2020-03-31 21:34:06 更新

概要

禍戦艦水鬼を退けた白瀬は彼女が残した言葉に不安を感じ、了戒を探していた。

そんな白瀬を嘲笑うかのように計画を進める了戒

かつて封印された脅威が今まさに甦ろうとしている。


前書き

第5話になります。
このSSはウルトラマンオーブをモチーフに作成しています。
オーブをご存じない場合、理解不能の話や設定が出てきます。
苦手な方はご注意ください。

20/3/31日 誤字修正
すいません。更新がはかどらず、報告ついでに誤字修正しました。
来週には設定か6話を更新します。m(_ _)m








-鎮守府裏山、頂上付近-


時刻は明け方


頂上付近の少し開けた場所に了戒の姿があった


了戒はある一点を見つめている


了戒(・・・)


その視線の先には鎮守府正面にある小島があった。


そこへやってくる一人の女性


「おや、この時間に人とは珍しい。」


了戒は声のする方向を見る。


そこには、この山と二つの石碑を管理する三笠の姿があった。


三笠「こんばんは・・・いや、おはようございますかな?」


了戒「チッ・・・」ザッ


三笠に興味を示さず了戒は、無言で立ち去ろうとする。


三笠「まあ待ちなさい。」


了戒「・・・なんだ?」


三笠「こんな時間に、一体何をしていたんだ?」


了戒「お前に何の関係がある」


三笠「いいや、関係あるさ」ガシッ


三笠は立ち去ろうとする了戒の肩を掴む


三笠「質問を変えよう。この山の石碑に何をした?」


三笠の問いが終わると同時に了戒の纏う雰囲気が変わる


了戒「その手・・・必要無いのか?」


三笠「っ!!!」ゾクッ


バッ


了戒の異様な気配を感じた三笠は手を放し距離をとる。


しかし


三笠(は、速っ!)


了戒「ふんっ!」ドゴッ


次の瞬間、三笠は距離を詰められ、腹部に打撃を受けてしまった


三笠「ぐあっ!」ガシッ


不意打ち気味に受けた打撃が、三笠の動きを止めてしまい、了戒に首を掴まれてしまう。


三笠(その姿は!?)


了戒の姿は先程と変わっていた。


容姿こそ人の形だが、肌は生気の無い白になり、頭部には黒い角が生え、目は赤く光っていた。


その姿はまさに深海棲艦そのものだった。


了戒「関わらなければ、もう少し生きられただろうに。」シュウウ


動揺している三笠を気にも留めず力を拳に収束していく。


三笠「ぐっ!」


三笠(なんて力だ・・・拘束を解けない!)グググッ


了戒「死ね・・・」グワッ


三笠(やられるっ・・・!)


その時だった。




♪~~~♪~~~




三笠(・・・?)


何処からともなく楽器の音色が聞こえ始める


了戒「ぐ・・・うぅ・・・」パッ


三笠「ゲホッ、ゲホ」


直後に了戒が苦しみ始め、手を離す。


次第に了戒の姿が人間に戻っていく。


そこには


三笠「君は・・・」


白瀬「了戒・・・」ザッ


了戒「チッ・・・まだ早いんだよ。お前は」ブンブン


了戒は頭を振り意識をクリアにする。


こちらをあしらおうとする了戒をみて白瀬は問う


白瀬「逃げるつもり?」


了戒「”今は”、な。」


白瀬「逃がさない!」ダッ


逃げる素振りを見せる了戒に向かって白瀬は走り出す。


了戒「ふん!」ガシッ


向かってくる白瀬を見た了戒はそばにいた三笠を掴む


了戒「受け止めないとどうなるかな!?」ブン


三笠「うわっ!」


了戒は走ってくる白瀬に向かって三笠を投げつけた


白瀬「なっ!?」ザッ


ガシッ


白瀬は三笠を受け止めるが体勢が悪く、倒れこんでしまう。


白瀬「っ!」ドサッ


三笠「くっ」


白瀬「怪我はありませんか?」


三笠「私は大丈夫だ。それより」


白瀬「そうだっ、了かっ・・・」キョロキョロ


辺りを見回すが、既に了戒は姿を消していた。


白瀬「っ・・・」


三笠「すまない・・・」


白瀬「いえ、気にしないでください。立てますか?」スッ


三笠「ああ、ありがとう」ガシッ


三笠は差し出された手を掴み立ち上がる


三笠(まったく・・・自分が不甲斐無い。あれほどまでに反応できないとは。私も鈍ってしまったな)ハァ


白瀬「彼女はここで一体何をしていたか分かりますか?」


三笠「詳しくは分からない。ただ、彼女はあの島を見ていた。」スッ


三笠が指差す方角には先程了戒が見ていた島があった。


白瀬「あの島を?」


白瀬(見たところ普通の島だけれど・・・)


三笠「ああ。あの島はここの鎮守府もとい、海軍の管理にある。」


白瀬「誰が住んでいるんですか?」


三笠「いや、誰も住んでいない無人島だ。ただ鳥居と祠が一つあるだけだよ。」


白瀬(一体何をするつもりなの?)


三笠「了戒、といったか・・・一体何者なんだ?君を知っていたようだが?」


白瀬「えっと・・・」


白瀬「彼女は了戒・・・、昔からの友人・・・です。」


三笠「友人か・・・」


白瀬「彼女は、とある理由で力を求めるようになって・・・あの姿になってしまって」


白瀬「私は友として、それを止めなければいけないんです。」


白瀬(そして仲間として、姉としても・・・)


三笠「そうか・・・。すまない。余計なことを聞いてしまった。」


三笠は少し考え白瀬を見る


白瀬「どうしました?管理人さん・・・?」


自分を見て何かを考えている三笠に問う


三笠(・・・そうなるとやはり)


三笠「率直に聞くが君は艦娘なんじゃないかな?」


白瀬「えっ!?いやっ・・・」ギクッ


突然の指摘に動揺する白瀬をみて三笠は言った


三笠「ふふっ、君は隠し事が苦手なようだな」


三笠「まあ、君になら良いだろう。」フウ


白瀬「?」


三笠「実は、私は”元艦娘”なんだ。」


白瀬「え!?か、管理人さんが!?」


三笠「艦娘としての名は戦艦・三笠。世界で初めての艦娘。正確にはプロトタイプだ。まあ、私の存在を知っているのは今となっては、ごく少数だがね。」


白瀬(管理人さんが、艦娘!?しかもあの三笠様だなんて・・・)


三笠「だから、なんとなく分かるんだ。こう・・・雰囲気でね。」


三笠「以前会った時から、そして今も、君から艦娘としての魂を感じる。」


三笠(君から感じる魂の気配は、あの娘を思い出させる。あの時、石碑が光ったのが何よりの証拠だろう。)


白瀬「わ、私は・・・その・・・」


三笠「ああ、別に君の正体を明かしてやろうとか、そういうことじゃない」


白瀬「え?」


三笠「一人で出来ることには限界がある。どんな艦娘も普通の人よりは優れているだろう。」


三笠「だけど、艦娘だって完璧じゃない。」


白瀬「管理人さん・・・」


三笠「私は・・・もう戦う事は出来ないが何か調べるくらいは出来る。君が艦娘だからという訳ではないが、何か手伝える事はないか?」


白瀬は少し考え三笠に応える。


白瀬「・・・ありがとうございます。お力、お借りします。」


三笠「うん。言ってくれ。」



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三笠「分かった。分かり次第連絡しよう。」


白瀬「はい、連絡はこの周波数でお願いします。」


三笠「分かった。しかし通信機を持っているとは意外だった。見た所海軍の物と仕様が似ている。」


白瀬「これは・・・貰ったんです。この街で出来た大切な友人に。」


三笠「そうだったか。では、大切にな」


白瀬「はい。管理人さん。」


三笠「ふふ、これからは三笠と呼んでくれ。」


白瀬「分かりました、三笠様。よろしくお願いします。」


三笠「ああ。よろしくね。」


白瀬と別れた三笠は白瀬から渡された地図を見ていた。


三笠(この地図に記載されている場所の記録か。)


三笠(私の記憶が間違っていなければ、全て海軍の管理下にある場所だった筈。)


三笠(了戒といった者が、島の封印と関係なければ良いんだが・・・)


三笠(とにかく、急いだほうがよさそうだな・・・)






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-紅鎮守府 執務室-




青葉の騒動から数日



騒動の事後処理も終わり、提督は何処かと通信をしていた。


???「ああ、こちらは特に変わった事は無い。変わらぬ日常というやつだ」


提督「そうか。無いに越した事は無いから良かったよ。」


???「突然どうしたんだ?」


提督「ああ。実は、最近の日本近海の深海棲艦の動向がおかしくてな。」


提督「海外でも異変が起こっていないかと、心配になってな。各国の艦娘たちに連絡をしていたんだ。」


提督「他も特に変わった事は無いらしい。皆、変わらず元気そうだったよ。」


???「そうだったのか。私が援軍に行ってやろうか?今ならここを動いても大きな問題は無い。」


提督「いや、そこまで甘えるわけにはいかない。こっちで異変が起こっている以上、そちらでもいつ何が起こるか分からないからな。」


提督「気持ちだけ受け取っておくよ。ありがとう、ガングート。」


ガングート「まあ、同志の言うとおりか。」


ガングート「だが、助けが必要な時は言ってくれ。すぐにタシュケントと共に駆けつけよう。」


提督「ああ。」


ガングート「ヴェールヌイ達にもよろしく言っておいてくれ。近い内に一度鎮守府に邪魔するよ」


提督「わかった。タシュケントにもよろしくな。」ピピッ


コンコン


提督「どうぞ」


通信が終わると同時に長門と大淀が執務室に入ってくる。


長門「失礼します。」


大淀「各国の艦娘との連絡はどうでしたか?」


提督「ああ、今さっきガングートと連絡していた。」


提督「結論から言えば、何処も変わったところは無いらしい。」


提督「シンガポールに行ってくれている妙高、高雄達も特に異変は無いとの事だ。」


長門「そうですか。つまり、異変はここ日本の海域だけで起こっている」


提督「ああ。今の所だが、そうなるな」


大淀「あれから大本営の調査チームも進展が無いそうです。」


大淀「同時に謎の艦娘についても行方を掴めていません。」


提督「その艦娘、海外では目撃されていない様だ。」


長門「未だに手がかり一つ掴めないとは・・・」


大淀「本件に関しては不規則な出現位置、そして出現時間の短さが原因と思われます。」


大淀「報告書によりますと敵の出現時間は平均して5分にも満たない時間です。」


長門「そして、謎の艦娘は場所を選ばず、突然出現する・・・」


提督「何処からとも無く現れて、出来るだけ短時間で終わらせてるのか。なにか条件でもあるのか?」


提督「まるで、昔幼い頃にテレビで見たヒーローみたいだ。」


長門「・・・あくまで私個人の考えですが」


提督「ん?」


長門「私はこの正体不明の艦娘、味方とは限らないと思っています。」


大淀「え?」


提督「どういうことだ?」


長門「先程も申し上げましたが、あくまで推測です。」


長門「この艦娘は、新種の深海棲艦が現れるのとまるで呼応するかのように、出現しています。」


長門「この期間にも我々は深海棲艦の残党排除を行ってきました。」


長門「その残党の中には新種は確認できず、この艦娘も現れませんでした。」


長門「4人を大破に追い込んだ禍駆逐災姫も依然行方知れずですが、この艦娘が既に撃破した可能性もあります。」


長門「自分が新種を倒すことに、なにか目的があるとは考えられないでしょうか?」


大淀「・・・・」


提督「だがホテルでの襲撃の際、あの艦娘が出現している。あの時は敵側の新種の出現は無かったぞ?」


提督(それに、あの艦娘は結果的に雪風を止めてくれた。敵ならそんな事をするだろうか?)


