長月「!そうか…。睦月は優しいな…」


睦月「いひひっ!もっと褒めるが良いぞ!!」


長月「ありがとな、睦月…姉さん。」ボソッ


睦月「え…?」


長月「な、なんでもないぞ///」


睦月「ねぇー!なんて言ったの!?」


長月「な、なにも言っていないさ///わ、私は戻るからな!」


睦月「うーん行っちゃった…」


睦月「睦月『姉さん』かぁ…嬉しいこと言ってくれるにゃしぃ」( ´∀`*)






睦月「提督、入渠終わったよ〜」


提督「そうか、それじゃあ報告を聞かせてくれ。」


睦月「日没前に敵中枢艦と会敵。敵駆逐艦を撃沈して夜戦に突入したにゃしぃ。この時点で損傷は睦月が小破しただけだったよ。」


睦月「夜戦突入後、雷撃で敵軽巡を撃沈。その後発射源不明の魚雷に被弾、睦月が大破しました…。」


提督「ふむ、長月が潜水艦がいたのではと言っていたが?」


睦月「睦月が被弾した後、辺りを見回したら潜望鏡が見えたの。だから全速で撤退したのね…。」


提督(なんともいえないな…本当に潜水艦だったのか?)


提督「分かった、潜水艦の件は大本営にも問い合せてよう。とりあえず今日は休め。」


睦月「りょーかい!それじゃ、おやすなさーい!!」







提督(その後大本営に問い合せてみたが、鎮守府正面海域には潜水艦の存在は報告されていないようだ…。)


提督「やはりあいつらの見間違いか…?」ハァ










睦月「長月は私と同じ部屋だよ〜」


長月「ニ人で使うには広すぎないか?」


睦月「だってここ四人部屋だしねぇ」


長月「ほんとだ。二段ベッドが2つあるな。睦月はどれを使ってるんだ?」


睦月「睦月はここだよ!」


長月「じゃあ私はここだ。」


睦月「えー、睦月の下に来なよ」


長月「せっかくもう一個あるんだ。ありがたく使わせてもらおう。」


睦月「ちぇー…さっきは姉さんって呼んでくれたのにな〜?」


長月「な、何のことだ!?///」Σ(゚Д゚;≡;゚д゚


睦月「にしし、聞こえてないと思った?睦月、耳はいいほうなんだな〜」


長月「き、気のせいだと思うぞ?」


睦月「ここにきてとぼける気なの…」


長月「くっ…この長月、不覚だった…」


睦月「むしろ姉さんって呼んでくれると嬉しいんだけどな!」


長月「そ、それは…///」


睦月「およよ?もしかして恥ずかしいの?」


長月「///」


睦月「ふふっ、長月は可愛いね

!」ダキッ


長月「なっなにをする!?」


睦月「長月、2人で頑張ろうね!!」


長月「睦月…」


睦月「にししっ!」


長月「そうだな、これからよろしくな…睦月姉さん…!」


睦月「じゃあ明日に備えて早く寝よう!今日は休みって言われたからゆっくり寝ようね!」


長月「分かった、おやすみだな。」








長月 パチッ


長月「ん…ヒトハチマルマルか。お腹が減って起きたというところか。」


睦月 ニャシィ…ムニャムニャ…


長月「夕食は食べた方がいいだろう。睦月、ご飯の時間だぞ」ユサユサ


睦月「ごはん〜…」ムニャムニャ


長月「睦月、起きてくれないか」ユサユサ


睦月「にゃしにゃし…」ムニャリンコ


長月「睦月!」ユッサユッサ


睦月「朝からうるさいよぉ…」


長月「今は朝ではなくヒトハチマルマルだぞ。睦月もお腹が減っただろう?」


睦月「あーそっか…こっちに帰ってきたの早朝だったもんね…」フアァ


長月「ほら、時間もちょうどいい夕食にしよう」


睦月「おっけ〜。ちょっと待ってねー」





〜食堂〜


睦月「およ、提督じゃないですか!」


提督「起きたか。明日について話したいことがあるんだがいいか?」


睦月「わかりまし」グゥゥ〜


長月「睦月…」(´・Д・`)


提督「飯を取ってこい。食べながら話すぞ。」ハァ…


睦月「す、すみません///」カァァ


長月「すまないな司令官。」


提督「ついでに私ももらうか。すみません、秋刀魚定食お願いします。」


睦月「睦月はカレーライスで!」


長月「それじゃあ私は海鮮丼にしようかな。」


コック「あいよーちょっとまっててな〜」


睦月「それで、話したいことってなんですか?」


提督「明日2人で遠征に行ってみてほしい。ポイントは前回と同じだ。」


睦月「むぅ、あそこですか…」


提督「まだ1度の遠征でどれぐらい資材を確保できるのか正確に判明していないからな。頼んだぞ。」


コック「3人とも、出来たぞー!」


睦月「おっちゃんありがとうにゃしぃ!」


長月「うん、やはり美味そうだな」


提督「それじゃあ私はこれで。」


睦月「え?提督一緒に食べないの?」


提督「まだ仕事が残ってるんだ。執務室で食べながらやる。」


提督(ほんとはお前らと食う気がないだけだけどな)


睦月「睦月が手伝おうか?」


提督「いやいい。お前らはゆっくりしてろ。」


長月「わかった。ではいただきます。」


睦月「提督お仕事頑張ってね!」






提督「ん?」ピラッ


提督「FAXか…なになに?」


提督「明日新たに2隻そちらに送る、だと?補填は嬉しいが戦艦とかが欲しいな…」




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~




〜早朝〜



提督「全くこんなに早くに寄越すなんて…」スタスタ


〇〇〇「あの…あなたがここの司令官ですか…?」


提督「あぁ、そうだが?」


〇〇〇「ぴょーーーーん!!!」コチョコチョ


提督「あ?なんだお前?」ガシッ


〇〇〇「そんな!?うーちゃんのくすぐりが効かないなんて!?」


〇〇〇「ちょっと卯月!す、すみません司令官。卯月はこういう子で…」ペコペコ


卯月「弥生こそ顔が怖いぴょん!」


弥生「う、卯月…」


卯月「え?」


提督「おいお前、覚悟はできてんだろうな?」


弥生「す、すみません!!卯月は悪気があった訳じゃないんです!!」ドゲザ


提督「なんでお前が謝るんだ?」


卯月「ご、ごめんなさい…」シュン


提督「初回だから許してやる。次は気をつけろ。それでお前らは誰だ?」


弥生「ありがとうございます…。私は睦月型駆逐艦三番艦の弥生です…。」


卯月「うーちゃんは睦月型駆逐艦四番間の卯月だぴょん!しれーかんよろしくぴょん!」


提督(また駆逐艦かよ…)ハァ


弥生「し、司令官?」


提督「とにかくよろしく頼む。そうだ、2人も遠征に行ってもらうか。」


卯月「えー?もうお仕事ぴょん?」


提督「そうだ、もうすぐ来るぞ。」


卯月・弥生「?」


睦月「提督!おはようございますにゃしぃ!」


長月「ん?この2人は?」


提督「今日から新しく配属になったら奴らだ。たぶんお前らの仲間だ。」


睦月「2人とも睦月型なの!?」


弥生「私は三番艦の弥生…。怒ってなんかないよ…」


卯月「うーちゃんは四番艦だぴょん!」


長月「う、うーちゃん…?」(´・Д・`)


