つ´・ω・`) これ、海底150Mの軍事抜粋スピンオフだから。エロのないR-15ね。(完結)
つ´・ω・`) 軍事見たい人には先行配信みたいなもん。適当に更新して、気付いたら本編に同化してるかも。ゆえにガチ筋の考察コメントとかあると嬉しい。批判も受け付けるけど、一つ注意、消さないから。本文落ちるまで永遠に残るよ。このサイト、作品の非表示機能と検索除外がないみたいだから、何度も出てきたらごめんね。
つ´・ω・`) 旧軍世界VS超兵器深海棲艦のSFバトルが世界観です。気が向いたら更新していきます。ゆえに毎回変なとこでとまる可能性あり。気付いたら内容も変わってるかも。体験版みたいなもんです。
ノシ´・ω・`)つ 深海側マンセーの内容なんで、兵器名称はほとんどでない仕様です。ただなるべく、ガチ筋にはどれか特定が出来るように配慮してます。コメント欄で本文のネタバレと考察、他作品についての話も大丈夫です。適当にどうぞ。
つ´・ω・`) 本編の予定では、第三艦隊(連合国)VS潜水新棲姫。飛行場姫VS大本営主力再編艦隊(レイテ突入前くらいの。)関東陸海部隊VS戦艦水鬼(棲姫)が構想にあります。
つ´・ω・`) 今回は、同時攻撃後の追撃戦の設定。離脱ポイントを維持していた北方棲姫と合流。その後、飛行場姫と北方棲姫のしんがりバトルみたいな(人類最後の航空決戦)。この戦いのあと、ムリムリムリのカタツムリ(対費用効果)で、艦娘がわいてくる感じ。だしー。みたいな。
ノシ´・ω・`)つ クソみたいなSFドロ臭バトルを目指しています。『少佐殿!少佐!代行!代行殿!大隊指揮官殿!』 本作に妖精はいません。見える人はヒロポンガイジです。つまりSF深海棲艦と通常兵器のガチンコになります。
つ´・ω・`) AAは、スマホでも横に傾けて、大画面扱いにすると崩れずに見れるよ。
更なる戦争を望むか?
情け容赦のない糞の様な戦争を望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様な闘争を望むか?
「よろしい ならば戦争(クリーク)だ 」
r、ヽヽ ,..
l.i^iヽヽ! l
`、ヽ `!
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ヽ , ヘヘ
ヽ' / \
く 。. \ ,.-、、ヘ
\゚ 。 \ ,.._彡ミ',ハ、
\ `ゝ、._ ,イヽ (_ノ彡, ヽ
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_ ヽ-─  ̄__,..-l、 L./// ,F`
ヽ´ _. -‐'ニィ○l `` ‐_,ーイ//,ト
/ヽ`=i ,.-'´, - '´,. ヘ. _,!‐.ニ∠._,.-` !、
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,' i' i. ヽ l、  ̄li. i ` lトl `゙ ヽ
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/ l l l ヽ ,.- ´ i、 l \
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大本営からの勧告を無視し、独断先行した大国の一個任務部隊は、高速で移動する彼女らをすでに補足していた。
青いカラーリングの双発機に急遽増槽を付け3500mの高空から、彼女らのねぐらへと追尾する。上下振動が少なく機内で喫煙も可能なため、乗組員は片道フライトとは言え、双眼鏡により高みの見物を行っている。
「ふむ」北方棲姫は高空からの視線を感じるが、海上を全速で前を向いて進む。「のう。つけられておる」「ああ。そうだな」飛行場姫もまた同様に、少し焼け跡の残る銀色のショートヘア―を後方に伸ばし北方棲姫の後に続く。