大淀「確かにそうですね。」


長門「む・・・考えすぎ、でしょうか?」


提督「いや、そういう考え方もできる。貴重な意見だよ。」


提督「だが、確かに彼女の目的は不明だ。今後遭遇した際は充分警戒の上、コンタクトを取ってみるのもありだろう。」パサッ


提督「大淀、これを明石に持っていってくれ。今までと状況が変わったからな。皆の装備を見直すことにした。」


そう言って提督は大淀に書類を渡す。


大淀「はい、承りました。」


提督「それと、もうお昼だからそのまま休憩をとると良い。以前言った通り、俺は午後から大本営へ向かう。」


大淀「はい、分かりました。ありがとうございます。」


大淀が執務室から退出する。


長門「それでは私も青葉の訓練の準備に向かわせてもらう。」


先日の無断出撃に対する罰則は長門による特別訓練に決定した。


今日の午後からその訓練が始まる。


提督「ああ。罰とは言え無茶はしないようにな。」


長門「心得ています。」


提督(一度見たことがあるが、訓練と言うより修業と言った方が良いくらいの過酷さだった。)


提督「任せてしまってすまないな。」


長門「特別な事はしませんので、こちらは問題ありません。それに大本営での会議とあれば仕方ないでしょう。」


提督「ああ。何かあればすぐに連絡してくれ。」


長門「了解しました。同行する護衛は決まっておられるのですか?」


大本営へ向かう際は必ず所属の艦娘一名が帯同する決まりになっている。


提督「ああ。雪風が引き受けてくれたよ。」


長門「分かりました。お気をつけて。では、失礼します。」


長門が退出し、提督一人になった。


提督「さて、俺も出る準備をしないとな。」


支度をしながら提督は長門が言っていた事が気になっていた。


味方とは限らない


提督(確かに言う通りだ。だが、何でだろうな。あの艦娘には味方であって欲しい。そう思ってしまう。)


支度を終えたと同時にドアからノックの音がする。


雪風「しれぇ!失礼します!」


雪風「雪風は準備完了しました。」


提督「ああ。俺も出来た所だ。じゃあ行」


次の瞬間、執務室の扉が勢いよく開く。


バァァンンッ!!


提督「なっ!?お前は」


そこに立っていたのは、あの帰国子女だった。


雪風「こ、金剛お姉さま!?」


金剛「久っしぶりノー」バッ


提督「はっ!?」


提督はなにかを察知しすかさず構える。


提督(来るっ!)グッ


金剛「バァァァニングッ、ラァァァブッ!!」


提督「ぐおぉぉおっ!?」ガシッ


雪風「し、しれぇ!?大丈夫ですか?」


金剛「流石は私の提督デース!しっかり受け止めてくれマシター!」ギュゥゥ


提督「わかった、わかったから。こ、金剛・・・。苦しい・・・」ギリギリ


雪風「金剛お姉さま!しれぇが苦しがってます!」


金剛「oh!sorryデース」ピョンッ


金剛が離れ、提督は衣服の乱れを直す。


その間に雪風が金剛に抱きついた。


雪風「金剛お姉さま、お久しぶりです!」ダキッ


金剛「ユッキー!元気にしてまシタカー?」ワシャワシャ


雪風「はいっ!この通りです!」


提督「久しぶりだな、金剛。相変わらず元気そうだな」


金剛「yes!私は何時でも元気100%デス!」


提督「しかし、また突然だな?今日はどうしたんだ?」


金剛「ンー理由は簡単、最近mysterious事が起きてるそうですネー?」


金剛「それを聞いて心配だったので来ちゃいまシタ。」テヘッ


雪風「雪風は金剛お姉さまに会えて嬉しいです!」


金剛「相変わらずcuteな子デース!」タカイタカーイ


提督(言ったの絶対榛名だな・・・。まぁ、事実だが)ハァ


提督「わざわざすまないな。俺も顔を見れて嬉しいよ。」


金剛「そんな、可愛い顔だなんて。照れちゃうヨー」クネクネ


提督(言ってねえよ)


提督「しかし、すまんな。俺と雪風は今から大本営に行かなきゃならないんだ。今日は大事な会議でな。」


雪風「あ、そうでした。」


金剛「oh・・・。bad timing・・・」


提督「今日の内に帰る予定だが、どうする?」


三人が話していると執務室の電話が鳴る。


雪風が即座に反応して電話に出る。


雪風「はい、こちら紅鎮守府です。」ガチャ


雪風「はい。少々お待ちください!」


雪風「しれぇ!大本営秘書艦、鹿島様からお電話です!」


提督「鹿島さんから?分かった。」


雪風は受話器を提督に渡す。


金剛「よくできました。」ナデナデ


雪風「えへへ」


提督「はい、分かりました。それではまた後日という事で。」


提督「いえ。失礼いたします。」


ガチャ


金剛「どうしマシタカー?」


提督「さっき言っていた会議が延期になった。」


雪風「え?何かあったんですか?」


提督「いや緊急を要する事態じゃない。元帥殿に緊急の案件が入ってしまったそうだ。」


提督「だから今日の会議は延期だ。」


雪風「分かりました・・・」


雪風(しれぇとお出かけしたかったな)シュン


提督「ん?どうした?」


雪風「いえ!何でもありません。」


提督(明らかに残念がっていたんだが・・・?)


金剛「テートク、乙女心が分かってないネー」ヤレヤレ


提督「?」


金剛「そうデス!良いこと思い付きマシター!」


提督(なにか嫌な予感が)


金剛「会議が無くなったなら、これからの予定は空いてますネー?」


提督「ああ。無い事は無いが・・・」


金剛「なら、今から街へショッピングに出かけまショウ!」


雪風「あ、それは良い考えです!」


提督「えっ?いや、それは」


金剛「そうと決まれば早速ぅー」ガシッ


提督(決まってないっ!)


提督が戸惑っている間に雪風は金剛の背中に乗り、提督は腕を掴まれる


金剛「ユッキー、しっかり掴まってネー?」


雪風「はいです!」


提督「ちょっ!まっ、」


金剛「Let's go!!」ギュンッ


提督「おわぁぁぁぁっ!!」


提督を引っ張りながら走り出す。


元とは言え艦娘であり、高速戦艦、今でもかなりの速度と力だった。


こうして提督は半ば連れ去られる形で外出した。


外に停まっていた金剛が乗ってきた車の前に到着する。


金剛「私が運転しマース!」


雪風「私、助手席が良いです!」


金剛「ではテイトクは後ろにお願いしマース!」


提督(まったく・・・昔から変わらないな)


金剛の強引さに少し呆れながらも、懐かしさも同時に感じていた


後部座席で後ろから二人を見ていた提督は昔を思い返していた。








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陽炎型駆逐艦 八番艦 雪風



紅鎮守府所属


着任 xx年3月24日


紅鎮守府 第一艦隊が、帰還途中に正面海域にて、大破状態で浮かんでいるのを発見。


同鎮守府に治療の為保護される。


当人には記憶喪失の症状が見受けられ、所属先、負傷の経緯も敵の情報も一切不明。


当事、近海は嵐の過ぎた後であり、戦闘が行われた形跡は発見できず。


また、各鎮守府の在籍リストを照会したが、同艦が行方不明、ロストの報告無し


工作艦 明石によると、妖精曰く艤装に特別な仕様が見受けられ、本来の雪風専用艤装よりも高い戦闘力を有していた模様


治療後、身体的には完全回復したものの、記憶喪失から来る重度のパニック障害を発症。


当事紅鎮守府には陽炎、不知火など雪風の゛姉゛にあたる艦娘が未所属だった事もあり、雪風を保護した金剛型一番艦 金剛が対応。


長い月日を要したが、次第に精神面でも回復していった。


自身を献身的にサポートしてくれた金剛を他の姉妹と同じく゛お姉さま゛と慕うようになる。


安定後に紅鎮守府にて改めて聞き取りを行ったが、記憶は断片的な物しか回復せず、様々な事に対しての明確な確認は取れなかった。


ハッキリと記憶しているのは”歌”のみであった。


また、テストとして行った演習では、その戦闘力の高さと経験の豊富さ、そして他とは一味違うセンスとも言える物が確認された


保護当事装備していた艤装については、原因は不明だが明石、妖精でも修理が不可能だった為、別途専用の艤装を大本営が手配


修理不可能だった当事の艤装は現在も大本営にて保管されている。


ただ1つ、艤装システムとは無関係の壊れた双眼鏡のみ雪風が執拗な執着を見せた為、紅鎮守府 渋川提督の責任の元、雪風本人が管理。


その後、雪風自身が錨石へと供えたと報告あり。


結果、大本営は雪風を経過観察とし、紅鎮守府に所属となった。


そして今日まで武勲艦の名に恥じぬ戦果を挙げる。






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金剛型高速戦艦 一番艦 金剛


元紅鎮守府所属


着任 xx年5月18日


退役 xx年11月21日


紅鎮守府最初期から所属していた艦娘。


長門、提督と共に数々の戦場を駆け、数多くの戦功を記録する。


紅鎮守府、第一艦隊旗艦を長きに亘り務める


今も同鎮守府に所属している長門とは互いに認め、高めあう間柄であった。


次第に二人は”守護の長門”、”進撃の金剛”の異名で呼ばれる。


提督と共に、大本営からの褒賞を幾度も受けるが、それに驕る事は無く艦隊を引っ張り続けた。


実力もさる事ながら、極めて明るく前向きな性格、どんな状況にも屈しない精神力。


この二つの特徴により、姉妹達のみならず、鎮守府の誰からも慕われていた。


いつも提督、長門と共に皆を見守り、ピンチの時には持ち前の速力を活かして駆け付けた。


名実共にエースと呼ばれるにふさわしい存在であった。


数年前、特定の周期で発生する深海棲艦の大規模艦隊の迎撃作戦に参加。


その作戦の際、近隣の鎮守府を壊滅に追いやった”新種”に遭遇し、長門と共に艦隊で”新種”を迎撃


当時既に長門は改ニ、自身は改ニ丙となっていたが”新種”の撃破は困難を極め、艦隊は壊滅的な被害を受ける


艦隊の退路を確保する為、長門に艦隊を託し自身が殿を努め、一人で新種と対峙。


数十分後、長門率いる救援艦隊が戻った時には”新種”は消えており、鎮守府正面海域の小島に打ち上げられていた金剛を発見、救出する。


鎮守府に到着後すぐに高速修復剤を使用するも、効果が確認できず。


同じく入渠も効果が無く、生命の危機に瀕する。


一時、意識不明の重体となっていたが、明石の懸命な治療で一命を取り留める。


その後、意識が回復した金剛の話では、捨て身のゼロ距離砲撃が成功した所までしか記憶が無く、そこで至近距離の爆発に巻き込まれて気絶してしまったとの事。


その後”新種”の捜索が海域攻略と共に行われたが、発見には至らず。


時間は掛かったが、一般的な医療行為の末、回復した金剛だったが辛い事実が判明する。


金剛の艦娘としての力が失せており、保管されていた艤装もいつの間にか消失していた。


結果、大規模作戦は成功したが、紅鎮守府は金剛を失う事となった。


流石の金剛もこの事実にはショックを受け、しばらく傷心の日々が続いた。


それを救ったのが同じ金剛型の妹3人と雪風だった。


特に雪風は、自身を救ってくれた恩を返す為にと金剛に寄り添い続けた。


鎮守府に所属していたメンバーも全員が金剛をサポートした


提督と仲間達、妹達の想いに応え、金剛は立ち直る。


その後しばらく鎮守府を補佐し、長門に第一艦隊旗艦を託した後、正式に海軍を退役。


退役後は主に深海棲艦の被害によって孤児となってしまった子供達を引き取る孤児院を運営している。


決戦終結後 榛名は大本営に異動し現役だが、比叡、霧島はこの施設の運営に協力している。







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提督(本当、相変わらずで何よりだ。)