弥生「この子は卯月です。」


睦月「睦月は睦月型の長女の睦月だよ!」ドヤァ


長月「私は八番艦の長月だ。この中だと私が末っ子になるな。」


睦月「嬉しいことにここは睦月の姉妹が沢山来るのね!」


弥生「所属艦娘全員が睦月型…すごい偶然だね」


提督「盛り上がってるところ悪いが4人で遠征に行ってくれないか?今回は資材をできる限り持ってきてくれ。」


睦月「了解にゃしぃ!今度こそ沢山持って帰るよ!」


卯月「あ、うーちゃん達の荷物は後でここに届くらしいっぴょん。」


提督「分かった。お前らの部屋に運んでもらうよう言っておく。ほら、行ってこい。」


長月「ほら、行くぞ3人とも。」







〜海上〜


睦月「ポイントはここだよ!」


長月「今回は4人いるからな。二人づつに分けて資材を獲得しよう。」


睦月「2人は資材獲得、残りの2人は周囲の警戒ね!」


卯月「組み合わせはどうするぴょん?」


長月「卯月は私とだ。大人しく従ってくれよ?」


卯月「わかってるぴょん!」


睦月「それじゃあ長月と卯月は資材を掘って!弥生は睦月と警戒ね〜」


弥生「分かった。」


長月「卯月、資材の掘り方は分かるな?」


卯月「さすがに分かるぴょん。艤装をこうして…」ガコン


長月「そうだ。これなら安心だな。」ガコン


弥生「そういえば睦月…」


睦月「およ?なに?」


弥生「さっき今度こそって言ってたけどあれはどういう?」


睦月「あ、あははー…それはね…」


長月「それは遠征中警戒を怠って襲撃された事だな」


睦月「長月ぃ…」ジトー


卯月「睦月はうっかりさんだぴょん?」


弥生「しょうがない…誰にでも失敗はある…」


睦月「弥生だけが味方だよー!」ダキッ


弥生「む、睦月///」


長月「こら、まだこちらは終わっていないんだ。警戒をしててくれ」


弥生「そ、そうだよ!」


睦月「むー、妹たちは恥ずかしがり屋が多いのかな?」


卯月「どういうことぴょん?」


睦月「それはn「あーあーあー!!」」


卯月「長月うるさいぴょん…」


長月「睦月!それはダメだ!///」キッ


睦月「え〜いいじゃーん〜」


長月「と、とにかくダメだ!」


弥生「睦月は長月と仲がいいんだね…」


睦月「睦月が最初で次に来たのが長月だからね〜」


卯月「うーゃんたちは3番手ってことぴょん?」


睦月「そうだよ〜!先輩になれるよ!」


卯月「先輩か〜、いい響きっぴょん。」ガコン チーン!


長月「む、終わったようだな。回収に移ろうか。」ガコンガコン


睦月「弥生、もうとょっと警戒頑張ってねー!」


弥生「うん、任せて…」


長月「よし、終わったぞ」ガシャン


卯月「早いぴょん…ちょっとまって〜」ガコン


長月「慣れるまで時間がかかるからな。しょうがない。」


睦月「長月も初めてだよね…?」


長月「私は事前にやり方を学んでいたからな。睦月は違うのか?」


睦月「睦月はマニュアルを読んでそれを真似してたから…」


長月「なんだ、そうだったのか。それなら少しはしょうがないような気がしてくるな。」


卯月「でも警戒してなかったのはダメぴょん」


睦月「うっ…分かってるよぉ〜」ショボン


卯月「あ、うーちゃんも回収終わったぴょん」ガシャン


弥生「それじゃ、交代…」


睦月「弥生はやり方分かる?」


弥生「うん。ちゃんと勉強してきた…」ガコン


睦月「それじゃ長月と卯月は警戒お願いね!」ガコン


長月「しっかりな、卯月」


卯月「妹に心配されるほどうーちゃんは抜けてないぴょん。」


弥生「思ったけど遠征って1人でやるものじゃない…」ガコンガコン


睦月「およ?そうなの?」ガコンガコン


弥生「資材回収してる間は生身だし…1人で襲われたら絶体絶命…」


弥生「それを考えると睦月はよく生きて帰ってきた…」


睦月「あの時は怖かったよ…。相手が駆逐艦だったからまだ良かったけど、回収が完了するのがあと1秒でも遅れてたら右半身が無くなってたよ…」ゾワワ


卯月「そ、それはさすがに怖いぴょん…」


長月「そうだったのか…正直これは1人で遠征に行かせた司令官にも非はあるな…」ガコン チーン!


睦月「お、終わったね」ガコン


弥生「弥生も終わった…」ガコン


長月「あとは回収だけだな。もうちょっとだぞ卯月。」


卯月「分かってるぴょん。はやく帰って休みたいぴょ〜ん…」


睦月「睦月は回収終わったよ!」ガシャン


弥生「弥生も」ガシャン


長月「よし、それじゃあ帰ろうか。」




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~



〜執務室〜


睦月「提督、戻ったよ〜」ガチャ


提督「そうか、首尾はどうだ?」


睦月「今回は沢山取れたにゃしぃ!はいこれ!」ペラッ


提督「ふむ…結構沢山取れたみたいだな。よしとりあえず今日は休みだ。ゆっくりしてろ。」


卯月「やったー!お休みだぴょん!」


弥生「…」ジー


提督「ん?なんだよ?」


弥生「いえ、なんでもありません…」


睦月「ほら、いくよ〜」


弥生「睦月待って…」トテテ


提督(駆逐艦は遠征に使えるのか。戦闘で使えるやつが欲しいな…)


提督「もう1隻強いやつをと念押ししておくか…」




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~


弥生(あの人は…)


卯月「ちょっと弥生、どうしたぴょん?」


弥生「あ、何でもないよ…」


睦月「2人とも部屋はこっちだよ」


長月「私たちで四人部屋だ。よろしくな。」


卯月「よろしくぴょん」


弥生「よろしく…」


長月「今は私と睦月がベッドの上を使ってるいる。2人はどこがいいとかあるか?」


弥生「弥生はどこでもいいよ…」


卯月「じゃあうーちゃんは睦月の下ね!」


弥生「じゃあ弥生は長月の下…」


睦月「意外とスムーズに決まってよかったね」


長月「そうだな、私は卯月が駄々をこねると思っていたが…」


卯月「うーちゃんはそんなに子供じゃないぴょん…」( *¬ω¬)


弥生「ねぇ、睦月」チョイチョイ


睦月「ん?なぁに?」


弥生「少し聞きたいことがあるの。ちょっといい?」ガチャ


睦月「いいよ〜」バタン


睦月(部屋の中で話せないのかな?)