駆逐棲姫を奪還し帰路に付いているが追撃されない保証はない。少女を抱く戦艦水鬼を中心に前方方向は潜水新棲姫が先行し、しんがりは北方棲姫・飛行場姫の両名が務めている。他の深海棲艦は別働隊として南方方面の島の一つを陽動作戦にて押さえに出ているため、未だ合流は果たせていない。
圧倒的な差を見せてなお向かい来る敵勢力に呆れもするが、終わってみれば肩透かしであったため延長戦があるのは飛行場姫には僅かに楽しさが込み上げる。
「来ると思うか?」飛行場姫は赤い目を細め半壊した飛行場の滑走路を模した艤装を愛しそうに撫ぜる。「来るじゃろうな」
潜水新棲姫は深海棲艦唯一の高周波使いである。全身を高周波の膜で覆い、極少の気泡を体に巻き付ける事により、その遊泳速度は海上を行く深海棲艦よりも遥かに速い。しかし、反面。生み出される海底ノイズが極めて大きく彼女が認知されるまでは、怪獣が泳いでいると噂されていたこともあるほどだ。
「前にはローレライ様がおる」皮肉を言うように口を曲げ、苦々しく北方棲姫は言った。「では我々は、後ろを楽しむとしよう」後に公に語られぬ歴史の一つ。本作戦においてゲスト参戦しているローレライこと潜水新棲姫は戦場伝説としてのみ記憶され、その偉業の実態を知る者は当事者たちしか存在しない。
「見えるか?」飛行場姫は彼方の点の塊に感づいた。「ああ。西洋の愚図共じゃ」彼女らとの戦闘は、低高度での急旋回、急上昇の格闘戦が必要になる。そのため、低高度において圧倒的な制空能力を誇る、特に過給機を付けていない、その名を馳せた白い大本営機が事実上の脅威であった。
奴らのその白い機体は美しく、舞い踊るように素早く空を踊り、命を惜しまず機銃を撃ち込んでくる。
西洋の機体はその多くが高速域での一撃離脱戦法を好んでいたため、後方を支えるウイングマン共に御しやすい。つまり、上空全域において良好な性能を持つタコヤキには、小回りの効かないその設計思想が仇となっている。
近年では欧州の新聞の「デッドリー・ジョーズと闘うな!」との見出しには、丸く黒いボディに白い歯をむきだしにしたタコヤキの白黒の写真が一面に掲載されている。
「わざわざ追いかけてきたのじゃ。手強いぞ」北方棲姫は広がる白い髪を、髪留めで抑え丸め込む。「仇討合戦か」飛行場姫は目を細め次第に大きくなる点を楽しそうに見つめた。今度ばかりは彼らも帰る事を前提に戦わないだろう。覚悟の差の埋まったパイロット達がどれほどの物か、彼女のパパラチアサファイアを思わせる澄んだ瞳が、次第に広がる点に向かう。
「悪く思うな」彼女は足を止め、反転する。銀色の髪が照り返されるアルミのように強い日差しをたくわえている。
青い空の下、数本の白い雲がなびき、静かな波の上に彼女は膝を下げる。中腰の姿勢で両手をゆっくりと広げると、両手腕に乗せた飛行場から黒く丸い塊が次々と滑り上がっていく。急上昇し迫る航空機に向かうタコヤキから数個が離れ、動きを止めた彼女らに合わせるように旋回していた上空の航空機の片羽をかじり取った。
「あやつには厄日じゃの」続き背中に背負うように斜めに伸びる滑走路から弾き出されたタコヤキが、“運悪く”死にぞこないパラシュートで降下する一人の男の紐を噛み切った。着水の瞬間まで恐怖に青ざめる男の悲鳴が続く。
「よもや生きて帰れると思うな」ブラウンの瞳がどこか寂しそうに正面に迫る航空機群を見つめる。
「む」北方棲姫のほほが奥歯を強く噛む事により僅かに膨らんだようだ。
「どうした?」僅かに顔を強張らせる飛行場姫に、北方棲姫が問う。「うん。一当てしてみたが、ゼロよりも手強い」敵の編隊は上下に二つに分かれ、各々が200ほどありそうだ。こちらのタコヤキは連戦が重なり、100にも満たない。
時間をかければ圧勝は目に見えているが、航空戦にて後れを取り、戦艦水鬼に追いつかれては面子が立たない。地上組からも永遠に物笑いの種にされるだろう。僅かな焦りが彼女の判断を鈍らせる。
「何処を見ておる!」北方棲姫が気持ちの散乱に気付き、平手で彼女の頬を叩く。「しっかりここにおれ」一瞬目を見開き、気を取り直した飛行場姫はすぐさまタコヤキの管制に戻る。「そうじゃ。しっかりな」北方棲姫も先方から迫りくる敵機の群れに備えた。