金剛「テイトクー?聞いていますカー?」


雪風「どうかしましたか?」


提督「ん?ああ、すまん。少し考え事をな。」


金剛「私といる時は、目を離しちゃNO!なんだからネ!」プンプン


提督「悪かった。で、何の話だ?」


その後車内では金剛の運営する施設での話で、話題が尽きなかった。


話題の中で近く、施設でパーティーがある事が分かった。


提督「そうか、色々な行事も催しているんだな。」


金剛「そうデスネー。あの子達が寂しくないように、毎月パーティをしていマース!今回は皆にプレゼントもしたいデース!」


雪風「流石金剛お姉さまですね!」


提督「それで街へ買い物か。だが、全員分となればかなりの出費だろう?」


金剛「問題ナッシング♪艦娘としてもらったお給料がたっくさんありますヨー!」


金剛「それに霧島が来てからは、上手に運営してくれてるのでとても助かってマース!」


提督「流石は艦隊の頭脳を名乗っていただけの事はあるな。昔、秘書艦をしていてくれた時も頼もしかった。」


金剛「それと比叡には毎日の炊事をお願いしてマース。」


二人「・・・・ん”?」


その言葉を聴いた提督と雪風は、とてつもなく不安になった。


鎮守府にいた頃の、比叡の料理スキルを知っているからだ。


提督「それは・・・”大丈夫”何だよな?」


雪風「心配です・・・」


金剛「もー、あの頃とは違いますヨ!今では比叡の料理は子供たちに大人気デース」


提督「そ、そうか。比叡も成長し      金剛「maybe・・・」ボソッ


雪風「お、お姉さま?今、なにか言いませんでしたか?」


金剛「い、言ってないヨー?」メヲソラシ


提督(・・・今度間宮さんに見に行ってもらおう)





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しばらく車を走らせ、街に到着した三人。


金剛「さーて!早速shoppingを始めまショー!」


金剛「二人とも、付いてきてくださいネー!」


雪風「はい!お供します!」


そう言って二人は物凄い速さで行動を始める


提督「速っ!ちょっと待ってくれ!」ダッ


提督(元とは言え、さすがは高速戦艦!全く追いつけん・・・)


最初の店で男の子向けのプレゼントを選んでいく金剛を見て提督はある提案をする。


提督「金剛。今回のプレゼント代は俺が出そう。」


金剛「? そんなつもりありませんヨ?」


提督「いや、俺がそうしたいんだ。」


雪風「しれぇ。太い腹ですね!」


提督「それを言うなら、太っ腹だ。」


金剛「サンキュー!流石私の旦那様デース!」ダキッ


雪風「ああ、ずるいです!私も」ダキッ


提督「二人とも落ち着け・・・」


金剛「子供にも私の旦那様からって事にしておきマース!」


提督「やめんかい」


そんな状態で5件ほど店を回った頃には、提督の体力が限界を迎えかけていた。


雪風「だ、大丈夫ですか?」


金剛「お疲れデスカー?なら、あのベンチで休んでてくださネー。」


提督「あ、ああ。そうさせてもらう・・・」ゼエゼエ


提督「荷物を見張っておくよ。」


提督は、前が見えないほどに積みあげた買い物の品を持ちながら、ベンチに向かって歩き出す。


積み上げた荷物のせいで。提督にはベンチ前の地面の陥没が見えなかった。


雪風「あっ!」


金剛「提督ー!足元注意デース!」


提督「えっ、おわっ!」バサッ!


陥没に足をとられ、バランスを崩した提督は転倒こそしなかったが、両手で持っていた荷物を盛大に空中にぶちまけてしまった。


提督「しまった!!」


金剛「NOooooo!!テートクに買ってもらった、子供達へのプレゼントがっ!」ダッ


雪風「受け止めないと!」ダッ


雪風と金剛は提督に向かって走り出した。


提督も落下し始めた荷物を受け止めようとする。


何とか半分を三人で受け止めることができたが、残りの半分は全員が間に合わない場所に飛んでいた。


間に合わないかと思われたその時。


荷物の落下地点にある人物が現れる。


その人物は残りの荷物を華麗に受け止めた。


パッパッパッ、パシッ


白瀬「ふう、間に合った。」


提督「あ、貴女は」


雪風「白瀬さん!」


金剛「excellent!サンキューデース!!」


白瀬「いえ、どういたしまして。」


提督「助かりました。荷物はこっちにもらいます。」


白瀬「はい。」


白瀬は提督が座るはずだったベンチに荷物を置く


すると雪風が白瀬に抱きついた。


雪風「こんにちは!白瀬さん」


白瀬「元気そうだね。雪風ちゃん。」


金剛「テートクー、この方とお知り合いですカー?」


提督「ああ。少し前に世話になったんだ」


白瀬「いえ、お世話になったのは私の方です。」


金剛「そうでしたカー!私は金剛デース!紅鎮守府に所属していた元艦娘デース。よろしくお願いしマース!」


金剛は白瀬に向かって手を出す


白瀬「私は白瀬と申します。こちらこそよろしくお願いします、金剛さん。」


白瀬もそれに応え手を握る。


金剛「さっきのプレゼントのお礼もかねて今からランチでもどうでしょうカ?是非ご馳走させてくだサーイ!」


白瀬「え、そこまでして頂かなくても・・・」


白瀬(それに了戒を探さないと)


白瀬は了戒を探しに街まで来ていたようだ


金剛「まーまー、そう言わずにー」ガシッ


白瀬「えっ」


白瀬はすでに金剛に腕を掴まれていた。


金剛「テートク、ユッキー、follow me!!!」ギュン


白瀬「ちょ、ちょっとおぉぉぉぉぉ」


白瀬(とんでもなく速い!)


提督「またかよ!?せめてどこに行くか教えてからいってくれ!」ダッ


雪風「こっちです、しれぇ!」


雪風と二人で荷物を持ち、先に行ってしまった二人を提督と雪風が追いかけていった。










-海軍大本営 資料室-






白瀬の依頼を受けた三笠は久方ぶりに大本営を訪れ、資料室で過去の記録を探っていた。


白瀬が地図に記載した場所。


その記録を辿ると年月日には違いがあるが、全ての場所に共通する点が見受けられた。


三笠「これは・・・」


三笠(偶然にしては出来過ぎている!なら、あの了戒という者の狙いは、島の封印か!?)


三笠「間に合えば良いがっ!」








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金剛が入った店はビルの上層階にあるレストランだった。


白瀬「本当に良いんですか?」


金剛「もちろんデース!何でも好きなものを注文してくだサーイ!」


雪風「金剛お姉さまは一度言い出したら聞かないんです。」


提督「ああ。金剛もこう言ってるんで、遠慮しないでください。」


白瀬「分かりました。ではお言葉に甘えて。」


白瀬は、しきりに周りを見渡していた。


白瀬(近くに了戒の気配を感じる。この辺りにいるのは間違いない)


その時だった。


誰かが白瀬の肩を叩いた


了戒「浮かない顔しているな?楽しい食事だろ?」


白瀬「な!?貴女っ」ガタッ


白瀬の肩を叩いたのは了戒だった。


白瀬が立ち上がり了戒に詰め寄るが、白瀬の対面に座っていた雪風が了戒を見て反応する。


雪風「あ!貴女はあの時の!」


白瀬「えっ?」


提督「雪風、知り合いなのか?」


雪風「はい!磯風のパーティーの時に、私の不注意で服を汚してしまった方です。」


了戒「ああ、また会ったな。」


雪風「あの時はすいませんでした。」


提督「そんなことがあったのか。」


金剛「白瀬さんも知っているんですカー?」


白瀬「えっ、まあ・・・」


金剛「でしたらぁ、貴女も座ってくだサーイ!ご馳走しマース!」


了戒「は?」グイッ


金剛「私は椅子をもらって来ますネー。」


金剛は自分が座っていた椅子に了戒を座らせ、席を離れていった。


一瞬の出来事に了戒はあっけに取られていたが、白瀬は了戒を連れ出す。


白瀬「ちょっとこっちに!」グイッ


雪風「白瀬さん?」


提督「なんだ??どうしたんだ?」


白瀬は了戒を窓際の空いた席に連れて行き、問い詰める。


白瀬「一体どういうつもり?今度は何を」


了戒「おいおい、ずいぶん乱暴だな?」


白瀬(あの時ホテルで既に雪風さんに接触していたなんて。)ギリッ


白瀬「雪風さんにまで接触して・・・あの時の雪風さんの異変は貴女が!?」


了戒「・・・随分な言いがかりだな。あの小娘には、なにもしていない。」


一触即発の空気の中二人を探しに来た金剛が乱入する。


金剛「HEY、二人ともー?そこでなにしてるんデース?」


白瀬「金剛さん・・・」


了戒「チッ・・・」


了戒と白瀬の入りがたい雰囲気の間に平然と入ってくる金剛。


金剛は二人が話していた窓から見える景色に歓喜する。


金剛「oh!!ここから見える景色はbeautifulネー!」


金剛「だから二人とも、こっちを見てー」スッ


了戒&白瀬「・・・?」


金剛は二人を窓際に立たせ、ポケットから取り出したカメラで撮影する。


金剛「はい、butter!」カシャッ


金剛「うん!絶景に映える美女三人、デスネ!」フンス


了戒(なんなんだコイツ・・・)


白瀬(物凄いマイペースな人だなぁ)


金剛「席の準備はOKデース。私は先に戻ってマスネー」


そう言って金剛は席に戻って行く


残された二人は、完全に金剛のペースに飲まれ、少しの間呆然としていた。


先に白瀬が口を開く


白瀬「・・・で、何?」


了戒「あ?ああ・・・」


了戒「・・・今日はお前に礼をな。」


白瀬「礼・・・?」


了戒は上着の内ポケットからカードを数枚取り出した。


了戒「これだ・・・」ニヤッ


不敵な笑みを浮かべながら取り出したカード


そこには白瀬が今まで倒してきた”禍駆逐災姫”、”禍集積地災姫”、”禍戦艦水鬼-壊-”


そして ”禍中枢災姫” の4枚だった。


了戒は4枚をテーブルに横並びにおいていく


白瀬(禍中枢災姫っ!!)


了戒「”コレ”以外は全部お前がこっちで倒した奴らだ。」


了戒「この3枚をカードにする機会をお前は作ってくれたんだからな。」


了戒は更に禍中枢災姫のカードを持ちながら笑う。


白瀬「禍中枢災姫を甦らせるつもりなの!?」


了戒「いや?そうじゃない」


了戒「”コレ”は言わば私達の世界の特異点だった。まあ、お前の言うとおり、一度復活を試したが出来なかった。」


了戒「だが、力はまだ残っている。コレを解放する為に大いに役に立ってくれたよ」フフッ


了戒は更に内ポケットから一枚カードを取り出した。


了戒「久しぶりの、”再会”だ。」スッ


白瀬「っ!」


白瀬の表情が、先程よりも一層険しくなる


白瀬「リコリス・・・災姫!?」


了戒「どうだ?あの時の姿のままだろう?」


白瀬「・・・」


了戒「コイツを探すのには苦労した。まさか他の奴らと一緒にあの石碑にいるなんて思わなかったからな。」


了戒「だが、結果的に全てお前がやってくれた。その礼だ。」ククッ


白瀬「ふざけた事をっ!」ガシッ


了戒の胸倉を掴む


だが、それと同時に白瀬の通信機から音がする。


三笠<こちら三笠、応答を!>


白瀬(み、三笠様?)


了戒「どうした?出なくて良いのか?」


白瀬「っ、」バッ


白瀬は手を離し、通信に出る。


白瀬「はい、白瀬です!」


三笠<頼まれていた件についてだ>


白瀬「どうでしたか?」


三笠<結論から言えば、状況は最悪の可能性が高い。もうあまり時間が無い。>


白瀬「ど、どういうことですか?」


三笠<大きな災いが近づいている。今朝話をしたあの島に向かってくれ!私もすぐに向かう!>


白瀬「大きな災い・・・」


三笠<とにかく急いでくれ!手遅れになる前に!>


白瀬「わ、わかりました!」


隣で通信を聞いていた了戒は少し不機嫌そうにしている。


了戒「チッ、それを今から私が説明しようと思ったんだがな・・・」フッ


白瀬「!」バッ


通信内容に気を取られていた白瀬が再び了戒に目を向けたが、既に了戒は姿を消していた。


白瀬「しまった・・・」


通信を終えると周りが騒がしいことに気がついた


食事をしていた客が、しきりに窓から同じ方角を見ていた。




「あれ、なんだろう?」


「あの一帯だけに真っ黒な雲がかかってるな」


「変な天気ね、何も起こらなければ良いけど」





それと同時に提督にも鎮守府から連絡が入っていた。


提督「なに?あの島に異変が!?」


長門<それと同時に複数の敵影が確認された。今からこれらの迎撃に出撃する!>


提督「わかった。俺達もすぐに戻る。だが絶対に無理はするなよ!」ピッ


金剛「・・・非常事態ですカー?」


提督「ああ。すまないが、急いで戻らなきゃならない」


金剛「折角のランチタイムですが、それなら仕方ないですネー。」


雪風「残念です。」


金剛「落ち込む必要は無いですヨ?また一緒に来まショウ!」ポン


金剛は残念そうにしている雪風の頭に手を置く。


雪風「はい!」


金剛「OK! 鎮守府まで送りマース!」


提督「すまん、助かる!」


雪風「そう言えば、白瀬さん達は?」


白瀬「すいません皆さん。お待たせして。」


金剛「アレ?お友達はどうしまシター?」


白瀬「えっと、急用が出来てしまって」


提督「実はこっちもなんです。急いで鎮守府に戻らなければならなくなりまして。」


白瀬「そうでしたか・・・」


白瀬(なにかあったんだ。私も急ごう!)


