2021-07-01 22:47:18 更新

概要

前2作+1作の続編ですので過去作を見てからこの作品を読んでいただくとより楽しめたり話の内容がわかりやすいと思います


前書き

前作翔誠「俺も半分深海棲艦だから」、最高の思い出をあなたにの続きです。オリジナル設定、ストーリーなため読む人を選ぶと思います


プロローグ:悪夢



この戦いは何故始まったのか。この戦いに終わりはあるのか。誰も知る事はないのであろう。でももしも・・・もしも1人だけこの戦いの結末を知っているのであるならば・・・きっと結末は変えられるのだろう


???「んで?どうするよ・・・クソガキ。艦隊は全滅。鎮守府は全壊。愛する者も死にかけ。何もかもすべてなくなった。テメェ自身満身創痍で俺に一矢報いることもできない」


???「俺は・・・間違ってたのか?」


???「間違ってたなぁ・・・数で押せば俺を倒せるって思ってた事、守る物があれば強くなるって思ってた意思。俺が仕組んだとおりにしておけば良かったんだよ」


???「●●●・・・」


???「○○○!」


???「何だ?まだ意識あるのかよ。流石頑丈さが取り柄なだけのことはあるな」


???「にげ・・・て」


???「!?」


???「はっ!こいつは傑作だな!どうする?逃げるか?それとも俺と戦うか?まぁ俺と戦わない限りこの女は絶対に殺すけどなぁ?」


???「テメェ!!!」


???「叫んだところで何も変わらねぇだろ・・・時間切れだ。死ね」


グサッ!


???「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


──────


翔誠「やめろ!」


チュンチュン


翔誠「・・・夢?」


春雨「んむぅ・・・翔誠さんどーしたんですか?」


翔誠「・・・いや、何でもないよ。おはよう、春雨ちゃん」


春雨「おはようございます、翔誠さん。えへへ」


~食堂~


翔誠「腹減ったね。何食べる?」


春雨ちゃん「私は・・・サンドイッチで!」


翔誠「なら俺はあじの開き定食でお願いします。鳳翔さん」


鳳翔「わかりました!それにしてもお二人は仲良しなんですね♪妬けちゃいます」


翔誠「あんまり冷やかさないでください///」


春雨「///」


鳳翔「あらあら・・・2人共真っ赤ですよ?」


翔誠「誰のせいですか!」


金剛「おや?どーしましタ?翔誠?」


翔誠「鳳翔さんが朝から冷やかしてくるんですよ!」


鳳翔「可愛かったのでついからかってしまいました♪」


金剛「確かニ!可愛いのは認めマース!でもあんまり2人をいじめないでくださいヨ?」


鳳翔「わかってますよ。はい!サンドイッチとあじの開き定食お待たせしました!」


春雨「あれ?何でプリンがついてるんですか?」


鳳翔「からかってしまったお詫びです♪」


翔誠「やったね春雨ちゃん」


春雨「はい!」


3人(可愛い)


朝食を受け取り席に着いたと同時の事


大津田「翔誠隣良いか?」


翔誠「大津田さんおはようございます。全然良いですよ?」


大津田「すまねぇな。翔鶴の隣に座ろうとしたらまな板が睨み効かせてきたからよ」


翔誠「そんな事言ってたら頭射貫かれますよ」


大津田「平気だろ。この距離なら聞かれねぇし」


春雨「大津田さんは本当にお二人のことが好きなんですね!」


大津田「な訳ねぇだろ。翔鶴は兎も角瑞鶴はねぇよ」


春雨「でも瑞鶴さんとふざけあってる時楽しそうですよ?」


大津田「・・・ごっそーさん」


翔誠「食うの早!?」


春雨「誤魔化さないでください大津田さん!」


大津田「んじゃ俺点検あるから!」


翔誠「・・・行っちまった」


春雨「翔誠さんこの後何かするんですか?」


翔誠「俺?俺はこれから筋トレかなぁ」


春雨「そうなんですか?私もご一緒します!」


翔誠「春雨ちゃんがいるんじゃ半端な筋トレはできないね!」


その時食堂のテレビで緊急速報が入った


アナウンサー「緊急速報です。中央憲兵特級兵の海原将深さんからの緊急メッセージです」


食堂全体がザワついた


海原「おう。中央憲兵特級兵の海原だ。わざわざ平日の朝っぱらから悪ぃな」


鳳凰院「翔誠君!どうなってんだこれ!?」


翔誠「俺がわかるわけないじゃねぇっすか!」


海原は言葉を続けた


海原「緊急速報の訳を話すから耳の穴かっぽじってよーく聞けよ?」


金剛「翔誠!海原は何を企んでるんデース!?」


翔誠「俺が知るわけないじゃねーっすか!」


あきつ丸「翔誠殿!」


翔誠「テメェもか!」


海原「俺達中央憲兵はこれから1週間後・・・艦娘の掃討作戦を行う」


戦慄。様々な思考が交差した


金剛「why!?」


あきつ丸「な!?」


春雨「!?」


翔誠「野郎・・・」


海原「何で深海棲艦と戦う戦乙女達を狩るのか?そう思うだろうな。理由は単純明快。俺達中央憲兵が深海棲艦を排除する武器(力)を手に入れたからだ。深海棲艦を駆除した後の艦娘の処理を終戦後に考えるのは遅ぇ。よって俺達中央憲兵は今艦娘共を狩ることにした。終戦後人権を求めて俺達に叛逆してくる可能性もあるしな」


それは悪夢であった


海原「つーわけで」


海原はおもむろに席を立ちカメラに歩み寄った


海原「覚悟しとけよ艦娘共全滅させてやるから」


ブツン


加賀「・・・どうするの?翔誠」


翔誠「決まってますよ。全員返り討ちにします」


湧き出す怒りを噛み殺し全力で平常を保ちながら言った


大津田(慌てて来てみたらとんでもねぇ修羅場になってんじゃねーかよ・・・あんな殺意剥き出しの翔誠初めて見たぞ)


翔誠「・・・大津田さん」


大津田「何だ」


翔誠「頼みがあります」


大津田「・・・俺にできることなら言え」


翔誠「・・・1週間以内に剣崎さんの腕を移植してください。無理を言ってるのは承知です。でも今回の戦いは総力戦になるはずです。火力要員は1人でも多い方が絶対有利になります。鳳凰院さんとあきつ丸。春雨ちゃんも来て。他の人達は大淀さんと作戦会議を開いててください。俺も後から行きます」


金剛「OKネ・・・」


翔誠「それじゃ大津田さん、鳳凰院さん、春雨ちゃん、あきつ丸。着いてきて」


何人の血が流れるかわからない戦いが始まろうとしていた



1章:地獄の1週間



海原が艦娘掃討作戦を発令した直後。翔誠は大津田達を集め海岸にいた


翔誠「俺が呼んだみんなには役目を与えようと思ってるんだ。斬り込み隊長、盾、強襲要員、火力要員。自分が当てはまると思う物はある?」


あきつ丸「そうでありますなぁ~自分は火力要員でありますかな?」


翔誠「他の人は?」


春雨「わ・・・私は盾でしょうか?頑丈ですし・・・」


翔誠「そうだね・・・2人は?」


鳳凰院「俺も盾なんじゃないかい?門番だし盾の扱いには慣れてる」


大津田「俺は火力要員だな。賭けにはなるが剣崎の腕を移植するし」


翔誠「皆さん自分の特製をよく理解してますね。でも俺的には大津田さんは斬り込み隊長。賭けに勝てば敵の雑魚共を一網打尽にできます」


大津田「まぁな」


翔誠「あきつ丸は火力要員。お前まだ俺に隠してる物(技)あるだろ?」


あきつ丸「おや。覚えていたのでありますな」


翔誠「あとで見せてくれ。それから春雨ちゃん」


春雨「はい!」


翔誠「春雨ちゃんには負担が大きいんだけど俺的に春雨ちゃんには火力要員と盾の役割をしてもらいたいんだ。半分深海棲艦ならその頑丈さ故に火力も比例していると思う。だからある程度敵の攻撃を防ぎきったら敵を討つ方に回ってほしい。お願いできる?」


春雨「ま・・・任せてください!」


翔誠「最後に鳳凰院さん。貴男にも役割は2つ与えたいと思ってるのですが」


鳳凰院「なんだい?何でも言ってくれ!」


翔誠「貴男には盾と強襲要員になってもらいたいんです」


鳳凰院「強襲要員!?俺が!?翔誠君ちょっと待ってくれ!明らかに俺よりあきつ丸や春雨ちゃんの方が適任だろ!」


翔誠「1回だけ鳳凰院さんが盾無し鎧無しで走ってるところを見たことがあります。なかなか早かったですよ?なので鳳凰院さんが強襲要員になるのは最後の最後。敵の頭数が少なくなった後に俺と一緒に敵の頭(海原)を叩いてほしいんです」


鳳凰院「・・・」


翔誠「これが俺の考えたプランですけど・・・意見等あれば言ってください」


あきつ丸「いやいや・・・的確に的を射ているでありますよ」


大津田「あぁ。文句ねぇよ」


春雨「私も平気です!」


鳳凰院「まぁ翔誠君に言われちゃあしゃーねーや!」


翔誠「ありがとうございます。それじゃ俺はいったん皆さんと合流して作戦会議に参加します。それが終わったら1週間、死ぬ気で生きるための訓練の開始です」


─────


翔誠「・・・こんな感じで俺達の役目は決めました」


大淀「確かに理にかなってはいますね・・・」


長門「うむ・・・我々はどうしたら良い?」


翔誠「主力艦の人達には遠距離から砲撃を放ってもらって敵の下級兵達を潰してもらいたいです。海原を初めとした上級兵を相手にするのに少しでも体力を残しておきたいですから。それから近接戦闘、白兵戦に自信のある人はこっちに回してもらいたいです」


加賀「1つ良いかしら?」


翔誠「どうしました?」


加賀「私達空母はどうしたら良いかしら?空爆を仕掛けても良いと考えたのだけど大津田や鳳凰院ですら私達の空爆を1人で防ぐような化け物よね?なら相手にもそれと同等かそれ以上の化け物がいるのでしょ?」


大淀「確かに。その辺りはどうなんですか?」


翔誠「全員分の武装転送を見たわけじゃないんで確証はないですが・・・いると仮定した方が良いかもですね。空母の方達は第一次航空隊を発艦した後は彩雲で様子見で。それで盾となり得る人物がいなかったら第二次、三次と攻撃を繋げてください。いた場合でも下からの攻撃は防げないので流星や天山で雷撃をかますか軽巡、駆逐艦の子達と協力して盾を剥がしてから空爆を開始してもいいかもですね」


加賀「わかったわ。ありがとう」


金剛「・・・仲間だったのに良いノ?」


翔誠「元ですよ。それに・・・俺の家族を傷付けられるくらいなら全員まとめてぶっ潰すだけです・・・って迷惑っすよね!俺が家族とかって!忘れてください!」


金剛「・・・貴男は私達の家族デスヨ」


長門「間違いなくな!」


翔誠「ありがとうございます・・・あれ?そう言えばお姉ちゃん達は?」


大淀「大和さん達なら試製51cm砲を使えるようにすると言いながらどこか消えていきましたよ?」


翔誠「うわぁ・・・マジか・・・ゴリラじゃん」


長門「脳筋だな!」


大淀「貴方たちが言わないでください。脳筋メスゴリラと馬鹿力オスゴリラコンビ」


翔誠「めっちゃ辛辣っすね・・・」


大淀「流石に上とのやり取りをしつつバカな会話が聞こえてくると来る物がありますよ」


金剛「これからの1週間は大淀が相当荒れそうデース・・・」


加賀「それで?これから1週間はどうするの?」


大淀「翔誠君の話を解すと空母組は航空隊の精度の上昇ですかね?」


翔誠「可能ならばどんな状況でも射抜けるだけの精度が欲しいですね。あと欲を言えば五体不満でも射抜けるようにできていたらベストですかね。並の兵隊なら平気でしょうけど特級兵クラスが何人も出てきたらすぐに足元刈られますからね」


加賀「瑞鶴の腕1本へし折っておくわ」


翔誠「できればですからね!?マジでやんなくて良いですよ!?」


加賀「そう?なら良いけれど」


長門「戦艦組はどうする?」


翔誠「戦艦組は・・・近接格闘と三式弾の砲撃精度ですかね?」


長門「なるほどな!任せておけ!」


金剛「何で三式弾ナノ?」


翔誠「下級兵ならそれでくたばってくれそうですから。まぁ盾持ちがいなければの話ですがね」


大淀「盾持ちですか・・・やっぱりそれが1番影響してきますね」


翔誠「まぁ盾持ち見つけ次第真っ先に首飛ばすので安心してもらってかまわないですよ」


加賀「そう言えば貴男の役割は何なの?春雨やあきつ丸は盾や火力要員って役割があったけれど・・・翔誠のは聞いてないわ」


翔誠「俺ですか?俺は・・・」


掃討作戦まで残り7日。その頃中央憲兵では


坂場「おい海原!あの放送はどういう事だ!」


海原「うるせぇな・・・裏切り者共をまとめて殺す口実だ。ふぅ・・・」


坂場「あいつらの事か?」


海原「どいつらの事だかなぁ?」


坂場「・・・自分の息子を手にかける事になるんだろ?」


海原「そうだが?」


坂場「何とも思わないのか!親として!自分の子供を殺すことを!お前は!」


海原「はっ!面白ぇ事言うようになったじゃねぇか・・・何だ?お前あいつに感化されたか?」


坂場「あぁ・・・そうかもな」


海原「んで?どうするんだ?」


坂場「お前を殺してでも止める」


海原「殺す?俺を?無理だな」


坂場「やらなきゃわからんだろ!」


ザシュッ・・・・・・ゴロン



海原「わかるんだよ・・・俺は人間じゃねぇからなぁ・・・まぁ首はねたから聞こえてねぇか」


時刻は20時を回っていた


春雨「はぁ・・・はぁ・・・」


あきつ丸「いやぁ・・・ここまで鬼畜なメニューよく思いつくでありますなぁ・・・」


大津田「ホント・・・その辺は海原そっくりだな」


翔誠「俺があいつと違うのはこの訓練が殺すための訓練じゃなくて生き抜くための訓練だって事ですよ。兎に角1日目お疲れ様です。明日は15時から訓練を始めますのでそれまで栄養補給や休息をしっかり取ってください」


鳳凰院「1週間しか時間無いのにそんなに休んじゃって良いのかい?」


翔誠「まぁ・・・そうですね。追い込むのが目的じゃないので悪魔で万全の状態からどんどんすり潰されて最後どう抗うかって言うのも目的の1つですから」


春雨「翔誠さんは・・・色々考えているんですね・・・」


翔誠「誰も死なない為の最善策を考えてるだけだよ。他の人の訓練を見てきます」


春雨(その誰も死なない為の最善策の中に貴男の名前は入っているのですか?)


口が裂けても春雨は聞けなかった。ただただ切なさが胸にこみ上げてくるだけだ


翔誠「加賀さんお疲れ様です。どんな感じでした?」


加賀「上々よ。海外空母の3人も非の打ち所がないわ。五航戦の上達が早かったのが驚いたわ。そっちはどうなの?」


翔誠「大津田さん以外のプランは順調って感じですかね。明日から大津田さんは移植のため抜けてもらいますけど」


加賀「そう・・・本当にみんなを死なさないつもりなの?」


翔誠「そうですけど?どうしたんですか?」


加賀「いえ・・・何でもないわ」


翔誠「そうですか?では俺はこれで失礼します」


加賀「・・・」


掃討作戦まで残り6日・・・6時


金剛「ふぁっああああ~体中ばっきばきネ・・・ん?」


翔誠「5・・・6・・・7・・・8」


たまたまトレーニングルームの前を通りがかった金剛が目にしたのはベンチプレスを上げる翔誠だった


金剛「エ?アレ重さ何キロ?」


推定150キロはあるであろう重さを10回ほど上げていた


翔誠「・・・10っと」


金剛「goodmorning!早いネ!翔誠!」


翔誠「金剛さんおはようございます!どうしたんですか?こんな朝早くに?」


金剛「それはこっちの台詞ダヨ!まだみんな寝てるの二・・・」


翔誠「早く目が覚めただけですよ。それに少しでも筋肉を増やしておけば打撃攻撃に対応できますし」


金剛「鍛えれば良いって物じゃないと思いマスガ・・・」


翔誠「まぁ適度に休んではいますよ?」


金剛「ふぅ・・・そういう所も相変わらずネ・・・せっかくだし朝ごはん一緒に食べまショ?」


翔誠「そうですね!食べましょう!」


0630。食堂


翔誠「流石に人いないですね」


普段なら早起きした艦娘達や大津田や鳳凰院がいるのだが前日の訓練がそうとう効いてるらしく誰もいない


鳳翔「おや?金剛さんと翔誠君?朝早くにどうしたんですか?」


翔誠「筋トレしててたまたま金剛さんに会って・・・」


金剛「朝食に誘いマシタ!」


鳳翔「うふふ♪元気なんですね♪」


翔誠「ご飯何食べます?」


金剛「私は・・・鯖味噌定食デ!」


翔誠「俺は・・・そうですね・・・カツ丼特盛りと味噌ラーメン・・・それから海鮮丼特盛りでお願いします」


鳳翔「流石男の子って量♪少し時間くださいね!」


金剛「朝から凄い食べマスネ・・・」


翔誠「死ぬほど腹減ってるんですよ。それに飯食わないと筋肉にならないので」


金剛「確かに!その通りネ!」


それから10分ほど他愛もない話をしていると


鳳翔「はい!まず鯖味噌定食です!」


金剛「ワーオ!美味しそうデース!」


鳳翔「それからこっちが海鮮丼特盛りとカツ丼特盛りです!今味噌ラーメン持ってきますね!」


翔誠「美味そう!いただきます!」


鳳翔「味噌ラーメン持ってきましたよ!喉につまらせないでくださいね?」


翔誠「ありがとうございます!」


~3分後~


金剛「ふぅ・・・お腹いっぱいネ」


翔誠「あぁ~朝から最っ高の気分ですよ。鳳翔さんのご飯はやっぱりいつ食べても美味しいです!」


鳳翔「ウフフ。お粗末様です♪」


翔誠「時間は・・・まだ7時20分位か・・・金剛さんこの後どうしますか?」


金剛「私?私は・・・本でも読んで訓練までゆっくりするヨ。翔誠は?」


翔誠「俺・・・ですか。少し寝ようと思ってます」


金剛「なら私の部屋に来ナイ?」


翔誠「え・・・それって・・・」


金剛「ア!翔誠今エッチなこと想像したデショ?」


翔誠「すこしだけ・・・しました///」


金剛「可愛い子ネ!まぁ人肌寂しいんじゃないカナーって。それで筋トレしてたんでショ?」


翔誠「・・・そうですね。ならお言葉に甘えてお邪魔します!」


金剛「OK!行きまショ?」


翔誠「はい!鳳翔さんご馳走様です!」


鳳翔「また来てくださいね~」


~金剛型の部屋~


翔誠「お邪魔しまーす」


金剛「あんまり女の子らしくない部屋でゴメンネ?」


翔誠「いえ・・・大丈夫です」


金剛型の部屋に入った瞬間自分の部屋とはまるで違うと感じた。まず男臭くない事。女性特有のむせ返る程の甘い香り。嫌気はなくむしろ心地良さすら感じるその香りは春雨の物とはまた少し違って感じた。何というか春雨の香りはまだ幼さの残る甘い香り。言うならば未成熟の果実の香りであろうか。それに比べて金剛型の部屋の香りは成熟した果実とでも言えるであろう


金剛「どうしましタ?」


翔誠「いえ・・・とても良い香りがしたので少しだけ驚きました」


金剛「香り?ファブリーズとか何もしてないハズなんデスガ・・・」


翔誠(もしかして俺が変態なだけか?)