飛行場姫のパパラチア・サファイアのような瞳が大きく前方を掴んでいく。
高速で突入するタコヤキが交差する手前。より上空の塊が雲の中へと入り消える。飛行場姫のタコヤキ隊が立てに伸びる太い雲の中へと正面から突入し、敵機と交差する際の乱気流により体をクルクルと体を回しながら、思い思いに敵の数を漸減していく。
海の中のように暗い世界。雲の中。それは空飛ぶ海だ。荒れ狂う海流。上下に逆巻く海底海流の束。エアポケットすらも彼女らの遊び場に過ぎない。
雲の中を交差する際に、青い翼に絡みつき、氷が僅かに翼に付き出来る音を頼りに、方向を変え次々と体当たりする。30機程の青い機体の破片と人の形だったものがバラバラと雲の中から零れ落ちている。
航空優勢。環境が悪化するほど、世界が沈むほど彼女は強くなる。
低高度を来る敵機を前に、北方棲姫のタコヤキ隊は苦戦を強いられていた。敵の青いプロペラ機は重火力で、4連装の機関砲がタコヤキの動きを制限する。正面突入を試みたタコヤキが、2機からの集中砲火により顎を砕かれ瞳を割りながらシュルシュルと海面に打ちつけられる。
続くタコヤキが後方の機体を叩き落した物の依然として前進している敵機が、機体を巧みに傾かせ左右にUの字にウェーブするように前進してくる。その動きが恐らくは限界機動を超えていると彼女は予測した。彼らにはやはり退路はないのだ。たゆんだ翼ではもう基地までは戻れまい。
「こやつはエースじゃの」片手で押さえつけた白い髪がざわざわと動く。
――それに覚悟もよい。
幼女の口元が怪しく歪む。航空戦とは時に虚しくそして儚い。彼らの狙いは彼女らではなくそのはるか先を見据えている。
【【幾多の経験から戦闘爆撃機以下の機動性では、タコヤキを相手にするには極めて分が悪い。どれほどの空中要塞を飛ばそうとも、クジラに群がるシャチの群れのように、全ての死角からその胴体を一瞬で食い荒らされてしまう。
タコヤキの台頭と、新型人型兵器の情報をすでに掴む事により大国では身を結ばない本作戦を支持していない。彼らは仲間達との約束。人の意地のためにのみ戦っている。それゆえ強く輝き、多くの強さを絞り出す。】】
「こちらは新型か」
飛行場姫の、雲の中を交差したタコヤキが反転し攻撃に戻るが、いつもよりも敵機の速度が速い。双発機のようだが、下を飛ぶ航空機の群れと大きさが変わらないように見える。かなりの大きさがる。以前に会敵した白い双発機よりも速く硬い。
搭乗席の風防を直上から撃ち抜けば事は単純であるが、あいにくタコヤキたちにはその余裕がない。連戦により給弾の追いついていないタコヤキ達は懸命に空を泳ぎ、後方から翼に食らいつく。敵航空機は1機、また1機とその数を減らされしていくが、仲間の犠牲を厭わぬ覚悟で編隊を維持する統制が、彼らの強固な意志を思わせる。
「星付き置いてけ」
北方棲姫のインペリアルトパーズを思わせるブラウンの瞳が怪しく揺らめく。目を大きく見開き白いゴワゴワとした髪が風に泳ぐ。彼方上空を全身で見つめる。
「そうだな」隣に立つ飛行場姫もまた、焦げ付いた髪を風にゆだね、世界に意識を拡大させていく。前方方向扇形に、まるで3Dレーダーの如く役割を持ち空に深海が広がる「後で評価しよう」
上下合わせて300機ほどが、大出力のエンジンが、異常な高速を作り、飛行場姫の作り出す狂気の世界に突入する。彼女はクスリと笑う。お前たちならば深海でも泳げるだろうと。もし彼らが新兵だったとしても、それらはすでに英雄であり、今彼らは人生最高の熱を帯びている。
この程度の深度では冷えきらないほどの。
「飛行場姫!」北方棲姫が吠える。
「お主何機行ける!」潮風をたくわえた白く雄々しい髪が広がる。そこに焦りはなくその瞳はすでにこの戦闘の先すらみているようだ。
