ブラック鎮守府艦娘の乱 その2
前回の続きです。よろしくお願いします。時間があれば、随時修正を入れていこうと思います。
四隻の艦娘が、泊地鎮守府に向かって、海上を南に航行していた。
旗艦に戦艦霧島、軽巡神通、航巡鈴谷、正規空母瑞鶴。
彼女らに与えられた任務は泊地鎮守府の破壊、皆殺しだった。
「瑞鶴さん、そろそろお願いします。」
霧島は、瑞鶴の方を見ると、指示を出した。
「了解です」
瑞鶴は艦載機と一体になった矢を放った。放たれた矢は、数十メートル先に飛んでから閃光に包まれて、やがて戦闘機へと姿を変え、海上を飛びたって行った。
「皆さん、もう一度確認しておきます。今夜、作戦目的である泊地鎮守府近海に到着します。資料によると、殆ど実践的運用をされていない鎮守府のようです。保有艦娘は駆逐艦一隻のみ、作戦の流れは、鎮守府が主砲到達距離に入り次第、砲撃を行います。破壊を確認したら燃料保管庫へと向かい、回収。その後資源を持って横須賀に帰投。激しい戦闘は無いと思われます。いいですか、何よりも大事なのは鎮守府の破壊です。」
霧島は作戦を再確認すると、皆の顔を見た。
少し間が空いてから、鈴谷が笑いながら口を開いた。
「いきなり艦娘が攻撃してきたら、さぞビックリするだろうね〜」
「艦娘はどうするのですか?鹵獲して連れて帰るのですか?」
神通が質問すると、霧島は冷静に答えた。
「いいえ、撃墜します。作戦要項に、他鎮守府の艦娘に遭遇した場合は撃墜と書かれています。」
彼女は、懐から作戦書を出すと、その項目を指で指し示した。
「...わかりました」
「本当は鈴谷達だって、仲間には手をかけたくないんだけどねー」
「私達は提督を殺めました。もう後戻りはできません。」
二人の会話の重みは、食い違っていた。
「それは何回も聞いたって...」
交わされる会話に、瑞鶴は混ざらなかった。彼女は、海のはるか先遠い一点を見つめ、ぼうっとしていた。
何故こんなことになってしまったんだろう。瑞鶴には、わからなかった。
海を行く破滅は、確実に忍び寄って来ていた。
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落ちかけた太陽が、最後の輝きで、海をオレンジに染め上げる。
鎮守府近海にある盛り上がった岩場に、陽光に晒される二つの影があった。
提督と叢雲は各々の装備の確認をしていた。
「瑞鳳は大丈夫だよな?まだ練度なんて無に等しいから心配だぞ。」
瑞鳳は鎮守府に残り、偵察機を飛ばしつつ、攻撃を受けたら避難する役回りだった。
「それ何回言うのよ。鎮守府から艦載機飛ばすだけでしょ。練度は関係ないわ。」
叢雲は呆れた顔で言うと、魚雷の安全装置を外し、主砲の弾薬を確認し始めた。
「初めて本物使うわね。しっかりできるかしら?」
「おまえは大丈夫だろ、接近戦で。身体能力オバケじゃん。」
「それはあんたしかいないせいで普通の演習ができなかったせいでしょ。」
言った後に、はあと大きな溜め息をついた。
「まあ、これからは瑞鳳もいるんだし、艦娘同士の演習ができるな。」
「遅すぎるのよ...私もう練度99よ?上限を上げないといけないわ。」
「それなら大丈夫だ、先日、指輪を注文したからな。ケッコンして練度の上限をあげよう」
提督は、着ているパーカーのフードを被ると、さらりと言った。
暫く言葉が返ってこなかったので、提督は叢雲に視線を投げた。
彼女の顔は林檎のように赤かった。
「おーー嬉しいか嬉しいか。でもまだだ、ちゃんと渡すからな。指輪が届くまで待っててくれ。」
