医師と廃鎮守府第1話
まだ第0話を見てない方はそちらに。
誤字脱字等がありましたら、コメ欄に。
ちなみにクリスマスに試合が入りました。発狂しそうです。......予定無かったけどね…
あと、学校で女子から変態紳士と叫ばれました。非常に複雑な気持ちです。
大淀「...そう..ですか..」
大淀はそう言われるのが分かっていたかのような口調で呟いた。
提督になるということは、命の保証がないからだ。
誰しもが命を懸けてまでしようとは思わないだろう。
すると大淀は、
大淀「..自分の容姿が気になるのですか?」
いきなり核心をつくようなことを言ってきた。
宮下「...まあ、な....」
理由はそれだけではないが、と心の中でつぶやいた。
このままここにいると話が長くなりそうなので、
宮下「...そろそろ戻っていいか?」
俺は早く去ろうと椅子から腰を持ち上げようとした。
すると、
大淀「待ってください!..もう少し考えていただけないでしょうか?」
大淀が必死にそう叫んだ。
宮下「......話だけ聞いてやる」
少し苛立って答えた。
....今日こそは早く帰りたいのだが。
今日もついてないなと思いつつ、持ち上げた腰をおろし話を聞くことにした。
大淀「先程この地域で合格したのは貴方だけと言いましたが、...全国には貴方含め10人ほどしか合格していません」
大淀の最後の一言に絶句した。
.....思っていた以上に深刻な問題だ。
大淀「....もう...貴方しかあてがないんです...どうか...どうか!」
大淀は泣きそうな顔で懇願してきた。
...今までほかの9人には断られたのだろうか。
しかし、理由がどうあれ俺は...
宮下「俺は...やっぱり提督にはなれない」
大淀「そう...ですか....」
大淀は絶望していた。
非常に心苦しいが、どうしてやることも出来ない。
宮下「.....失礼する」
俺は応接室を後にした。
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コツコツと足音が遠ざかっていくのが聞こえた。
......ここもダメだった。あの子達になんて顔向けしたらいいのだろうか。
絶望に浸っていると友人が声を掛けてきた。
影山「はぁーっ...やっぱり無理だったわね大淀」
大淀「どうしよう...ここが最後のあてなのに...」
泣きそうになった。
.....もうあんな思いをさせたくない、したくない。
…昔の光景がフラッシュバックしてきた。
??「助けて!!誰か助けて!!」
??「おい、こいつを連れて行け!!」
目の前の男が怒鳴り散らした。
そして小さな少女を溶鉱炉に連れていかせると、こう言い放った。
??「こいつを今から解体しろ!!!」
??「嫌だ!誰か助けて!!」
??「うるさい黙れ!」
目の前の男はその少女の前まで行き溶鉱炉に突き落とした。
??「...誰か..助けて..........あれ...もう...痛くない...」
少女の声が完全に途切れたあと、男は
??「ふん、俺に歯向かうからこうなるんだ。まあ、代わりはいくらでもいるしな。記憶は引き継がれるがケースもあるのが厄介だけどな…」
と、何事も無かったように執務室に戻って行った。
.....また救えなかった。
影山「....!...淀!.....大淀!」
気がつくと、心配そうな顔でこちらを覗き込んでいる友人の姿があった。
大淀「...っ..大丈夫。ありがとね」
なるべく笑顔で答えた。
影山「笑顔が引きつってる、大丈夫じゃないでしょ。.....たまには周りに頼ってもいいのよ?」
彼女の観察眼にはいつも驚かされる。
まるで心を見透かされてる感じがする。
影山「....あんたらしくないわよ。ありのままの自分でいなさい。貴方はどんな困難も乗り越えて来たでしょう?」
....そうだ。私は今までどんな事も乗り越えて来た。
今回もきっと行けるはずだ。へこたれちゃいけない。
そう思うと、僅かながら元気が出てきた。
大淀「...そうね。ありがとね"明石"」
明石(影山)「どういたしまして。....それにしても黒髪って暑いわね。早く色落としたいわ」
大淀「貴方の上司を提督にさせれたらね」
....かなりの時間が必要だと思うが。
彼女ならもしかしたら出来るかもしれない。
.....彼を早く提督になってもらう必要がある。
私たちの為にも、鎮守府のみんなの為にも。
明石「...うわ、もうこんな時間!?大淀早く帰りましょう!終電間に合わないかもよ!」
私は明石に連れられて応接室をあとにした。
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---宮下の家---
宮下「...そういうことか」
手に持っていた盗聴器から大体のことが分かった。
何かあった時のために事前に設置しておいた盗聴器がこんな所で活躍するとは思わなかった...
まず大淀は過去に何か辛いことがあったということ。
そして影山が"明石"と呼ばれていたこと。
....影山は艦娘の可能性がある。
.......それにしてもこれはかなりまずい。
絶対提督にさせられる気がしてならない。いや多分させられるだろう。
別に提督になってもいい。
そこは正直なところどうでもいい。
医者も飽きてきたからだ。
だが容姿でなにか言われるのは苦痛だった。
今も充分苦痛だが。
...どうしたものか。
その夜、悩みに悩んだ結果、ひとつの答えにたどり着いた。
---次の日の朝---
いつものように出勤し、病院に到着した。
すると病院の玄関には、二人の女性がたっていた。
明石と大淀だ。
大淀「...またお願いしに来ました」
大淀は緊迫した声音で口を開いた。
玄関で話すつもりか、こいつは…
話し始めようとしたので、それを片手で遮ってため息混じりにこう答えた。
宮下「....気が変わった。提督になってやる」
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