金剛「残念ですが、親睦を深めるのはまたの機会になりそうですネー。」


提督「すいませんが、私達はここで失礼します。」


白瀬「分かりました」


提督が白瀬に別れを言った後、雪風は白瀬を見て何故か不安を感じていた


雪風「・・・」


その雪風の視線に白瀬は気が付いた。


白瀬「雪風さん?」


雪風(なんで・・・?白瀬さんが・・・とても、遠くに感じるような気が)


白瀬は雪風と同じ目線に屈み手を握る


白瀬「大丈夫ですか?」


雪風「あ、・・・はい、あの・・・白瀬さん」


白瀬「はい?」




雪風「気をつけて、ください」




白瀬「雪風さん・・・?」


雪風「あ、すいません!変な事を言って・・・」


白瀬「いえ、大丈夫ですよ。ありがとうございます」


その様子を見て金剛は何かを感じていた。


金剛(なにか、特別なものを感じるのデスネ・・・)


提督「さあ、急ごう!既に敵が出現している。」


金剛「OK!白瀬さん、また会いまショー!」


白瀬「はい、皆さんもお気をつけて。」


三人を見送った白瀬は直ぐに走り出す。


白瀬(急ごう。多分、了戒もあの島に!)







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ビルから見えた黒い雲は鎮守府正面の小島の真上にかかっていた。


雲が現れるのと呼応するように何処からとも無く深海棲艦が出現していた。


紅鎮守府のメンバーはこれに対応する為に、長門の指揮のもと出撃していた。


隼鷹「まったく、突然現れてくれてさ!艦載機、いくよ!」


北上「同感だねぇ。しかもこの数、どっから来てんのさ?」バシュッ


葛城「今はとにかく数を減らしましょう!潮ちゃん、援護お願い!」


潮「はいっ!」ガシャッ


敵の質は大したことが無かったが、数が多い。


この正面海域では考えられない敵の数だった。


響(一体何が・・・。白瀬さんに何かあったんだろうか?)


視野が狭くなっていた響を敵の砲撃が襲う。


青葉「響さん!危ない!!」


響「しまっ」


ガキンッ


長門「眼前の敵に集中しろ!お前らしくないぞ!」ドンッ!


響「す、すまない。」


砲撃と響の間に長門が割って入り、砲弾を拳で弾く。


長門「各員、奮戦せよ!すぐに提督と雪風も戻る!」


長門が檄を飛ばし、艦隊を指揮する。


統率の取れた陣形と連携のおかげで、15分ほどで敵を殲滅することができた。


長門「葛城、隼鷹、どうだ?」


隼鷹「いないね。」


葛城「先程のが最後のようです。」


響「ソナーにも反応無しだ」


長門「よし、みんなは一旦補給に戻ってくれ。」


青葉「長門さんは?」


長門「私は万が一の為に残って警戒しておく。」


潮「一人では危険です」


響「そうだよ。私も残る。長門さんのおかげで被弾していない。」


長門「被弾は無くとも、お前達は弾薬も燃料も少なくなってきている。」


長門「提督が戻ってくるまでに体制を整えておくんだ。心配するな。」


葛城「分かりました。二人とも、行こう。」

 

潮「はい。分かりました。」


響「・・・」


皆を見送った長門は島を見て警戒を続けていた。


長門(先日からの異変といい、あの雲といい・・・。)





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-鎮守府 出撃ドック-


明石「怪我がある人は私に見せてくださーい。」


大淀「被弾の無い方は、補給を速やかに済ませてください!」


大淀「出来次第、長門さんに再度合流をお願いします。」


響(以前もあの黒い雲からは異様な気配を感じた。そしてあの黒い雪風が現れた・・・)


響「急ごう・・・」


青葉「そうですね、長門さんとは言え、一人じゃ危険ですから」


青葉(ここのところ異変続きだ・・・。白瀬さん、大丈夫かな・・・)




-正面海域 小島 祠周辺-


長門が一人で警戒している時と同時刻。


島には白瀬が到着していた。


白瀬(三笠様が言うには、祠と鳥居があるはず。)


白瀬「見つけた!」


鳥居を発見し、白瀬は近づいていく。


鳥居には了戒がもたれ掛っていた。


了戒「・・・遅ぇよ。」


あの後、すぐにこの島に移動していたであろう了戒は不満を口にする。


白瀬「裏でコソコソ動いていたかと思えば、挑発しに表に出てきたり」


了戒「あ?」


白瀬「ご苦労なことよ。」


了戒は白瀬の目を見る。


白瀬「何よ。」


了戒「もうこちらから引く事は無い。」


白瀬「だから?」


了戒「お前と戦り合うのも、これが最後だろうな」ダッ


了戒の姿が深海棲艦の姿に変わり、白瀬に向かって走り出した。


走りながら了戒は光弾を放つ。


白瀬「!」バシッ


光弾を手で弾き、距離が詰まった了戒と肉弾戦を開始する。


了戒「ハッ!」ブン


了戒が拳で白瀬を狙う


白瀬「ふっ!せやっ!」ガシッ


拳をかわした白瀬は腕を掴み、腹部へ一撃を入れる


了戒「グッ・・・フッ!」ガッ


一撃をもらったが怯まず白瀬の顔面に一発決める。


白瀬は避けずにあえて額で拳を受けにいった。


白瀬「くっ、せいっ!!」ブンッ


一撃をもらってもなお放さなかった腕を引き了戒を投げ飛ばす。


了戒「・・・」ザンッ


投げ飛ばさた了戒は空中で体勢を立て直し、着地する。


二人の間に距離が開く。


了戒はダークリングを取り出し、祠の前に立つ。


了戒「フン。」スッ


そこへ三笠が現れる


白瀬「三笠様!」


三笠「!!」


了戒の企みを察した三笠は白瀬に叫ぶ。


三笠「駄目だ!すぐに止めさせるんだ!」


了戒「もう遅い!」


白瀬「!」


了戒「蘇れ・・・。全てを破滅へと導く存在!」ギュインッ


了戒はダークリングにリコリス以外の4枚のカードを一度にリードする。


カードはそれぞれ色違いの光の玉となり祠の周りを浮遊し始めた。


三笠「まずいっ!」ダッ


三笠は祠に向かって走り、光の玉を止めようとする。


だが次の瞬間、上空の雲から紅い稲妻が落ち、三笠は吹き飛ばされてしまった。


そして、落雷と同時に祠の下から蠢く肉塊が出現した


白瀬「三笠様っ!」


肉塊はまるで呼吸をするように動いている。


その中心には光り輝くカードがあり、力を塞き止めていた


了戒「フン」スッ


了戒はリコリス災姫のカードを取り出しリードする。


リードされたカードは封印のカードに向かって一直線に飛んで行き衝突する。


リコリス災姫(フフフッ)


(!!!)パリンッ


二つのカードは衝突と同時に粉々に砕け散ってしまった。


カードが砕けるのと同時に塊は膨張し、ついには大きな爆発を起こした。


白瀬「ぐっ!!」


爆発の風圧で白瀬が目を放した。


再び目を向けたとき、塊は消えていた。


代わりにその場に現れたのは・・・


了戒「これが災姫!禍レ級だっ!!!」


禍レ級「キシシシシシシシシシッ?!!!」バンッ


既存のレ級とは違い、少女のような外見は残っているものの、頭部には赤く光る角がり、その体からは禍々しさが目立った。


了戒と白瀬には目もくれず、鎮守府の方向に禍レ級は跳んで行った


すぐに追いかけようとする白瀬の前に了戒が立ち塞がる


白瀬「何を!?」


了戒「は?」


白瀬「私と戦わせるためにあれを蘇らせたんじゃ!?」


了戒「落ち着けよ。お前は落ち着けるはずだ。」ククッ


白瀬「これが、落ち着いていられるかっ!」


了戒「余興だ。まあ、どっちが余興かはお前次第だが。」


白瀬「っ、貴女の目的は私でしょう!?だったら関係ない人達を巻き込むなっ!!」ブンッ


了戒「なら、早く私を倒したらどうだ?関係ない人間共が死ぬ前にな」


白瀬「くっ・・・!」





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禍レ級は海に着水する


着水地点には先程から島の異変を感じていた長門がいた


禍レ級「レ?」


長門「貴様は・・・!!あの時の!」


長門の脳裏に浮かぶ過去の光景


過去に金剛を退役に追いやった元凶、あの”新種”が再び自分の前に現れた。


長門「私の前に現れたからには、容赦はせんぞっ!!」ガシャッ


すぐさま禍レ級に対して砲撃を開始する。


砲撃は禍レ級に命中し、爆発が起こる


続けて砲撃をしつつ禍レ級に恐れることなく接近する


至近距離まで接近した長門は得意の格闘攻撃を使う


長門「はっ!!」ドゴッ


長門の蹴りが禍レ級の頭部を捉える。


禍レ級「・・・・」


長門「・・・!?」


即座に離れて主砲を放つ


砲撃は命中し更に爆発が起こる


長門「手応えありだ!」


爆発の煙が晴れて行き禍レ級の姿が見えてくる。


禍レ級「レレ」パッパッ


長門「なん・・・だと!?」


禍レ級はまるで何事も無かったかのように爆発の煤を払っている。


最大錬度、最上級の装備、改二・・・その長門の攻撃がまるで通用していないようだった。


禍レ級「レ」スッ


自身の攻撃に効果が確認できず動揺する長門を他所に右手を突き出す。


長門(なんだ!?)


禍レ級「キシュシュシュシュ!!!」バチバチバチッ


次の瞬間突き出した右手から迅雷が放たれる。


長門「ぐああああぁぁぁっ!!!」バチバチバチバチッ


長門「で、電撃・・・だと!?」ガクッ


予想外の攻撃に直撃を食らった長門は身動きが取れなくなってしまった。


禍レ級は攻撃を楽しむかのように、迅雷を鎮守府にも放つ


長門「やめろっ!!」バッ


痺れる体を無理矢理立ち上がらせ、禍レ級の腕を弾く。


長門(皆へ知らせなければっ!!)


標準をずらす事が出来たが、放たれた迅雷は幾つかに枝分かれし、鎮守府に命中する。


出撃ドックでは補給を終えた鎮守府メンバーが再出撃に移ろうとしていた


そこへ突如長門から通信が入る


長門<皆!対ショック体勢をとれ!>


大淀「長門さん!?」


明石「え!?」



バチッ!!!




「うわぁぁぁあああぁぁっ!!!」




禍レ級「キシッキシッ♪」


長門(鎮守府が!)