提督は笑いながら叢雲の頭をわしゃわしゃ撫でた。
「け...結婚?...まだ早いわよ!しかもそれと上限になんの関係があるのよ!」
「あれ?前に説明しなかったか?練度が99になった艦娘とケッコンカッコカリすると、上限が175まで上がるんだぜ。」
「は...カッコカリ?何よそれ。聞いたことない、結婚するってことじゃないの?」
「それはマジの結婚の方だろ...俺らがするのはケッコンだよケッコン、結婚とは違う。」
「ケッコン...艦娘とケッコンするとさらに練度があげられる...一体誰がそんなシステム考えたのよ...」
「いろんな鎮守府から要望があって作られたらしい。他の鎮守府では提督にガチで恋してる艦娘もいるらしいからな。俺ももっと誰かさんに愛されてみたいもんだぜ。」
提督は、わざとらしく肩をすくめた。
「何...?それは私に言ってるのよね?後で覚えときなさいよ。」
「瑞鳳かもしれないぜ?あいつ、ちっちゃいけど結構可愛いし。」
「可愛くなくて悪かったわね。」
叢雲はツンとそっぽを向いてしまった。
提督はわざとらしく咳払いすると、声色を固くした。
「最終確認しとくぞ。敵は四隻。艦種はまだわからない。瑞鳳の索敵機が敵を発見次第、こっちに報告が来る。敵が目視出来る距離まで来たら、後ろから回り込む。最優先は空母だ。艦載機を出す艤装を持ってる筈だから、それを破壊する。他の艦娘は肉弾戦で倒す。砲雷撃なんてやっても勝ち目ないからな。」
「一番大事なのは接近するまで弾に当たらないことね。至近距離で主砲食らったらあんた消し飛ぶわよ。」
「わかってる。集中するぜ。」
少しして、瑞鳳の偵察機が来た。敵艦を発見したのだろう。
妖精さんはコックピットからピシッと敬礼すると、報告を始めた。
「テキカンミツケタ!!ヨンセキデ、センカンキリシマ、コウジュンスズヤ、ケイジュンジンツウ、クウボズイカク、イジョウ!!」
報告を終えると、姿勢を直し、もう一度敬礼した。
「了解。ありがとう。瑞鳳によろしく。」
提督と叢雲は報告を聞いて、妖精さんが乗った偵察機を鎮守府に帰した。
「じゃあ、あんたはまず空母を潰しなさい。近づけば向こうも丸腰だから一番安全だわ。私はまず旗艦をやる。無理そうだと思ったら直ぐに逃げなさい。私がなんとかするわ。」
「悪いな。戦力になれなくて。せめて空母ぐらいはぶっ飛ばしてやる。」
提督は、悔しさを浮かべ、拳を握りしめた。
「無理しないでよ。」
心配した声音だった。
それから、提督達は半時間くらい待ち続けた。
太陽はとっくに落ちて、冷えた海風が肌に刺さる。提督はぶるると震えた。
「まだか...?そろそろ寒いし動きたいんだが。」
「黙ってなさい、来たわ。」
こちらに向かってくる艦娘四隻が、ようやく視認できた。彼女達は、堂々と鎮守府に近づくと、鎮守府に向けて攻撃を始めた。砲弾は鎮守府に着弾し、崩れ落ちていく。艦載機の空爆で鎮守府が燃え始め、すぐに火の海になった。
「おい、マジでふざけんなよ絶対ぶっ殺す」
「落ち着きなさい。そろそろいくわよ。」
艦娘達は鎮守府の破壊に集中していて、あまり警戒していない様子だった。
提督と叢雲はお互いに少しタイミングをずらして岩場から海上に出て、彼女らの背後を取った。
提督は、最後尾にいた瑞鶴に狙いをつけ、彼女の真後ろまで近ずくと、腰に付けていたサーベルを抜いて、大きく振りかぶった。
「ボケっとしてんなよ瑞鶴!!」
「は!?何!?敵!?」
瑞鶴は驚いて振り向きつつも、致命傷を避ける為に持っていた弓で剣を受とめた。