睦月「それで、どうしたの?」


弥生「睦月はここにきて…いや、司令官と会ってどれくらい経った?」


睦月「うーん、まだ1週間ぐらいだよ?」


弥生「睦月から見て司令官はどんな人だった?」


睦月「うーん…少し無愛想だけどいい司令官じゃないかな?」


弥生「そう…。」


弥生(あの時の感じ…勘違いだったらいいんだけど…)


睦月「弥生?」


弥生「ん、聞きたいことはこれだけ。ありがとう、戻ろ。」


睦月「そう?それならいいんだけど…」




ガチャ


長月「あはははははは!!!」ヒーヒー


卯月「こちょこちょこちょー!!」ワキワキ


睦月「な、何やってんの?」ヒキッ


卯月「あ、睦月と弥生ぴょん」


弥生「またくすぐってるの?」


卯月「そうだぴょん!長月は脇腹がすごく弱いぴょん!」


長月「はぁ、はぁ…やっと解放された…」


睦月「卯月はくすぐるのが好きなの?」


卯月「うーちゃんはくすぐりが得意だぴょん!睦月もくるぐられるぴょん?」


睦月「いや、睦月はいいよ…」タジッ


弥生「こら卯月。」ジー


卯月「うっ、その目はやめて欲しいぴょん…」


睦月「とりあえず2人とも荷物片付けなよ。部屋の前に積んであったよ?」


卯月「あ…完全に忘れてたぴょん…」


弥生「ほら卯月、やるよ。」グイグイ


卯月「分かってるぴょん!逃げないから引っ張らないでー!」ジタバタ


長月「騒がしいのがやってきたな」フフ


睦月「まあ、きっとその分楽しくなるよ!」


長月「そうだな、楽しくやっていけるといいな。」










ジリリリリ


提督「もしもし、こちら〇〇鎮守府」


〇〇〇「こちら大本営です。私は艦娘のデータ管理をしている大淀と申します。」


提督「大本営?何の用だ?」


大淀「あなたの鎮守府には既に4人の艦娘が所属しています。それでもまだ新たな艦娘を所望するとはどういうことですか?」


提督「ふん、どういうもなにも、あの4隻じゃこれ以降の海域解放なんて夢のまた夢だからだよ。」


提督「鎮守府正面海域を解放した時も1人が大破して帰ってきやがった。駆逐艦と軽巡しかいないのに大破してたら次の海域なんて突破できねえよ。」


大淀「ふむ、それがそちらの本音ですか…。確かに睦月型は他の駆逐艦と比べると基本性能に差があります。」


大淀「しかし、しっかり演習を積むなどして練度を上げれば活躍出来るのですが?」


提督「そんな焦れったいことやってられっかよ。とりあえず、少しは戦闘向きの奴を寄越せ。」


大淀「口の利き方には気をつけてくださいね?ふざけたことを言ってるとあなたの鎮守府の艦娘を全員異動させますよ?」


提督「はっ、そんなのできるか「できますが?」」


提督「え?」


大淀「先程言いました。私は『艦娘のデータ管理をしている者』だと。」


大淀「私は今怒っています。その意味が分かりますか?」


提督「…すまない…。海域突破のために重巡や戦艦などの大型艦をこちらに頂けないか…」ググッ


大淀「そうですね…」


大淀「ちょうどよく前線の鎮守府から離隊された戦艦の方が2人います。その2人をそちらに異動させましょう。」


提督「本当か!?」


大淀「はい、約束しましょう…。但し忘れないでくださいね?そちらに戦艦2人送るんですから…」


提督「感謝する!!そいつらはいつ頃こっちに来れるんだ?」


大淀「そうですね、早くて3日後でしょうか。」


提督「分かった。寛大な対応、改めて感謝する。それでは。」チン


大淀(戦艦が強いと言えど、それだけでは勝てません…。それを理解して全艦種に目を向けられるといいのですが…)ハァ


提督「よし、よし…!私のところにも戦艦が…!!」


提督「これで戦果は問題なくなるな!」






〜4日後〜


提督「最短3日とは言われたが…」イライラ


〇〇〇「提督、いるか?」コンコン


提督「おう、入れ」


〇〇〇「失礼する。あなたがここの提督だな?」


提督「そうだ。お前達はもしかして…?」


〇〇〇「私は戦艦長門だ。敵戦艦との殴り合いなら任せておけ。遅れてすまないな。」


〇〇〇「私は長門型戦艦二番艦陸奥よ。あまり火遊びはしないでよ?お願いね?」


提督「おぉ…!ようやくここにも戦艦が!よく来てくれた!!」


長門「ふっ、そんなに喜ばれると少し恥ずかしいな。」


陸奥「ここは前いたところより静かそうね」


睦月「提督ー?だれか一緒なの?」ガチャ


長門「ん?君は?」


睦月「私は睦月です。」(大きい人だなぁ…)