金剛「それじゃ私のベッドを使ってくだサーイ!」


翔誠「!?」


金剛「翔誠どうせロクに休んでないんデショ?クマが凄いヨ?」


翔誠「いや!確かに休めてはないですが流石にベッドを借りるわけには・・・」


金剛「どうして?私のベッドが嫌ナノ?なら榛名や比叡、霧島の隣で寝ル?」


翔誠「べ・・・別に金剛さんのベットが嫌って訳じゃなくてむしろ嬉しいというか何というか・・・俺も一応男なので・・・変な気を起こさない保証がないと言いますか」


金剛「ふふっ♪そんな事気にしてたノ?」


翔誠「そんな事って・・・」


金剛「私達なら貴男にナニされても文句言いませんヨ?色々借りとかありますシ・・・それに」


翔誠「それに?」


金剛「正直私達姉妹は貴男に惚れてマス。だから・・・」


翔誠「それ以上は・・・その・・・すべて終わった後に聞きます」


金剛「気をつかわせてしまったネ・・・ゴメンネ」


翔誠「ふぅ・・・」


ストン


金剛「エ?」


翔誠はおもむろに金剛の隣に座った


翔誠「うん・・・確かに人肌は落ち着きますね」


金剛「翔誠?」


翔誠「少しの間・・・肩を借りても良いですか?」


金剛「・・・うん。良いデスヨ」


翔誠「すみません・・・ありがとう・・・ござい・・・スゥ・・・スゥ・・・」


金剛「よっぽど疲れてたのネ・・・私の肩ならいつでも貸してあげマース。だから遠慮しないでもう少し私や他の艦娘達を頼ってくだサーイ」


霧島「良いムードでしたね?お姉様」


金剛「霧島?起こしちゃっタ?」


霧島「とんでもないです。自然と目が覚めただけですよ。」


金剛「そう?なら良かったネ・・・どこから聞いてたノ?」


霧島「翔誠が姉様のベッドを使うかどうかアタフタしてた所らへんですかね?」


金剛「oh・・・我ながら恥ずかしいやり取りを聞かれてしまったネ」


霧島「事実なので問題ないですよ」


比叡「ふぁっああああーーお姉様おはようございます・・・」


金剛「比叡おはようネ!」


比叡「むにゃむにゃ・・・アレ?何で翔誠がいるんですか?」


金剛「まぁ話すと長くノヨ」


霧島「比叡お姉様?榛名はどこですか?」


比叡「榛名?哨戒任務だったと思うけど・・・」


金剛「ならもうそろそろ帰って来るネ!」


比叡「しっかし翔誠の寝顔・・・何というか」


霧島「可愛いですね」


比叡「わかる」


金剛「昔のままネ」


翔誠「うっ・・・」


金剛「起こしてしまいましたカ?」


翔誠「や・・・めろ・・・海原・・・」


金剛「・・・この子は夢の中でも戦ってるのデスネ」


霧島「姉様。私と比叡姉様は朝食を取ってきますね。その後はトレーニングをするのでしばらくはお二人になりますが・・・」


金剛「霧島は本当に気が利く子ネ。ありがとう」


霧島「いいえ・・・では失礼します」


比叡「私も行ってきますね?」


金剛「行ってらっしゃーいネ!」


それから2時間ほど時間が経ち・・・


翔誠「ん・・・んん・・・」


金剛「起きタ?」


翔誠「金剛・・・さん」


金剛「goodmorning?」


翔誠「おはようございます?あの・・・金剛さん」


金剛「どうしたノ?」


翔誠「まさか・・・ずっと俺の事支えててくれてたんですか?」


金剛「まぁ・・・そうネ」


翔誠「重かったですよね?申し訳ありません」


金剛「気にしないデ?私が好きでしてたカラ!それに可愛い物も見れましたしネ?」


翔誠「可愛い物?」


金剛「翔誠の寝顔♪」


翔誠「///」


金剛「今12:30だけどもうそろそろ行ク?」


翔誠「そうですね・・・行きましょう。金剛さん」


昼食を終え時刻は15時を回った


翔誠「それじゃ今日から2日間は各々の役割別の訓練でお願いします。大津田さんは明石さんの所へ。あきつ丸と春雨ちゃんは俺と。鳳凰院さんは島風ちゃん、タシュケントちゃんと」


鳳凰院「俺駆逐艦と訓練かい!?」


あきつ丸「露骨に喜んでるでありますな」


翔誠「鳳凰院さんは自力を伸ばしてもらいたいと思います。なので島風ちゃんとタシュケントちゃんの2人からは後から追いかけてもらいます」


鳳凰院「へへへ」


大津田「ゲッスい顔しやがるな。お前は」


翔誠「2人には1つだけ条件を付けました。殺す気で追いかけ回せって。鉛玉撃ち込みながらでもかまわないって言ってあるので」


鳳凰院「マジかよ!?」


翔誠「それじゃまた20時にお会いしましょう。大津田さんは無理に来なくて平気ですからね?馴染ませることを第一に考えといてください」


大津田「おう。んじゃあな」


翔誠「俺達も行こう」


春雨「はい!」


あきつ丸「了解であります」


鳳凰院「・・・」


島風「あ!蓮司さーん!早速始めよー?」


鳳凰院「よっしゃ!」


─────


翔誠「で?」


あきつ丸「何でありますか?」


翔誠「お前のもう一つの能力って何だ?」


あきつ丸「あぁ!そうでありましたな!」


春雨「私も気になります!」


あきつ丸「良いでありますよぉ・・・まずはご存知の物から失礼するでありますよ」


そう言いあきつ丸は右手を開き突き出した


あきつ丸「ふぅ・・・───焔の槍───」


焔の槍・・・そう口にするや否やあきつ丸の掌から黒い焔が槍状に伸びた。いや、伸びたでは表現が少し足りない。爆発しながら伸び続けた。これが正しいのであろう


翔誠「・・・心臓が2つあって出血もゼロだとこんなに射程も威力も上がるのか」


あきつ丸「大体フルパワーで30m位はイクでありますよ」


春雨「す・・・凄いです!カッコいいです!」


あきつ丸「いやぁ・・・春雨殿に褒められると照れるでありますなぁ~」


翔誠「んで?もう一つの切り札は?」


あきつ丸「お?焦らされるのは嫌いでありますか?」


翔誠「早くしろ」


あきつ丸「やれやれ・・・仕方ないでありますなぁ」


渋々あきつ丸は右手を再び開き今度は突き出さずに海面に手を付けた


あきつ丸「ふぅ・・・ふっ!」


一瞬の出来事だった。手を付けた海面が一気に凍ったのであった


翔誠「・・・」


あきつ丸「名前はまだ無い技でありますよ」


春雨「あきつ丸さん燃やすだけじゃなくて凍らせることもできるんですか!!凄いです!」


あきつ丸「あまり褒めてくださるなって~照れるでありますなぁ~」


翔誠「お前これどうやってるんだ?」


あきつ丸「血液の流れを部分的に無くしてるんでありますよ。壊死すると冷たくなるでありましょう?その原理でありますよ」


翔誠「それでも海面を凍らせる程の温度にはならねぇだろ」


あきつ丸「まぁ・・・その辺の構造は自分にはわからないであります。申し訳ないでありますな」


そんなこんなで時間は過ぎ去り時刻は20時


鳳凰院「し・・・死ぬ」


タシュケント「同志!この人なかなかやるよ!」


翔誠「そうなの?」


島風「うん!私達から普通に逃げ切ったもん!」


翔誠「鳳凰院さん・・・正直想像以上でしたよ」


鳳凰院「だ・・・だろ?俺が1番ビックリしてるよ・・・水くれぇ・・・」


タシュケント「それで?同志達の方はどうだったの?」


翔誠「ん?あきつ丸と春雨ちゃんのこと?」


島風「確かに!どうなったのー?」


翔誠「あーまぁ・・・うん」


島風「すっごく不安になる回答なんだけど!?」


────


あきつ丸「はぁ・・・はぁ・・・」


春雨「はぁ・・・はぁ・・・あきつ丸さんの余裕の無いところ初めて見ましたよ」


あきつ丸「あまりからかわないで欲しいでありますなぁ・・・流石にあの怪物(翔誠)を相手にするのはしんどいでありますよ・・・艦娘キラーでも持ってるんでありますか?」


春雨「確かにありそうですね・・・疲れましたし戻りませんか?」


あきつ丸「ナイスアイデアであります。お風呂入ってご飯食べて寝るでありますよ」


────


翔誠「まぁ・・・やり過ぎたとは思ってるよ」


タシュケント「ふ~ん?まだ体力は残ってるの?」


翔誠「いやいや。何時間ぶっ通しだったと思ってるの?もうヘトヘトだよ。遊ぶ体力なんか残ってないよ」


タシュケント「そう?なら仕方ないね」


翔誠「さぁ。2人共お風呂入ってご飯食べてもう寝た方が良いよ。明日も鳳凰院さんの相手してもらうからね!」


2人「はーい!」


掃討作戦まで残り5日。午前3時


海原「ふぅ・・・5日後か」


古崎「何黄昏れてるんですか?海原さん」


海原「別に黄昏れてなんかねぇよ。ただこの煙草も飽きたなぁって」


古崎「パーラメントですか?飽きる物なんですか?」


海原「飽きたな。缶ピースか缶アメスピでも吸ってみるか」


古崎「メビウスでも良いんじゃないですか?」


海原「アホが。アレは煙草覚えたてのクソガキ共がイキがって吸う物だろ」


古崎「えーそんな事ないと思いますけど」


海原「んで?何か用事があってきたんだろ」


古崎「あ!そうですそうです!遂に完成しましたよ!」


海原「何がだ」


古崎「嫌だなぁ~もうボケが始まってるんですか?翔誠君2号ですよ」


海原「ほーあいつの2号ねぇ・・・失敗してなきゃ良いけどな」


古崎「なら見てみてくださいよ!入ってきてー!」


古崎の言葉と共に入ってきたのは翔誠とは似ても似つかぬシルエットの『女性』だ


海原「・・・お前舐めてるのか?」


古崎「どこがです?翔誠君は小柄な男だったのでその逆になるように作ってみたんですよ?」


海原「完全にテメェの趣味だろうが」


古崎「まぁ安心してくださいよ。強さは保証しますからね?姫級鬼級の火力なら普通に耐えるだけの装甲もありますし火力なら51砲を積んだ大和型よりあるんじゃないですかね?まぁ彼女はもっぱら近接戦闘特化ですが」


海原「・・・強いんなら構わねぇが」


???「私はこの後どうすれば良い?」


女が問いかける


海原「お前名前は?」


女「名前?無いな」


古崎「名前どうします?海原さん決めちゃってくださいよ」


海原「そうだな・・・藍羅なんてどうだ?」


古崎「良いんじゃないですか?どんな意味ですか?」


海原「意味って言うか・・・眼が藍色ってのと羅刹から取った」


藍羅「藍羅・・・うん。それで構わない」


古崎「それじゃ藍羅ちゃんはこれから・・・」


大和武尊「あ?少し海に潜ってる間に出来損ないみたいな面の女ができてるじゃねぇか。誰だそいつ?」


藍羅「古崎。この下品な奴はなんだ?」


大和武尊「あ?」


古崎「彼は大和武尊。深海の大和型だよ」


藍羅「深海の大和型・・・ふぅ~ん」


大和武尊「おい海原。こいつムカつくから喰っちまっても良いか?」


海原「ダメに決まってんだろボケが」


大和武尊「はぁ!?何でだよ!てかそもそもこのクソアマ何のために作ったんだよ!テメェらの夜の相手か?あ!?」


藍羅「私は別に床の技術は学んでいない。それに私はお前より強い」


大和武尊「ほう・・・言ってくれるじゃねぇか・・・生まれたてのガキには躾が必要だよなぁ?古崎。こいつ借りるぞ」


海原「いやここで良い。やるならここでやれ」


古崎「随分乗り気ですねぇ・・・どうしたんですか?」


海原「単純にそいつの実力が知りたい。それだけだ」


大和武尊「決まりだな」


~数分後~


藍羅「はぁ・・・はぁ・・・」


大和武尊「クソが!ここまで手こずらせやがって!」


藍羅は意識が飛んでいるがほぼ外傷がない。大して武尊は───


大和武尊「古崎!テメェこのクソアマに何仕込みやがった!」


古崎「え?別に何も仕込んでないですよ?」


大和武尊「戯れ言抜かすんじゃねぇ!何も仕込んでねぇなら何で俺は両腕ぶっ飛んでんだ!アァ!?」


海原「テメェが弱えからだろうが」


大和武尊「んだとテメェ!」


海原「古崎。藍羅は次の掃討戦で俺と武尊と組ませろ」


古崎「わかりましたよ。それまでにもう少し教育しときますから」


海原「おう」


午前6時。鎮守府


春雨「ふぁっ・・・あぁ~ムニュムニュ」


連日の訓練の疲労も癒えていないはずだが早朝に目覚めた


春雨「6時・・・翔誠さん起きてるかなぁ・・・」


その頃翔誠はと言うと───


翔誠「・・・」


金剛「可愛い寝顔ネ・・・」


金剛型の部屋にいた


同時刻医務室


大津田「いっっっってぇぇぇぇぇ!!!!」


明石「ゲッ!?もう麻酔から醒めたんですか!?」


大津田「明石!早く鎮痛剤くれ!痛みで頭おかしくなりそうなんだ!!」


明石「わかりました!すぐ用意します!」


数分後───


大津田「ふぅ・・・だいぶ痛みが引いた・・・助かった」


明石「いえいえ」


大津田「それで手術は?」


明石「成功と言ったら成功なんですが・・・」


明石の顔が少し曇った


大津田「はっきり言ってくれ。その方が気が楽だ」


明石「・・・普通の腕として使う分には日常生活に支障は無いのですがね?投影回路が集中してまして・・・戦闘時に投影を行うと激しい痛みが伴う可能性が高いんですよ」


大津田「ほう・・・」


明石「軽いナイフとかならまだしも先日言ってた海原の鬼の装甲を砕きそうになった刀を投影するとなると・・・さっき以上の痛みが伴いますね。回数も使えて1度。それを超えると投影回路が暴走して右手は機能しなくなる恐れがあります」


大津田「なるほどな・・・それだけ聞ければ問題ない」


明石「・・・刀は1日に1回程度なら回路も暴走せずに済むと思います」


大津田「わかった。サンキューな」


明石「決して無理はしないでください」


そう言い明石は黒い布を大津田の右手に巻き始めた


大津田「これは?」


明石「言うならばリミッターみたいな物ですね。回路の暴走を最小限にする物です。まぁ力を抑えてるわけですから当然武器自体の強度と火力は落ちますが」


大津田「なるほどな。あとどの位休んでれば良いんだ?」


明石「最低でも2日ですかねぇ?細胞が馴染むかどうかでもう2日延びる可能性もありますが・・・」


大津田「かなりギリギリになるな」


明石「一応手術はかなり速く終わらせたんですけどね・・・」


大津田「まぁ良いさ!果報は寝て待て、だ。しばらくは休暇だと思ってゆっくり過ごすさ」


それから数時間が経ち───


翔誠「大津田さん調子どうですか?」


大津田「翔誠か。悪いな、しばらくは動けそうにねぇ」


翔誠「移植は成功ですか?」


大津田「まぁな」


翔誠「なら良かったです。こっちはなかなか順調に進んでますよ」


大津田「そうなのか?」


翔誠「はい。特に鳳凰院さんが想像以上に」


大津田「それは良い意味で裏切られたな」


翔誠「そうですよね。これで戦える札が一枚増えましたよ」


大津田「・・・なぁ翔誠」


翔誠「何ですか?大津田さん」


大津田「お前・・・この戦いが終わったらどうするつもりなんだ?」


翔誠「・・・」



2章:掃討作戦前夜



時は進み掃討戦前日


翔誠「あっという間だったなぁ・・・」


屋上の喫煙所で煙草を吸いながらそうぼやいた


大津田「まぁやれるだけの事はやったんじゃねぇか?」


右手に黒い布を巻いた大津田が言った


翔誠「それでもあいつらの考えることは読めませんからね」


大津田「お前最近ロクに休んでねぇから頭回ってねぇんじゃねぇか?幸い今日は完全に休みなんだし少し寝りゃ良いんじゃねぇか?」


翔誠「1人でいると嫌でも考えちゃうんですよ。誰が死ぬのかって」


大津田「まぁそうだよな」


翔誠「そんな風に考えるのは大体今みたいな時間帯なんですよ。1番暗いこの時間帯に暗いことを考えちゃうんです」


大津田「夜明け前って事か?まぁどっかの鎮守府の香取が言ってたな。夜明け前が1番暗いって」


翔誠「はぁ・・・俺はどうしたら良いんですかね?」


大津田「気楽にやれって言うのは無責任だからなぁ・・・まぁ・・・あれだな」


翔誠「どれです?」


大津田「お前が後悔しないようにやれ。これしかねぇな!」


翔誠「後悔しないように・・・」


大津田「おい翔誠見て見ろよ。日が昇る」


翔誠「!」


水平線の彼方から昇ってくる日。それは翔誠の暗い考えを少しは抑えた


大津田「お前さっき夜明け前に誰が死ぬのか考えるって言ったよな?アレを見ろ。どんなくらい夜もあぁやって日が昇って夜の闇を掻き消す。ならお前の悩みもあんな感じに掻き消せる。そう思わねぇか?」


翔誠「ふふっ・・・なんですかそれ」


大津田「な!?笑うんじゃねぇよ!励ましの言葉だ!」


翔誠「ありがとうございます。少し元気でました」


大津田「・・・1つだけ言っとくぞ」


翔誠「何ですか?」


大津田「お前が死んだら悲しむ奴がいる。少なくとも1人はな。自滅特攻とかはするんじゃねぇぞ」


翔誠「・・・胸に刻んどきます」


時刻は進み午前9時


翔誠「んっ・・・んん・・・ん?」


自室のベッドで寝ていた翔誠。彼はあることに気が付いた


翔誠「久々に体が軽い」


大津田言葉の効果かはわからないが久方ぶりの魘されない眠りにつけていたらしい。そしてもう一つ


翔誠「・・・何だこの膨らみ」


体を起こした翔誠は眠る前には無かったベッド上の膨らみに気が付いた


翔誠「え?何これ・・・何かモゾモゾ動いてるし」


勇気を出してシーツを捲ってみた


春雨「すぅ・・・すぅ・・・」


金剛「んん~~~」


翔誠「おぉ??どういう事?」


金剛「んぅ・・・お?翔誠goodmorning ?」


翔誠「おはよう・・・ございます?何で2人がいるんですか?」


金剛「んーー夜這イ?」


翔誠「うぇ!?」


金剛「シッ!春雨が起きちゃうヨ?」


翔誠「あ・・・確かに」


金剛「まぁ夜這いと言ってもただ潜り込んだだけデース」


翔誠「良かった・・・でもなんで2人何ですか?」


金剛「部屋に入る時に鉢合わせマシタ!えへへ」


翔誠「はぁ・・・まぁ何でかはわかる気がしますので言わないでください」


金剛「察しが良いネェ~」


翔誠「まぁ久々に快眠だったので」


金剛「それは良かったデス!あ!そう言えばお昼に食堂に来いって鳳翔と間宮が言ってたネ!」


翔誠「食堂に?最後の晩餐か何かのお誘いですかね?」


金剛「縁起でも無いこと言わないでヨ!」


翔誠「すみません。冗談ですよ」


金剛「タチの悪いジョークネ!」


春雨「んんぅ・・・あ!翔誠さんおはようございます!」


翔誠「おはよ春雨ちゃん。ゆっくり寝れた?」


春雨「はい!」


金剛「フフっ」


翔誠「どうしました?」


金剛「いえ?何か2人を見ているとカップルって言うよりも兄妹に見えるなーっテ思いましタ」


翔誠「兄妹・・・まぁそれも悪くはないですけどね」


春雨「翔誠お兄ちゃん」


翔誠「!?」


金剛「オ!春雨~やるようになりましたネェ~」


春雨「エヘヘ。ありがとうございます!」


翔誠「俺ちょっと煙草吸いに行ってきますね」


金剛「照れたノ?」


翔誠「///」


顔を染めながら首を縦に振った


金剛「可愛い子ネ」


~喫煙所~


翔誠「ふぅ・・・・あれはタチが悪すぎるって」


あきつ丸「おやおや。艦娘と深海棲艦絶対ぶっ殺すマンの翔誠殿は春雨殿の可愛さには負けるのでありますなぁ?」


翔誠「別に俺はぶっ殺すマンじゃねぇよ」


あきつ丸「春雨殿の事は否定しないのでありますなぁ?」


翔誠「だって可愛いのは否定できねぇし事実だし」


あきつ丸「素直でありますなぁ?さては他に良いことがあったのでは?」


翔誠「・・・久しぶりによく寝れた。魘されることなく」


あきつ丸「お!良いでありますなぁ!自分は8時間ばっちり快眠であったでありますよ!」


翔誠「少し羨ましい」


あきつ丸「それから聞いたでありますか?正午に食堂に来ること」


翔誠「金剛さんに聞いたよ」


あきつ丸「なら良かったであります!では自分はこれにて!」


翔誠「・・・相変わらず嵐のような奴だなぁ」


ガチャン


鳳凰院「おぉ?翔誠君?一服かい?」


翔誠「まぁ一服以外にここに来る理由なんか無いですよ」


鳳凰院「違いない!」


翔誠「ふぅ・・・足の筋肉痛は良くなりました?」


鳳凰院「まだちょっと来てるよ。流石に昨日の今日じゃ完全には取れないよ」


翔誠「ふぅ・・・何つーか実感湧かないですよね」


鳳凰院「明日が掃討戦って事に?」


翔誠「はい。あいつらがいつ攻めてくるのかもいまいちわかりませんし」


鳳凰院「んーーー俺にはわからん!」


翔誠「俺もわからないです。けど常に緊張状態だとみんなも気が気じゃありませんし・・・」


鳳凰院「翔誠君は優しいねぇ!他人を気遣える何て海原には無い物だ!」


翔誠「・・・誇って良いんですかね?」


鳳凰院「勿論!あいつとは根本的に強さの源が違うって意味でも良いことだと思うよ!」


翔誠「強さの源?」


鳳凰院「あいつはただ壊すこと、崩すこと。そう言った破壊的衝動が強さの源だけど翔誠君はその真逆。仲間を思う事が強さの源だと俺は思う!」


翔誠「大津田さんと言い鳳凰院さんと言い今日はヤケに俺の事褒めてくれますね」


笑いながら言った


鳳凰院「褒めるって言うか思ってることだね!」


笑いながら返した


翔誠「ふぅ・・・春雨ちゃんの所に戻りますね」


鳳凰院「おっ!じゃあまた食堂でね!」


─────


翔誠「春雨ちゃんただいま~」


春雨「翔誠さん!お帰りなさい!」


翔誠「さて・・・まだ食堂に行くまで1時間半以上あるな・・・どうした物か」


春雨「あ・・・あの!」


翔誠「どうしたの?」


春雨「その・・・翔誠さんが良ければ何ですけど・・・その」


翔誠(春雨ちゃんが歯切れ悪くなる時は決まって爆弾発言をしてくる時だからなぁ・・・身構えておくか)