ザシュッと音を立て、弓は真っ二つになった。
提督は直ぐに瑞鶴の背後に回ると、背中の矢筒を叩き切った。矢筒に入っていた艦載機達は、バラバラと海に沈んだ。
「ちょっと!何すんのよ!」
瑞鶴は後退して距離をとろうとした。
しかし提督は剣を構え直すと、直ぐに瑞鶴に切り掛かった。提督が横に振った剣は、ほんの数寸で避けられたが、瑞鶴の胴当てを切り落とした。
瑞鶴はまた距離をとろうとしたが、提督の方が速かった。彼は振ったサーベルを捨てて、拳を握ると、それを瑞鶴の腹に捻じ込んだ。ドゴッという音を立て、瑞鶴の意識はテレビを消したようにぷつりと切れた。
提督は瑞鶴の気絶を確認すると、叢雲を確認するために、鎮守府側を見やった。
叢雲は今まさに神通に殴りかかっていた。そのすぐ側には既に霧島と鈴谷が艤装から黒煙を吹きながら、身動きが取れなくなっている。至近距離で主砲を当てたのだろう。そうする他に、駆逐艦の小口径の高角砲で戦艦級の主砲を破壊する手段はない。叢雲と神通に視線を戻すと、丁度、彼女の膝蹴りが神通に命中し、意識を奪った。
彼女はこちらを見やると、手を振って合図した。
提督は合図を受け取ると、彼女の方に向かい、やがて合流した。
「お疲れさん。お前マジでスゲェわ。駆逐艦一人で三隻もやるとか信じられない。」
提督は座り込んでいる近くの艦娘達を一瞥しながら、戦慄した。
「まあね、意外と楽勝だったわ。懐に入っちゃえば何にも出来ないんだもん。正直拍子抜けよ。」
言葉に偽りはなく、表情にまだ余裕が伺えた。
「そんでこいつらどうする?殺すのもなんかバツが悪いな。」
「あんたの判断に任せるわ。一応みんなまだご存命よ。」
「そうだなぁ...鎮守府ぶっ壊したのは許せねぇけど沈めたところで治るわけじゃないし...」
提督は少し考えた後、こちらをじっと見ていた霧島に声をかけた。苦悶の表情を浮かべている。
「なあ、お前らまだ航行出来るか?今なら見逃してやるから、帰ってくんないか?」
「私が戦況を見誤るなんてッ...こんな失態...お姉さまを失望させてしまう...」
霧島は提督から視線を外し、絞り出すような声で言うと、かろうじて立ち上がり、提督達に背を向けた。
「皆さん、一度撤退します。この状態では先頭の続行は不可能です。旗艦である私のミスです。」
霧島は動けない鈴谷に近づいて肩を貸すと、ゆっくりと航行を始めた。
それに続いて神通もフラフラと身体を起こし、腹を抑えながら霧島達の後を追った。
彼女らの姿が見えなくなってから、提督は鎮守府を見た。元の姿はもうなかったが、火は消火されていた。瑞鳳が消防を呼んでくれたのだろうか、と提督は推察した。戻って状況を整理しなければ。
「俺たちもそろそろ戻るぞ。鎮守府をどうにかしないとヤバイ。」
提督は半壊した鎮守府の方に進み出したが、叢雲はそこから動かなかった。
「おい、何してんだよ?疲れてんのか?」
叢雲は一点を指差していた。
「ねぇ...あれ艦娘じゃないの?」
彼女が差した先には、海に沈みかけた艦娘があった。倒れている半身は水に浸かり、沈没一歩手前に見えた。提督は自分が気絶させた瑞鶴を思い出した。
「やべッ...瑞鶴いたの忘れてた!引き揚げるぞ!」
提督と叢雲は急いで沈みかけの瑞鶴を救助すると、鎮守府に連れて帰った。
帰投すると、瑞鳳が出迎えてくれた。
「提督、叢雲ちゃん、おつかれさま。無事でよかった...」
ホッと胸をなで下ろすと、安堵の溜息をついた。
それから、提督の肩にもたれた艦娘を見るに、あたふたし始めた。
「入渠施設はまだ使えそうか?」