長門「き、貴様ぁぁっ!!」グッ


長門は立ち上がり、再び構える


先程の攻撃で出撃ドックは建物が半壊していた。


だが、長門の通信によって間一髪警戒できたメンバーは被害を最小限で抑えることができた。


響「一体なんだ・・・!?」


大淀「皆さん! 無事ですか!?」


明石「痛たたた・・・、滑り込んだから壁に激突してしまった・・・」


隼鷹は反応の遅れた潮をカバーしていた。


潮「ありがとうございます。隼鷹さん」


隼鷹「いいって事よ。」


北上「私だけ瓦礫よけ損ねた。」タンコブ


葛城「だ、大丈夫?」


大淀「とにかくここにいては危険です。一旦外に出ましょう」


明石「そうだね・・・ん?」


明石の視線の先には先程の攻撃が命中した場所からあがる煙が見えた。


響「どうしたんだい?」


明石「煙が上がってるんだけど・・・」


北上「そりゃあがるでしょ」


隼鷹(・・・なんか嫌な感じがするねぇ)


次の瞬間、煙はまるで意思を持つかのようにその場にいた全員に纏わりついた。


潮「きゃぁぁぁ!」


葛城「潮ちゃん!うわっ!」ダッ


大淀「ぐ、げほげほっ」


響「煙が、動くなんて!」


隼鷹「ちくしょう!なんなのさ!」バッ


隼鷹は皆に纏わりつく煙を払おうとする。


だが一向に散る気配が無い


北上「やば・・・なんか足に力が入んない?」ガクッ


煙の正体は、禍レ級の攻撃の副産物であり、着弾点から発生する”瘴気”だった。


瘴気は触れたものの力を奪う効果があった。


そして・・・


大淀(まずい!皆動けなくなってしまうなんて・・・)


明石「大淀!皆の艤装が!」


大淀「え!?」


響「ぎ、艤装が」


潮「どんどん錆付いていきます!」ギシギシ


葛城「私の艤装もよ!」


隼鷹「さっきの煙の仕業に間違いないようだね・・・」ガクッ


一人立っていた隼鷹も膝が落ちてしまう。


大淀(一体どうすれば・・・提督!)


その場から全員が動けなくなってしまった。


長門(皆!!)


禍レ級に攻撃を続けていた長門が半壊した建物から見えるメンバーの異変に気がつく。


その視線に禍レ級も鎮守府の方角見る。


禍レ級「レッレ♪」ガシャッ


禍レ級は不気味に笑いながら砲門を鎮守府に向ける。


長門「貴様っまさか!」


禍レ級「♪」ニヤッ


長門「やめろぉぉぉぉっ!!!」バッ


長門は禍レ級の砲撃の斜線上に割って入り、砲撃を受け止めた。


長門「ぐっ!!!」バシャッ


砲撃を防御体勢で受け止めた長門だったが、その衝撃で右手の指輪が破壊されてしまった。


長門(くっ・・・すまない、陸奥・・・!)


禍レ級「!」


長門「これ以上、鎮守府に手出しはさせん!」バッ


長門は鎮守府を背に、禍レ級の正面に立ち塞がる。


長門「大切な人を守る為!ここから一歩も通さんっ!」


禍レ級「レ」ドンッ


長門「ぐあっ!」ドガァァンッ


大淀「長門さん!!」


長門「・・・どれだけ撃たれようがっ、ここから一歩も下がらん!」ググッ


禍レ級「キシュッ♪!」ガシャッ


禍レ級「何発デ沈ムカナ♪ 」


禍レ級は新しい遊びを見つけたかのように楽しげに長門に向かって砲撃を開始した




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金剛「鎮守府が!」


提督「なんて事だ・・・!」


雪風「み、皆は無事なんでしょうか!?」


金剛「!」


???(こっちだ)


金剛(え?)


???(早く!)


金剛「・・・二人とも!こっちデース!」


提督「分かるのか!?皆の場所が!」


提督「わかった!」ダッ


三人はすぐさま出撃ドックに向かった。


半壊したドックには瘴気の影響で倒れた皆の姿があった。


提督「皆!」


大淀「て、提督・・・」


雪風「しっかりしてください!」


全員に纏わりついていた瘴気は、今度は提督たちに向かってきた。


提督「なんだ!?」


青葉「危ないっ!避けてください!」


金剛「テイトク!!」バッ


瘴気に飲まれそうになった提督を金剛が庇う。


雪風「金剛お姉さま!」


金剛が瘴気に飲まれる。


だが次の瞬間


ピカッ!!


瘴気は金剛に触れた瞬間、光を発し消し飛んだ。


金剛「Oh・・・」


提督「い、今の光は・・・一体?」


金剛(もしかして)


金剛は瘴気に飲まれている全員に手を触れていく。


金剛が触れた瞬間、全員に纏わり付いていた瘴気が消え去った。


金剛「二人とも!皆をお願いしマース!」


あっけに取られていた提督と雪風が金剛の声で我に帰る。


提督「!そうだな!皆しっかりしろ!」


三人は手分けして全員に肩を貸す


雪風「二人ともしっかり!」


響「雪風・・・」


潮「だ、大丈夫だよ」


金剛「動けないのですカ!?」


葛城「そうなんです・・・。」


提督「詳しい説明は後で聞く!崩れかかったここに居ては危険だ!」


全員を建物外に運び出し、提督は長門が居ないことに気がついた。


提督「長門はどうしたんだ?」


大淀「長門さんは・・・正面海域で、一人で敵と・・・」


金剛「Whattttt!!??」


提督「なんだって!?」


提督(さっき見えた戦闘は長門一人だったのか!くそっ!)


提督はすぐさま正面海域を確認する。


遠方には敵の攻撃に耐える長門がいた。


雪風「しれぇ!わたし、助けに行きます!」


提督「っ、頼む!だが、救出を優先するように!」


明石「それは・・・出来ないの」


明石が口を開く


雪風「どうしてですか!?私は動けますっ!」


明石「違うの・・・艤装が、錆びて」


提督「何だと!?」


大淀「先程の煙が原因かと、思われます」


明石「纏わり付かれた瞬間、皆の艤装が錆びていってしまって・・・。その煙は保管されていた雪風さんの艤装や、他の装備にも纏わりついていました。」


提督「くっ、大本営の救援を待つしかないのか!?」


金剛「テイトク!あれを見てくだサイ!」


提督が再び海域に目を向けた先には





禍レ級の前に立つ、あの正体不明の艦娘がいた。






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了戒「どうした?お得意の融合でもしたらどうだ?」


白瀬「・・・」




ドガァァァァンンンッ!!!!




白瀬「!!」


次の瞬間大きな爆発音がする。


それは鎮守府を守る長門に対する禍レ級の砲撃だった。


了戒「あーあ。死んでしまうな。」


了戒「いいのか?このまま」


白瀬「・・・どけ・・・」


了戒「あ・・・?」


白瀬「そこをっ、どけええぇぇぇぇっ!!!」ドガッ


白瀬は了戒を強襲した。


了戒「グッ」ドサッ


白瀬はそのまま禍レ級に向かって行った。


吹き飛ばされた了戒は起き上がる。


了戒「フン・・・」







白瀬(長門さん、すぐに助けます!)バッ


白瀬は海岸に到着するとすぐさまフュージョンリングを取り出し、発動する。






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白瀬「吹雪さん!」スッ


フュージョンリングに吹雪のカードをリードする


〔特型駆逐艦 吹雪!〕



吹雪(はいっ!)



白瀬「暁さん!」スッ



〔特型駆逐艦 暁!〕



暁(任せて!)



白瀬「特型駆逐艦の力、お借りします!」ギュインッ



〔フュージョンアップ!!〕



〔特型駆逐艦 白瀬 ブリザードフラッシュ!〕




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白瀬「はああぁぁっ!!」


ドンドンッ!!


白瀬は禍レ級に主砲を放つ


カンカンッ


放った弾丸は禍レ級の頭部に命中する


禍レ級「レ?」ポリポリ


だが禍レ級は何事も無かったかのように弾丸が命中した部分を掻いている


白瀬(やっぱり装甲を破れない・・・とにかく注意をこっちに向けないと!)ギュンッ


長門(うっ・・・だ、誰・・・だ)


禍レ級の攻撃を受け続けていた長門はその場で立ったまま気を失ってしまった。


禍レ級は気を失った長門に興味をなくし白瀬に向かって行った。


まるで遊び相手を見つけた子供のように楽しげに


禍レ級「キシシシシッ!!」


白瀬は向かってくる禍レ級に対して魚雷発射体勢を取る。


白瀬(このまますれ違い様に撃ち込んでやる!)


禍レ級「キッ!」バチッ


白瀬「なっ!!」


禍レ級の角から放たれた迅雷が白瀬を捕らえた。


白瀬「ぐあっ!」バチバチバチッ


禍レ級は容赦なく迅雷の出力を上げる


耐えていたが、耐え切れず体が浮いてしまい、そのまま吹き飛ばされ海面に叩き付けられた。


白瀬(くっ・・・ノーモーションで撃ってくるなんて!)バシャッ


吹き飛ばされ、距離が開いたが、禍レ級はまだ白瀬に向かってくる。


白瀬「だったら、これをっ!!」スッ


両手の軌跡が十字を描く。


軌跡の中心に光が集まる


白瀬「はあっ!!」ドンッ


最大出力で放たれたの光弾は禍レ級の胸部に命中した。


着弾した禍レ級から煙が上がる




禍レ級「レイッ!!」


白瀬「なっ!?」


禍レ級は何事も無かったかのように煙の中から現れ、白瀬に重い一撃を加える


ドゴッ!!


白瀬「ぐふっ」ガシッ


一撃を受け膝が落ちた白瀬の首を掴む。


グググググッ


白瀬「がっ、うぅ・・!」ガッ


締め上げる禍レ級の腕を掴み、拘束を解こうとするがまったく離れない


禍レ級「キシシュッ!!」ブンッ


探照灯による目くらましをしようとしたが、それを察知した禍レ級は白瀬を海面に投げ飛ばす。


白瀬「ぐあっ」バシャッ


強烈に投げ飛ばされた白瀬は海面に数回打ち付けられながら転がっていく。


白瀬「!」バッ


白瀬が体勢を立て直し、視線を上げた瞬間、禍レ級がこちらに砲を向けているのが見えた。


禍レ級「♪」ドンッ


白瀬(回避は間に合わない!)


白瀬「フリージングシールドッ!!」バッ


瞬時に氷のシールドを作り、弾丸を受け止める。


シールドに接触後も弾丸は止まらず、シールドを穿とうとする。


禍レ級「♪♪」ニヤッ


白瀬「はっ!?」


白瀬は視線を下に向ける


そこには自分が投げ飛ばされた時に既に発射されていた魚雷が見えた。


白瀬「っーーーー!!」ドガァァァンッ!!


砲撃と魚雷の着弾により起きた硝煙の中から白瀬が出てくる


ボフッ


白瀬「く・・・、なんて、攻撃を・・・」中破


動揺する白瀬の後ろから声がする


禍レ級「キシュッ、オマエ、キシュ」


白瀬「なっ!?いつの間に!?」


禍レ級「レ、ウマソウ、♪」ビュン


禍レ級は自身の尾を白瀬に向ける


白瀬(しまった!)ガクッ


動きの鈍った白瀬の足に、尾の先端の口が噛み付く。


白瀬「ぐ、ぐあああぁっ!」ギュウウゥゥッ


白瀬(なにかっ、吸われてる!?)


噛み付いた尾は、白瀬から力の根源を吸い取る。


白瀬「・・・離、せぇっ!!」ガシャッ


白瀬は足に装備している魚雷を全弾発射する。


吸収するのに夢中の禍レ級は背を向けており、魚雷はすべて命中した。


禍レ級「キ!」パッ


攻撃が通ったと言うよりは、”爆発に驚いた”といった反応だったが、禍レ級の尾は足から離れた。


同時に拘束から逃れた白瀬はすぐさま次のカードを切る


白瀬(二人に、これ以上損傷はさせられない)バッ



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白瀬「嵐さん!」スッ



〔駆逐艦 嵐!〕



嵐(さぁ、嵐巻き起こそうぜ!)



白瀬「天龍さん!」スッ



〔軽巡 天龍!〕



天龍〔うっしゃぁぁぁぁ!!〕



白瀬「キレのいいヤツ、頼みますっ!!」



ギュインッ!



