俺が愛したのは深海棲艦
二番煎じだったら土下座します
少しだけ今までの作品と関わるかも?
主人公は「男」と表示します
この海に深海棲艦が現れてからと言うもの、海は静かな場所ではなくなった。
毎日毎日砲撃音や警報が鳴り響いている。
深海棲艦に親、兄弟、友人を殺されたのは少なくとも俺だけじゃない。
目の前に深海棲艦が現れたらどんな汚い手を使ってでも殺す。
そう思ってた
思ってたはずだった
深海棲艦「・・・」
男「・・・ッ!」
傷ついた深海棲艦を見て驚いた。軍艦の砲撃を耐えるからてっきり禍々しい化物かと思ってたが蓋を開けてみればどうだろうか。色白の肌に整った顔。スタイルの良い体。
所謂一目惚れだ
男「ついてこい!」
気がつくと俺は彼女の白い腕を掴んで家に連れ帰っていた
男「さて・・・連れてきたはいいけどどうしたものか」
俺の家は海辺のボロい家だ。元々は漁師の道具を置いていた場所だったがこのご時世じゃな?
男「あんた・・・名前は?」
空母棲姫「空母棲姫だ・・・まさか人間に助けられるとはな」
男「長い名前だな。空で良いか?」
空母棲姫「好きにしろ」
男「んじゃ決定な」
空母棲姫「お前の事は何て呼べば良い?」
男「俺に名前なんかねぇよ」
空母棲姫「そんなはずは無いだろ。親から貰った名前があるだろ?」
男「親ならおめーらに殺されたよ」
空母棲姫「・・・すまない」
男「別に今となってはどうでも良いことだ・・・まぁ正確に言えば名前は忘れたって感じだな。強いストレスで名前と親兄弟の名前みんな忘れた」
空母棲姫「すまない」
男「だから謝るなって」
こうして俺と空の生活が始まった
男「そう言えばお前らって普段何食ってるんだ?」
空母棲姫「鮫とかだな」
男「なら魚は食えるか」
空母棲姫「食えるな」
男「よっしゃ。そしたら今日は干物にしよう。深海じゃ食ったこと無いだろ?」
空母棲姫「どんなものなのだ?干物と言うのは」
男「魚を捌いて干して乾燥したやつだな。長期保存するのにできた保存法だ」
空母棲姫「なるほど。それは楽しみだ」
───────
男「食ってみてどうだった?」
空母棲姫「熱くてあんまりよくわからなかったが旨いな」
男「そうか。ならよかった」
空母棲姫「・・・なぜ怖がらない?」
男「あ?」
空母棲姫「私は・・・私達はお前たち人間の敵だぞ?なのにお前は私を怖がるどころか匿った」
男「・・・惚れたって言ったら怒るか?」
空母棲姫「は?」
男「確かに始め見た時はぶっ殺してやろうと思ったさ。でもよく見てみたらさ・・・その・・・スゲー美人で肌も綺麗だし・・・何て言うか・・・兎に角惚れた」
空母棲姫「呆れた奴だ」
男「逆に空は何で俺を殺さない?」
空母棲姫「・・・」
男「見たところ外傷はないけど?お前らなら武器を出さなくても人の骨の1本や2本簡単に折れるだろ?」
空母棲姫「・・・惚れたって言ったら怒るか?」
男「・・・プッ」
空母棲姫「?」
男「あっはははは!なんだよそれ!俺と同じこと言ってるじゃねーかよ!」
空母棲姫「まぁ・・・そうだな」
男「あー可笑しい。でも・・・嬉しいよ」
空母棲姫「あぁ・・・私もだ」
そんな感じで2人で雑魚寝してた時。時刻は朝5時くらい
コンコン
酷く無作法なノックが響いた
男「誰だよこんな時間に」
???「こんな時間に申し訳ありませんねぇ~」
俺はすぐにわかった。こいつは海軍の・・・正確に言えば大本営の人間だ
???「実はこの辺りに深海棲艦の反応がありましてねぇ?」
男「それは・・・怖いですね」
???「ですよねぇ?なので見つけても近づかないようにしてくださいねぇ?」
男「当たり前じゃないですか」
???「万が一・・・匿ってたってことがあったら・・・」
男「ッ!?」
???「君・・・消されるからね」
取巻き「・・・改めて朝早くに失礼した」
─────────
あいつら完全に俺を疑ってやがるな。これがボロボロになって気を失ってる状態の深海棲艦を連れ帰ってるなら話は簡単だった。だけど俺の目の前にいるのは・・・
空母棲姫「どうした?私の顔に何か付いているか?」
傷ゼロの姫だからなぁ
男「いや。眠れたか?」
空母棲姫「そこそこだな」
男「そうか」
空母棲姫「なかなか可愛い寝顔をするんだな」
男「喧しいわ」
昼頃になると雨が降り始めた
男「雨か」
空母棲姫「雨は嫌いか?」
男「嫌いではないけど好きでもないな。空は?」
空母棲姫「私はあまり考えたことがなかったな」
男「そっか」
空母棲姫「・・・どうした?難しい顔をして」
男「あぁ・・・明け方来た輩共を思い出してた。あいつらまた近いうちに来る気がするからなぁ・・・どうしたものか」
空母棲姫「・・・一緒に深海に逃げるか?」
男「そうしたいのは山々だけど何せ俺人間だしな」
空母棲姫「確かにな」
男「・・・遠く離れた海にでも行くか?」
空母棲姫「・・・悪くないな」
雨が降り続け夕方になった頃。またノック音が響いた。今回は無作法なノックではなく丁寧なノックだった
男「どちら様?」
取巻き「いや失礼。雨が強くなってきてしまってね。しばらくの間雨宿りさせてもらえないか?」
男「・・・少し待っててください。散らかってるんで片付けてきます」
取巻き「気を使わせて申し訳ないね」
────
男「お待たせしました」
取巻き「失礼するよ・・・ほう。良い部屋だね」
男「ありがとうございます」
取巻き「明け方はうちの上司が失礼した」
男「いえ・・・別に気にしてませんから」
取巻き「・・・正直な話本当に知らないか?」
男「何のことでしょうか?」
取巻き「安心しろ。今の俺は仕事で来てる訳じゃない」
男「それを理由に知ってることを話せと?」
取巻き「信用できないのは100も承知してる。ただ気になるんだ。君がここまでして深海棲艦を匿う理由が」
男「・・・バレてるじゃないですか」
取巻き「幸い俺だけしか気がついていない」
男「・・・一目惚れってやつですよ」
取巻き「一目惚れか」
男「・・・笑わないんですか?」
取巻き「何で笑う必要がある?」
男「俺は人類の敵に惚れたんですよ?」
取巻き「確かにそうかもしれない・・・が」
そこで言葉を切ると取巻きは煙草に火を着けた
取巻き「ふぅ・・・一目惚れって言うのは言わば交通事故みたいなものだからな。いつどんな状況でどんな人に起こるかわからない。だから俺は全然不思議とも思わない。ましてや君が深海棲艦に惚れてもそれは人として起こる可能性の1つだから文句は言えない。まぁ世間から見たら裏切り者だろうがね」
微笑みながら言った
男「俺はどうしたら良いですか?」
取巻き「後悔しない選択をしろ・・・としか言えないかな」
男「後悔しない選択・・・」
取巻き「あぁ・・・周りに嘘をついてもいい。だけど自分にだけは嘘はつくな。その嘘はいつか取り返しのつかない事になる」
一目惚れとは・・・・・・こりゃ怒れませんな
続きが楽しみです
一目惚れとは・・・・・・こりゃ怒れませんな
続きが楽しみです