長門「艦娘か。私は戦艦長門だ。」


睦月「えぇ!?戦艦!?」


陸奥「あらあら、そんなに驚いてどうしちゃったの?」


睦月「も、もしかしてあなたも?」


陸奥「そうよ、私は戦艦の陸奥よ。」


睦月「ほえ〜…戦艦ってあの戦艦かぁ…」


長門「とにかくよろしくな。」


睦月「よろしくにゃしぃ!そうだ、みんなを紹介してあげるから来て!!」グイグイ


陸奥「あらあら、忙しいわねぇ」ウフフ


長門「微笑ましい限りだな。提督、行ってきてもいいか?」


提督「あぁ、行ってこい。」


長門「感謝する、それではな。」ガチャ


睦月「はやくー!」


陸奥「今行くから待っててね〜」バタン


提督「ようやく戦艦が…早速明日は出撃だ!」






睦月「みんなー!見て見て!!」ドアバァン


長月「おぉう!?びっくりさせないでくれ…」


卯月「それで何を見せてくれるぴょん?」


睦月「じゃじゃ〜ん!!この2人は新しい仲間なのだ!!」


長門「戦艦長門だ。よろしくな。」


陸奥「陸奥よ。長門の妹なの。よろしくね。」


弥生「戦艦…」ポカーン


睦月「ちょ、ちょっとどうしたの?」


卯月「ほんとに戦艦だぴょん!?」


睦月「そうだよ!正真正銘の戦艦だよ!」エヘン


長月「なぜ睦月が偉ぶるんだ…」


弥生「私は弥生…怒ってないので気にしないで…」


卯月「あ、うーちゃんは卯月だぴょん!よろしくぴょん!」


長月「私は長月だ。よろしく頼むぞ。」


長門「ふむ、ここの艦娘は私たちを入れて6人か。ちょうど艦隊が組めるようだな。」


陸奥「でも戦艦2人に駆逐艦4人ってなかなかね…」


長門「まあ駆逐艦と言えど練度が高ければ戦艦よりも強くなりかねないがな。」


卯月「え〜?戦艦よりも強い駆逐艦なんているぴょん?」


長門「あぁ、いるぞ。私が前居た鎮守府では清霜という駆逐艦がいてな。」


睦月「清霜…?」


陸奥「夕雲型の子ね。あの子、私は戦艦になるんだー!なんて言ってたら、ホントに戦艦級に強くなっちゃったのよね」ウフフ


長門「あれには驚いた。最初は1人の駆逐艦それの強さだったのだが…」


睦月「そんな駆逐艦が居たんですか…すごいところですね…」ポカーン


長門「かなり前線の方にいたからな。みんなメキメキと力を伸ばしていったんだ。」


長月「清霜か…1度会ってみたいものだな」


提督「全員執務室に来てくれないか?」ピンポンパーン


長門「む、呼び出しか。何の用だろうか?」


陸奥「ほら、みんなも行くわよ。」


4人「「「「はーい」」」」




〜執務室〜


長門「提督、失礼する。」ガチャ


提督「全員ちゃんと来たか?」


睦月「もちろんです!」


長月「それで、呼び出して何の用だ?」


提督「明日なんだが、次の海域を攻略してほしい。戦艦の力も見てみたいからな。」


長門「任せろ。敵の情報はあるか?」


提督「報告では駆逐艦、軽巡、重巡が

見つかっているようだ。頼んだぞ。」








~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~


長門「艦隊が帰投したぞ。これが報告書だ。」


提督「よく戻った、結果は?」


長門「弥生が小破、卯月が中破したが、敵艦隊は全滅。攻略成功だ!」


提督「そうかそうか!良くやったぞ!!長門も休んでこい、な?」


長門「ありがとう、気遣い感謝する。」ガチャ


提督「よし…よし!やはり戦艦の強さはすごいな!」ピラッ


提督「!?」


提督「消費資源がこんなに!?仕方ない…少し遠征させるか」







〜数日後〜


提督「うーむ…出撃したら遠征の繰り返しであまり効率が良くないな。6隻じゃ足りないぞ」


提督「もう少し駆逐艦が欲しいな。大淀とやらに電話するか。上手い言い訳を考えないとな…」ガチャ


プルル…


大淀「はい、こちら大本営の大淀ですが。」


提督「こちら〇〇鎮守府の提督だ。以前はお世話になった。礼を言わせてくれ。」


大淀「あぁこの前の。戦果も上々のようで何よりです。それでなぜ電話を?こちらも暇ではないのですが…」


提督「申し訳ないがもう少し駆逐艦が欲しいんだ。6隻でやってると出撃と遠征の繰り返しで効率が悪い。」


提督「それだと駆逐艦に疲れが溜まりかねないのだ。それを分散するためにもう2、3隻欲しいんだ。」


大淀「…」


大淀(筋は通ってますが『隻』ですか…)


提督「大淀さん?」


大淀「分かりました。対応しますので今後戦果の向上を期待していますね。」


提督「ありがたい、それではな。」チン


提督「フフ…適当な理由付けだったが納得してくれたようだ。これでもっと戦果があがるな!」




〜2日後〜


如月「睦月型二番艦の如月です〜。お側に置いてくださいね?」


不知火「陽炎型二番艦不知火です。ご指導ご鞭撻、よろしくです。」


陽炎「陽炎よ!宜しくね!」


提督「よろしく頼むぞ。」


睦月「おぉ、ついに如月ちゃんも来たのね!!」


如月「あらぁ睦月ちゃん、これから宜しくね〜」


不知火「司令、不知火達はこれからなにをすればよろしいでしょうか?」


提督「とりあえず睦月に鎮守府の案内をしてもらえ。明日は遠征に行ってもらう。」


不知火「了解しました。」


陽炎「睦月ちゃんも長女なんだってね?よろしくね!」


睦月「陽炎ちゃんほど妹は多くないけどね…」ハハ…


不知火「陽炎型はかなり多いですからね。」


睦月「それじゃ、案内するからついてきて〜」






睦月「最後に、ここが陽炎ちゃん達の部屋だよ〜。如月ちゃんは私と一緒ね!」


如月「四人部屋出てきちゃってよかったの?」


睦月「だって如月ちゃん1人は可哀想だなって思って…」


如月「睦月ちゃんは優しいのね」ウフフ


不知火「不知火は陽炎と同じですか。」


陽炎「なによ?嫌なの?」ジトー


不知火「いえ、特に何も」シラー


睦月「それじゃあ睦月は出撃だから行ってくるね!」


如月「あら、睦月ちゃんこれから?」


睦月「長門さん達が来てから海域攻略が好調なんだよ〜。って言ってもまだ1-4だけどね…」


陽炎「えっ!?この鎮守府に長門さんいるの!?」


睦月「およ?知り合い?」


陽炎「何言ってんのよ!?長門さんって言ったらすごい人なのよ!」


不知火「南方進出の大きな役目を果たした方ですね。まさかこんな所で一緒になれるとは…」


睦月「へぇ〜長門さんってすごい人だったんだ…」


長門「睦月、どうした?」スタスタ


睦月「あっ、長門さん!新しく着任した3人だよ〜!」


如月「ちょっと睦月ちゃん…」


長門「言葉遣いなど私は気にしないさ。余程の場合を除いてな。」ハハ


不知火「なっ、長門さん!陽炎型二番艦不知火と申します!よろしくお願いしますっ!」ビシッ


陽炎「かか陽炎型一番艦陽炎ですっ!よ、よろしくお願いします!!」ビシッ


如月「睦月型二番艦如月です!」ビシッ


長門「不知火と陽炎、如月か、よろしくな。そんなに畏まらなくてもいいと言ったではないか。」


不知火「そ、そんな、滅相もございませんっ!」


睦月「長門さんそんなにすごいんだ…」ポケー


陽炎「むしろあんたが馴れ馴れしすぎるのよ!?」


長門「全く…2人は少し真面目すぎるな…」


陸奥「あら、長門がそれを言う?」ヒョコ


陽炎「むっ、陸奥さん!?」ヒエー!


睦月「あ、陸奥さんおはようにゃしぃ!」


長門「陸奥か。新しく着任した陽炎、不知火、如月だそうだ。」


如月「睦月ちゃん、もしかして陸奥さんも…?」


睦月「そうだよ!ここの鎮守府の仲間にゃしぃ!」


陸奥「ふふ、宜しくね?」


不知火「し、不知火はなんてところに来てしまったのでしょうか…」ポカーン


陽炎「長門さんだけじゃなくて陸奥さんもいるなんて…」ポカーン


睦月「ねぇねぇ陽炎ちゃん、陸奥さんもすごい人なの?」チョンチョン


陽炎「す、すごいもなにも、さっきも

言ったでしょ!?2人は南方進出において1番重要なキーマンだったのよ!?」


睦月「ほえー…何となくすごいのは分かったよ…」


如月(これ絶対分かってないわね…)アキレ


陸奥「ほら長門、もうすぐ出撃でしょ?」


長門「あぁ、そういえばそうだったな。ほらいくぞ睦月。」


睦月「睦月もガチガチの敬語、します?」ニシシ


長門「できるものならやってみるといい」ハッハッハ


陸奥「睦月ちゃんはそのままの方がいいわよ」ウフフ


睦月「そうですか〜?それじゃ、張り切って参りましょー!」タッタッタ


陽炎「如月」


如月「はい…」


陽炎「あんたの姉、すごいわね…」ポカーン


如月「私もびっくりです…」




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~


長門「艦隊か帰投したぞ…」ボロッ


卯月「う〜…やられたぴよん…」ボロッ


提督「おいどういうことだ!?」ガタッ


長門「敵の空母がなかなかしぶとくてな…中破してしまった。」


陸奥「あれはしょうがないわよ。提督、長門と卯月ちゃんを入渠させてきてもいいかしら?」


提督「いいぞ、早くやってこい。陸奥は報告を聞かせてくれ。」


陸奥「分かったわ、睦月ちゃん長門を頼むわね。」


睦月「分かったにゃしぃ」


長月「私も手伝うぞ。」


長門「すまないな2人とも…」ガチャ


弥生「私は卯月を連れてくね…」


提督「一体何があったんだ?」


陸奥「事前に情報があったでしょ?その情報は空母が1体って載ってたわよね?」


提督「そうだな…」


陸奥「もちろん、それが絶対正しいなんて思ってないわ。不測の事態にも備えているもの。だけどね…」


陸奥「今回ばかりはおかしいわ。1体どころか、5体いたのよ。」


提督「5体だと…?」


陸奥「最初に敵中枢艦隊に到達する前に、1体の軽空母がいたわ。それくらいは大丈夫なの。卯月ちゃんが小破しただけだったわ。」


陸奥「問題はその後。中枢艦隊と会敵したわ。そこには空母ヲ級が1体いたの。」


提督「まだ2体じゃないか」


陸奥「それがね、中枢艦隊と交戦中にもう1つの艦隊が現れたの。」


提督「もう1つだと?」


陸奥「そう、そこにはヲ級3体、リ級1体、イ級2体がいたわ。」


提督「ぐ、偶然じゃないのか?」


陸奥「とても偶然とは言えないわ…。あのタイミング、敵艦隊を撃滅した直後に来たもの。」


陸奥「終わったと思って一瞬油断していた卯月ちゃんたちに空爆が来たの。長門はそれを庇ったのよ。」


提督(また駆逐艦が足を引っ張ったのか…)


陸奥「新しく現れた艦隊はなんとか撃滅したわ。海域は攻略完了よ。」


提督「ふむ、ならもう一度…って攻略が完了したぁ!?」ガタッ


陸奥「そうよ?」


提督(長門と陸奥…相当強いんじゃないか!?)