春雨「き・・・キスをしてもらえませんか?」


翔誠「キス?」


春雨「ダメ・・・でしょうか?」


翔誠「・・・」


春雨「うぅ・・・」


翔誠「春雨ちゃん」


春雨「はい・・・ん!?」


チュッ


翔誠「・・・続きはお昼が終わってからで・・・良い?」


春雨「は・・・はい」


翔誠「ありがとね。場所は俺の部屋で良い?それともどこか別の場所にする?」


春雨「いえ!翔誠さんのお部屋で大丈夫・・・です」


翔誠「わかった!それじゃ俺は少し寝ようと思うけど・・・春雨ちゃんはどうする?」


春雨「私は・・・部屋に戻ります」


翔誠「わかった!じゃあお昼にまた!」


ガチャン


春雨(あわわわわ!!翔誠さんとお昼が終わったらセッ・・・セックスをするという事で良いんですかね!?それにキスをするのにもあまり抵抗がありませんでしたし・・・///)


金剛「HEY春雨!翔誠の部屋の前で赤くなってどうしたノ?」


春雨「ふぇ!?あ・・・いや・・・その・・・何でもないです!」


金剛「・・・はは~ん?さては今夜・・・」


春雨「言わないでください!」


金剛「冗談ヨ。これから部屋に戻るノ?」


春雨「そうですけど・・・金剛さんはどうしたんですか?」


金剛「翔誠に用があってネ?」


春雨「わかりました!ではまたお昼に!」


金剛「OK!」


────


翔誠「はぁ・・・気が気じゃねぇのかなぁ・・・俺」


コンコン


翔誠「どうぞー」


ガチャ


金剛「HEY翔誠!煙草は美味しかっタ?」


翔誠「まぁ・・・そこそこですかね?」


金剛「そうナノ?」


翔誠「はい。あっ・・・座ってくださいよ」


金剛「それじゃ遠慮なく失礼するヨ!」


ポスン


翔誠「・・・金剛さん?」


金剛「どうしたノ?」


翔誠「少し近くないですか?」


金剛「近いのはイヤ?」


翔誠「いえ・・・嫌では無いですが」


キュッ


翔誠「金剛さん?」


金剛「少しだけ・・・このままにさせてクダサイ」


翔誠の隣に座った金剛は翔誠の腕を掴みそう言った


翔誠「・・・不安ですか?」


金剛「また・・・貴方が居なくなるんじゃないか心配なんデスヨ」


翔誠「前の俺なら・・・死んでも海原を殺そうとしてたでしょうね」


金剛「・・・」


腕を掴む金剛の力が少し強くなった


翔誠「でも・・・今は生きたいって思います。死にたくない、生きてみんなと暮らしたいって」


金剛「・・・そこだけは変わってくれたんデスネ」


翔誠「金剛さ──」


ギュウ


金剛「ゴメンナサイ。今だけは・・・ワガママを言わせてくれませんカ?」


翔誠に抱きつきながら言った


翔誠「良いですよ・・・金剛さんの我が儘ならいくらでも聞きます」


金剛「最初は・・・このまま頭を撫でて欲しいデース」


翔誠「お安いご用です」


ナデナデ


金剛「んっ・・・心地良いデス」


翔誠「ありがとうございます」


金剛「次はそのままほっぺを撫でて欲しいデス」


翔誠「任せてください」


ナデナデ


金剛「ウフフ・・・これは少しくすぐったい物デスネ」


翔誠「金剛さんの肌とっても綺麗でずっと触ってたくなりますね・・・」


金剛「thank you・・・このまま強く抱きしめテ」


ギュゥゥ


翔誠「苦しくないですか?」


金剛「翔誠は優しいデスネ・・・大丈夫ヨ。丁度良いデス」


翔誠「それなら良かったです」


そのまま数分が経過した


金剛「最後に1つ良いデスか?」


翔誠「はい」


金剛「・・・前みたいにキスを・・・してもらえませんカ?」


翔誠「・・・わかりました」


金剛「ん・・・ちゅっ・・・んん・・・」


翔誠「チュ・・・んぁ・・・ん・・・ちゅっぱっ・・・」


────


金剛「翔誠ありがとネ」


翔誠「いえ。俺の方こそありがとうございました」


金剛「では・・・また後デ」


パシッ


金剛「?翔誠どうしたノ?」


ギュッ


金剛「!?」


翔誠「あーーーその・・・キスだったらいつでも・・・しに来てください。女誑しって思われるかもしれませんけど・・・そんな涙目になる位まで溜め込むくらいならその・・・・」


後から抱きついた翔誠が言う


金剛「ウフフフ・・・貴男は本当に優しい子ネ。ありがとう。その言葉で救われマシタ。ケド・・・今度はキスの先がしたいカナ?」


翔誠「・・・明日生き残ったらします?」


金剛「エッ」


翔誠「前に初めては春雨ちゃんがって話したの覚えてます?」


金剛「覚えてるケド・・・」


翔誠「お恥ずかしながらこの後その・・・しようかなって・・・なので・・・初めてではないですが」


金剛「絶対生き残りまショウ!」


翔誠「はい!」


時は少し進み11時55分。春雨が翔誠を迎えに来た


ガチャッ


春雨「翔誠さーん?起きてますか?」


翔誠「すぅ・・・すぅ・・・」


春雨「翔誠さんの寝顔見るのって久しぶりな気がしますね・・・イヤホン?何を聴いてるのかな?」


春雨は翔誠のイヤホンを片方外し自分の耳に付けた


春雨「あ・・・この曲・・・観艦式の時に私が歌ったunravelだ・・・」


翔誠「んっ・・・んん・・・お?春雨ちゃん?迎えに来てくれたの?」


春雨「翔誠さんおはようございます!あの・・・今聴いてる曲って・・・」


翔誠「あぁ・・・春雨ちゃんが歌ってたunravelだよ」


春雨「覚えててくれたんですね!嬉しいです!」


翔誠「そんなにかな?・・・おっとヤバい。時間だよね?」


春雨「ハ!忘れてました!あとは翔誠さんだけですよ!」


翔誠「よっしゃ!行こうか!」


春雨「はい!」


正午。食堂にはトラック泊地の艦娘が勢揃いであった


翔誠「うぉ・・・めっちゃ居る。ここの鎮守府にこんなに艦娘がいたんだ」


青葉「およ?翔誠君!どうしたんですかぁ?もしかして綺麗な人が多くて驚いてるとか?」


翔誠「否定は・・・しません///」


青葉「良い表情しますねぇ!1枚いただき!」


カシャッ!


春雨「あ!青葉さん!」


翔誠(お?珍しく春雨ちゃんが怒ってる)


春雨「今の写真私にも1枚ください!」


翔誠「そっち!?」


青葉「お安いご用ですぅ!」


大津田「おーい翔誠!みんなお前待ちだぞ!」


鳳凰院「朝から何も食べれてないからお腹減っちまったよ~」


翔誠「それは悪いことをしてしまいましたね。それで・・・これは何の集まりなんですか?」


大和「最近みんな死に物狂いで訓練してたじゃない?」


武蔵「それで気を利かせた鳳翔と間宮が前夜祭を開いてくれたんだ。まぁ験担ぎも込めてか?」


鳳翔「だって皆さんこの1週間とても頑張ってたので・・・決戦の前に美味しいご飯を食べてもらって生きてまた食べたいって思えるようにしてみました!」


間宮「だから死んでも殺すなんて思っちゃダメですよ?特に翔誠君?」


翔誠「そんな事しませんよ。生きてみんなと暮らしたいですから」


大和「!」


武蔵「ハハハ!やっとその事に気が付いたか!」


金剛「HEY!そろそろ始めまショー?」


大淀「そうですね。では皆さん!明日の決戦に備えて食べましょう!グラスを掲げてください!」


翔誠「おぉ・・・すげぇ。大淀さんめっちゃはりきってる」


あきつ丸「やっとお偉いさん方から解放されたらしいでありますよ」


翔誠「なるほど・・・」


大淀「皆さん良いですか!乾杯!」


「「乾杯!」」


大津田「んっ・・・んっ・・・ブハァ!真っ昼間っから酒呑めるなんて最高だなぁ!」


鳳凰院「ブハァ!最高以外の何でもねぇや!」


大津田「翔誠は飲まないのか?」


翔誠「俺はジュースで大丈夫です。俺の代わりに2人で飲んじゃってください」


2人「しゃあ!」


翔誠「それにしても・・・」


綺麗な人多すぎでしょ


鳳翔「翔誠君どうしました?考え事ですか?」


翔誠「鳳翔さん・・・いや。ここの鎮守府は綺麗な人が多いなぁって思ってたんですよ」


鳳翔「まぁ!翔誠君も男の子なのね♪」


翔誠「否定はしません///それと・・・」


鳳翔「どうしました?」


翔誠「あの時大津田さんの相手をしてくれてありがとうございます」


鳳翔「あら!覚えててくれたんですね!」


翔誠「以後お見知りおきをって言ってたじゃないですか」


クスりと笑う翔誠


鳳翔「うふふ。ありがとうございます。それより・・・私と話すだけじゃなくて他の娘とも話してあげてくださいね?みんな普段あまり喋れてないので楽しみにしてるみたいですよ?」


翔誠「そうですか・・・なら名残惜しいですが行ってみますね」


鳳翔「はい!」


─────


鹿島「あら?翔誠君?」


翔誠「鹿島さん・・・」


やべぇ・・・ほとんど接点がねぇ人と遭遇してしまった


鹿島「この前の観艦式の歌、とっても良かったですよ!」


翔誠「え?あ・・・ありがとうございます」


鹿島「皆さんあんなに良い歌を歌ってくれて・・・観艦式を開催して良かったです♪」


翔誠「それなら良かったです・・・最近調子はどうですか?」


鹿島「え?調子ですか?うーーん・・・可も無く不可も無くと言ったところですかね?」


翔誠「普通が1番ですからね」


鈴谷「お?鹿島翔誠にナンパされてるじゃん!」


翔誠「鈴谷!?」


なぜか鈴谷だけは呼び捨てにできるんだよなぁ・・・見た目が同い年位だからかな?


鹿島「もう・・・別にナンパなんかされてないですよ?」


鈴谷「なーんだ。つまらないのー」


鹿島「そう言う鈴谷さんこそ翔誠君のことをナンパしに来たのでは?」


翔誠「え?そうなの鈴谷?」


鈴谷「はぁ!?そんな訳ないじゃん!こんなちんちくりんのロリコン童貞を逆ナンしても面白くないもん!」


翔誠「な!?」


鹿島「え?翔誠君って童貞だったんですか!?」


翔誠「どこに食いついてるんですか!」


鈴谷「鹿島の童貞キラーは凄いからねぇ?ひょっとして今まであんまり関わらなかったのもそう言う事?」


翔誠「ちげぇ!ただ鹿島さんとはあまり接点が無かったしそもそも会うタイミングとか無かったし・・・」


榛名「鈴谷さん?あまり翔誠を困らせないでくださいね?」


鈴谷「うげぇ・・・榛名ちゃんが出てきたら引くしかないわぁ・・・」


翔誠「・・・榛名さん鈴谷と何かあったんですか?」


榛名「まぁ・・・色々?」


翔誠(気になる)


榛名「気になります?」


翔誠「まぁ・・・少しは気になりますよね」


榛名「うっふふふ♪女の子の秘密です♪」


翔誠「そう来ますか・・・」


榛名「でも・・・本当に気になるなら・・・教えて上げても良いですよ?」


翔誠「ホントですか!」


榛名「えぇ・・・体で♪」


金剛「HEY榛名!翔誠を口説くんじゃないヨ!」


榛名「ねねねねねね姉様!?榛名は別に口説いてなんかいませんよ!?」


金剛「完っっっ全に口説きにかかってたネ!ほら!貴女はこっちヨ!」


榛名「あ~~~~~!」


金剛「・・・翔誠?」


翔誠「何ですか?」


金剛「今日はいっっぱい楽しむんダヨ?」


どこか儚く、綺麗に微笑んだ金剛さんはそう俺に言った


翔誠「・・・はい!」


金剛「YES!良い返事ネ!」


─────


秋月型「あ・・・」


翔誠「ん?君達は・・・」


秋月「えっと・・・その・・・何て言ったら良いんでしょうか」


照月「前の人格の貴方に助けてもらった高性能防空駆逐艦です!」


初月「まあ・・・間違いではないが」


翔誠「誠が助けたって事?」


初月「そうだな。よくわからない島から助けてもらった。その頃からしたらかなり優しい雰囲気が漂っているな?」


秋月「コラ初月!」


初月「すまない。出しゃばった言い方をしたな」


翔誠「いや気にしてないよ?現にその当時の記憶無いから何とも言えないんだけどね」


照月「記憶が無くて辛かったりしないんですか?」


翔誠「そうだね・・・たまに凄くムシャクシャしたりするけど・・・俺は俺だからあんまり辛くないかな?」


秋月「深い言葉ですね・・・」


翔誠「そうかな?でもまぁ・・・」


秋月型「?」


翔誠「前の人格の俺はそんなに悪い奴じゃないのは確かだ」


─────


翔誠「お?この卵焼き・・・美味そう」


瑞鳳「あ!それ私が作った卵焼きです!良かったら食べてみて!」


翔誠「それじゃありがたく頂くね・・・ところで君は・・・」


瑞鳳「そっか!記憶無いんだもんね!私は瑞鳳!よろしくね!」


翔誠「俺は翔誠!よろしく!それじゃ早速いただきます!」


瑞鳳「はい!」


もぐっ


翔誠「!この卵焼きすっっごく美味しい!」


瑞鳳「良かった!まだまだいっぱいあるから食べてね!」


翔誠「ありがとう!瑞鳳ちゃん小柄なのにしっかりしてるんだね!」


瑞鳳「あ!私の事駆逐艦だと思ってるでしょ!」


翔誠「え!?違うの!?」


瑞鳳「もう!あの大きな人と同じこと言ってる!私は軽空母!間違えないで!」


少し膨れながら怒る瑞鳳ちゃんはとっても可愛かった


翔誠「ごめんね!」


鳳凰院「あれ?瑞鳳ちゃん!翔誠君と何かあったの?」


瑞鳳「貴男と同じこと考えてたんですよ!」


鳳凰院「あぁ・・・なるほど・・・でも瑞鳳ちゃん可愛いから良いじゃん?」


瑞鳳「良くないです!」


鳳凰院「膨れちゃって可愛いなぁ・・・」


翔誠「鳳凰院さん・・・目がマジですよ」


鳳凰院「え!?」


瑞鳳「鳳凰院さんのスケベ!」


鳳凰院「な!?」


翔誠「あっはははは!」


意外とこの2人お似合いかも


────


翔誠「ふぅ・・・」


その後は色々あった。海外艦と大津田さんがイッキ対決してたり加賀さん達があーんしろと言ってきたり


翔誠「・・・憲兵全員ぶっ殺してまたみんなと飯食ってやるから覚悟しとけよ・・・海原」


翔誠自室にてついに・・・


コンコン


翔誠「どうぞー」


ガチャッ


春雨「えっと・・・お邪魔します」


翔誠「うん・・・何か飲む?」


春雨「あ・・・ならお茶か何かをお願いしても良いですか?」


翔誠「うん!少し待っててね!」


────


翔誠「熱いお茶で良かった?」


春雨「問題ないです!」


翔誠「なら良かった」


そして流れる沈黙。無理もない。これから互いにする行為を考えれば


翔誠(勢いで誘ったけど何て言って始めれば良いんだ?もう「今からやろう!」とかだと品がねぇしなぁ)


春雨(あわわわわ・・・翔誠さん絶対どうやって切り出すか考えてます!こうなったら私から・・・でもそしたら翔誠さんにはしたない子って思われちゃうかも・・・)


翔誠「春雨ちゃん」


春雨「ひゃい!?」


春雨(声が裏返っちゃた・・・うぅ・・・恥ずかしぃ)


翔誠「その・・・誘っておいてなんだけどさ・・・俺実は・・・その・・・初めてだからさ?力加減とか全くわからないからさ・・・痛かったらしっかり言ってね?」


春雨「はい・・・」


翔誠「春雨ちゃん・・・」


春雨「ん・・・ちゅっ・・・んっ」


─────


翔誠「それじゃ・・・脱がすね?」


春雨「はい・・・」


シュル・・・パサッ


翔誠「・・・」


春雨「あの・・・無言になるのやめてもらえませんか!?すっごい恥ずかしいです!」


翔誠「あぁ・・・ごめんね?綺麗だったからつい」


春雨の体はとても華奢で、それでいて女性らしい部分はしっかり出ていて凹凸が綺麗に別れた体だった


春雨「翔誠さんも脱いでください!」


翔誠「そうだね・・・あんまり驚かないでね?」


パサッ・・・パサッ


春雨「!?」


翔誠「まぁ・・・そんな反応になるよね」


翔誠は男の中では小柄な方だがしっかりとした筋肉が備わっており腹筋もしっかり6つに別れている。しかしそれよりも目を引くのは・・・


春雨「その傷・・・どうしたんですか?」


体中いたる場所に残った傷跡


翔誠「まぁ・・・色々あったとしか言いようがないかな」


春雨「・・・」


翔誠「膝の上に乗ってくれる?」


幸い2人はまだ下着・・・もといパンツは脱いでなかった


春雨「はい・・・キャッ!?」


翔誠「ごめんね・・・春雨ちゃん。どうしても・・・どうしてもこうやって抱きしめたかったんだ。今まで・・・俺が知らないところで散々・・・痛めつけられてきたんだよね・・・したくもないことさせられてきたんだよね・・・もっと早く・・・もっと早くに・・・気付ければ・・・」


涙混じりに翔誠は語った


春雨「・・・翔誠さんは本当に優しい方ですね。今まで私の事をこんなに心配してくれたのは貴男だけです。確かに貴男に出会う前は生きているのが本当に地獄でした。でも・・・貴男と出会って・・・地獄だった日々が・・・少しずつ楽しくなってきました。それに・・・」


春雨も翔誠の事を抱きしめた


春雨「こんなに傷だらけになってもまだ私の事を心配してくれるなんて・・・翔誠さんには感謝してもしきれないですね」


翔誠「春雨ちゃん・・・」


─────────


時刻は夕方18時


翔誠「寝ちゃったか・・・」


春雨「すぅ・・・すぅ・・・」


結論から言うと2人は行為を行った。それも1回では無く15回ほど


翔誠「まぁ・・・あんだけやっちまったら疲れて寝ちゃうよな。鳳翔さんの所に飯食いに行くか」


居酒屋鳳翔


ガラガラ


翔誠「・・・やってます?」


鳳翔「あら?翔誠君?珍しいですね・・・お1人ですか?」


翔誠「1人ですね」


鳳翔「カウンターで良いですか?」


翔誠「問題ないです・・・何か簡単な物と・・・レモンサワーってあります?」


鳳翔「ありますよ?少し待っててくださいね!」


─────


鳳翔「お待たせしました!レモンサワーとお刺身。それからモツ煮です!」


翔誠「ありがとうございます」


鳳翔「・・・不安ですか?」


翔誠「・・・不安ですよ。元を辿れば俺が撒いた種ですから。誰が傷付いて何人が死ぬか・・・」


鳳翔「うちの娘達はそんなに軟じゃないですよ?翔誠君が思ってるほど弱くありません」


翔誠「それでも・・・海原の前だと並の人間と変わりありませんよ。俺がそうであるようにあいつにも艦娘に対する絶対的な特効効果があります」


鳳翔「それじゃ・・・」


翔誠「安心してください。あいつは俺が絶対に殺します。対価が俺の腕の1本や骨の2本・・・内臓になっても。絶対に俺がこの手で・・・」


鳳翔「命を賭けるって言わなかっただけ良しとしましょう」


翔誠「ありがとうございます・・・美味しいですね。このモツ煮」


鳳翔「生きて帰ってまた食べに来てくださいね」


翔誠「絶対に来ますよ。こんな美味しい物2度と食えない何てごめんですから」


それから翔誠は喫煙所に出た


翔誠「ふぅ・・・」


あきつ丸「決戦前に一杯やってくるとはなかなかでありますなぁ?」


翔誠「すまない」


あきつ丸「咎めてる訳ではないでありますよ。寧ろ人間らしくて良いのでは?」


翔誠「・・・悪いけど俺は人間にはなれないよ」


あきつ丸「でしょうなぁ・・・」


翔誠「・・・死ぬなよ?」


あきつ丸「当たり前でありますよ。死んだら2度と翔誠殿をからかえないでありますからなぁ?」


翔誠「なんだよそれ・・・でも・・・少し笑えた」


あきつ丸「そうでありましょう?では自分はこれにて!」


そう言うと屋上から飛び降りあきつ丸は夜闇に消えた


翔誠「ふぅ・・・煙草変えるか」


その後翔誠はそのまま屋上で軽い眠りについた


時刻23時半。決戦まで残り30分


翔誠「・・・ん。今は・・・もうこんな時間か。ん?」


手元には普段翔誠が吸っているハイライトのメンソールとは別に普通のハイライトが置いてあった


翔誠「聞いてたのか・・・あきつ丸の奴」


ジュッ!