〔フュージョンアップ!!〕



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禍レ級「?」




〔高速巡洋艦 白瀬 ハリケーンスラッシュ!〕




白瀬「光を超えて、闇を斬る!」スチャッ


白瀬はすぐさま斬艦刀で、禍レ級に斬りかかる


禍レ級「レ!」サッ


白瀬「せいっ!」ブンッ


禍レ級「レ♪」ヒョイ


白瀬は斬撃を繰り出すが、禍レ級に簡単に回避されてしまう。


白瀬(ならっ!)


禍レ級は斬撃の回避直後に至近距離にもかかわらず砲撃を繰り出す。


白瀬「ここだっ!」フッ


その砲撃に対して白瀬は瞬間移動を発動する


禍レ級「レ?」


突然目の前から消えた事に禍レ級は首をかしげる


直後、白瀬は禍レ級の背後に現れ、渾身の力で艤装刀を振る


白瀬(くらえっ!光刃閃!!)ブンッ


だが


ガシッ!


白瀬「なっ!?」ググッ


禍レ級は白瀬の放つ渾身の斬撃を素手で受け止めた。


背後からの一撃に対し、禍レ級はこちらを見ずに正確に刀身を捕まえた。


白瀬(見もせずに!?)ググッ


禍レ級がゆっくりと振り向く


禍レ級「・・・・」ニコォ


白瀬「!!!」ゾクッ


その顔からは想像も出来ない不気味な笑顔を白瀬に向ける。


開いた口は耳元まで裂けているかのようだった。


禍レ級「キシュシュッ!」ガンッ


禍レ級は振り向きざまに、もう片方の腕で刀身を叩き落とす。


白瀬「っ!!」ビリッ


しっかりと握っていたが、力負けをした白瀬の手から刀がはたき落とされた。


次の瞬間、禍レ級の手が赤黒い光を帯びる


禍レ級「レ、トンデイケ、レ」ブンッ


白瀬(この攻撃はまずいっ!!!瞬間移動を!!)


次の攻撃の危険度を察知した白瀬は瞬間移動をしようとするが、禍レ級の尾が足に噛み付く。


白瀬「!」ガクン


噛み付かれたことで動作が一瞬遅れてしまった。


白瀬「しまっ」ドゴォォッッ!!!!


禍レ級の拳は白瀬のわき腹にめり込んだ


白瀬「っ・・・、がっふっ・・・」メキメキメキ 


直撃を受け、海岸近くの防波堤まで吹き飛ばされ、ろくに受身も取れずに防波堤に衝突する。


白瀬「がはぁっ!!」ドゴォッ!!


禍レ級「~♪」ピョンピョン


禍レ級は白瀬を殴り飛ばした飛距離に満足しているのか、その場で飛び跳ねていた。


白瀬「ぐっ、ごふっ、」ググッ


白瀬(こ、ここまで、一方的に・・・)フラッ


何とか立ち上がった白瀬だったが損傷は大きく、ふら付いてしまう


白瀬の融合が解けかかり、ふらつく天龍と嵐が浮かび上がる。


天龍(くっ、あんの野郎ぉ・・・)


嵐(なんてヤツだ・・・)


白瀬「まだっ・・・」大破


天龍(嵐・・・)


嵐(ああ、覚悟は決まってるぜ)


白瀬(お二方・・・何を?)


天龍(・・・死ぬんじゃねえぞ)


嵐(・・・傷は、俺達が持っていくぜ)


白瀬(そんな!そんなことをしたら!!)


白瀬の体が光を放ち、弾ける


シュウウゥゥゥゥッ、パンッ!!


白瀬「うっ!」バシャッ


二人によって強制的にハリケーンスラッシュのフュージョンが解除されてしまう


白瀬「はっ!」バッ


白瀬はすぐに二人のカードを確認する。


天龍と嵐のカードは大破状態になっていた。


代わりに自分の傷はほとんど無くなっていた


白瀬(私の傷を・・・)ギリッ


ドガァァァンンッ!!!!


白瀬「!!」


爆発は禍レ級の街に向けた砲撃だった。


白瀬「うおおおおぉぉおおっ!!!」バッ


白瀬(これ以上、好きにはさせない!!)




〔フュージョンアップ!!!〕




〔航空戦艦 白瀬 フェニックス マイト!〕



白瀬「はああああぁぁぁっ!!」



白瀬は日向と響の力を借り、フェニックスマイトへと変身する。




響「!!」ビクッ


響(今、白瀬さんが私の力を・・・?)


響(なら、今戦っているのは・・・やっぱり)ダッ


瘴気の影響は既に薄れており、動けるようになっていた響は走り出す。


提督「あっおいっ!響!!どこいくんだ!?」


提督の制止を聞かず響は行ってしまった。


雪風「しれぇ!私が追いかけます!」


いち早く雪風が提督に提案した。


提督「頼む!俺達は皆を避難させる!金剛、手伝ってくれ!」


金剛「もちろんデース!ユッキー、気をつけるんデスヨー!!」


雪風「分かりました!」ダッ



提督(長門・・・、無事でいてくれよ!?)





次弾を発射しようとする禍レ級に砲撃をする


白瀬「お前の相手はこっちだ!!」ドンドンッ


禍レ級「レ?」ドガァァンッ!!


白瀬を先程の一撃で戦闘不能にしたと思っていた禍レ級は油断していた。


主砲は直撃し、大きな爆発が起こる


だが


禍レ級「ケホ、ケホ、」


白瀬(この火力でもひるまない!?それでも!!)


白瀬「うおぉぉぉっ!!」ドンドンッ


続けて主砲を放ち、瑞雲を発艦して爆撃を行う。


更に至近距離まで接近し、炎を宿した四肢で近接攻撃を叩き込む。


白瀬「はああああぁぁ!!」ドガガガガッ


禍レ級は白瀬の息もつかせぬ連続攻撃を受け続ける。


禍レ級「・・・」ニヤ


白瀬(馬鹿にされてるっ・・・。っ!?)ズグンッ


白瀬の視界が歪む


白瀬(くっ・・・時間が、無い・・・)


白瀬「おおおおおおっ!!!!」ゴウッ


禍レ級「キシシシシッ」クイクイッ


禍レ級は”やってみろ”と言わんばかりに挑発する。


白瀬の全身が炎に包まれていく


白瀬「フェニックス・ダイナマイトォォォォッッ!!!!」ガシッ


禍レ級を拘束し、禍レ級と共に炎に包まれていく。



ドガァァァァァアアアァァァァンンッ!!!



巨大な爆発が起こり、硝煙で辺りが見えなくなる


シュウウウウゥゥゥゥ


しばらくして光の粒子から白瀬が現れる。


白瀬「はあっ、はあっ・・・」


次第に硝煙が晴れていき、禍レ級の姿が見えてきた


禍レ級「レッ、レレ?」シュウウゥゥゥ


先程よりは禍レ級に対してダメージが入っているように見える。


だが、表皮が少し焼き焦げている程度だった。




海岸付近を走る響は白瀬と禍レ級の戦闘を目の当たりにしていた。


響「なんなんだあの敵・・・、白瀬さんの攻撃が効かない!?」





白瀬「くっ、---まだっ!!!」


フュージョンリングを取り出し、更にフュージョンを発動しようとする。


ズグンッ


白瀬(っ・・・!)バッ


白瀬「っ夕立さん!」



〔駆逐艦 夕立!〕



夕立(もう、これ以上はっ)



白瀬「っ綾波さん!」



〔駆逐艦 綾波!〕



綾波(あなた自身が!)



白瀬(ごめんなさい・・・、だけど・・・)



白瀬「悪夢と鬼神の力、お借りします!!」



〔フュージョンアップ!!〕



〔駆逐艦 白瀬 ナイトメア バーサーカー!〕



白瀬「おおおおっ!!」


全てが、足りていなかった。


禍レ級を倒す力も、残された稼動時間も


更に歪む視界を堪えながら立ち上がり攻撃を発動する。


白瀬「今、出来ることをっ!!」


自身のもてる”力”全てを使って禍レ級に攻撃する。


禍レ級の周囲を滑りながら両足に装備された61cm六連装酸素魚雷を発射していく


放たれた12の魚雷は禍レ級を取り囲む。


白瀬「はああぁぁっ!!」バシャッ


魚雷を発射し終えた白瀬は禍レ級の真上に飛び上がり主砲から光線を放つ。


白瀬「くらえぇぇぇっ!鬼神・放天撃ッ!!」ギュオォッッ!!


砲身から収束砲が放たれ、禍レ級への着弾と同時に魚雷も命中する。


二つの攻撃によって先程のフェニックスダイナマイト以上の爆発が発生する



ドゴォォォォオンンンンン!!!!



響「!!」


響「す、すごい・・・」



爆発の中心地は火柱が起こった。


白瀬「っ」ガクッ


白瀬「ハァーッハァー・・・クッ」ガクッ


力を出し切った白瀬は水面に膝を着く


次第に火柱が小さくなっていく


その中心地にいた禍レ級は全身が炭化していた。


響「やっ・・・た・・・?」


ピシッ


白瀬「!?」


ピシピシピシッ


炭化していたのは、皮一枚だけだった。


パアンッ


炭化した表面が弾け飛び、中から禍レ級が何事も無かったかのように現れる。



禍レ級「レ、キシュ、レ!!」



響「そ、そんなっ・・・あの爆発で!?」



白瀬「くっ!」


禍レ級「レ、オマエ、オモシロカッタ、キシッ!!」


禍レ級「レ、デモ、バイバイ、レ♪」ギュオッ


禍レ級の角に力が集まっていく。


白瀬「!!」


もはやほとんど動けない白瀬に向かって”それ”は放たれた


その攻撃は禍戦艦水鬼-壊-の放った物の数倍の禍々しい光線だった


白瀬「くっ!」バッ


光線に耐えようと防御体制に入る


だが、今の白瀬に耐えられるはずがなかった


バチィッ!


交差した腕は簡単に弾かれ、白瀬の胸部に光線が命中した


白瀬「ぐっああああああぁぁぁっ!!」


身体は浮き上がり、そのまま陸地まで光線を受けながら建物に激突する。


白瀬「がっ、・・・・ぐっ」ガクッ バタッ


フュージョンが解除され元の白瀬の姿に戻っていく。


響「っ!」ダッ


雪風「響ちゃん!まって!」


後から追いついた雪風と響は白瀬が吹き飛ばされた場所まで急いだ







オイデ・・・



禍レ級「レ?レレ??」



帰ッテオイデ・・・



禍レ級「!」ビクン



街へ向かおうとしていた禍レ級は、突如方向を変え、自身が封印されていた小島の正面に戻り海面に座り込んだ。



良イ子ネ、ソノママ眠リナサイ。



ソノ間ニソノ力ヲ貰ウワ。



大丈夫ヨ、ソノ代ワリ・・・



禍レ級「・・・・」スッ




どこかから聞こえてくる声に禍レ級は全く抵抗しない。



禍レ級の周囲には球状の障壁が張られていき、中の様子も禍レ級自身も見えなくなってしまった。






崩壊した建物が密集した場所に了戒の姿があった。


その足元には意識を失った白瀬が倒れている。


了戒「これで、本当にお終いだ・・・」


そう言いながら、白瀬の腰に装着されているカードホルスターに手を伸ばす。


ホルスターを外し、その手に収めた瞬間、了戒の顔から自然と笑みがこぼれる。


了戒「フフ、フフフフッ」スッ


了戒「アハハハハッ、アーハハハッ!!!!」ニヤッ


高笑いを続けながら、了戒は崩壊した街へと消えていった。




===================




これは夢か、はたまた記憶の欠片か



一つだけ分かっている事、それは


とても苦しい・・・



「はあっ、はぁはぁはーっ、ううっ」



苦しみながらもかすかに開いた目



そこには心配そうに自分を見つめる一人の青年の姿があった。



白瀬「・・・・譲様・・・・」






===================




白瀬「・・・・っ」パチッ


目が覚めた白瀬は誰かに手を握られていた


雪風「あっ!白瀬さん、気が付きましたか!?」


手を握っていたのは雪風だった。


雪風「私が分かりますか?」


白瀬「雪、風さん・・・?」


雪風「ううぅ、良かったよ~。」スリスリ


目が覚めた事に安心した雪風は涙目で白瀬の手に顔を寄せる。


白瀬「・・・ここは、何処です?」


雪風「紅鎮守府の工舎です。」


雪風「街で倒れている白瀬さんを、響ちゃんと私が見つけたんです」


雪風「そのままお医者さんに連れて行こうと思ったんですけど」


雪風「街のお医者さんはどこもいっぱいか、病院が崩れてしまっていて・・・」


雪風「そこで、提督にお願いして鎮守府の建物の中でも無事だったここに、とりあえず連れて来させてもらいました。」


白瀬「そうでしたか・・・、ありがとうございます。」


白瀬「もう、大丈夫ですから。」グッ


白瀬はその場から立ち上がろうとする。


だが全身、特に腹部に鋭い痛みを感じ、立ち上がれない。


白瀬「っ!」ズキッ


白瀬(まだダメージが・・・)


雪風「大丈夫じゃないですよ!!明石さんに診てもらいましょう。お医者さんではありませんけど、力になってくれます!」ガシッ


雪風の腕を白瀬が掴む。


白瀬「本当に、大丈夫ですから。もう少し休ませてもらえれば・・・」


白瀬(明石さんに診られては、きっと私の事が解ってしまう。)


白瀬「こんな状況では明石さんも、いろいろとお忙しいはずですから。」


雪風「わ、分かりました・・・。」


白瀬が一息つき、手を離す。


雪風(どうしても気になるな・・・、聞いてみてもいいよね?)