「貴様の倍はいけるさ」遠くを見据えながら、片手を遥か前方に向け伸ばし、ふてぶてしく答えた。青空の元、銀色の髪が透けるように光る。赤くオレンジの瞳が見開かれ、世界の深度がより深くより広く変わっていく。
「ゆうてくれる」北方棲姫はカラカラと笑う「まことあっぱれ」彼女も同じく片手を伸ばした。「ならばやってみい」今、二つの飛行場は完全に敵を掌握した。
息切れをするように追いかける飛行場姫のタコヤキたちに、統制が戻る。それは魚の群れのように道を作り、必殺を狙い飛び回るハチのように恐ろしい。
黒い道は向かい来る航空機の群れに後方から襲い掛かる。意図的に左右に滑り込み、ダッチロールをしながら各々に回避を試みるが、ここへきて彼らはタコヤキの遊泳速度を見誤った。
情報以上。あるいは音速を超えているかもしれない。黒い本体が白と赤のコントラストに変わり明らかに性能が上がった。流石のパイロットたちにも気の揺らぎが見える。飛行場姫のセンサーが風防の中、落ち着きなく左右を見回すパイロットの顔を捕らえた。
「終わりだ、坊や達」進退窮まり、急降下し海面を目指す彼らに非常にもタコヤキの群れが殺到する。速度を稼ぎ機体を水平方向に激しく回転させながら風防への噛みつき攻撃を回避していくが、ついにその機動に耐え切れずに空中分解を始める者たちが出る。
海に立つ二人を肉眼でとらえられる距離に迫りながら、体を欠損させて墜落していく男の顔に悔しさがにじみ出ている。飛行場姫の慈悲深く憐れむ瞳が男と一瞬交差すると僅かに彼の表情が和らいだようだ。
兵隊として身を置き、いつかウジを作りながら死んでいくのかもしれないと予想していた彼の思う死は、これでいいと。あるいは今。少し幸せに感じたのかもしれない。海面に首が打ち付けられるまでの数分。
彼の世界は今と過去を激しく行き来し、世界が重なるその瞬間には僅かに微笑んでいたようだ。
「バカめ」北方棲姫が落着の瞬間を横目で捉え、寂しそうにつぶやく。「流れ着けばワラワが食らうてやる」
北方棲姫のタコヤキは黒いままではあるが、卓越した技量により、航空機と並走したあと背面飛びをするかのように、タコヤキが空中を一回しながら風防に次々と食らいついていく。
人類にはまだ経験の浅いその戦法に、既存の航空機が対応できるはずもない。前方直上から高い機動性により機関砲の死角から風防を捕らわれては頼れるものはもはや、自決用に腰につけられた拳銃と少し大きめの手投げ弾だけだ。
風防がバリバリに崩れ白い歯が迫る瞬間、豪快な体をした男は下卑たわらい声を出しながら、あらかじめ抜いていた手投げ弾を片手ごと口の中にねじ込む。割れた破片が男の目に突き刺さるが、その片手はしっかりと歯の内側に捩じり込まれている。
彼を機体から引きずり出し、口を激しく振り回すが、爆発の瞬間まで力を込めクサビのように歯茎を捕らえていた。内側からの爆発により歯をバラバラにし顎が外れたタコヤキが、黒煙を渦のように作りながら海中へと猛烈な速度で落下していく。
【【彼らは今、空の中で陸戦を体験させられている。航空機とは所詮、少し足の速い潜水艇でしかない。深海棲艦は、あるいは、この星全てを海の中と認識しているのだろうか。潜水艦の横を、同じ速度で泳ぐ事の出来る人間がいれば、その可動範囲と死角の多さからどちらがより有利に戦えるかは考えるまでもないだろう。
ゆえにタコヤキは、空を泳ぎ巧みに攻撃範囲の死角に迫る。弾幕によりカバー出来る範囲は少なく、人類には、特にこのような一方向に飛行を続けなければならないような作戦は、旋回による火線の密度を稼げずに最も苦手とするところである。
もし出来る事なら、空飛ぶ円盤の上にでも立ち、斧でも振り回していた方がよっぽど現実的に戦える事だろう。】】
重低音の轟音の束が近づいて来る。降下してきた航空隊の塊が先導し、250近い青い鉄の塊が、彼女らの直上の突破を試みる。高度は極めて低く、穏やかに流れるわずかな波の盛り上がりにプロペラの先端が接触するかのような高度だ。
「上手いのぅ」顔に掛かるしぶきを手の甲で拭いながら、北方棲姫は僅かに笑う。