翔誠「ふぅ・・・うん。こっちにするか」


時刻は23時55分。決戦まで残り・・・5分



3章:強者達



翔誠「残り・・・30秒」


この4分間で周囲の海上に憲兵共がいないことは空母の彩雲や電探で探索済み。今は全員食堂にいる


大津田「3・・・2・・・1・・・0時だ」


翔誠「奴らがトラック諸島に侵入するには絶対に海上から来るはずです。どの方角から来るかは予想できませんが全方角を全員で守れば上陸も容易ではないです」


全方角囲むのに3分もかからなかった。だが・・・


翔誠「おかしい・・・10分経つのに来る気配がねぇ・・・」


大津田「実は昼間に襲撃してくるって事とかねぇのか?」


あきつ丸「それはないでありましょう。時間は指定されていなかったものの日付は指定されていた。となると日付が変わってすぐから作戦開始をするのが基本でありましょう?」


大津田「確かにな・・・」


その時であった


大和『翔誠!今ケータイ持ってる!?』


大和からの無線であった


翔誠「お姉ちゃん?ケータイなら持ってるけど・・・」


大和『今すぐニュースを見て!』


言われるがままニュースを見てみる。そこに写された映像は衝撃だった


キャスター『ご覧ください!日付変更と共に始まった中央憲兵による艦娘掃討作戦を!』


翔誠「なんだ・・・これ」


キャスター『日付が変わって物の10分足らずで横須賀鎮守府を除くすべての鎮守府の制圧が完了した模様です!残すは横須賀鎮守府のみです!』


ブツン!


翔誠「あいつの狙いは・・・ここだけじゃ無くて・・・全鎮守府・・・全艦娘の掃討だったのか・・・」


大津田「クッソ!やられた!どうする翔誠!」


翔誠「あいつらはここを最後に叩くつもりです・・・」


大津田「じゃあどうするんだ!このまま黙って指咥えて奴らが来るのを黙って見てろってのか!」


翔誠「俺が・・・行ってきます」


大津田「はぁ!?」


翔誠「俺の足ならタービンを乗っければ5分足らずで横須賀鎮守府まで着きます」


大津田「でもそれじゃお前海原と戦う頃には・・・」


翔誠「黙って見殺しにすることなんか俺にはできない!」


あきつ丸「明石殿から改良型タービン3つ借りてきたでありますよー」


翔誠「さんきゅ。あきつ丸。ここの指揮は任せた」


あきつ丸「了解であります。ご武運を」


大津田「おい!」


翔誠「1時間以内に戻ってきます!」


その頃横須賀鎮守府では・・・


天龍「クッソ!ここ以外の鎮守府が全部やられたって本当かよ!?」


龍田「増援が来ないって事はそうなのかもねぇ~」


天龍「何呑気に言ってやがる!」


???「みぃ~つぅけたぁ~」


天龍型「!?」


???「へぇ~艦娘って意外と可愛いんだねぇ?」


天龍「うるせぇ!テメェ何者だ!」


植木「自己紹介が遅れたね?俺は中央憲兵第8地区準特級兵植木だ。さぁお喋りはこの辺にして・・・ソロソロ死ね・・・雌豚共」


ガキン!


龍田「あらぁ・・・随分お喋りな憲兵さんねぇ?」


植木「俺の抜刀を止めるとはなぁ・・・なかなか気に入った。お前命助けてやるからセフレになれよ」


龍田「下品な人ねぇ?貴男のセフレになるくらいなら死んだ方がマシよぉ?」


植木「なら死ね」


翔誠「させる訳ねぇだろ!」


ガキン!


植木「あ?」


天龍「だ・・・誰だお前!」


翔誠「細かい話は後でします!とりあえず今は逃げてください!」


天龍「お・・・おう!誰だか分からねぇけど助かった!」


龍田「ありがとうねぇ?」


植木「チッ!逃がしちまったじゃねぇかよ」


翔誠「うるせぇ・・・それにしてもお前中央憲兵で見たこと無い顔だな・・・どこの所属だ?」


植木「見たこと無い?あぁ~お前か!海原が言ってた艦娘に肩入れしてるって言うクソガキってのは!」


翔誠「!」


植木「まぁ良いや・・・とりあえずお前から死ね!」


翔誠「死ねる訳ねぇだろ!」


ガキン!


植木「チッ!また弾くか!」


翔誠「何回でも弾いてやるよ。そんな温い刀なんてな」


植木「テメェ!」


???「おい植木!そいつに構ってる暇は無いぞ。とっとと離脱して本隊と合流だ!」


植木「うるせぇぞ盾宮!」


盾宮「早くしろ!あの天龍型2匹は私が始末しておいた!それにそいつにお前の投影を見られたら対策を練られる!」


植木「クソアマが・・・わかった!今行く!」


翔誠「逃がすわけねぇだろ!」


植木「盾宮刀貸せ!」


盾宮「ほらよ!早くしろ!」


植木「わかってるって・・・よっと」


ザクッ・・・ブッシューーーーー


翔誠「ガハッ!?」


植木「じゃあなぁクソガキちゃん」


─────


盾宮「たっく・・・本隊に遅れたらどうする」


植木「心配ねぇだろ。俺らが合流する前にワイルドキャッツのキチガイ共が血祭りにしてるだろ」


盾宮「否定はしないが・・・」


植木「まぁ良い感じに奴隷にできそうな奴を探すって意味では早く合流してぇな」


盾宮「ホント悪趣味な奴だな」


植木「お互い様だろ」


────


翔誠「ちっ・・・最後のあの刀捌き・・・早すぎて見えなかった」


???「あ~らら~?誰かと思ったら翔誠君じゃん!」


翔誠「・・・黒い・・・那珂さん?」


那珂「那珂で良いよ。それよりまたボロボロになってるねぇ?もしかして顔も知らない艦娘達を助けに来たとか?」


翔誠「・・・悪いですか?」


那珂「良いや?むしろ君らしくて安心したよ」


???「那珂?その子は?」


那珂「あ!紹介する!翔誠!このおっぱい大きい人はアメリカの空母イントレピッド!んでこの白髪の男の子が翔誠!」


イントレピッド「貴男が噂の翔誠ね!那珂から話は聞いてるわ!」


翔誠「何の話かは分かりませんがどうも」


イントレピッド「んん~~!可愛いわぁ!ハグしたい!」


ムギュッ!


翔誠「わっぷ!?イントレピッドさん!苦しいです!苦しいです!」


那珂「おぉ~男の子が1度は体験したい事ベスト10には入る巨乳の女の子の谷間に顔を押しつけるが叶ったじゃん!」


イントレピッド「おっと・・・苦しかった?」


翔誠「だ・・・大丈夫です。それよりお二人はなぜここに?」


那珂「ん?インピちゃんアメリカから拉致ってきてその帰りに何やら騒ぎがあったから来てみた」


翔誠「拉致ってきたんですか!?」


イントレピッド「そんな人聞きの悪いことじゃないわよ?幽閉されてた私を助けてくれたんだもの!ね?那珂?」


那珂「改めて言われると少し照れるかな・・・」


翔誠「のんびり話してる場合じゃねぇ!早く鎮守府に戻らねぇと・・・っ!?」


那珂「傷が思ったより深いみたいだね・・・とりあえずインピちゃん翔誠のこと背負ってトラック諸島まで行くよ!」


イントレピッド「OK!」


那珂「手当ては私がするから!少し痛むかもしれないけど我慢してね!」


翔誠「頑張ります!」


翔誠が傷を負った同時刻鎮守府


あきつ丸「・・・まさか!」


遥か水平線の先の本土を見つめあきつ丸は言った


大津田「どうしたあきつ丸」


あきつ丸「どうしてここ以外の鎮守府がすべて10分足らずで壊滅的被害に遭ったと思うでありますか?」


大津田「そりゃ・・・まさか」


あきつ丸「海原はこの鎮守府に日本全ての中央憲兵を集結させようとしてるのでありましょう」


大津田「それじゃ勝ち目がねぇじゃねぇかよ!数で言ったら5000人弱はいるぞ!」


あきつ丸「海原は1人で憲兵1000人分は働くでありますよ」


大津田「翔誠がいねぇと・・・話にならねぇ戦力差だな・・・」


武蔵『話は無線で聞かせてもらった。今はあいつが戻ってくるまでの間ここを守り抜く事を徹底しよう』


あきつ丸「違いないでありますな」


大津田「・・・やってやろうじゃねぇか!」


~海上~


海原「ふぅ・・・島が見えてきたな。出番だぞ・・・ワイルドキャッツ」


ワイルドキャッツ・・・対陸上艦娘用特殊部隊。旧時代から名を受け継ぎ今も活動している


WC隊長「海原様。殺した艦娘はいかがなさいますか?」


海原「好きにしろ。あとあそこに加賀美翔誠、大津田叢将、鳳凰院蓮司の3人もいる。そいつらも殺して良いからな」


WC隊長「了解です」


海原「さぁ・・・1万人の陸上戦闘部隊が相手だ・・・どぉする?翔誠」


植木「ケッ!海原さんのクソガキ贔屓は見ててあんまし楽しくねぇな」


海原「あ?焼き餅か?」


植木「ちげーっすよ。それから万が一ワイルドキャッツが全滅しても俺ら準特級達がいるので海原さんの手を煩わせる事にはならないかと」


海原「はっ!どうだかなぁ?慢心しすぎて足元掬われるなよ?」


─────


翔鶴「敵影確認しました!」


加賀「私の方でも確認したわ・・・え?」


大津田『どうしたんだ?』


加賀「敵勢力・・・1万」


大津田『1万!?何かの間違いじゃねぇのか!?』


加賀「私だって間違いと信じたいです・・・ですが・・・」


────


大津田「1万・・・ワイルドキャッツ共か?」


あきつ丸「知ってるでありますか?」


大津田「ワイルドキャッツってのは言わば陸戦特化型の部隊だ。俺みたいにタイマン専門ではなく数で標的を狩る集団だ・・・しかし1万もワイルドキャッツを用意するなんてな・・・」


加賀『まだ盾持ちが発見できてないですが空から仕掛けてみます。この攻撃に反応して姿を現すかもしれませんし』


大津田「頼んだ!」


─────


加賀「赤城さんが改装中の今私にできる事は後輩達を先導すること・・・皆さん・・・準備は良いですね?」


瑞鶴「あったりまえじゃない!」


グラーフ「いつでもイケるぞ!」


加賀「始めましょう・・・」


全空母「第一次攻撃隊、発艦始め!」


その声と共に放たれた航空機は空を覆った


サラトガ「夜戦というのもあって少し不安ですが・・・この眺めは良い物ですね」


翔鶴「6人で発艦何て経験ないですものね」


加賀「まだ戦闘は始まったばかりよ。気を抜かないで」


発艦よりワンテンポ遅れて鳴り響く砲撃音


瑞鶴「どうやら戦艦組も始めたらしいわね!」


アーク「これなら否が応でも盾持ちが出てくるはずだ。そうだろう加賀?」


加賀「そのはずよ」


─────


あきつ丸「いやぁ絶景でありますなぁ?全空母の航空攻撃と全戦艦の砲撃。癖になりそうでありますよ」


大津田「何バカなこと言ってるんだ!俺達も行くぞ!」


あきつ丸「了解でありますよ!」


ここまでは良かった。ワイルドキャッツ上空から爆撃が始まった時、誤算が生じた


加賀「な!?」


瑞鶴「待ってどういう事!?」


盾持ちは姿を現さずワイルドキャッツはそのまま爆撃と砲撃の雨に晒された


グラーフ「盾持ちはいない・・・という考えで進んで良いのか?」


瑞鶴「そう言う事になるでしょ!なら・・・第二次攻撃隊発艦・・・」


加賀「待ちなさい」


瑞鶴「おっとっと・・・何で止めるの!」


加賀「冷静になって考えて。何故奴らが盾を使わなかったのか。貴女が向こうの立場だったら何を考える?」


瑞鶴「え?いるのに出さないって事でしょ?うーーん・・・」


アーク「油断させるためか?」


加賀「そう。大方一次目は様子見で来ると考えたんでしょうね。様子を見て次に来る強力な二次目、三次目に備えて温存しとく。これが最適解だと私は思うわ」


翔鶴「それじゃ・・・自分の軍を餌にして私達の戦力を測ったって事ですか?」


グラーフ「とても人間の考えることとは思えないな」


加賀「私達が今戦っているのは人為らざる物が指揮を執っている部隊よ?非人道的な作戦も容易に行うはずよ」


─────


大津田「・・・盾持ちは出てこなかったな」


あきつ丸「大方こちらの様子見だったんでありましょう?まぁそれを考えていた為戦艦の砲撃には対応できてないみたいでありますし」


大津田「人数は・・・9割方減ったのか?」


あきつ丸「初撃にしては上々でありますよ。さて・・・生き残りが攻めてきたでありますが・・・大津田殿はどうするでありますか?もう切り札出すでありますか?」


大津田「いや。それは海原を殺す時に使う。今は・・・」


大津田の言葉と連動して黒い布が巻かれた右腕が光った


大津田「この大太刀で対処する」


残ったワイルドキャッツは隊長を含め100人前後


WC隊長「なかなか良い攻撃だったな・・・お陰でコッチの部隊は100人弱になってしまったが・・・この人数なら艦娘を戦全滅させるのに支障は無いだろう。さぁお前達・・・狩りの時間だ!!」


WC達「突撃!!!!!」


大津田「させるかよ!」


あきつ丸「1万人から100人にまで減らせたのは大分ありがたいでありますなぁ・・・でもあの砲撃の雨の中生き残った強者共でありますから一筋縄ではいかないのでありましょう?」


WC隊長「当たり前だ。死んでいった仲間達のためにも我々はこの作戦を成功させる!」


大津田「あきつ丸。こいつは俺にやらせてくれ」


あきつ丸「お?彼の熱に感化されたでありますか?」


大津田「あぁ・・・こいつとはタイマンで決着を付けたい」


WC隊長「その心意気・・・感謝するぞ!」


大津田「さぁ行くぜ!」


2人「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


───────


春雨「敵の部隊が攻めてきました!」


鳳凰院「良し!やっと俺らの出番だな!」


WCa「あぁ・・・こんな幼い子まで戦いに駆り出されるなんて・・・全く腐った世の中だよ」


WCb「嘆くなって。この戦いを終わらせたら腐った世の中を少しは浄化できるんだろ?」


WCa「あぁ・・・そうだな。彼女には申し訳ないが未来のための犠牲になってもらう!」


鳳凰院「来るよ!」


WCa「うぉぉぉぉぉ!」


春雨「させません!」


ガキン!


WCa「っ!」


春雨「貴男の相手は私です!」


鳳凰院「なら俺の相手はお前だな」


WCb「来やがれ」


─────


武蔵「・・・良し。海原の居る位置は確認できた。ソロソロ第2波を撃ち込むか?」


長門「それが良いだろう。ありったけの徹甲弾を放つぞ!」


山城「待ちなさいよ脳筋共。なんでさっき盾持ちが出てこなかったと思う?」


長門「盾持ちが居なかったからだろう!」


ウォースパイト「・・・居なかったんじゃなくて出したくなかったからかしら?」


山城「多分ね。頭が回るじゃない」


ウォースパイト「貴女もね♪」


ガングート「ならどうする?徹甲弾を撃ち込まないにしろ盾持ちは炙り出した方が良いだろう?」


金剛「もう一度三式弾で狙うのハ?」


ビスマルク「また?さっきみたいな範囲で撃ち込めば避けられるわよ?」


金剛「一点集中砲撃デスヨ。シャワーのジェットみたいにネ」


長門「よし・・・大和。聞いていたか?」


大和『聞いてたわ。コッチはいつでもイケるわ!』


金剛「それじゃあ・・・」


全戦艦『全主砲斉射!撃て!』


───────


海原「チッ・・・奴らコッチを狙ってきやがったか。さては盾持ちの存在に気づいていやがったな?」


盾宮「海原さん。そろそろ私の出番でしょうか?」


海原「おう。俺達全員が入るくらいの盾出せるか?」


盾宮「ワイルドキャッツはいかがなさいますか?」


海原「あいつらなら勝手に避ける」


盾宮「了解。敵攻撃範囲確認・・・守備範囲確定・・・投影開始」


その詠唱と共に盾宮の右腕が白く光った


盾宮「この大きさなら守れるはず!」


盾宮が呼び出したのは直径約300mにも及ぶ巨大な盾であった


艦娘達「!?」


加賀「遂に出てきたわね」


─────


長門「狙い通り炙り出せたな!」


金剛「駆逐ちゃん達!出番ヨ!」


駆逐艦達「了解!」


─────


海原「位置がバレたな・・・植木」


植木「なんすか?」


海原「お前は盾宮の援護。適当に下級兵連れてって良いからな」


植木「暴れ方に指定は?」


海原「無い。好きに暴れろ」


植木「へへ・・・了解」


同時刻


翔誠「血は・・・良し。止まりました」


イントレピッド「治るの早くない?」


那珂「まぁ彼高速修復材ガブ飲みした事あるから多少はね?」


イントレピッド「エ!?あんな物ガブ飲みしたの!?」


翔誠「したんですか!?記憶無くす前の俺って!?」


那珂「うん!レ級数匹と対峙したときに受けた傷治すのに3個分位飲んでたかな?あとその時に倒したレ級も食べてたよ」


翔誠「腹の中どうなってるんだよ・・・」


那珂「ん?あの光・・・何?」


翔誠「あれって・・・まさか!」


それは憲兵が武器を投影する時に出す光。翔誠は海原や坂場の投影時に見たことがあった


翔誠「イントレピッドさん俺を担いでくれてありがとうございます。ここで降ろしてくれて構わないです」


イントレピッド「え?でもあと10分位で着くよ?」


翔誠「さっきの光は憲兵の物です。死人が出る前に助けに行きます!」


那珂「まぁ君ならそう言うと思ったよ。インピちゃん降ろして良いよ」


イントレピッド「わかったわ」


翔誠「おっとと・・・ありがとうございます。先に行きます!」


一瞬で2人が届かない距離まで行ってしまった


イントレピッド「んん~!やっぱりあの子良いわね!この戦いが終わったら鍛えて上げちゃおっかなぁ♪」


那珂「やめときなやめときな。あの子艦娘と深海棲艦に対しては鬼みたいに強くなるよ」


イントレピッド「そうなの?それはそれで面白そう!」


那珂「本当発想がアメリカ人なんだよね・・・」


その頃憲兵はと言うと


盾宮「おい!わざわざ敵の懐に潜り込むことないだろ!」


植木「うるせぇな・・・こっちは暴れたくて仕方ねぇんだよ」


盾宮「お前の任務は私の援護だろ!ならわざわざ危険を冒しに行く必要は・・・」


植木「だけど海原はこうも言った。好きに暴れろってな」


盾宮「くっ!」


植木「良い表情するじゃねぇか」


盾宮「好きにしろ!」


植木「ハッ!言われなくてもそうする。おぉ?敵の近接戦闘部隊が来たなぁ?」


盾宮「あれは・・・駆逐艦?」


植木「駆逐艦か!確か陽炎型の浦風と浜風は胸がデカいんだったなぁ・・・おい下級兵共!浦風と浜風を見つけたら報告しろ!俺の玩具にしてやる・・・ハハッ・・・アッハハハハハ!」


盾宮「・・・」


─────


秋月「相手がこちらに気づきました!」


島風「どうする?魚雷撃ち込む?」


時雨「多分それが最善策だと思うよ。下手に砲撃で距離を取っても相手には盾持ちがいるからね」


夕立「島風に賛成っぽい!」


駆逐艦s「魚雷発射!」


秋月型3人、白露型3人、島風、タシュケントの計8人が同時に放った魚雷はそう簡単に避けられる物ではない


植木「魚雷とは面白ぇ!水中なら盾宮の大盾が使えねぇって考えだろうが甘ぇ!流石ガキの考えることだ!」


そう言い放った植木の右手が緑色に光る


植木「投影開始・・・顕現しろ!捕食者共!」


その掛け声と共に植木が召喚したのは植物であった。それもただの植物ではなく捕食植物


植木「さぁ!食い散らかせ!」


右手に握った刀柄の先には棘の鞭の様な物が約20m程伸びていた。太くしなやかに。そして捕食植物としての役目を果たすかの如く全ての魚雷を海中で撃墜した


タシュケント「そんな!?100発近くあった魚雷を一瞬で!?」


照月「ただでさえ盾持ちが厄介なのにあんなのが護衛にいるなんて・・・」


夕立「勝ち目ないっぽい!」


植木「あぁ?何だ?浦風と浜風はいなねぇのか・・・まぁ他にも美味そうな駆逐艦が見つかったから良いか」


植木の目は獲物を見つけた獣の如き鋭さであった


植木「・・・まさかもう終わりか?」


駆逐艦s「!」


植木「だったら・・・俺のターンだな。顕現しろ・・・」


2回目の掛け声と共に植木の両腕が光った


植木「深緑の巨人共!」


深緑の巨人と呼ばれた巨人は10体召喚された。その1体1体が10mを超えていた


村雨「そんな・・・」


タシュケント「囲まれた!」


夕立「退路も断たれた・・・っぽい」


初月「全員が無傷で生還できる確率は・・・限りなくゼロに近いな・・・」


植木「絶望するのはまだ早いぜ?さぁ!姿を現せ!食物連鎖の頂点を極めし最強の捕食龍!」


瞬間、海中から巨大な植物の龍が姿を現し植木と融合した


龍植木「さぁ!たっぷり遊んでやるよ!」


─────


翔誠「何だあの巨人共!?それにドラゴンまで出てきやがったぞ!?誰が戦って・・・」


翔誠の目に映ったのはすでに大破を通り過ぎ横たわる駆逐艦達とそれを見て高笑いしている龍と一体化した植木だった


翔誠「・・・あの野郎」


そう呟いた瞬間ボロボロの駆逐艦の内の1人が夜空に向かって赤と青の照明弾を撃った。事前の会議で戦艦の支援砲撃が必要なら赤、空母の支援爆撃が必要なら青、盾持ちを拘束、または再起不能にしたら白の照明弾を撃つことを決めていた。そして赤と青の照明弾発射から10秒後に戦艦、空母からの支援攻撃が到着した。しかし・・・