陸奥「とりあえずこれで報告は終わりよ。休んでいいかしら?」


提督「あ、あぁ、しっかり休んでくれ。」


陸奥「ありがと、それじゃあね」ガチャ


提督(あの2人『被弾さえしなければ』最強じゃないか…)




〜入渠所〜


睦月「ふぅ〜…いい湯だにゃしぃ…」プカプカ


長門「しかし睦月、空母を沈めるなんてすごいじゃないか。」


睦月「そ、そうですか?」ニシシ


長月「そうだな、夜戦とはいえ雷撃と砲撃を駆使した見事な攻撃だったと思うぞ」


睦月「な、長月まで…照れますなぁ」(´>∀<`)ゝエヘヘ


卯月「長門さん、ごめんなさいぴょん…」


長門「気にするな卯月。あの艦隊は何か妙だった。こんなところにあそこまで徹底した空母機動部隊は来ないと思うのだが…」ウーム


睦月「とにかく勝てたんだし良しとしようよ!」


弥生「それはさすがに…反省は大事…」


長門「そうだな、私から気になった点を何個か言っておこうか。」


4人「「「「は、はいぃ…」」」」








提督「なんとかしてあの2人を被弾させない方法はないものか…」


【長門が卯月ちゃんたちを庇ったのよ】


提督「庇う…そうか…!」


提督「いや、しかし轟沈しては元も子もない。評判にも関わる。」


提督「さてどうしたものか…」








〜2週間後〜


不知火「不知火達、着任してから遠征しかしていませんね…。司令からも遠征しとけとの指示だけですし…」E.ドラム缶


陽炎「なんか最近は海域攻略があまり芳しくないみたいよ。長門さんたちが出撃するのにもかなり燃料とかかかるからしょうがないわね。」E.ドラム缶


如月「でもそろそろ出撃してみたくはあるわねえ」E.ドラム缶


不知火「そうですね、それでは司令に聞いてみましょうか。」




〜執務室〜


提督 イライラ


陽炎「司令、失礼するわよ」コンコン


提督「あん?なんだよ?」イライラ


陽炎(うわぁ…見るからにイライラしてるわね…ここは一旦引いた方が)


不知火「司令、少しいいですか?」


陽炎(不知火ぃぃい!!)


提督「なんだ?」


不知火「不知火達が着任してもう2週間が経ちました。そろそろ実戦演習などをやってみたいのですが」


提督「あ?」ピクッ


提督「見てわかんねえのか?いま忙しいんだ。」


不知火「海域の攻略具合が宜しくないのでは?戦える数は多い方が良いと思うのですが」


陽炎「ちょっと不知火!」ガシッ


不知火「なんですか陽炎。不知火は正論を述べた迄です。不知火に何か落ち度でも?」


陽炎「だからって…!」ガチャ


睦月「艦隊、きと、う…しました。」ボロッ


如月「睦月ちゃん腕が!!」


睦月「うぅ…」フラッ


長門「睦月!」ガシッ


長月「だだいま…もどっ、た…」ハァハァ


長月「くっ…」ドサッ


長門「長月ッ!陸奥、早く入渠させてやれ!!」


陸奥「分かってるわ!卯月ちゃんも早く!!」


卯月「にゅ…きょ…?」ボロッ


提督「今回はどうだったんだ?」


長門「どうもなにもあるか!一体どうしたのだ提督!?」バンッ


提督「どうしたもこうしたも、勝つ確率を少しでも上げるためにやっているだけだ。」


弥生「…」


提督「なんだよ弥生?なんか文句があるのか?」


弥生「い、いえ…そういう訳じゃ…」


提督「ふん、相変わらず気に食わねえ顔しやがる。」ガシッ


弥生「ひっ…!」ガタガタ


如月「ちょ、ちょっとなにしてるのよ!?」


提督「なんだよ如月。こいつが逆らうようなツラしやがったからだよ」


如月「弥生ちゃんにそんな意思はないわよ!」


提督「なんだ、じゃあお前が代わるか?」


弥生「そ、それはっ!」


如月「大丈夫よ弥生ちゃん。私に任せて。」


提督「いいだろう、それじゃあ次は弥生は遠征、如月は出撃だ。しっかりやれよ?」ギロッ


如月「わ、分かってるわ…!ほら、行きましょ弥生ちゃん…」


弥生「ごめんね…ごめんね…」ガタガタ


陽炎「ちょっと司令…今のは一体どういうことなの…!?」キッ


提督「だから言ってるだろう。勝つためだと。」


長門「しかしこのままでは誰か沈んでしまうぞ!今すぐこの戦法は辞めるんだ!!」


長門「『捨て艦戦法』なんて狂っているぞ!」バン


陽炎「すて…かん…?」


提督「実際戦果が上がっている。お前達は被弾せずに敵を撃滅できウィンウィンじゃないか。」


長門「先程の睦月たちを見てもそう言えるのか!?ふざけるな!!」


提督「うるせえ!早く今回の報告をしろ!」


長門「くっ…、今回は敵艦隊を撃滅…こちらの損害は睦月、長月、卯月が大破、弥生、陸奥が小破…」


提督「ほら、勝てたじゃないか!」


長門「こちらの損害が大きすぎるのだ!まだ練度も高くない駆逐艦を難易度の見合ってない海域に放り込むなど…」グッ


長門「貴様のような提督は初めてだぞ!?」ダァン


提督「黙れ、報告が終わったなら出ていけ。陽炎、不知火お前らもだ。」


長門「くそっ…!」バァン


陽炎「…」バタン


提督「おい不知火。お前も出て行けと言っている。」


不知火「司令。捨て艦戦法を執っているのは本当ですか?」


提督「そうだったらどうした?」


不知火「捨て艦戦法は最も効率的な戦法です。不知火もそれには賛同します。」


不知火「それを踏まえてあなたに問います。」




あなたは何をそんなに焦っているのですか?