雪風が口を開く


雪風「あの・・・”ゆずるさま”って、誰ですか?」


白瀬「!!」


その言葉を聴いた途端、意識がはっきりしていなかった白瀬が驚愕する。


白瀬「どうして、その名前を・・・?」


雪風「ここに来てからずっと、何度もその名前を呼んでいたんです。」


雪風(何故かはわからないけれど、聞いたこと無いはずのこの名前が、どうしても気になってしまう。)


白瀬「そうでしたか・・・」


雪風「無意識の中でも呼ぶなんて、大切な人なんですね。」


白瀬の表情が曇る。


雪風(え?)


白瀬「大切な人でした・・・」


雪風(でした・・・って?)


白瀬「助けられなかった・・・」


雪風「!」


白瀬「私を助けてくれたのに、私はっ!!」


触れてはならない記憶だった。


わざとではないが自身の軽率な行動に後悔する。


雪風「ごめんなさい!余計なことを聞いて・・・」


居た堪れなくなった雪風はその場を離れようとする。


雪風「あ、あの、何か飲み物でも持ってきますね!」


白瀬「・・・・」


雪風(聞くべきじゃなかった。あんな悲しそうな表情の白瀬さんを見るくらいなら・・・)


工舎を出たその場に金剛がいた。


金剛「盗み聞きするつもりはありませんでシタケド」


雪風「金剛お姉さま・・・私・・・」


金剛「ユッキー、問題nothing。貴女は悪くないヨー。」ナデナデ


金剛が雪風を慰めているとその場に響がやってくる。


響「雪風、大丈夫かい?」


響「もしかして白瀬さんに何かあったの!?」


雪風「ううん、大丈夫だよ。あっ、白瀬さんは意識を取り戻したよ。」


響「そうか、良かった・・・」


金剛「そちらは何かあったんデスカ?」


響「こっちも良い報告だよ。長門さんも無事だって連絡が入ったよ。」


金剛「良かったデース!!」


雪風「ホント!?良かった・・・」




禍レ級との戦闘から丸一日が経過していた。


禍レ級は鎮守府正面海域で障壁を張り引きこもっている。


障壁を張った直後に到着した大本営の潜水艦隊が長門を救出していた。


鎮守府の施設は工舎と甘味所以外のほとんど半壊してしまっていたので、そのまま大本営に搬送。


かつての金剛と同じく入渠、高速修復剤が無効という一時危険な状態だったが現在は危機を脱出。


なんとか一命を取り留めた。


大本営の艦隊が障壁への攻撃を行ったが、今のところ効果が無く周囲に警戒体制を敷き、周辺住民を避難させることしか出来ていない。


更に禍レ級の出現との因果関係は不明だが、周辺海域に深海棲艦の中規模部隊が数箇所に出現。


大本営は艦隊を分け、現在は総出でこれに当たっている


紅鎮守府のメンバーの艤装は、禍レ級の瘴気の影響により使用不可となってしまった


戦闘には参加できなくなってしまったが身体への影響は回復しているので、街で住民の救助と避難を行っている。


響「長門さんも、白瀬さんも無事で本当に良かったよ。」


雪風「そうだね。でも、いつまたあの敵が動き出すか・・・」


響「・・・」



=========================



-鎮守府 近郊 港-


正面海域の小島は障壁によって近づけない


大本営の艦娘が不在の今、海域には海軍の護衛艦が数隻展開していた。


明石&青葉「・・・」ヒョコッ


そんな中、港の物陰から障壁を見る艦娘が二人。


青葉(白瀬さん、大丈夫かな・・・)


青葉「障壁の中の深海棲艦は、依然動きません。」


青葉「長門さんが倒れ、大本営の皆さんの攻撃も通用せず・・・」


青葉「その結果を受け、付近の町からは県外へ逃げ出す人が続出・・・」


青葉「まさに、無法地帯と化してしまいました!」


明石「こんな時でもアナウンサーまがいのナレーションは欠かさないのね」ガシャン


青葉「まがいって酷い!って、明石さん何してるんですか?」


明石は銃の様な形をした機械を障壁に向けている。


青葉「なんですかそのヘンテコな機械?」


明石「青葉さんも酷い!これは私が新たに造った”生体反応分析機”です」


明石「これがあれば、遠くからでも相手のバイタルや脳波が分かるんで~す♪」


青葉「おお!で、どうなんです?」


明石「・・・まずいなぁ↑」


青葉「まさか、また壊れたんですか?」


明石「またって何ですか!?いや、壊れていたらそれで良いんですが・・・」


青葉「なんです?どういうことです?」


明石「バイタルも脳波も活性化してるんですよ!!ほら!」バッ


青葉「私が見ても分かりませんよ!つまりはどういうことです!?」


明石「いつ動き出してもおかしくない!」


青葉「ええっ!!??」


青葉(ど、どうすれば・・・今活動を再開されたら、ヤツの相手を出来る人は誰も居ない・・・)


青葉は長門が倒れた後に出現した艦娘が白瀬だと知っている。


当然、白瀬さえも禍レ級の前に敗北したことも。


明石「とにかく、報告を」


明石は無線を取り出す。


しかし、何処とも無線がつながらない


明石「なんで!?どうして・・・」カチカチッ


青葉「繋がらないんですか!?」


明石「何処も壊れていないはずなのに・・・」


青葉「仕方ありません。走って直接報告に行きましょう!」





=========================



金剛「二人とも~下を向いてばかりでは駄目ですヨー?」


危機的状況だが金剛は昔と変わらず、いつもと変わらない口調で二人に言う


雪風「お姉さま・・・」


響「だけど、実際の所、打つ手が無いのは事実だよ」


響「仮に今すぐにあの敵が動き出したら誰もアイツの相手を出来ない」


響「榛名さん達は敵の迎撃で居ない・・・長門さんは大怪我して、私達の艤装は錆びて使い物にならなくなった。」


金剛「響。」


響「新しい艤装を仮に装備したって、あの敵には敵わない・・・!」


雪風「響ちゃん・・・」


金剛「響!」


響「!」


感情を露にする響を金剛は一括する。


金剛「諦めてはいけませんヨ?私達が諦めてどうするんデスカ?」スッ


響「・・・すまない」


金剛「でも、そんな気持ちになるのも理解できます。」


金剛「ですが、"never・say・never"デス!」


響&雪風「!」


金剛「出来ないなんて言わないでくだサイ。いつだってどんな状況でも切り抜けてきまシタ!」


雪風「そうだよ!絶対何とかなるよ!」


響「・・・うん、そうだね・・・私達が諦めてちゃ駄目だね。」


金剛「YES!!その為にも何か考えましょう!!」


響「二人とも、すまなかった。」


雪風「ううん。一緒に頑張ろう?」


響「ああ。」


そこへ明石と青葉がやってくる。


明石「ここに提督はいらっしゃいますか!?」


雪風「どうしたんですか?何かあったんですか?」


青葉「敵がもうすぐ目覚めます!」


青葉「私達は装備がありませんし、大本営の艦隊のみんなは不在ですし、すぐに対策をしないと!」


響「提督は仮設置された本部で護衛艦の人達と会議中だよ。」


明石「分かりました!報告に行ってきます!」


明石はすぐに避難所へと向かった。


青葉「ですが対抗策と言っても、実際どうすれば・・・」


響「諦めない。どうすればいいのかを考えていたところなんだ」


雪風「青葉さん、何か案はありませんか?」


青葉「う~ん・・・」


しばらく考えた後青葉は口を開く。


青葉「か、神頼み・・とか?」


雪風「えっと・・・」


響「はぁ・・・」


青葉「ちょっと!そんな目で見ないで!真剣に考えたの!でもこれしか出てこなくて・・・」アタフタ


金剛「採用!」


三人「え"っ!?」


金剛「神頼みではありませんが、石碑に皆の無事を祈願をしに行きまショウ!」


響「だけど・・・」


金剛「皆、きっと今も見守ってくれていマス!力を貸してもらいまショー!」


響「わかった・・・。行こう。仲間達の所へ」


青葉(まさか本当にこの案が通るとは・・・)


金剛「デスガ、誰か白瀬サンと一緒に居ないと・・・」


雪風「でしたら、私が残ります。一人にしておけませんから」


白瀬「私は大丈夫です。」


金剛「身体は大丈夫ですか!?」


白瀬「ええ。先程よりマシになりました。」


雪風「まだ無理しないで下さい!」グイ


響「そうだよ!大人しく寝てなきゃ!」グイ


白瀬「あ、あれ!?」


工舎の外に出てきた白瀬だったが二人に引っ張られ、部屋に連れ戻されていった


青葉「あらら」


再び布団に寝かされた白瀬は言う


白瀬「本当に大丈夫ですから、気にせず行って来て下さい。」


響「大人しく寝ててよ?」


雪風「・・・絶対ですよ?終わったらすぐに戻ってきますから」


白瀬「はい。」


二人は工舎の部屋を後にし、青葉と金剛に合流した。


金剛「では、石碑へ祈願に出動~♪Foo♪」


青葉(昔と変わらない人だなぁ)


響(ああは言っていたけど多分おとなしくはしていないだろう。)


響(もうあれ以上、無茶はしてほしくないけど・・・)





白瀬「行こう・・・。二人とも、ごめんなさい・・・。」


四人の気配が遠ざかるのを確認した直後、白瀬は動き出す。


起き上がりホルスターを確認する。




白瀬(カードが・・・無いっ!?)