植木「ハッ!俺の巨人と龍にそんな攻撃効かねぇよ!」


轟音を響かせながら命中した攻撃は植木の巨人と龍に傷1つ付けられなかった。さらに巨人の影から憲兵の下級兵達が現れてきた


兵1「植木さん。ソロソロ良いっすか?」


植木「まぁ待てや。まずは俺から遊ばせろ」


兵2「でも自分達1週間も溜めてきたんすよ?なるべく早めにお願いしますよ?」


植木「わかったわかった。俺は最初このツインテールの巨乳オッドアイと遊ぶからあとは好きにしろ」


兵達「あざっす!」


ゲスな会話を楽しんでる憲兵達とは裏腹に翔誠はあることに気が付いた


翔誠「さっきの攻撃で焦げた巨人達から蒸気がでて・・・視界が曇ってきた・・・今しかない!」


────


植木「さぁて・・・そろそろ始めるべ」


植木は龍と分離し村雨の前に立った


村雨「いい大人が揃いも揃って最低ね!」


植木「何とでも言え!テメェは今から艦娘でも何でもねぇ・・・ただの性玩具なんだからよ。性玩具は性玩具らしく黙って股開いてりゃ良いんだよ」


村雨「私は貴男の性玩具になるつもりはない!」


植木「気の強い雌は嫌いじゃねぇ・・・おいお前ら!こいつの手足押さえと・・・け?」


村雨「?」


植木「俺の兵共が・・・いない?」


植木は周りを見渡すも蒸気で視界が悪いこともあり憲兵の下級兵達を見つけられることができなかった。だがふと足元に目線を移してみた


植木「・・・なんだこりゃ?」


周り一面に顎から脳に刀が刺さった憲兵の死体が散乱していた


植木「おいおい・・・誰だ?お楽しみ会の邪魔してくれた奴は」


植木は再び龍と融合し辺りを見渡す。1周見渡した後村雨に再度視線を落とそうとした瞬間であった。頭上から何かが落下してくるのが見えた。そちらに視線を向けると・・・


龍植木「・・・テメェ!」


翔誠「クソ野郎が!!!」


下級兵達を串刺しにしその死体を使い上空に飛び上がっていた翔誠が龍目がけて落下してきていた


龍植木「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」


巨大な龍の手で翔誠を握り潰そうと腕を伸ばした。だが植木の読みとは裏腹に伸ばした腕を切り落とされた


龍植木「グッ!?クッソ!・・・!?」


腕を切り落とされた植木が翔誠を睨みつけようとした瞬間視界が暗転した


龍植木「どういう事だ!?周りが暗ぇ!?」


翔誠「翼は貰った!」


バシュッ!


龍植木「な!?」


翔誠「これで飛べねぇだろ!」


龍植木「このクソガキ!?」


バッッッシャァン!!!


大声で怒りを表現した矢先今度は龍と一体化した両足の腱を切り落とされ膝から崩れ落ちた


龍植木「ぶはっ!?」


うつ伏せに倒れた龍の上に翔誠は着地した


翔誠「よぉ・・・」


睨みつける翔誠の目元は下級兵達の返り血で真っ赤になっていた。勿論全身も


翔誠「さっきは随分楽しそうに駆逐ちゃん達で遊んでくれたなぁ・・・」


龍植木「く・・・クソ!」


植木は残っていた反対側の腕で翔誠を払い除けようとした。しかし逆にその腕も切り落とされてしまった


翔誠「次は俺と遊んでくれよ・・・なぁ!?」


怒りの叫びと同時に翔誠の両腕には刀が投影された


龍植木「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


翔誠「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


ザクザクザクザクザクザクザク!!!!


龍植木「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


龍となった植木の背中をただひたすらに切り刻み始めた翔誠。胴体のド真ん中に本体がいると直感で感じたのだろう。その読みは当たった


植木「くそったれがぁ!!!」


植木の周りの植物を粗方払い除けいよいよ本体が姿を現そうとした


翔誠「死ね!」


植木「この・・・!!」


植木は間一髪体をずらし急所への攻撃を避けた。ただその代償に左手は失った


植木「いっっっっっ!」


翔誠「次はどこを切り落とす?右手か?それとも足か?」


植木「この野郎!!!」


翔誠「!?」


植木は龍の残骸を使い翔誠を閉じ込めた。その姿はラフレシアに引き寄せられ逃げることができなくなった昆虫宛ら


植木「はぁ・・・はぁ・・・」


翔誠を閉じ込めた植木は本隊と合流すべく走り始めた


植木「テメェら!あのクソガキをぶっ殺せ!」


今まで退路を断つ事しかしていなかった10体の巨人に命令を出しそのまま走り続けた


植木「クッソ!痛ぇ!!!痛ぇよ!!あの野郎よくもやってくれやがったな!!!だけど閉じ込めたし巨人に襲わせてるから今度こそ終わっただろ!左手の代償はでけぇぞ・・・はは・・・アッハハハハハ!」


────


ブチッ!


翔誠「ブハァ!くっせぇなぁ!」


物の数秒で出てきた


翔誠「あの野郎どこに行きやがった・・・見つけた・・・」


翔誠の眼は植木を見つけると同時に紅と蒼に光り始めた


翔誠「今ぶっ殺してやるからよ・・・!?」


ズドーン!


翔誠「巨人共!?こいつら動けるのかよ!?」


巨人「・・・・・・」


翔誠「流石に喋れはしねぇか・・・」


巨人「Ahrrrrrrrrrr!!!!」


巨人は咆哮の直後、翔誠に向けて拳を振り下ろした


翔誠「威力は凄そうだけど当たらなかったら意味ねぇぞ木偶の坊!」


紙一重で巨人の拳を避けた翔誠。余裕の笑みを浮かべ様としたその瞬間


ズシャァァァァ!!!


翔誠「な!?」


拳の風圧で辺りの海面をエグリ飛ばした。それに加えて巨人は植物でできている。植木の趣味なのか巨人の腕は棘で覆われており擦るだけでも致命傷になりかねない


翔誠「ふぅ・・・どう殺すか」


艦載機を叩き落とした時みたいに刀を一斉に撃ち込んでも良いとは思った。だけどデカい上に急所がわからない以上自分の身を危険に晒すリスクしかない


翔誠「1体ずつ確実に・・・!?」


殺すと言い終える前に巨人達が一斉に殴りかかってきた


翔誠(クッソ!全方向からだと受け止めきれねぇ!受け流すにしても・・・)


ガキン!


翔誠「!?」


盾宮「そいつらの弱点は頭だ!切り落とせば動きは止まる!」


翔誠「お前敵だろ!何で俺を庇う!」


盾宮「それは後だ!今はこいつらを仕留めて駆逐艦達を安全な場所に移すのが先だろ!」


翔誠「・・・理由はちゃんと話してもらうからな!」


~数分後~


翔誠「はぁ・・・はぁ・・・」


盾宮「ふぅ・・・流石に腕がパンパンだ」


翔誠「教えろ。何で俺を庇った?」


盾宮「移動しながらで良いか?」


翔誠「・・・」


────


翔誠「みんなこんなにボロボロになって・・・」


夕立「翔誠さんっぽい~」


タシュケント「ありがとう同志。君が来てくれなかったら危うく殺されるところだったよ」


翔誠「もう少し早く来れれば良かったんだけどね・・・ごめんね」


初月「何を謝ってる。結果だけ見ればお前は僕達全員を救ったんだ。もっと誇っても良いんじゃないか?」


照月「そうですよ!まぁ無傷とは言えないですけどね」


あははと続けて笑う照月


村雨「私は危うくあの変態に抱かれるところだったから本当に助かったわ・・・翔誠さん本当にありがとう」


盾宮「感情に浸るのはその位にして移動を開始しよう。また奴らが襲ってくるかもしれない」


時雨「・・・何で盾持ちがいるんだい?」


島風「その人は敵でしょ?今ここで殺しておいた方がいいんじゃない?」


翔誠「俺もそう思ったんだけど借りがあるからね・・・さて。確か盾宮さんだっけ?そろそろ話してくれる?何で俺を庇った?」


盾宮「そうだな・・・私は元々艦娘を守るために憲兵になったんだ。望んでいたのは鎮守府専属の憲兵だ」


翔誠「え?」


盾宮「ただ・・・忌むべき事なのか私は戦場にいた方が結果を残していてな。それでやりたくもない中央憲兵に配属された」


翔誠「でもさっき天龍型2人を始末したって・・・」


盾宮「あんなの嘘に決まってるだろ。今頃人気のない山奥かどこかに逃げてるよ」


翔誠「・・・」


時雨「翔誠さんどうするの?」


翔誠「それと俺を庇った理由は関係ないはずだろ?」


盾宮「・・・艦娘に肩入れした裏切り者がいる。海原がそう言ったんだ。さっきも言ったように私は元々艦娘を守るために憲兵になった。だからそいつの力になりたいと思ってな」


翔誠「・・・はぁ」


秋月「翔誠さん?」


翔誠「俺の悪い癖なんだろうなぁ・・・すぐに人を信じたりするの。盾宮さん」


盾宮「何だ?」


翔誠「今から俺と一緒にこの子達をドッグまで運ぶのを手伝ってください」


時雨「え!?」


盾宮「そんな簡単に信じて良い物なのか?」


翔誠「海原や憲兵達に密告したりしたら容赦なくその首切り刻んで魚の餌にするのでそのつもりでいてください」


盾宮「・・・わかった」


翔誠「よっしゃ。それじゃあ・・・」


バシュッ!


翔誠「当初の予定通り、盾持ちの無力化成功!」


──────


アイオワ「ん?白い照明弾・・・って事は!」


ウォースパイト「盾持ちの無力化に成功したのね!」


金剛「それじゃあ早速デスガ・・・」


戦艦s「全主砲斉射!撃て!」


────


加賀「白の照明弾・・・やったわね」


サラトガ「加賀さん!いつでも良いですよ!」


加賀「ええ。わかっているわ」


空母s「第二次攻撃隊!発艦始め!」


──────


海原「チッ・・・いくら優秀でも所詮人間に変わりねぇって事か・・・藍羅。行けるか?」


藍羅「待ちくたびれたぞ。それで?私は何をすれば良い?」


海原「戦艦と空母の連中を殺してこい」


藍羅「了解。それよりも腹が減ったぞ」


海原「殺した戦艦達は喰っちまって良い」


藍羅「その言葉を待っていた」


───────


翔誠「って訳で連れてきました」


大淀「貴男は昔っから何で厄介事を増やすんですか・・・はぁ・・・」


明石「でも逆に考えれば彼女がいれば守りは鉄壁になるんじゃない?」


盾宮「いや・・・海原の『戦場の鬼』の攻撃は受け止めきれない。アレは本当に別次元の何かだ」


翔誠「やっぱり並の装甲じゃ防げないか・・・大淀さん他の戦場はどうなってます?」


大淀「少し前まで春雨ちゃん、大津田さん、鳳凰院さん、あきつ丸さんは敵の残党とタイマン張ってましたよ」


盾宮「おそらくワイルドキャッツの生き残り達だろう。しかし奴らを全滅させるなんて・・・艦娘達は凄いな」


響「翔誠」


翔誠「ん?どうしたの響ちゃん」


響「春雨と蓮司さんに敵影接近中。どうする?」


翔誠「・・・俺が行く」


盾宮「お前・・・さっきあれだけボロボロだったのにまだ戦うのか!?」


翔誠「・・・誰も死なせないための最善策ですから」


そう言い残すと翔誠は姿を消した


盾宮「あいつはいつもあんな感じなのか?」


大淀「いいえ?今回が初めてですよ?」


明石「彼曰く『これは俺が撒いた種だからケジメは俺が着ける』とのことですよ」


盾宮「・・・凄いんだな。あいつは」


─────


春雨「・・・成仏してくださいね」


鳳凰院「ふぅ・・・やっぱり強いなぁ・・・」


春雨「これで敵の前衛隊は排除できましたかね?」


鳳凰院「多分できたと思うよ?」


春雨「これからどうします?」


鳳凰院「とりあえず補給しに行った方が良いかもね。次は海原達のいる隊が攻めてくるはずだから」


???「補給しに行く必要はねぇよ・・・」


鳳凰院「誰だ!?」


植木「お前らは・・・ここで死ぬからなぁ・・・」


そこには左腕を失った満身創痍の植木が立っていた


春雨「ヒッ!?」ゾワッ


植木「あぁ?お前・・・あぁ・・・もうこの際お前で良い・・・俺と一緒に来てもらおうか・・・」


鳳凰院「連れてかせる訳ねぇだろ!」


植木「るっせぇ木偶の坊!!」


鳳凰院「うぉっ!?あっぶねぇ・・・」


間一髪植木が投影した棘の鞭を避けた鳳凰院は息を呑んだ


植木「さぁ・・・来いクソアマ・・・な!?」


植木の視線の先には先程龍の中に閉じ込めたはずの翔誠が佇んでいた


植木「あいつ・・・巨人全部ぶっ殺してきたってのかよ!?」


翔誠「春雨ちゃんに・・・手出してんじゃねぇ!!」


植木「クッソ!どこまでも俺の邪魔しやがって!」


翔誠「次はその右腕を貰う!!!」


翔誠は投影した刀を植木目掛けて一直線に投げた


植木「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」


そして見事に命中


翔誠「次はどこが良い・・・右足か?左足か?」


植木「ひっ・・・た・・・頼む!助けてくれ!」


翔誠「嫌だね。俺の家族嬲って遊んでた奴の頼みなんて聞く価値ねぇ・・・死んで後悔しろ」


翔誠が新しく投影した刀を振り上げた直後


バッッッシャァン!!!


???「・・・人の匂いがする」


翔誠(誰だ・・・この女。こいつを回収しに来たのか?)


植木「誰だかわからねぇが助かった・・・お前海原の側近だろ?早くこいつら片付けてくれ」


???「・・・私は腹が減ってる」


植木「へ?」


???「強い者が弱い物を喰らう。単純でわかりやすい世界だろ?」


植木「な・・・何言ってんだ・・・」


???「いただきます」


植木「お・・・おい!やめろ!俺は食い物じゃねぇ!やめろ!があぁぁぁぁぁぁ!!!!?」


突如現れた女は植木を骨1つ残さないで喰らい尽くした


翔誠「・・・」


???「さて・・・1つ聞く」


翔誠「な・・・何だよ」


???「何故私と似た匂いの奴がいる」


翔誠「!」


鳳凰院「おい!お前は一体何者なんだ!」


藍羅「私か?私は藍羅だ。次はこっちの質問に答えろ」


翔誠(まずい・・・今こいつと戦ったら必ず・・・負ける。いや、喰らい尽くされる)


那珂「やっと追いついたよ・・・って何だかヤバそうな雰囲気だね」


翔誠「那珂さん!」


那珂「んん~?翔誠君?こいつ・・・ヤバいね?」


翔誠「相当ヤバいですよ」


那珂「さて!ここで1つ翔誠君に提案があります!」


翔誠「何ですかこんな時に」


那珂「そこの2人を連れて逃げなよ?」


翔誠「・・・は?」


那珂「ここは無傷の那珂ちゃんがやるしかないでしょ」


翔誠「そうかもしれませんけど・・・俺も戦います」


那珂「聞き分けが悪いなぁ~インピちゃん?」


イントレピッド「どうしたの?」


那珂「翔誠君達連れて大淀達の所に戻ってて」


翔誠「那珂さん!」


イントレピッド「OK!」


ガシッ!


翔誠「ちょ!?イントレピッドさん!離してください!」


イントレピッド「それはできない相談ね。それじゃあ那珂?ちゃんと戻ってきてよ?」


那珂「あったりまえ!」


イントレピッド「それじゃあね?」


翔誠「待ってください!那珂さん!」


那珂「まぁ・・・那珂ちゃんも死ねないからねぇ?ちゃんと生きて戻るよ」


翔誠「~~~~」


翔誠は唇を噛み締め悔しさに耐えながらイントレピッドに担がれて戦線離脱した


藍羅「こんな事しても無駄だと思うが・・・まぁ良い。戦艦と空母を殺して来いって言われたが肩慣らしだ。かかってこい」


那珂「那珂ちゃんも随分舐められた物だなぁ~まぁ君も私とあまり変わりないだろうし隠して戦うことないか!」


一瞬で空気が変わった


那珂「艦娘を棄てた戦い方・・・見せてあげるよ」


藍羅「はっ!面白い!」


──────


海原「今の時間は・・・午前4時半か」


掃討作戦決行から4時間半が経過した。この段階での海原達憲兵の生き残りは海原、大和武尊、古崎、藍羅の4人のみ


海原「しかしあの那珂が予想以上に手強かったな」


対する翔誠達の被害は春雨が中破、春雨以外の近接戦闘に関わった駆逐艦が大破。空母は改装中だった赤城、那珂が連れてきたイントレピッド以外の空母が大破に近い中破。戦艦は海外組と金剛、大和、武蔵が無傷に近い小破。それ以外の戦艦が中破。それ以外では情報処理をしていた大淀とその手伝いをしてた駆逐艦、青葉。赤城の改装を任されていた明石。補給の助けをしていた間宮、鳳翔、伊良湖が無傷であった