提督「…は?」


不知火「効率自体は良いものの、艦隊の士気にも関わりかねない捨て艦戦法。それをしなければいけないほど司令を駆り立てるものはなんですか?」


提督「うるせえな…」イラッ


不知火「図星ですか?」


提督「うるせえって言ってんだよ!!」ガシッ


不知火「ひっ!?」ビクッ


提督「てめえ提督が艦娘に暴力は奮ってはいけないと思っているな?」


不知火「え…」


提督「それは一部の状況を除いて、だぞ?」ニタァ


不知火 ゾクッ


提督「お前は営倉行きだ。おら、来いよ」グイッ


不知火「ま、待ってください…不知火はそんなつもりじゃ…」ガタガタ


提督「うるせえよ!」ガッ


不知火「ぐっ!?」ドサッ


提督「艦娘は頑丈だからなぁ…とにかく来いよ」


不知火「そんな…陽炎助けてぇ…」ポロ


提督「助けなんか来ねえよ。早く歩け」ゲシッ


不知火「ご、ごめんなさい!もうなにも余計なことはしませんから…!」ガタガタ





〜1週間前〜


プルルル…


提督「はい、こちら〇〇鎮守府。」


○○○「私は田中だ。お前はは提督だな?」


提督「田中…?まさか大将ですか!?」


大将「そうだ。今日はお前に用があって電話した。」


提督「た、大将殿が一体何の御用でしょうか?」


大将「お前のところにいま長門と陸奥がいるな?」


提督「は、はい…この間着任したばかりですが…」


大将「そいつらはな、元々私のところに来るはずだったんだがなぁ?」


提督「…!」


大将「まあ落ち着け。私は君にも一目置いている。軍学校での成績も悪くないしな。」


大将「私はそんな君なら新海域進出も『すぐ』だと思ってるんだ。」


提督「いつまでお待ち頂けますか…?」


大将「飲み込みが早くて助かるよ。そうだな、1ヶ月でどうだろうか?」


提督「1ヶ月ですか!?それはちょっと…」


大将「なんだ、できないのか?」


提督「っ!や…やらせて頂きます…」ギリッ


大将「そうかそうか、それでは武運長久をな」ハッハッハ


提督「このクソがっ!!」ガチャーン


提督(こんなところで失脚する訳には!!長門と陸奥は手放す訳には行かない…クソっどうすれば!?)








陽炎「不知火遅いわね…どこかで寄り道してるのかしら?」


陽炎「でももう夜なのよね…まさか司令が何か!?」ガバッ


不知火「も、戻りました…」ガチャ


陽炎「不知火!遅かったじゃない!何かあったの!?」


不知火「いえ何も…」ガタガタ


陽炎「疲れてるの?それなら早く寝た方がいいわ。ほら…」


不知火「はい、先に休ませていただきます…」


陽炎(不知火ったらどうしたのかしら…ひどく疲れた顔をしてるわ…)




〜翌日〜


陽炎「今日も遠征か…今日もどうせいつものメンバーで…!?」


卯月「…」ウツムキ


弥生「…」


陽炎「ちょ、ちょっと!?なんであんたたちがここにいるのよ!?」


卯月「そ、それが分らないんだぴょん…今朝うーちゃんは遠征だって言われたぴょん…」


弥生「弥生は…如月が代わりに…」


陽炎「まさか不知火っ!?」ダッ


卯月「陽炎!?待つぴょん!」



〜執務室〜


提督「いいか不知火、長門と陸奥を死ぬ気で守れ。これは命令だ。」


不知火「は、はい…」ガタガタ


提督「返事が小さくないか?」スッ


不知火「は、はいっ!!不知火、この身をもって命令を遂行しますッ!!」


提督「それでいい。もし今回攻略ができなかったら…分かってるよな?」


不知火「はい…陽炎には、手を出さないで…ください…」ガタガタ


提督「分かってるとも。ほら行ってこい。みんなが待ってるぞ。」


不知火「不知火…行ってきます…」






陽炎「ちょっと司令!!」バァン!


提督「なんだお前、はやく遠征に行かないか」


陽炎「不知火は!?不知火はどこに行ったの!?」


提督「不知火か?あいつは今頃海の上だぞ。」


陽炎「あんた…不知火に何をしたの…」ググッ


提督「はて、私は何もしていないが?不知火が自ら進んで立候補したんだが?」


陽炎「そんなはずないでしょ!!あの後にあんたが何かしたんでしょ!?」


提督「うるさいな。はやく遠征に行ってこい。」


陽炎「いいから答えて!!」


提督「黙れ。これ以上騒ぐとお前も出撃させるぞ。」


陽炎「くっ…!」


陽炎(不知火…無事に帰ってきてよね…)ググッ





〜海上〜


不知火「守る…守る…」ブツブツ


睦月(不知火ちゃんもか…)


如月「ねぇ睦月ちゃん?これは一体どういうことなの?雰囲気が異常だわ」ボソボソ


睦月「な、なんでもないよ…!如月ちゃんはいつも通り、ってまだ戦闘は初めてだったね…」


睦月(如月ちゃんは知らないみたいだね…良かった)


長月「敵艦隊、発見…」


長門「お前らは自分の命を優先しろ!いくぞ陸奥!!」


陸奥「えぇ…!!」ググッ






睦月「敵艦隊全滅を確認…」(中破)ハァハァ


如月(い…異常だわ…)ゾワッ


不知火「はやく次に進みましょう!早く!!」(中破)


如月(まるで睦月ちゃんたちが長門さんたちの盾みたいに…)


長月「私は大丈夫だ…行こう…」(中破)


如月「こんなの…違うわ…」ボソ


長門「提督!撤退命令を!このままでは危険だ!!」ザー


提督「お前らは無傷だろ?」


長門「そ、そうだが…」


提督「なら進め。進軍だ。」


長門「提督ッ!」


提督「行け。」


長門「ふざけるな!!これ以上は…」


不知火「行きますよ長門さん」


長門「不知火…」


提督「ほら、不知火にも進軍の意思がある。進軍しろ。」


長門「だが睦月と長月が…っ!?」


睦月「長門さん?ほら、行こ?」


長月「早くしないか、留まってたら見つかってしまうぞ」


提督「全員一致したようだな。それでは報告を待っているぞ」ブツッ


長門「…クソっ…」ガチャン


如月「こんなの狂ってるわ!!」


睦月「…どうしたの如月ちゃん?」


如月「こんなのおかしいわよ!みんなで助け合って戦っていくって習ったはずでしょ!?」


長月「ちゃんと助け合っているではないか?私はみんなを、如月を守るために戦っている。」


如月「私を…守るため…?」


睦月「ちょっと長月ちゃん!」


長月「おっと、失言だったな。今のは忘れてくれ…」


睦月「如月ちゃんは落ち着いて立ち回ってね。睦月が守るから…!」


不知火「そこの3人、早くしてください…」


睦月「あ、ごめんね?今行くよ。」









~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~


陸奥「艦隊帰投したわよ…」


不知火(大破) ハァハァ


睦月(大破) フラフラ


長月(大破) ハァハァ


提督「うむ、今回も轟沈はなしか。敵はどうだ?」


長門「敵艦隊は全滅…もう少しで海域の攻略が出来そうだ…」ググッ


提督「そうか、それなら良かった」


長門「良かっただと…?この現状を見てなぜそんなことが言える!?」バン!