「ああ。良く知っている」飛行場姫もまた、楽しそうに笑いながら、高度を下げタコヤキを追いかけさせる。
次々と着陸していくかのように新型機の群れが海面上を走る。白と赤のコントラストのタコヤキ隊がその後方から敵機を追いかけ、攻撃をかける。しかし、そのさらに後方に続く編隊から射撃を受け、突入後の攻撃姿勢がままならない。
この時、飛行場姫は二者択一を迫られた。
一つは、前方の高角度でダイブし増速した新型機の突破を許し、後方の塊を挟撃すること。
もう一つは、後方から攻撃を受けながら、先行する敵を攻撃すること。その判断は僅か数秒しか許されない。
斜めにスライドするように降下する白と赤のタコヤキたちは、すでに後方の航空隊の射程圏に滑り込み数個が海中に落とされた。
限界稼働を続ける敵の新型機のエンジンは度重なる過負荷にオイル漏れを起こしているようだ。僅かに、機体後方に海水以外の飛沫が見える。しかし、推力が落ちている様子はなく編隊が乱れることもないようだ。
大した愚図どもだと飛行場姫の口が緩んだ。
「上げろ!」飛行場姫は号令をかけ、片手を強く大きく振りあげる。飛行場姫と、北方棲姫の航空隊が一気に斜め前方に上昇していく。
時に答えは奇抜さを求めるのかもしれない。彼女の選択は攻撃の放棄であり、自らの体を犠牲にする大胆かつ無謀な作戦だった。前方を走る航空機の編隊が射撃をはじめた。わずか手前に、水たまりに降り注ぐ豪雨のような水柱を作っている。
後方から攻撃を加えていた青い機体のパイロット達に動揺が走る。前後の死を巻く塊が一斉に斜め前方の上空に向け上がりだしたのだ。
「反転突入!」飛行場姫の航空隊が縦方向に円を作りながら後方の塊に迫る。
「言うだけの事はある」北方棲姫はクスクスと口に手をあて笑っている。
飛行場姫の認識力は第3の解を手繰り寄せた。極限に高まる緊張の中、後続する敵機が海面スレスレの飛行をしている事に気付く。彼らの卓越した技量が災いし、一瞬の出来事に空を眺めながら、前方のタコヤキにつられて機首を上げてしまうものが出る。
結果、機体後部が波に接触し、機体をバウンドさせる者。バランスを崩し翼を回転させながら、翼を弾き飛ばすものが出る。
それらの機体がビリヤードのように、続く数機を巻き込んだ。統率が乱れ、巻き込まれまいと僅かに上昇を始める敵の群れに、赤と白のコントラストのタコヤキが急降下する。
円を描くように斜め後方から襲い掛かり、動きを読まれていた敵機の大半がタコヤキの歯の餌食となった。
阿吽の呼吸で北方棲姫の黒いタコヤキ隊が、二人に迫る敵の新型の群れに増速しながら急降下する。新型機の一群が二人に機首を向けながら、空中をドリフトするかのように左右に広がっていく。
「こやつらショーでも始めるつもりかの?」
高強度に裏打ちされたその双発機が、恐らくはエンジンの強弱の調整と機関砲の射撃による減速を考慮しての横滑りだろう。
「ああ。楽しませてくれる」飛行場姫と、北方棲姫は、攻撃姿勢を崩さずに砲火の中心に佇む。卵型に膨らみ赤い火線と鉄の塊が、彼女たちを包み込む。
体に当たる強力な射撃が、彼女たちの全身に大きくアザを作り。服を切り裂き、髪を引きちぎる。僅か十数秒。全身を激痛が襲い続ける。回復力を超える衝撃が二人の体から体液を吹き出させる。
耳障りな重低音が猛る海面と共に通過する。
「こんな物、邪魔なだけじゃ」北方棲姫がボロきれのようになった、白いワンピースを引きちぎった。「次はこちらの番じゃて」痛々しく青アザが全身に出来、片目からはオレンジ色の体液が流れ出ている。
「そうだな」飛行場姫はその特殊スーツにより衝撃を軽減され、露出していた手足にダメージが集中している。長く自慢の銀色の髪も、いびつなショートヘアーの如く短く変わった。
一世一代の航空ショーを敢行した新型機は、二人の領空を突破し、戦艦水鬼を追撃する。しかし、ヨロヨロと機首を立て直している隙を、北方棲姫は見逃さなかった。ドリフトするようなスライドにより急降下で稼いだ速度が大きく低下している。
「帰れ!!」