海原「ふぅ・・・まぁこれだけ削れれば上々だろ。古崎」


古崎「何ですか海原さん?」


海原「引き上げるぞ」


古崎「全滅させなくて良いんですか?」


海原「戦えるのがほとんど残ってねぇんだぞ?無力化したも同然だろ」


武尊「だけどよ、今回の作戦は掃討なんだろ?全員潰してナンボだろ」


海原「面倒臭ぇ。まぁ追ってくれば叩き潰す」


古崎「それを世の中では慢心って言うんですよ?」


─────


翔誠「ぷはっ・・・」


那珂「あぁ~あ。結局来ちゃったんだねぇ・・・ゲホっ」


翔誠「やっぱり・・・見捨てられませんでしたから・・・ぶはっ!」


翔誠はイントレピッドに担がれて春雨達と大淀の元へ戻った直後、那珂を見捨てることができずに戻っていたのだ


あきつ丸「それにしてもあの藍羅って女はなかなか強かったでありますなぁ・・・」


翔誠が那珂の元へ戻る途中あきつ丸は翔誠と合流していた


那珂「3人相手にして目測で中破までしか追い込めなかったからねぇ・・・」


翔誠「・・・このままあいつらを逃がしたらどうなるんだろう」


あきつ丸「翔誠殿?まさかとは思うでありますが・・・」


翔誠「そのまさかは無いよ・・・俺の腹見て見ろよ」


翔誠の胴体は無惨にも食い千切られていた。辛うじて右半分の腹部で上半身と下半身がくっついてる状態である


那珂「海原1人でも厄介なのに側近には大和武尊がいて・・・藍羅って言うのも増えた・・・勝ち目なんてもう無いんじゃないかな?」


翔誠「それでも・・・俺達はワイルドキャッツと海原以外の中央憲兵をぶっ潰した。勝ち目があるとすれば・・・」


あきつ丸「数で押し切る・・・でありますか?」


翔誠「美味しいところ持ってくなよ・・・そうだけど」


あきつ丸「失礼いたしたでありますよ」


翔誠「・・・夜明けだ」


午前5時。水平線から日が昇り始めた


翔誠「・・・できれば海原ぶっ殺してから観たかったな・・・この景色」


あきつ丸「何言ってるでありますか。死んでたら2度と見れなかったんでありますよ?生きてるだけで勲章物でありますよ」


翔誠「・・・」


────


海原「チッ・・・追っ手は来ねぇのか。根性無し共め」


翔誠「海原ぁ!」


海原「お?」


そこにはさっきまで海上でぶっ倒れてた翔誠が立っていた


海原「なんだクソガキ。俺を殺しに来たのか?」


翔誠「そうしてやりたいのは山々だけど・・・今はもう戦えない」


海原「はぁ?じゃあ何のために来た?」


翔誠「宣戦布告だ」


海原「あ?」


翔誠「近いうちに俺は!いや俺達は!絶対にお前をぶっ殺しに行く!それまで・・・ぶはっ・・・それ・・・まで・・・首洗って・・・ゲッホ・・・待ってろ!ぶはっ!?」


血反吐を吐きながら翔誠は宣戦布告をした


海原「あっははははは!言うようになったじゃねぇか!上等だ!待っててやるよ!だがなぁ?こっちからちょっかい出さないとは言ってねぇからな?」


翔誠「はぁ・・・はぁ・・・うるせぇ・・・返り討ちにしてやるよ・・・」


─────


海原「俺達・・・か」


武尊「あ?どうした?」


海原「いや?何でもない。帰るぞ」


─────


翔誠「うっ・・・ヒック・・・ヒック・・・クソ!クソ!うわぁぁぁぁぁあ!!!」


咆哮のような悲鳴のような泣き声は夜明けの海に鳴り響いた



4章:これから



朝刊には俺達の事は書いてなかった。書いてあったのは俺達以外が全滅したことと中央憲兵が海原以外死んだこと


大津田「ケッ!海原の野郎舐めたマネしやがって」


大津田さんはワイルドキャッツと戦闘を行った後流れ込んできた中央憲兵と戦っていた。その代償は投影回路の暴走による右腕の麻痺。この麻痺は一時的な物らしい


鳳凰院「でもまだ策は打てるんじゃないっすか?」


鳳凰院さんも大津田さん同様中央憲兵と戦っていた。特に怪我はなく両足が酷い筋肉痛と肉離れに襲われているらしい


大津田「打てるには打てるがしばらくは無理だろうよ。翔誠を見ただろ。あんなボロボロじゃ回復に時間がかかるだろ」


赤城「私が戦えていればもう少し戦況は変わっていたはずです・・・申し訳ありません」


鳳凰院「いやいや!赤城さんはアレがベストだったさ!」


大津田「本営からの改二通達がギリギリすぎたんだ。あんまし自分を責めんなって」


赤城「それでも・・・」


大和「運が良いことに次のチャンスがあります。そこで晴らせば良いんじゃないですか?」


武蔵「幸い向こうの兵隊共はいないからな!次はこちらに武があるぞ!」


大津田「今の時間は・・・9時か。翔誠の容態はどうだった?」


大和「酷い物でしたよ。最後に宣戦布告して全ての力を使い果たしたみたいでしたから」


武蔵「あぁ・・・アドレナリンが切れてもう指1本動かすこともできないみたいだ」


大津田「・・・」


~鎮守府医務室~


翔誠「うっ!?つつ・・・あれ?ここは・・・」


盾宮「鎮守府の医務室だそうだ」


翔誠「盾宮さん」


盾宮「あきつ丸から全て聞いたよ。春雨と金剛に感謝するんだな。あの2人がいなかったら今頃深海棲艦の餌になってたぞ」


翔誠「・・・その2人は?」


盾宮「春雨なら足元を見て見ろ。自分も治療が必要なのに高速修復材を被ってずっとここにいたんだ。後で礼を言うかデートに連れて行ってやれ」


翔誠「そうだったんですか・・・盾宮さんは何でここに?」


盾宮「金剛の代わりだ。彼女は今水を汲みに行ってるからな。心配だから見ていてくれって頼まれた」


翔誠「なるほど・・・これからどうするんですか?」


盾宮「さぁ?私はもう中央憲兵ではないからな。どこかで野垂れ死ぬか娼婦になるかじゃないか?」


金剛「その選択肢にここで憲兵になるを入れてみてはいかがデスカ?」


翔誠「金剛さん」


金剛「体調はドウ?」


翔誠「お陰様で・・・とは言えませんね。血を流しすぎたのかまだ手が動かせないです」


金剛「素直で良い子ネ」


盾宮「ここで憲兵になるって言うのは・・・」


金剛「まぁそのまんまネ。ここの専属憲兵になればしばらくは暮らせるデショ?」


盾宮「私なんかで良いのか?」


金剛「安心して下サイ?駆逐ちゃん達から話は聞いてマス。翔誠と一緒に駆逐ちゃん達を大淀の所まで運んだそうじゃないデスカ」


盾宮「・・・」


翔誠「俺からも1つ提案して良いですか?」


金剛「オ?どうしたノ?」


翔誠「盾宮さん・・・この鎮守府の提督をやりませんか?」


盾宮「はぁ!?一体何故そうなる!?」


翔誠「艦娘に大分理解があると思ったからです。それに他の憲兵とは違って盾宮さんは彼女達を兵器じゃなくて人として見てましたから」


盾宮「そんな・・・別に私はかまわないが・・お前の突発的な考えで決めれるほど簡単な物ではないだろ?」


金剛「フフ♪翔誠ならそう言うと思ってましたヨ!大淀は翔誠がその話を持ちかけたらやらせても良いって言ってましたヨ!」


盾宮「まぁ・・・悪くないかもな」


翔誠「決まりですね」


翔誠は笑みを溢しながら言った


それから1時間ほど経過した


春雨「・・・はっ!」


翔誠「おっ!起きた?」


春雨「翔誠さん!良かった・・・死んでませんでした!」


涙を浮かべながら春雨は言った


翔誠「俺はまだ死なないよ。みんなとやりたいこと沢山あるからね」


春雨「やりたいこと?」


翔誠「戦いを終わらせること、遊園地に行くこと、海水浴に行くこと、雪合戦すること。他にも沢山あるよ」


盾宮「あー・・・ゴホン!」


翔誠「すみません盾宮さん。完全に忘れてました」


盾宮「気にするな。最愛の人物との再会だからな」


翔誠「///」


盾宮(わかりやすい奴だ)


コンコン


翔誠「どうぞ~」


ガチャン


大淀「失礼します。体調はどうですか?」


翔誠「まだ体は動かせそうにないですね・・・左手に関しては感覚がありませんし」


大淀「それはお気の毒に・・・緊急の案件なんですが平気ですか?」


翔誠「・・・敵襲ですか?」


大淀「違いますよ?大本営からの通達です。それも元帥直々の」


翔誠「元帥から?俺なんかやらかしたかな・・・読んでもらっても良いですか?」


大淀「はい・・・」


内容を要約すると褒めてやるから近いうちに大本営に来い。それから春雨とあきつ丸を同伴させろ、と


翔誠「はぁ・・・いつ来いとかってあるんですか?」


大淀「明日です」


翔誠「無理なのでせめて歩けるまで回復してからにしろって伝えておいてください」


大淀「そう言うと思って先に送っておきましたよ」


翔誠「おぉ・・・仕事が早いっすね」


大淀「伊達に4年間事務提督代理をやっていたわけじゃありませんから」


翔誠「しっかしあきつ丸と春雨ちゃんの同伴ねぇ・・・嫌な予感しかしねぇ」


大淀「私もそう思います」


翔誠「・・・盾宮さんと大津田さん、鳳凰院さんと金剛さんも連れて行きますか」


大淀「何故その人選なんですか?」


翔誠「仮の話俺と春雨ちゃん、あきつ丸が捕まるようなことがあったとします。その時必ず本営は対艦娘用の何かを仕掛けてくるはずです。なので大津田さんと鳳凰院さんは必然ですし盾宮さんがいれば新しい提督を紹介するってなった時に新提督はこの人って言えます」


大淀「金剛さんは?」


翔誠「最悪腕尽くで助けてもらおうかと。それにお姉ちゃん達よりも金剛さんの方が少しだけ長くいてそれなりに俺の事わかってくれると思ったので」


大淀「わかりました。3人には私から言っておきます。足は無理に治そうとしないでくださいね?」


翔誠「了解ですよ」


大淀「では」


ガチャン


盾宮「この鎮守府には提督という者が居なかったのか?」


翔誠「居たには居たんですけど艦娘売り飛ばして金稼いでたろくでもないゴミでしたよ」


盾宮「あぁ・・・辻褄が合ったよ」


それから1週間ほど経ち翔誠の足が回復した


翔誠「ふぅ・・・松葉杖があれば何とか歩けるようにはなった・・・」


春雨「本当に怪我の治りが早いんですね・・・」


翔誠「怪我だけはね。麻痺ってる左手はまだ動かないよ」


春雨「な・・・なら私がお着替えやお風呂を手伝います!」


翔誠「気持ちは嬉しいんだけどね?着替えは辛うじてできるし風呂は大津田さんや鳳凰院さんに手伝ってもらってるから平気かな」


春雨ちゃんに着替え任せたらとんでもないの着させられそうだし


春雨「むー!」


翔誠「ほらほら膨れないでって。これから大本営に向かうんだし可愛い顔が台無しだよ?」


春雨「大本営の人から可愛いって言われても嬉しくありません!それに本営の人達からナンパされる位なら可愛くなくて良いです!」


翔誠「それはまぁ・・・うん。ごめんね?」


あきつ丸「朝から仲良くしてるところ申し訳ないでありますがそろそろ出発するでありますよ」


翔誠「わかった。行こ?春雨ちゃん」


春雨「気乗りはしませんけどね・・・」


トラック諸島から約2時間かけ翔誠達は大本営に到着した


大津田「大本営って言うだけあって東京のド真ん中にあるんだな」


金剛「敵が敵なだけにここに置くのがベストだったんじゃないですかネ~?」


翔誠「はぁ・・・俺も気乗りしなくなってきたなぁ・・・元々乗り気ではなかったけど」


盾宮「そんな事を言うな。一応ここではお前がリーダーなんだぞ?」


翔誠「え!?いつ決まったんですか!?」


盾宮「今だ」


翔誠「俺なんかよりもよっぽど盾宮さんの方が向いてますよね?」


盾宮「何を言う。お前は勉学はアレだが戦闘面やカリスマ性は鎮守府1だろ」


翔誠「褒められてるんだか押しつけられてるんだかわからねぇ・・・」


盾宮「両方だ」


大津田「まぁここでの適任はお前って事だ」


鳳凰院「そうそう!それに何でも経験だよ!」


翔誠「ハァァァァァァ。わかりましたよ。俺が引き受けます」


本営憲兵「ム?貴方方は?」


翔誠「元帥殿から招集をかけられて来ました」


本営憲兵「何かそれを証明できる物はありますか?」


盾宮「これでどうだ?」


本営憲兵「ふむふむ・・・あぁ!貴方は確か1週間ほど前に憲兵隊の掃討作戦から生き残ったって言う!」


翔誠「え?知ってるんですか?」


本営憲兵「知ってるも何も!貴方方は海軍の英雄ですよ!何せ海軍唯一の生き残りの艦娘達ですから!」


春雨「・・・」


金剛「・・・」


本営憲兵「いやぁ・・・それにしても艦娘達のリーダー格の加賀美翔誠さんが・・・意外と小柄なのですね?」


大津田「与太話はそれ位にしてくれねぇか?俺達もあんまし暇ではねぇんだ」


翔誠「大津田さん!」


大津田「あ・・・悪い。強く当たりすぎた」


本営憲兵「いえいえ!私こそ失礼しました!では改めましてお通りください!元帥もお待ちしています!」


翔誠「ありがとうございます。行きましょう」


────


翔誠「ここかぁ・・・緊張してきたなぁ・・・」


春雨「もう・・・今さらですか?」


金剛「背に腹は代えられませんヨ?」


翔誠「ふぅ・・・しゃあ!」


コンコン


<どうぞ


ガチャン


翔誠「失礼します」


元帥「あぁ・・・君達が・・・座ってくれ」


そこには元帥と思われる若い男性とその周りには厳つい顔面をしたおっさん達がいた


翔誠「失礼します」


元帥「遠いところわざわざ申し訳ないね・・・一応僕が元帥だ。以後よろしくね。あっ!全然楽にして良いよ」


翔誠「加賀美翔誠です。こちらこそよろしくお願いします」


元帥「それにしても・・・随分沢山お友達を連れてきたんだね。僕は春雨とあきつ丸と君で来るようにって伝えたハズなんだけど?」


翔誠「えぇ。そう伝えられましたが何分体を満足に動かせる状態ではないので・・・念の為に連れてきました。申し訳ありません」


元帥「いや。それが正常な判断だ。別に咎めたりはしないよ。さて・・・早速本題に移らせてもらおうかな。今回の中央憲兵による艦娘掃討作戦において艦娘を全滅から救った君にご褒美を考えているんだが・・・どうかな?」


翔誠「ご褒美の内容次第ですね」


大将1「おい!ガキが何出しゃばってる!」


元帥「やめろ。楽にしろと言ったのは僕だ」


大将1「・・・失礼いたしました」


おぉ・・・あの厳ついおっさんが謝った・・・元帥の権力すげぇ・・・


元帥「さて・・・ご褒美の内容だったね?一応条件ありのご褒美と条件無しのご褒美があるんだけど・・・どっちを先に聞いとく?」


大津田「おいおい元帥さん。前者はご褒美じゃなくて取引なんじゃねぇか?」


大将2「貴様・・・」


元帥「よせ」


翔誠「・・・後者から聞かせてください」


元帥「わかった。後者はいたってシンプル。僕が死ぬまでの間君達には毎月規定の金額が振り込まれる。これは海軍の未来を救った君達英雄に対する対価だ。無論受け取ってくれるだろう?」


翔誠「ありがたく頂きます。それで前者のご褒美・・・もとい取引とは?」


元帥「そうだなぁ・・・大将達は出て行ってくれるか?」


大将1「それでは元帥が丸腰も同然ではありませんか!?」


金剛「なら私と大男2人が出て行けば済むことデース」


大将2「それじゃ数が合わんだろう!」


あきつ丸「元々そちらが指定してきたのは自分と春雨殿と翔誠殿でありますよ。文句はないでありましょう?」


大将1「ならその女はどうして残しておく!?」


翔誠「この人は俺達の新しい提督だ。俺は戦えるのであって指揮は取れないからな」


元帥「わかった。他の人は出て行ってくれ」


─────


翔誠「それじゃ取引といきましょうか」


元帥「まず1つ目。春雨かあきつ丸を分析させてくれないかい?」


翔誠「具体的には?」


元帥「血液サンプルを採ったりかな?」


翔誠「・・・他にもあるんだろ?嘘吐いても意味がねぇ・・・全部言っちまいな」


元帥「鋭いね・・・血液サンプルを取る以外だと彼女等から産まれてくる子供にその力が遺伝するのか。それ位かな?」


翔誠「2人を見ず知らずのクソ親父共に辱めに合わせるくらいなら取引は無しだな」


元帥「君ならそう言ってくれると思ったよ」


翔誠「・・・え?」


元帥「今のはちょっとした試験さ。取引の1つ目はこれで終了だ」


盾宮「理解が追いつかんな」


元帥「ちなみに今の取引で君らが得たのは新しい鎮守府さ」


翔誠「鎮守府?それならトラック諸島にあるけど・・・」


元帥「なかなか不便でしょ?だから復旧した後の横須賀鎮守府を君達に使ってもらおうと思っている」


翔誠「不便と思ったことはないけど・・・まぁみんなに色々な経験はさせてあげられるか・・・わかった。横須賀鎮守府に移る」


元帥「後は・・・そうだねぇ・・・翔誠君。ちょっと2人で話せるかい?」


翔誠「・・・良いですか?」


あきつ丸「任せるでありますよ?」


盾宮「お前が決めろ」


翔誠「・・・わかりました。皆さん少し席を外してください」


ガチャッ


翔誠「・・・2人で話したいって事はあまりよろしくないことですかな?」


元帥「そうだねぇ・・・あまりよろしいことではないね」


翔誠「手短に頼みますよ」


元帥「これは君1人に任せる任務ではなくて君の所属する鎮守府の君がもっとも信頼できる数名で協力して欲しい物なんだが・・・人の道を外れた海軍関係者達を暗殺してほしいんだ」


翔誠「・・・人数は?」


元帥「随分乗り気だねぇ・・・人数は把握できていない。だけどさっきいた厳つい大将連中。あいつらは標的に入ってる」


翔誠「危険なことをやらせるわけですから勿論報酬はあるんですよね?」


元帥「翔誠君さっきっから敬語なのかタメ口なのかよくわからないや」


翔誠「敬意を示せると思う事と尚かつ俺が信頼できるに値する人物か見極めてるんだ」


元帥「面白いねぇ・・・話の続きだけど勿論報酬は出るよ。難易度が高ければ高いほど報酬は高額になる」


翔誠「なるほど・・・難易度か高いってのはつまり階級があんた以外の元帥クラスのやつもいるって事か?」


元帥「勿論」


翔誠「なるほど・・・わかった。引き受ける」


元帥「話が早くて助かるよ。さて!難しい話はこれ位にして・・・実はね?」


翔誠「な・・・何ですか」


元帥「実は僕・・・君のファンなんだよ!中継観たときからもう何とも言えない気持ちの高まりがあったんだ!さっきまで必死に押し殺してたけどもう無理だ!握手して!」


翔誠(悪い奴では・・・ないのか?)


─────


ガチャッ


春雨「あ!翔誠さん!」


金剛「HEY翔誠!変なことされなかっタ?」


翔誠「されてませんよ。お待たせしました」


盾宮「何の話だったんだ?」


翔誠「大雑把に要約すると金やるから人殺せって事でしたね」


盾宮「ほう」


大津田「マジで大雑把だな」


鳳凰院「それで何て答えたの?」


翔誠「まぁ・・・首を縦に振りましたよ。罪の無い人を殺す訳じゃないので・・・」


盾宮「他には何もなかったのか?」


翔誠「あとは・・・元帥殿が俺のファンって事がわかったくらいですかね?」


大津田「ファン?お前の?あっはははは!何だそれ!面白ぇ!」


あきつ丸「翔誠殿にファン・・・ブフォ!」


翔誠「笑いすぎだろ2人共!」


こうして大本営への用事は終わりトラック諸島へ戻った俺らだったがこれから横須賀鎮守府に移るにあたって1つ問題が出てきた


翔誠「横須賀鎮守府って場所が場所ですから門番になる憲兵は2人の方が良いですよね」


大淀「そうですね・・・そうなると用務員・・・と言うより雑用係がいなくなってしまいますし・・・」


翔誠「俺がやるにしても必ず毎日入れるわけじゃなくなりましたし・・・」


盾宮「一般から募集すれば良いんじゃないか?」


翔誠、大淀「え?」


盾宮「私が考えたプランはこうだ!まず15~30人ほど候補者を集める。そしてその候補者達を10日ほどの研修で数名までに絞る。そして最終日に候補者数名を殴り合わせて勝った奴を採用!どうだ!」


翔誠「それは不公平になりませんか?殴り合わせるなら全員でやらせましょう」


大淀「では募集要項を作るので採用担当者兼指導員は翔誠でお願いしますね。それと翔誠は絶対募集要項からの電話には出ないでくださいね」


翔誠「うへぇ!また俺そう言う役割っすか!?」


大淀「何事も経験ですし元帥に言ったそうじゃないですか。自分は戦えるのであって指揮は取れないって」


盾宮「まぁ良いんじゃないか?それに私もお前がどんな風に指導するのか楽しみだし」


翔誠「はぁ・・・・俺が人間嫌いなのわかってて言ってたら相当良い性格してますよ」


大淀「翔誠の嫌いな人種は艦娘に害を与える人達ですよね?なら良いじゃないですか。もし集まった人の中にその様な不届き者がいたら犬の餌にでもすれば」


翔誠「ハァァァァァァ。俺に任せた以上俺のやり方に文句は言わないでくださいよ?」


盾宮「それはそうだろう。それが任せた者の筋だ」


大淀「ではよろしくお願いしますよ?加賀美指導員♪」



5章:指導員ごっこ



募集要項を出して3日。応募総数は100人を超えた


翔誠「3日でこれは多すぎるなぁ・・・大淀さん。募集締め切っちゃってください」


大淀「わかりました。これからどうするんですか?」


翔誠「まずは全員と面接して20人位までに絞ろうと思ってます。そんで10日間研修してもらって最終日にサバイバル形式で戦闘能力を見て見ます」


大淀「最後に生き残った1人が採用ですか?」


翔誠「悪魔でサバイバルは戦闘能力を見る為ですから・・・まぁ評価に入れますけど」


大淀「雑用係に戦闘能力が必要とは思えないんですが?」


翔誠「ここで働いてもらう以上いつ深海棲艦が襲ってきても対処できるように最低限、自分の身は自分で守れた方が良いので」


大淀「一理ありますね・・・それで面接はいつから始めますか?」


翔誠「明後日って平気ですか?」


大淀「トラック諸島まで来てもらうのですか?」


翔誠「あっ・・・そっか・・・なら1ヶ月後で」


大淀「わかりました。手配しておきます。予定を合わせられない候補者はどうしますか?」


翔誠「その時点で落としましょう。1ヶ月前から言ってて無理なんて話になりません」


大淀「了解です」


──────


???「バイトの面接のメールだ・・・」


僕の名前は榎本優作。神奈川の高校に通うどこにでもいる男子学生。そんな僕にあえて普通じゃない点を上げるとすればそれは・・・


輩1「おい榎本。ちょっと面貸してくれねぇか?」


優作「え・・・な、何で?」


輩2「良いから黙って来りゃ良いんだよ」


────


輩1「おらぁ!」


バキッ!