白瀬「了戒・・・!!」ダッ


白瀬は上着を取り、すぐに工舎を出て行った。





四人は三笠が管理していた鎮守府裏山にある慰霊碑に向かうことになった。


数十分後、慰霊碑に到着するが四人は愕然とする


響「そんな・・・」


金剛「オーマイガッ!」


雪風「皆の石碑が・・・」


青葉「攻撃がここにまで・・・」


石碑は禍レ級の電撃によって砕かれていた。


金剛「これをこのままになんてしておけないヨ!」


雪風「手伝います!」


金剛と雪風はすぐに石碑の残骸を集め始める。


青葉「まさか、復元するんですか?」


響「・・・やろう。」


響「金剛さんの言うとおりだ。皆をこのままになんてしておけない。」


青葉「・・・たしかにそうですね!やりましょう!」


四人は散らばった石碑の欠片を集め復元作業に取り掛かった。


大きいものから、小さな欠片まであわせると20個ほどに砕かれていたが次第に元の形に戻っていく。


青葉「これはここですね。」ガコッ


響「む、違ったか。なら、ここだ。」ガッ


中でも雪風は欠片がどこに嵌るかがすぐに分かるようで、他の三人よりも手際よく復元していく。


程なくして、石碑が再び一つになる。


青葉「完全とは言えませんが、元に戻りましたね。」


響「うん。良かったよ。特に雪風はよく来ているだけあってとても手際が良かった。」


雪風「ううん。皆が手伝ってくれたからだよ。」


金剛「ちゃんとした修繕はまたテイトクにお願いしまショー!・・・ん?」


金剛は石碑の土台に備えられていたであろう花を見つける。


金剛「これはユッキーが?」


雪風「私じゃありません。お姉さま。」


金剛「そうデスカ・・・」


ちゃんと備えられていたであろう花は攻撃で石碑が吹き飛んだ際に散らばっていた


金剛は花拾い集め、今度は土に植え始める。


響「金剛さん?一体何を?」


金剛「このままでは枯れてしまいますカラ。」


金剛「青葉!水を持っていマスカ?」


青葉「え?はい、ありますよ。」スッ


金剛「サンキュー」


金剛は植えた花に水を与えた。


雪風「綺麗な花・・・」


響「うん。でも今そんなことをしてる場合じゃ」


金剛「”大地は、命を待っている”」


響「え?」


金剛「待ってるんですヨ?大地はいつだって」


金剛の言葉の意味を全員が理解できずにいる。


青葉「どういう意味があるんです?」


金剛「なんとなく言ってみただけです!」


全員「っ」ガクッ


金剛「さぁ、お参りを済ませて戻りましょう!」


青葉「そうでした、元々はそれが目的でしたね。」


響「私も忘れそうだったよ。」


雪風「あれ?」


金剛「ん?」


響「どうしたんだい?」


金剛と雪風が見る先には先程植えた花がある。


青葉「花が光ってる?」


金剛が植えなおし、水を与えた花から光り輝く粒子が現れる


響「な!?」


粒子は全員で復元した石碑にすいこまれるように入っていった


すると今度は石碑が光り輝き、先程よりも明るく光る大きな光が現れた。


雪風「これは・・・?」


青葉「気をつけてください!何が起こるか分かりません!」


???(金剛・・・)


金剛(Me?)


???(そうだ。君の力が必要だ。)


金剛(・・・)


???(頼む。)


響(金剛さんに話しかけている?)


金剛(OK。)スッ


金剛は光の球に手を伸ばす。


球に触れた瞬間、光は更に強烈になる。


次第に光が治まっていく。


???(ありがとう。これが、最後の希望になる。)


金剛「・・・」


そう言い残し、光の球は空へと飛んでいった。


雪風「お姉さま!大丈夫ですか?」


青葉「何かされたんですか?」


金剛「問題nothing♪ 変な感じませんでシタ」


響「本当かい?なら、いいんだけど・・・」


金剛(おそらくあれは、私に残っていた艦娘の力・・・。三笠様、貴女なのデスネ?)




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工舎を飛び出した白瀬は街へ向かい了戒を探していた。


ズキッ


白瀬「ぐっ」


腹部に受けた禍レ級の攻撃のダメージが一向に回復しない。


痛みに耐えながら白瀬は了戒の気配を追った


橋の降下に架かる歩道橋をわたっている時、背後から声がする。


了戒「探し物は、これですか?」


白瀬「!」


振り返るとそこにはカードホルスターを持った了戒が居た


白瀬はそのまま近づき、ホルスターを持った了戒の手を掴む


白瀬「返せ!」ガシッ


了戒「ハッ」バシッ


掴まれた腕を払い格闘を仕掛ける


白瀬は一撃目を避け反撃するがいつものキレがない。


余裕でかわされた直後の飛び膝蹴りが白瀬の腹部に決まり、手すりに叩きつけられる。


白瀬「ガッ・・・」ガシャン


了戒「なんか、お前・・・かっこ悪いな」


白瀬「はあっ、はあっ」


白瀬は了戒を睨みつける。


了戒「そんな無様を晒すくらいなら、私の勝ちを称えろよ」


白瀬「ぐっ、」ググッ


白瀬は立ち上がり、はっきりという


白瀬「ふざけるなっ!」


了戒「ははっ、これが負け犬の遠吠えってヤツか?」


了戒が変わらず挑発をした直後、海の方角から巨大な爆発音が聞こえた


白瀬「なっ!?」


了戒「さあ、始まりだ。まあ、せいぜい楽しめよ」


白瀬「まっ」ドガァァァンッ!!


了戒を追いかけようとするが絶え間なく続く爆発が白瀬を躊躇させた。


白瀬「っ・・・」ダッ









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障壁の爆発と同時に赤黒い閃光が走る。


護衛艦の一隻に光線が放たれ、一撃で大破してしまった。



-作戦司令部-


大淀「提督!新種が目を覚ました模様!!」


提督「なに!?生体反応分析ではまだのはずだぞ!?」


明石「間に合わなかった・・・」


提督「明石!?」


明石「さっき自作の分析機で反応を見に行って、もうすぐ目覚めるのがわかって・・・ごめんなさい。間に合わなくて・・・」


提督「いや、お前は悪くない!しっかりしろ!」


大淀「護衛艦 八雲、大破!」


提督「榛名たちは!?」


大淀「駄目です!依然敵と交戦中の模様!」


提督「くっ・・・、残存の護衛艦 ”出雲”、”東雲”に通達!敵の進行を出来るだけ食い止めよ!」



提督(万事休すか・・・・!?)



禍レ級「オオオオオオオオォォォォォッ!!!」


先程戦闘していた時のような戦闘を楽しむ様子は無くなり、咆哮をあげながらただ暴れまわる。


次の瞬間、展開していた護衛艦全てが一度に大破レベルの攻撃を受ける


その異変に鎮守府に戻ろうとしていた4人も気がついた。


金剛「Whats happening!?」


響「まさか目覚めたのか!?」


雪風「ここからじゃ見えない、けど・・・多分!」


青葉「任せてください!」


青葉はタブレットを取り出し操作し始める。


雪風「一体何を?」


青葉「障壁を明石さんと見ている道中に監視用のカメラをいくつか仕掛けておきました」


青葉「これで現状が分かります!」ピッ


青葉の見せる映像には禍レ級が護衛艦を攻撃する様子が映し出されていた


金剛「これは!?あの時私と戦った・・・?でも少し姿が違う気が・・・」


禍レ級の容姿を見た響は驚愕する。


響「違う・・・」


雪風「え?」


青葉「何が違うんですか?」


響「昨日とは、姿が違うんだ!」


金剛「Whats!?」


響「私が見たのは、レ級に似た姿だった・・・。」


金剛「私が戦ったのもレ級に似ていたヨ」


青葉「でも今の姿は私達の知るレ級とは似ても似つきません!」


雪風「こ、怖い・・・!」


響「あれじゃまるで悪魔だ・・・・」


金剛「壁に引きこもっていたのはこの姿になる為だった・・・」


青葉「まさか、より凶悪な力を!?」


禍レ級「グルルルッ・・・!」スッ


辺りを無作為に攻撃していた禍レ級の動きが止まる。


その視線は街の方角のある一点を見つめていた。


禍レ級「ギッ!!」シュウゥゥゥッ


禍レ級は自身が見つめる方角に向かって力を収束し始めた




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白瀬「ヤツが目覚めた・・・!」


海岸に向かって走る間も禍レ級の砲撃が街へ続いている。


白瀬「っ!!」


海岸に出る直前白瀬は足を止める


白瀬の前に光り輝く玉が空から降りてくる。


白瀬「これは・・・」


光は次第に形を成していく。


それは


白瀬「三笠様、その姿は!?」


三笠「不覚にも身体を無くしてしまった。無事とは言い難いが、来られただけ良しとしよう。」


白瀬「すいません。なにも出来ませんでした・・・」


三笠「私にそれを責める事は出来ない。戦う手段を盗られたのだろう?」


白瀬「なぜそのことを・・・」


三笠「説明している時間は無い。これを渡すために来た」スッ


三笠は懐からカードを一枚取り出す。


三笠「この力が、あの者を封印してくれていた。」


白瀬は三笠からカードを受け取る。


白瀬「金剛さんが守ってくれていたんですか!?」


三笠「正確には過去に分離した彼女の魂だ。」


三笠の表情が曇る。


白瀬「三笠様・・・?」


三笠「そしてもう一枚・・・」


三笠(これを、君に渡す・・・それが何を意味するのか・・・分かっている。だが)スッ


三笠が取り出したもう一枚


それは


白瀬「これは・・・リコリス・・・!!」


あの時、了戒が封印を破壊するのに使用した”リコリス災姫”だった。


三笠「光ある所、必ず闇は存在する。」


三笠「しかし、その力はあまりにも強大。」


三笠「強すぎる力は、その名の通り”災い”をもたらす事もある・・・」


白瀬「・・・」コクン


白瀬は三笠の言葉に頷き、フュージョンリングを取り出し、カードをリードする。





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白瀬「金剛さん!」スッ


〔高速戦艦 金剛!〕


金剛(私の出番ネー!)



白瀬「リコリスさん!」スッ


バチッ!


白瀬「ぐっ!!?」グググッ


リコリスのカードをリードした瞬間、リングから紅い閃光が走り、カードが通らない。


白瀬「ぐぐ、うううぅぅっ・・・」ググググッ


それでも無理矢理押し込もうとした瞬間、強く拒絶され弾かれる。


白瀬「ぐあっ!」バチッ


吹き飛ばされる白瀬を見て三笠が言う


三笠「大丈夫か!?」


白瀬「平気です・・・」


三笠「その力が最後の希望だ・・・」


立ち上がり、リコリスのカードを見て白瀬は訴えかける


白瀬「リコリスさんっ・・・お願いしますっ!」


白瀬「ふっ!」バチッ!


再びリードを試みるが先程と変わらず拒絶され、吹き飛ばされる。


白瀬「ぐあっ」


ドガァァンッッ!!


次の瞬間、二人の背後にあった建物が吹き飛ぶ


三笠「くっ、見つかったか!?」


白瀬「!・・・あの姿は一体!?」


白瀬は昨日戦った禍レ級の姿が変貌していることに驚く


少女のような外見は無くなり、形容しがたい悪鬼のような容姿になっていた。


建物を吹き飛ばし、二人を見つけた禍レ級は再度攻撃態勢に入ろうとする


角に赤黒い光が纏わりつき、大きく開いた口から怪光線が放たれる


白瀬「っ!!」


三笠「させるかっ!!」バチッ


白瀬を狙った怪光線を三笠が結界で受け止める。


白瀬「み、三笠様っ!!」


三笠「か、構うな!早くそのカードを、その力を使いこなせ!」ググッ


白瀬「っ、ぬぐっ!!!ぐぐっ!!」バチッ


再三のカードリードをリコリスは拒絶し、白瀬はまたもや弾き飛ばされる。


白瀬「ぐあっ!!」ドサッ


禍レ級「ギャオオオオオッッ!!!」ズオッ


三笠「!!」ピシピシッ


白瀬「あ、ああ・・・!」


三笠の張る結界にひびが入る。


白瀬「三笠様ぁっ!!」


三笠は結界を張っていた手を治め、三笠は白瀬を見て微笑みながら何かを呟いた


三笠「--、-----。」


次の瞬間結界は砕け散り、辺り一面を焼き払った。


白瀬「ぐっ・・・くぅっ・・・」


白瀬はかろうじて無事だったが、その目からは光が失せて行く。


禍レ級「オオオオオオッ!!!」


咆哮をあげる元凶を見る白瀬の感情は、ただ一つに支配されていく


白瀬「っ・・・・ろす・・・」ググッ


白瀬「ぐうっ、ふうぅっ、フーッ!!!」バッ


白瀬「ウァァァアアアァァァァァァァッッッ!!!!!」


白瀬「フッ!!!」


自身の心を見失うのと同時に白瀬は再びカードをリードする


リードが成功しフュージョンリングがその名前を呼ぶ。


〔リコリス 災姫!〕


リコリス災姫(ウフフフッ!気ニ入ッタワ、ソノ心!)




白瀬「アアアアアアアァァァァ、ガアアアアアアァァァッ!!!!!」バッ




叫びながらフュージョンリングを掲げた白瀬に勇者と悪しき姫が融合した。




〔棲戦亜姫 シラセ ブレイブ アトロシアス !〕




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