「はい!奇跡的に被弾しなかったので、大丈夫です!その子、直ぐに入渠させてあげなくちゃ!」
「良かった。叢雲、瑞鳳と一緒にこいつを入渠させてやってくれ。俺は状況整理とここの島民達に説明しに行ってくる。」
提督は瑞鶴を二人に預けた。
「分かったわ。」
瑞鳳と叢雲はドックへ向かい、提督は島の役所に歩き始めた。
落ち着いてみると、これからの仕事のイメージで提督の脳内が埋め尽くされた。
今夜は、長い一夜になりそうである。
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横須賀の艦娘達の襲撃があった夜が明け、泊地鎮守府は昼を迎えていた。
あらかたの事後処理を終えて、提督は休憩に茶を啜っていた。執務室は昨夜吹き飛ばされてしまったので、宿舎の一室に机を運び込んで仮執務室として使っている。何しろただの一室なので、執務室としてはかなり手狭である。
「提督、鎮守府は治せそう?」
瑞鳳は、提督の横にあるパイプ椅子に座って同じく茶を飲んでいた。
「まあ時間はかかるけどなんとか治せそうだ、だけど今年の予算の八割が修理費用。もし漁に出なくちゃいけなくなったとしても俺を恨まないでくれよ。」
提督は読んでいた予算についての書類を置いて立ち上がり大きく伸びをすると、深く深呼吸した。
「えーー。流石に自給自足はつらいですよーー。」
瑞鳳は浮いた足をパタパタさせた。
「ああは言ったけど、そうならないようにうまく回すよ。」
コンコンと、ドアがノックされ、続けて声がした。
「私よ。入渠が終わったから連れてきたわ。」
開けるように促すと、彼女は瑞鶴を伴って入ってきた。
瑞鶴の艤装は解除されていて、念の為手錠がされている。紅白の袴を身につけ、ツインテールで緑色の髪を纏めた彼女は、俯いていて表情がわからないものの、パッと見18歳くらいに見えた。瑞鳳は椅子から立ち上がってそれを執務机の前に置くと、瑞鶴に薦めた。叢雲は瑞鶴を座らせると、備え付けのベッドに腰掛けた。瑞鳳もそれに続いた。
提督は椅子に座りなおすと、瑞鶴に向けて、いくつか質問を投げかけた。
初めは所属と自分の名前、練度など、形式的な質問だった。瑞鶴は、俯いたままであったがぽつりぽつりと答えた。
ある程度聞き終えると、不意に提督は核心的な質問を投げかけた。
「なんで内乱なんて起こしたんだ?」
瑞鶴は答えない、仮の執務室は沈黙に包まれた。
沈黙を破ったのは、これまで黙って問答を聞いていた、叢雲だった。
「私達は他の鎮守府の事情は知らない。もしかしたら、それを起こすに値する理由があるのかもしれない。でも分からないわ。なんでこんな鎮守府を破壊しに来たの?」
「確かにそうだ。なんでうちなんだ?こんなところ破壊したところでなんも出ないぞ...」
「何か奪いに来たとかじゃないんじゃないですか?ただ破壊しに来ただけなのかも。」
「えぇ...もしそうだとするなら、それだけの理由があるってことだ。なぁ瑞鶴、教えてくんないか?別に大本営に報告するためとかじゃなくて、ただ気になるんだ。なんせ俺がここに着任して一年くらい、こんなことなかったんでな、ちょっとした野次馬気分なんだ。」
提督は照れて鼻の下を人差し指でこすりながら、笑った。
「この後、私はどうなるの?」
「さあ?帰りたいなら艤装が治るまで...あと二日後には帰れるぞ。」
「...」
「なんだ?帰りたくないのか?」
瑞鶴は小さく首を縦に振った。
「なんでだ?」
提督は問うた。長い沈黙の後、瑞鶴は顔を上げて提督を真っ直ぐ見ると、少しずつ経緯を説明し始めた。