優作「うっ!?」


輩1「ふぅ・・・スッキリした。またイラついたら呼び出すから」


輩2「傷は上手く誤魔化せよ~」


優作「うっ・・・ゲホッ」


いじめられっ子だ。それに親はアル中の母親と暴力親父。居場所がない。そんな時にネットのバイト募集のサイトを見てたら『1年以上勤務できる方募集』と言うバイトを見つけた。場所は横須賀だったけどまぁ問題ないかなぁって


優作「面接日は・・・1ヶ月後か」


場所は横須賀鎮守府らしい。内容は備品整備や掃除と言った簡単な物で給料もなかなか良かった


優作「・・・誰も見てないよね?」


僕には1つ秘密がある


優作「ふぅ・・・タバコ美味しい」


未成年喫煙だ。昔から虐められていてある時ふと家にあるタバコに目がいった。興味本位で吸ったらハマってしまった


優作「早く1ヶ月経たないかなぁ」


それから3週間が経過した。翔誠達の横須賀鎮守府への引っ越しも終わった


翔誠「さて・・・面接まであと1週間ですが・・・面接って俺1人でするんですか?」


大淀「変に艦娘の私や憲兵の大津田さん達、提督の盾宮さんが同席だと緊張しますし」


翔誠「わかりましたよ・・・」


1週間後


優作「ここが横須賀鎮守府かぁ・・・大きいなぁ」


朝9時。面接者が100人程いるため全員を1日で捌くとなるとこの時間になったらしい


優作「うわぁ・・・みんな体大きいなぁ・・・」


ゴリマッチョ「お?坊主も面接受けに来たのか?」


細マッチョ「そんなヒョロい体で軍用の荷物運べるのか?」


優作「え・・・えっと・・・」


ゴリマッチョ「ハッハッハ!まぁ採用されるのは俺達だろうからな!今回は諦めな!」


優作「うぅ・・・煙草吸いたい。どこか喫煙所は・・・あった!」


正門から少し離れた場所に喫煙所があった。制服だけどこの時間なら誰もいないだろう。そう思った


大津田「お?なんだ坊主?公園と間違えたか?」


優作「い・・・いえ。その・・・」


鳳凰院「ん?君・・・もしかして今日面接予定の子かい?」


優作「はい・・・」


大津田「そうかもう面接日か・・・そろそろ戻るか」


鳳凰院「そうですね。あっ・・・トイレは向こうだからね!」


優作「ありがとうございます・・・」


他の場所に行ったみたいで助かった。未成年喫煙がバレたら学校にも連絡行くみたいだし・・・


優作「ふぅ・・・緊張すると吸いたくなるなぁ・・・」


???「お前高校生だろ」


優作「ひっ!」


???「あぁ・・・別に咎める訳じゃない。吸いたいなら吸えば良いし」


優作「君も・・・タバコを吸うのかい?」


???「ん?あぁ・・・吸うけど?」


優作「何吸ってるの?」


???「別に何でも良いだろ。それよりお前今日の面接予定の奴か?」


優作「そう・・・だけど?」


???「ふぅん・・・名前は?」


優作「榎本・・・優作」


???「優作ね・・・ふぅ・・・じゃあな」


優作「うぇ!?君の名前は!?」


???「そのうちわかる。じゃあな」


優作「じゃあなって・・・」


──────


それから少しして面接が始まった・・・が


優作「呼ばれない・・・」


面接の順番は五十音順らしいけどとっくにア行は終わった。もしかして不採用?それともさっきの彼が報告したのかな?アレ?そう言えば彼がいない・・・白い髪の毛だったから目立つはずなんだけど・・・


時間は進み夕方5時


優作「遂に最後の1人になっちゃった・・・帰ろう」


<榎本さんどうぞ~


眼鏡の女性が声をかけてくれた。その声につられて僕は面接の部屋に進んだ


大淀「最後は榎本さんですよ」


翔誠「わかってますよ。俺がそうしたんだから」


優作「え!?さっき喫煙所にいた・・・」


翔誠「あぁ・・・覚えてた?良かった良かった」


優作「てっきり君も・・・貴方も面接を受けに来た人かと思ってました・・・」


翔誠「別に敬語じゃなくて良いよ。さっきみたいで」


優作「そ・・・そう?」


翔誠「うん」


大淀「翔誠?」


翔誠「忘れてた・・・んじゃ最後の面接を始める。履歴書を出してください」


優作「は・・・はい!」


恐る恐る履歴書を渡した


翔誠「ふぅ~ん?榎本優作・・・神奈川の高校に通ってて歳は17・・・得意なことは無く不得意なことは体を動かすこと。資格も何も無い・・・か」


優作「・・・」


翔誠「まずなんでここを受けようとした?」


優作「あの・・・場所が学校から離れてて知り合いがあんまり居なさそうなのと・・・お金が良かったから・・・です」


翔誠「虐められてるの?」


優作「・・・はい」


翔誠「何でやり返さないの?」


優作「・・・やり返したらもっと酷いことされるかもって・・・」


翔誠「一理ある。ここで身に付けたいこととかは?」


優作「堂々と・・・人の目を見て話せるようになること・・・ですかね。鎮守府での勤務になると海軍の偉い人とかいっぱいいるわけですよね?」


翔誠「まぁ?多少はいるね。優作から何か質問は?」


優作「特に・・・無いです」


翔誠「なら俺から1つ質問する。今死ねって言われたら死ねるか?」


優作「え?」


翔誠「10秒以内に答えろ」


10、9、8、7、6、5、4


優作「死ねと言われれば死にます・・・」


翔誠「ほう?」


優作「ただ・・・変なことにまだ死にたくないとも・・・思います」


翔誠「・・・面接はこれで終了です」


大淀「お忙しい中本日はありがとうございました」


優作「こちらこそ・・・ありがとうございました」


あぁ・・・落とされたな。絶対に落とされた


優作「・・・寝よ」


─────


翔誠「あ″あ″!疲れた!」


春雨「お疲れ様です!」


翔誠「ありがとう春雨ちゃん」


大淀「それで?20人は決まりましたか?」


翔誠「決まりましたよ。こいつ以外に1週間後から10日間の研修が始まることを伝えておいてください」


大淀「彼以外ですか?それはまた何故・・・」


翔誠「ちょっと面白そうだからです」


不気味な笑みを溢しながら翔誠は言った


そして6日たった夕暮れ時


優作「はぁ・・・バイト落とされちゃったかなぁ。まぁ無理もないか。未成年喫煙バレちゃったし・・・あの面接官の人の気に触るような答え方もしちゃったし」


翔誠「何この世の終わりみたいな顔してるんだ?」


優作「え!?あの時の面接官の!」


翔誠「翔誠で良い。んで?何で落ち込んでた?」


優作「面接落とされたから・・・です」


翔誠「何で落とされたと思う?」


優作「それを聞きにわざわざここまで?」


翔誠「俺が質問してる。答えろ」


優作「その・・・未成年喫煙が翔誠さんにバレたのと・・・面接の時に翔誠さんのお気に召さない回答をしたからです」


翔誠「あぁ・・・死にたくないってやつ?」


優作「そうです」


翔誠「別に気に召さなかった訳じゃねぇしむしろ良いと思ったぞ?」


優作「え?」


翔誠「さて・・・榎本優作。お前はひとまず面接を通った。今日これから10日間の研修に移ってもらう。無理なようなら他を当たる。どうする?」


優作「えっ?え?ごめんなさい。理解が追いつかないです・・・追いつかないですけど・・・俺で良いなら・・・お願いします!」


翔誠「良い返事だ。んじゃバイクの後に乗って」


優作「え?」


やっぱり理解が追いつかない。この人確か左手力入ってなかったよね?なのにバイク乗るの?しかもNinjaだ・・・カッコいい


翔誠「早く乗れ。お前以外はもう集まってる」


優作「わ・・・わかりました!」


翔誠「・・・乗ったな?飛ばすからしっかり捕まっとけよ!あと走ってる際に深海棲艦と遭遇しないことを祈ってろ!」


優作「ちょ!待ってください!まだヘルメット着けてないです!」


翔誠「それじゃ出発!」


優作「ひぇぇぇぇぇぇ!?」


30分後


翔誠「ふぅ・・・着いた着いた」


優作「うっぷ・・・・気持ち悪い・・・」


翔誠「何言ってやがる。これからだぞ?」


優作「おえっ・・・あっぶね・・・これから?」


翔誠「それを今から説明する。食堂に行ってろ」


横須賀鎮守府の食堂。そこには優作以外の19人がいた。その中には面接日に受かるのは俺達と豪語していた筋肉お化けの2人もいた


ゴリマッチョ「何だ?この前の坊主じゃねぇか!お前も面接通ってたとはな!」


細マッチョ「まぁそのヒョロヒョロの肉体でどこまで頑張れるか見物だな」


Wマッチョ「なっはっははは!」


優作「・・・」


それから5分ほどして翔誠が登場した


翔誠「全員いるなら10日間のスケジュールを説明するが・・・いない奴は?」


シーン


翔誠「いない奴はいないって事で良いな?まずは自己紹介からしておく。俺は今回お前達の指導者になった加賀美翔誠だ。指導員と呼ぶなり教官と呼ぶなり好きにしろ。この時点で質問があるようなら答える」


ゴリマッチョ「1つ良いですかな?」


翔誠「じゃあそこの筋肉お化け」


ゴリマッチョ「筋肉お化け・・・褒め言葉ですな!」


翔誠「良いから。それで?質問は?」


ゴリマッチョ「では・・・何故貴殿が指導者なのですか?見た所入り口にいた憲兵の方が肉体的には良さそうに思えましたが」


翔誠「何が言いたい?」


ゴリマッチョ「貴殿では役不足・・・と言ったら良いでしょうか?仮に暴動が起きたとして貴殿1人ではここにいる20人全員を鎮圧するのは肉体的に不可能では?と言うことです」


翔誠「ふぅん?他に質問は?」


ゴリマッチョ「答えろ!」


翔誠「うるせぇ!」


その場の20人、ゴリマッチョも含めて全員が驚いていた。体格的には圧倒的に小柄な加賀美指導員が大柄なゴリマッチョに言い返したのだから


翔誠「お前・・・職業何してた?」


ゴリマッチョ「す・・・スポーツウェア会社で・・・働いていました。今はフリーターです」


翔誠「軍人でもねぇ奴が軍人に勝てるとでも思ってるのか?あぁ?」


ゴリマッチョ「その身成で軍人と言うのは些か説得力に欠けるかと・・・」


翔誠「なら試すか?俺は構わねぇぞ?」


その目は紅く光っているように見えた


ゴリマッチョ「い・・・いえ!出過ぎた態度を取りました!」


翔誠「分かってくれれば良い。俺も悪かったな。他に質問は?」


優作「俺から1つ良いですか?」


翔誠「何だ?」


優作「これから10日間研修って聞いてたんですけど・・・何時頃ここに来れば良いんですか?」


翔誠「それは今から説明する。まず諸君らはこれから10日間ここで生活してもらう。朝起きてから夜寝るまでが研修だ。良いな?」


優作「が・・・学校はどうしたら良いですか?」


翔誠「学校?上の役職の人に話を着けてもらってるから平気だ。他の奴らも学校やバイトは問題ない。安心して研修に励め」


優作「そう・・・ですか」


翔誠「次にここでのスケジュールを発表する」


0500起床

0530トレーニング

0700朝食

0800研修

1200昼休憩

1300研修

1600研修終了

1630以降自由時間


優作「朝5時起きって・・・」


A「それにトレーニングってどういう事ですか!?」


翔誠「筋トレ。ここで働くなら筋力はマジで必要だからな」


優作「けど朝早い分終わるのも早いですね」


翔誠「しっかり休んで次の日また頑張って働いてもらう為だ。飯も勿論付いてる。これで説明は終わりだ。今日はとりあえず自由時間だ。各々飯を食うなり風呂に入るなり好きにして体を休めておけ」


研修生「了解です!」


翔誠「ただし時間はしっかり守れ。守れなかったらペナルティを与えるからな」


─────


時刻は夕方5時


翔誠「はぁぁぁぁぁ疲れた!疲れました!」


榛名「お疲れ様です!紅茶入れましたがいかがですか?」


翔誠「ありがとうございます・・・はぁ・・・人前で話すの苦手だなぁ」


大津田「お前少し海原みたいになってたぞ」


翔誠「ナメられないようにするにはあんな感じが良いと思って・・・」


金剛「確かニ!あのマッチョマンビビってましたヨ!」


鳳凰院「いやぁ・・・キレてる翔誠君は怖いねぇ・・・!この紅茶美味しい!」


翔誠「あんまし冷やかさないでくださいよ・・・美味ぇ・・・榛名さんこの紅茶って前にお店で出してくれたやつですか?」


榛名「よく覚えてましたね!そうですよ!金剛姉様に入れ方を教えてもらたんです!」


翔誠「やっぱり美味しいなぁ~」


金剛「スコーンが焼ければ良かったのデスガ・・・流石に時間がありませんデシタ」


翔誠「大丈夫ですよ。スコーンがなくてもとっても美味しいですから!」


──────


優作「迷った・・・」


喫煙所を探して鎮守府内を歩き回ってたら完全に迷った


優作「どうしよう・・・あ」


あの白い髪の毛は・・・加賀美指導員?


優作「加賀美指導員!」


翔鶴「あら?貴方は・・・」


優作「ひ・・・人違いでした!すみません!」


翔鶴「あぁ待って!もしかして・・・迷ってたのかしら?」


優作「・・・お恥ずかしながら」


翔鶴「どこに行こうとしてたの?良ければ案内するけど・・・」


優作「その・・・喫煙所に行こうとしてました」


翔鶴「喫煙所ね♪案内するわ」


────


翔鶴「ごめんなさいね?ここしかわからなくて」


案内されたのは加賀美指導員と初めて会った喫煙所だった


優作「い・・・いえ!ありがとうございます!」


翔鶴「うふふ・・・研修頑張ってね♪」


そう微笑みながら白い髪の毛の女性はどこかへ歩いて行った


優作「ふぅ・・・煙草はやっぱりメビウスだなぁ」


あきつ丸「やや?君は・・・研修生でありますか?」


優作「は・・・はい!」


あきつ丸「ふむ・・・他の研修生よりもだいぶ可愛げがあるでありますなぁ・・・君も煙草を吸うのでありますか?」


優作「吸いますね・・・」


あきつ丸「良いでありますなぁ・・・喫煙仲間が増えるのは・・・ふぅ・・・」


優作「それは・・・ハイライトですか?」


あきつ丸「そうでありますよ?」


優作「凄いの吸ってますね・・・」


あきつ丸「そうでありますか?まぁ慣れれば美味いでありますよ。君のはメビウスの・・・メンソールでありますか。いかにも学生が吸いそうな煙草でありますなぁ」


優作「別に良いじゃないですか!」


あきつ丸「そうでありますなぁ・・・研修がんばるでありますよ」


そう言い残しこの女性も歩いて行った


─────


ゴリマッチョ「チッ!何だあの指導員」


細マッチョ「色々滅茶苦茶な奴だぜ!これからマジで大変そうだ・・・」


ゴリマッチョ「・・・なぁに。良い感じのおもちゃも見つけたことだ・・・ははは・・・あっはははは!」


時刻は20時夕飯を食べに艦娘達や研修生達がぞろぞろ流れ込んできた


B「おぉ・・・これが!」


研修生「艦娘!」


A「すげぇ!この前のテレビで見たよりも全っ然可愛いじゃん!」


B「なぁなぁ!あの緑の髪の子良くない?」


A「その隣に座ってるくせっ毛の白い髪の毛の子も良いな!」


研修生達が仲良くなったのは思いのほか早かった


A「ね・・・ねぇ!隣で食べても良いかな?」


鈴谷「ん?別に良いけど?」


A「ラッキー!あ!俺Aって言うんだ!君は何て名前?」


鈴谷「鈴谷だよ。よろしくね!」


A(鈴谷ちゃん!可愛い!)


B(Aの奴手出すの早いって!しかも俺が狙ってた子!こうなったら俺も!)


B「ね・・・ねぇ?隣良いかな?」


鹿島「ごめんなさい?これから人が来るので・・・」


B「・・・」


A(Bの奴仏みたいな顔面してやがる!面白ぇw)


B「しょ・・・正面も空いてるみたいなんですけど・・・」


鹿島「2人来るので・・・」


B「・・・」


A(やっべw後でネタにしてやろw)


鹿島「あ!翔誠さん!」


研修生達「!?」


翔誠「鹿島さんお疲れ様です・・・ん?B?お前何こんな所で突っ立ってんだ?早く飯食え」


B「は・・・はい!」


鈴谷「あっ!翔誠じゃん!何々?今日こそ鹿島ちゃん口説くの?」


A「あっ・・・」


翔誠「別に口説く気ねぇから!」


鹿島「え!?口説いてくれないんですか!?」


翔誠「そこに反応するんですか!?」


やいのやいの


A「・・・何かさ」


B「ん?」


A「俺達と話すときと全然雰囲気ちがくね?」


B「それな」


鈴谷「あれ?そう言えば春雨ちゃんは?」


翔誠「あれ?俺と一緒に来たハズなんだけど・・・あ」


C「一緒にご飯くらい食べようよ?」


春雨「えっと・・・その」


D「別に悪いことではないでしょ?色々話そうよ?ね?」


春雨「先約がいますので・・・」


C「良いじゃん良いじゃん!」


E「俺達10日間しか居られないんだしさ?」


春雨「うぅ・・・」


────


鈴谷「困惑してる春雨ちゃんなかなか可愛いじゃん?」


鹿島「そうですね・・・つまみ食いしちゃいたい位に可愛いです♪」


鈴谷「翔誠もそう思うでしょ?あれ?」


ガヤガヤ


春雨「あ・・・」


翔誠「悪ぃな研修生達。この子は俺と飯を食うんだ」


C「そ・・・そうだったんですか!?」


D「それは申し訳ありませんでした!」


翔誠「あぁ・・・悪ぃな」


E「僕達は全然大丈夫です!」


翔誠「そう?あぁそれともう一つ良い?」


C「はい!」


翔誠「こ の 子 に 色 目 使 う ん じ ゃ ね ぇ」


CDE「!」


翔誠「行こ?春雨ちゃん」


春雨「はい!」


キャッキャキャッキャ


D「あの人ロリコンなのか?」


C「あんなこと言うんだからロリコンで間違いねぇだろ」


鈴谷「この子に色目使うんじゃねぇ。だってさ!あっははは!」


翔誠「うるせぇな!ほっとけ!」


春雨「翔誠さん助けてくれてありがとうございます!」


翔誠「良いって良いって。冷める前にご飯食べよ?」


春雨「いただきまーす!んー!おいひいれふ!」


鈴谷鹿島(眼福眼福)


鹿島「翔誠さんって春雨ちゃんの事になるとホントに歯止めが利かなくなりますね?」


翔誠「まぁ色々ありましたし・・・」


鈴谷「ナニしちゃったしー?」


翔誠「おい!」


鈴谷「いひひ!」


春雨「研修は上手くいきそうですか?」


翔誠「んー何て言えば良いかなぁ・・・上手く行くっちゃ行きそうだけど何分癖が強いのが2人居るからなぁ・・・あの筋肉お化け共」


鈴谷「あぁ!例の翔誠がブチギレたって言う!」


翔誠「あいつらさえ大人しくしてくれれば問題ないんだけど・・・そう上手く行きそうに無いからなぁ」


鹿島「私が補助に付きますか?」


鈴谷「お!練習巡洋艦の本業じゃん!」


翔誠「気持ちはありがたいですけどあいつら艦娘だ!って騒いでそれどころじゃ無くなるんで・・・」


鈴谷「確かに・・・さっきそこの席でご飯食べてたら変なのに「隣良いかな?」って声かけられたし」


鹿島「私もですよ。それにここだけじゃ無くて他の人達も同じ被害に遭ってるみたいですし」


翔誠「時間ずらすにしても鳳翔さんと間宮さんに迷惑かかるからなぁ・・・困ったもんだな」


翔誠が悩んでいる間にあっという間に朝5時になっていた。その間特に問題は無かった


翔誠「一応トレーニング室の場所は教えてたし問題なく来てるはずだが・・・」


朝5時のトレーニング室に研修生達はいた


ゴリマッチョ「加賀美教官おはようございます!」


研修生達「おはようございます!」


たった半日でゴリマッチョが全員のリーダー的存在になっている。カリスマ性があるのか?


翔誠「おはよう。んじゃ6時半くらいまで各々トレーニングして。俺はそれ見てるから。使い方のわからない器具があったら遠慮無く言えよ。わからないことは恥ずかしい事じゃないからな」


研修生達「了解です!」


─────


ゴリマッチョ「朝一のベンチプレスは気持ちが良いなぁ!!」


ガッシャンガッシャン!


細マッチョ「あぁ!全身の筋肉がおはようと言っているみたいだ!」


ガッシャンガッシャン!


翔誠「お前ら・・・それは何キロだ?」


ゴリマッチョ「2人共100キロです!」


細マッチョ「まだまだウォーミングアップですけどね!」


翔誠「MAXは何キロだ?」


ゴリマッチョ「全快の時で120キロ5回ですな!」


細マッチョ「自分は110キロ3回です!」


翔誠「なるほどな・・・邪魔して悪かった。続けてくれ」


Wマッチョ「はい!」


翔誠(俺の全力の方が上がるのか・・・何か期待外れだなぁ・・・ん?)