提督「勝ったんだぞ?それで充分じゃねえか。」


長門「勝ったから充分だと!?ふざけるな!!私たちだって生きているんだぞ!?」


提督「知らないのか?艦娘は『道具』なんだぞ。軍学校の時からそれは習っている事だ。」


長門「なんだと…!?貴様、見損なったぞ!!」


長門「そちらがそういうつもりならこちらは全員で異動願いを出させてもらうぞ!」


提督(面倒なこと言いやがって…)


提督「というか如月。なぜお前は無傷なんだ?周りの戦い方を真似ろと言ったよな?」


如月「あんなの間違ってるわよ…」


提督「反省もなしに口答えか。立派な命令違反だな?」ガシッ


如月「痛っ!何するのよ!」


提督「お前も営倉行くか。」


長門「待て貴様!」


提督「お前が勝手な真似をするとどうなるか分かるな?あぁ!?」ギロッ


長門「この畜生めが…!!」ギリッ


睦月「まっ…て…!」


提督「あ?」


睦月「きさら…ぎちゃんには、手を出さないって!」


提督「それはそうだ。しかしたった今命令違反したからなぁ」


睦月「睦月が…睦月が変わりに罰を受けるから…!」ガシッ


提督「そうか、なら如月は解放してやろう。睦月に感謝するんだな」ガッ


如月「うっ!?睦月ちゃん!」ドサッ


陸奥「待ちなさい提督!睦月ちゃんは大破してるのよ!?」


提督「大丈夫だ、死なせるつもりは無い」


陸奥「そういうことじゃなくて!」


提督「しょうがないな、高速修復材を持ってこい。傷は治してやる。」


提督「だが如月は今から短距離遠征に行ってこい。今すぐだ。」


如月「わ、わかりました…!」







如月「如月、帰還しました!」


提督「そうか、じゃあもう1回行ってこい」


如月「え…?」


提督「早く行ってこい」


如月「は…はい…。了解しました…」





如月「如月帰還したわ…」


提督「じゃもう1回」


如月「…」


提督「行け」



如月「戻りました…」


提督「おい、ペースが落ちてるぞ。罰でもう1回行ってこい。」


如月「そんな…」


提督「早く行け」


如月「…」フラフラ



如月「戻り…ました…」


提督「もう1回」


如月「あ、あの…!」


提督「もう1回だ、行け」


如月「はい…」フラフラ



如月「…」フラフラ


提督「早くもう一度だ。時間がもったいないだろう」


如月「あの!」


提督「なんだよ?」


如月「往復30分だからって流石にこれ以上は…」


提督「そうか、遠距離遠征もやりたいのか?」


如月「そういうことじゃないんです!!」バン


提督「なんだお前?」ガッ


如月「うっ!」ドサッ


提督「お前今日の出撃でまともに使えなかったから遠征やらせてんのにそれすら嫌だというのか?」ガシッ


如月 フルフル


提督「じゃあさっきのはなんだよ?えぇ?」バキッ


如月「きゃあっ!!」ドサッ


提督「お前は盾にもなれねえし使えねえんだからよ。さっさと遠征行けよ!!」ドカッ


如月「ごめんなさい…ごめんなさい…」ポロポロ


提督「謝ってないで早く行けよ!!」


如月「ひっ…!い、行きます、行きますからぁ!!」





〜さらに一週間後〜


長門「艦隊…帰投だ…」


提督「戦果は?」


長門「…敵艦隊を撃滅、攻略は次でできるだろう…」


提督「そうかそうか!よくやった!」


長門「だが…」ググッ




不知火が沈んだ



提督「あ?なんだあいつ遂に沈んだのか」


提督「全く、轟沈するなと言っていたのに。評判が下がってしまうではないか」


ブチブチィ


陸奥「!待ちなさい長門!!!」ガシッ


長門「止めるな陸奥!!私はこいつを殴らないと気が済まないんだ!!!」


長門「不知火が沈んだのは貴様の作戦が悪いんだぞ!?それなのに評判だと!?ふざけるなぁぁぁぁあ!!!!」ズズズ


提督「ひっ…!て、てめぇ俺を殴ってどうなるか知らないのか!?」


長門「まだ言うか!貴様などもはや司令官ではないわ!!!!」ジタバタ


陸奥「ちょっと長門!!!」ガチャ


陽炎「ねえ…今のって…どういうことなの…?」


長門「かげ…ろう…」


陽炎「不知火が沈んだって…?あの不知火が…?」ポロ


陽炎「ねえ!誰か答えてよ!!」


長門「すまない…すまない…!」ポロポロ


陽炎「あ、あぁあ…しらぬいぃ…」ポロ


陽炎「どうして、どうして…」ポロポロ



~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~



睦月「陽炎ちゃん…」コンコン


陽炎「…」


睦月「入るよ…」ガチャ


陽炎「今は何も話したくないわ…出ていって…」ポロポロ


睦月「ごめんね…!ごめん…!」ポロポロ


陽炎「どうして…どうしてあんたが謝るのよ…」


睦月「守れなかったの…次当たったらダメだって分かってたのに…!」ポロポロ


睦月「ごめんね…ごめんね…」ポロポロ




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~



〜翌日〜


提督「よし、それじゃあ出撃だ。行ってこい。」


全員「…」


提督「早く行け。」


陽炎(練度5の初出撃で沖ノ島…)


陽炎(どうせなら不知火と同じ場所で…)




睦月「敵艦隊発見…哨戒班と思われます…」


長門「…やるぞ…」


陸奥「敵は6隻。リ級elite1、チ級elite1、チ級が2、ハ級2…ね。」


長門「重巡は私に任せてくれ…。すぐにそちらに支援に行く。」


陸奥「行くわよ…」







長門「クソっ…」


陽炎(もうすぐ…もうすぐで…)大破


睦月「まだいけます」中破


長月「ああ、早く行こう」中破


弥生「…」中破


陸奥「私はこんなにも…無力…」ググッ


長門「提督っ!頼む!撤退を」ザー


提督「行け」


長門「…行くぞ…」






陸奥「敵艦隊発見。ル級2、チ級1、リ級1、ハ級2よ。」


長門(私がみんなを守らなくては…!もう誰かを看取るのはごめんだ…!)