北方棲姫が大きく口を開け白い歯をむき出しにする。軋む体をマリオネットように海上をカクカクと半回転し、伸ばす片手が、新型機を狙う。
通過した50機ほどの塊から、10機ほどが翼を傾け、海面のしぶきをたくわえて海上に波紋を生み出す。翼を水平に戻すと、重火力の機関砲を乱射しながら、プロペラの回転を上げ北方棲姫のタコヤキ隊に反転突入して来る。
「愚図め」
風貌の中には口を大きくあげ、何か叫んでいる男たちの顔が見える。腹には黒光りした爆弾が一つ。そのターゲットはこちらに絞ったようだ。小刻みに上下に振れる様子からもはや長くはないだろう。
「ワラワがカバーする」北方棲姫のタコヤキ隊は長方形のような隊形を組み、さながらハエたたきのように前進する。定番の対カミカゼ対策だ。しかし、隊列維持と防御に重きを置くため、速度低下が著しい。「お主は抜けろ」
「ああ」星付きは手前から投弾し、爆弾を海面をはじく様にジャンプさせ低高度を攻撃する手段に長けている。抜けられれば大ダメージは必至だ。「任せる」しかし、飛行場姫は、彼女を信じ、自らのタコヤキ隊を増速のみに専念させる。
「来たの。地獄へさかおとしじゃ」
タコヤキ隊が格子状に展開され厚い鉄板のように迫る航空機を吸収して行く。脱落したタコヤキの穴はほかのタコヤキが移動することによりすぐに埋められる。
「新型爆弾か」飛行場姫は目を細める。爆発力が予想よりも多きい。弾き飛ばされるタコヤキの量と規模が予想よりもはるかに大きい。「厄介だな」
「奴らも我らを研究しているという事じゃ」
二機の青い航空機が爆弾を抱えたまま、タコヤキの穴を突き抜ける。陽光をうけ、動き出す黒い爆弾が光を放つ。
「ちっ」飛行場姫は群れの一つをすぐさま、敵機に目掛け進路を合わせる。
「任せよと言った!」北方棲姫が海面が滑走を始める。「貴様!何をするきだ!」飛行場姫の伸ばす手は空を掴み「戻れ!」北方棲姫が二機へと相対する。
「貴様らは通しはせんよ」
飛行場姫は見ていた。ゆっくりと。彼女は空へと飛びあがり、片腕を引きちぎると、一機の風防に向け恐ろしい速度で投げつけた。それは奴の目に突き刺さり機体が垂直に上昇を始めると爆散する。
残る一機に向け、飛びつき風貌から男を掴みだすと速度の差から彼女は弾き飛ばされ、きりもみ降下しながら海中へと没していく姿を。
あ・と・は・ま・か・せ・る
着水までの瞬間に彼女の口が小さく動く様子が見えた。満足げな顔で高速で沈んでいく。
「貴様ら。帰さん」
飛行場姫は落ち着いていた。恐ろしいほどに落ち着いていた。怒りを振り切ると冷静に戻るのか。彼女の深海は極限まで広がり、海面の温度低下から海上に霧が発生する。彼女の姿がゆらゆらと見え隠れするように消えていく。
銀色の髪は広がり、帯電するようにパチパチと光り輝いている。この日、世界は海の底へと沈んだ。言い知れぬ恐怖と息苦しさが世界を席巻する。それは、深海に棲む者たちをより輝かせた。
タコヤキ隊は異常な速度で増速し、先端から強力な引き波を作り出す。それはささやかに通過するだけで、先行していた全ての敵機を空中で爆散させた。
「死ぬなよバカめ」
飛行場姫は後続の有無を確認すると、海中へと素早くダイブしていった。
・・・・・
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| _,、-‐ ' ´ ̄/ /-、., |
魚 な .| _|ヽ ,、 ' ´ ,/ / / / | 許 お
雷 ぜ | ヽ、ヽ/ ,/ ∠ニ_/ |// | .さ ふ
だ な .| 、l、> ヽ、 / /'´ , - 、 ̄ フ/' | な .ざ
か ら .| ヾ'``ヽ、ヽ, l // i l /ヽ、 | い け
ら .私 | /,ゝ__(__)>  ̄ ー`―´'´ ヽ ヽ | .は
は | / 〃 < |
|/ ,/ヽ/\ ` ̄|/ ̄ ̄ ̄
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