翔誠「お前は何をしてるんだ?」


優作「・・・加賀美指導員。実はこのボールを使ってみたくて」


翔誠「あーこれね。俺は寝っ転がって誰かに真上から落としてもらってそれを腕の力だけで受け止めて元の高さまで跳ね返す感じで使ってる」


優作「・・・お願いしても良いですか?」


翔誠「勿論」


─────


優作「はぁ・・・はぁ・・・」


翔誠「3キロのボールで10回2セットか・・・平均よりも少ねぇな」


優作「ご・・・ごめんなさい」


翔誠「気にすんな。こっからだ」


優作「あり・・・ありがとうございます」


翔誠「俺は他の奴ら見てくるから好きにトレーニングしてろ」


ゴリマッチョ「なぁ坊主!」


優作「な・・・何ですか?」


ゴリマッチョ「トレーニング方法がわからないなら俺達とやらねぇか?」


細マッチョ「俺達見た目通りジムに通いまくってたからさ!大抵のトレーニング教えられるぜ?」


優作「えっと・・・」


ゴリマッチョ「よし!決まりだな!」


細マッチョ「さっき三頭筋やってたみたいだからこれなんかどうだい?」


優作「ベンチプレス・・・ですか?」


ゴリマッチョ「おうよ!1回腕鍛えたならそのまま同じ部位を鍛えるのが良いんだ!」


細マッチョ「重さは50で良いかな?」


優作「え!?いや・・・その」


ゴリマッチョ「何々?もっと付けてほしいって?」


細マッチョ「欲しがりだねぇ!んじゃ60キロでやってみよう!」


────


優作「ふっ!・・・むむむ!!!ギィィィィ!!」


ゴリマッチョ「補助してるんだから頑張れ!」


細マッチョ「あと3回!お前ならできるぞ!」


優作「いっ・・・・・ち・・・・・!にぃ・・・・・い・・・・!さ・・・・・・・」


Wマッチョ「ニヤッ」


優作「ん!」


ゴリマッチョ「おっとすまない手が滑った」


優作「うぇ!?うわぁぁぁぁぁ!?」


ヤバい・・・顔面に直撃する!?避ける体力残ってないし・・・あぁ・・・終わった


パシッ!


Wマッチョ「!?」


翔誠「マッチョ共大丈夫か?気合い入れすぎて力入ってねぇんじゃねぇの?」


割り込んできた加賀美指導員は60キロあるベンチプレスを右手で僕にぶつかる直前にキャッチした


翔誠「60キロか・・・お前にはまだ早えよ。やるなら20キロ位からにしとけ」


優作「は・・・はい」


翔誠「時間は6時20分か・・・お前ら!今日はそんなもんで良いから風呂入ってこい!汗臭いと嫌われんぞ!」


研修生達「了解です!ご指導ありがとうございました!」


翔誠「おう!先に行ってろ!んで風呂上がった奴から飯食ってろ!ほらマッチョ共も行け。片付けは俺がしとくから」


ゴリマッチョ「で・・・では」


細マッチョ「お言葉に甘えて・・・」


翔誠「あんまりこいつを虐めてやるなよ?」


Wマッチョ「ギク!」


翔誠「優作お前も行って良いぞ」


優作「はい・・・ですがこんなに大勢で行ったらきっと混んでますから・・・僕は片付けをしてます」


翔誠「・・・よし。ならお前俺の部屋のシャワー使ってろ」


優作「え!?でも悪いですよ!」


翔誠「良いから良いから。早く行ってこい」


優作「・・・ありがとうございます!」


翔誠「ふぅ・・・」


あきつ丸「意外と様になってるでありますなぁ?」


翔誠「冷やかしか?」


あきつ丸「そんなところでありますな」


翔誠「お前も暇なんだな」


あきつ丸「最近はやることないでありますからなぁ・・・いっそ深海棲艦共が攻めてきてくれたら多少変わってくるでありますが」


翔誠「おいおい。縁起でもねぇ事言うなよ」


あきつ丸「冗談でありますよ。さぁ?翔誠殿も朝ご飯食べに行でありますよ。春雨殿も待っていますし」


翔誠「・・・それは早く行かないと」


時刻は朝の7時。またしても艦娘と研修生達の食事の時間が重なった


A「おいB!あれ見て見ろよ!」


B「昨日いなかった艦娘がいる!」


A「しかもあれ外国の艦娘じゃね!?」


B「これは・・・」


AB「やるしかねぇな!」


アイオワ「それでねー?」


A「えっと・・・一緒にご飯食べても良いですか?」


アイオワ「んー?グランマー?どうする?」


ウォースパイト「え?私に聞くの?そうねぇ・・・駆逐艦もここには居ることだし向こうの席へ行ってくれる?」


A「あっ・・・わかりました」


アイオワ「・・・目つきでわかる物ねー?」


ウォースパイト「欲丸だしって感じですもの」


ジャーヴィス「ダーリンはあんな目しないもんねー?」


アイオワ「そうそう!やっぱり男が何人居ても翔誠が1番って思えちゃう!」


ウォースパイト「彼は本音と建て前がほとんど無いから付き合いやすいわよね♪」


アイオワ「それに照れるとすっごく可愛いし!」


─────


B「あのぉ・・・」


ガングート「何だ貴様は?」


凄い目つきで睨まれた


B「も・・・もし良ければ一緒に食事でも・・・」


ビスマルク「あんたもさっきの奴らと一緒なの?生憎私達はそこまで仲良くない人と食事はしたくないの」


ガングート「そう言うことだ。諦めろ」


A「で・・・でも!これを機に仲良くなれるかもしれませんよ・・・?」


ガングート「往生際が悪いな・・・銃殺刑をご所望か?」


AB「ひぃぃぃぃ!?スミマセンでしたぁ!!」


ビスマルク「ふん!とんだ腰抜け共だったわ」


グラーフ「日本人というのはもう少し骨のある奴らじゃないのか?」


プリンツ「大和魂でしたっけ?」


グラーフ「それだ。少なくとも翔誠が指導してる奴らに大和魂がありそうなのは1人2人しかいないぞ」


ガングート「まったく。根性が無いなら初めから来るなと言う物だ」


タシュケント「そうだよねー同志みたいな人は日本じゃ珍しいのかな?」


ビスマルク「ちんちくりんの事?あいつはある意味別の生き物でしょ?」


グラーフ「まぁ否定はしないが」


春雨「あ!海外艦のみなさんおはようございます!あの・・・ここ2席空いてたりしますか?」


ビスマルク「あら春雨じゃない。グーテンモルゲン。空いてるわよ。私の隣とアイオワの隣が丁度」


春雨「なら良かったです!翔誠さーん!席空いてましたよ!」


翔誠「ホント?ありがとう春雨ちゃん・・・海外艦の皆さんおはようございます!」


「グッドモーニング!」

「グーテンモルゲン!」

「おはよう!」


ガングート「噂をすれば何とやらだな!」


翔誠「噂?俺のですか?」


アイオワ「日本の男は翔誠以外ヘタレしかいないって話よ!」


ウォースパイト「それに皆さん欲丸だしなんですもの・・・声かけられても拒んじゃうわ」


翔誠「え!?んじゃ俺も欲丸だしって事ですか!?


ジャーヴィス「違うよー?ダーリンは欲とか関係なく私達と話してるもん!」


ビスマルク「悔しいことにね。もっとろくな奴がいれば良いのに」


プリンツ「もー!ビスマルク姉様はツンデレなんですからー!」


ビスマルク「べ・・・別にデレてないわよ!」


翔誠(黙ってれば美人なんだけどなぁ・・・)


春雨「ビスマルクさんって黙ってれば美人ですよね!」


ビスマルク「ちょっと!それどういう事よ!?」


春雨ちゃんって案外ポンコツなのか?可愛いから良いんだけど


優作「シャワー浴びてたら遅くなっちゃった・・・空いてる席は・・・」


翔誠「ん?優作どうした?席がないのか?」


優作「無かったです・・・」


ジャーヴィス「あ!なら・・・」


何か思い付いた様にジャーヴィスが席を立ち上がった


ジャーヴィス「私がここに座れば貴方も座れるでしょ?」


翔誠「あの・・・ジャーヴィスちゃん?何で俺の膝に座ったの?」


ジャーヴィス「んー?何となくかな?」


春雨「ジャーヴィスさん!」


ジャーヴィス「どうしたの?」


春雨「私も翔誠さんの膝に座りたいです!」


あっ。春雨ちゃんのポンコツスイッチが入った


サラトガ「なら私の膝に座りますか?」


春雨「気持ちは嬉しいんですけどそうじゃないんです!」


優作「翔誠さんって艦娘の人たちにかなりモテるんですか?」


アイオワ「モテるって言うよりも信頼されてるって言った方が良いのかな?」


優作「なるほど・・・」


朝食を取り終えた後、いよいよ仕事を始めた。何班かに別れて別々の事をした。僕がいたところは弾数のチェックと補給だった。それが終わり昼食を取り再び仕事に戻りあっという間に1日目が終わった。こんな日々が2日ほど経った昼食時にとある問題が起きた


A「だから良いじゃないですか!たまには俺達と飯食ってくれても!」


初日から艦娘と食事をしようとしていたAがしびれを切らして怒り始めた


鈴谷「だから!鈴谷はあんたらとは食べたくないんだって!何回言わせれば気が済むの!」


A「初日は一緒に食べてくれたじゃないですか!」


鈴谷「あの後からあんたの目付きがすっごく厭らしいんだもん!吐き気がするくらいにね!」


A「ならどうして加賀美指導員や憲兵達とは食えるんですか!?」


鈴谷「あいつはあんたらみたいに厭らしい目付きで私たちを見ないし!私達を人間と同じ様に見てくれる!それに何よりあいつや大津田さん達は大切な仲間なの!1日2日顔を合わせたばかりのあんたらと一緒にしないで!」


A「チッ!クソビッチ共が」


Aがそうぼやくと鈴谷はさらに激昂した


鈴谷「1つ良いこと教えてあげる。私達は心から信頼できる人以外には絶対に抱かれないから!あんたらみたいに下心丸出しの輩共には一生理解できないと思うけど」


A「んだとてめぇ!」


優作「ちょっと!A君言い過ぎだよ!教官が来ちゃう!」


A「雑魚は引っ込んでろ!」


バキッ!


優作「いっっっ」


鈴谷「八つ当たり?ホントどこまでも救えないクソ野郎ね」


A「このクソアマ!」


優作「やめ・・・ろ!」


Aが鈴谷に向かって拳を振り上げたタイミングで優作が二人の間に割り込んだ


鈴谷「ちょ!?あんた!」


A「テメェごとぶっ飛ばしてやるよ!」


優作「うぉぉぉ!!」


Aの拳に優作の左拳が触れた瞬間だった


A「・・・は?」


優作「え?」


Aの拳が優作の左拳に触れた瞬間Aの拳の威力が落ちた


A「関係ねぇ!そのまま吹っ飛べ!」


優作「ぶへ!?」


鈴谷「ちょっ!?えぇ・・・気絶しちゃってるし・・・」


翔誠「飯食おうと思ったら何の騒ぎだ?」


A「えっと・・・」


翔誠「・・・鈴谷」


鈴谷「な・・・何?」


翔誠「飯食い終わったら報告に来い」


鈴谷「はぁぁぁぁぁぁ!?何で鈴谷がそんなことしなきゃいけないの!?」


翔誠「見た感じお前も関わってたっぽいし」


鈴谷「確かに居たけど!関わってたけど!」


翔誠「んじゃ飯食ってから俺の部屋に来いよ?バックれるなよ?」


鈴谷「鈴谷超損な役回りじゃん・・・」


~昼食終了後、翔誠の私室~


鈴谷「翔誠~鈴谷だよ~入っていい?」


<良いよー


ガチャッ!


鈴谷「お待たせ」


翔誠「話聞く前に・・・さっきは高圧的な態度取って悪かった・・・ごめん」


鈴谷「え?アレの事気にしてたの?」


翔誠「立場的に仕方ないとは言え流石にちょっとって思ったから」


鈴谷「別に鈴谷は気にしてないよ?むしろいつもと違う翔誠見れて面白かったし」


にひひと笑いながら鈴谷は言った


翔誠「春雨ちゃんと出会ってなかったら・・・いや。それより何であんなことになってたの?」


鈴谷「それは・・・」


鈴谷は事の詳細を話した


翔誠「・・・指導員辞めたくなってきた」


鈴谷「何となく察せる」


翔誠「と言うより何?優作の拳がAの拳に触れた瞬間にAの拳の勢いが一瞬死んだって?幻想殺しか何か?」


鈴谷「幻想殺しかどうかはわからないけど・・・」


翔誠「兎に角あと1週間頑張るか」


鈴谷(変に真面目なところはカッコいいんだけどなぁ・・・)


それから6日間研修生達は筋トレと仕事繰り返していた。そして迎えた最終日。時刻は朝6時


翔誠「みんなこの10日間お疲れ様。仕事の内容はだいぶ理解してきたと思う。どうだ?」


ゴリマッチョ「教えられた事は理解してきましたな!」


翔誠「なら良かった。今日は仕事はしないで代わりに別の事をやってもらう」


A「代わり?」


B「バーベキューとかですか!」


それが良いと皆口を揃えた


翔誠「今日やってもらう事。それは・・・バトル・ロワイアルだ」


全員予想外の言葉を聞き唖然としていた


翔誠「これは採用者を決めるテストにもなる。問題がなければルール説明に移るが?」


ゴリマッチョ「待ってください!採用者を決めるのなら筆記でも良いはずでは?」


翔誠「採用の最低条件は強い事だ。仮にも鎮守府だぞ?柔い奴は要らねぇ」


全員固唾を飲んだ


翔誠「ルールは簡単。最後の一人になるまで戦え。それから艦娘からの砲撃や航空攻撃もある。それを避けながら戦え。実弾じゃねぇから死ぬ事はねぇだろうが・・・まぁ当たらねぇ方が良いに越したことはない」


優作「加賀美指導員は参加されるのですか?」


翔誠「俺は様子を見て気が向いたら戦場を荒らす。それを利用して他の奴らを出し抜くも良し。共同戦線を張るも良し。一人で戦い続けるも良し。ただし1つだけ破っちゃならないルールがある。殺しは無しだ。あぁ・・・そうだ」


加賀美指導員は思い出したかのように言った


翔誠「20人もいたら流石に時間がかかるからなぁ・・・春雨ちゃん『アレ』持ってきてくれる?」


春雨「はい!これですね!」


翔誠「うん。ありがとうね」


そう言うと彼は春雨の頭を撫でた


春雨「ん・・・えへへ」


優作「加賀美指導員?それは・・・」


翔誠「ロシアンルーレット。引き金を引けるか引けないかで半分位に人数を減らす」


ゴリマッチョ「何分の1なのですか?」


翔誠「21分の1だ。単純計算で誰も弾丸を引かずに済む。簡単だろ?」


ゴリマッチョ「それは貴方も勿論参加するのですよね?」


翔誠「あぁ。ただし俺が使うのはこっちだ」


そう言うとコートの内側から彼が取り出したのは6分の1で弾が出てくる一般的な銃だった


翔誠「さぁ。時間がないからなぁ。誰から行く?」


ゴリマッチョ「先陣を切るのは指導員の役割なのでは?」


翔誠「確かになぁ・・・ゴリマッチョ。お前これに弾入れてくれ」


ゴリマッチョ「了解です」


──────────


翔誠「入れたな?」


ゴリマッチョ「えぇ」


翔誠「そんじゃ始めるか」


カチッ!カチッ!カチッ!カチッ!カチッ!


翔誠「次はお前らの番だ」


ゴリマッチョ「な!?」


驚くことに加賀美指導員はすべて空の穴を引き当てた


A「こ・・・こんなこと躊躇い無くやるなんて」


B「俺は降りる!」


<俺も!俺もだ!イカれてやがる!


翔誠「さて・・・だいぶ減ったなぁ」


そこに残っていたのはゴリマッチョ、細マッチョ、優作、T、Zの5人だけだった


翔誠「んじゃお前らだけでバトル・ロワイアルだな。時間は予定通り。しっかり準備しとけよ?」


─────────


ゴリマッチョ「やっぱり組むよな?」


細マッチョ「当然でしょ」


ゴリマッチョ「多分だが2対2対1になるな」


細マッチョ「T、Zのペアとガキ?」


ゴリマッチョ「そうだ。ガキは最後に回すか」


細マッチョ「違いない」


そして始まりを告げる砲撃が鳴り響いた



最終章:覚醒する者達



バトル・ロワイアルの舞台は憲兵に襲撃され復旧作業を放置されたままのとある鎮守府で行われていた。広さもそこそこあり近隣から騒音の苦情も来ないなかなかの場所だ


翔誠「思った通りの戦力図になったな」


あきつ丸「ほう?この2vs2vs1の図がでありますか?」


翔誠「マッチョコンビは普段から仲が良かったからな。TとZは仲は悪くはねぇが優作と組むならって考えなんだろうよ」


あきつ丸「なるほど。それで?指導員殿は誰が勝ち残ると思われるのでありますか?」


翔誠「当人の気持ち次第だが俺は────」


開幕の砲撃音が鳴り響いた


T「どいつから狙う?」


Z「狩りやすそうなあのヒョロヒョロからだろ」


T「ちげーねー」


開幕から数分後


ゴリマッチョ「む?」


細マッチョ「これは都合が良い」


T「チッ」


Z「よりにもよってこいつらかよ」


ゴリマッチョ「いざ尋常に!」


Z「来やがれ!」


───────


優作「開始から30分・・・ちょいちょい砲撃音が鳴り響く以外は問題ないな・・・このままあの四人が共倒れしてくれたら理想なんだけど・・・」


???「た・・・・助けてくれ」


優作「!?」


そこにはボロボロになった細マッチョの姿があった


優作「何があったの!?」


細マッチョ「TとZ相手にしてる時に艦娘からの攻撃があってさ・・・いっててて」


優作「今助けるから!」


細マッチョ「あぁ・・・助かる」


優作が細マッチョに近付いた時、瓦礫の裏に隠れてたゴリマッチョが鎖をもって現れた。優作はすぐに捕まってしまった


ゴリマッチョ「ハッ!お人好しが過ぎるんだよ坊主!」


細マッチョ「まさかホントに騙せるとは思わなかったぜ・・・」


ゴリマッチョ「これで1人脱落だな!ハッハッハッ!」


───────


優作「あぁ・・・結局こうなるのか」


端から見たら酷い裏切りだとも見える。だが殺し以外なんでもありと先に言われていた。あの二人は別に反則をしたわけじゃない。むしろ勝つために策を練った。だが


優作「ここまできて・・・こんな終わり方かよ・・・クッソ情けねぇ」


まだ終われない。まだ終わりたくない。ここまで来たからにはせめて一矢報いてやる。その思いが通じたのか優作の左手の能力が発動した


優作「腕の鎖が・・・」


左手に巻かれていた鎖がどんどん朽ち果てた


優作「もしかして・・・左手に触れた物を無力化するのか?」


試しに首に纏わり付いている鎖に触れた。優作の読みは正しかった


優作「これなら・・・まだやれる」


少し時は経ち艦娘達の航空攻撃が始まった


ゴリマッチョ「クソ!まだ終わらないのかよ!」


細マッチョ「どちらか一人になるまで続くのか?」


???「誰か1人になるまでだろ」


Wマッチョ「!?」


2人の目の前に現れたのは優作だった


細マッチョ「小僧お前まだ動けたのか」


ゴリマッチョ(雰囲気が大分変わったな・・・)


優作「来いよ」


─────────


あきつ丸「あれま。かなり調子に乗ってるでありますなぁ?」


翔誠「そろそろ俺も混ざるか」


あきつ丸「ついにでありますか?」


翔誠「・・・って思ったけどその必要は無さそうだな」


あきつ丸「どういう意味でありますか?」


翔誠「まぁ見てみろ」


優作は物の1分足らずで細マッチョを仕留めていた


翔誠「体格的には不利だったんだけどな・・・力の使い方を理解してるよ」


あきつ丸「誰に教わるでもなく本能のままでありますな」


翔誠「あの筋肉お化けを倒せたら優作に決定だな」


────────



ゴリマッチョ(何があった?)


その一言しか浮かばなかった


ゴリマッチョ(細マッチョが殴った瞬間左手で拳を受け止めそのままカウンターを入れたように見えたが・・・)


優作「次はあんただ」


ゴリマッチョ「この10日間で身に付けた技じゃ無さそうだが・・・何をした?」


優作「ただ受け止めただけ。あんたも見てただろ?」


ゴリマッチョ「それだけなのか?」


優作「それだけだ」


ゴリマッチョ「なら・・・」


不気味に笑みを浮かべた瞬間


優作「!?」


ゴリマッチョ「防げない速さで攻めるだけだ!」


──────



翔誠「あいつ見た目の割りに素早く動けるんだな」


あきつ丸「そんな事言ってると翔誠殿のお気に入りの優作殿は負けてしまうでありますよ?」


翔誠「その時は運がなかったって事だ。あきつ丸アイツの表情見てみろよ」


あきつ丸「どれどれ・・・おぉ・・・この状況で・・・」


勇作は笑っていた。それも対峙している大男よりも不気味に


翔誠「これは勝負あったな。止めてくる」


そう言うと同時に翔誠は二人の間に割り込んだ


翔誠「悪いが勝負アリだ。勇作。俺はお前を採用する」




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2019-07-04 02:36:34

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1: 桃蜘蛛 2019-05-05 13:10:10 ID: S:c6b55x

待ってました!

2: SS好きの名無しさん 2020-02-23 00:34:07 ID: S:3COZnF

続き待ってます!


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