長門「私が前に出る!4人は陸奥に従え!」


長門(早く!)ドォン


長門(早くこいつらを倒さなければ!)ドンドォン



陽炎「不知火…ごめんね…」スー


陸奥「ちょっと!陽炎ちゃん!!」


陽炎「お姉ちゃん…そんなに強くなかったよ…」ツー


陽炎「みんなもごめんね…」ニコッ


睦月「陽炎ちゃん…」


陸奥「待って!待ちなさい!!」



長門「くっ…!」ドォンドンドォン


ドガァァァン


長門「!?」クルッ


陽炎「ごめ…んね…」


長門「あ、あぁ…」


陽炎「し ぬぃ…いまそっちに…」トプン


長門「私のせいか…?私が…?」ガクッ


長門「私が陽炎を…『殺した』…?」


陸奥「長門!!」ドォン


ル級 ォォォオ 撃沈


陸奥「もう1つ!」ドォンドンドォン


ル級 撃沈


陸奥「長門立って!!まだ敵は残ってるのよ!!」


長門「陸奥…私は、私は!」ポロポロ


陸奥「いいから立ちなさい」パァン


長門「陸奥…」


陸奥「あの子達はまだ戦ってるのよ!私達がやらないでどうするの!?」


長門「…」スッ…


陸奥「早く!」


長門「あぁ…」


睦月「くっ、早く沈むにゃしぃ!!」ドォン


長月「しぶといやつめ…!」


弥生「まだ…まだ頑張らないと…!」


ドォンドンドォン


リ級 撃沈

チ級 撃沈


睦月「長門さん!」


長門「…」


睦月「もしかして…陽炎ちゃんは…」


長門「すまない…」


睦月「あ、はは…また友達が…」ツー


睦月「どうしてこんな作戦が存在するんだろう…」ポロポロ


陸奥「睦月ちゃん…」


提督「おい、戦況はどうなってる?」ザー


長門「…」


提督「おい答えろ。」


長門「敵艦隊を撃滅…こちらは…陽炎が轟沈した…」


提督「おいおい…また轟沈かよ…」


長門 メキメキ


提督「まあいい、次で最後だろ?早く行ってこい。」


長門「りょう…かいだ…」メキメキッ


長月「長門さんよ、無線機が壊れてしまうぞ…」


長門「行くぞ…!」





弥生「敵中枢艦隊発見…。」ハァハァ


長門「睦月!長月!あともう少しだ!!絶対に守ってやる!!」


睦月「長月…大丈夫…?」ハァハァ 大破


長月「なに…まだ動けるさ…」ハァハァ 大破


弥生「そういう2人も…危ない…」中破


長門「2人とももう私たちのことは庇うな!生きることに専念してくれ!!!」


長月「それだとまた提督に怒られてしまうな…」ハァハァ


ドォン


長門「!!」


長門「睦月ぃぃぃぃぃ!!!!」


睦月「え…?」




ドガァァァァァァン




睦月「あれ…?あ、あぁ…あああ」ペタン


長月「睦月姉…生きろよ…」ズズ…


睦月「な、ながつき…」ポロポロ


長月「みんなに…あかるい…み、らい、を…」ドプン


長門「あぁ…うおおおおああああああ!!!!!!」ドンドンドンドン!!!


睦月「ながつきぃ…まって、まってよ…」ポロポロ


陸奥「睦月ちゃん危ない!!」ドガァン!!


陸奥「くっ…!」小破


睦月「ながつきぃ…うわぁぁ…ああ」ポロポロ


弥生「睦月は…睦月だけは、絶対にやらせない!」ポロポロ ジャキン


睦月「ああぁぁああああ!!!!」ポロポロ






長門「陸奥よ、これからやることに口を出すな。いいな?」ズズズ


陸奥「…」


ガチャ


提督「おお、戻ったk」ガシッ


長門「貴様も同じ目に合わせてやろう…」ミシミシ


提督「おいっ!離せ!こんなことしていいと思ってるのか!?」


長門「1つだけ聞く。卯月と如月はどこだ?」


提督「教えるわけねえだ」


長門「言え」ジャキン


提督「え、営倉だ!」


長門「そうか、それではな」ドォン


提督「え?」


ビチャ…


長門「陸奥、はやく営倉に行って2人を助けてあげてくれ。」


陸奥「分かったわ…」


憲兵A「おい!何事だ!?」ドタドタ


長門「余計なことを…」


憲兵B「これは立派な反逆行為だぞ!大人しくしろ!」


長門「私はここから出ていく。みんなを連れてな。」


憲兵A「何を言っている!?」


長門「こいつはこの世に居てはいけない、故に殺した。お前達も邪魔をするな。」


陸奥「長門!2人とも傷は酷いけど無事よ!」


卯月「ごめんなさい…ゆるして…」ボロッ


如月「あ…うぅ…」ボロッ


長門「はやく入渠させて連れていこう。大本営から応援が来たらさすがに厳しい。」


陸奥「そうね…。」


憲兵A「おい!貴様ら一体何をする気だ!?」


長門「そうだな。大本営に伝えてくれ。私たちは放っといてくれと。」


憲兵A「そんなことできるか!上官を手にかけたんだぞ!」


憲兵C「おい!何があった!?」ドタドタ


憲兵D「Bに呼ばれてきたぞ!」


長門「増えたか…仕方ない」ガッ バキッ


憲兵達「ぐはっ…」


長門「こんなもんで大丈夫だろう。急がねば…特に睦月は傷が深いはずだ…。」


長門「どうにかしなければ」ポロ


長門「あれ…?私は…泣いているのか?」ポロポロ


長門「私が、みんなを支えなければ…」ポロポロ


長門「不知火…陽炎…長月…すまない、すまない…」ポロポロ




陸奥「…」


陸奥「長門…」







~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜


後書き

とりあえずここまで〜

ここまで読んでくださった皆様ありがとうございます( ˘ω˘ )
睦月ちゃんの過去編でしたがいかがでしたか?少し話がズレたのを修正したり見直したりってしてたら2週間経ってました…(´・Д・`)


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2018-06-26 20:50:33

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このSSへのコメント

13件コメントされています

1: CQC中毒 2018-05-23 23:36:22 ID: wQ6QCJp3

シリアスよりですか( ・`ω・´)?
読むのは好きなのですが
私は書くのが苦手でして(´・ω・`)
応援してますね♪

2: SS好きの名無しさん 2018-05-24 06:29:30 ID: 1INSd66u

期待してます!

3: 柔時雨 2018-05-24 19:22:29 ID: BGHr45fZ

どうも。なないろふぁんたじあさんの作品を読ませていただき、村雨の可愛さに今頃気付き始めました。

ふむ……俺の作品には居ない人材だ……

漁師の青年が今後、この場所で艦娘達とどう接していくのか楽しみです。

応援しています、頑張ってください!

4: なないろふぁんたじあ 2018-05-24 20:58:21 ID: sNjZzZ3u

テンロータさん、評価ありがとうございます!まだまだ続くと思うので良ければ読んでくださいね( ˘ω˘ )

CQC中毒さん、評価とコメントありがとうございます!シリアスもあるつもりですが、読まれている方がシリアスと受け取れる文章を書けていないだけかもしれません(´^p^`)

コメントくれた名無しさん、評価して頂いた名無しも、読んでくれてありがとうございます!

柔時雨さん、評価とコメントありがとうございます!村雨は私が好きな子なので第一発見者として出演させました。(←おい)
登場人物はまだまだ増える予定ですので待っててください( ´・ω・`)

5: なないろふぁんたじあ 2018-05-24 21:06:44 ID: sNjZzZ3u

コメント、評価書いていない方も、読んでくれてありがとうございます。頑張って続けていく所存ですので、今後ともよろしくお願いします!

6: ポテ神提督 2018-05-26 14:10:41 ID: tOAmIxVD

早く続きが見たいよ〜〜

7: なないろふぁんたじあ 2018-05-29 00:11:55 ID: nATTJk3E

ポテ神提督さん、コメント・評価ありがとうございます!!頑張ってく続けていきますので今後ともよろしくお願いします!!

8: なないろふぁんたじあ 2018-05-29 00:13:35 ID: nATTJk3E

sudati-ponzuさん、評価ありがとうございます!
ほかの名無しさんも評価、しおり、応援、ありがとうございます!!

9: SS好きの名無しさん 2018-06-11 01:46:25 ID: 6rbELdSk

白露村雨が出番多いss少ないから割と本気で
ありがたいな。ほんまに

10: なないろふぁんたじあ 2018-06-20 21:34:26 ID: z01SEJsc

名無しさん、コメントありがとうございます。白露型は人気ですけど夕立、時雨、春雨あたりが多めですもんね。

他の名無しさんも評価、応援ありがとうございます!!

11: SS好きの名無しさん 2018-07-11 05:24:29 ID: 1ndTFaI5

続きまだですか?
早く読みたいです(*^^*)

12: なないろふぁんたじあ 2018-07-16 09:02:48 ID: 0dMQY8ht

名無しさん、嬉しいお言葉ありがとうございます!
実を言うと現在も次の章の制作中でして(゚ω゚;A)
1度時系列と話の展開等々踏まえて見返してたのでまた時間かかってしまってます…
素人執筆なのでゆっくりお待ちいただけると幸いです(o*。_。)o

13: SS好きの名無しさん 2018-07-24 19:02:36 ID: 1vtj3TyD

続きまだですか?

もう、1ヶ月経ってますよσ(^_^;)?


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