どうやら、瑞鶴は、何故こんな状況になっているのか分からないという。クーデターなど起きるなんて思ってもいなかったのだそうだ。
ある日を境に、急に艦娘達は提督を恨むようになったという。そこからの横須賀はひどかったらしい。艦娘が提督に暴力を振るうのは当たり前になっていき、提督を独房に入れて、数日放置することもあったのだそうだ。挙げ句の果てに、先日の破壊活動に至ったということらしい。
「ひどい話ね。そこの提督が気の毒でならないわ。」
「そもそも、なんで急に提督を恨み出したんだ?」
「それは分からないの。私も昔少し調べたけど、全く。」
「なんで急に提督を恨み出したのかは謎だが、クーデターは数日で鎮圧されるだろうし、その後の調査で色々わかるんじゃないか?」
「瑞鳳もそう思います!少し時間を置いて、落ち着いてから色々調べればいいと思います!」
「まあ、瑞鶴。お前はイヤみたいだが、早く横須賀に帰った方がいいぞ。仲間がいるだろう。それにこれから大変になりそうだし。」
「今の鎮守府に戻るのは絶対イヤだ。どうせロクな事にならないわ。だったらここの工廠で私を解体してよ。」
瑞鶴は意志は固かった。余程横須賀での日々が辛かったのだろうか。
「は?それはこっちも断固反対だ。解体するにも金がかかるんだよ。ただでさえお前らのせいで予算カツカツなのにそんな金どこにもないわ。」
「別に私はやりたくてやったんじゃないし...」
「それでも爆撃したのは事実だ。」
「それは...ごめんなさい。」
瑞鶴は頭を下げて謝罪した。変に改まられて、少し調子が狂う。
「ま..まあ反省してんならいいさ。事情があったってことはわかったしな。それよりお前これからどうするんだ?」
瑞鶴は少し思考すると、突拍子もないことを言い出した。
「解体が駄目なら、ここに私を所属させて欲しい。今横須賀に戻っても解体を待つだけになるし、こうなった原因を調べたい。こんな事頼める人なんていないから...提督、お願いっ!」
両手を合わせて、頼み込んできた。
「そんなの、現実的じゃないだろ...それに..「出来るわよ。」
「は?」
叢雲は口を挟んだ。
「昨夜轟沈したことにして、うちで新しく建造したって報告すればバレないわ、どこも同じ名前の艦娘は見た目が一緒だし、大丈夫よ。」
「提督、受け入れてあげましょうよ。このままじゃあ瑞鶴さんは解体されちゃいますよ!」
「私は別にいいと思うわ。最後はあなた次第ね。」
「二人もこう言ってるし...いいでしょ!?」
三人の視線が腕を組んだ提督に浴びせられる。
「まあ...お前らがそう言うなら、しゃーねーな。瑞鶴、これからよろしくな。叢雲、手錠を外してやってくれ。」
叢雲は制服のポケットから手錠の鍵を出すと、瑞鶴に歩み寄り、それを外してやった。
手錠を外された瑞鶴は、叢雲に礼を言って立ち上がると、改まって提督に頭を下げた。
「提督さん。これからよろしくお願いします。役に立つように頑張るね!」
「...ああ。お前ら、こいつを案内してやってくれ。」
鎮守府にまた新たな仲間が一人増えた。
ここで受け入れたのはいいが、結局予算がかさんでしまう。自ら海に出るのが現実になってしまいそうだ。
叢雲は二人を率いて、廊下に消えていった。彼女にとっても、仲間が増えるのは嬉しい事だ。
近いうちに大本営に召集がかかるだろう。それまでに報告書をまとめなければ。
提督は冷めた茶をあおり、また執務に戻ったのだった。
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